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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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1日1病院、お産中止(休止)
福島大野病院で、産科医が不当逮捕された事件以来、
日本では「お産」が出来る病院が、劇的に減少しています。

中間管理職先生のブログ、「勤務医 開業つれづれ日記」、
『【産科 休止一覧 7】 日本全国 今後の崩壊予定』
によると、平成18年から平成20年01月20日の時点までで、
日本全国で220の病院でお産中止、制限されているようですが。
(手で数えたので、間違っていたらごめんなさい)

今年に入ってから、更にそのペースが加速しているようですね。

なんと、ほぼ1日に1件のペースで、
お産ができる病院(医療機関)が減っているようですよ。



77カ所でお産中止や制限 
24都府県、医師不足が主因

全国の産科医療機関のうち24都府県の
77カ所で今年1月以降、お産を休止したり、
お産取り扱い件数を制限したりすることを
決めたことが25日、厚生労働省の緊急調査で分かった。

開業医の高齢化や、勤務医の異動、
退職に伴う人手不足が主な原因という。

厚労省はこのうち福島、群馬、長野、静岡、沖縄の
5県にある計7カ所について
「それぞれの地域でのお産継続は困難」と判断、
近隣の大学病院などから緊急の医師派遣を検討している。

身近な「お産の場」が深刻な危機に直面している
実態があらためて浮き彫りになった。

厚労省はこの調査結果を同日、厚労、文部科学、総務の
3省による「地域医療に関する関係省庁連絡会議」に報告。

厚労省は1月24日、各都道府県に対し、
1月以降にお産休止や制限を実施したり、
計画したりしている医療機関を報告するよう指示。
3月24日までの報告を集計した。


参照:『中日新聞:2008年3月25日』


勤務医 開業つれづれ日記のデーターは、
一部に2008年4月からお産中止(制限)っていう
病院も入っていますから。

実際は、もうちょっと少ないのかもしれませんが。
だいたい、2年で220のペースですよ。
お産中止、もしくは制限された病院のペースは。


今回明らかになったのは、

>77カ所で今年1月以降、お産を休止したり、
 お産取り扱い件数を制限


って事ですから。
3ヶ月弱で、77カ所です。

1月は31日。
2月は29日。
3月24日までの統計ですから。

84日ですね。

84日77件って。
ほぼ1日に1件ペースですよ。
お産中止もしくは制限された病院医療機関)。

これ、ものすごいペースですよー。


2006.2.18に福島の大野病院で、
産科医が困難な症例に立ち向かって患者を救えなかった。
って事だけで、逮捕された事件以降。
日本全国で産科医が1人の病院では、
どんどんお産ができなくなっていましたから。

平成18年(2006年)からの2年っていうのは、
それ以前と比べて相当早いペースで、
お産ができる病院が減っていましたけど。

それでも、2年で220件です。
お産中止、もしくは休止、制限された病院は。

ちなみに、それ以前のデーターを比べてみると、


分娩施設数及び出生数

年度  総施設数  病院数  診療所数   出生数
1996   3991   1720   2271   1206555
1999   3697   1625   2072   1177669
2002   3306   1503   1803   1153855
2005   2933   1321   1612   1114643


前回調査比減少数

年度  総施設数  病院数  診療所数   出生数
1999    294    95   199     28886
2000    391   122   269     23814
2005    373   182   191     39221


参照:「新小児科医のつぶやき」、
『厚労官僚の超強力電波』
より、
『第27回社会保障審議会医療保険部会の配布資料』


お産ができなくなった医療機関

1996-1999年
病院 :     約30件/年
病院、診療所: 約100/年

1999-2002年
病院 :     約40件/年
病院、診療所: 約130/年

2002-2005年
病院 :     約60件/年
病院、診療所: 約120/年


と、年々増えている傾向にあるのがわかります。

2006-2007年
病院 : 110件/年

ですから、その前の3年と比べると、約2倍
10年前と比べると、約4倍のペースですか。

まあ、制限っていうのが、何件あるかわかんないし。
ここ2年に関しては、診療所はわかんないんで。
単純に比較はできないのかもしれませんがね。


そいで、2008年の3月途中までの経過では。

病院、診療所: 300件/年

くらいですからね。
今までのペースだと。

どんだけ、多いんじゃー。

病院だけ、っていうのはわかりませんけど。

これ、その前までの年の約3倍ペースですね。
すごいわ、やっぱ。

昨年まででも、お産ができる病院
崩壊ペースは、それ以前の約2-4倍です。

それを、大幅に上回るペースで、
お産ができる病院(診療所)が減っています。


医療崩壊が最も進んでいるのは、産科、小児科、救急だ、
って事は何回も書いていますけど。
これは、思っていた以上のペースですねー。
かなりの衝撃です。


どっかの新聞記事で、お産ができる病院、診療所
日本で約3000件
って書いてありましたけど。

なんか、大昔のデーターになっちゃいましたね。
多分、今だと2500位だと思いますけど。
2年後くらいには、2000件くらいになるでしょうねー。
このペースで、産科崩壊が続けば。



そいで、この結果を踏まえて、
厚労省が産科医不足の7医療機関に緊急派遣
しようとしているみたいなんですが。

なんか、すごい事になりそうな気配ですねー。

これも、Yosyan先生のブログからの情報なんですが、
→ 『舞台裏』


厚生労働省は3月25日、「産科医療機関調査」の
結果を踏まえ、今年1月以降、分娩の休止・制限が
実施または予定されている7医療機関に対して、
産科医の派遣などを実施したり、
何らかの対策を講じることを明らかにした。
 
対象となるのは、以下の7施設で、
地元大学のほか、防衛省などからの派遣を予定している。

【対応した医療機関】

●福島県:県立南会津病院
 4月から近隣医療機関の協力で妊婦健診を継続
 さらに防衛省と愛育病院より後期研修医の派遣を実施予定


参照:『m3.com:医療維新』

防衛省などからの派遣って記事には書いてありますが。
要は、防衛医科大学の医師産科医)を派遣する。
って事ですよ。

埼玉県っていうのは、産科医の1人当たりの出産取り扱い数が、
ダントツで日本で一番多い県
です。
『厚労官僚の超強力電波』
にも書いてありますが。

産科医には、一人あたりの年間適正分娩数というのがあって。
これは、一年で120件って言われています。
これが150件を越えると明らかな過剰労働になるんですが。

なんと、埼玉県の場合。
医師1人当たりの出産数が、338件

これ、適正分娩数の約3倍
過剰労働って言われている150件と比べても、
2倍も多いんですよ。

全国2位の千葉県で、221件ですから。
いかに多いかがわかると思います。

しかーも。
これ、2005.12.1のデーターですから。
そこから、2年半も経っていますからね。
産科医の数も、当然減っていますから。
おそらく、もっと大変な事になっていると思います。


