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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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「ヒヤリ・ハット」20万件超
ヒヤリ・ハット」っていうのは、
医療従事者なら誰でも知っている言葉なんだけど。
一言で言うと、医療事故の一歩手前の事です。

ウィキペディア(Wikipedia)の言葉を借りると、

ヒヤリ・ハット
ヒヤリ・ハットとは、重大な災害や事故には至らないものの、
直結してもおかしくない一歩手前の事例。
文字通り、突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、
ハッとしたりするもの。


出典:『フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」』
です。

この、「ヒヤリ・ハット」に関しての記事が、
8/13にyahooのトップページに出ていましたね。



ヒヤリ・ハット」事例が20万件超 07年
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080813-00000064-mai-soci

厚生労働省の関連団体の日本医療機能評価機構(東京都)は
8月13日、07年の医療事故報告の収集結果をまとめ、
事故の一歩手前の「ヒヤリ・ハット」事例が
初めて年間20万件を超えたと発表した。

うち4分の1以上が調剤などに関する事例で、
ミスに気付かなければ患者の命にかかわる
危険があったケースも1000件以上あった。

同機構は「注意喚起の医療安全情報を出した後に
同様の事故が繰り返されるケースも目立っており、
医療機関は事故情報をもっと活用してほしい」
と話している。

事故情報収集は同機構が04年10月から取り組んでいる。
07年に規模や地域別に抽出した全国240病院から
報告があったヒヤリ・ハットは、
前年より1万3607件多い20万9216件。

内訳では
(1)の処方、準備、調剤(27%)
(2)医療器具(チューブ類など)の使用・管理(17%)
(3)療養上の世話(9%)
--の順に多く、当事者は看護師が73%を占めた。

全体の65%はミスがあったが
患者に影響はなかったケース。
逆に3689件は事前にミスに気付いたが、
見過ごされていれば患者の生命に影響した可能性があり、
うち1059件がの関係だった。

ヒヤリ・ハットは準備段階での剤名や量の間違い、
投与中の点滴速度間違いなどが多く、
同機構は「剤師、看護師、医師らの
役割分担が複雑なため、ミスが起こりやすい」
と分析している。

一方、07年に実際に起きた医療事故は、
報告義務のある273病院から前年より30件少ない
1266件の報告があり、うち死亡は142件だった。


『2008年8月13日:毎日新聞』


20万件ヒヤリ・ハットが、多いのか少ないのか。
私にはわからないですけどね。
ヒヤリ・ハットでも、医療事故でも、
少ない方が良いに決まっています

ただ、「ヒヤリ・ハット」の「報告」が少ない。
という事は、必ずしも良い事ではないと思います。

ヒヤリ・ハットっていうのは、
医療事故の一歩手前の事だから。
ヒヤリ・ハットの数は、医療事故何十倍も、
何百倍も多くある
んですよ。

ハインリッヒの法則」っていうのがあって。
これは、重大事故の陰に30倍の軽度事故と
300倍のニアミスが存在する。

っていう法則です。

もしかしたら医療事故になったかもしれない、
っていうヒヤリ・ハットの事例。
そういう事例をたくさん集めて、
本当の医療事故を起こす前に、予防しよう。
っていう事は、大きな病院だったら、
たいていどこの病院でも行われているし。
国としても、日本医療機能評価機構という、
厚生労働省の天下り団体を通して行っています。

医療事故10件しかなかったら、
その医療事故っていうのは何が原因なのか。
数が少なすぎて、分析するのが難しいですけど。
その何十倍も何百倍もある、ヒヤリ・ハットの事例
を分析する事ができれば。
医療事故の原因を追求して、
似たような事を今後起こらないようにする、
予防」ができますからね。

ヒヤリ・ハットの事例を正直に報告してもらう。
という事は、非常に大事です。

ここで非常に大事な事は、予防を第一にする為
罰則を与えない」っていう事です。

ヒヤリ・ハットがあっても、それを
正直に報告したら、罰則が与えられて。
正直に報告しなかったやつは、無罪放免
っていう事になったら、ほとんど誰も報告しないでしょ。

そしたら、分析する事例が少なくなるから。
正確な分析ができなくなって。
結局、同じ様な医療事故がまた起きます
からね。

医療事故予防する為には、
医療事故の事例も、ヒヤリ・ハットの事例も含めて、
全部正直に報告してもらう。
そして、たくさんの情報を集めて、正しい分析をする。

っていう事が、一番大事な事なんですよ。

だから、ヒヤリ・ハットの報告が多い。
という事自体は、悪い事ではありません


たくさんのヒヤリ・ハット事例があるにも関わらず、
その報告が少ない
というのが、一番悪い事だと思います。


当たり前の事ですけど、理想的なのは、
医療事故の数も、ヒヤリ・ハットの数も少なくて、
医療事故ヒヤリ・ハットの報告も少ない。

という事だと思いますけど。

最悪なのは、
医療事故の数、ヒヤリ・ハットの数は多いんだけど、
医療事故ヒヤリ・ハットの報告は少ない
という事ですね。

これだと、正しい原因の分析ができないから、
また同じ様な医療事故が起きちゃいますから。

そういう意味では、ヒヤリ・ハット報告が多い
という事自体は、悪い事ではないと思います。
むしろ、システムが正しく機能している、という事ですから。
むしろ好ましい事のような気がします。


yahooのトップページに載った。
って書いてありますけど。
これ、元ネタは「毎日新聞」なんですよね、実は。

ヒヤリ・ハット」事例が20万件超
っていう見出しにすると、何もわからない人は、
「なんかすごく多いなー」、
っていう印象を持つんでしょうけど。
それをわかっていて、敢えて書いているんでしょうかねー。
悪意があるかどうかはわかんないけど。

きちんと、意味わかって書いているんだろうか。


ちなみに、「医療事故(Medical accident)」っていうのは、
医療に関わる場所で、医療の全過程において発生する
すべての事故
、っていう意味なので。
医者とか医療従事者過失があってもなくても、
全部を含めて「医療事故」って呼びます。

一方、「医療過誤(医療ミス)」っていうのは、
医療従事者に過失がある場合のみを指す言葉です。

ヒヤリ・ハット」は、ミスに関わらない、
医療事故の一歩手前の事です。


病院、大学病院について知りたい人は、こちらから!
→ 「大学病院のうそ」 ~現役医師(Dr. I)が暴露する、大学病院の秘密

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「くも膜下出血」見落としに抗議
くも膜下出血」を「見逃す」とか、「見落とす
っていう本来の趣旨とは違った事が
某マスメディアで報道されましたが。
それに関して、日本脳神経外科学会が、
本来の趣旨と違うって事で、
正式に抗議されたようですね。

