「加古川、心筋梗塞事件」の記事の続きです。
まだ読んでいない人は、こちらを先に読んでね!
この記事のコメント欄に、内部情報の話が届いたんですが。
そちらに関しては、もう少しまとまってから
記事にしようと思っているので。
もうちょっと待ってね!
今日は、あくまでもこの新聞記事からわかる範囲で、
心筋梗塞という病気、一般論に関して話していきます。
まずは、前の記事の復習。
ある日曜日に、患者が歩いて病院に来たんです。
で、いろいろ検査して、心筋梗塞だろう、と判断した。
その病院では、最新のカテーテル治療
(経皮的冠動脈再建術:PCI)ができないので。
それができる専門の病院に搬送しようと思ったのですが。
それまでに、70分の時間がかかって、
残念ながら、患者は亡くなってしまったんです。
それで、患者側が医療裁判を起こした。
で、神戸地裁では、70分搬送が遅れて、
それで亡くなったのだから、医療ミスだ。
って事で、医師側が敗訴した、という事件です。
すごく重症の心筋梗塞の患者の場合。
最新のカテーテル治療(経皮的冠動脈再建術:PCI)
を行っても亡くなった可能性が高いですし。
ましてや、70分早いだけで、
助かったって根拠は全然ないのに。
70分搬送が早ければ、90%は助かった。
って判決はおかしい。
という話でした。
前回は、予備校生と大学受験の例えをあげて、
よりわかりやすい話をしたのですが。
私、一応、「やぶ医師」とはいえ、
循環器内科が専門なもので。
新聞記事では詳細はわからないんですが、
今回の事件の経過と、一般的な心筋梗塞の治療、
そして、それにかかる時間なんかについて、
お話しをしていきたいと思います。
あくまでも、新聞記事をベースにした推測と、
一般論ですので、そこらへんはご了承下さい。
おおざっぱに、事件の経過をまとめると。
2003年3月30日(日)
12:15pm 来院
12:40pm 心筋梗塞と診断
13:50pm 転送を要請
15:35pm 死亡
って事です。
日曜日に、患者が歩いて病院に来たんです。
日曜日には普通、病院が開いていませんから。
外来もやってないし、外来についている
看護師もいないんです。
まずは、守衛さんが出て、患者は保険証を出して。
以前にその病院を受診した事があれば、
カルテを探して倉庫から持ってくるし。
なければ、新しく作らなければならないんです。
そして、何故病院に来たのか。
どんな症状なのか、持病はあるか、
飲んでいる薬はあるか、等。
そういった事を看護師が、ざっと聞いて。
その後、医師の診察が始まります。
ずーっと外来にかかって、何回も自分で診ている患者なら。
今までの経過をだいたい把握していますから。
話を聞くのに、そんなに時間はかかりませんけど。
初めて診た患者の場合は、詳細に病歴を取って、
どんな症状があるのかを聞かなければなりませんから。
普通、10分かそこらでしょうかね、話を聞くの。
そして、胸の音を聞いたり、血圧を測ったり。
そういった身体所見を取ります。
その後、必要であれば、検査をします。
この患者の場合。
新聞記事では、
>03年3月30日、 自宅で心筋梗塞の症状が出たため、
って書いていますけど。
前から私が言っているように、患者は
「私は心筋梗塞です」
って札をつけて来るわけじゃないんですよ。
いろんな症状があって、話を聞いて。
診察をして。
必要であれば、検査をして。
それで、「あ、心筋梗塞の可能性が高いな。」
って、診断する訳ですよ。
しかも、この検査をすればすぐに、100%診断がつく。
って検査はないんですよ、普通。
いろんな症状とか、検査とかを総合的に判断して。
それで、この病気の「可能性が高いな。」
って診断するんですよ。
心筋梗塞の症状っていうのは、
前回の記事でも書きましたが。
普通は、「胸が痛い」、って症状です。
でも、みんな同じ様な痛みではないし。
