現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説! 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
医者の「高給取り」はイメージ
医者給料っていうのは高い
っていうイメージがありますけど。
実際はそうでもない、っていう記事が載っていたので。
ちょっと、このブログでも紹介させて頂きますね。

あの(笑)、産経新聞からです。



勤務医が辞める理由(前編)――
“高給取り”はイメージ。
現実の収入は多くない

医師=高給取り」というイメージがあるが、
勤務医の収入は決して多くないという。

勤務医の平均年収は1000万円ほどだが、
当直が多く、休みが少ない。
さらに収入の半分以上が非常勤として
働いたもので、意外と“不安定”のようだ。


全国の病院医師不足にあえぐなか、
医師増員の必要性が指摘されています。
しかし、1人の医師を育てるには
長い時間がかかります。
「まず、医師が何を求めているかを知るべきではないか」
との声が上がっています。


厳しい労働に評価低く

「大学病院をやめて、開業しようかと考えてます」。
ある地方大学の病院勤務医(40)は言う。

同じ診療科の同期生らは、多くが開業した。
開業した仲間の年収は勤務医時代の2、3倍。
開業医が休みを取れ、外車に乗るのを横目に、
この勤務医は「医師不足に悩む地域医療のため」と、
踏ん張ってきた。

大学病院では現在、月5回の当直がある。
子供が生まれたばかりだが、
休日は月に2、3日取れればよい方。
年収の総額は1000万円と、
勤務医の平均レベルだが、収入の半分以上を
病院での非常勤の外来などが占め、不安定だ。

このまま勤務しても、大学病院での
給料の伸びは見込めず、退職金もない。
教授ポストをめぐる医局の人間関係の煩わしさや、
日々の業務の精神的負担を考えると、
時間の喪失感を覚える。

「今後は患者さんにじっくり接し、
患者さんの喜ぶ顔が見たい」と言うが、
現状は研究も臨床も中途半端で、
将来に不安を感じるという。


勤務医の収入は多くない

医師には一般に“高給取り”のイメージがあるが、
日医総研のデータによると、
勤務医の収入は決して多いとはいえない。

しかも、医師が一人前になるには、
長い時間と費用がかかる。
この医師は6年の医学部教育を終え、
医師免許を取り、30代半ばまで大学院や
留学先の研究施設などで研鑽(けんさん)を積んだ。
医療が高度化、多様化する今は、
なおさらこうした機会が必要だ。

ところが多くの場合、その費用は自前。
「アルバイトで稼いでは、勉強にあてる
自転車操業です」(冒頭の勤務医)という。

ある外科医は、がん研究のため、
国内トップクラスの専門病院で
先端医療を学ぼうとしたところ、
「初年度は無給」とされた。

病院側にすれば、「手術や入院患者の処置も勉強の場」
というわけだ。
この外科医は「家族の生活費も含め、
それまでの貯蓄を取り崩し、
1年で約1000万円かかった」という。

研究で成果を上げ、海外で学会発表もしたが、
渡航費や滞在費約50万円も自己負担した。

海外留学で1000万円程度を自己負担するのは
「よくあるケース」とされ、実家からの
仕送りで生活する医師も少なくないという。


“疲弊”という悪循環に陥っている

今年、「医者のしごと」(丸善)を出した
聖路加国際病院の福井次矢院長は
医師は一人前になるまでの教育期間が長く、
その後も最善の医療を提供するために、
一生勉強を続けなければならない」と指摘する。
人の命を扱う医師が育つには、
相応の時間と費用がかかる。
しかし、そのことが理解されておらず、
ふさわしい待遇もない。

医師の待遇について、福井院長は
「日本では診療報酬が低く、病院収入は
外国の病院に比べて格段に低い。
それでは、過酷な労働に対して
満足な報酬も払えないし、
医師をサポートする人材も雇えない。

一方でこうした医師を取り巻く
環境への理解は進んでおらず、
国民の要求は年々高まっている。
それで現場が疲弊する悪循環に陥っている」
と指摘する。 


医師不足の病院にアドバイザー的な
役割をする伊関友伸・城西大学准教授(行政学)は
「やりがいを感じるうちは、
医師は報酬にかかわらず働く。
しかし、医師不足が顕著な地域では、
行政や患者が医師の勤務実態を知ろうともせず、
時間外やコンビニ受診など、
過剰な負担でつぶしてしまっている」
と分析する。

そのうえで、医師を招く条件について、
「やりがいを感じてもらう仕掛けが必要。
高い報酬を設定するのもひとつだが、
それだけでは定着しない。
地域がどんな医療を求めているか、
そこでどんな技量向上が見込めるか、
医師に示す必要がある」と主張する。

大学病院の医局で医師派遣の窓口となっている
ある医師は「待遇改善を要求しても、
病院に熱意が感じられなければ、
医師不足を理由に紹介を断ることもある。
限られた人材を有効に生かすことが必要ですから」
と打ち明ける。

医師増員の機運が高まっていることについて、
伊関准教授は「まず、医師が今、
なぜやめていくかを分析する必要がある。
数だけ増やしても、相変わらず、
医師は都会にはいても、地方にはいない
などの偏在を助長するだけではないか」
と話している。



「他職種との収入比較」
(手取り額、40−44歳平均)

個人開業医               1270万円
中小企業経営者(年齢区分なし)  1190万円
パイロット                1050万円
金融・保険業部長           1000万円
病院勤務医                970万円

(平成19年日医総研まとめ、
パイロット、部長職は1000人以上の企業)


「2008.7.15:産経新聞」



私は、医者ですけど。
なるべく一般人の視点で物を見るように、
っていう事を心がけているし。
ブログの読者も、基本的には医療関係者以外の
一般の人を対象
にしています。
まあ、かなり大勢の医者に読んで頂いていますけどね(笑)

で、「医者(俺)の給料は安い
って言っている医者って結構いますけど。
私は、これには賛成できません。

はっきり言って、「年収1000万円」というのは、
世間的には、安くはないですよ。

これは、このブログでも何回か書いている事です。

医者で、給料が安い、って言っている人は、
「俺の方があの働かない医者より働いてるのに、
俺の方が給料が安い。」

とか、あくまで、あまり働かない一部の医者と比べて
俺の給料が安い、っていう比較ですからね。
まあ、たいていそういう事を言ってるやつに限って、
たいした事ない場合が多いんですけどね、実際は。

いわゆる、世間一般の人の給料と比べて、
という視点ではないです。
だから、私は医者の給料が安い。」
という言い方は、今までにもした事がありませんし。
これからもするつもりはありません。