埼玉県でも、防衛医大だけものすごいたくさん、
産科医の数がいるのか、っていうと。

現在、防衛医大教授を含んでも、スタッフ4人!!
専門研修医官4人だけ。
だから600弱の分娩と550件の手術を
まかないきれなくって大学院生まで動員して
なんとかしている状況だそうですよ。

防衛医大っていっても、要はただの大学病院だから。
他の大学病院と同じ様に、医師不足に悩んでいるんですよ。

そこから、国の緊急医師派遣
っていう点数稼ぎの為だけに。
無理矢理、防衛医大から他の病院産科医を送って。
その結果、
日常業務に支障が出るようなら診療制限を行なう。
って。

防衛医大でのお産を制限したら。
ただでさえ、日本一1人当たりの出産件数の多い、
他の埼玉県の産科医の先生に迷惑かけて、
もっとお産をとってもらう、って事っすからね。

それ、やっぱおかしいんじゃないですかねー。


Yosyan先生が言っているように、
タコが自分の足を食う」って言われる事あると思いますけど。
今回の場合は、それ以下っすね。
餓死寸前のタコが他の腹ペコのタコに
「自分の足を食わせる」
状況と言っても良いと思いますよ。


しかも、正規の命令じゃないから、
自主的に行ったって形になるそうだから。
めちゃくちゃ忙しい中に半強制的に放り出されて、
何か医療事故があったら、自己責任
逮捕だー、って事になりかねませんよ。

なにせ、福島には大野病院産科医の先生を逮捕した、
福島県警がありますから。


医者のホンネが知りたい人は、こちらから!
→ 『医者のホンネが丸わかり!(改)』

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医療破壊に抗議する
医療破壊」って言葉を、私以外の人も
使っているのを発見しましたよ!

医療崩壊という言葉が最近マスコミなんかでも、
よく出ていますけど。
日本の医療崩壊しかけている最も大きな原因は、
医師不足医療費不足のせい。
そしてそれは、医師数抑制政策医療費削減政策
という政策のせいなので。
医療崩壊」というよりは、「医療破壊」だ。
っていう話は、このブログでも以前からしていますけど。

医療破壊」という言葉が、ネット上だけでなく、
立派な誌面にも載りましたよ!

医療生協だより」っていう、
約6000人に配布されるものです。

書かれたのは、みなみうら生協診療所
元岡和彦先生です。



(題名)医療破壊に抗議する!

最近でこそ、「医療崩壊」という言葉が
少しは一般的になってきたかと思いますが、
日本の医療崩壊しつつあるのではなく
破壊されつつあるのです。

2年前、福島県の、とても優秀で
献身的で患者さんにやさしい先生が
不当逮捕されました。
平成の治安維持法が、昭和の時代よりも
ひどく国会を通さずに始まりました。


ある妊婦さんの御主人の発言です。

「逮捕当日入院していた妻も驚いています。
逮捕される前日にも回診に来てくださり
優しい言葉を掛けてくださいました。

先生は、患者にも優しく昼夜、
休日も出勤され患者のために
一生懸命に仕事をされていました。
切迫流産だった妻も先生のおかげで
安心して入院しておりました。

しかし今回の逮捕で病院から
転院してくれと言われました。
残念でなりません。
先生の1日も早い復帰を願っています。」


大阪保険医協会理事会の抗議声明の抜粋です。

「福島県立大野病院の産婦人科医師の逮捕に抗議する

まず、はじめに今回の産科手術で
亡くなられた患者さま並びに
ご遺族の方々には心からお悔やみ申し上げます。

平成18年2月18日に福島県立大野病院の
産婦人科医師が業務上過失致死と
医師法違反容疑で逮捕されました。

我々大阪府保険医協会は、検察および
福島県警の不当逮捕に強く抗議するとともに、
直ちに産婦人科医師を釈放することを求めます。

大阪府保険医協会では30年前より
産婦人科医療の問題点を列挙し、
社会保障を充実させるべき責任を負っている
政府が早急に改善すべきであると指摘してきました。

地域医療を担ってきた医師個人の
崇高な精神に甘え、産科医療を軽視した福島県、
また行政改革の名で推し進められている
政府の財政優先の国民医療軽視政策が
招いた不幸な結果であると考えています。

 
今回の逮捕は、既に我々大阪府保険医協会や
医師会、日本産婦人科学会、産婦人科医会、
周産期医療崩壊をくい止める会など
全国の多くの医師団体からの抗議声明で
指摘されたごとく、現代医科学の
学問的水準においても日本の産科医療水準においても
不当なものであり、多くの関係有識者が
疑問を表明しているとおり極めて不透明なものです。」

キーワードは「医科学の学問的水準」です。
「科学的根拠」と言ってもいいでしょう。


それから2年。
4月からは「平成の姥捨て山」と言われる
後期高齢者制度が始まろうとしています。
インターネットを見ればわかると思いますが、
ほとんどの医師が反対しています。
思想・信条・支持政党に関係無くです。

皆さん。皆さんは本当に
医療が必要だと思っていますか?
日本の医療を破壊しようとする攻撃に
本当に反対しますか?

そのためには政府に抗議することも
もちろん大事ですが、それだけではだめなんです。
この国のあり方を考え直す、
建て直すことが必要なんです。

皆さんひとりひとりの考え方と行動も含めて。
この国が医療にどれだけお金をかけるか、
そのためにこの国のかたちをどうするか、
医療を国民が理解するために
どういう教育が必要か...。

医療生活協同組合には
「この国の医療のかたちを変える」
可能性があると信じています。

医療生協は患者の「自己決定権」を尊重します。
 
この国の医療をどうするか、
皆さんがよく考えて決定してください。

私は私で、この国のかたちがどうなろうと、
自分が最もよかれと思う医療を実践していきます。


北多摩中央医療生活協同組合 
医療生協だより No.128 2008年3月
(組合員数約6000人)




私が言いたい事はだいたい書いていますから。
あんまり、コメントする事はないのですが。

医療破壊」という言葉が、世間でももっと
広く使われると良いですね。



そいで、「医療崩壊」っていう言葉が、
実際に新聞でどのくらい使われているのか。
って事を、m3.com橋本佳子さんが調べてくれましたので。
そこから抜粋しますね。

日経テレコン21という会員制の情報サービスで、
2006年と、2007年に医療系のキーワード
どのくらい使われたのか、って事を検索しています。

    
            2007年  2006年 

医療崩壊↑      120件    20件 
医師不足↑     2899件  1382件 
たらい回し+救急↑  88件   23件 
医療事故↓      1182件  1303件 
医療過誤↓       357件  460件  



