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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
心臓カテーテルで脳梗塞
最近、検査や治療の「合併症」なのに。
医療ミス」だ、って事で裁判になる、
って事例が増えていますよね。

心臓カテーテル検査合併症脳梗塞になったのに、
医療ミスだ、って訴訟があったみたいですよ。

このブログでは、何回も言っていますが。
医療ミス」、っていうのと「合併症」っていうのは、
別のものなんですよ。

ちなみに、「合併症」をウィキペディアでみると。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

合併症(がっぺいしょう、英語:complications)とは、
原疾患(英語:primary illness)が前提となって生ずる
続発性の病態または病変である。
同義語としては併発症、余病などがある。


あんま、わかりやすくないですね(笑)
ま、これは、病気の合併症って事なんですが。

有名なのは、「糖尿病」ですかね。
糖尿病三大合併症っていうのは、
腎症、網膜症、神経症です。
糖尿病が悪くなると、腎臓が悪くなり透析になったり。
が悪くなって、失明したり。
神経がやられて、EDになったり、
足の痛みが無くなって、気づかないうちに、
足からばい菌が入って、
足を切断しなきゃならなくなったりします。

こういう風に、「元の病気が進んで、
他の病気になっちゃう。」

そういうのを、「病気合併症」って言います。

それとは別に、「検査や治療合併症
ってのもあるんですよ。
合併症」って、同じ言葉ですけどね。

手術をすれば、体を切るわけだから。
当然、は出ますし。
もしかしたら、ばい菌が入って、感染するかもしれない。
そいうのも、合併症って言います。

私は循環器内科医なので、
心臓の検査なんかもするんですよ。
心臓のエコーとか、ただの心電図くらいなら、
基本的には合併症は無いんですけど。
体の中に、管を入れてやるような、
検査や治療
の場合は、必ず「合併症」があります。

心臓の表面を走っていて、
心臓に血液を送っている血管。
この血管の事を冠動脈って言うんです。
冠動脈が狭くなって、胸が痛くなる病気の事を
狭心症」って言います。
で、これが進んで、心臓の血管(冠動脈)が詰まると
心筋梗塞」って病気になります。
加古川の時も書きましたけど。
心筋梗塞っていうのは、現代の医療でも、
10-20%位は死んでしまう、恐ろしい病気です。

で、狭心症とか、心筋梗塞って確実に診断するのは、
心臓の表面の血管(冠動脈)を直接見て、
それが狭いのか、詰まっているのか、
って事を見るしかないんですよ。

心筋梗塞になれば、心電図が変化したり。
心臓の筋肉(心筋)が壊れて、それが
採血の検査をすればわかる。
って事はあるんですが。
あくまで「確定診断」は、冠動脈を直接
見る検査
です。

この検査の事を「心臓カテーテル検査
って言います。

具体的にどうやるか、って言うと。
太股の付け根の動脈や、手首、肘の
動脈に針を刺して、管を入れて。
その管を通して、長―いチューブみたいなの(カテーテル)を、
心臓の当たりまで持っていって。
それを冠動脈に入れて、そこから
造影剤を流して冠動脈が狭いかどうかを見る検査です。

絵で見ると、こんな感じ。
「心臓カテーテル検査」

これらをふまえて、この記事を見て下さい。


心臓カテーテル訴訟、第一回口頭弁論

心臓カテーテルの検査を受けた際、脳梗塞を起こし、
寝たきりの状態になったのは、病院側のミスが原因だ
などとして、県内の男性とその家族が
およそ9400万円の損害賠償を求めている
裁判の第一回口頭弁論が開かれ、
被告の病院側は全面的に争う構えを見せました。

訴えているのは、県内に住む
73歳の男性とその家族です。
この男性は、7年前、国立南九州中央病院、
現在の鹿児島医療センターで、
動脈に細い管を通して異常がないかを調べる
心臓カテーテルの検査を受けました。

その際、男性は脳梗塞を起こし、
現在まで寝たきりの状態が続いています。

訴えによりますと、医師がカテーテル操作を
誤って動脈に空気が入ったため
脳梗塞になったと考えられるほか、
検査の危険性について、事前に十分な説明を
していなかったとして、病院に、
およそ9400万円の損害賠償を求めています。
きょう開かれた第一回口頭弁論で、
被告の病院側は「説明義務は尽くしていた」
などとする答弁書を提出し、
全面的に争う構えを見せました。