私が以前から主張しているのは、
医者の給料は、他の職種の2倍くらい。

でも、仕事する時間も2倍近いし。
休日もほとんどないし。
36時間連続勤務もしなければならない。
夜中や明け方に呼び出される事もあるし。
医療訴訟のリスクもあるし、
人の命に関わる事で、プレッシャーも大きいですよ。
それに、医学の専門的な技術も知識も必要ですし、
一生、勉強し続けなければなりません。


それを考えたら、決して高くはないんじゃないですか。
という事です。

あと、他の先進国と比べたら、
日本の医者の給料は安い
ですよ。
という事でしょうかね。


あくまで、「年収の総額」だけで言えば、
日本の医者の給料は、決して安くはないです

その話は、以前に
『診療報酬、また引き下げか?(追記あり)』
の記事でも書いた通りです。

医者給料っていうのは、総額では安くないけど。
思っている程は高くないよ、とは思いますけど。

私が知る限り、
医者の給料をもっと上げろ」
という主張をしているメジャー系の医師ブログは、
ないんじゃないかなー。
一応、有名どころの医師ブログは、
だいたい目を通しているつもりではあるんだけど。
もちろん、全部じゃないんで、
正確にはわかんないんですけどね。

ただ、時間外医者が働いても、
時間外手当を貰えない病院がある。
とか。
当直というのは、本来であれば、
ただ寝ているだけとか、見回りとか。
そういう業務であるはずなので。
当直中に働いた場合は、労働基準法上は、
時間外手当を払う事になっているんですけど。
それをやっている病院っていうのは、ほとんどないので。
それは、きちんと病院側は払うべきだ。
という主張はしていますけどね。


個人的には、医者給料を上げろ、
という主張はしません。


ただ、時間外に働いたのであれば、
その分の時間外手当は払うべきだ。

という事と。

個人的には、医者の給料は年功序列で固定給だけでなく、
たくさん患者を診たらもっと上げる、とか。
重症患者が多いとか、仕事がきついとか。
そういう科の医者と、そうでない科の医者給料は、
差をつけた方が良いんじゃないか。
とは思いますけどね。

全員一律に、医者給料をもっと上げるべきだ。
とは、私は思いません。


伊関友伸先生が言っている通り、

「やりがいを感じるうちは、医師は報酬にかかわらず働く。
しかし、医師不足が顕著な地域では、
行政や患者が医師の勤務実態を知ろうともせず、
時間外やコンビニ受診など、
過剰な負担でつぶしてしまっている」

「やりがいを感じてもらう仕掛けが必要。
高い報酬を設定するのもひとつだが、
それだけでは定着しない。
地域がどんな医療を求めているか、
そこでどんな技量向上が見込めるか、
医師に示す必要がある」


私も、全然やりがいはないけど、給料は良い病院よりも、
やりがいはあって、給料は普通。
っていう病院の方が良いですね、個人的には。
若手〜中堅の医者であれば、そういう人が多いと思いますよ。
医者って、職人気質の人が多いですからね。

もし病院医者を雇いたいというのであれば、
医者給料をもっと上げる、というよりは、
病院医師への対応の仕方、とか。
新しい技術や知識を学べる、とか。
医師のやりがい」みたいな事を、
もっと重要視した方が良いと思いますよ。


大学病院について知りたい人は、これを読んでね!
→ 「大学病院のうそ」 〜現役医師(Dr. I)が暴露する、大学病院の秘密

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医者の横着
医者っていうのは、昔なら技術職、職人
という事でも良かったのだと思います。
今でも、ものすごい手術が上手な外科医であれば、
そういう人が一部はいても良いのかな、
とは思いますけどね。

でも、今の医者っていうのは、単なる職人
っていうだけでは駄目だと思います。

あくまでも個人的な意見なのですけどね。
今の医者には、「技術職」と「サービス業」と、
そして「経営者」の視点が必要なんじゃないかな、
って思っています。

ブログで書くのは、もしかして初めてかもしれませんが。
自分では研修医の頃から思っていた事で、
一部の周りの医師には昔から話している私の持論です。

医療を行うには専門的な知識や技術が必要ですから。
医者職人のような技術職だ
という事に異論のある人はいないと思います。

ただ、それだけでは、今の医者は通用しないと思います。
昔の医者であれば、
患者医者の言う通りにしていれば良いんだ。」
っていって、横柄にふんぞり返っていても
良かったのかのかもしれませんけどね。
今の時代、そんな事では通用しません。

そういう医者が多かったから、
つい最近まで医師叩きのくだらない番組が多かったとか。
今でもネットやマスコミを通して、医者の事を悪く言う人が多い
という側面もあるでしょうから。
そこら辺に関しては、医者の中でも反省すべき点だと思います。

医療はサービス業ではなく、警察や消防のような
社会インフラだ、
と私は思いますけど。
でも、患者さんと直接対面して会話をしたり、
検査や治療をする訳ですから。
やはり、サービス業という側面も一部にはある、と思います。

ただ、最近では、医療はサービス業で、患者は客だ。
というような風潮が強すぎ
て、
患者の事を「患者」って呼んでみたり。
患者側の権利意識が強すぎて、単なるわがままを言う、
モンスターペイシェント」みたいのが出てきて、
逆に問題になっている。
という側面もあるのではないでしょうか。

経営者としての視点っていうのは、
簡単に言うと、コスト意識を持たないと駄目だ
っていう事です。

昔であれば、最高の医療をすればお金は関係ない
というような考え方でも十分だったのかもしれませんが。
最近は、診療報酬も削減されて、多くの病院が赤字なので。
医者個人が、ある程度のコスト意識を持っていないと、
病院そのものが潰れてしまう事になりますし。

日本の医療は先進国で最低レベルですけど。
自己負担率は、最高レベルですからね。
高齢者の自己負担率も上がっているし。
どんどん高い薬や治療が出てきているから、
患者さんのお金の事も考えて治療する。
という視点も必要だ、と私は考えています。


医療業界は特殊だから。
医者は特殊だから、
っていうのは
単なる甘えだと思います。
警察だって、マスコミだって、農家だって。
どこの業界だって特殊なんですから。

個人的には、医者になっても一般人の視点を忘れない
っていう事を意識して心がけていますし。
ブログに関しても、一般の人が読んでもわかる文章を書く
という事を常に心がけています。

んで、全く同じ考え方、って訳ではないんですけど。
いつもお世話になっている「ロハスメディカルブログ」
川口恭
さんが、医者に対する強烈なメッセージをくれたので。
ここでも紹介させて頂きますね。



インターベンション学会報告(1)

医療事故調をつくるという話で、
厚生労働省はしくじりました。

参院で与党は少数派ですから、
秋の臨時国会でも厚労省案が
国会を通らないことは確定しています。

なぜ、こんなことになっちゃったかと言えば、
一義的には厚労省が、司法という
自分たちの権限が及ばない領域のこと
であるにも関わらず、必要な手順を尽くさず
乱暴極まりない進行をしたからです。

