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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
「こどもの医療費無料」の問題点
こどもの医療費無料」っていっている自治体って、
非常に多いですよね。
というか、ほとんど全部かな。

小学生未満とか、中学生までとか。
年齢は、地方自治体によって違うようですけど。

でも、この制度のせいで、
勤務医、特に小児科医は、
ものすごーく疲弊しているんですよー。


こどもの医療費無料」っていうと、
少子化対策にもなるし。
子供のいる親にも受けが良いし。
反対する人はあんまりいないし、
手っ取り早く選挙対策にもなるから。
安易にやる都市って多いんですよ。



こどもの医療費無料化の運動ってのは、
1968年以降全国各地で起きて。
1972年に栃木県が初めて、
ゼロ歳児医療費無料にしそうです。

その後、こどもの医療費無料化の
年齢を引き上げる自治体とかも増えて。

1999年2月に行った政府が行った調査では、
入院患者は全ての市区町村が実施していて、
通院でも2自治体を除くすべてで、
乳幼児医療費への助成が実施されていたようです。


参照:「岡村恵子のHP」


弱者」って言葉、いろんな意味があるから。
あんまり安易に使いたくないんだけど。
こども」って、いろんな意味で弱者だから。
こどもの医療費無料なんかは、典型的な
弱者を守る」為の政策ですよね。

だから反対意見も少ないし、
選挙対策として住民受けも良いから。
結局、いろんな都市で実施されているんですよ。


私は、「いつでもこどもの医療費無料
っていう制度には反対です。

何故なら、「無料なら、病院に来よう
っていう人が多くなるからです。

薬屋で、薬とポカリスエットを買ったら2000円。
でも、病院に行って専門家である医者に診てもらって。
それで薬までもらっても、0円。

だったら、時間外でも、病院に来よう。
って思う親が多いのは、当たり前です。

時間外に軽症なのに病院の救急外来に来るのって、
コンビニ救急」とかって呼ばれているのですけど。

これって、患者(こどもとか、その
いわゆる「モンスターペイシェント」だから起こる、
っていうよりは、「こどもの医療費無料
っていう制度がおかしいから起こっているのですよ。

もちろん、大人の場合と一緒で「不安だから」、
っていう原因も大きいですけどね。
こどもの場合でも。

無料じゃなくても、日本の医療費っていうのは、
世界の国々と比べるとめちゃくちゃ安いですから。
不安だ、ってだけで時間外に病院に来る
患者が多いのは、子供も大人も一緒です。


その結果、小児科医は疲弊して、
小児科が崩壊しかけていますから。
だったら、「こどもの医療費無料」っていう、
制度を変えれば良いと思います。


こう言うと必ず
「弱者切り捨てだ」
って言う人が出るんですよね。

でも、私が言っているのは
こどもの医療費は、いつでもどこでも無料
っていう制度がおかしい。
って言っているだけですからね。
そこは勘違いしないで下さいよ。



こどもの医療費無料って、
全部まとめて言っていますけど。
もう少し細かく分けると。

1,入院しているこどもの医療費
2,持病があって、定期的に通院しているこどもの医療費
3,持病はなく、風邪をひいたとかで、
  病院の受付時間内に来るこどもの医療費
4,持病はなく、風邪などで、
  時間外に病院に来るこどもの医療費


おおざっぱに、この4つに分けられると思います。


それぞれに関して、見ていきましょうか。

1,入院しているこどもの医療費

これに関しては、無料で良いと思いますよ、私は。
それは、あんまり異論がないのではないでしょうか。


2,持病があって、定期的に通院しているこどもの医療費

これも無料で良いと思いますね、個人的には。


じゃあ、今までと同じじゃないか、
って思うかもしれませんが。
ここからが違います。


3,持病はなく、風邪をひいたとかで、
  病院の受付時間内に来るこどもの医療費


これ、普通にお金取って良いんじゃないですかね。
まあ、少し割り引きしても良いと思いますけど。
いろいろあると、話がややこしくなるので。
持病なしで、時間内に来るこども通常料金
って事にします。


