大変だー。
ちょっと、ちょっと、ちょっとー。
サラリーマンや勤務医などの労働者にとって、
とんでもない法律が出来ちゃいますよー。
ま、厳密には新しい法律ができるんではなくって、
適用が除外になるって事なんですけどね。
「ホワイトカラー・イグゼンプション(適用除外)」
って言葉、最近新聞やテレビなんかでもよく出てくるので、
聞いたことある人も多いでしょうけど。
横文字だからわかりにくいと思いますが、
まずはこの記事をご覧下さい。
年収1千万円以上を軸に 労働時間規制の撤廃要件
「1日8時間、週40時間」の労働時間規制を撤廃する
「ホワイトカラー・イグゼンプション(適用除外)」の導入を
検討している厚生労働省が、対象労働者の要件として
年収1000万円以上を軸に検討していることが11月25日、分かった。
同省の年収要件案の数字が明らかになるのは初めて。
国税庁の昨年の民間給与実態統計調査によると、
年収1000万円を超える民間の給与所得者は4・8%だった。
適用除外をめぐっては、厚労相の諮問機関、
労働政策審議会の分科会で使用者側委員が「400万円以上」
として要件を緩やかにするよう主張。
一方、労働者側委員は「長時間労働を助長する」として
制度の導入そのものに反対しており、
厚労省の年収要件案にも労使双方の反発が予想される。
厚労省は年内に結論を出し、来年の通常国会での
労働基準法改正を目指しているが、
審議にはなお曲折がありそうだ。
厚労省が10日の分科会に示した素案は、
対象者の要件として
(1)労働時間では成果を適切に評価できない仕事をしている
(2)重要な権限と責任を相当程度伴う地位にある
(3)年収が相当程度高い−などを挙げた。
年収要件の設定に当たって厚労省は、
労基法で有期契約労働の期間の上限を
通常の3年より長い5年としている
「高度で専門的な知識等を有する者」の基準に着目。
基準に該当する職種として政省令で医師や弁護士のほかに、
年収1075万円以上のシステムエンジニアや
デザイナーなどを挙げていることから、
適用除外でも1000万円を軸とするのが妥当と判断した。
高度で専門的な知識があり1000万円程度の年収があれば、
一般的に重要な権限と責任を伴う地位にある
との要件にも合致するとしている。
厚労省は6月、適用除外を盛り込んだ中間報告素案を
分科会に提示したが、労使双方が反発して中断。
8月に再開し、厚労省は11月10日、
あらためて素案を示した。
参照:『北海道新聞:2006/11/25 』
日本だけでなく世界中で、
人を雇う方(資本家)よりも雇われる方(労働者)の方が
立場が弱いので、労働基準法という法律で、
労働者の立場が守られていたのですが。
今度それが、なし崩し的に、変えられようとしています。
それが、
「ホワイトカラー・イグゼンプション(適用除外)」です。
横文字になってわかりにくいですが、簡単に言うと、
労働基準法の除外になるわけですから、
「労働者を酷使して、いくら働かせても問題ない。」
と、法律でお墨付きを与えるものです。
「ホワイトカラー・イグゼンプション」
という名前ですから。
ホワイトカラー(管理職)の人間が対象になるんですね、本来。
管理職というのは、部下がたくさんいて、直接する
仕事よりも管理の方に重点を置く仕事なので。
ずーっと職場にいても、いなくてもある程度の自分の「裁量」
で仕事を決める事ができるから、時間外労働手当を
払わなくても良い。
というのが、本来の主旨です。
しかし今回、厚生労働省は、この対象労働者の要件として
「年収1000万円以上」を軸に検討しているようです。
「私、年収1000万円もないから、関係ないわ」
なーんて思っちゃ駄目ですよー。
これが施行されたら、なし崩し的に適応が広がって、
800万円、600万円、400万円と
下がっていくに決まってるんですから。
消費税だってそうだったでしょー。
最初は3%でこれ以上は上げない、って言っておいて。
今はどうなりましたか。
いつの間にか5%になって、参議院選が終わったら、
間違いなくまた上がりますよ、消費税。
法人税は下げる方向で検討しているみたいですけど。
今のところ「ホワイトカラー・イグゼンプション」は、