日経テレコン21で、日経、朝日、読売、毎日の4紙
これらのキーワードで検索したところ、
ヒットした件数は上記の通りになりました。
(2007年は12月28日までのデータです)。

医療崩壊」っていう言葉は、2006年と比べて、
2007年では20件から120件になっていますから。
約6倍ですか。

2007年の秋以降から2008年には、
もっとたくさん出ている印象がありますね。

それ以外でも「医師不足」って言葉も増えています。

逆に、「医療事故」、「医療過誤」という言葉が
使われる頻度は減っていますね。

これも、私の印象と同様です。

たらい回し」っていう言葉は増えているようですが。
多分、2007年の秋以降は、大手の新聞では、
少なくとも見出しに載ることはほぼなくなったようなので。

橋本さんに、2007年の秋までと、それ以降で
具体的に「たらい回し」という言葉がどうなっているか
調べていただくよう、お願いのメールを送ったところ。
快く了解していただきました。


マスコミ、特に新聞は、
日本の医療崩壊しかけているのは、
病院や医師だけの問題ではない。
むしろ、政策のせいだ。

っていう事を、少しずつですけど理解している人も
いるようなので。

もっと、どんどんこういう記事を書いて貰いたいですねー。

それと、やっぱり「政策」のせいで、
日本の医療崩壊に向かっているので。
医療崩壊」ではなく、「医療破壊
っていう言葉も、是非使って貰いたいものです。


最近はこのブログでも、患者側の問題とか。
患者に対する医師の数が日本は少ないから。
軽症の患者は、アクセスを制限した方が良い。
っていう話も多いのですが。

OECD平均とかと比べても、人口当たりの医師
少ないですからね、日本は。

患者当たりの医師も少ないけど、
医師の絶対数も少ないわけで。

やっぱり、一番の問題は、医師不足医療費不足
だからやっぱり医師数削減政策
医療費削減政策を変更してもらいたいです。

選挙対策とかじゃなくてね。


医療崩壊」の本も、まだ読んでない人はどうぞ!
→ 医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
小松 秀樹 (著)


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小児救急電話相談事業
小児救急電話相談事業」っていうのが、
2004年から行われているようですね。

医療崩壊の原因として、医師不足医療費不足がある。
という事は、何度も書いていますが。
医師不足というのは、OECD平均と比べて、
日本では絶対的に医師の数が少ない
という意味もあるのですが。
患者1人当たりの医師数が少ない
という問題もあります。

この問題を解決するのには、医師の数を増やす
っていう方法と、患者の数を減らす、っていう方法の
2種類があります。

後期高齢者医療制度という制度を作って、
年齢でアクセスを制限する
っていうのが今の政府のやり方ですが、
私はこれには反対です。

しかし、何らかの方法で、アクセスを制限しないと、
日本の医療がもたない事は、ほぼ間違いないので。
それであれば、軽症患者のアクセスを制限する
っていう方法が良い、と個人的には思っています。


それ以外に、医療崩壊の原因として医師の過労
っていうのがあるんですが。
夜中や休日に軽症の患者が来る、っていうのが
医師の過労の大きな原因になっています。


夜間や時間外に来る患者の半分くらいが
子供
なんですよね、だいたい。
親が心配だ、とかそんな理由が多いです。
また、「子供は医療費無料」っていう
地方自治体も多いですから。
その影響もあるのかもしれませんね。

時間外に病院に来る理由は「心配だから
っていうのが多いですから。
不安を解消するだけなら、わざわざ病院に来なくても
電話でもある程度対応は可能
って事で始められた制度が
児救急電話相談事業」なんだと思います。

北海道ではすでに「小児救急電話相談事業」を
やっているようなので、
北海道新聞から記事を引用しますね。


北海道の小児救急電話相談 
06年度受付件数5%増 
4割以上が助言で解決

夜間、看護師らが電話で子供の急病や
けがの相談に応じる道の「小児救急電話相談」の
二○○六年度の受付件数がまとまった。

計二千七百六十一件で前年度比5%増。
開設日には、一日十数件の相談が舞い込む勘定だ。
相談内容を見ると、症状が軽いケースが多く、
四割以上が電話での助言で済んだという。

道保健福祉部は「救急病院に連れて行くと、
かえって子供を疲弊させる場合もある。
受診前にぜひ相談して」と呼びかけている。

電話相談は○四年十二月下旬にスタート。
受付時間は月曜−金曜の午後七時から十一時で、
年間二百五十日弱の開設。
小児科の勤務経験が五年以上ある
ベテラン看護師九人が交代で札幌市内で応じ、
必要な場合は小児科医の電話に転送する。
受付件数は○四年度は三カ月余で九百五十七件、
○五年度は計二千六百三十三件だった。

○六年度の相談内容を見ると
「発熱」が29%と最も多く、
「外傷、やけど」(12%)、
「嘔吐(おうと)」(10%)と続く。
また、看護師の助言で解決したものが43%、
様子に変化があれば受診するよう指導したケースが18%、
翌日の受診を指導したものが14%。

医師への転送は1%で、救急車を呼ぶよう
指導したケースは二件だった。
子供の年齢は三歳未満が65%。
地域別では札幌市内が57%を占めた。
相談員の一人は「育児に不慣れな母親からの
相談が多く、『水分を取って安静に』
などというアドバイスで不安を解消してあげることができた」
としている。

利用者からは休日にも相談に応じてほしい
という要望が寄せられているが、
道は「現段階では具体的な検討はしていない」としている。
電話はプッシュ回線や携帯電話からは
「#8000」。それ以外は
(電)011・232・1599。
通話料は自己負担となる。

(北海道新聞:2007/05/15)



具体的に、どんな事やっているのか、
私にはよくわかんないので。
実際に北海道で小児救急電話相談事業
相談員をやっているノア先生のブログとコメントから
引用させてもらいますね。


昨年から北海道の小児救急電話相談事業
相談員をやっています。
もともと小児科医だったのに、進路変更をして、
急性期の小児医療から離れてしまった
後ろめたさも少しあったため、
この話しがあったときにすぐに引き受けました。

現在月に1回程度当番が回ってきます。
まだまだ認知度がいまひとつで、一日10件程度の相談。
ほとんどが看護師さんの対応で解決ができ、
医師まで回ってくるのは全体の1%とのことです。

