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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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ドクターヘリは、経済的にお得?
ドクターヘリを飛ばした方が、
救急車よりも経済的に得だ。
入院日数も減る。
ってデーターが出たようですがね。

これ、「経済的に得」っていうのは、
ちょっと違うんじゃないかなーって思うんですよね。

からくり」があるようなんですが。
その事には、一切触れていないようなので。
そこら辺を具体的に検証していきましょうか。

コメント頂いて、検証方法自体が間違ってました(涙)。


ドクターヘリ救急車より合理的 入院日数短く治療費削減

ドクターヘリで交通事故の負傷者を病院に緊急搬送すると、
救急車を使った場合に比べて平均入院日数が短くなり、
治療費も低く抑えられることが、
日本医科大千葉北総病院(千葉県印旛村)の調査で分かった。
ヘリや救急車で実際に同病院に運ばれた患者を比べた。

同病院は「治療費の削減分は
ヘリの運航費用を上回っており、
ドクターヘリの導入は医療コスト的にも見合うものだ」
と話している。

ドクターヘリは、ヘリコプターに医師が同乗して
救急患者を搬送するシステム。
搬送中も医師が対応でき、搬送時間も短くなることから、
治療成績が向上するとされる。

調査は同病院の益子邦洋・
救命救急センター長らが実施した。

対象は、03年1月~06年3月の間に
同県四街道、富里、八街の各市から
同病院に搬送された重症の外傷患者70人
ドクターヘリ26人、救急車44人)。
いずれも同病院までの距離が15~20キロで、
ヘリと救急車が利用されている。
救急車はヘリ運航時間外の夜間、
早朝や悪天候時などに使われた。

年齢や重症度などを補正した結果、
ドクターヘリ搬送後の平均入院日数は21.8日、
入院中の治療費は平均約132万円で、
救急車の場合の入院日数38.5日、
治療費約245万円に比べ、
それぞれ16.7日、約113万円少なかった。
ヘリの搬送には1回50万円程度かかるとされる。

ドクターヘリについては01年、国が年間経費
(1機当たり約1億7000万円)の半額を補助し、
ヘリを導入した都道府県が残りを負担する制度が始まった。
国は5年間で30機の導入を見込んだが、
自治体の財政難などで現在、
10道県11機の配備にとどまっている。


「毎日新聞 2007年7月13日」



医療費入院日数について、ちょっと詳しく分析すると。

          平均入院日数      治療費
ドクターヘリ    21.8日        132万円
救急車       38.5日        245万円

1日当たりの治療費で比較すると
ドクターヘリ  132万÷21.8=6万円
救急車 
    245万円÷38.5日=6.3万円

うーん。
ほとんど同じですか。
単純に、1日当たりの医療費は同じくらいで
入院日数の違い、だけで説明ができますね、これ。

何故でしょうかねー。

> 年齢や重症度などを補正した結果

これが、ちょっと怪しいですかねー。


例えば。
ドクターヘリ 26人、救急車 44人
このうちの2人だけ、救急車で運ばれた人の中で、
なんらかの事情があって、入院が長引いたとします

2人だけが、一年間入院していたとします。
で、後の条件は全く同じだとすると
どっちの群も1日当たりの治療費は同じくらい、
約6万円
なので、これで計算してみると

救急車の群は、2人は治療が長引いて一年
その他の42人が、ドクターヘリと同じ様な
入院日数治療費として、
試しに計算してみましょうか。

入院が長引いた人の医療費
365日X6万円/日=2190万円
これが2人だから
2190X2=4380万円

その他の人達42人医療費
ドクターヘリ入院日数と同じ、約22日として
22x6万円/日=132万円
これが、42人いるので
132万円X42=5544万円

入院が長引いた2人と足すと、
救急車で運ばれた患者の医療費が出ますよね。

4380万円5544万円=9924万円

これを44人で割って、1人当たりの医療費を出すと

9924万円÷44人=225.5万円

あーら不思議。
この記事で書いてあった、救急車の群の治療費約245万円と、
ほとんど同じ数字が出ちゃいましたねー。

入院日数についても、計算してみましょうか。

2人が入院長引いて、365日
その他の42人ドクターヘリと同じ22日ですから。
44人平均入院日数

365X242X22)÷44=37.6日

あ、あれー。
また、記事に書いてあった、入院日数38.5日と、
ほとんど同じ数字になっちゃいましたねー。

あくまで、仮に、の計算なんですけどねー。
2人だけ、なんらかの事情で入院が長引いた患者が
救急車の群にいたら、他は全く一緒でも、
こんな数字になっちゃうんですよ。

