現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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医師過労の原因は医療界自身
医療崩壊の原因は、医療現場を知らない役人が、
医療政策を作っているからだ

そいで、医療費を削減し、医師数を減らしたからだ。
っていう話は、何回も書いていますけど。
そういう政策に、日本医師会も賛成していたんですよ。

さすがに最近はやりすぎたんで、
医師も反対していますけどね。
医療費削減には。
でも、ずーっと自民党を応援してきた、
っていう事は事実です。

日本医師会には当然医師しか入れませんけど。
上の方にいる人は、もうほとんど
医療現場の事なんかわからないですから。
厚労省とかの役人なんかと、大差ないんですよ。
特に既得権益を握っている人なんか、そっくりです。


そんな事を、このブログを始めた3年半位前から
私は言い続けているんですけど。
私は、日本医師会員でもなんでもない、
単なるぺーぺーの医者
ですからね。
何を言ってもたいした事ないんでしょうけど。

日本臨床外科学会会長の偉い先生が、
私と似たような事を言っていたので。
ちょっと紹介させてもらいますね。

元ネタは、『ロハスメディカルブログ』
です。
いつもお世話になっております。



苛酷な勤務 最大の原因は医療界自身に

第64回日本消化器外科学会学術総会の特別企画
『消化器外科医の勤務環境改善のために何をなすべきか』
(18日開催)で日本臨床外科学会会長の
出月康夫・東大名誉教授が大変に踏み込んだ
特別発言を行ったので、ご紹介する。(川口恭)


私が、医療の社会的な問題や経済的な問題に
関わり始めたのは20年ほど前から。

外科系学会社会保険委員会連合(外保連)という、
元々は外科系の手術の診療報酬をいかに上げるか、
どれ位が適切かということを学術的に研究しよう
という会の委員を数年やって、いろいろな矛盾がある
と気づいたのでいろいろと言い始めた。


4年前に『日本の医療を崩壊させないために』
という本を出したのだけれど、それ以来、
日本の医療崩壊が止まるどころか
益々悪くなってきているのが現状と思う。
最近になって、ようやく政治家も動き始めたし、
マスコミもキャンペーンを張ってくれるようになったので、
国民も状況をやっと理解し始めている。


今日の話の中心である勤務環境の改善は、
医療崩壊を防ぐ一番大切なことだが、
どうしてこんなことになったかは今日の話からも明らか。

ひとつの元凶は医療費の抑制。
現在の診療報酬では病院の収支がマイナスになる
というのは、皆が言い始めていることで、
補助金とか助成金をもらっている病院
何とかやっていけるかもしれないが、
それがないと確実に赤字になる。

病院は何をやろうと思っても結局は
そこがネックになって何もできない。
何が足りないかというと、
診療報酬に対する原価計算がない。

外保連で、それを20年やってきて、
やっと少し理解してもらえるようになったけれど、
行政の人に言っても『私たちもそれは
分かるんですけれど財源がないから上げられない』
というのが決まり文句。


もうひとつは、これも今日話の出ていた
医療訴訟・医事紛争の増加がある。

患者さんと医者の信頼関係が
随分と変わってきてしまったことが原因だが、
これにはやはり行政・法律家・
マスコミのポピュリズム・大衆迎合主義のために
人々が喜ぶことを行う、それが本当に
本質を分かって喜んでもらっているのならよいのだが、
そうでなくて感情論で動いてしまう、
そういうものをどんどん後押ししてしまう傾向が
今までは少なくともあったという風に考えている。


そして、もうひとつ最大の原因は、
医療界自体にあったと思う。
特に日本医師会に大変大きな責任がある。

病院の崩壊に対して、日本医師会が今まで
何も手を打ってこなかった。
加えて勤務医や私たち学会も何も言ってこなかった。
私たち自身に責任のあることだと思う。


ようやく診療報酬を何とかしよう、
医事紛争を何とかしようという機運が出てきたが、
でも学会の中だけでやっている限り
マスターベーションに過ぎない。

やはり外に向かってこういうことを分かってもらう、
国民に現在の医療の状況を理解していただく、
それを医師1人1人が、あるいは学会が
もっと積極的にやらなければならない。