「高度で専門的な知識等を有する者」ってのを基準にして。
基準に該当する職種として医師や弁護士のほかに、
年収1075万円以上のシステムエンジニアやデザイナー
などを考えているみたいですが。
これ、医者が狙われているのかもしれませんね。
厚生労働省は医師不足を決して認めず、
医師が偏在化しているという立場なのですが。
その厚労省の役人が国会の答弁で、労働基準法を
医者に適用したら、今の2倍の数が必要だ。
と認めていますから。
この法案が成立したら、医者に労働基準法は
適用されないから、堂々と医者は2倍働いて当然で、
医師不足ではない、と言い切れますからね。
医者の年収は、普通の人に比べたら、高いです。
本来それは、「高度で専門的な知識」が必要だから、
時給が高い、というものであったはずなんですが。
最近は、なし崩し的に医師には時間外手当を
払わなくても当然というような風潮になって。
結局、人の2倍働いて、人の2倍
給料を貰っているという感じになっています。
医師は普通のサラリーマンと比べて、
総額は高いが、時給は良くて同じか、多分それ以下。
そこらへんが現状ではないかと思います。
しかも、当然のごとく訴訟のリスクはついて回るし。
給料には反映されていませんが、365日
24時間待機というのも含まれます。
たしかに、医師は「高度で専門的な知識」
が必要な職業ですよ。
でも、それでも所詮は雇われる立場の「労働者」です。
しかも、ほとんどの医師は労働組合に入っていません。
「高度で専門的な知識」を持っている。
「年収が1000万円以上」
という事と、
「裁量労働」が行えるという事には、関係がありません。
「労働者」としての立場の弱さにも、関係ありません。
ある医者の一例を挙げてみると。
午前中から、昼過ぎまで、50人の外来患者を診察。
そして、午後から10人の入院患者を診て、
検査データー等を処理して、
2人の検査(心エコーとか胃カメラ等)をしました。
そして、10人の患者の書類を書きました。
仕事のできる(早い)医者であれば、これらの仕事を
朝9時から午後5時までの間で、なんとかこなせるとします。
一般の人にはわかりにくい例えなんですがね。
正直言って、これだけの仕事をきちっと午後5時まで
にできる医者は「相当できる医師」だと思いますよ、私。
私は、かなり仕事が早い方(できるかどうかは別)だと思いますが、
ここまでのスピードでできるかどうかは、自信がないです。
もちろん、科によっても違いますけどね。
それが、仕事が丁寧、遅い、あまりできない、
という理由で同じ内容の仕事が午後7時までかかった。
それだけであれば、確かに時間外労働手当は、
必要ないのかもしれません。
実際、こういったルーチンの仕事が午後5時までに終わる医者、
というのは実際には非常に少なく、殆どの勤務医は
午後7時とか9時とか、もっと遅くまで、毎日働いています。
土、日、祝日も働いています。
しかし、医者はプライドが高い人が多いので、
こういったルーチンの仕事をして、結果的に遅い時間
まで働く事になっても、その分の時間は
時間外労働手当を要求しない医師が多いです。
しかし、別に医局で新聞読んで、ネットしていた時間の分、
残業代を請求しているわけではなく、本来の仕事をして、
労働時間が伸びているわけですから、
本来、時間外手当は貰っても良いものです。
しかし、医師の「プライド」と「善意」によって、
ほとんど請求がなされていない、というのが現状です。
上のルーチンの仕事を、とても仕事のできる医者がやって、
午前9時から午後5時までかかるとして。
更に急患が来て、2時間かかったとすると、
仕事のできる医者でさえ、終わるのは午後7時になります。
当たり前ですね。
しかし、ルーチンの仕事ではなく、急患が来たとしても、
その患者が来た時間が、午後5時よりも前であれば、
その患者のせいで仕事が終わるのが遅くなって、
残業をしたにも関わらず、時間外手当を請求しない
医者の方が多いです。
これも、単に医者の「プライド」と「善意」によるものです。
午後7時に患者が来て、9時まで2時間働いたら、
さすがにほとんどの医者は残業代を請求すると思いますが。
残業代は一切払わないという、病院もありますし。