人によっては、みぞおちが痛い、胃が痛い。
左肩が痛い、顎が痛い、歯が痛い。
とか、痛みはないが、重苦しい感じとか。
ホントに、人それぞれなんですよ。
心不全があれば、息が苦しいとかもあるし。
で、今回の経過なんですが。
12:15pm 来院
12:40pm 心筋梗塞と診断
患者が病院に着いてから診断をするまでに、
25分しかかかっていませんね。
これは、すごく早い方だと思います。
普通、患者の話を聞いて診察するのに、10-15分。
それで、心筋梗塞を疑って、「心電図」を取るんです。
この検査、平日の昼だったら、
検査室に行って、心電図をとって、
それで診察室に帰って来るまでに、
普通は30分―1時間位かかります。
たまたま日曜日で、救急外来だったから、
5分か10分か、その位で検査できたんでしょうね。
患者が病院に来て、守衛がカルテを出すか、作って。
看護師が話を聞いて。
医者が話を聞いて、心電図を取って、
心電図の所見を読んで。
それで合計25分。
これ、はっきり言って、最速です。
循環器内科医が診ても、これ以上の早さでは
診断できませんから。
他の科の先生が、このスピードで
心筋梗塞と診断できれば、かなりのもんです。
循環器内科医が当直医で。
救急車で胸痛の患者が来る、って事前にわかっていれば。
最初から、救急外来に心電図の機械を置いておいて。
患者が来た直後に心電図の検査をして。
同時に話を聞いて、って同時並行で
検査とかを進めていけば、10分くらいで
診断できる事も、場合によってはありますけど。
外来に歩いてきた患者の場合。
これ以上のスピードで診断するのは、まず無理です。
で、上でも言いましたけど。
「100%の精度で診断できる検査」、って。
基本的にはありませんから。
ましてや、この当直医は循環器内科医じゃないので、
心電図1枚で、100%心筋梗塞と診断する、
っていうのは、基本的には無理があります。
だから、それ以外にも、採血の検査をしますね、普通。
どうせ、心筋梗塞の治療で、点滴をするので。
点滴のルートっていうのを取りますから。
その時に、一緒に採血をする事になります。
で、心筋梗塞の治療をするわけですが。
心筋梗塞の治療って、おおざっぱに、まずは安静。
そして、点滴と酸素です。
循環器内科医なら、それが専門だから。
心筋梗塞の時に、どの位の体格、年齢ならば、
どんな点滴をどの位の量、どの位のスピードで
使えばよいのか、ってのはすぐに出ますから。
数分で、指示を出して。
そいで、看護師が点滴のルートを取って、
点滴、注射の薬を作って、酸素やモニターをつけて、
って所まで10-15分くらいでしょうけど。
他の科の先生が、そのスピードで
適切な指示を出すのは、無理です。
使い慣れていない薬であれば。
適当に指示を出すわけにはいきませんから。
薬の本を見て、適切な薬、量を調節して。
薬も、一つだけじゃなく、二つ、三つ使う事もあるので。
そういうのを全部調べて。
それぞれ、順に指示を出す訳ですから。
もっと時間がかかるのは、当たり前です。
看護師がそういうのに慣れていなくて、
手間取っていれば、もっとかかりますしね。
そして、適切な治療を行って、一段落ついたら、
もう一回くらい、患者の話を聞きますかね。
25分で心筋梗塞の可能性が高い、
って判断をしていますから。
おそらく、ざーっとしか患者の話を聞いないでしょう。
もっと詳しく、いつからどういう症状があったのか。
それはずーっと続いているのか、
前に同じ様な痛みがなかったか。
他に病気はないか、薬は飲んでないか。
そういった、細かい話を患者から聞きますね、普通。
そして、その後、患者と患者の家族に話しをします。
「胸痛があって、心電図の検査をしたら、
心筋梗塞という、死ぬかもしれない非常に
重篤な病気の可能性が高い。
この病院では、カテーテル治療
(経皮的冠動脈再建術:PCI)はできないので。