今のような状況で、私たちが卒業したての頃だったら、
医師のストライキが確実に起こっていたと思う。
そういうこともある程度考えないといけない
時期に来ているのだろう。

診療を拒否しろと言っているのではなく、
やはり私たちの状況を社会に対してアピールする時には、
その前提として医師が何らかの行動を起こしている
必要があるということだ。


そうでなければマスコミにも分かってもらえない。
『先生方そういうことを言うけれど何もしてないじゃない』
と言われてしまうのがオチ。
昔、学生の時代にストを打って宮城前を駆け回ったのと
同じように何らかの行動を
医師はきちんと示さなければいけない。
それが国民に現状を理解していただく
最大の手段だろうと思う。

それから過重な労働を避けるためにどうしたらよいか、
の一番手っ取り早いのはワークシェアリングというか、
コメディカルの方や医療事務の方に
仕事を分担していただいて、医師医師でないと
できない仕事に専念するように。

そのためには法律の改正も必要かもしれないし、
それに医師が反対するようでは困る。

他の職員の方の権限を拡大しようとすると
日本医師会は非常に警戒する。
しかし、それは間違い。

今やアメリカを見ても世界を見ても、
医師に雑用、雑用といったら申し訳ないけれど、
医師以外がやってもよい仕事をさせているのは日本だけ。
そういう職種を医師としても育てていくということを
皆でしなければいけない。
それにもし医師会が反対するようなら
医師会を蹴飛ばせばよい。


それ位のことをしないと日本医師会
非常に強固な組織だから。
医師会の執行部には病院の人は1人もいない。
開業の先生、地方の医師会の会長がなる。
もし日本医師会をこのまま認めていくならば、
我々の意見を代表してくれる方に入ってもらうよう
組織のありかたを変える必要がある。


それから医療紛争の対処にあたるために
3年ぐらい前から医療安全委員会
というのが議論されているが、
厚生労働省から出てきた案は非常におかしい。
そういうものを厚労省の中に置こうというのだけれど、
自分の決めた医療制度を批判することはできないはずだ。

それから、その検討会の座長は刑法学者だ。
刑法とは、誰に責任があって、それをどう追及するか
という話で、そういう人が座長をやれば、
責任追及が原因究明や再発防止より
優先されてしまうのが当然と思う。


あの組織は、もう一回全部解体してやり直す
ということにしないと我々の意見は通らない。

あの検討会の中には3人医者がいるけれど、
厚労省には何も言えないかあるいは
日本医師会を代表する方々だから、
やはり勤務医を代表する、
しかもお上の息のかかってないような
実質的な方を委員に選んで、もう1回医療安全委員会
というものをどういう風にしたらよいのか
考え直してもらいたいというのが私の希望。


最後にどうしたら消化器外科に若い人が
どうしたら来てくれるのかということ。
勤務環境も大事かもしれないが、一番大きな原因は
消化器外科に魅力が少なくなってきているのが
最大の原因だと思う。

労働時間が長いとかキツいとかあっても、
若い人の中には目標のしっかりした人
たちも大勢いる。それがきちんとできるような
環境であれば、労働時間が長かろうが何だろうが
ちゃんとやる、そういう医者はまだ残っていると思う。
そういう人を惹きつけるような
魅力がないのかなという気がする。


『ロハスメディカル:2009年7月26日,1』
『ロハスメディカル:2009年7月26日,2』



一言で医者っていっても、いろいろいて。
日本医師会の偉い先生もいれば、大学教授もいるし。
勤務医開業医もいます。

元々医者って、技術職で、手に職を持っていて、
プライドも高い人達が多いですし。
それぞれ全然違う立場なんで、
考え方もばらばらなんですよ。

その中でも、一般病院でバリバリ働いているような
いわゆる「勤務医」。
それと、医師会とか学会での役職は立派なんだけど、
実際の医療現場ではほとんど働いていない医者