何時間働いても1人1000円とか、そういう病院もあります。
明らかに労働基準法に違反していますけどね。
で、医者の業務が「裁量労働」かって話なんですが。
>外来患者50人
これは、外来に患者が来ているので、
「俺は昼から仕事」、っていう訳にもいかず。
病院に来た患者を、あまり待たせずに診るので、
医師の裁量の入る余地はありません。
>入院患者、検査
入院患者は夜もいますから。
入院患者の診察(回診)は夜でも、いつでも
医師の裁量で決める事はできますが。
看護師は昼は日勤で多いのですが、夜勤になれば少ないですし。
検査技師や放射線技師、事務員は日中しかいませんから。
実際には、救急の処置、検査以外は昼間にやらなければならないので、
裁量の入る余地は少ないです。
>書類書き
書類を書くのは、ほとんどの医師が、自分の裁量で、
日中ではなく昼間の勤務が終わった後とか、当直中とか、
自分の昼休みを潰して書いているので。
これには裁量の入る余地はあります。
しかし、時間外に書類を書いて、時間外労働手当を
請求する医師は、まずいませんけどね。
貰ってもよいはずなんですけどね、ホントは。
事務員は、夜まで事務仕事したら残業代貰ってるでしょ。
書類書きも立派な医師の仕事ですからね。
「病院」として、これは認めないとする病院が多いですが、
これも労働基準法違反ですね、本来。
>時間外の急患。
これは、全く裁量の入る余地はありませんね。
当たり前ですけど。
ということで、医師という仕事には、
「専門的な技術や知識」が必要です。
しかし、医師の裁量で決められる事は少ないです。
人の2倍働いているから、給料の総額も2倍多い、
単なる肉体労働者というのが、現状です。
ですから、私は「ホワイトカラー・イグゼンプション」
という制度にも、元々反対なのですが。
特にこれを医師に適用するというのは、大反対です。
「ホワイトカラー・イグゼンプション(適用除外)」
ではなく、全くそれとはかけ離れた法律
「労働者酷使法」。
これが最も、事実を反映していると思います。
さすがに、正しい法律の名前にしたら、
国民から大反対をくらって、自民党も選挙で負けますから。
分かりにくい横文字にして、最初は年収1000万円以上。
そして、医師とか弁護士などで、労働者の4.8%しかいないから、
と言って、反対すると思われる人たちを何とかごまかして、
そして制度を導入してから、なし崩し的に
年収等の用件を緩和させるという作戦です。
役人や政治家の常套手段ですね。
ごまかしたりとか、話を別の方にもっていく、とか
言い訳とか、そういうのは彼らは天才的ですから。
これ、導入したら、儲けるのは「企業」だけです。
景気が良くなっているとか言ってますが、
「企業」が儲かって設備投資が多いから、
数字としては、景気が回復しているにすぎないのにね。
日本で一番金を持っている「企業」
そして、「企業」からたくさんの献金を貰ってる「自民党」。
そこらへんですかね、得をするのは。
まずは、年収の用件を厳しくして、医師等を狙い打ちして、
そして、だんだん年収の用件を下げて、ほとんどの
サラリーマン(労働者)をこれに適用させて、
労働者を酷使しようという、企業側の作戦です。
横文字にして、本来の意味をわからなくして、
労働者をこき使おうというのは、
今に始まった事ではないんですがね。
「サラリーマン」という言葉も、本来は
「賃金労働者」と言えばわかりやすいですし、
最も現実を反映するんですが。
いつのまにか、横文字にされてますし。
「ホワイトカラー・イグゼンプション」も、
最も適切な言葉は、タイトルにも書いた
「労働者酷使法」なのではないでしょうか。
今は労働組合の力が弱く、企業の力が強いですし、
小泉ー安倍ラインでは、企業優遇の政策を
取っていますから。
このままいったら、この法案も成立しちゃうかもしれませんよ。
医療費削減と共に、重要な話だと思いますが。
いつの間にか、法案が通っちゃうんですかね。
声を上げた方が良いですよ、皆さん。
☆―――――――――――――――――――――――☆
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見事大賞に輝くのはいったいどれだ!?