採血の結果を見て、心筋梗塞と診断できれば、
他の病院に救急車で転院してもらう。」
そんな感じでしょうかね、多分。
死ぬかもしれない、非常に恐ろしい病気の
説明をするんだから。
1分とかでは、終わりませんよね、普通。
最低でも、5分か10分はかかります。
そして、その話をしてから、搬送先の病院を決めます。
アルバイトで来た病院ですから。
心筋梗塞、循環器疾患で、緊急で受け入れれくれそうな病院が
どこかとか、そういうのは詳しくないでしょうから。
その病院の看護師とかに相談して決めますよね、
その日の当番病院がどこか、とかも調べるでしょう。
こういうのを聞いたり調べたりするのに、5-10分位でしょうか。
まとめると。
点滴のルート取り、採血、治療
循環器内科医 10-15分
その他の科の医師 20-30分
追加で患者の話を聞く
10分
患者、患者の家族に、病気の説明
10分
患者の搬送先を調べる
5-10分
で、合計で1時間位でしょうか
これって、あくまで最速の場合ですから。
アルバイトで来ている他の病院だし。
どの薬が、この病院に置いてあるか、
とかもわからないわけだし。
家族への説明に、もっと時間がかかったり。
専門ではないので、心電図の所見を読むのに、
もっと時間がかかったりとか。
いろんな要素があるので。
今回の場合、70分かかっていますけど。
時間に関しては、平均的な時間だと思いますね、私は。
しかも、普通、日曜日に採血したら。
結果が出るのに、1時間くらいかかりますから。
これ以上のスピードで行っても、
どうせ採血の結果を待つのであれば、
あまり変わらないと思いますけどね。
循環器内科医であれば、症状と心電図の所見
を見ただけで、心筋梗塞の可能性が
非常に高いから、採血の結果を見ずに
他の病院に送ろう。
って事になるかもしれませんけど。
他の科の医師に、それを求めるのは
ちょっと酷だと思いますよ、私は。
循環器内科医でも、心電図の所見が
典型的ではない場合。
採血の結果を見て、どうするか決める、
って事もよくありますからね。
この裁判官が問題にしているのは。
12:40pm 心筋梗塞と診断
13:50pm 転送を要請
という、心筋梗塞と診断してから、
他の病院に転送するまでの時間の事ですけど。
一番の問題点は、
12:40pm 心筋梗塞と診断
これが、「確定診断」ではない、って点ですね。
循環器内科医ではない医師が、心電図1枚で
心筋梗塞を診断するのは、普通は無理ですから。
この段階では、あくまでも
「心筋梗塞の可能性が高いだろうな」
って事なんですよ。
時間経過からして、12:40pmの段階では、
おそらく採血の結果は出ていませんから。
あくまでも、「心電図1枚の結果」です。
この時点から、70分遅れたのでおかしい。
って話は、ないでしょ、どう考えても。
その70分の中には、患者や患者の家族に
話をする時間も含まれているんですよ。
もし、この裁判官が言うとおりやるとすると。
循環器内科医ではない医者が、
心電図1枚取って、心筋梗塞を疑った。
そしたら、採血もせず、治療もせず。
患者や患者の家族に話しもせずに、
他の病院に勝手に転送する。
って事ですか。
それこそ、そっちの方が問題ありませんか。
心筋梗塞と診断したのに、治療をしていない。
患者や家族に話もせず、勝手に他の病院に送った。
って事になりますよね。
それで良いんですか?
そうじゃないと、裁判で負けるって事ですか。
循環器内科医ではない医者が
心筋梗塞、って診断を心電図1枚でしろ。
って事自体にも無理がありますしね。
今回の事件の場合。
裁判官が問題にしているのは、
「70分搬送が遅れた」、って事のみですので。
おそらく、治療そのものは適切だったのだと思います。
その70分の中身を、よく考えて、
判決を出してもらいたいものですね。
心筋梗塞になりたくなかったら、
これを読んで生活習慣病を予防してね!
