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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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医学部定員増、最大245人?
私は以前から、このブログで、
日本は世界標準から見たら、
医者の数が圧倒的に少ないんだから。
医師不足なんだから、医学部定員を増員しろ。
って事を言ってきたのですが。
ほんのわずかですけど、医学部定員
増員される事になりましたね。

まあ、以前に書いた記事と、ほぼ同じ内容なので。
新たに決まった、ってわけではないんですけど。


全都道府県で医学部定員増 
年に最大計245人

深刻化する医師不足に歯止めをかけるため、
政府は、来年4月から大学医学部の入学定員
各都府県で最大5人、北海道で最大15人
増やすことを認める方針を固めた。
増員分の学生の入学金や授業料は
自治体が全額肩代わりし、卒業後は僻地(へきち)などの
病院や診療科を指定して9年間の勤務を義務付ける。

期間は10年間で、1年に
最大計245人の増員となる。
政府・与党が5月に発表した緊急医師確保対策の
一環で、国は都道府県に地方交付税を
増額する形で財政援助する方針。

医師不足が深刻な山間部や離島などの
医療圏や、産科、小児科などでの
医師確保が狙い。
ただ卒業までに最低6年間かかるため、
効果が表れるのはしばらく先になりそうだ。

計画によると、増員対象とする大学の
選定や人数、卒業後の勤務先については、
自治体の担当者や大学、医療関係者
でつくる都道府県ごとの協議会が決める。
学生には入学金と授業料の全額に加え、
生活費の一部を奨学金として支給。
卒業後に指定した医療機関で勤務できなくなった
場合は、全額を返還させる。

北海道の増員枠が多いのは医師
不足している医療圏を数多く抱えているため。

政府は、自治体別の増員計画とは別に
小規模な大学の増員枠も設定。
入学定員が80人に満たない大学について、
20人まで増員を認める。
現時点で対象となるのは、
横浜市立大と和歌山県立医大の2校。

同様の取り組みは自治医大(栃木県)が既に実施。
毎年2、3人が都道府県から奨学金を得て入学し、
卒業後に指定された病院に赴任しており、
今回の新たな増員について、厚生労働省は
「都道府県版の自治医大構想」
(医政局)と位置付けている。

医学部の入学定員をめぐり、政府は既に
今回の計画とは別に来春以降の10年間で、
10県の大学と自治医大の計11大学について
年間で最大10人ずつの増員を認めている。

自治医大以外はいずれも医師不足
深刻な地域にある大学で、卒業後は県内などでの
勤務を条件に奨学金を支給するが、
勤務先まで指定できないため、県庁所在地などの
都市部に卒業生が集中してしまうとの懸念があった。

医学部定員 
国は1970年代に大学医学部の新設や定員増を進め、
83年に「最小限必要な医師数」とする
人口10万人当たり150人の目標を達成。
その後は医療費拡大を抑えるため
定員削減に方針転換した。
しかし近年、過疎地や産科、小児科など
特定の診療科で医師不足が深刻化。
政府・与党は今年5月に6項目の
緊急医師確保対策を発表し、奨学金による
医師養成の推進などを重点項目に盛り込んだ。


「2007年8月24日:産経新聞」


でも、この記事にも書いてあるように。
医学部っていうのは、6年制ですから。
医学部定員が増えて、そいで医者になるまでに
最低でも6年
2年間研修医として働いて。
一人前までいかなくても、半人前になるまでに
後3年くらいはかかりますから。

最短でも、10年以上先の話なんですよ。
医学部定員が増えて、その人達が
医者として、戦力になるのって。

まあ、それでも、このまま医学部定員が減らされたまま、
医者の数が少ないよりはましなんですけどね。

後、10年持つか、って事はわかんないですけどね。
日本の医療が崩壊するまで。
とりあえずは、増えないよりは、まし。
ってとこでしょうかねー。


>1983年に「最小限必要な医師数」とする
人口10万人当たり150人


ってこれ、20年以上前の基準ですから。
今は、世界標準って言ったら、
人口10万人当たり300人ですから。
OECD平均では。

世界の人口当たりの医師数は、およそ2倍になっているけど、
日本の医師数は、3割くらいしか増えてない
って事っすよね。
そいで、2020年には、このまま行ったら
トルコや韓国、メキシコにも抜かれて、
OECDの国の中では、最下位になる、と。

参考:「医師人口比。日本、20年に最下位へ」

20年以上前の基準を、無理矢理今に当てはめて、
医者の数は足りている、としているんですけどね、
政府や、厚労省は。

医師不足自体を認めないで、ほんの少しだけ
医学部定員を増やして、お茶を濁す、と。

まあ、今まで自民党がやってきた、得意の先送りですね。

医者が足りないのは、特定の診療科
だけではないんですけどねー。

10年間、ほんの少しだけ医学部定員を増やしたら、
全てが解決するとでも思っているんでしょうか。
この人達は。


ところで、この新聞記事を書いたのが
誰なのかしりませんけど。

この数字、合っていますか?
私が素直にこの数字を読むと。

>来年4月から大学医学部の入学定員
各都府県で最大5人、北海道で最大15人


これで、46x5+15x1=245人
まあ、これは良いですけど。


>政府は、自治体別の増員計画とは別に
小規模な大学の増員枠も設定。
入学定員が80人に満たない大学について、
20人まで増員を認める。
現時点で対象となるのは、
横浜市立大と和歌山県立医大の2校。