確かに1回も電話が鳴らない日もあります。
土日祝日もできたらいいのですが、
予算か人員的な問題かでその話しは進んでいないようです。

医師は携帯電話を持って待機していればよいのですが、
看護師さんは実際に出勤して、
夜中帰宅となりますので、
負担はかなり重いのではないかと思っています。

しかも5名くらいでまわしています。
これは大変なことです。
この事業については意味がないという意見も多いのですが、
実際相談に当たっていると夜間の受け入れ先がなく
困っている母親の切実な声も聞こえています。

住所を聞いて、その地区の救急担当の病院に電話し、
小児科の先生に直接病状をお話しし、
受け入れていただいたことも何回かありました。
40%は電話相談のみで済んでいるというデータもあり、
今後もっとこの事業が認知されるようになれば
無駄な夜間の受診は減るのかもしれません
(確信犯的な患者さんはどうしようもないですが)。
私はもう少しこの事業の当番をやってみようと思っています。


『小児救急電話相談事業』


そして、これが某所でのノア先生のコメントです。

お金は1回約13000円でした。
県によっては直接医師が対応する所もあるそうです。
土日もやっているところもあるそうです。
件数が少ないので、夜間のコンビニ受診の
抑止効果はないと思います。

全道で一日10件ですから…。
どこまで普及するのか今後が課題でしょうが、
普及するのかあ?という印象です。

親からみれば不安解消にはいいかもしれないのですが。
問題点をあげるとすれば

・電話での対応でどこまでちゃんとした対応ができるか
 (相談される側としても防衛的な意味もあり
 心配であれば受診を勧めざるを得ない)

・救急を担当している医師からしてみれば
 これくらいの件数では夜間の救急が減る
 などという印象はないはず

・やる医師、看護師が少なく、
 土日までは枠を広げることが難しい

・認知がこれ以上進まないかもしれない

・コンビニ受診する人は確信犯だから
 コンビニ抑止力にはならないかも

・予算はかなりかかっているだろう。
 費用対効果でいえばどうなのか

・何か事故があったときは道が責任を持つことには
 なっていますが、ちょっと不安はある。
 道庁からは携帯電話とともにICレコーダーも送られてきて、
 なるべく会話の内容を録音するように指導されています。

・ナース対応が主体で医師は電話を持ち歩くだけでも
 それなりにストレスはあるので、
 医師版テレワークシステムはかなりの負担になる。

子育て休業中の小児科医っていっても、
子育てもかなり大変ですからね。
私ならやらない。
風呂やトイレもゆっくり入れないです。
果たして根付くのか。
自分でやっていて言うのもなんなのですが。



という事だそうです。
まあ、たしかに言っている事は、おっしゃる通りですよね。

今の所、数も非常に少ないですから。
このおかげで、時間外に病院に来た子供が減った、
っていう程ではないのかもしれませんね。


ただ、個人的には。

・コンビニ受診する人は確信犯だから
 コンビニ抑止力にはならないかも


まあ、たしかに確信犯もいるんでしょうけど。
どっちかというと、核家族化が進んで。
親が子供に何かあっても、どうして良いかわからない。
だから、とりあえず病院に来た。

っていう人が多いんじゃないかな、って思います。

コンビニ受診っていうのは、
軽症なのにコンビニのように時間外に病院に来る
っていう事だとは思うのですけど。

親が子供を病院に連れてくる場合は、
「軽症かどうかわからないから、心配で来た。」
っていう人が多いような気がするので。

そうなのであれば、ベテランの看護師や
医師が電話で相談に乗る事で、コンビニ受診を
減らす事ができるのではないか
、って思います。



それと、もう一つ。
北海道以外の例を見てみましょう。
こっちは、小児救急の電話相談を
育児休業中の医師が応対する
っていう記事ですね。

こちらは、河北新報から。



小児救急の電話相談 
育児休業中の医師が応対 総務省実験

診療態勢を改善/職場復帰も支援


総務省は1日、出産や育児で休業中の
産科・小児科医が自宅で「小児救急電話」の
相談に応じる医師版テレワークの実証実験に
乗り出す方針を明らかにした。

実現すれば、医療現場の負担が軽減されるとともに、
小児科医の不足で満足な診療を
受けられない状況を改善できる。
今夏にも実験を開始し、2010年度の実用化を目指す。

全国42の都道府県で現在、
運営されている小児救急電話は、
平日の夜間や休日に子どもの急な発熱などで
不安を覚えた親が「#8000」をダイヤルすれば、
病院などにつながる仕組み。

ただ、医師や看護士が業務に忙殺されており、
「電話がつながりにくく、十分に機能しているとは言いがたい」
(同省情報通信政策局)のが実情だ。

実証実験では、小児救急電話の回線と
休業中の医師宅を結び、医師が症状を聞いて
診察が必要と判断した場合は、
緊急で病院に取り次ぐ。
また、相談内容を記した文書を
パソコンで病院に送信することもできる。

一方、医師が育児期間中に
最新の論文などを閲覧できるように、
自宅のパソコンから大学のデータベースに
アクセスできる環境も整備する。

産科・小児科は、他の診療科に比べて
女性医師の比率が高い。
「育児休暇が取りづらい」「長期休業で勘が失われる」
などの理由で、出産を機に退職するケースが多いため、
医師不足が深刻だ。

医師版テレワークには、休業中でも
医療現場や最新情報に接する機会を設けることで、
育児が終わった女性医師の職場復帰を
後押しする側面もある。

河北新報 2008年2月2日



これに関しては、某所で
youraisemeup先生が発言されていますので。
許可をいただいて、引用させて頂きました。

私は、電話相談に未協力です。
昼間に自分の診療所にかかってくる電話の対応だけで、
十分むなしいし、危ない。

「あの時電話で、様子見ていていいっていわれたのに」
っていうケースが出てくるから、実際診察せずに
「受診は不要」と言えることの方が少ないし。
(なお、お母さん用語で「様子見ていた」は、
「ほっといた」に限りなく近いです)

あと、自宅にいたって、育児とか介護とかあったら、
ほかに誰かいないと、無理ですよ。
「すみません、うちの子が泣いてるので、
少々お待ち下さいね」なんていうのでは、
仕事にはなりません。

鼻水で夜中の3時に連れてくる保護者のことを考えたら、
必要な業務であるとは思うんです。
でも、従事する医師の環境整備・いざという時の保護、
あたりがきちんとしないうちに、こんなこというのは、
人気取りとしか思えない。

コンビニ利用を抑えようにも、
確信犯は電話相談なんかせずに、直接病院に行くだろうし。

>もし、本気でやるなら法的にアクセス制限をかけて、
病院や開業医にかかるためには、
電話相談を通さなければならないこととする
医師による電話トリアージ)、くらいの
思い切った措置をとらなければならないと思う。