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この記事のコメント欄に、内部情報の話が届いたんですが。
そちらに関しては、もう少しまとまってから
記事にしようと思っているので。
もうちょっと待ってね!
今日は、あくまでもこの新聞記事からわかる範囲で、
心筋梗塞という病気、一般論に関して話していきます。
まずは、前の記事の復習。
ある日曜日に、患者が歩いて病院に来たんです。
で、いろいろ検査して、心筋梗塞だろう、と判断した。
その病院では、最新のカテーテル治療
(経皮的冠動脈再建術:PCI)ができないので。
それができる専門の病院に搬送しようと思ったのですが。
それまでに、70分の時間がかかって、
残念ながら、患者は亡くなってしまったんです。
それで、患者側が医療裁判を起こした。
で、神戸地裁では、70分搬送が遅れて、
それで亡くなったのだから、医療ミスだ。
って事で、医師側が敗訴した、という事件です。
すごく重症の心筋梗塞の患者の場合。
最新のカテーテル治療(経皮的冠動脈再建術:PCI)
を行っても亡くなった可能性が高いですし。
ましてや、70分早いだけで、
助かったって根拠は全然ないのに。
70分搬送が早ければ、90%は助かった。
って判決はおかしい。
という話でした。
前回は、予備校生と大学受験の例えをあげて、
よりわかりやすい話をしたのですが。
私、一応、「やぶ医師」とはいえ、
循環器内科が専門なもので。
新聞記事では詳細はわからないんですが、
今回の事件の経過と、一般的な心筋梗塞の治療、
そして、それにかかる時間なんかについて、
お話しをしていきたいと思います。
あくまでも、新聞記事をベースにした推測と、
一般論ですので、そこらへんはご了承下さい。
おおざっぱに、事件の経過をまとめると。
2003年3月30日(日)
12:15pm 来院
12:40pm 心筋梗塞と診断
13:50pm 転送を要請
15:35pm 死亡
って事です。
日曜日に、患者が歩いて病院に来たんです。
日曜日には普通、病院が開いていませんから。
外来もやってないし、外来についている
看護師もいないんです。
まずは、守衛さんが出て、患者は保険証を出して。
以前にその病院を受診した事があれば、
カルテを探して倉庫から持ってくるし。
なければ、新しく作らなければならないんです。
そして、何故病院に来たのか。
どんな症状なのか、持病はあるか、
飲んでいる薬はあるか、等。
そういった事を看護師が、ざっと聞いて。
その後、医師の診察が始まります。
ずーっと外来にかかって、何回も自分で診ている患者なら。
今までの経過をだいたい把握していますから。
話を聞くのに、そんなに時間はかかりませんけど。
初めて診た患者の場合は、詳細に病歴を取って、
どんな症状があるのかを聞かなければなりませんから。
普通、10分かそこらでしょうかね、話を聞くの。
そして、胸の音を聞いたり、血圧を測ったり。
そういった身体所見を取ります。
その後、必要であれば、検査をします。
この患者の場合。
新聞記事では、
>03年3月30日、 自宅で心筋梗塞の症状が出たため、
って書いていますけど。
前から私が言っているように、患者は
「私は心筋梗塞です」
って札をつけて来るわけじゃないんですよ。
いろんな症状があって、話を聞いて。
診察をして。
必要であれば、検査をして。
それで、「あ、心筋梗塞の可能性が高いな。」
って、診断する訳ですよ。
しかも、この検査をすればすぐに、100%診断がつく。
って検査はないんですよ、普通。
いろんな症状とか、検査とかを総合的に判断して。
それで、この病気の「可能性が高いな。」
って診断するんですよ。
心筋梗塞の症状っていうのは、
前回の記事でも書きましたが。
普通は、「胸が痛い」、って症状です。
でも、みんな同じ様な痛みではないし。
人によっては、みぞおちが痛い、胃が痛い。