日本脳神経外科学会のサイト
→ 『日本脳神経外科学会』

ここ見ても、どこに書いてるかわかんないけど(汗)



「見落とし」報道に、日本脳神経外科学会が抗議

(社)日本脳神経外科学会は平成20年7月7日(月)
厚生労働省において
「脳卒中における新知見に関する学会発表」と題して、
くも膜下出血の診断の困難についての記者発表を行った。
なお、本学会発表について、
一部新聞報道内容に「初診6.7%見落とす」という、
説明内容とは相違する誤解をまねく
不適切な表現がありました。
強く抗議を表明します。

日本脳神経外科学会は7月9日、
ホームページにこんなお知らせを掲載しました。
事の発端は、前述のように
同学会が行った記者会見です。

同学会の理事で山形大学医学部長の
嘉山孝正先生は、記者会見の趣旨を
次のように述べています。

くも膜下出血患者であっても、
軽い頭痛の場合など、教科書には記載されていない
非典型的な患者の診断は容易ではない。
中には、お化粧をして自分で車を
運転してくる患者もいる。
つまり、記者会見で説明したかったのは、
『見落とし』の率ではなく、医療の限界。

従来、ともすれば医療界は成功例のみを
公表しがちだったが、ネガティブなデータも含め、
『現実のデータ』を情報公開することが
必要だと考えている。
それを通じて、患者や国民に医療の限界を
理解してもらうことが重要だろう」

医学が進歩した現在、患者さんたちは
時に過度な期待を抱きがちです。
その結果、仮に予期しない事態が起こった場合、
その反動はかえって大きく、
過剰に反応してしまう傾向にあるように思います。
それを恐れて、医療者側が萎縮診療に陥ったら、
それこそ本末転倒です。
だからこそ、「現実のデータ」を公表すべき……。
そう嘉山先生はお考えになったのでしょう。
 
くも膜下出血と言えば、先日、長野県の病院で、
「見落とし」があったとされ、医師が書類送検されました。
この件が実名報道され、問題視されたのは
記憶に新しいところです。
患者さんがどんな主訴で受診したのか、
取材していないのでよく分かりませんが、
この時も「見逃し」という形で報道されていました。

なお、7月7日の発表内容は以下の通りです。

「連続した」、くも膜下出血の症例を
調査したところがポイントです。
取捨選択することなく調べたこのデータは、
かなり精度が高いのではないでしょうか。
また、レトロスペクティブに初診時の状況を
調べることが可能だった点も、注目すべきだと思います。


日本脳神経外科学会が記者会見で発表したデータ】

調査対象は、宮城県と山形県の2つの病院
脳神経外科を、頭痛や意識障害を主訴に受診し、
最終的にくも膜下出血と診断された患者
初診時の診断名やその際のCT撮影の有無などを調べた。

その結果、宮城県の病院では、
198例(2007年1月~2008年5月の連続した198例)
のうち、初診時にくも膜下出血と診断できなかったのは
10例(5.1%、うち死亡は2例)。

山形県(山形大学医学部付属病院)では、
293例(1996年6月~2005年12月の連続した293例)
のうち、初診時にくも膜下出血と診断できなかったのは
23例(7.8%、うち死亡は2例)。

2病院の計33例はいずれも、初診時は
一般医家(脳神経外科医以外の医師)が診察した症例で、
CTを施行していなかった。

なお、米国では、くも膜下出血のうち、
初診時で正しく診断されない率は5~12%という報告がある。

参照: So-net M3 7/9号 橋本佳子



患者さんっていうのは、なんか変だ。
とか、よくわかんないけど調子が悪い、とか。
そういう事で病院に来る人も多いです。

くも膜下出血だったら、全員頭痛がするとか。
心筋梗塞だったら、
全員胸が痛いって事はないんですよ。

私はくも膜下出血です」っていうプラカードを、
胸からぶら下げているわけではないんです。

もちろん、典型的な病気の症状がある場合もあるけど。
そうでない場合もたくさんあるんですよ。

だから、100%病気を診断するっていう事は、
そもそも不可能
なんですよ。

今の10倍医療を使って、たくさん検査をすれば、
制度が上がるって事はあるでしょうけど。
それでも、診断精度が100%になる事は
あり得ない
んですよ。

そんな「神の検査」なんて存在しませんから。
CTは万能、のような報道がたまーにされますけど。
全然、そんな事ありませんから。

嘉山孝正先が、この記者会見でも言っているように、

>『見落とし』の率ではなく、医療の限界。

という事を、「生のデーター」で示した。
という事なんです。

くも膜下出血であれば、脳外科医が診れば、
もっと診断制度は上がるでしょうし。
頭のCTを撮れば、更に上がるでしょうけど。
それでも、診断する確率が100%にはなりません

m3の記事にも書いてありますけど。
医療費を年間200兆円使っているアメリカでさえ、

くも膜下出血のうち、
 初診時で正しく診断されない率は5~12%


なんですからね。

この件に関しては、
「新小児科医のつぶやき」
Yosyan先生のとこ、
「学会のお墨付」
の記事でも取り上げられていますけど。

それ以上に、なんちゃって救急医先生のブログ
「日々是よろずER診療」の中の、
「SAH地雷の確率計算(追記)」の記事で、
非常に詳しく解説されていますので。
ちょっと引用させてもらいますね。


SAHくも膜下出血)は
予兆 → 再出血(急変) 
というステップで病状が進行するというパターンが
存在するということです。
この予兆が、非典型であればあるほど、
SAHくも膜下出血)の診断は困難となります。 

さらに、予兆の段階ですので、
頭部CTによる診断も大いに限界があります。 
この予兆を象徴する頭痛として、
雷鳴頭痛とか警告頭痛という名称が
与えられているものがあります。
「突然発症のバットで殴られたような人生最悪の頭痛」
という特徴をもった頭痛がそれに該当するわけです。

この予兆の出かたにも個人差があるでしょうし、
また、自分の症状を、自分の言葉で医師に伝えるときも、
人それぞれでしょう。
そういうわけで、予兆の把握も
一筋縄でいかないということです。



そうなんですよー。
SAHくも膜下出血にも、いろんな症状があるし。
患者さんの伝え方も違うし。
大出血する前の、予兆の段階
ほんのわずかな出血であれば、
頭のCTを撮ったってわかんないんですから。

