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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
医師が足りない!
昨日(10/13)NHKでやっていた、
地域発 金曜特集 医師が足りない~崩壊する地域医療体制~」
を見ました。
なんか、番組の感想の記事ばっかで、すいません。

『地域発 金曜特集 「医師が足りない~崩壊する地域医療体制~』

全国各地で深刻化する「医師不足」。
一部の地域では病院の診療科が次々に閉鎖に追い込まれ、
地域医療崩壊の危機に直面している。
この問題についてNHKは今回、全国の放送局のネットワークを結集して
大型番組を放送する。

番組では、47都道府県を対象に行ったアンケートをもとに
医師不足の実態をデータで徹底分析。

「崩壊した救急医療」や「子供が産めない地域の現場」
それに「大都市でも起きた医師不足による病院のドミノ倒し」など、
各放送局から「崩れ行く地域医療」の現状を報告する。

さらにスタジオと全国各地を中継で結び、自治体の責任者、
大学病院の医師、市民など地域の声を届ける。

番組後半では医師不足解消に向けた各地の先進的な取り組みを
報告するとともに厚生労働省の担当者をスタジオに招いて、
国の医師不足対策が十分なのか検証してゆく。
聞き手は飯野奈津子解説委員。



なんか、このNHKの番組の宣伝を見るとたいそう
立派な事を言っているんですが。

ま、正直言うと物足りない内容でしたねー。

医師偏在、不足」じゃなくて、「医師不足」って言ってる
タイトルは良いんですけどね。


前半やっていた部分。

救急外来に来る患者が増える
    ↓
医者の負担が増える
    ↓
医者病院を辞める
    ↓
その病院の救急外来が中止
    ↓
その地域の他の病院にしわ寄せが来る
    ↓
で、また他の病院医者の負担が増える
    ↓
他の病院医者も辞める
    ↓
更に他の病院の救急外来も中止
    ↓
また別の病院の負担がもっと増える



という悪循環がある、という事は良いんですよ。
それが事実だし、現状を伝えるって事は大事なんでね。

で、この番組で出ていた小児科医の先生は、
深夜だけで70人患者を診ているとかね。

ま、これだけ患者を診ても、労働基準法上は、
労働じゃない」って事なんですけどね、ちなみに。



で、どうするって対策の話が後半にあったんですけど。

この番組の中で、厚生労働省の役人ってのが、
スタジオに来て話をしていたんです。

そいで結局、に関係する事は、で。
医者を集めるとか、そういう実務に関する事は、
地方自治体丸投げ

っていうの姿勢はわかりました。

結局、医師不足対策って。
地方に丸投げしか、してないじゃん。


都道府県医者を集めて、それを効率的に病院に配置する、
医師病院集約化

って話も出ていましたけどね。

現時点では、都道府県には医者を集める権限はないんですよ。
きっと、そんな事はわかっていて、
でも、にもできないから、地方に任せたって事なんでしょうけど。

今の地方自治体にできる事は、大学の医局に頭下げて、
医師を派遣してくれって言う事くらいなんですよ、
正直言うと。

大学の医局も、今は人で不足だから、
言われても期待に応える事は出来ないんですけどね。

それにも関わらず、大変な事は地方に任せる、
そいで、は渡さん。
っていうの姿勢はわかりました。

病院の集約化自体は、悪くないと私は思うんですが。
実際にやるとなると、元あった病院がなくなる所も出てきますから。

そしたら、そこの住民は反対って言うでしょうしね。
実際にやるのは、医者の確保と、住民の説得が難しいですけどね。


そして、必ず出てくる、「医師の地域医療の義務化」の話。

地方自治体の首長にアンケートをとって、
こう答えた人も多かったんですけどね。

はっきり言って、これをやると、
医者になる人が減りますからね、確実に。
より医師不足が深刻化しますよ。

わかっているんでしょうかねー。

人ごとだから、言っているようにしか思えないんですけど。


日本全国で対策の話が出ていて、有効な結論がないから、
これだけ医師不足が深刻な問題になっているわけで。

この番組だけで、結論を出せって言うつもりはないし、
結論が出なかったって事自体に文句言うつもりはないんですがね。


結論を出さないまでも、例えばこの悪循環の最初

救急外来に来る患者が増える

これって、緊急性のない患者も夜中に来るとか。
そういうのが多いって話なんですよね、実は。

次の日に来たら良いのに、昼は仕事してるから、とか。
タクシー代わりに救急車を利用する患者とか。

そういう人がいる、って事なんですよ。

はっきり言うと、時間外に来る患者2/3位は、
緊急性がないんです

だから、この2/3位緊急性のない患者を減らすことができれば、
医師の負担は軽くなるんですよ。

救急車を完全に受け入れない事にしてしまうと、
本当に重症で、必要な患者も受け入れられなくなるから。

だから、軽症患者は時間外に来ないように。
時間外の軽症患者負担をもっと上げる、とか。

軽症患者救急車を呼んだら有料にするとか。
時間内にいつも来ないで、時間外にばかり来る患者は、
病院の裁量で、初診料みたいに、
もっと料金を上乗せできるシステムを作るとか。

そしたら、悪循環の最初の部分。

医師の負担が増えて、医者が病院を辞める。

って所で断ち切れるから、悪循環が止まる可能性がある。
そういう事を、NHKでも言って欲しかったですねー。


医者をどうやって集めるか、とかばかりでなく、
患者サイドでできる事もあるんだよ、って事を、
少しでも取り上げて欲しかったんですけど。

残念ながら、そういうのは一つも出てきませんでしたねー。


今日(10/14)もPM7:30からNHKでまた放送があるみたいなんですが。
夜から、今月でいなくなる同僚と飲みに行くので、
録画して後で見る事にします。

見たら、また感想書きますね。

また感想ばっかに、なっちゃいますね(笑)。


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