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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
小児科医、過労死認定
またしても。
またしても、残念なニュースがありましたね。

これだけ医師不足医療崩壊が叫ばれていて。
医師の中でも、最も医師不足と言われているのは、
産科医小児科医ですが。

ある小児科医の先生が過労で亡くなられましたね。


小児科医死亡は過労死 
時間外、月100時間超 道労働局認定  

道北の公立病院などに勤務していた小児科医の男性
=当時(31)=が突然死したのは、
月百時間を超す時間外労働による過労死だとして、
遺族が旭川労働基準監督署に労災を申請していた問題で、
北海道労働局は二十二日までに、労災と認定し、
遺族補償年金の支給を決めた。

医師過労死認定は全国的にも極めて珍しい。
医師不足の原因の一つとされる勤務医の過酷な労働実態の
見直しを求める声が、さらに強まりそうだ。

男性医師は二○○二年四月から○三年七月まで臨時職員として、
○三年八月から正職員として、公立病院に勤務。
同年十月に富良野市の民間病院に移ったが、六日目に自宅で突然死した。

遺族や関係者によると、男性は公立病院で、
一市三町(当時)の小児救急を他の医師二人と共に支えていた。
午前九時から午後五時の通常勤務に加え、
泊まり込みの当直が月三-四回あった。
さらに救急患者のために待機する当番が月二十-二十五日あり、
多い日で一晩に五回呼び出されたという。
月の時間外勤務は平均百時間を超え、休みは月に一、二日だった。

小児科の救急外来には毎晩平均五人の患者があり、
男性の当時の上司は「患者数に比べ医師が足りなかった」と打ち明ける。

また、富良野の病院ではわずか五日間で
三十二時間の時間外労働をしていた。
突然死する前日の夜も呼び出しの電話で飛び起き、
病院に向かったという。

遺族は「『僕が死んだら働きすぎだから』
ってよく冗談で言っていました」と振り返る。

国は業務と疾患の因果関係を認める基準として
「発症前二-六カ月間、月八十時間を超える時間外労働」
を挙げているが、医師の死亡前一年間の時間外労働は
毎月百時間を超えていた。

労働局労災補償課は「労災保険の対象外の公立病院正職員だった
二カ月を除く期間で、過重負荷の労働があったと判断した」
と説明している。

申請を担当した高崎暢(とおる)弁護士(札幌)は
「あまりに過酷な勤務であり、(職場管理者が)事前にやめさせるべきだった。
労災認定は当然」と指摘。
医師が勤務していた公立病院長は「今は取材に応じられない」と話している。


北海道新聞:2007/02/23 07:06

「yahooニュース:2007/02/23」


はっきり言って、ニュースにならないだけで、
医者精神に異常を来したり、過労で亡くなったり
という事は、もはや珍しい事ではなくなっています。

珍しいのは、「労災認定された」って事だけです。

ニュースの記事にもあるように、
医師労災申請が認められる」って事は、とても珍しいんです。

「医者の当直2」の記事でも書いてあるように。
本来、医者当直っていうのは、外来の患者を診る。
とか、そいう「医学的な仕事はしない」って事が前提になってます。
でも、ほとんどの医師当直の時に外来、入院患者を診察して、
それに関しては、時間外手当を要求していません。

だから、仮に当直勤務がものすごーく忙しくて、
夜から朝まで患者をみて、一睡もできないで、
ずーっと仕事をしていたとしても。

医者は普通、時間外手当を請求していませんから。
労働した、って「証拠」がないんですよ。
だから、当直の時にはどんなに働いても
労働したって認定」はされないんですよ、普通。


医者の仕事っていうのは。
通院する患者を診る、「外来業務」。
入院患者を診るって業務。
それに、その科特有の「検査や手術」なんかの業務。
そして、夜も病院に泊まり込む「当直」。
更に、時間外に当直の先生では診る事ができない、
専門的な患者が来た場合の、呼び出しへの対応、「当番」。

主なところで、こんな所です。

それ以外にも、めんどくさい、書類書きとか。
くだらない、と言ったら悪いかもしれないですけど、会議とか。
看護師や他の科の医師に対する、勉強会の講義とか。
そういった仕事もありますけどね。