人数が少ない場合によくある結果ですね、
こういうの、って。
平均」って数字のマジックに騙されちゃ駄目ですよ。


>年齢や重症度などを補正した結果
って言っていますけど。
入院が長引く要因っていうのは、「重症だ」、
って事もあるけど。
社会的な要因」っていうのも、大きいですからねー。

例えば、地元の名士の子供で、この病院に
長く置いてくれ、って頼まれた、とか。
医療ミスまではいかないけど。
ちょっと病院に負い目があって、他の病院に
転院させる事ができないような患者。
そういう患者が、「社会的要因」で、
入院が長引く事もありますからねー。

そういうのは、全く考慮されていないみたいだし。


本当にドクターヘリが有用か、って事を検証するなら。
救急車1時間かかった、この1人目の症例。
これがドクターヘリなら、30分で到着した。
この症例で、30分早く着いたら、どのくらい
入院日数が短縮できそうか。
全く変わらないのか。
とか、そういう事を、一つ一つの症例で
検討
しなきゃ駄目ですよ、絶対。

あくまで推測でしかないんですけどね、これって。
でも、1人か2人の特殊な要因で、
平均値が跳ね上がったとしても、
それを含めて、結論を出す。
ってのは、やはり良くないと思いますよ。

例に出したのは、あくまでも例えですから。
入院日数に関しては、ドクターヘリを使った方が、
短くなる可能性はありますけど。

全て合計してかかった費用が、ドクターヘリの方が
救急車よりも安い、って事には、
ちょっと疑問が残りますね。


ここからは、最初に私がエントリーした内容なのですが。
読者の方達の指摘で、間違いという事がわかりました(汗)

でも、自分の間違いを全部なかった事にする気はないので。
あくまでも、あー、こういう勘違いしていたんだなー、この人。
って事で、思って頂ければありがたいです。

格好悪いけど、一応削除しないで載せておきます。



そしてもう一つ、経済面のからくり。

>ヘリの搬送には1回50万円程度かかるとされる。

って記事には書いてありますけど。
ドクターヘリのコスト、って言うのはこれだけではありません。
これも記事に書いていますけど。

ドクターヘリ年間経費(1機当たり約1億7000万円)

(ちなみに、これ。
ヘリのパイロットの人件費は入ってますけど。
多分、医者はボランティア、って事だと思いますので。
本当は、もっとかかります。)

ですから。
そいで、最初に導入する時には病院に新たに、
ヘリポートを作らなきゃ駄目ですよね、当然。
ま、初期費用として2000万円としますか。

本当は、5億円かかるらしいっす。初期費用。

今回のデーターでは、4年間ですから。
ドクターヘリにかかった経費は

1億7000万円x42000万円7億円

ですよ。
26回ヘリコプターを飛ばしたから、
かかった経費は、26x50万円=1300万円
ではなくって。

初期費用年間の経費(+実際の運行費用)
が、本当のドクターヘリのコストなので

7億円+(26x50万円)=7億1300万円(7億円)
ですから。

仮に1人当たりで計算したいなら。

7億1300万円÷262742万円(2692万円)
ですよ、ドクターヘリの1人当たりの値段。

( )は実際の運行費用もランニングコストに
入っているとした場合の値段です。


外傷の患者で、ドクターヘリで運んだ患者が26人なので。
それ以外のヘリで運んだ人数も含めた人数で割らないと、
本当の1人当たりのコストは出ませんね。
すいません。

ものすごい勘違いをしていました。
初期費用が大きく違い、しかも割る人数も全然違うので。
これらの数字は、全く意味をなしませんね(涙)


1人当たりの入院費用に2700万円を足して、
それでも合計の費用が救急車医療費よりも下回れば、
それは経済的にもドクターヘリの方が得だ。
って言えますけど。
最もお金のかかる、ランニングコスト
一切無視して、その日に飛ばした時のお金だけ
をプラスする、って方法は。
問題あるんではないでしょうか。

全く何の意味もありませんから。
そんな数字に。

もし本当にかかったコストを計算するのであれば、

ドクターヘリの場合の費用
治療費132万円ドクターヘリ代2742万円(2692万円)
2874万円(2824万円)

救急車の場合の費用
治療費245万円

ってなりますから。
ドクターヘリの方が、救急車の場合より
10倍以上高い、って事になるんじゃないでしょうか。
それが、本当のコストです。



1人当たり2700万円かかっても良い。
って事なら、ドクターヘリ
導入しても良いんではないでしょうか。

この病院も毎日新聞も、都合の良いデーターだけを書く、
って事は止めた方が良いと思うのですが。


コメントでご指摘を頂き、記事の本文を訂正させて頂きました。



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