ですが、1年間追いかけているうちに、
厚労省だけが悪いんじゃないな、
ここで厚労省の悪口を言っているだけだと、
きっとまた同じような問題が起きるな、
と思うようになりました。


そもそも、事故調をつくるという話は、
最初に厚労省から出てきたわけではないと思います。

都立広尾病院事件で、
医師法21条がそんなことになるなんて、
と驚いた医療界が診療関連死の届出先を
警察以外のところにしようということで
厚労省を巻き込んでモデル事業を始めたんだけれど、
その年度中に福島県立大野病院事件が
発生してしまって、とにかく警察・検察の
医療への介入を止めなきゃいけない、と。

いうことで、厚生労働省に「何とかしてくれ」
と言ったんでしょう。
当時の医療界の常識からすれば、
当然の発想・行動かもしれません。

でも、これは私のような外部の人間から見ると
非常に横着だったように見えます。
で、その横着さが、結局、厚労省
乱暴な進行も呼んだのでないか、と。
いわば、今回の大混乱に関しては、
医学会のリーダーたちと厚労省とが
共犯なのでないかと思うわけです。

先ほども言いましたように当時の発想では
当たり前のことをしただけかもしれないとは思いますが、
これだけ大混乱をきたしたにも関わらず、
もし未だにその横着さに気づいていないとしたら、
ちょっとお粗末すぎるのでないかと思います。

突然言われても、お前何を言っているんだ
と思いますよね。
なので何が横着なのか簡単に説明します。

医療用語に例えた場合に、今回医療界の
リーダーたちがしたことは、診立ても悪いし、
治療態度も悪いと表現できると思います。
何といっても、第1回の検討会で樋口委員から、
非常に本質的な問いかけがされているわけです。

ところが最後まで、そこは曖昧なまま突っ走りました。
検討会の中に学会の代表者も
入っていたわけですから、診立てが悪いことに
気づいて軌道修正することだってできたはずなんです。

それから治療態度の話はより深刻だと思います。
大野病院事件がとんでもないと思うのなら、
なぜ警察・検察と闘わなかったのか、
広尾病院事件から、なぜ21条を何とかするという
教訓が出てきてしまうのか。
都病院局の隠ぺい体質を糾弾して
医療者を守るべきだったのでないか。
そもそも患者さんとちゃんと向き合ってきたのか。

面と向かって交渉するのが怖いから、
面倒だから、ルールの方を変えたいって、
そんな身勝手なことが通るわけがないんです。
しかも、それを自分たちでやらずに
厚労省にやらせようとした。
それは横着すぎるだろうと思うわけです。

どうして、こんなにムシのよいことを要求して、
それが通ると思ってしまうのだろうと正直不思議です。

でも何年か医療者たちとお付き合いをしていく中で、
ははぁこれだなと思うようになったことがあって、
それは良い表現をすれば唯我独尊であり、
悪い表現をすると社会に対して
無関心すぎるということです。

4月12日の医療議連のシンポジウム。
医者さんが多数集まって大変盛り上がりました。
でも、あの場にいたメディア関係者や一般患者は、
非常に違和感を感じていました。

中でも最たるものが、山形大の嘉山先生の言葉です。
今や八面六臂の大活躍をされている、
その嘉山先生が
医療がこんなになるまで医者は何をしていた
と言われるかもしれないが、
医者医療をやっていたんだ」
と胸を張ったわけです。

医療者たちの本音を代弁しているんだと思います。
ちょっと待ってと思います。
医者医療だけしていればいい」
って誰が決めたんですか? 
たしかに早く一人前になるため脇目もふらず
という時期は必要でしょうし、業界全体でも
余計なことを考えずに済むに
越したことはないと思います。

思いますが、少なくとも社会は
そんなことを要求してないはずです。
医療は社会のサブシステムです。
医療者だからといって、社会の構成員としての
責務を免れるものではありません。

社会から、医療だけしていればよいと要求されない限り、
自分たちで勝手にこれだけしていればよい
と決めつけるのは図々しいです。
少なくともサブシステムの当事者として、
医療サブシステムが社会と調和して
持続するよう行動する責務があります。
その際に他のサブシステムと利害衝突が起こったならば、
ちゃんと折衝しないといけません。

そういう面倒なことを引き受けるためにこそ、
リーダーというものは存在するはずです。
それなのに今回は一体何をしたのか、ということです。
その意味では、学会だけでなく、
医師会の責任も当然問われると思います。

もちろん全部を自分たちでやらなきゃいかん
ということではありません。
エージェントを使うのは結構です。
病気だったらお医者さんに頼るのと同じことです。

でも、問題は医療界には、厚生労働省の官僚しか
エージェントと呼べる存在がいないことです。
そもそも官僚は公益のために動かなければ
いけないのですから、一業界のエージェントとして
使ったら本来はいけないんです。

しかも普段厚労省に大して協力もしてないクセに、
都合のよい時だけ使おうとしても、
思い通りに動いてくれるはずがありません。
そういう横着をするから厚労省の側でも
自らの利益を図って、
いろいろ訳の分からないことになるのです。

今回の問題は、明らかに医療という
サブシステムと司法というサブシステムとの間で
衝突が起きているわけで、医療業界内だけで
ゴチャゴチャやっていても絶対に解決しません。

医療以外のサブシステムは、
みな必要な努力を積み上げて、その他のサブシステムと
不断に折衝しているわけです。
自分たちの要求を通したいと思ったら、
他のサブシステムが努力しているのと同様に、
ちゃんと実態をよく見極めて、
必要な手間暇費用をかける必要があります。
早くそのことに気づいていただきたいと思います。
それをイヤがる限り、横着と呼ばざるを得ません。


『インターベンション学会報告(1)』


極端な話、医師免許があれば、
食いっぱぐれる事はないですからね。
医者って。

だから甘えがあるというか、
>良い表現をすれば唯我独尊であり、
 悪い表現をすると社会に対して無関心すぎる。


という事になっているんだと思います。

川口さんの場合は、私のような医師個人の事でなくって、
医者全体としての話。
医師のリーダーの役目、っていう事で
言っているのだとは思いますが。

医者医療だけしていれば良いのではない。
っていうのは、私も思います。


医師法第一条にはこう書いてありますね。

医師法第一条  

医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて
公衆衛生の向上及び増進に寄与し、
もつて国民の健康な生活を確保するものとする。


参照:『医師法』

医師の一番の役目っていうのは、
>国民の健康な生活を確保するもの
って事ですから。
単に、目の前にいる患者を治すだけで良い。
っていう話にはならないと思います。

医師法第一条には、
医療及び保健指導を掌ることによつて
って書いてはありますけど。
それ以上の事をしてはいけない、
とは書いていません
からね。

例えば、
医師は30時間以上の連続勤務を、
日常茶飯事に行っているし。
労働基準法違反、過労死の認定基準よりも多い、
月に80時間とか100時間以上の時間外勤務を
行っている人も大勢いる。
こんな常態で診療をすれば、良い医療を提供する事は
できないから、国民の健康な生活を守れない。

