現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
「搬送・受け入れ基準」義務付け
私が大嫌いな「たらい回し
という言葉が、今だにマスコミでは
連呼されていますけど。

一応、総務省も「たらい回し防止策
みたいのを作ろうとしているようです。

総務省が、患者の容体に応じた
搬送先の医療機関リストなどを
盛り込んだ「搬送・受け入れ基準」
策定を都道府県に
義務付ける方針。

だそうですわ。

はっきり言って、根本的な解決からは
程遠いんですよね、これ。
まあ、やらないよりはましだけど。

病院患者を受け入れ出来ない。
この一番の原因は、
キャパシティ不足」。
ですよ。

医師の数が足りない。
ベッドの数が足りない。
患者の数が多すぎる。


だから、医者や他の医療スタッフが、
今いる患者を診るのに手一杯で、
他から来る新たな患者
受け入れる事ができない。


だから、別の病院で診てもらって下さい

と言っているだけなんですよ。
病院は。

医師がいない。
もないから、医師も雇えないし、
他のスタッフも雇えない。

というのが、根本的な原因なので。
これを解決するしか道はありません。

結局、受け入れ病院を決めたんだから。
救急車の役割は、
そこまで患者を運ぶだけ。

その病院患者を入れなかったら、
それは病院の責任ですよ。

って言うだけの話ですよね。


結局、また医療の現場である
病院に責任を丸投げする策
ですか。
この総務省のやり方は。

一言で言うと総務省の責任逃れ」でしかないですね、これ。

ネタ元は、Yosyan先生
「消防庁の考え」
からです。
いつもお世話になっております。



総務省、搬送先リスト策定義務化
急患受け入れを分散

医療機関による救急搬送患者
受け入れ拒否問題の改善に向け、
総務省消防庁は5日開かれた
有識者検討会で、
患者の容体に応じた搬送先の
医療機関リストなどを盛り込んだ
「搬送・受け入れ基準」の策定を
都道府県に義務付ける
方針を示し、了承された。

9日の消防審議会答申を経て、
消防法改正案に盛り込み、
今国会への提出を目指す。
改正法が成立すれば年内にも施行、
2009年度中に各都道府県に
基準策定を促す。

搬送先リストをあらかじめ
定めておくことで、救急隊員が
円滑に搬送先を選定できるほか、
救命救急センターなど
一部医療機関への急患の
集中を分散させ、「たらい回し」の
発生を抑制する。
また遅延傾向が続く
搬送時間の短縮にもつなげる。

搬送先リストには、例えば
(1)心肺停止状態なら
  救命救急センター
(2)重症の脳疾患はA病院
(3)軽症の心疾患はB病院
−など、症状の種類と程度に応じた
具体的な医療機関名を載せる。


『2009.2.5:付共同通信(47NEWS)』



Yosyan先生も言っていますけど。
こんなの、とっくの昔からやってますから。
何を今更、っていうレベルの話ですわ。

だけど、患者の数が多すぎて、
医師の数もベッドの数も足りなくて。
病院患者を受け入れる事が出来ない。

っていうのが事実なんですけどねー。

そもそも、原因の解決になってないから。


総務省っていうのは、
消防とか救急車とか、
そういうのを管轄しているんですけど。

患者受け入れ不能問題の
原因
の一つは、
患者の数が多い」って事です。
救急車の要請数は、年々増えて、
患者の数もどんどん多くなっていますから。

それを減らす、っていうのが
一つの解決策ですよ。

総務省が出来る事で
一番効果があるのは、
「救急車の有料化」ですよ。
はっきり言って。

重症患者からは、料金を取らないで、
軽症患者からは救急車の料金を取る。

これだけで、軽症患者は
大幅に減りますよ。

まあ、値段にもよりますけどね。
500円とか、1000円とか。
タクシー代よりも安い値段なら
意味ないですけど。

一回に1万円とか。
距離によっては、もっと高いとか。
その位の値段にすれば、
普通の人は、救急車を
簡単には呼びませんよ。
軽症患者の場合は。
ま、大金持ちは別なんでしょうけど。

重症患者からは料金を徴収しない。
という事であれば、命を金で買う。
というような批判は当たりませんからね。

総務省がすぐにでもやるべきことは、
救急車や救急隊の責任を
病院に押し付ける事ではなくて。
救急車を要請する
患者の数を減らす事ですよ。



救急車の有料化は、総務省にしか
出来ない事なんですから。
これだけ、「たらい回し」という名の
患者受け入れ不能」が
問題になっているんだから。
早くやれば良いのにね。


まあ、今回のやり方も、
やりようによっては良いんですよ。

その地域の「最後の砦」
とも言える病院を作っておく。

それ自体は悪い事ではありません。


ただ、そういう病院には、
たくさんの重症患者が来るんですから。
たくさんの医師や医療スタッフ、
それに機材も必要です。

その為には、お金がかかるから。
そういう病院には、補助金を出す
もしくは、救急医療をやっても、
赤字にならないように、
診療報酬を変更する

要するに、戦力の集中。
別の言い方をすれば、
「最後の砦」となる病院
金と人を集中する。

そして、重症患者
一手に引き受けてもらう。
というやり方自体は、
間違いではないと思います。

ただ、そうなると、
その病院に今以上に患者が来て。
結局は、あまり変わらない。

というような状態になりかねないので。

軽症の患者は、
そういう病院では受け入れない。
その代わり、地域の医師会等が、
責任をもって一次救急を行う。
もちろん、そのために補助金等の
必要なお金は出す。


というような、二段構えであれば、
良いのかな、とは思いますよ。
個人的には。


ただ、今回のやり方は。
金も人も出しませんよ。
ただ、病院に責任だけは取ってもらいます。


という事ですよね、ようするに。

総務省としては、責任回避が出来るから
それで良いのかもしれませんがね。

まあ、「搬送・受け入れ基準」を作る。
っていう事自体も、
駄目ってわけではないのですけど。

本当に、それは
病院患者を受け入れられない。
という事の解決策

なっているのでしょうか。



まちから病院がなくなったら困る、
って人はこれを読んでね!

まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生


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