日中外来の仕事が忙しくって、検査が多くって、
入院患者を診察したりするのが遅くなって。
結局、夜遅くまで仕事がかかってしまった。

こういう場合、多くの医師時間外手当の請求をしません

患者の数が多くって。
重症の患者が多くって、仕事が終わるのが、夜遅く。

こういう場合も、時間外手当を請求しない事が多いです

時間外に患者が来て、呼び出されて、
それで診察とか処置をした。

これは、たいてい時間外手当の請求をすると思いますが。
小児科の場合、病院によっては子供は全部小児科医が診る。
ってところもあって。

簡単な風邪とかで、診察がすぐに終わったら、
時間外手当の請求をしない場合も多いでしょう。


重症患者が多い。
検査の数が多い。
外来患者の人数が多い。

そういった事で、夜遅くまで仕事をしていても、
それに関しては時間外手当を請求しない事も多いので。
医者の場合は、「労働をした、って証拠」が少ないです。

それに、当直中に仕事をしても、
それは仕事と認定されていないんでしょうかね。

そういった理由で、医師の場合は、
労災の認定がされにくいのかもしれません。


この小児科医の場合。

病院には、小児科医師三人で、この方は31歳です。

世間では31歳といえば、「中年」、「おっさん」
と言われる年かもしれませんが。
31歳医者であれば、医者5-7年目位ですから。
いわゆる「若手医師」になります。

>救急患者のために待機する当番が月二十-二十五日

ですから。
おそらく、あと二人の小児科の先生は、部長とかそのクラスなんでしょう。
3人いれば、3人で10日ずつ、ってわけにはいかず。
やっぱり、1人だけ年齢がだいぶ下になれば。
週末はほとんど、この先生が当番で、
それ以外の日も多くは、この先生が当番だったのでしょう。

ちなみに、「当番」っていうのは。
病院には必ず「当直医」っていうのが1人はいるんですが。
病院に急患が来たら、まず当直医が診て、
それで、その先生の手に負えない。
これは、専門の先生に診て貰わなければならない。
って場合があれば、その時にその専門医師を呼びます。
その時に、この日は何科なら、何先生って決まってるんですよ。
それが、その科の「当番」ってやつです。

もちろん、外来患者だけでなく、入院患者で
専門的な治療が必要って場合にも呼ばれます。

>月の時間外勤務は平均百時間を超え、

一ヶ月の時間外勤務が100時間なら、俺でもあるよ。
って思った方もいらっしゃると思いますが。

上に書いた理由などにより、この先生が時間外に働いた時間のうち、
時間外労働と認定」されたのが、月100時間以上
って事です。
それが、一年間ずーっとなんです。

実際に働いているのに、認定されていない労働が、
もっともっとあるはずです。

それに、この地域には小児科医3人しかおらず。
そのほとんどの日で、この先生が当番なわけですから。
地域の小児救急のほとんど全てを任される責任。
いつ呼び出されるかわからないプレッシャー。
いつ訴えられるかっていう、訴訟に対するプレッシャー。


そういった「精神的なプレッシャー」に加えて、
労働時間も長くなり、過労で亡くなった。
そういう事だと思います。

「96%の医師は当直明けも勤務」の記事で書いたように。
医師の一ヶ月の平均時間外労働時間は、63.2時間です。

これには、勤務医でも、院長、副院長クラス等、
診療をほとんど行っていない医師
部長、科長クラスで、当番をやってはいるが、少ない医師
午前9時から午後5時までの労働を守らせなさい、って事を
厚労省に厳しく言われている研修医
そして、開業医も入っていますから。
それで、平均63時間な訳ですから。

若手医師や、小児科医であれば、
一ヶ月の時間外労働時間が100時間というのは、
さほど珍しい事ではありません

この小児科医が特別に忙しくて、それで過労死した。
というわけではなく、こういった事は日本全国、
どこの医者に起こっても不思議はないんです。

そこまで、日本の医師不足は深刻な状況なのですが。
政府や厚生労働省は、この実態をわかっているんでしょうか。
そして、それに対して、何か対策を取る気があるんでしょうか。


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