っていう事を世間一般に広める。
というような事も、必要なんじゃないかなー。

最近はインターネットも発達して。
ブログやメール等を通して自分の意見を
世間に訴える、って事も比較的容易になったし。
それ以外にも、身近な人に話すだとか、
地方議員や国会議員に働きかけるとか。
医療以外でも、やった方が良いって事は
たくさんあると思うので。

国民の健康な生活を確保する」為に、
医師医療以外の事もしていった方が良い。
これが現在の医者のあるべき姿なんじゃないかな、
って、個人的には思います。


医者のホンネが知りたい人は、こちらから!
→ 『医者のホンネが丸わかり!(改)』

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大野病院事件、メディアの功罪
日本の医療崩壊を加速させたのは、
2006.2.18福島県立大野病院事件です。

このブログを読んでいる読者であれば、
ほとんどの方はもうすでにご存じだとは思いますが。
福島県立大野病院で、産科の先生
難しい症例の患者さんを救おうとして、
一生懸命に努力したけれど、命を救えなかった。
でも、患者さんが亡くなったという、結果が悪いというだけで、
故意でも医療ミスでもないのに、産科医のK先生
2006.2.18逮捕されてしまった、という事件です。

そして、逮捕という衝撃的な事だけでなく、
その後のマスコミの報道の仕方も酷くて。
その為に、日本の医療崩壊、特に産科
医療崩壊が加速的に進みました


具体的には、産科が1人でお産をする病院が、
日本中で大幅に減った。
そして、「妊婦のたらい回し」報道に代表されるように、
妊婦を受け入れる事のできる病院が、少なくなった。
という事ですね。

医療崩壊の一因として、「マスコミ
が与えた影響というのは、
「行政」の次、くらいに大きい。
と個人的には考えています。

その、医療報道を検証するシリーズ
っていうのがありましたので。
ここで紹介させて頂きますね。

You tubeの画像です

『医療報道の光と影〜大野病院妊婦事件1』
『医療報道の光と影〜大野病院妊婦事件2』
『医療報道の光と影〜大野病院妊婦事件3』


第一回の動画を、文字で書き起こしてみました。
癒着胎盤の説明など、非常にわかりやすかったので、
是非見てみてくださいね。



黒岩祐治のメディカルリポート #49
「検証!医療報道の光と影2
大野病院妊婦事件 、メディアの功罪1〜


 黒岩祐治
メディアが医療崩壊を加速させた
と言われている事件を検証します。

医療福祉チャンネル774 
 森まどか

ゲスト
福島県立医科大学医学部産科婦人科学講座
 佐藤章 教授

東京大学医科学研究所探索医療
ヒューマンネットワーク部門
 上昌弘 准教授(医師

参議院議員(民主党)
 鈴木寛議員

コメンテーター
医師・作家
 和田秀樹医師


 森まどか
さて、今回とりあげるのは、4年前に起きた
妊婦の死亡事故ですけどね。

 黒岩祐治
福島県立大野病院で起きた、妊婦の死亡事故なんですけどね。
警察が逮捕に踏み切った事から、
メディアが一斉に、殺人医師事件として
取り上げたわけですね。

その結果、どういう事になったのか。
まずはVTRからご覧下さい。



VTR

医療事故、病院崩壊、薬害訴訟など、
一連の医療報道が現実を改善する場合もありますが、
逆に事態を悪化させることもあります。

2004年、福島県立大野病院で起きた、妊婦死亡事故。
医師逮捕というマスコミ報道をきっかけに、
産科医療崩壊の危機が起こりました。

 佐藤章教授
「私はマスコミに対して、クレームをつけたい。
まだ有罪か無罪かも決まっていない時に、
あたかも殺人者なんだ、という感じで取り扱われたと。」


マスコミの報道で萎縮した産科医の立ち去りが
各地で起こり、産科の閉院が相次ぎました。
このメディアの報道に対し、危機を感じた医師達が、
インターネットを使い、真相を訴えました。

医療報道の光と影を検証するシリーズ。
第三回は、大野病院事件のメディアの功罪です。


県立大野病院は、福島県双葉郡の周辺で
分娩のできる数少ない病院でした。
当時、年間200件〜250件の分娩を
1人の医師で行っていました。

妊婦は前置胎盤のため帝王切開で出産をしましたが、
癒着胎盤があり、その剥離中に出血多量で死亡しました。

福島県は医療ミスとして、遺族に謝罪。
事故報告書を公開しました。
警察は報告書が出たことにより、医療事故として捜査を始めました。
事故から1年4ヶ月後、担当の医師は、業務上過失致死罪と
異常死の届け出義務違反の疑いで、逮捕、起訴されました。

メディアは一斉に警察報道を伝えました。
それらの多くが医師の治療ミスを伝える内容でした。

福島県立医科大学産科の佐藤章教授は、
医師逮捕とマスコミの報道に異論を唱えています。

 佐藤章教授
「彼はまだ有罪か無罪かも決まっていないときに、
あたかも犯罪者のようにテレビでは画像で彼が(医師が)
逮捕されたところを映されるのが、
あれが非常に私、気持ちとしては沈みました。」

公判では前置胎盤の妊婦に癒着胎盤があり、
その判断と処置の仕方をめぐって争われています。

 佐藤章教授
前置胎盤事態が特殊な状態にある妊娠だった訳です。
それで手術してみたら、後壁に癒着があったと。
また、癒着胎盤というのも非常に
珍しい症例でありますので、
分娩前に把握できれば、それに対する処置は
対応できたかと言えたかと思いますけど。
それが予測が出来ない珍しい症例であったという事。」


医師の犯罪としてかたずけられようとした事件に
まったをかけたのはインターネットでした。
果たして過失なのだろうか。
医師逮捕に危機感を抱いた、他県の産科医師
事故報告書を入手し、それをインターネットで公開したのです。

すると、同じ様に疑問を感じていた複数の医師達が
ブログで意見を発信。
次第に新聞の記事だけではわからなかった、
手術の内容が明らかになってきました。

「ある産婦人科医のひとりごと:2006/02/19」


医師も意見を発した1人です。

 上昌弘准教授
「自分たちの知り合いにどんどん転送して、
お知らせしていったんです。
その方たちが、また周囲に知らせる形にして、
医療者の中、あるいは周辺の人達の中で、
どんどん世論ができていって、そういう合意形成。
メディアの報道はおかしいんじゃないか。
今回の事件の取り扱いはおかしいんじゃないかとか、
という議論が盛り上がっていたわけなんです。

