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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
医師の過労死は棄却
ついこの間、看護師の過労死が認定されて良かったね。
っていう話をブログで書いたばかりなんですが。
『24歳の看護師、過労死認定』

この前も例に出した、過労死した小児科医、中原利郎先生に関しては、
残念な結果になってしまいましたね。
『当直中に医師が死亡』

厳密に言えば、中原先生の場合も、
労災自体は既に認められてはいるのですが。
病院の「安全配慮義務違反」などを理由に
損害賠償を求めた民事訴訟の控訴審判決が、
10月22日に東京高裁であって。
原告側の訴えが棄却されちゃった、って事なんですけどね。



医師過労死、損害賠償請求を棄却-東京高裁
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081022-00000000-cbn-soci

小児科医中原利郎さん(当時44歳)がうつ病によって自殺したのは、
最大で月8回に及ぶ当直勤務をこなすなど
過重な業務が原因として、遺族らが、
勤務先だった病院を運営する立正佼成会の
安全配慮義務違反」などを理由に損害賠償を求めた
民事訴訟の控訴審判決が10月22日、東京高裁であった。

鈴木健太裁判長は、民事訴訟で東京地裁が否定した
「過重な業務とうつ病との因果関係」は認めたものの、
病院側が(中原さんの心身の変調を)
具体的に予見することはできなかった」として、
原告側の訴えを棄却した。
(山田利和・尾崎文壽)


判決は、中原さんが1999年3月に月8回、
週当たり2回の割合で当直を担当し、翌4月には、
6回の当直のうち、当直を挟んで通常勤務や
半日勤務を行う連続勤務が4回あったことを挙げ、
「3月と4月の勤務は過重で、著しい
身体的心理的負荷を与えたというべき」などとして、
中原さんの業務の過重性を認めた。

また、中原さんが勤務していた
立正佼成会附属佼成病院(東京都中野区)の
小児科の部長が退職したのを受け、中原さんが
部長代行になった直後の同年3、4月ごろ、
常勤医や日当直担当医の減少という事態に直面したことについて、
「部長代行としての職責から、問題解決に腐心し、
見過ごすことのできない心理的負荷を受けたというべき」
と指摘した。

これらを踏まえ、「主として、99年3月以降の過重な勤務、
加えて、常勤医の減少などによって大きな心理的負荷を受け、
これらを原因とした睡眠障害または
睡眠不足の増悪とも相まって、うつ病を発症したというべき」
などとして、過重な業務とうつ病との因果関係を明確に認めた。

一方、「安全配慮義務」については、過労で自殺した社員の遺族が
電通の責任を求めて提訴した「電通事件」で、
最高裁が2000年3月24日に出した
「使用者は、雇用する労働者に従事させる業務を定めて
管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷などが
過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように
注意する義務を負う」などとした判決を引用。

しかし、中原さんについては、「過重な勤務であっても、
病院側が、中原さんの疲労や心理的負荷などを
過度に蓄積させて、心身の健康を損なうことを
具体的客観的に予見することはできなかった」
などとして、病院側の「安全配慮義務違反」には当たらない
とする見解を示した。

中原さんの訴訟については、
07年3月14日の行政訴訟の判決では、
「うつ病は過重な業務によって発症した」と労災認定したが、
同29日の民事訴訟の判決では、
「うつ病と業務との因果関係が認められない」と、
同じ東京地裁が“正反対”の判断を示していた。

行政訴訟では、厚生労働省が控訴せず、
労災が確定していただけに、
高裁が、医師の当直勤務の過重性や病院
安全配慮義務」について、
どのような判断を示すかが注目されていた。

【編注】第一報を差し替えました

「2008年10月22日:yahooニュース、医療介護CBニュース」



本日、21時からのNHKニュースでもやっていましたね。
この話題。

中原先生は月に6回以上の当直やっていて、
連続30時間以上の勤務もして。
同僚の医師が次々と辞め、更に負担が増して、
うつ病を発症した。

長時間の勤務により、うつ病の発症は認められたが、
病院側の責任は認められなかった。


っていう事が報道されていました。

アナウンサーが、
「この問題は、医師だけの問題ではなく、
患者に関わってくる事だから、
なんとか解決しなくては。」


って言っていましたけど。

その通り!