左肩が痛い、顎が痛い、歯が痛い。
とか、痛みはないが、重苦しい感じとか。
ホントに、人それぞれなんですよ。
心不全があれば、息が苦しいとかもあるし。
で、今回の経過なんですが。
12:15pm 来院
12:40pm 心筋梗塞と診断
患者が病院に着いてから診断をするまでに、
25分しかかかっていませんね。
これは、すごく早い方だと思います。
普通、患者の話を聞いて診察するのに、10-15分。
それで、心筋梗塞を疑って、「心電図」を取るんです。
この検査、平日の昼だったら、
検査室に行って、心電図をとって、
それで診察室に帰って来るまでに、
普通は30分―1時間位かかります。
たまたま日曜日で、救急外来だったから、
5分か10分か、その位で検査できたんでしょうね。
患者が病院に来て、守衛がカルテを出すか、作って。
看護師が話を聞いて。
医者が話を聞いて、心電図を取って、
心電図の所見を読んで。
それで合計25分。
これ、はっきり言って、最速です。
循環器内科医が診ても、これ以上の早さでは
診断できませんから。
他の科の先生が、このスピードで
心筋梗塞と診断できれば、かなりのもんです。
循環器内科医が当直医で。
救急車で胸痛の患者が来る、って事前にわかっていれば。
最初から、救急外来に心電図の機械を置いておいて。
患者が来た直後に心電図の検査をして。
同時に話を聞いて、って同時並行で
検査とかを進めていけば、10分くらいで
診断できる事も、場合によってはありますけど。
外来に歩いてきた患者の場合。
これ以上のスピードで診断するのは、まず無理です。
で、上でも言いましたけど。
「100%の精度で診断できる検査」、って。
基本的にはありませんから。
ましてや、この当直医は循環器内科医じゃないので、
心電図1枚で、100%心筋梗塞と診断する、
っていうのは、基本的には無理があります。
だから、それ以外にも、採血の検査をしますね、普通。
どうせ、心筋梗塞の治療で、点滴をするので。
点滴のルートっていうのを取りますから。
その時に、一緒に採血をする事になります。
で、心筋梗塞の治療をするわけですが。
心筋梗塞の治療って、おおざっぱに、まずは安静。
そして、点滴と酸素です。
循環器内科医なら、それが専門だから。
心筋梗塞の時に、どの位の体格、年齢ならば、
どんな点滴をどの位の量、どの位のスピードで
使えばよいのか、ってのはすぐに出ますから。
数分で、指示を出して。
そいで、看護師が点滴のルートを取って、
点滴、注射の薬を作って、酸素やモニターをつけて、
って所まで10-15分くらいでしょうけど。
他の科の先生が、そのスピードで
適切な指示を出すのは、無理です。
使い慣れていない薬であれば。
適当に指示を出すわけにはいきませんから。
薬の本を見て、適切な薬、量を調節して。
薬も、一つだけじゃなく、二つ、三つ使う事もあるので。
そういうのを全部調べて。
それぞれ、順に指示を出す訳ですから。
もっと時間がかかるのは、当たり前です。
看護師がそういうのに慣れていなくて、
手間取っていれば、もっとかかりますしね。
そして、適切な治療を行って、一段落ついたら、
もう一回くらい、患者の話を聞きますかね。
25分で心筋梗塞の可能性が高い、
って判断をしていますから。
おそらく、ざーっとしか患者の話を聞いないでしょう。
もっと詳しく、いつからどういう症状があったのか。
それはずーっと続いているのか、
前に同じ様な痛みがなかったか。
他に病気はないか、薬は飲んでないか。
そういった、細かい話を患者から聞きますね、普通。
そして、その後、患者と患者の家族に話しをします。
「胸痛があって、心電図の検査をしたら、
心筋梗塞という、死ぬかもしれない非常に
重篤な病気の可能性が高い。
この病院では、カテーテル治療
(経皮的冠動脈再建術:PCI)はできないので。
採血の結果を見て、心筋梗塞と診断できれば、
他の病院に救急車で転院してもらう。」