4,持病はなく、風邪などで、
  時間外に病院に来るこどもの医療費


医療崩壊が最も進んでいる科は、
産科、小児科、救急ですけど。
時間外に病院に来るこどもが多い、っていうのが
小児科医が減って、小児科が崩壊している
一番の原因
です。

これは、「こどもの医療費無料」っていう制度が
大きく関係していますから。
変えた方が良いと、私は思っています。


時間外に来る患者の半分くらいは、「こども」です。
小児科医が1人の病院とか、病院にもよるのですけどね。
夜に子供が来たら、当直医がまずは診て。
それで、当直医では対処できない、
って判断した時に、はじめて小児科医の先生を呼ぶ。
っていう病院もあるんですけど。

子供が来たら、夜中だろうが明け方だろうが、
最初から小児科医を呼ぶ。
っていう病院も、結構多いんですよ。

時間外に来る患者の半分くらいが子供ですから。
こういう病院だと、子供が来るたびに、
小児科医が毎回病院に呼ばれちゃいますので。
小児科の先生は非常に大変です。


病院っていうのは、基本的には
土日、祝日は休み(土曜は半日の所もある)で。
平日も9時~5時までしかやってないんですけど。

でも、患者っていうのは、
病院がやっていないときにも病気になることもあるので。
そういう時の為に、その科毎に「当番、待機
の医師っていうのを決めておきます。

で、時間外に患者が来て、専門的な判断が必要だ、
って当直医とか、他の先生が判断したら。
その科に関する事だったら、ますはその科の当番、待機
の医師が呼ばれる
ようなシステムになっています。

そうじゃないと、やってられないですよね。
だいたい、どこの病院でも下っ端と偉い先生がいるけど。
当番が決まっていなかったら、いっつも呼びやすい
若い先生とかが呼ばれちゃいますからね、たいてい。
毎日のように病院から呼ばれまくってたら、
その先生、体が持ちませんよね。
医者だって、人間なんだから。


例えば、
小児科医3人の病院の場合。
小児科はA先生、B先生、C先生という
3人の先生がいる時。

3月の当番表の例)

3/1  2   3  4   5   6  7   8  9  
  土  日  月  火  水  木  金  土  日
   A  A  B  B   C   C  B   B  B


こんな感じでしょうかね。
3/1の週末はA先生が当番
で、3/8の週末はB先生、みたいな。

平日は、交互とかでも良いんだけど。
週末、金、土、日とかは、
同じ先生がやる場合が多いでしょうかね。
当番とか、待機っていうのは。

「今週は俺、待機じゃないから、
少し遠くに行ってくるから、週末よろしく。」
みたいな感じで、月に一回か二回とか、
休みをもらえる事が多いのですけど。

重症患者がいたら、どっかに旅行に行くとか、
そういうのは難しいですから。
実際には、なかなか休みは取れません。

もちろん、自分が当番、待機の時には
いつ病院に呼ばれるかわからないので。
病院の近くで待機していなければいけません。


そいで、本題に戻って。

時間外に病院にかかる、こどもの医療費について。
ですけど。

私は普通に料金を払うべきだと思います。
というか、「時間外重症患者割引制度」のように、
重症患者以外は、加算した料金を払えば良いと思います。

時間外に大量に、軽症のこどもが押し寄せてきて。
もう小児科医は疲弊して、小児科は崩壊寸前ですから。
小児科を崩壊させないためには、
軽症の患者(こども)が時間外に来るのを、
制限する必要があると思います。


ただ、普通の料金を取るだけでは、
時間外の患者の数を減らす事は難しいと思いますので。
だったらむしろ、今は医療費無料子供からも、大人と同じ。
正規の料金+できれば時間外加算料金
も取って、時間外に病院に来る患者(こども)を
減らすべきだと思います。