これって、よいかも、ですね。



たしかに、実際にやる側からしたら、
「大丈夫って言われたのに、大丈夫じゃなかった」
とかって、訴えられる時代ですから。
それだったら、最初から診察した方が良い、
って思うのもわかります。

救急とかのトリアージなんかでも一緒ですけど。
軽症患者をふるい分けるのは、必要な事なんですが。
軽症だと思っていたのに、思っていたより重症だった。
っていう事は、絶対にあるんですよ。


その時に、医師が責任を問われないような
システム
を作る必要があると思いますね。

軽症患者ばっかり診ていたらパンクするから、
軽症患者を振り分けるシステムをせっかく作ったのに。
やっぱり、軽症じゃなかったら大変だ、
っていって全員病院にかかるんだったら、
意味がないですから。

医療が100%安全じゃないのと同様に、
軽症患者を100%振り分けるっていう方法は、
存在しません。


それは、救急でのトリアージでも
電話での対応でも同じです。

北海道の場合は、北海道が責任を持つ。
って言っているようなのですが。
医師個人の責任を問わない、っていうように
きちんとしたルール、システムを作る事が必要です




それと、実際に電話相談をするのは
子供のいるお母さんだ、っていう事ですね。

>自宅にいたって、育児とか介護とかあったら、
ほかに誰かいないと、無理ですよ。
「すみません、うちの子が泣いてるので、
少々お待ち下さいね」なんていうのでは、
仕事にはなりません。


こういうのも、なんとかしなければ。
絵に描いた餅で終わってしまうかもしれませんね。


更に続いて、youraisemeup先生
こうも発言されています。


身近の女性小児科医を見ていて、
常勤勤務医を続けていけなくなる直接の契機は、

○出産・育児
 ・・といっても、子どもが複数になった場合や、
 地元に係累がいない場合
 (院内保育所はほとんど未整備なので)

○健康上の問題

○配偶者の留学

○介護(ベテランの先生に多いです)

といったところでしょうか。
ですから、年齢的なピークはさまざまです。

でも、完全休眠している先生はほとんどいません。
病院外来・開業小児科サポート・保健センター健診などを
掛け持ちして、働いている方が多いみたいです。

完全休業の後(それが労働基準法ギリギリの産休であっても)
の復帰には大きな不安が伴いますから、
現場とつながり続けることは、とても大事だと思います。

ただし、
>5年目くらいの対応は一番危ないように感じます。
という指摘は、鋭いとおもいます。

(全科に共通すると思いますが)初めの数年は
とても大事で、ここが半端になると、
復帰後のレベルはどうしても
高くできないのではないかと思います。

女性医師としての自分のライフキャリアを、
時々意識的に俯瞰して考えることが必要でしょう。
(できれば、配偶者にも考えてもらって・・)

女性小児科医の勤務実態に関するアンケート結果を、
ある女性勤務医が研究会で発表した時、
同僚の女性が手を挙げて、
「・・では、フルタイムで、いわゆる、
キチンと働けてる人数は・・」
と質問しました。
発言者はお子さんのいない、二代目開業医の奥様。
女性の敵は女性、です。

私はワークシェアリング肯定論者なので、
それぞれが自分の働ける形で助け合うのは、
どんどんやった方がよいと思っています。

ただ、そもそも医師による電話相談というものに懐疑的で、
今回の記事についても、どうだかな、と思っています。



うーん、まあ、確かにね。
いろいろ、問題がありそうですね。


>もし、本気でやるなら法的にアクセス制限をかけて、
病院や開業医にかかるためには、
電話相談を通さなければならないこととする
医師による電話トリアージ)、くらいの
思い切った措置をとらなければならないと思う。



これに関しては、私は一部賛成です。
全員が電話相談をしなければ病院、診療所を
受診する事はできない。
っていうのは現実的ではありませんけど。

電話をしないで、飛び込みで来たら追加料金3000円。
とかって、値段を上げる
、っていうのが
一つの手じゃないかな、って思います。

『時間外重症患者割引制度』

の記事で、時間外に来た患者は+5000円。
それで、重症患者は割り引きます

っていう制度を提案しているのですが、私。

大人でも、病院を受診しないでも良いけど、
心配だから病院に来た

っていう場合が多いんですよ。

でも、病院に行く前にその病院に電話したら、
まずは看護師が対応しますから。
その時に、その位だったら安静にして、
でも駄目だったら病院に来て下さい。

みたいな事を看護師に言われて、
病院に来なくて済んだ。
っていう場合もありますからね。


時間外に病院に来る前に、病院に電話をしたら+3000円。
病院に電話しないで、飛び込みで来たら+5000円。

みたいな制度が良いんじゃないかな、って思っています。

子供の場合も、飛び込みで病院に行ったら3000円。
電話相談をしたら加算の料金はゼロ。

っていうように、経済的な制限を加える、
という方法が良いのではないかな、
って個人的には思っています。

もちろん、一番良いのは
『柏原病院小児科を守る会』みたいに、
患者の側が自主的に、
軽症の場合は時間外に病院を受診しない。

ってやってくれる事なんですけどねー。



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後期高齢者医療制度(うば捨て山制度)1
2008年4月から、「後期高齢者医療制度」が始まります。
別名「うば捨て山制度」とも言われる、
高齢者を切り捨てる為の制度です。

選挙対策のために、半年から一年
国民の負担だけは、一部だけ
一時凍結していますけど。
選挙が終わったらやる、って事ですわ。


後期高齢者医療制度うば捨て山制度)」に関しては、
『主治医が見つかる診療所3』でも
書いた事なのですが。

ssd先生僻地の産科医先生もブログで取り上げていた、
JANJANの記事が非常にわかりやすかったので。
シリーズで紹介させていただきますね。

『産科医療のこれから:本日の医療ニュース、2月5日』
『ssd's Diary:肩すかし』



後期高齢者医療制度は「団塊うば捨て山」 (1)
なぜ75歳以上なのか

後期高齢者医療制度は2006年6月に
与党の強行採決で決まり、
本年4月からスタートすることになっている。


記者は青森市の整形外科診療所で地域医療を担っているが、
最近は高齢者から医療や介護に対する不安や
負担増への不満の声を聞くことが多くなった。

青森県の平均寿命は毎回全国最下位で、
医師不足もますます深刻になり、小児科、
産婦人科だけでなく高齢者医療
崩壊の危機に瀕している。

高齢者医療を崩壊させる「うば捨て山制度」に
警鐘を鳴らしたい。


後期高齢者医療制度とは?