単純に医師だけの問題ではないんですよー。

医師過労死したら、単純に医師の数が減るし。
それを見たら、医師になろう、って人も減るでしょ。

そうなったら、患者を診る人の数が減る、って事だから。
結局、最終的に困るのは「患者」なんですよ。
今は元気でも、誰でも患者になる可能性はありますからね。

一番困るのは日本国民なんですよ。


『小児科医自殺、病院の賠償認めず』
の記事で、詳しく書いたけど。

東京地裁の判決では、
中原先生は月に6回以上の当直やっていて、
連続30時間以上の勤務もして。
他の小児科医がどんどん辞めて、
中原先生にものすごい負担がかかっても。

>「うつ病を発症させるほど重いものではなかった」
当直勤務について、労働訴訟の判決は
「急患はそれほど多くなく、仮眠する時間はあった」
として、心理的負荷は強くなかった


と判断していますからね。

その前の労災の判決の時は、
「他の医者でも同じくらい働いる奴もいて、
うつ病になっていない医師もいるんだから。
うつ病になったのは、本人の責任だ。」

って判決も出ていましたから。

それらの判決に比べたら、今回の判決は、

>「3月と4月の勤務は過重で、著しい
身体的心理的負荷を与えたというべき」
などとして、中原さんの業務の過重性を認めた。

「部長代行としての職責から、問題解決に腐心し、
見過ごすことのできない心理的負荷を受けたというべき」


という事で、

「過重な業務とうつ病との因果関係」は認めた。

という事に関しては、一歩前進だとは思いますけどねー。


でも、病院は、
いくら医師をこき使って過労死させても、
最終的には責任を問われる事はない。

っていう事ですから。

これでは、今まで通り、医師を使い捨てとして、こき使う。
っていう病院はなくならないでしょうね。


そういう意味では、残念な判決だったと思います。



ちなみに、CBニュースの差し替え前の記事は、
これみたいっすよ。



医師過労死、損害賠償請求を棄却-東京高裁

小児科医中原利郎さん(当時44歳)がうつ病によって自殺したのは、
最大で月8回に及ぶ宿直勤務をこなすなど過重な労働が原因として、
遺族らが、勤務先だった病院を運営する立正佼成会の
安全配慮義務違反」などを理由に損害賠償を求めた
民事訴訟の控訴審判決が10月22日、東京高裁であり、
鈴木健太裁判長は原告側の訴えを棄却した。
(山田利和・尾崎文壽)


中原さんの訴訟をめぐっては、2007年3月14日の
行政訴訟の判決では、「うつ病は過重な業務によって発症した」
として労災認定したが、同29日の民事訴訟の判決では、
「うつ病と業務との因果関係が認められない」と、
同じ東京地裁が“正反対”の判断を示していただけに、
医師の宿直勤務の過重性や病院の「安全配慮義務」について、
高裁がどのような判断を示すかが注目されていた。

中原さんが勤務していた立正佼成会附属佼成病院(東京都中野区)では、
1999年1月から4月にかけて、中原さんを含めて
6人いた小児科医のうち、部長を含む3人が退職し、
中原さんが部長代行となった。残った3人のうち、
中原さん以外はいずれも女性で、出産や育児、
介護などを抱えており、宿直などの負担が中原さんに及んだ。

中原さんの宿直勤務は最大で月8回あり、
宿直回数が月平均で一般の小児科医の1.7倍に当たる
5.7回に上るなどの勤務が続いた。

控訴審では、遺族ら原告側が、通常を超える宿直などの負担が
中原さんに及び、医師としての業務が心身に影響を及ぼすほど
過重になりながらも、病院側が使用者として
適切な対応を取らなかったとして、病院側が
安全配慮義務」を怠ったことについての責任を求めていた。


参照:『納得いかない ~ 医師の過労死認定のハードルの高さ』


こんな事がつづいたら、日本の医療は崩壊しちゃいますよ!
→ 医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
小松 秀樹 (著)


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