仮にこの制度を
「入院、通院しているこどもの医療費無料制度」
としますか。

この制度に関しては、重症患者は料金が割り引かれるし。
入院したら、こども医療費無料
になるんですから。
弱者切り捨て」、って事にはならないと思います。

そもそも、軽症なら次の日に来れば、
時間外加算料金は取られないわけですからね。


「入院、通院しているこどもの医療費無料制度」
が導入されると。

現在は、全てのこどもの医療費無料だけど、

入院しているこども
+持病があって通院しているこどもの医療費
無料のまま
だけど。
時間内に風邪とかで受診するこどもの医療費と、
時間外に風邪とかで受診するこどもの医療費

が、余るって事になりますよね。

そしたら、余った分は、こどものいる家庭に、均等に分配
すれば良いと思いますよ。


例えば、

こども1万人の都市。
こどもの医療費無料にしている為に、
予算を10億円使っているとします。

その内訳は、

入院したこどもの医療費                6億円
持病で通院しているこどもの医療費         2億円
時間内に風邪等で、病院に来るこどもの医療費  1億円
時間外に風邪等で、病院に来るこどもの医療費  1億円


だとします。

「入院、通院しているこどもの医療費無料制度」の場合。
その都市の予算を見ると、

入院したこどもの医療費                6億円
持病で通院しているこどもの医療費         2億円


これは、そのままです。

で、

時間内に風邪等で、病院に来るこどもの医療費  1億円
時間外に風邪等で、病院に来るこどもの医療費  1億円


これはゼロになるわけですから。
2億円の財源が余る訳ですよ。
この2億円は、借金の返済に使うとか。
どっかの無駄な道路を造るとか。
そういうのではなく。
こどものいる家庭で分けます。

その都市には子供1万人いるんですから。
2億円を1万人で分けると、
1人当たり2万円になります。

子供が3人いる家族なら、6万円入る。
って事になりますよね、この制度。
しかも、新たな財源はゼロ。

少子化対策としても、良いんじゃないですか。
この政策。

軽症なのに、無料だと思って時間外なのに、
何回も平気で病院に来て、小児科医を疲弊させる
親にばっかり、お金をあげて。
そいで、まじめ小児科医や病院の事まで考えて、
次の日まで待って病院に来るとか。
病院にかからないで、売薬で済ませている親には、
お金を補助しない。

そっちの今の制度の方が、むしろおかしい
と思いますよ、私は。

こども1人につき2万円をあげて。
そのお金で、美味しい物を食べて病気を予防するとか。
そのお金を習い事に使うでも、ゲームを買ってあげるでも、
何に使っても良いと思いますよ。

心配だったら、時間外に時間外加算料金を払って、
病院にかかる、っていう選択肢を取る人も
いるかもしれませんね。
お勧めはしませんけど。


「全てのこどもの医療費無料制度」だと、
無駄にたくさん病院にかかっている人にばっかり、
お金を補助する形になって、逆に不公平
なんだけど。

「入院、通院しているこどもの医療費無料制度」では、
重症患者は無料のまま。
軽症患者に関しては、自己負担をしてもらって、
その分は、みんなで分けましょう

っていう政策ですからね。

むしろ、公平のような気がするんですが。

そしたら、時間外に軽症で病院に来る子供も減って、
小児科医の疲弊も軽減するし。
その結果、小児科を崩壊から救えるかもしれないし。
子供を病気にさせない親は、お金も入るし。
政治家は、少子化対策としても票になるし。


良いことばっかりの様な気がするんですけどねー。

どうして、誰もこういう制度を作らないのでしょうか。


もっとも、これは各地方自治体ではなく、
国がやるべき制度だと思いますけどね、ホントは。



あ、一応、元々持病があって、
それが悪くなって時間外に病院にかかった子供
の場合。

とりあえずは、いったん時間外加算も含め、
お金を払って貰って
定期的に通院しているのですから。
前回は、時間外に持病が悪化したって事であれば、
その時にお金を返す。
っていう形で良いのではないか、って思っています。

それなら、実質無料だし。
時間外に来た時に、持病の悪化かどうかによって、
自己負担額が変わるとかっていう、
余計な手間なんかもかからないしね。



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