現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説! 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
産科医不当逮捕事件、検察へ異議あり
産科医が不当に逮捕された、福島の大野病院の件。
この裁判は、単なる医師とか、産科だけでなく、
今後の日本の医療の将来を左右する一大事件と考えていますので。
これからも、しつこく取り上げて行きたいと思います。

そいで、いろんな方のブログなんかを拝見したんですが。
こんな記事を見つけました。

ある産婦人科医のひとりごと」ってブログなんですがね。
これ、今回の大野病院での産科医不当逮捕事件に関して、
おそらく日本で一番詳しく書いたブログなんで。
ご存じの方も多いとは思いますけど。

その中の、2007.1.28の記事
「県立大野病院事件、初公判の翌日の報道」
の下の方、コメント(私見)ってところに書いてあった事が、
非常に気になりました。

>また、検察のいうところの専門書とは、『STEP』という
学生がよく持っている医師国家試験対策本のことを
言っているようですが、『STEP』は国試対策として、
産婦人科について何も知らない学生が、
試験直前に最低限の試験用の知識として
一夜漬けで丸暗記するための学習参考書で、
専門書とは到底言いがたい本です。

国試に合格して医師になったら誰も見ません。
そういう本が存在するということも、
この事件の報道で初めて知りました。
『STEP』が証拠として採用されて、
臨床医が読んでいるちゃんとした専門書や文献が
証拠として採用されなかったとすれば、
非常に由々しき事態だと思われます。


これが本当かどうかわかりませんし。
この記事の情報ソースも、
「S.Y.' Blog」
ってブログだそうですから。
はっきりした事は言えないんですけどね。
これがホントだとしたら、とんでもない事ですよ。

STEPって言うのは、いわゆる医師国家試験対策用の本です。
どんな本かって言うと、これもこの記事のコメントから抜粋。

>この本の前書きに書いてあるのですが、
これは産婦人科医が執筆したものではありません。
監修者の先生は、(ご存じのように)婦人科内視鏡の専門家で
産科専門家ではありません。

>ソースは不明ですがどうもSTEPの中には医師
執筆していないものすら混じっているらしいです。
つまり国家試験に落ちて医師国家試験予備校に通っている人に
お願いして一部を書いてもらい、
それを監修の先生がチェックして出版と、
考えようによっては文字どうり‘国試対策本’ということです



まだ一般の人には、わかりにくいですかね。
ちょっと、もう少しわかりやすい例を出してみましょうか。

司法試験を受ける、法学部の学生とかそういう人達向けの本。

猿でも受かる、司法試験!刑事事件編

みたいな、本ですよ。
司法試験で言えば。

その本を書いているのは、本物の弁護士も中にはいるけど。
予備校生がバイトで書いたりとか、内容はかなり怪しい。
で、しかもこの本の監修は、一応弁護士だけど、
専門は民事で、離婚が得意。

そんな感じでしょうかねー。

今後の日本の司法、弁護士の将来を決める。」
みたいな一大事件が、ある裁判で起こって。
その時に司法の専門書として検事が出した本が、
どこの馬の骨が書いたか、よくわからない、
学生向けの、受験用のマニュアル本
しかも、監修は専門外の人間の

猿でも受かる、司法試験!刑事事件編

だったら、笑えませんか。
検事の人達。
日本中の弁護士は、反対するでしょ、絶対。
で、いろんな弁護士が、本物の専門書をいっぱい出したのに、
それらは全部「不採用」。

それと同じですよ。
この件に関しては、日本中の医師が反対しています。

そんな物は、「専門書」とは言いません。
どこの世界でも一緒です。


ま、それはあくまで噂で、情報が確かかはっきりしないので。
その件は置いておいて。

一般の人達から見たら、「産婦人科」ってひとくくりだけど。
産科」と「婦人科」っていうのは、全く別の科です。
どっちも女性を扱う科なので、両方やっている医師が多いですが。
実際は、「全く別の学問」です。


前回の記事「速報:産科医不当逮捕事件、公判生の声」
でも書いてますけど。

今回の事件は、自然科学分野で高度に専門化した領域なんです。
だから検察官は、周産期医療の専門家産科医
に頼まなきゃ駄目なんですよ。
できれば、「胎盤病理医」「子宮病理医」に
鑑定結果の証拠として求めるべきです。
今回、検察官は「産科」の専門家ではなく、
婦人科」の専門家の意見を証拠として取り上げているんです。

この方「婦人科の腫瘍の専門医」って事だから。
腫瘍に関しては、日本で有数の人なのかもしれませんがね。
だとしたら、逆に婦人科、腫瘍ばっかりやって、
産科」はあまりやっていない可能性が高いですね。
時間には限りがありますから。
何かの分野でトップになるには、
他の事は捨てないと、普通は無理ですから。

今回の事件で問題になったのは、「癒着胎盤」っていうのは、
数千例に一人しかいない、希な症例ですから。
下手したら、この鑑定人。
癒着胎盤」を一回も見た事がないかもしれませんよ
胎盤剥離の経験も一回もないかもしれませんよ

誰が鑑定人で、どの位の産科の経験がある人か知らないので、
あんまりはっきりとは言えませんけどね。
でも、そんな人が「鑑定人」かもしれませんよ。


検事が医学に関して素人なのはわかるけど。
素人だったら、何やっても良いって事にはならんでしょ。

野球の審判」を頼むのに、同じスポーツだからって、
サッカーの審判員」に頼むようなものですよ。
で、弁護側がたくさんの野球の審判員の意見出したら、
それらは全て「不採用」。

あくまで、「鑑定人」ですから。
絶対に、「その道の専門家」に頼むべきなんですよ。

鑑定の仕方もおかしいですし。
もっとおかしいのは、証拠の採用に関してです。

>泉谷P「調書は開示している。証拠の不同意は問題ない。
  それを証拠隠しとは不法であるかのような言い方では誤解される。」
主任B「(興奮気味に)教科書や鑑定書の証拠を隠して、
  不同意にしたのは事実だ。黒塗りも事実だ」
泉谷P「(湯気がでている)前代未聞とは言い過ぎだろう。
  誤解が生じる。」


って事は、逆に言うと。
前代未聞じゃない、って事ですから。
「都合の悪い証拠を採用しないのは、いつもやってる事。」って事ですかねー。
ホント、あきれちゃいますね、日本の検察には。

起訴されたら日本の場合、99%は有罪になるんで。
世界的にも「おかしい、異常だ」って言われているんですが。
やっぱ、「自分たちに都合の悪い証拠は採用しない
って事を、しょっちゅうやってる、って事なんでしょうねー。

裁判、っていうのは「真実を明らかにする所
だと思っていたんですが。
なんか、日本の場合は違うみたいですねー。
残念です。


もし、今回の事件で、鑑定人が誰で、
その人の「お産」の経験はこの位。
という事を知っている方がいらっしゃったら、
教えて頂ければ幸いです。
よろしくお願いします。

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