医師達は逮捕された産科医を救う署名活動を展開。
わずか一週間で6520名の署名が集まりました。

その声に押され、厚生労働省は、
医療関連死の事故調査委員会を組織するため
検討会を開きました。
メンバーは、医師、法学者、有識者、被害者家族で構成され、
外部からもインターネットで意見を募集しました。

 上昌弘准教授
「30万人弱、一般の医師達がどんどん声を
上げていった訳なんですね。
ITや情報流通システムが整備されてこなければ、
今回の運動はなかったと思うんです。」




 黒岩祐治
「メディアのあり方っていうものも、
この機会にじっくり考えたいと思うんですけど。
佐藤さん、その前に、この手術ですけどね。
前置胎盤だった、癒着胎盤だったと。
これ、どういう風な手術だったんですか?」

前置胎盤


 佐藤章教授
「絵をお見せして、説明したいと思います。
普通、胎盤っていうのは、こちら側(右側)にありますように。
子宮から赤ちゃんが出てくる所ではなくて、
子宮の上とか前壁とか、後壁とかにくっついているんですけど。
今回の患者さんの症例は、出口のところに
胎盤がくっついているわけです(前置胎盤)。

ですから、赤ちゃんはふさがれているわけですから、
どうしても帝王切開せざるをえない
という症例なんです。
だいたいこれが、妊娠している症例の0.5%位
という事ですから。
これ自体が珍しい。

癒着胎盤図1


更に、癒着胎盤も、図を使って説明しますと。
普通、子宮の中は、胃もそうですけど。
表面は粘膜というのがあります。
同じ様に、子宮の中も内膜というのがあります。
内膜が妊娠しますと、脱落膜と、これ名称なんですけど。
そういう名称に変わるんですけど。
元々は子宮内膜なんですけど、そこに受精卵がくっついて、
はがれないように、絨毛っていうんですけど。
これが、根っこを張るんですよ。
で、お産の時になると、脱落膜も剥がれて、
胎盤も出てくるという風になっているんですけども。

この脱落膜が、何らかの原因で欠損していたり、
ものすごく薄くなったりすると、胎盤の根を張るのが
直接筋層の中に入ってしまう。(癒着胎盤

だから、お産が終わってからも剥がれなくなっちゃう訳です

 黒岩
「はー、そうすると、ここにメスを入れて切る
って事になるわけですか?」

 佐藤
「いや、普通はですね、全部がくっついているっていうのは、
まずないですから。
一部ですから、手を使ったり、一部はメスを使ったり。
まあ、メスはあんまりないですけど。
クーパーで、ハサミの一種ですけど。
そぐようにしてはがす、という事がやられている訳です
。」

 黒岩
「基本的に、非常に珍しいケースであったという事。
そして非常に難しい症例であったという事。」

 佐藤
「そして付け加えますと、前置胎盤の症例で
癒着胎盤の症例というのは、前置胎盤のうちの
だいたい3%位しかないんです。
ですから、0.5%と3%をかけあわしますと、
おおざっぱに言うと、1万例に1例くらいしかない。
という事です。」

参照:You Tube 『医療報道の光と影〜大野病院妊婦事件1』

本家は、こちらでーす。
『医療福祉eチャンネル』



第一回は、癒着胎盤とか前置胎盤とか。
そういう医学的な専門用語の解説中心だったんですが。
この後が、本論になりますよー。

結構、書き起こしするの大変なんですけど。
気合いが乗れば、第二回、第三回も書いていきますね!

福島大野病院事件の判決が、8/20にあります。
検察側の人間からも、医師を逮捕、起訴したのはおかしい。
福島地検のスタンドプレーだ、という声も上がっていますし。
公判の内容が、詳細にネットで書かれており、
それを見ても医師が有罪になる。
という確率は非常に低いとは思いますが。

もし、医師が有罪になる事があれば、
その時には日本の医療は完全に崩壊するでしょうね
そうならない事を祈っています。


医者のホンネが知りたい人は、こちらから!
→ 『医者のホンネが丸わかり!(改)』

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あなたを診る医師がいなくなる!
このブログでも何回か取り上げている、
過労死した小児科医師、中原利郎先生
その小児科医師中原利郎先生過労死認定を支援する会が
主催して、6/28に東京でシンポジウムが行われますよ。

その名も。
「あなたを診る医師がいなくなる!」

興味のある人は、見に行ってね!


6月28日(土) 

東京医科歯科大学にてシンポジウム開催

あなたを診る医師がいなくなる!
〜過重労働の医師を病院は守れるのか〜
http://sky.geocities.jp/shyuju2008/sym062808.html

勤務医の労働環境を考える
シンポジウム実行委員会

(実行委員長:
松崎道男/松崎内科クリニック院長、
元虎の門病院輸血部長、医療安全対策室長)

日時: 2008年6月28日(土) 
     13時半〜16時20分(開場12時40分)
会場: 東京医科歯科大学講堂(5号館4階)
交通: JR中央線 総武線「御茶ノ水」駅(御茶ノ水橋口)、
     東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」駅(医科歯科口)すぐ

司会:田辺 功 氏/医療記者歴40年、
近著に『ドキュメント 医療危機』
進行役:塚田 真紀子 氏/著書に『研修医はなぜ死んだ?』、
     共著に『壊れゆく医師たち』


シンポジスト(五十音順)

●伊関 友伸 氏「地域の財産としての病院のあり方」
  /城西大経営学部准教授 医療経営アドバイザー、
  近著『まちの病院がなくなる』

●岩田 喜美枝 氏
  「過重労働の是正―女性医師が働き続けるために―」
  /資生堂副社長  元厚労省雇用均等・児童家庭局長

●前村 大成 氏「過重労働、管理者としてその後すべき対応」
  /元都立府中病院院長 
  医師の労働環境問題に取り組んだ経緯あり

●松村 理司 氏「“救急”を断らない病院を支えるもの」
  /洛和会音羽病院院長
  勤務医の過重労働軽減と病院の質向上に奮闘中


2人の医療ジャーナリストが司会・進行役を務めながら、
患者患者家族、医療関係者、医療系学生、
子育て中の母親たち、一般希望者と熱い議論を交わして
いく予定です。是非ともいらしてください。
そして、多くの方々に伝えてください。
このままでは、あなたを診る医師がいなくなってしまうことを。
そうならないように、どうしたらいいのかを。

対象: 患者患者家族 医療関係者 
    医療系学生 一般希望者(定員300名)
会費: 100円(資料代として)

主催: 小児科医師中原利郎先生の過労死認定を支援する会
共催: NPO法人医療制度研究会
    全国医師連盟
    『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会、
    県立柏原病院の小児科を守る会 
    I-Cube
後援: 構想日本