これは、「医師免許を持っている」っていう事では
同じなんですけど。
実際のとこ、考え方が全く反対。
という場合も多いです。

特に「既得権益」を持っているような偉―い医者
っていうのは、現場の勤務医にしたら、
むしろ「」と言っても良いくらいの時もあります。


そうでなくても、同じ勤務医の中でも、
働き者の医者もいれば、全然働かない医者もいるし。
同じ病院の中でもいます。

現場を知らないくせに、現場に文句を言う医者とか、
働かないで他の医者の仕事を増やす医者
彼らが、現場でまじめに働く医者にとって迷惑だ。
医師の過労の原因になっている。
っていう事は、異論がないと思いますけど。

実は、非常に有能で働き者で、人格者の医者
こういう人が、医師の過労の原因になっている
場合もあるんですよ。


例えば、非常に優秀で人よりも仕事が早い医者が、
良かれと思って看護師とか他の職種の仕事を
いつも手伝っていたとします。

それは、もちろん素晴らしいことなのですが。
善意」で自分の手が空いている時に、
人の仕事を手伝っているだけなのに。
手伝うのが当たり前」とか「それは医者の仕事
って思われちゃったら、他の医者にとっては、
それは迷惑な事なんですよね、はっきり言って。

もちろん、そう思う看護師とかコメディカルがいたら、
そっちの方がおかしい事なんですけど。
人が良いから、それをそのままにしておいたら、
次に来る医者とか、周りの医者の仕事が増えるんだから。
その結果、医師がますます過労になる
っていう事であれば、有能で人の良い医者も、
医師の過労の原因になっている
事になります。


私が自分の手が空いている時に、
他の人の仕事を手伝う、っていう事自体を
否定している訳ではないんですけどね。

手の空いている時に手伝ってあげるのは良いんだけど、
医者がやるのが当然」、
という雰囲気に周りがなった場合に、
「それは医師の本来の仕事じゃないんだ。」
っていう事を、はっきり言わないとダメだと思います。

それを言わない医者なのであれば、
そういう医者が、医師の過労の原因になっている、
と言われても文句は言えないと思います。


医師の過労だけの話じゃないんですけど。
1人当たりの仕事の量が多いっていう場合
それは、人が足りないか仕事の量が多いか
そのどっちかしかありません。

医師の数が足りないなら、医師数を増やすしかないし。
仕事の量が多すぎるなら、仕事を減らすしかありません。


まあ、両方やるべきだと思うんですけどね。

今でも、実際の医療現場で、比較的簡単にできるのが、
医師の仕事量を減らす、って事だと思います。

医者にしか出来ない仕事、例えば
実際に患者を診察したり、特殊な検査をしたり。
検査データーを見て判断したり、とか。
細かい病状を書いた書類を書くとか。
そういうのは、医者にしか出来ません。

でも、患者さんの採血をしたりとか、
前とほとんど同じ書類を書くとか。
事務員にも出来る仕事や、看護師にも出来る仕事
というのも、実際には「それは医者の仕事です
って言われて、医者がやっている病院も多いんですよ。

特に大学病院とか、公立病院なんかでは。

法律を改正しなくても、医者以外の職種に出来る仕事
っていうのは今でもたくさんあるんで。

医師の過労を減らす為に、今すぐやるべき事は、
医師の仕事を医師以外の職種にやってもらう事
だと思いますよ、私は。

それで、医師以外の仕事が増えるのであれば、
コメディカルをもっと雇うべきだし。
その為に、診療報酬を増やしたり、
補助金を出す、って事でも良いですけど。
そういう政策を出す、っていう事が大事だと思います。

なんかよくわらないけど、ひも付きの補助金。
では、医療は良くならないと思いますよ。


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救急はやればやるほど赤字
救急、産科、小児科は仕事が大変なのに、
診療報酬がさほど高くない。
その上、訴訟のリスクも高いので、
病院としては赤字部門なので。
病院もどんどん撤退している。
っていう話は、しょっちゅう書いていますけど。