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今年も「まぐまぐ大賞」の季節がやってきました。
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読者さんの推薦と投票により決定により、日本一を決定しようという、
年の瀬限定のスペシャルイベントです。
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私、Dr. Iのメルマガ、「やぶ医師のひとりごと」は2006年1月に
発行していますから。
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と書いて、推薦理由も書いて頂ければありがたいです。
よろしくお願いします。
推薦期間は11/24~12/4までになっています。
まだ読んだことのない人は、この機会に是非読んでみて下さいね!
ブログとはがらっと変わって、病気にならないように、
予防に重点をおいて、病気の解説を主にしています。
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ちょっと、ちょっと、ちょっとー。
サラリーマンや勤務医などの労働者にとって、
とんでもない法律が出来ちゃいますよー。
ま、厳密には新しい法律ができるんではなくって、
適用が除外になるって事なんですけどね。
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って言葉、最近新聞やテレビなんかでもよく出てくるので、
聞いたことある人も多いでしょうけど。
横文字だからわかりにくいと思いますが、
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年収1千万円以上を軸に 労働時間規制の撤廃要件
「1日8時間、週40時間」の労働時間規制を撤廃する
「ホワイトカラー・イグゼンプション(適用除外)」の導入を
検討している厚生労働省が、対象労働者の要件として
年収1000万円以上を軸に検討していることが11月25日、分かった。
同省の年収要件案の数字が明らかになるのは初めて。
国税庁の昨年の民間給与実態統計調査によると、
年収1000万円を超える民間の給与所得者は4・8%だった。
適用除外をめぐっては、厚労相の諮問機関、
労働政策審議会の分科会で使用者側委員が「400万円以上」
として要件を緩やかにするよう主張。
一方、労働者側委員は「長時間労働を助長する」として
制度の導入そのものに反対しており、
厚労省の年収要件案にも労使双方の反発が予想される。
厚労省は年内に結論を出し、来年の通常国会での
労働基準法改正を目指しているが、
審議にはなお曲折がありそうだ。
厚労省が10日の分科会に示した素案は、
対象者の要件として
(1)労働時間では成果を適切に評価できない仕事をしている
(2)重要な権限と責任を相当程度伴う地位にある
(3)年収が相当程度高い−などを挙げた。
年収要件の設定に当たって厚労省は、
労基法で有期契約労働の期間の上限を
通常の3年より長い5年としている
「高度で専門的な知識等を有する者」の基準に着目。
基準に該当する職種として政省令で医師や弁護士のほかに、
年収1075万円以上のシステムエンジニアや
デザイナーなどを挙げていることから、
適用除外でも1000万円を軸とするのが妥当と判断した。
高度で専門的な知識があり1000万円程度の年収があれば、
一般的に重要な権限と責任を伴う地位にある
との要件にも合致するとしている。
厚労省は6月、適用除外を盛り込んだ中間報告素案を
分科会に提示したが、労使双方が反発して中断。
8月に再開し、厚労省は11月10日、
あらためて素案を示した。
参照:『北海道新聞:2006/11/25 』
日本だけでなく世界中で、
人を雇う方(資本家)よりも雇われる方(労働者)の方が
立場が弱いので、労働基準法という法律で、
労働者の立場が守られていたのですが。
今度それが、なし崩し的に、変えられようとしています。
それが、
「ホワイトカラー・イグゼンプション(適用除外)」です。
横文字になってわかりにくいですが、簡単に言うと、
労働基準法の除外になるわけですから、
「労働者を酷使して、いくら働かせても問題ない。」
と、法律でお墨付きを与えるものです。
「ホワイトカラー・イグゼンプション」
という名前ですから。
ホワイトカラー(管理職)の人間が対象になるんですね、本来。
管理職というのは、部下がたくさんいて、直接する
仕事よりも管理の方に重点を置く仕事なので。