そいで、ちょっと(かなり?)専門的ですが。
あくまで仮定の話なんですけど、
計算問題が出ます。


本日は、SAHくも膜下出血)の診断に関する
こんな問題を提示してみたいと思います。 
計算問題です。

症例   35歳男性  頭痛

(経過1)
最近、過労気味。深夜の帰宅も多い。
健康診断では、血圧が高めだと
ここ数年言われ続けているが、放置している。 
叔父が42歳で、SAHくも膜下出血)で突然死している
という家族歴もある。 

本日、16時ごろ、会議中に、
突然後頭部が殴られたように痛み、
一瞬嘔気も伴った。 
そのため、一端会議の席をはずれ、
ソファーで横になっていたが、
1時間もすれば軽快した。 

そこで、会議に戻り、仕事を続けた。 
夜の22時に帰宅。 
昼間の出来事を妻に言うと、
「あなた、それってクモ膜下じゃないの? 
今すぐ病院行こう!」と言われ、
妻に連れられ、深夜0時に、
時間外の内科を受診した。 

受診時、血圧160/96 脈78 
体温 36.4 呼吸数18。意識 清明。 
瞳孔径異常なし。瞳孔不動なし。
対光反射異常なし。 

当直医は頭部CTを撮りました。 
しかし、その画像に異常はありませんでした。
そのため、担当医は、
SAHくも膜下出血)はないです。大丈夫です。」
患者とその妻を安心させ、患者を帰宅させました。


(経過2)
それから2日後の朝、患者
いつもの時間に起床してきませんでした。 
妻が見に行くとすでに呼吸も心臓も停止していました。
患者は救命センターに運ばれ、
そこで死亡が確認されました。
そして、AI(死んだ後に撮るCT)
にてSAHくも膜下出血)が確定しました。

医事紛争に発展するような、
SAHくも膜下出血)の臨床経過の一例を示してみました。
怖いでしょ、SAHくも膜下出血)って。

さて、ここからが、問題です。

この患者SAHくも膜下出血)発症の、
頭部CT検査前確率pを 50%≦p≦80% 
と仮定します。 
そして、SAHくも膜下出血)に対するCTの感度を93%、
特異度を100% という前提とします。
(ここでは、この前提は正しいものとしてください) 

読影に誤りはないものとみなして、
考えることにします。 
さらに、SAHくも膜下出血)再出血による
死亡率を60%とします。

以上の設定のもとで、(経過1)の対応をとった患者が、
(経過2)のように、SAHくも膜下出血)で
死亡してしまう確率を計算すると、
何%以上何%以下になるのでしょうか?

つまり、地雷を踏み抜く確率の計算の一例というわけです。



医師向けの計算問題なんで。
一般の人が見たら、ちょっと何言ってるんだか
さっぱりわかんないかもしれませんが(笑)

SAHくも膜下出血っていうのは、
最初にちょろっと出血して(予兆)、
その後にどかーんと大出血する、
再出血」で突然死する方、っていうのが
結構多いんです。

そういう症例で、最初は頭のCTを撮っても
なんともなかったけども、
SAHくも膜下出血の再出血で
亡くなる確率っていうのは何%?
っていう問題です。

あくまでも、確率は仮定の話なんですけどね。


~詳しい計算は省略~

答え 3.9%~13%

っていう事っす。

(経過1)のような対応で
帰宅した患者のうち、きつく見積もって
8人に1人は、SAHくも膜下出血)の再出血で
死亡するということを意味します。
少なく見積もって、
25人に1人ということになります。 

CTで異常を認めなくてもこれくらいの確率で
SAHくも膜下出血)死亡が起こりえるということです。
つまり、病歴が相応に怪しければ、
その時点で、CT検査はSAHくも膜下出血)の
完全除外ツールにはなり得ない
ということを知っておくことは
とても重要だと考えます。



日本脳神経外科学会が発表したのは、
最初に脳外科医ではない医者が診て、
頭のCTを撮っていない場合

5~8%位の確率で、わからない事もある。
っていう話なんですけどね。

最初に診たのが脳外科医で、頭のCT撮っても、
次の日に再出血で突然死する
確率も、
3.9%~13%位はあるんっすからね。
まあ、この話はあくまでも「仮定の計算」ですけどね。
何%かわかんないっすけど、ゼロではないですからね。

そういう事を全然わかっていないのに、
本来の趣旨とは違う意味で、
見逃し」だの「見落とし」だのっていう記事を
書いて欲しくないですねー。

ちなみに問題となっているのは、
読売新聞の記事の事でしょうかねー。
意図してかなんだかわかんないですけど。
医療の限界とか、一番言いたい事を省いています。


くも膜下出血、5~8%見逃す可能性
…風邪や高血圧症と診断

くも膜下出血患者のうち約5~8%が、
最初の受診で風邪や高血圧症などと診断され、
出血を見逃される可能性のあることが、
日本脳神経外科学会の調査でわかり、
7日に記者会見で発表した。

激しい頭痛があれば、コンピューター断層撮影(CT)検査
をするが、軽い頭痛程度の患者まで
全員を検査できない、という。
こうした見逃しの確率が示されるのは珍しい。

同学会は昨年1月から今年5月に宮城県内の
病院に入院したくも膜下出血患者198人について、
確定診断を受けるまでの経緯を調べた。

開業医などの初診では、頭痛や肩こりといった
症状を訴えた10人は風邪や高血圧症などとされ、
CT検査もなかった。

また、1996年から05年に山形県内の病院
入院した患者293人中23人も宮城と同様だった。


「読売新聞、魚拓:2007年7月7日」



毎日新聞の方は、そのまんま書いてくれているので。
良い記事だと思いますよ、今回に関しては。
記事の「タイトル」つけるのは別の人だから。
見落とし」ってなっているんでしょうけどね。
記事の内容自体は良いんじゃないっすかね。


くも膜下出血」初診6.7%見落とす 学会調査 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080707-00000129-mai-soci

くも膜下出血患者のうち、脳神経外科医以外が初診し
た6.7%が風邪などと診断され、事実上、
病気を見落とされていたことが7日、
日本脳神経外科学会の調査で分かった。

患者が軽い頭痛しか訴えなかったことなどから、
くも膜下出血を発見できるCT
(コンピューター断層撮影)を実施していなかった。

同学会は「軽い頭痛の患者全員に
CTを行うわけにはいかない。
現代医療の限界とも言える」
としている。

同学会学術委員会の嘉山孝正・山形大教授らが、
宮城県と山形県の2病院で、脳神経外科の
カルテ全491例を調査した。
宮城県は07年1月~08年5月が対象。

198例中37例が脳神経外科医以外で初診を受け、
うち10例(5.1%)が風邪、高血圧、
片頭痛などと診断されてCTを受けず見落とされた。
10例すべてが再発し2例が死亡した。
山形県は96~05年が対象。