問い合わせ先:
   「小児科医師中原利郎先生の過労死認定を支援する会」

事務局〒104-0033 
   東京都中央区新川1-11-6中原ビル

TEL:090-6133-0090 FAX:03-3552-2888



    過労死事件の概要

平成11年8月16日 
       中原利郎、勤務先佼成病院の屋上から投身自殺(44歳)
平成13年9月17日 新宿労基署に遺族補償給付を申請
平成16年12月7日 東京地裁(行政部)労災不認定取消訴訟を提起
平成19年3月14日 原告勝訴判決!
平成19年3月28日 被告控訴せず→労災認定


1999年8月16日の朝、小児科医だった夫の中原利郎は
真新しい白衣に着替えて、
勤めていた病院の屋上から身を投げました。
享年44歳でした。
亡くなる6ヶ月前には、6人いた医師が3人に減ったこともあって、
月に8回当直し完全な休日は2日といったような
働き方をしていました。

管理職になって採算のことも考えねばならず、
精神的にも肉体的にも疲れきった様子でした。
夫は、「命を削りながら当直をしている」とか
「部長会議は、地獄のように辛い」とこぼしていました。

亡くなる2〜3ヶ月前には「病院に殺される」
と言うようにもなっていました。
そんな夫の働き方を、東京地裁は昨年3月、
過重労働であると認め、国に不支給決定を
取り消すよう命じる判決を言い渡しました。
国は控訴せず、勝訴が確定しました。

8年かけて国は、夫が小児科医師として激務であった
と認定したにもかかわらず、勤務先だった病院は、
夫の働きは過重労働ではなかったと未だに主張し続けています。

「月の当直が6回から8回になっても、
さほど生活全般に影響が出るほどの変化とはいえない勤務先」
などという論点で、「過労死」であったことさえ否定するのです。
この病院の認識は、現実からかけ離れているように思います。

病院は、過重労働の勤務医を守ってくれないのか”
夫が亡くなってからの9年間ずっと考えていたキーワードです。
小児科に限らず勤務医の働き方は、医師の犠牲的精神で
乗り越えられる限界を超えています。

深刻化する医師不足に、厚生労働省は、ようやく医師増員などの
医療確保ビジョン」を打ち出しましたが、
それだけで医療現場の危機を救うことはできるのでしょうか。
労災認定された労働実態を、病院が認識し改善する。
医師が人間らしく働ける労働環境をつくってほしい。
そんなメッセージを伝えるのが、
遺された私の役目だと思っています。

今回のシンポジウムで、疲れ切った医師
いのちを委ねたくない市民と、疲れ切ったまま
医療に従事したくない医師と、
疲れ切った医師を働かせ続けたくない
病院長と一緒に、あなたも考えてみませんか。

勤務医の職場環境改善のために病院にできること。
医療者の健康を守ることが医療安全につながること。
参加者全員で、「あなたを診る医師がいなくなる!」、
こんなタイトルのシンポジウムが
必要でなくなる社会を目指したいと思います。


『シンポジウム6.28』


実は、ここ1年で、私の同級生の医師が2人突然死しています。
2人とも、30代でした。
どっちも自殺ではないのですが。
1人は、当直中に冷たくなっていたようです。

詳細はわからないので、彼らが過労死かどうかは
私にはわかんないんですけど。
過労であれば、こういう突然死のリスクは
当然上がると思います。

人間の死亡率は100%ですから。
突然死それ自体を防ぐ事はできないんですが。
過労であれば、突然死のリスクは高くなるでしょうから。
そうであれば、それを改善すべきだと思いますよ。

医師の数が減ったら、最終的には
医者に診てもらう患者さんも困りますからね。

医師が過労でくたくたになった状態であれば、
患者さんに行う医療の質も落ちますから。
医者だって人間ですから、当たり前ですね。

そうならないように、みなさんは
コンビニ受診は控えてね!


救急車を呼ぶ時は、これを読んでから呼んでね!
→ 『3分でわかる救急車の上手な使い方』


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「点滴作り置き」、6/17までのまとめ
『点滴作り置きの問題、1』
『点滴作り置きの問題、2』
の続きです。

ちょっと本文が長くなりすぎて。
論点がわかりずらくなってしまったので。
谷本整形」の「点滴作り置き事件」に関して、
ちょっと整理してみましょうか。

ブログでの反響は、思ったほどでもなかったのですが。
某閉鎖空間でのコメントは、合計で100位まで
議論が進んでいるんですが。
なんか、別の方向に進みつつあるし(汗)

推測の部分が多かった、というのも反省点ですので。
どの部分がわかっている情報で、
どの部分が推測なのか、っていうこともはっきりさせて。
できるだけ、わかっている範囲で
物事を整理
していきましょう。


まずは、これまでの経過を時系列でまとめると。

谷本整形での点滴患者発症状況◆

5月23日 岡波総合病院(伊賀市)に3人入院

6月 2日 上野総合市民病院(同)に2人入院

   6日 岡波総合病院に1人入院

   9日 上野総合市民病院に6人、岡波総合病院に1人入院
      ▽Iさん(73)が谷本整形点滴治療受ける
      ▽上野総合市民病院内科医師が「医療事故の可能性」
       と伊賀保健所に通報。
  
  10日 伊賀保健所から県健康福祉部に連絡。
      ▽Iさんが自宅で死亡しているのを家族発見。
      ▽県が谷本整形に診療自粛を要請。
      ▽県警が谷本整形で事情聴取などを開始
      ▽県が事態を公表。

  11日 谷本広道院長が会見。
      点滴薬剤の作り置きがあったことなどを公表。
      県が谷本整形に立ち入り調査。

  12日 県警が谷本整形を家宅捜索。
      ▽谷本院長、2度目の会見。
      薬剤作り置きについて
      「以前はたくさんやっていた」と認める。

      上野総合市民病院の入院患者4人の血液から
      検出された菌はセラチア菌と判明。

  13日 患者が入院している伊賀市の岡波総合病院で、
      入院患者1人の血液からセラチア菌が検出。


参照: 『2008年6月14日:毎日新聞〔伊賀版〕』
    『2008年6月12日:時事通信』
    『2008年6月14日:産経新聞』


まあ、こんな感じですかね。

ちなみに、6月17日までに、患者の数は、

>17日までに、伊賀市の診療所「谷本整形」で
点滴を受けた患者29人が体調を崩し、
死亡1人、入院18人(うち4人は既に退院)、通院10人。


参照:『2008年6月17日:産経新聞』

という事です。


実は、最初は点滴の「直後」に、腹痛、嘔吐、発熱なんかの
症状がある、って事だったので。
細菌によるものではなくて、もしかしたら毒物かもしれないなー。
なんて思っていたんですよね、私。