ずーっと職場にいても、いなくてもある程度の自分の「裁量」
で仕事を決める事ができるから、時間外労働手当を
払わなくても良い。
というのが、本来の主旨です。
しかし今回、厚生労働省は、この対象労働者の要件として
「年収1000万円以上」を軸に検討しているようです。
「私、年収1000万円もないから、関係ないわ」
なーんて思っちゃ駄目ですよー。
これが施行されたら、なし崩し的に適応が広がって、
800万円、600万円、400万円と
下がっていくに決まってるんですから。
消費税だってそうだったでしょー。
最初は3%でこれ以上は上げない、って言っておいて。
今はどうなりましたか。
いつの間にか5%になって、参議院選が終わったら、
間違いなくまた上がりますよ、消費税。
法人税は下げる方向で検討しているみたいですけど。
今のところ「ホワイトカラー・イグゼンプション」は、
「高度で専門的な知識等を有する者」ってのを基準にして。
基準に該当する職種として医師や弁護士のほかに、
年収1075万円以上のシステムエンジニアやデザイナー
などを考えているみたいですが。
これ、医者が狙われているのかもしれませんね。
厚生労働省は医師不足を決して認めず、
医師が偏在化しているという立場なのですが。
その厚労省の役人が国会の答弁で、労働基準法を
医者に適用したら、今の2倍の数が必要だ。
と認めていますから。
この法案が成立したら、医者に労働基準法は
適用されないから、堂々と医者は2倍働いて当然で、
医師不足ではない、と言い切れますからね。
医者の年収は、普通の人に比べたら、高いです。
本来それは、「高度で専門的な知識」が必要だから、
時給が高い、というものであったはずなんですが。
最近は、なし崩し的に医師には時間外手当を
払わなくても当然というような風潮になって。
結局、人の2倍働いて、人の2倍
給料を貰っているという感じになっています。
医師は普通のサラリーマンと比べて、
総額は高いが、時給は良くて同じか、多分それ以下。
そこらへんが現状ではないかと思います。
しかも、当然のごとく訴訟のリスクはついて回るし。
給料には反映されていませんが、365日
24時間待機というのも含まれます。
たしかに、医師は「高度で専門的な知識」
が必要な職業ですよ。
でも、それでも所詮は雇われる立場の「労働者」です。
しかも、ほとんどの医師は労働組合に入っていません。
「高度で専門的な知識」を持っている。
「年収が1000万円以上」
という事と、
「裁量労働」が行えるという事には、関係がありません。
「労働者」としての立場の弱さにも、関係ありません。
ある医者の一例を挙げてみると。
午前中から、昼過ぎまで、50人の外来患者を診察。
そして、午後から10人の入院患者を診て、
検査データー等を処理して、
2人の検査(心エコーとか胃カメラ等)をしました。
そして、10人の患者の書類を書きました。
仕事のできる(早い)医者であれば、これらの仕事を
朝9時から午後5時までの間で、なんとかこなせるとします。
一般の人にはわかりにくい例えなんですがね。
正直言って、これだけの仕事をきちっと午後5時まで
にできる医者は「相当できる医師」だと思いますよ、私。
私は、かなり仕事が早い方(できるかどうかは別)だと思いますが、
ここまでのスピードでできるかどうかは、自信がないです。
もちろん、科によっても違いますけどね。
それが、仕事が丁寧、遅い、あまりできない、
という理由で同じ内容の仕事が午後7時までかかった。
それだけであれば、確かに時間外労働手当は、
必要ないのかもしれません。
実際、こういったルーチンの仕事が午後5時までに終わる医者、
というのは実際には非常に少なく、殆どの勤務医は
午後7時とか9時とか、もっと遅くまで、毎日働いています。
土、日、祝日も働いています。
しかし、医者はプライドが高い人が多いので、
こういったルーチンの仕事をして、結果的に遅い時間
まで働く事になっても、その分の時間は
時間外労働手当を要求しない医師が多いです。
しかし、別に医局で新聞読んで、ネットしていた時間の分、
残業代を請求しているわけではなく、本来の仕事をして、
労働時間が伸びているわけですから、
本来、時間外手当は貰っても良いものです。
しかし、医師の「プライド」と「善意」によって、
ほとんど請求がなされていない、というのが現状です。
上のルーチンの仕事を、とても仕事のできる医者がやって、
午前9時から午後5時までかかるとして。
更に急患が来て、2時間かかったとすると、
仕事のできる医者でさえ、終わるのは午後7時になります。
当たり前ですね。
しかし、ルーチンの仕事ではなく、急患が来たとしても、