専門医以外の初診は293例中48例で、
23例(7.8%)が見落とされ、
すべてが再発し2例が死亡した。
見落とし計33例のうち17例は、
くも膜下出血の常識に反して発症時に
軽い頭痛しか起きておらず、委員会は
「専門医以外では他の頭痛と区別できない」と指摘。
他の16例も「診断が難しい例がある」とした。
山形県では脳神経外科医でも
見落とした軽度頭痛の患者が1例あった。

米国では5~12%の見落とし率という報告がある。
嘉山教授は
くも膜下出血の診断は難しく、
完ぺきな診断はできない。
現代の医療でも見落としは
不可避という現実を周知し、
脳ドックの普及など社会全体で対策を
考えるべきだと思う」と話している。
【奥野敦史】


「毎日新聞:2007年7月7日」


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小松 秀樹 (著)


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大野病院事件、メディアの功罪2(追記あり)
『大野病院事件、メディアの功罪』
の記事の続きです。
まだ見ていない人は、最初にこっちから読んでね!

福島県立大野病院で起きた、妊婦の死亡事故で。
警察が産科医の逮捕に踏み切った事から、
メディアが一斉に、殺人医師事件として取り上げて。
その結果、マスコミの報道で萎縮した
産科医の立ち去り
が各地で起こって、
産科の閉院が相次ぎました

その大野病院事件に関しての、
メディアの報道のあり方を検証する番組の続きです。

前回は、前置胎盤、癒着胎盤っていうのは、
具体的にはどんなものなのか、っていう事と。
どんなに珍しい症例なのか、
っていう話が中心でしたね。
今回は、その続きです。


黒岩祐治のメディカルリポート #49
「検証!医療報道の光と影2
大野病院妊婦事件 、メディアの功罪1~ 2


医療福祉チャンネル774 
 森まどか

ゲスト
福島県立医科大学医学部産科婦人科学講座
 佐藤章 教授

東京大学医科学研究所探索医療
ヒューマンネットワーク部門
 上昌弘 准教授(医師

参議院議員(民主党)
 鈴木寛議員

コメンテーター
医師・作家
 和田秀樹医師



 佐藤章教授
「もう一つ、この症例ではですね。
不幸な事に、胎盤がものすごく大きかったんです。
だいたい500グラムが普通の、10ヶ月で生まれる、
赤ちゃんの時の胎盤は500グラム位なんですけど、
この場合は700グラムあったんです。」

 黒岩祐治
「それだけ難しい症例であってね、
危険もたくさんあるという状況で。
結局、出血多量で亡くなってしまった訳ですね。
それでは、なぜ警察が出てきて、
逮捕されるようになったんですか?


 佐藤
「いや、それは警察の逮捕の業務上過失致死の、
警察側が主張しているのは。
癒着胎盤があったのを気が付いたんだから。
そのところで、無理にクーパーを使って
剥がした事自体が、乱暴である

それは、医者としてやってはならない行為である。
っていう、無理にやったから大出血を起こしたんだ。
っていう主張で逮捕した、って事になっているわけです。」

 黒岩
「上さんは、この後のメディアのあり方について、
大変問題意識を持ってらっしゃる訳ですけど。
警察が最初そうやって動いてきた。
メディアも、ある種自動反射的にぱっと動いてくる。
こういう構図になっている。
この問題の一番大きな法律上のポイントっていうのは、
どこにあると思っていますか?」

 上昌弘准教授
「本来医療っていうのは、
いろんな方がいろんな形でやって。
多様な見解が出てくる訳ですね。
その場その場の状況によって、医療者ドクターは、
ベストを尽くす
わけなんです。
その検証っていうのは、複眼的でなきゃいけないんですが。
警察っていう1つの権威が、ぼんって決めてしまった場合、
っていうのは、その正しさを誰も検証できないんです。
かつ、それが素人集団な訳なんです。

更に、今回の場合ですと、もちろん
医療に意見を聞いているんですが。
最初から絵がありきで、特定の先生に聞いている訳で。
多様な意見を反映して、適切な所に
合意が形成されていな
いんです。

で、逆に、権威というものが報道しちゃうと、
国民、医療を含めて、そういう先入観を持ってしまうんです。
それをひっくり返すっていうのは、
現実的には不可能に近いと思うんです。
こういう事例が積み重なっていくと、
産婦人科の先生は無力感をどんどん感じている訳です。」

 黒岩
「この問題を整理しなきゃいけないのはね。
警察が先に動いた、という事。
こういう事は、上さん。
問題だと思いますか?」

 上
「問題だと思います。
世界で、欧米の先進諸国も含めて、
警察が医療に介入する事が、法的であれ、
運用上であれ、常態化している国、っていうのは、
実は日本だけなんです

これは、日本の制度としてのエラーだと思います。」

 黒岩
「鈴木さんね。
そしたらこれ、メディアの問題っていう以前に、
警察の問題ですよね、まず第一に。」

 鈴木寛 参議院議員
警察の問題であると共に、刑法の問題ですね。
刑法には、業務上過失致死っていうのがあるんですけども。
いわゆる、医療行為にも業務上過失致死
適用されてしまうし

それから、我々が例えば、車を運転する場合も、
同じ業務上過失致死が適用される訳なんですよね。

医療と他と、決定的に違うっていうのは。
他の業務は、通常に車を運転していれば、
それは安全に、きしっと人を運ぶ、運送ができる。
っていう事が想定されている訳ですね。

ただ、医療の場合はですね、何も医師
あるいは医療者が手をほどこさなければ、
その方の病気は悪化する。
しいては、死に至ってしまう。

で、それを食い止めるために、
医療行為をする訳ですから。

本質的に、同じ業務であっても、
全然違う
にもかかわらず、日本の刑法では、
残念ながら明治にできた枠組みを
そのまま引き継いでいるものですから。

医者業務上過失致死罪も、
それから、いわゆる運転の業務上過失致死とかですね。
あるいは通常のいろんな仕事をしている上での、
業務上過失致死とか。
そういうのが、ごっちゃになっている、と。
ここを整理しなきゃいけないという、
まず刑法の問題があって。

で、その事を、警察が運用上、
それを一緒にやっていると。
こういう、かなり根深い話ではあるんですね。」

 和田秀樹医師
医療行為っていうのは、例えば、お産っていうのは。
死ぬのが当たり前、とまではいかないけども。
昔であれば、死を覚悟する位のレベル
事だった訳ですから。
そういうものに関して、やはりはるかに危険が全然違う
という認識がないですよね。