厚生労働省が用意したリーフレットによると
5つのポイントがある。

1.75歳の誕生日から、今までの保険に関係なく
 全員が後期高齢者医療保険に加入する。

2.今まで保険料負担がなかった扶養家族の人も、
 2008年4月から保険料を負担する。

3.厚労省は「高齢者にふさわしい医療」というが、
 75歳以上を「差別した医療内容」となる。

4.「医療と介護の一体的なサービス提供」というが、
 「医療が介護に吸収」される。

5.国民健康保険は市町村が保険者だったが、
 この制度では都道府県単位の広域連合が保険者となる。


他に、現在老人保険に加入している65歳以上で
障害を持っている人も、自動的に後期高齢者医療制度
加入することになっている。


なぜ75歳なのか?

答えは「医療費の適正化」にある。
適正化の対象項目として「高額医療費」と
「終末期の入院医療費」が上げられ、2002年に
9,000億円かかった終末期医療費
何とかコントロールしようとしている。

厚生労働省は在宅死の割合を現在の2割から
2025年までに4割に引き上げることで、
年間5,000億円の終末期医療費を削減することが
出来ると予想している。

2007年厚生労働白書で
「将来の年齢階級別死亡者数」を推計している。
それによると74歳以下は徐々に減少するが、
75歳以上の死亡者数が急増し、
2030年には現在の約2倍になると予想している。

また、入院を必要とする病気と患者数についても、
74歳以下は現在とあまり変わりないが、
75歳以上の入院患者数は激増し、
中でも脳血管障害は2030年には
現在の2.5倍になると予想している。

このように、後期高齢者医療制度
高齢者の入院医療費、特に脳血管障害の
終末期医療費をコントロールするために
70歳からではなく75歳で切り分ける必要があった。


本当のねらい

制度のしくみとして、総医療費の
10%を高齢者が負担することになっていて、
もし医療費が増大した場合は自動的に
保険料が値上げされることになっている。

いいかえると、保険料の10倍までしか
医療費として使えない仕掛けだ。
さらに入院医療を必要とする人が年々増え、
終末期医療費も増加すれば保険料を引き上げざるをえない。

これは、現行の介護保険と同じで、
医療費を自動的に制御するシステムを
目指しているといえる。

しかし、高齢者と65歳以上の障害を持った人は、
どちらも医療を必要とする機会が多い。
ハイリスクグループだけで保険料を負担して、
保険制度が継続できるとは到底思えない。

だとすれば、ハイリスクグループの受診
を抑制するための制度、高齢者、障害者いじめの制度
ともいえる。

(大竹進)


引用:『JANJAN:2008/02/02』

参照:『後期高齢者医療制度の概要(PDF文書、厚生労働省)』


医療費適正化」って言っていますけど。
簡単に言うと「医療費削減」の為ですわ。

『主治医が見つかる診療所3』
で、自民党の議員が言ってましたけど。

金がない。
国民健康保険がもたない。
だから、この制度を作った。


って事ですよ。

自民党の中でも、老人いじめ、弱い者いじめをやりすぎた
って思われている、まさに
うば捨て山制度」とも言える制度ですよ。
この「後期高齢者医療制度」って制度は。

厚労省の試算では、年額7万円ちょっと
っていう試算が出ていましたけど。

実際は、もっと厳しいですよ。


後期高齢者医療制度の保険料について、
厚生労働省は年額7万4,400円と試算。

しかし、昨年12月に出揃った
各都道府県広域連合の保険料を見ると、
厚労省が「平均的な厚生年金額」とする
年金収入208万円の単身者の場合、

福岡県の10万1,750円(月額8,479円)
▽高知県の9万7,409円(同8,117円)
▽香川県の9万7,000円(同8,083円)
▽沖縄県の9万6,840円(同8,070円)
▽北海道の9万6,100円(同8,000円)
-等となっており、42道府県で
厚労省試算を上回ることが判明している
(中央社保協集計)。


『キャリアブレインニュース:2008/02/04』

制度が始まる前から、もう見込み違いって。
やっぱ、厚労省は信用できないわ、ホント。

75歳以上の死亡者数が急増し、
 2030年には現在の約2倍になると予想している

>入院を必要とする病気と患者数についても、
 74歳以下は現在とあまり変わりないが、
 75歳以上の入院患者数は激増し、
 中でも脳血管障害は2030年には現在の
 2.5倍になると予想している


厚労省の言っている通り。
年を取れば取るほど、病気になりやすいです。
それは間違いないです。

そして、重症化しやすいし、亡くなる確率も高くなります
病気になって、すぐに亡くなる人ばっかりなら、
医療費は少なくてすむのですが。
今の日本では、ほとんどの方が、病院に来て
治療を受けた後に亡くなりますから。

やっぱり、医療費はかかります。


医療費を減らす為には、病院にかからないで
老人が死ぬようなシステムを作る

っていうシステムを作る必要があったんですよ。
厚労省財務省にとっては。
医療費を削減するためには。

その為に出来たのが、この「後期高齢者医療制度」です。
医療費を削減するために、病院にかからなくて良い。
そして、お金のない老人からも、
年金から天引きしてでも金をむしり取るシステム


そんなシステムが、「後期高齢者医療制度」です。

選挙の前だから、国民の負担だけは、一部だけ
一時凍結していますけど。
選挙が終わったら、始まっちゃいますよ。
このうば捨て山制度とも言われる、
後期高齢者医療制度」が。

>ハイリスクグループの受診を抑制するための制度、
 高齢者、障害者いじめの制度ともいえる。


ほんと、ひどい制度ですよ、これ。



年金暮らしの老人から、7万円も取る、
っていうだけで大変なのですが。

>42都道府県で試算を上回る。って。

ほとんどの都道府県じゃないですか。
しかも、年々高くなりますよ、この医療

そんな後期高齢者医療制度うば捨て山制度)」。
始めちゃって、良いんですか?