じゃあ、具体的にどのくらい赤字なんだ。
っていうのは、あんまり知らないですよね。
皆さん。

私も、自分の病院とか過去いた病院とか。
個別の病院に関しては、ざっとは知っていますけど。
一般論としては、あまり知らなかったんですよ、
実は。

具体的に、救急がどんだけ赤字なのか、
っていう事を書いた記事を見つけたので。
せっかくだから、紹介しますね。



大阪府医師会 山本時彦理事 
2次救急病院を救済 
診療報酬評価の仕組みづくりを
補助金は救急実績に準じた支給へ


大阪府医師会の山本時彦理事は、
2次救急病院として月間約500人の救急患者
受け入れているが、その医業収支は
月間250万~300万円の赤字が継続している。

2次救急病院の経営破綻を食い止める上で、
次期診療報酬改定では、受け入れ実績に応じた
評価の仕組みづくりを求めている。

一方、日本救急医学会の杉本壽代表理事は、
救急医療における補助金事業の抜本的見直しと、
診療報酬による評価を2次救急病院まで
拡大を図ることで、経営基盤の強化が
喫緊の課題と指摘している。

救急医療は、国の政策医療として捉えていきたい」―。
8日の中医協診療報酬基本問題小委で、
日本医師会の竹嶋康弘副会長がこう発言した。

それだけ救急医療は、不採算医療という
認識が定着している。
しかし、初期救急、2次救急、救命救急センターが担う
3次救急救急体制では、補助金と
診療報酬で下支えされている3次救急と異なり、
民間病院の比率が高い2次救急病院の疲弊が
深刻化している。

財政基盤が弱い大阪府では、
2次救急医療の8割強を民間病院が支える。
山本時彦理事(救急・災害医療担当、
医療法人山紀会理事長)は、「2次救急病院の減少は、
経営的に維持できないことからやむを得ない撤退だ」
としている。

実際に国の調査によると2次救急施設は、
2004年3258施設が、昨年3月には
3175施設で83施設減少。
それを大阪で見ると、04年287施設が、
昨年3月には248施設で、39施設が減少している。
この結果から、国の2次救急施設の
減少を誘因する1つとして、
大阪の2次救急医療の疲弊が挙げられる。


●月間赤字は 250万~300万円も

山本理事は、自院の山本第3病院(347床)における
救急医療の現状として、救急車1台への対応につき
医師、看護師、検査技師、事務職など
平均9人夜勤体制(宅直除く)の人件費だけで
4万~6万円がかかっていると言う。

具体的に、08年度診療報酬改定後の点数に基づき、
昨年4月と5月の診療科別の
救急外来原価計算を行った。

診療科は、標榜科目の内科、
外科、脳外科、整形外科。
4月分では、救急搬送253件、
夜間救急198件の救急外来の
医業収入は(入院した患者については
入院初日の処置料だけで入院料を除く)、
投薬、注射、処置、手術、院内検査、画像診断、
その他患者の自己負担分を合計すると
約1300万円になる。

これに対して支出・経費は、人件費、薬剤、
検査などの材料費、医療機器・器具などの
減価償却費などの直接経費の合計が
約1590万円となり、290万円の赤字
同様に5月分は救急搬送・夜間救急件数が534件。
救急外来の医業収入は約1380万円。

支出が約1630万円で約250万円の赤字。
4月と5月の収支表を比較すると、
5月の救急件数の増加分が、
不採算性が高い外科、整形外科の
救急患者の受け入れが増えている。

それに伴う医療材料の経費もかさみ、
救急受け入れ件数の伸びが医業収入として
反映できない救急医療の実態が浮かび上がる。

特に、5月には看護助手も使わず、
人件費の圧縮に努めたが、
毎月250万~300万円の赤字が累積している。


●補助金額は赤字補填に遠く

そこで問題になるのが、補助金の効果だ。
山本理事は、「大阪府の場合も、各自治体から
救急病院へ補助金がでているが、
受け入れ実績に拘わらず
病院当たり年間100万円程度。
月額(約8万円程度)で見たら焼け石に水
としか言いようがない」と述べた。