それと、あとはやっぱり、理想論と、医師っていうのは、
その場その場で判断しなければいけない
っていうのは全然違うわけで。
後付けでこうやっておけば良かった、っていうのは
いくらでも言えるわけですが。
その場で判断する事が、必ずしも理想通りにいかない、
っていうことは、むしろ当たり前にある訳ですね。

ところが、警察は理想論の通りにやらなければ、
結果が悪かった場合は捕まえるよ。
っていう事であれば、これはもう、
自分がとっさでベストの判断ができるなんて、
ある種もし考えている医者がいたら、相当なうぬぼれですから。
そういう医者しか残らなくなってしまう危険がある。」

 鈴木
「おっしゃる通りで、正常分娩って言葉がありますけど。
それは、終わってみて正常だった分娩で。
入り口で、これは正常分娩か、異常分娩かなんて事は、
本当にやりながらでないとわからないわけで。
それから和田先生おっしゃったように。
外科医っていうのは、毎回傷害行為をやっているわけです。
その、手術をやるたびに。
だから、傷害罪。
投薬でもなんでもそうですけど。
これは、それはそもそも傷害行為ですから。
人を傷つける行為ですから。

しかし、医師医療行為という事で、
医師法という国家資格によって、それは
正当行為をやるという事で、免責されている訳
ですよね。
ここの前提が、なんかどっか行っちゃってしまっているな、と。」

 黒岩
「佐藤さん。そういう事から考えればねー。
刑法の問題もあるし。
警察がばっと動くという問題もある、と。
いった状況である中で、ですよ。
さっきVTRでも出ていましたけどね。
私はマスコミに対してクレームをつけたい、と。
おっしゃっていました。
メディアの問題は、どこにありますか?」

 佐藤
「こういうのは、初めてのケースだ、
って言えば、それまでなんですけれども。
刑事事件になると、刑事専門の記者の人達が来るわけです。
そうすると、もう警察が捕まえたんだから、
よっぽど悪い医者
だ、と。
それは殺人者と同じだ。
という風な受け取り方を、もうしちゃっているわけですよ。
ですから、一番初めの時の報道が、もう、
前提がそうなっちゃっている

その時に、何故そうなったのか、っていう事を
医学的に、まあ申し訳ありませんけども、
理解していない人達がばー、っとやってしまう。
そうすると、一般の人達はもっとわかりませんから。
ああ、こういう医者なんだ、という。
もう初めに先入観念が出てきてしまう、と。
これが一番。
我々が後から言っても、なかなかそれを変えてくれる、
っていう事ができない、っていうのが。
ほんとにそれが、正直言うと困りました。」

 黒岩
「まあ、メディアの立場から言えばですねー。
この中で、私メディアの人間。
だから、受けてたたなきゃいけない。

まあ、良いか悪いかは別として。
いわゆる、記者クラブ制度になっている訳ですね。
だから、警察担当の記者っていうのがいて。
警察が発表してきて、捕まえた、逮捕した。
って言ったらば、第一義的にうわーっと動いていく。
その事件の中身が、いわゆる殺人事件であろうが、
医師医療事故であろうが。
それはもうとにかく、判断するという時間的な余裕もなしに、
あとは何があったんだ、
っていうスクープ合戦に入っていきますから。
自動的に動いていくという事になってくる、
という事なんですけどねー。

やっぱ、上さん。
これは医療現場からすると、
やっぱたまらん
、という事でしょうか。」

 上
「そうですね。
もうそれをやられると、たまらない感じがしますね。
医療行為っていうのは、本来非常に高度な技術で。
専門家が技術的に判断する以外、多分わからないんですね。
そういうものに関して、1つの権力である
警察が、ばっと言って、それをメディアが流した場合は、
そのチェックが構造的にかからないんです

要するに、過ちを繰り返しながら、
医学は進むものなんです。
世界でもどこでもそうなんですが。
こういう構造だと、チェックアンドバランスがかからず、
簡単に誤った方向にどんどん進んで行くんですね

これやっぱ、非常に危険なんだと思います。」

 和田
「やっぱ、メディアの根本的なあり方で。
今後変えて行かなくちゃいけないのは、
両論併記っていうのが、ほとんどない。
例えば、ありとあらゆる事件で、
本来ならば、警察発表もするんであれば、
弁護士さんの意見も発表する、っていうのが
フェアだと思うんですけども。
結果的に警察発表ばかりが、
どんどんメディアで報道されてしまうから。

やっぱり、こういう医療事故
まあ、例えば凶悪犯罪であったとしても、
今後裁判員なんていう制度を導入される以上は、
弁護する側の立場の話もマスメディアで流れないと、
裁判員にバイアスがかかるのに。
医療みたいなものに関して、
警察発表が、ほとんど垂れ流されてしまうっていうのは、
これはもう、危険この上ない事だと思いますね。」

 黒岩
「ただね、鈴木さんね。
有罪か無罪か、わからない段階で、
殺人者だという決めつけ方で、どーっと行くっていうね。
佐藤さんVTRの中でも指摘されていましたけどね。
これはですね、医療だけの話ではないですよね。」

 鈴木
「そうですね。」

 黒岩
「普通の殺人事件でも。
誰がどう見ても、こいつが犯人だろう、という。
もう、みんなが思っている、そういうものであっても、
有罪か無罪か、本当はわからないですよね。
しかしだからといって、そこで距離感を置いて伝える、
という事は、なかなかメディアの現場では、
できないですよね、それは。
それが現実だと思いますけど、どうですか?」

 鈴木
「特に日本の場合はですね。
有罪率。
要するにきちっと検察庁が、
送検をした場合ですけどね。
99%ですよね。
まあ、他の、例えばアメリカなんかでは、
いろいろな裁判員、まあ、陪審員制度などで、
無罪になったり、有罪になったりする場合ありますけど。
そこは、ホントに日本の裁判制度とか、
あるいは司法制度全体の話としてね。

ただやっぱり、話戻りますけど。」

参照:『医療報道の光と影~大野病院妊婦事件2』


ってとこで、You Tubeの方は、
中途半端なとこで終わってしまっているんで。
すげー、消化不良かもしれませんが。
今日は私も疲れたんで、ここまでにしますかね(笑)

業務上過失致死の話なんかは、
今、問題になっている、医療事故調査委員会の話とか。
医師の刑事免責の話なんかにもからんできますからね。
ここ、大事ですね。


続きが見たい人は、本家の方で見てね!
→ 『医療福祉eチャンネル』
期間限定っすよ。


(追記)

7/5のyahooニュースのトップページに、
こんな記事が出ていましたよ!