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医療崩壊、対症療法じゃ駄目だ
最近は、ほとんど毎日のように「医師不足」「医療崩壊」とか、
そういう話題がテレビでも新聞でも出てきますよね。
特に、日本の医療崩壊で著しいのは、
産科、小児科、救急です。
当然、産科医、小児科医、救急の医師は不足しています。

たらい回し」っていう言葉。
使い方が不適切なんで、大嫌いなんですけど。
この「たらい回し」でも、一番問題になっているのが
妊婦のたらい回し」ですよね。

日本の人口当たりの医師先進国中最下位です。
でも、ほんのわずかに、医師の数自体は増えているんですよ。

まあ、他の国々に比べたら、増え方が少ないので。
あと10数年したら、韓国やメキシコにも抜かれて、
先進国だけでなく、OECD(経済協力開発機構)30カ国中でも、
最下位
になりそうなんですけどね。

それでも、ほんのわずかですけど、医師の数自体は増えています
でも、産科医の数っていうのは、実数で減っているんですよ。
そして、それ以上にお産ができる病院の数は減っていますから

日本で最も医療崩壊が進んでいるのが、「産科」で、
医師不足が最も著明なのが「産科医」とも言えます。

更に、都会と比べたら、地方の医師不足、
産科医不足
は、もっと酷いです。

その日本で最も医療崩壊医師不足が顕著な
地方の産科医不足について、1/19に厚生労働大臣と市民(長野)、
そして『ある産婦人科医のひとりごと』の管理人先生なんかの
話し合いがもたれたようですね。

こちらに、その時の様子が載っていました。
『大臣と語る 希望と安心の国づくり』

そこから、新聞記事を引用させて貰いますね。
いつもお世話になっております。



産科医増員へ追加対策 厚労相「次の手、首相と協議」

舛添厚生労働相は19日、長野県飯田市内で記者会見し、
産科医不足が深刻化している問題について、
「全国のどの地域でも産科医の不足が極めて深刻だ。
優先順位を付ければ、まず産科医対策だ。
来年度予算で医師不足対応の予算を倍増するが、
次の手が打てるかどうか首相、官房長官と協議したい」
と述べた。

政府は来年度予算案に産科のある病院への
財政支援などを盛り込んでおり、産科医の増員に
重点を置いた追加対策を検討する考えを表明したものだ。

その上で、厚労相は
「政府全体で、極論すれば『緊急事態だ』
という認識を持ってもらう」と強調した。

追加対策は、厚労省の有識者会議
「安心と希望の医療確保ビジョン」や、
福田首相主導で今月中にも開かれる
「社会保障に関する国民会議」などで議論される見通しだ。

厚労省の医療確保ビジョンは4月にも
産科医確保策など中長期的な目標をとりまとめる方針だ。

   
『読売新聞 2008年1月20日』



こちらは、NHKのニュースです。

医師不足で厚労相と懇談

舛添厚生労働大臣は、飯田市で、
地域医療をテーマにした国民との対話集会に出席し、
産科医師不足に対応するため、政府として
緊急の対策を検討したいという考えを示しました。

飯田市の市立病院では、産科医師が減ったため、
ほかの地域に住んでいる人や里帰りをして
出産する人の受け入れを、ことし4月から
原則として取りやめる方針です。

舛添厚生労働大臣はこうした地域が抱える
深刻な医師不足の問題についてみずから出向いて
住民と話し合おうと、19日、飯田市の市立病院を
視察した後、市民との対話集会に臨みました。

集会には市民など120人あまりが出席し、
舛添厚生労働大臣と「地域医療の充実」
をテーマに意見を交わしました。

出席した人からは、
「この地域で出産ができなくなったら、本当に悲しい」
といった不安の声が相次いだほか、病院関係者からも
医師が確保できないと病院はつぶれる。
医師の配置を、国はもっと真剣に考えるべきだ」
という意見が出されました。

これに対し舛添大臣は、
「国民の目線に立つことがいちばん大事なことだ
と認識している。
産科の医師不足については、対策のスピードを
上げる必要があり、政府全体として取り組む体制を
早急に考えたい」と述べ、
政府として緊急の対策を検討したいという考えを示しました。

(NHKニュース信州、2008年1月19日)