原告の男性側は
「そもそも心臓カテーテル検査を受けるような症状はなく
検査には危険が伴うことも十分に説明がなかった」
として主張していますがきょうの第一回口頭弁論で
被告の病院は「検査の必要があり、検査前の説明も行った。
しかし脳梗塞になった原因はわからない」
などとして全面的に争う構えを示しました。


「2007.4.25 MBCニュース」
「2007.4.25 KTSニュース」


血液型を間違って輸血した、とか。
薬の量を10倍使った、とか。
患者を間違えた、とか。
そういうのは、「医療ミス」ですけどね。
どんなに注意してやっても、起こってしまう事
っていうのは、医療には必ずあるんですよ。
治療や検査などの医療を行う上で、
かならず伴う危険が伴うんです
そういうのを治療や検査合併症って言います。

心臓カテーテル検査合併症っていうのは、
具体的にどのくらいあるのか、っていうと、この位。
さっきの図の下の方に書いてありますけど。

心臓カテーテル検査合併症

急性心筋梗塞 
冠動脈の近位部に病変が存在した場合など、
カテーテル操作が原因で冠動脈閉塞を来たし
心筋梗塞を発症することがあります。
病態によっては緊急バイパス手術
必要となる場合もあります。
頻度 0.02%

脳血管障害(脳梗塞 
病的な動脈壁から遊離した血栓やコレステロールなどが
脳血管で塞栓症を来たしたり、もともと脳血管に病変があり
検査中の血圧変動などが原因で閉塞することがあります。
結果的に麻痺や意識障害などの後遺症を残す可能性もあります。
頻度 0.1%

腎機能障害 
造影剤は腎臓から排出されますのでこれにより
腎障害が生じたり、血栓やコレステロールでの
塞栓症でも障害されます。
高度な障害では透析治療が必要となります。

出血 
穿刺部の皮下出血から血管穿孔による血腫形成など
輸血や外科的修復を要する重篤なものもあります。
稀なものに、カテーテルが心筋を貫いて
心嚢内に出血する心タンポナーデがあり、
これは心嚢穿刺緊急手術が必要となります。

末梢動脈障害 
穿刺部での動脈損傷(血管壁解離、仮性瘤形成、動静脈瘻など)や、
カテーテルによる血管損傷や塞栓で生じる
動脈狭窄や閉塞があります。
血管外科的な修復が必要となる場合もあります。

末梢神経障害 
穿刺時に動脈と並走する末梢神経を傷つけ、
痛みやしびれが残存してしまうことがあります。

造影剤・薬剤ショック 
造影剤や検査に必要な薬剤(止血剤、抗生物質など)が
体に合わないためのアレルギー反応で、軽いものは蕁麻疹から、
高度では気管支喘息やショック状態に至ることもあります。

不整脈 
電気的除細動を要する頻拍性不整脈や、
短期ペーシングを要する
徐脈性不整脈が検査中に発生することがあります。

血行動態の悪化 
心機能が悪い場合には、造影剤や点滴の影響で
血圧低下や心不全を発症することがあります。


カテーテルの改良や検査技術の進歩に伴い、
生命に関る重篤な合併症の発生率0.2%前後
極めて稀なものとなっています。

参考:「心臓カテーテル検査」

あえて書いていないのかもしれませんが。
頻度は0.02%と少ないですけど、
死亡」っていうのもあります。
その他、「感染症」、「塞栓症」、なんかもあります。
ま、細かいのは良いんですけど。

この訴訟では「脳梗塞」は医療ミスのせいだ、って言ってますけど。
医療ミス」ではなく、単なる「合併症」だと思いますよ、私は。

原告側の主張が、医学的におかしいのですけど。
長くなったので、具体的にどこがおかしいかは、
今度の記事でって事にしておきますかね。


心筋梗塞になりたくない人は、これを読んで
生活習慣病を予防してね!

→ 「日本一わかりやすい!「糖尿病」

→ 日本一わかりやすい!「高血圧」


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