半年先まで分娩予約でいっぱい 
妊娠判明即病院探しに奔走

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080705-00000001-jct-soci
『2007年7月5日yahooニュース(J-CASTニュース)』

大野病院事件で、通常の医療行為をしたのに、
患者が死亡したという事で、
産科医の先生が逮捕された。
その結果、新たに産科医になろうとする医師が減って。
お産をするにも、半年前から予約をしなければならなくなった

出産の半年前っていったら、妊娠2ヶ月ですからねー。
気づいてない人も多いですよ、実際。
こんな事になっちゃったのは、メディアの影響も大きいですから。
そこのところは、しっかりと考えて貰いたいものですね。




医療医療訴訟について知りたい人はこれを読んでね!
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→ 医療の限界
小松 秀樹 (著)


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救急車でも非常識な要請
日本の医療崩壊の原因に、コンビニ救急や、
モンスターペイシェントなどの、患者側の問題もある。
っていう事は、医師ブログだけでなく、
最近は既存のマスコミでも書かれるようになりましたが。

救急車の要請でも、やっぱり問題のある患者
多かったようですねー。
この話は、yahooのトップページも出ていましたね。


足代わり119番救急車「予約」
…非常識な要請広がる
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080622-00000027-yom-soci

救急車病院までのタクシー代わりに利用しようとする
119番が、全国各地で相次いでいることが、
主要51都市の消防本部を対象にした
読売新聞の調査で明らかになった。

急病でないにもかかわらず、
病院での診察の順番を早めたい」という理由で、
救急車を呼ぶケースも目立つ。
昨年1年間の救急出動件数の5割は軽症者の搬送で、
110番に続き119番でも、非常識な要請が広がっている
傾向が裏付けられた形だ。

都道府県庁所在地と政令市にある計51の消防本部
(東京は東京消防庁)を対象に、最近の119番
内容を尋ねたところ、37消防本部が
タクシー代わりの利用など、
明らかに緊急性のない要請があると回答。
大都市、地方都市とも同じ傾向がみられた。

例えば、「119番でかけつけると、
入院用の荷物を持った女性が自ら乗り込んできた」
(甲信越地方)ケースや、
119番で『○月○日の○時に来てほしい』
救急車を予約しようとする」(関西地方)事例が多い。
症状を偽る人もおり、甲信越地方の60歳代の男性は
「具合が悪くて動けない」と救急車を呼びながら、
実際は緊急の症状はなく、
あらかじめ病院に診察の予約を入れていた。

風邪程度なのに、「救急車で行けば、早く診てもらえる」
と思って119番する事例も、28消防本部で確認された。

病院では救急外来の患者の重症度を
まず看護師が判断する場合が多い。
しかし、山陽地方では、切り傷で搬送された
患者と家族が、診察の順番を待つよう告げられ、
救急車で来たのだから、優先的に診察するのが当然だろう」
と詰め寄った。

診察待ちをしている人が、病院を抜け出して
119番するケースも7消防本部であった。

関東地方では、50歳の男性を病院に搬送すると、
先ほどまで待合室にいたことが判明。
男性は「順番が来ずにイライラし、
救急車で運ばれれば早まると思った」と語った。

51消防本部で昨年1年間に救急車が出動した
約232万件のうち、安易な要請も含めた
軽症者の搬送は約117万件。
厳しい財政事情から救急隊の増員が進まず、
重症者への対応が遅れるなど支障も出ている。


『2008年6月23日:読売新聞』


実は、6/23の読売新聞の33面にも関連記事があって。
そっちの方にも非常に大事な事が書いてあったんで。
本当は、それを紹介しようと思っていたのですが。

どうやら、ネット上にはアップされていなかったようなので。
他のブログなんかでも引用されている、
同じ文章を引用しちゃいましたわ。

救急車の利用で問題になっているのは、
軽症患者救急車を使ってしまうと、重症患者が使えなくなる。
っていう事なんですよ。

当たり前すぎて、この記事では最後にわずかに
触れている程度なんですけど。

33面には、具体例が出ていました。

町に2台しか救急車がない町で。
どっちの救急車軽症患者の為に出払っていて。
その為、心肺停止だったかな、
重症患者の命を助けられなかった。


という例です。


金も無限にあって、人も無限で、救急車の数も無限。
時間に制限もない。


こういう状況であれば、軽症患者
救急車を使ったって良いんですよ。
はっきり言って。

でも、実際には違うでしょ。
救急車の数には限りがある。
救急の数も限られている。
だから、軽症患者のところにばかり
救急車が行く事になると、
重症患者のところに救急車が行くのが遅れる。
そしたら、重症患者の命が救えないかもしれない

そこが、一番の問題なんですよ。

もちろん、医療費の問題もありますけどね。


今のやり方では、
一部のわがままな人間が貴重な救急車
救急隊という資源を無料で独占して。
その結果、本当に助けなければいけない、
重症患者の所に救急車が行くのが遅れて、
助けられない命がある。


というのが事実です。

だったら、今のやり方、システムを変えるしか、
方法はないんじゃないかなー。


簡単に言うと、今のシステムっていうのは、
「いつでもどこでも誰でも、救急車は無料」。
こういうシステムです。

いつでもどこでも誰でも無料、だから。
重症患者でも、軽症患者でも無料だし。
どんなに遠くまで乗っても、何回乗っても無料。
っていう事ですよ。

『「こどもの医療費無料」の問題点』
の記事には、子供の医療費の事を書いたんだけど。


「無料なら、病院に来よう」
っていう人が多くなるからです。

薬屋で、薬とポカリスエットを買ったら2000円。
でも、病院に行って専門家である医者に診てもらって。
それで薬までもらっても、0円。
だったら、時間外でも、病院に来よう。
って思う親が多いのは、当たり前です。

時間外に軽症なのに病院救急外来に来るのって、
「コンビニ救急」とかって呼ばれているのですけど。

これって、患者(こども)とか、その親が
いわゆる「モンスターペイシェント」だから起こる、
っていうよりは、「こどもの医療費無料」
っていう制度がおかしいから起こっているのですよ。



これは、救急車が無料っていう場合にも、
全く同じ事が当てはまります。

「タクシーを使うより、救急車の方が安い。
だったら、救急車病院に来よう。」

という人がいるのは、
救急車が無料」という制度のせいです。

だったら、これを手っ取り早く解決するには、
救急車を有料にすれば良いんですよ。


日本では、全国どこでも、いつでも誰でも、
軽症でも重症でも救急車は無料
ですけど。
世界の中では、救急車が無料という国は、
むしろ少ない
んですよ。


諸外国の救急運営状況
国別     都市名       金 額(円)
 