マスコミ報道では「点滴作り置き」の話ばっかりで、
他の視点が抜けていたんだけど。
「違ったらどうするんだろー。」
って思って、眺めていました。

状況が変わったのは、6月12日ですね。
患者4人の血液からセラチア菌が検出されましたから。



三重県と県警などによると、
これまでの診療所への聞き取りなどで
点滴に使った鎮痛薬「ノイロトロピン」などのアンプル
 は調合済みのものが使われ、濃度や量を間違えた可能性は低い
▽人為的に毒物などを入れた形跡は
 現時点では見つかっていない
▽50人以上の患者点滴を受けているのに、
 発症者は60〜80歳代の体力の落ちた
 高齢者に集中−−などが判明。
点滴で細菌感染が起きたとの見方を強めた。


参照:『2008年6月11日:毎日新聞』


複数の看護師が点滴作り置きしたことを認めている。
さらに、市立上野総合市民病院や
岡波総合病院などに入院した患者の血液中から、
院内感染の原因菌として知られるセラチア菌が検出された。

発症した患者は、休診日翌日の月曜日や
前日午後が休診となる金曜日に集中しており、
調合した点滴液の中で、休日期間中に
菌が増殖したという見方が有力となっている。


参照:『2008年6月17日:産経新聞』

というのが、今日までの報道ですね。


人間の血液の中には、本来は細菌なんていないんです。
それが、同じ病院で同じ点滴をして、
同じ細菌(セラチア菌)が複数の患者から検出される。

(最終的には5人患者の血液からセラチア菌が検出。)

発症した患者は、休診日翌日の月曜日や
前日午後が休診となる金曜日に集中していているので、
調合した点滴の中で、休日期間中に菌が増殖した。
と考えると、全てつじつまが合いますから。

状況証拠からいったら、
谷本整形で行った点滴が原因の確率は非常に高い。
と、私は思います。

そういう方向で、警察も動いているみたいですね。


もう一週間経っていますから。
血液培養をして、一週間以上経っても、
それ以上の結果が出る事は、基本的にはありませんから。
これ以上、セラチア菌が検出される患者が増える、
っていう可能性は少ないと思います。

体調を崩した、っていう人の数は
もうちょっと増える可能性はありますが。
一週間経ってなんともなかったら、体調不良の原因が
谷本整形点滴のせいか、っていう事は言えないかと思います。



そいで、話は戻って。
確実にわかっている事実として。

問題となった点滴の内容は、
『点滴作り置きの問題、2』
にも書いたけど。

患者が共通して受けた治療は
 「生理食塩水」100ミリリットルに
 鎮痛薬「ノイロトロピン」3ミリリットルと
 ビタミン剤「メチコバール」1ミリリットルを
 混合した薬剤の点滴とみられる。


参照:『2008年6月11日:毎日新聞』

生理食塩水と、ノイロトロピンメチコバールです。

生理食塩水」というのは、0.9%食塩水。
ノイロトロピン」は、NSAIDsではない鎮痛薬の一種。
メチコバール」っていうのは、ビタミン剤で「しびれの薬」。

ノイロトロピン」も「メチコバール」も、
点滴の薬も飲み薬(内服薬)もあります。


そして、谷本整形点滴をした患者の数は。

>同医院で点滴治療を受ける患者は、1日100人以上。
点滴室では患者同士が向かい合って
数十センチ間隔で座り、多い時は
10人が同時に点滴を打っていた。


参照:『2008年6月12日:読売新聞』

というような記載があったので。
「メチコバール+ノイロトロピン+生理食塩水」
点滴を打っている人が1日に100人いるのか、
別の点滴も含めて100人なのか。
あまりよくわからないまま、
前回は記事を書いていたんですけど。

他の報道を良く見てみると。

作り置きをしていたのは、今回症状が出ている鎮痛薬
「ノイロトロピン」と、ビタミン剤の「メチコバール」
を生理食塩水に混合して使うセットの
点滴だけだったことがわかった。

谷本整形では1日約100人分の点滴を使用しており、
今回症状が出た組み合わせの割合は、
全体の半分以下とみられる。


参照:『2008年6月12日:朝日新聞』


谷本整形点滴薬剤の調合内容を変更した
5月9日から6月9日までに同じ点滴を受けたのは
延べ667人と判明。
実数は300〜400人とみられ、県は同様の症状が
出ていないか確認を急いでいる。


参照:『2008年6月12日:毎日新聞』

と、きちんと書いてありましたね。
すいません。

「メチコバール+ノイロトロピン+生理食塩水」
点滴をした患者の数は。
一ヶ月で667人ですから。
平日22日として667人を22日で割ると、
1日平均で30人くらいでしょうか。
まあ、休日明けの月曜日とか、そういう日は
もっと人数も増えるのでしょうけどね。

点滴する患者100人位いて。
そのうちの30人かそこらは、問題の点滴だった。
という事でした。

そこらへんは、もうちょっときちんと調べて、
ちゃんと把握してから記事を書くべきだったかな、
とは思います。


外来患者の数に関しては、谷本院長の会見と、
元看護師からの証言しかないのですが。

>捜索後に谷本広道院長が報道陣の質問に応じ、
「1日約350人の患者が訪れ、
(診療所の様子は)野戦病院状態。
院内感染が発症する率は高かった」


参照:『2008年6月13日:日経新聞』

>当時(8年前)も1日平均約300人の患者が来院しており、

参照:『2008年6月13日:読売新聞』

>当時(1994年)も1日約300人の患者が来ており、

参照:『2008年6月17日:毎日新聞』

という事ですから。
外来の患者数は1日に300〜350人程度
という事は言えるかと思います。


谷本整形で働いている医師と看護師の数は。

>同診療所では、谷本広道院長(57)と
8人の看護師などが勤務。


参照:『2008年6月17日:産経新聞』

という事なので。
医師1人、看護師8人ですね。


点滴作り置き」と、清潔操作に問題があった。
っていう事に関しては、三重県が立ち入り調査をして、
その結果を発表しています。

>三重県は6月12日、診療所で点滴治療を受けた
患者たちが腹痛などの症状を訴え、
1人が死亡した問題で「谷本整形」(谷本広道院長)への
立ち入り調査の結果を発表した。

 ▽看護師が点滴薬剤の調合を複数の場所で行っていた
 ▽調合後の薬剤を事務机の上で保管していた
 ▽手指の消毒も不十分だった、
などと指摘。
清潔保持に問題があり、院内感染の疑いが
濃厚になったと説明した。


参照:『2008年6月12日:毎日新聞』


>県によると、複数の看護師が調合を担当していたが、
手の清潔が保てない設備上の問題があった。
手洗いに、使い捨ての紙タオルでなく
布タオルを使っていた。
日々の調合数やその日に使わずに残した数など、
点滴の使用状況については作業記録が作られていなかった。