そんな感じでしょうかね、多分。
死ぬかもしれない、非常に恐ろしい病気の
説明をするんだから。
1分とかでは、終わりませんよね、普通。
最低でも、5分か10分はかかります。
そして、その話をしてから、搬送先の病院を決めます。
アルバイトで来た病院ですから。
心筋梗塞、循環器疾患で、緊急で受け入れれくれそうな病院が
どこかとか、そういうのは詳しくないでしょうから。
その病院の看護師とかに相談して決めますよね、
その日の当番病院がどこか、とかも調べるでしょう。
こういうのを聞いたり調べたりするのに、5-10分位でしょうか。
まとめると。
点滴のルート取り、採血、治療
循環器内科医 10-15分
その他の科の医師 20-30分
追加で患者の話を聞く
10分
患者、患者の家族に、病気の説明
10分
患者の搬送先を調べる
5-10分
で、合計で1時間位でしょうか
これって、あくまで最速の場合ですから。
アルバイトで来ている他の病院だし。
どの薬が、この病院に置いてあるか、
とかもわからないわけだし。
家族への説明に、もっと時間がかかったり。
専門ではないので、心電図の所見を読むのに、
もっと時間がかかったりとか。
いろんな要素があるので。
今回の場合、70分かかっていますけど。
時間に関しては、平均的な時間だと思いますね、私は。
しかも、普通、日曜日に採血したら。
結果が出るのに、1時間くらいかかりますから。
これ以上のスピードで行っても、
どうせ採血の結果を待つのであれば、
あまり変わらないと思いますけどね。
循環器内科医であれば、症状と心電図の所見
を見ただけで、心筋梗塞の可能性が
非常に高いから、採血の結果を見ずに
他の病院に送ろう。
って事になるかもしれませんけど。
他の科の医師に、それを求めるのは
ちょっと酷だと思いますよ、私は。
循環器内科医でも、心電図の所見が
典型的ではない場合。
採血の結果を見て、どうするか決める、
って事もよくありますからね。
この裁判官が問題にしているのは。
12:40pm 心筋梗塞と診断
13:50pm 転送を要請
という、心筋梗塞と診断してから、
他の病院に転送するまでの時間の事ですけど。
一番の問題点は、
12:40pm 心筋梗塞と診断
これが、「確定診断」ではない、って点ですね。
循環器内科医ではない医師が、心電図1枚で
心筋梗塞を診断するのは、普通は無理ですから。
この段階では、あくまでも
「心筋梗塞の可能性が高いだろうな」
って事なんですよ。
時間経過からして、12:40pmの段階では、
おそらく採血の結果は出ていませんから。
あくまでも、「心電図1枚の結果」です。
この時点から、70分遅れたのでおかしい。
って話は、ないでしょ、どう考えても。
その70分の中には、患者や患者の家族に
話をする時間も含まれているんですよ。
もし、この裁判官が言うとおりやるとすると。
循環器内科医ではない医者が、
心電図1枚取って、心筋梗塞を疑った。
そしたら、採血もせず、治療もせず。
患者や患者の家族に話しもせずに、
他の病院に勝手に転送する。
って事ですか。
それこそ、そっちの方が問題ありませんか。
心筋梗塞と診断したのに、治療をしていない。
患者や家族に話もせず、勝手に他の病院に送った。
って事になりますよね。
それで良いんですか?
そうじゃないと、裁判で負けるって事ですか。
循環器内科医ではない医者が
心筋梗塞、って診断を心電図1枚でしろ。
って事自体にも無理がありますしね。
今回の事件の場合。
裁判官が問題にしているのは、
「70分搬送が遅れた」、って事のみですので。
おそらく、治療そのものは適切だったのだと思います。
その70分の中身を、よく考えて、
判決を出してもらいたいものですね。
心筋梗塞になりたくなかったら、
これを読んで生活習慣病を予防してね!
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