アメリカ
ニューヨーク     有料 \47,000~\72,000 
ロサンゼルス    有料 \47,000~\72,000
サンフランシスコ  有料 \47,000~\72,000
ホノルル       有料 \47,000~\72,000
サイパン       有料 \17,000
カナダ バンクーバー 無料
ブラジル サンパウロ 無料
グアム グアム      無料
オーストラリア シドニー 有料 \13,000~\25,000
ニュージーランド クライストチャーチ 
             有料 \3,000~\5,000
イギリス ロンドン   有料 \25,000
フランス パリ     有料 \34,000~
ドイツ フランクフルト 有料 \54,000
イタリア ローマ    無料
スイス ジュネーブ  有料 \61,000
スペイン マドリッド  有料 \4,000
オーストリア ウィーン 有料 \20,000
オランダ アムステルダム 有料 \9,400、
ベルギー ブリュッセル 有料 \6,700
中国
北京           有料 1km毎 \48~\68
上海           有料 \1,000~\3,000
香港           無料
台湾 台北       無料
韓国 ソウル 無料、官営は無料だが、最短の病院への緊急搬送のみ
シンガポール シンガポール  有料 \4,000~\7,000
マレーシア クアラルンプール 無料
ベトナム ホーチミン  有料
         走行距離1kmにつき \70、民営は \5,300~\15,800
タイ バンコク      有料 \1,600~\3,400
インドネシア バリ島  有料 \17,000
フィリピン マニラ    有料 \4,900

24ヶ国30都市  有料22都市、無料8都市

平成18年1月発行 「海外医療事情ハンドブック 2006」
(AIU保険会社)より抜粋


という訳で、24ヶ国30都市のうちで、
有料22都市、無料8都市ですから。

世界的には、救急車は有料の方が多いんですよ。
無料っていう国でも、ここには書いていませんけど。
緊急時にしか使えませんからね、救急車は。

軽症患者でも誰でも使えて、しかも無料
という国は、日本しかないんですよ。

軽症患者でも、どんなにわがまま言っても無料。
というシステムのせいで、実際に重症患者の所に
救急車が行くのが遅れて、命を落とす人がいる

というのが、今の現実ですから。

これを無くす為には、軽症患者のアクセスを制限する
という方法しかないと思いますよ。

救急車の出動回数を単純に減らすには、
最も効果があるのは、有料化です。

でも、これをやると、
本当に重症の患者まで
お金を取るっていう事になるので。
お金を取るなら、救急車呼ぶのをやめよう。
っていう人ができて、その結果、
助けられない人が出る、

っていうのが問題ですから。

救急車を呼んでも、重症の患者からは
料金を取らない、もしくは割り引く。

っていう方法が良いかな。
という風に、個人的には思います。

単純にいくなら、
入院した患者さんからは、救急車の料金を取らない。
という方法があるし。

その他には、私が以前に提唱した、
『時間外重症患者割引制度』
の記事にも書いたような制度。
重症の患者(医療費がたくさんかかった患者
からは、いくらか料金を割り引きしますよ。

という制度です。

具体的には、こんな感じ。
モトケンブログで、欄外さんがまとめてくれたので、
そのまま引用しますと。
『救急車の非常識な搬送要請』


「時間外診療および救急車利用について(割引制度あり)」
(手数料・利用料は仮です)
 
時間外診療手数料(A):5,000円
救急車利用料(B):5,000円
を、頂戴いたします。
 
ただし、
医療費自己負担額(C)が10,000円を超えた場合、
その超えた金額の半額(D)を、上記(A)(B)を限度に割引します。

ex.1
自己負担額2,000円の場合
時間内外来:\2,000(C)のみ = \2,000
時間外外来:\2,000(C)+ \5,000(A)= \7,000
時間外救急:\2,000(C)+ \5,000(A)+ \5,000(B)= \12,000

ex.2
自己負担額15,000円の場合
時間内外来:\15,000(C)のみ = \15,000
時間外外来:\15,000(C)+ \5,000(A)- \2,500(D)= \17,500
時間外救急:\15,000(C)+ \5,000(A)
        + \5,000(B)- \2,500(D)= \22,500

ex.3
自己負担額25,000円の場合
時間内外来:\25,000(C)のみ = \25,000
時間外外来:\25,000(C)+ \5,000(A)
       - \5,000(D)= \25,000((A)の限度額)
時間外救急:\25,000(C)+ \5,000(A)
       + \5,000(B)- \7,500(D)= \27,500

ex.4
自己負担額30,000円の場合
時間内外来:\30,000(C)のみ = \25,000
時間外外来:\30,000(C)+ \5,000(A)
       - \5,000(D)= \30,000((A)の限度額)
時間外救急:\30,000(C)+ \5,000(A)
       + \5,000(B)- \10,000(D)= \30,000

※時間内救急は、時間外外来と同じ


これ、以前に私がまとめた例よりもわかりやすいですね(笑)

時間外の患者だけでなく、救急車患者にも
この制度を応用すれば、
軽症患者が安易に救急車を呼ぶ、
っていう事が少なくなるんじゃないかなー、

と思います。



ちなみに

>110番に続き119番でも、
非常識な要請が広がっている傾向が裏付けられた形だ。


っていうのは、
『110番も、モラル低下』
の記事に書いた、読売新聞の調査の事っすよ。


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110番も、モラル低下
110番でも、モラルの低下は著しいようですねー。

このブログでは、「モンスターペイシェント」の話や、
時間外に来る軽症患者の話など。
結構、患者の側にも厳しい事を言っています。

参照:「モンスターペイシェント」
「時間外重症患者割引制度」

まあ、大学病院とか日本医師会とかに対しても、
厳しい事言ってるから。
どっちに甘いとか、厳しいっていうつもりはないのですが。

救急車を呼ぶ119番だけでなく、
警察を呼ぶ110番でも、
モラルの低下が著しいようですね。



「雨なので家まで送って」
非常識110番急増、警察業務に支障も


緊急性のない110番や事件事故と関係のない相談に、
各地の警察が苦慮している実態が
読売新聞の調査で明らかになった。

少なくとも37都道府県の警察本部が
業務と無関係な通報や苦情の実例を把握しており、
中には「雨が降ってきたので家に送って欲しい」
という要求まであった。

警察庁によると、110番の受理件数が減少傾向にある中、
こうした通報は増え続け、昨年は95万件に増加。
専用回線がふさがってしまうなど
業務に支障も出始めている。

全国の警察本部に取材したところ、
事例に関する回答がなかった10県を除き、
神奈川、石川、広島など37都道府県の警察本部が、
事件事故と無関係の通報・相談の実態を確認していた。