だから、20x2=40人


今回の計画とは別に来春以降の10年間で、
10県の大学と自治医大の計11大学について
年間で最大10人ずつの増員を認めている。


今回の計画とは別に、って言ってるんですから。
10x11=110人

で、合計
245+40+110=395人

395人のような気がするんですけどねー。
今の医学部定員から比べると。

まあ、今回の増員で増える人数245人
って事は事実だから、これでも間違いではない、
とは思いますけどね。

でも、この記事の内容って。
2007.5.13に私が書いた記事、
「医学部に、へき地勤務枠」
と、ほぼ同じ内容なので。
今更、って感じも、しないでもないですけどね。


この時の自民党の丹羽総務会長のコメント。

>自民党の丹羽総務会長は12日、新潟市内での講演で、
「自治医大の制度を全国47都道府県の
国公立大などに拡大したらどうか。5人ずつ増やせば、
へき地での医師不足は間違いなく解消する」


って、何を根拠に、一都道府県に対して、
たった5人増やした程度で、全てが解消する。
みたいな、バカな事を、この記事では書いていない、
って事が救いでしょうかねー。

毎年、1000人増やしたって、
あと100年以上かかるんですけどね。
人口当たりの医師が、今のOECD平均まで到達するのに。
100年経ったら、OECD平均の医師は、
もっと増えているんでしょうけど。


大学病院の事情を知りたい人は、これ読んでね!
→ 
『「大学病院のうそ」 ~現役医師(Dr. I)が暴露する、大学病院の秘密』

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この記事へのコメント
結局は……
Dr.I様>

 結局、政府は「医師の人数が根本的に足りない」という事実を「これ以上定数を増やすと負担が増える」ということからごまかそうとしているとしか思えませんね。
 とにかく、今の倍になっても「世界の平均値」にすぎないのですから、思い切った定員増が必要なのは明白だと思うのですが(嘆息)。
Lich[URL] 2007/08/30(木) 11:24 [EDIT]
増やさないよりマシ程度
定員増の効果が出るのは、私ぐらいの歳では引退してからになりそうです。Dr.I様ならまだ恩恵を受けそうですか?

定員は増やさないより増やしたほうが良いですし、ましてや減らすよりはずっとマシな政策ではあります。ただし増やすだけではあちこちに無理がきます。どんな教育制度を取っても卒後教育無しでは医師は使い物になりません。卒後教育を行なうのも医師です。

現在この貴重な中堅層の戦力が数も、モチベーションも大きく下がっています。ここが充実しない限り、学生だけを水増ししても、使い物になる医師は育ちません。Dr.I様が医学部も含めて10年で半人前になるとされていましたが、中堅層が充実していないとそれすら出来ません。

また数が増える分のパイも必要です。現在の医療費では今いる不足した医師の数さえ養うに足りない額です。もちろん医師の報酬を下げるのも方法論としてあるでしょうが、これ以上下がれば「でもしか」医師の登場を促し、医療の質は必然的に低下します。

また数だけ増やして医療費大幅削減路線を進めるのは大きな矛盾です。医療費だけで言うのなら、削減する分だけ定員を減らし、減った医師数に見合うだけの縮小医療体制に移行するのが経済的には妥当です。

つぎはぎだらけの、その場しのぎの矛盾した政策を推し進めればどこかで破綻します。将来のツケは確実に国民に襲いかかります。もっともその頃には現在の政策を推進している政治家、財界人はあの世でしょうし、官僚の担当者も天下りで懐を肥やすのに懸命でしょうから、

「関係ない話」

なんでしょうけどね。
Yosyan[URL] 2007/08/30(木) 13:01 [EDIT]
>卒業後は僻地(へきち)などの
病院や「診療科」を指定して9年間の勤務を義務付ける。

僻地枠=産科、小児科@離島となるのでしょうか・・・
明らかに自治医大を超えてます・・・
医学生[URL] 2007/08/30(木) 13:09 [EDIT]
>Lichさん
今だに、医療費亡国論、医者が増えると医療費が増える、とか言ってるからですよ。
情けない。

Dr. I[URL] 2007/08/30(木) 19:58 [EDIT]
>Yosyan先生
まあ、一応ましだとは、思いますね。
10年以上経って、ほんの少しだけですけど。

恩恵を受けられるかは、微妙かもしれませんねー。
恩恵を受ける頃には、医師免許を持っていても医者やっていない人が多数いる可能性も高いような気がします。

指導医クラスがいない、って事も医師不足で重要な点なんですけどねー。
前もブログに書いたけど、何故か若手医師とか、研修医不足に話をいつもすり替えられます。

選挙で、一致団結して、反自民になるしかないのでしょうねー。
きっと彼らが動く為には。
医者+看護師、技師合わせて100万人以上が一致団結できれば強いんですけど。
難しいですね。

Dr. I[URL] 2007/08/30(木) 20:02 [EDIT]
>医学生さん
一応、今の所、科の制限はないみたいですよ。
これからは、どうなるかわかんないですけど。

僻地枠で入ってきた人、学生時代、別で扱われるのかなって、今ちょっと疑問に思いました。
いじめないで下さいね。
Dr. I[URL] 2007/08/30(木) 20:03 [EDIT]
a great want of doctor
計算はエビは解んないない☆
この更新時間見たら言わなくても「お医者たん足りないんだなー」って誰もが解りますっ(/_・、)
エビ[URL] 2007/08/31(金) 22:20 [EDIT]
>エビさん
医者の数が足りない、ってのは。
前から言っている通りですね。
Dr. I[URL] 2007/09/01(土) 16:23 [EDIT]

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Next Doctors' Diary | 2007/08/30(木) 12:48
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