救急医療に対する診療報酬の評価については、
08年度診療報酬改定でも救命救急入院料の
点数アップが図られたが、算定対象は
3次救急医療機関が中心となる。

2次救急病院が算定できる施設基準には
なっていないのが現実だ。
山本理事は、「救急医療の不採算の解決に
目処がつかないと、DPC参入にも踏み切れない。
特に、入院基本料の大幅アップは
2次救急病院にとって不可欠になっている」
としている。


『Japan Medicine 2009.7.15』



病気や事故になるのは昼間だけ、
っていう事はあり得ないんで。
救急っていうのは、絶対になくす事はできない
っていう事は確かです。
だからこそ、潰さないようなシステムを作る。
っていう事が大事なんですが。
残念ながら、今のシステムは全く逆です。

赤字になる、ってわかっている部門。
しかも、訴訟のリスクも高いし仕事も大変。
っていう事であれば、撤退する病院が多いのは
当たり前
です。

だから、診療報酬で優遇するでも、
補助金を多くするとか、なんでも良いけど。
とっくの昔にやらなければいけなかったんだけどねー。
残念ながら、今頃やっと、って感じですよね。


んで、具体的な救急赤字と補助金の額なんですけど。


>平均9人夜勤体制(宅直除く)の
人件費だけで4万~6万円。

>人件費の圧縮に努めたが、
毎月250万~300万円の赤字が累積。

>補助金は、受け入れ実績に拘わらず
病院当たり年間100万円程度。
月額(約8万円程度)。



頑張って人件費を削減しても、
月250万~300万円の赤字なのに。
補助金の額は、月にすると8万円位

2日分の人件費にもならない額なんですよ。

こんなんじゃ、どんなにうまくやりくりしたって、
救急部門が赤字になるのは当たり前だし。
救急から撤退する病院が出るのも
当たり前
だと思いますよ。


今更ながら、救急や小児科、産科には、
ちょっと補助金や診療報酬を優遇しますよ。
って言っているようですけど。

やるなら、ちょっとじゃなくて、
どかーんと大幅に上げないと、
この流れは止まらないと思いますよ。





勤務医の過重労働を普通の労働に
勤務医のあるべき労働環境
—なぜ労働基準法労働組合を活用しないのか?—

っていう講演が、6月20日に東京で行われたんですが。
私は行けなかったんですよ、残念ながら。

聖隷浜松病院 腫瘍放射線科主任医長、
崔 秉哲先生
の講演は、ダイジェスト版だけなら
聞いた事があるんですが。
今回は、合計2時間の講演だったようです。

その時のアナウンス文が、こちら。


勤務医のあるべき労働環境
—なぜ労働基準法労働組合を活用しないのか?—

聖隷浜松病院 腫瘍放射線科主任医長
崔 秉哲先生

6月20日(土)16:00〜18:00
東京保険医協会セミナールーム
参加費無料

09年3月、都内で総合周産期母子医療センターを持つ
日赤医療センターと愛育病院が、
相次いで労働基準監督署による是正勧告を受けました。

「名ばかり管理職」問題と、医師"当直"と称する
夜間勤務体制は、労働基準法に違反しているとして、
改善が求められています。

いま、勤務医の過重勤務を『労基法を遵守した普通の労働』に
近づけることは、医療再生にあたっての
大前提と考えなければなりません。

講演では、滋賀県で労働基準監督署を活用し、
労働組合を活性化した崔 秉哲(さい へいてつ)先生から、
労働基準法の基本解説とともに、勤務医
労働環境改善への手順についてお話いただき、
医療再生のために保険医を含め、国民各階層に求められている
課題を探っていただきます。



その時に話された内容の要約が、
「東京保険医協会」のHPにアップされたようなので。
ちょっと引用させてもらいますね。


勤務医の過重労働を「普通」の労働に 
勤務医の労働環境テーマに講演会

東京保険医協会は6月16日、協会セミナールームで
聖隷浜松病院腫瘍放射線科主任医長の
崔秉哲(さい・へいてつ)先生を招き
勤務医のあるべき労働環境
-なぜ労働基準法労働組合を活用しないのか?」
と題した政策講演会を開催した。