その患者が来た時間が、午後5時よりも前であれば、
その患者のせいで仕事が終わるのが遅くなって、
残業をしたにも関わらず、時間外手当を請求しない
医者の方が多いです。
これも、単に医者の「プライド」と「善意」によるものです。
午後7時に患者が来て、9時まで2時間働いたら、
さすがにほとんどの医者は残業代を請求すると思いますが。
残業代は一切払わないという、病院もありますし。
何時間働いても1人1000円とか、そういう病院もあります。
明らかに労働基準法に違反していますけどね。
で、医者の業務が「裁量労働」かって話なんですが。
>外来患者50人
これは、外来に患者が来ているので、
「俺は昼から仕事」、っていう訳にもいかず。
病院に来た患者を、あまり待たせずに診るので、
医師の裁量の入る余地はありません。
>入院患者、検査
入院患者は夜もいますから。
入院患者の診察(回診)は夜でも、いつでも
医師の裁量で決める事はできますが。
看護師は昼は日勤で多いのですが、夜勤になれば少ないですし。
検査技師や放射線技師、事務員は日中しかいませんから。
実際には、救急の処置、検査以外は昼間にやらなければならないので、
裁量の入る余地は少ないです。
>書類書き
書類を書くのは、ほとんどの医師が、自分の裁量で、
日中ではなく昼間の勤務が終わった後とか、当直中とか、
自分の昼休みを潰して書いているので。
これには裁量の入る余地はあります。
しかし、時間外に書類を書いて、時間外労働手当を
請求する医師は、まずいませんけどね。
貰ってもよいはずなんですけどね、ホントは。
事務員は、夜まで事務仕事したら残業代貰ってるでしょ。
書類書きも立派な医師の仕事ですからね。
「病院」として、これは認めないとする病院が多いですが、
これも労働基準法違反ですね、本来。
>時間外の急患。
これは、全く裁量の入る余地はありませんね。
当たり前ですけど。
ということで、医師という仕事には、
「専門的な技術や知識」が必要です。
しかし、医師の裁量で決められる事は少ないです。
人の2倍働いているから、給料の総額も2倍多い、
単なる肉体労働者というのが、現状です。
ですから、私は「ホワイトカラー・イグゼンプション」
という制度にも、元々反対なのですが。
特にこれを医師に適用するというのは、大反対です。
「ホワイトカラー・イグゼンプション(適用除外)」
ではなく、全くそれとはかけ離れた法律
「労働者酷使法」。
これが最も、事実を反映していると思います。
さすがに、正しい法律の名前にしたら、
国民から大反対をくらって、自民党も選挙で負けますから。
分かりにくい横文字にして、最初は年収1000万円以上。
そして、医師とか弁護士などで、労働者の4.8%しかいないから、
と言って、反対すると思われる人たちを何とかごまかして、
そして制度を導入してから、なし崩し的に
年収等の用件を緩和させるという作戦です。
役人や政治家の常套手段ですね。
ごまかしたりとか、話を別の方にもっていく、とか
言い訳とか、そういうのは彼らは天才的ですから。
これ、導入したら、儲けるのは「企業」だけです。
景気が良くなっているとか言ってますが、
「企業」が儲かって設備投資が多いから、
数字としては、景気が回復しているにすぎないのにね。
日本で一番金を持っている「企業」
そして、「企業」からたくさんの献金を貰ってる「自民党」。
そこらへんですかね、得をするのは。
まずは、年収の用件を厳しくして、医師等を狙い打ちして、
そして、だんだん年収の用件を下げて、ほとんどの
サラリーマン(労働者)をこれに適用させて、
労働者を酷使しようという、企業側の作戦です。
横文字にして、本来の意味をわからなくして、
労働者をこき使おうというのは、
今に始まった事ではないんですがね。
「サラリーマン」という言葉も、本来は
「賃金労働者」と言えばわかりやすいですし、
最も現実を反映するんですが。
いつのまにか、横文字にされてますし。
「ホワイトカラー・イグゼンプション」も、
最も適切な言葉は、タイトルにも書いた
「労働者酷使法」なのではないでしょうか。
今は労働組合の力が弱く、企業の力が強いですし、
小泉ー安倍ラインでは、企業優遇の政策を
取っていますから。
このままいったら、この法案も成立しちゃうかもしれませんよ。
医療費削減と共に、重要な話だと思いますが。
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推薦期間は11/24~12/4までになっています。
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