6月11日に谷本整形に帳簿の提出を求めたが、
備えるべき帳簿が作られていなかったり、
手順書に基づかない業務実態があったりしたという。


参照:『2008年6月12日:朝日新聞』


>医療法で義務付けられた
「院内感染対策の指針」が作成されない。

>県によると、複数の看護師が、患者らの出入りする
「中待合室」や点滴室の事務机で点滴液を調合。
その後、点滴液のボトル容器をふたのない紙箱に入れ、
そのまま事務机の上に放置していた。
手洗い用の布製のタオルも看護師らが使い回すなど
雑菌が繁殖しやすい状態だったという。


参照:『2008年6月13日:日経新聞』


という事ですね。
三重県の立ち入り調査の報告を元に報道されていますから。
これも、事実と言って良いと思われます。


前の記事に、
>以前に同様の事があったにもかかわらず、
反省もせずに繰り返したんですから。


と、私は書いてしまったのですが。

>同医院の谷本広道院長が12日、記者会見し、
約2年前まで、看護師による点滴液の作り置き
院長自身が知りながら、
常態的に行われていたことを認めた。

「以前はそういうこと(作り置き)をたくさんやっていたが、
今回のような大きな事件にはならなかった」と述べた。

2年前、点滴治療を受けた2人の患者
気分が悪くなったのを機に、
「『そういうことをするな』と(看護師に)
言ったつもりだったが、徹底されていなかった」
と語った。

また、昨年10月、同医院での点滴後に死亡した男性(85)
について、谷本院長は「事実関係がはっきりしておらず
答えようがないが、点滴によって死亡したということはない」
点滴との因果関係を否定した。


参照:『2008年6月13日:読売新聞』


>さらに2年前にも、点滴で不調を訴えたケースが2例あったが、
保健所には届け出なかったことも明らかにした。


参照:『2008年6月11日:産経新聞』

という事ですから。
昨年10月の死亡例に関しては、
点滴との因果関係は不明


2年前にも、点滴で不調を訴えたケースが2例あったけど、
これに関しても、セラチア菌が検出された、
って訳ではないですから。
厳密に言うと、「点滴作り置き」が原因。
とまでは言えないかな
、とは思います。


それと、補足情報ですが。
谷本整形周辺の情報です。

『点滴作り置きの問題、2』
のコメント欄に、りん先生から情報をいただきました。

谷本整形の周辺は、医療機関が少なく、
院長がTVで言っていたように
野戦病院のようだったんだろうと思います。

擁護する気はありませんが、1日300人の患者のうち、
半数150人がリハ、さらに半数の75人が
点滴・注射、残りが再診と考えると、
一人医師ではかなり大変な状況だっただろうと推測できます。


という事だそうです。



ここまでをまとめると。

手洗いに、使い捨ての紙タオルでなく布タオルを使っていた。
 ▽手指の消毒も不十分だった、
 ▽看護師が点滴薬剤の調合を複数の場所で行っていた
 ▽調合後の薬剤を事務机の上(常温)で保管していた
日々の調合数やその日に使わずに残した数など、
点滴の使用状況については作業記録が作られていなかった。
医療法で義務付けられた、
「院内感染対策の指針」が作成されていない。


と、清潔操作と点滴の管理に関して、かなりずさんな状況です。
これに関しては、経営者、管理者である谷本院長
使い捨てのペーパータオルを購入するとか。
「院内感染対策の指針」を作るとか。
管理者の責任があると思います。


そして、点滴をする患者の数と、医療従事者の数。

点滴する患者が1日に100人位いて。
そのうちの30人かそこらは、
「メチコバール+ノイロトロピン+生理食塩水」の点滴

そして、医師は1人で、看護師は8人です。

周辺に医療機関が少ないそうですから。
患者の数が多くなるのはしょうがないのかもしれません。
それに、1日100人位、点滴をする患者がいても、
全員点滴が必要な患者なのかもしれません。

それに関しては、個別の患者の検証ができないので。
今は触れないでおいておくとして。

点滴患者が1日に100人。
外来の患者数が1日に300〜350人。


これを、医師1人、看護師8人ですから。
明らかに、医療従事者の数が足りないんじゃないですかね。


地域の事情があるから、外来に来る患者の数とか、
点滴をする患者の数が多くなる事は仕方ないかもしれないけど。
「医師+看護師」の診療所の能力を超えて、
患者を受け入れてしまった。

という事は問題があると思います。

患者の数が多くて、点滴する看護師の数が少なくて
手が回らない、という事であれば、
看護師の数を増やす。

これは、経営者の責任になると思います。

もしくは、週に3回点滴をしに来ている人に、
週1回にしてもらうとか。
点滴ではなくて、飲み薬にするとか。

点滴をする患者の数を自分たちの能力の範囲内まで減らす
っていう事は必要だったと思います。

これをやらなかった責任は、やはり谷本院長にある。
と言っても良いかと思います。


点滴をする看護師の数が少なかったから、
手が回らなくて、「点滴作り置き」をした。
その背景として、看護師の数が足りなかった
という事があるので。
それに対応しなかった、管理者、谷本院長には
責任がある
と思います。

点滴をする患者の数が100人でも、
点滴ばっかりする看護師を、あと5人雇って。
清潔操作できちんとやっていたのであれば、
全く問題はなかったと思います。


今の時代、医師だけでなくて、看護師も不足していますから。
看護師をあと5人雇う、っていうのは
現実問題としては、厳しい面もあるのでしょうけどね。
地域の事情もあるようですし。


1,安全、衛生管理を怠った。
2,医師、看護師の能力以上の患者を受け入れてしまった。


この2点のせいで、不潔な状態で点滴が作られ
点滴作り置き」をせざるを得なかったので、
このような結果になってしまったんです。

少なくともこの2点に関しては、
今ある情報から間違いない事ですから。
医師の立場からこそ」、この点に関しては、
谷本院長は駄目だ
という声はあげていくべきだと思います。

ただ、単にこの医師個人を非難するだけでは、
何の解決にもなりませんから。

この点滴の内容が本当に必要だったのか。
とか、そういう医学的な話は、
もちろん医師の中ではどんどん議論すべき事だし。

それに加えて、患者を多く受け入れた原因となった
診療報酬の話とか、安全にお金をかけても、
目先のメリットはない
、とか。
そういう、もっと根本的話も、
どんどん議論していくべきだと思います。

でも、いっぺんに書いてしまうと、
また訳がわからなくなるので。
今回は、触れないでおいておきましょうかね。


それと、谷本整形が特殊なだけで、
他の開業医や医者が全部そうだ。
って事にはなりませんからね。
そこら辺は、勘違いしないでくださいね!


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