日本で医療崩壊が進んでいる原因は、
たくさんありますけど。
もっとも大きな原因は、医師の数が不足しているから、
って事と、医療費が不足しているから。

それらは、医師数削減政策、医療費削減政策
によるものだから、医療崩壊というよりは、
医療破壊という言葉の方が適していると、
個人的には思うのですけどね。

いずれにせよ、医師不足、医療費不足
日本の医療崩壊(医療破壊)の大きな原因です。


そして、その中でも最も弱いところである、
産科、小児科、救急では「目に見える形」で、
実際に弊害が起こっています。

それが、お産の制限とか、救急の患者をいろんな病院で
受け入れることが出来無くって、マスコミで言う
たらい回し」が起きているんです。



少し、話が逸れますけど。

病院に来る人(患者)っていうのは、
基本的にはなんか症状があって。
そいでよくわかんないけど
良くならないからって事で、病院に来るんですよ。

まあ、中には健康診断で異常がある、
って言われて来る人もいますけどね。

そういう人以外は、みんな「症状」があるんですよ。
なんらかの。


例えば、肺炎という病気。

肺炎っていう病気は、肺にばい菌が入って、
肺がやられてしまう病気です。

そして肺炎になると症状として、
が出たり、高熱が出るんです。
そして、もっと酷くなると、息が苦しくなります。


肺にばい菌が入った。
そしたら、人間の体ってばい菌を殺そうとして、
頑張るんですよ。
こういう感染防御機構のことを、
免疫って言います。

体の中にばい菌が入ってくると、
白血球(リンパ球、好中球)とか、いろんなサイトカイン
っていうのが頑張って。
ばい菌をやっつけてくれるんです。

そいで、ばい菌をやっつけたりするのには、
体温が高い方が、都合が良いんですよ


温度が高い方が、白血球とかサイトカイン
っていうやつは、良く働くんです。
だから、ばい菌がたくさんいればいるほど、
熱も高くなる場合が多いんです。

まあ、単純に比例はしませんけどね。


そして、人間の体は、ばい菌とかを殺した死骸を、
にして体の外に出そうとします。


っていうのは、気管支やのどが刺激された時
にも出るんですけどね。

皆さんも経験あるかもしれませんけど。
を出す時には、をした方が出しやすいんですよ。

そんな感じで、肺炎になった場合。
人間の体が、自分で肺炎を治そうとして
が出たり、が出るんですよ。

症状がある場合には、基本的には原因となる病気があって、
人間の体がそれを治そうとして「結果として
症状が出るって場合が多いんですよ。


肺炎だったら、咳、痰、高熱
そういった症状です。

重症の肺炎になれば、広範囲で肺がやられちゃうから。
十分に酸素を取り込むことができなくなって、
息が苦しくなる、って症状もでますけどね。

いずれにせよ、肺炎という「原因」があって、
咳、痰、熱、呼吸苦、っていう「症状」が出るんですよ。


熱が出たら、熱冷まし。
咳が出たら、咳止め。


こういう症状をとる治療の事を「対症療法」って言います。

まあ、高熱が出てつらい、とか。
が出てつらい、って事もあるので。
こういう治療が悪いって訳ではないのですけど。

対症療法しかしなかったら、病気は治りません。

人間の体には自然治癒力っていうのがあるから。
症状を和らげてあげて、人間の自然治癒力に任せる。
っていう方法もあるんですけど。

その話は、今はおいといて。
基本的には対症療法だけでは、病気は治りません。


肺炎であれば、肺にばい菌が入る病気なので。
そのばい菌を殺す治療をします。
これが、「病気の原因に対する治療」です。

具体的には、抗生物質っていう薬を使います。
そして、ばい菌やばい菌の死骸がから出るから、
そのを出しやすくする治療なんかもします。

また、高熱が続けば、汗もたくさんかくので、
水分も足りなくなるから。
水分を補充してあげたりもします。

酸素が足りないようであれば、酸素を流します。

そして、対症療法として、
咳を止める薬を使ったり、熱を下げたりします。


肺炎の治療っていうのは、そんな感じでやるんですけど。
決して、「対症療法だけ」では、良くならないんですよ。

熱が出たら、熱冷まし。
咳が出たら、咳止め。


これだけでは、駄目なんですよ。
病気の原因に対する治療」をしていないから。
肺に入ったばい菌を殺さないと、肺炎は治らないんですよ。

熱がものすごく高くなったら、熱冷ましの量を増やす。
普通の咳止めじゃ効かないから、
麻薬の咳止めを使いましょう。


でも、ばい菌を殺す抗生物質の治療はしません。

って事では、どんなに強い咳止めや熱冷ましを使っても、
肺炎っていう病気は治らない
んですよ。

最初に使った抗生物質が効かなかったら、
痰の培養っていうのをやって。
どの抗生物質が効くかの検査をして、
そのばい菌に効果がある抗生物質に変更する。

そういう「病気の原因に対する治療」っていうのを
行わないで、「対症療法」だけ行っていては、
肺炎という病気は治らないんです。


肺のばい菌を殺す、っていう「病気の原因に対する治療
を行って、その上で、咳を止めたり、熱を下げたりっていう
対症療法を行わないと、肺炎は治りません。



話は戻って。

日本の医療崩壊病気に例えると。

医師不足、医療費不足っていうのが病気の原因
お産や患者の制限、たらい回し(病院での患者受け入れ不可能)
っていうのが、症状のようなもんです。

日本の医療崩壊」という病気を治す為には、
医師の数を増やす、医療費を増やす
っていう事をしなければ、決して治りません。

病気の原因に対する治療です。

小手先の対症療法
産科医を増やすために、他の科の医師産科医にするとか、
救急患者に対応する為に、コーディネーターを置くとか。
そういうのが、駄目とは言いませんけど。

それだけでは、治らないんですよ。

他の科の医師産科医にしたら、
他の科の医師は不足しますよ。


産科医が足りない地方に、別の地域から産科医を呼べば、
また別の地域で産科医の数が足りなくなりますよ

コーディネーターを何人増やしたって、
患者を受け入れる病院やベッド、そしてそれを治療する
医師の数が足りなければ、何の解決にもなりませんよ。


今やっているのは、所詮、病気の原因に対する治療ではなく、
対症療法しかやってないので。
そんな事では、日本の医療崩壊という病気を
治す事は出来ないんですよ



医師不足対応の予算を倍増

これ一見、医療費を増やすように思いますけど。
日本の医療費っていうのは、30兆数兆円
日本の医療費を他の先進国並にするには、
あと10兆円くらい必要なんですよ。

医師不足対応の予算って、何十億円ですか。
そんな、はした金だけ倍にしたって、
必要な医療費の1%位にも満たないですよ。
そんな少ししかお金使わないで、治るわけないでしょ。

肺炎の治療の抗生物質を1/00だけ使いました。
そんなちんけな量で、ばい菌を殺せるわけないでしょ。
適正な量を使わないと、ばい菌は死なないから、
肺炎って病気は治らないんですよ。


医師の数を200人増やします。

って、日本の医師数を先進国並にするには、
最低でもあと12万人から14万人必要なんですよ。
200人ずつ医師を増やしたって、500年以上かかりますよ。

そんな小手先の対症療法だけしたって、駄目なんですよ。



悪いのは厚生労働省や大臣だけではありません。

>「医師が確保できないと病院はつぶれる。
 医師の配置を、国はもっと真剣に考えるべきだ」


これ、当事者である病院関係者の発言ですけど。
まあ、言っている事自体は間違ってはいないけど。

所詮、「医師の配置を換える」ってだけでは駄目なんですよ。
医師の数を増やさなければ。
他の地域とか、科の医師が不足するだけですから。


医師の数を増やすのは、すぐには無理だから。
とりあえず出来ることを、って事で
言っているのかもしれませんけどね。

対症療法だけでは、治らないんですよ。
医療崩壊っていう病気は。

医師の配置を換えるんじゃなくて、
医師の数を増やさないと。


残念ながら、医療現場にいる人間でも、
医師は不足ではなくて、偏在が問題だ。
って思っている人もいるのが現状なので。
現時点では、相当難しいかな、って思います。

この発言した医療関係者も、
医師確保とかって言葉使ってるしね。

犯罪者じゃないんだから。
医師を確保する、って言ってる病院に、
行きたいと思う医者がいるわけないでしょ。

自分たちのせいで、医師が病院に来ないっていう面もあるのに、
それを棚に上げて国のせいにしている。
っていう、無責任の構図がここでも見られます。



肺炎っていう病気を診断する為には、
とかとか、があるとか、症状を聞く。
っていう事も大切なのですけど。

胸のレントゲンやCTを撮ったり、
炎症の程度を見るために、採血とかの検査も必要です。

そういう検査とかをして、肺炎って診断する
そういう、正しい診断ができないと、
病気の原因となる治療はできませんから。


今、最も必要なのは、日本は医療崩壊っていう病気に
かかっている、ってしく診断することです。

日本では、医師の数がほんのわずかに増えているから。
だから医師は不足ではなく偏在だ。

とか言っていたら、駄目なんですよ。

医療費がどんどん増えているから減らさなきゃ
っていうのは間違いなんですよ。
他の先進国と比べたら、医療費は10兆円くらい、
足りないんですよ、本当は。

そして、原因は医師不足、医療費不足だ、
って事をきちんと認識する

それは政策によるものだから、医師数削減政策、
医療費抑制政策を変更する事
です。

それで、原因に対する治療を行いながら、
対症療法行う、って事をしないと。

正しい診断をせずに、対症療法しかしなければ、
日本という国は、医療崩壊という病気で、
死んでしまうかもしれませんよ



正しい診断をするために。
こういう本も読んで下さいね!


→ 誰が日本の医療を殺すのか―「医療崩壊」の知られざる真実

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