具体的には「○○さんの自宅の電話番号を教えて」
(山口県警)と110番を電話番号案内代わりに
使うケースや、「新しく買った携帯電話の電源が入らない」
(九州地方の県警)といった相談のほか、
「公衆トイレにいるが、紙が切れて困っている。
持ってきて」(埼玉県警)など私的な要求が目立っている。

警察庁によると、いたずら電話などを除いた
110番通報は2004年の953万件をピークに減少し、
07年は898万件にとどまったが、警察業務と無関係な
相談や要求は増加傾向にあり、
04年の88万件から07年は95万件に膨らんだ。

埼玉県桶川市の女子大生殺害事件(1999年)で
ストーカー相談を警察が放置した問題を受け、
警察は2000年以降、市民の訴えに
丁寧に耳を傾けている。

ある警察本部の担当者は「身勝手な要求に思えても
事件と関係ないとは言い切れないため、
時間をかけて対応している」と語る。

しかしモラルに欠けた通報が重なった結果、
警察官の現場到着が遅れるなど影響も出ており、
警視庁では週に1度は30秒以上、
110番回線がふさがる事態が起きている。

警察庁は「110番にかけるべき通報かどうか
良識を持って判断して」と訴えている。


参照: 「2008年5月6日:読売新聞」


軽症の患者救急車を呼ぶ回数が増えて、
本当の重症患者を搬送できなくって困っているとか。
救急車が現場に到着するのが遅れて困っている。
っていう話は、このブログだけでなく、
いろんな新聞やニュースでも流れていますけど。

モラルの低下救急車119番だけでなく、
警察110番にも現れているようですね。

必要もないのに119番救急車を呼んだら、
困るのは本当に助けなければならない重症の患者

自分の都合で110番を呼んだら、
回線がつながらないとか、
本当に警察が必要な人の所に、警察
行くまでの時間が遅くなってしまいます。

こんな事は、子供でもわかることなんですが。
残念ながら、それができない人が多いようですね。


はっきり言って、110番119番も、
悪意があって呼ぶとか、必要がなくてコールされる、
っていう事が前提になっていません。

だから、電話がかかってきたら、
「何かあったら困る」って事で、
おそらく必要ないだろう、って思っても、
善意でその人のところまで行かなければなりません。

しかも、「無料」で。

110番119番も、「無料」と「善意」に甘えて、
都合の良いように使う人が現れたら。
結局、損をするのは、本当に必要な人です。

性善説で、「無料」で、全員のところに行く。
って事になっているのかもしれませんが。

残念ながら、もうそういう時代じゃないんですよ。

110番自体を有料化するってわけにはいかないから。
必要なら、有料のサービスを紹介する。
もしくは、実際に行って、警察を呼ぶ必要がなかった
と判断される場合は、有料化
する。

119番救急車を呼んだ場合にも、
救急車有料化する。
本当に必要な、入院が必要な患者や、
高額な医療費が必要な患者だけ免除する


という法整備が必要だと思いますよ。


こっちは、yahooにも載っていた記事ですけど。


若い男から110番、出てみれば「ゴキブリが気持ち悪い」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080505-00000039-yom-soci


害虫駆除の依頼、恋愛相談……。
警察に舞い込む様々な電話に、
首をかしげたくなるような内容が目立つようになった。

地域住民と向き合う警察にとって、
モラルに欠ける要求でも無視するのは困難。
非常識な通報に追われることで、警察力の低下を
招くのではないかと危惧(きぐ)する声も出ている。

「ゴキブリが家の中に出てきて、気持ちが悪い」

昨年夏、大阪府内の警察署に、
若い男性から電話がかかってきた。
対応した署員は「自分で駆除できるはず」と考え、
この依頼を1度は断った。

しばらくして再び同じ男性から
「本当に困っている。来てくれ」。
最寄りの交番にいた50歳代の男性警部補が
男性宅を訪ねると、おびえた目つきで
ゴキブリを見つめる若いカップルが待っていた。
警部補はゴキブリを駆除し、死骸(しがい)を
ビニール袋に入れて持ち帰った。

この警察署の副署長は
「市民が助けを求めてきた以上、
むげに断ることはできないと判断したが、
ゴキブリの処理は警察の本来の業務ではない」と語る。

今年2月中旬、千葉県内の警察署に女性から
「恋人に振られてしまった」と電話があった。
女性は約20分間、相手の人柄や交際の経緯を
話し続け、翌日から連日のように
電話をしてくるようになった。
夜の当直体制で人手が少ない時間帯に
かかってくることも多かった。

山口県警では、110番を使って電話番号を尋ねる人に、
県庁など主な公共機関の番号は教える場合もあるが、
個人宅や民間企業の番号は答えていない。

110番は緊急の事件・事故に備えています。
不要・不急の電話はご遠慮下さい」と、
電話番号案内「104番」の利用を促すと、
「104番を使うとお金がかかるだろ」
と不満をぶつけてくる人もいたという。

全国の警察本部は1990年から110番とは別の
電話番号「#9110」で「不急の相談はこちらへ」
と呼びかけているが、#9110も業務と関係ない
個人的な要求や苦情は想定していない。

ある警察の広報担当者は
「緊急性がなくても警察が役立てる内容であれば
相談に乗りたいが、個人的な要求も増えており、
対応に苦慮することも多い」
とため息をついている。


参照: 「2008年5月6日:読売新聞」


はっきり言って、「善意」でも、ゴキブリを駆除するとか。
電話で恋愛の相談にのる、とか。
そういう事をするから、図に乗るやつがいるんですよ。

せいぜい、有料のゴキブリ駆除業者を紹介するとか、
占い師か恋愛相談サービスか。
よくわかんないけど、そいういう所を紹介する。
ってとこまでにするべきだと思いますよ。
正直。

本当は、そこまでしてあげる義理もないと思うけど。

警察は、警察の仕事に専念できる状況を作る。
でも、今の現状では、それは難しい。
っていうなら、そういう法律を作るなり、
規則なり規約を作る、って事にしないと。

結局は、損をするのは
本当に警察が必要な人
になるんですよ。


同じ様な事が、救急車や病院でも言えると思います。

救急車も、基本的には有料化
もちろん、必要のない人のところには
行かなくても良いって事にする。
そして、重症の患者だけ免除する

医者の場合も、応召義務があるからって。
患者という名の、ただクレームをつけるだけの人が、
病院に来ても、医師は診察しなければなりませんから。

そういうのは、診なくても良い。
という事にすべきだと思います。


残念ですけれど。
もう、「性善説」を基にしていちゃ
駄目な時代なんですよ。

悲しい事ですけどね。


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