参加者は、医療関係者やマスコミ関係者等38人。
崔先生は、勤務先の病院を労働基準監督署
告発した経験をもとに、勤務医の宿直の問題、
勤務医の労働環境改善のために何が必要かを語った。

はじめに崔先生は、滋賀県立成人病センターで
「名ばかり管理職」の医師に残業代が
支払われていなかった実態を報告した。

労基署は08年4月に成人病センターを含む
3県立病院に対し是正勧告を行い、その後、
県立成人病センターでは、医師労働組合に加入し
病院長と労働組合代表で36協定を締結した。

崔先生は、「医師側が譲歩した面はあるが
少なくとも過労死水準といわれる勤務態勢を回避し、
働いた時間の賃金が保障されるという改善がなされた」
と語った。

労働基準法では、公立病院に勤務する地方公務員を含め、
医師も労基法による保護の対象となる。
しかし、時間外勤務手当が支払われない、
いわゆる『名ばかり管理職』の問題も現実に起きている。

医師が労働組合に加入することに抵抗感がある。
加入すると孤立するようなことはないか」
との参加者からの質問に崔先生は、

「病院(使用者)は36協定を結ばなくては
時間外労働や休日労働をさせることができない。
労働組合医師が加入していないと
勤務医の労働条件を定めた36協定は
結ぶことができない。
病院としても勤務医にも労働組合
加入してもらいたいはずだ」
と回答した。

現在の厚労省基準では、1ヶ月の救急診察日数が
16日以上の場合、宿直者1人あたりの
勤務時間は1時間以内でなければならない。

1時間を超えれば、宿直業務が認められなくなる。
したがって、数人の医師が宿直勤務し、
数時間ごとに交代制を行っていることにしなければ
基準をクリアできない。

実際は宿直医が1人で数時間におよぶ
深夜の緊急外来を担当しているにもかかわらず、
である。

多くの勤務医は、朝8時から夕方5時までの
通常勤務に続き、宿直が翌朝9時まで。
そして休むことなくさらに夕方6時までの
通常勤務に突入する。
全部で34時間から40時間の連続勤務だ。

しかし現在、宿直時間は『勤務』とは見なされていないため、
代休の対象にもならない。
宿直中はまとまった睡眠時間もなく、
いつ起こされるか分からない状態におかれるため、
精神的にも肉体的にも疲労がたまる
-そう訴える勤務医は多い。

しかし、多くの病院で医師の増員は難しく、
夜間の救急外来を交代勤務制にすることは
不可能という実態がある。

こうした状況を踏まえて崔先生は、
「宿直時間を『勤務』と見なし勤務時間に算入すると、
過労死水準を超えてしまう。
そのための医師を増員しなければならなくなる
という新たな問題が生じてしまう」
と問題点も指摘した。

解決すべき点として、
「まず勤務医の過重労働を
『労基法を遵守した普通の労働』に近づけること」
と強調する崔先生は、
「低診療報酬である現状で病院が
この問題に取り組むと経営破綻することは明らか」
として、
「1病院で勤務医の労働実態を
改善するには限界がある。
問題の根本的解決の責任は行政と政治にある。

労基法を遵守した勤務にした場合に、
必要な医師数、医療費等を積み上げ、
勤務医の労働問題改善と
診療報酬改善を要求していくことが必要」
と強調した。

最後に勤務医の労働環境改善について崔先生は、
「それは社会保障費の拡充によってなされるべきであり、
医療再建のため何が必要か
患者・国民の理解を得て一緒に進めていくことが大切。
勤務医の労働時間の解決が
医療再生の大きな一歩となる」
とまとめた。


「東京保険医協会」



崔秉哲先生は、本文にも書いてある通り、
滋賀県立成人病センターで「名ばかり管理職」の医師
残業代が支払われていなかった。
っていう事を、労働基準監督署に告発した先生です。

これ、全国ニュースにもなって、新聞なんかでも
大々的に出ていたから。
覚えている人も結構いるんじゃないですかね。

ここ1,2年、医師の時間外手当の訴訟とか、
労働基準局からの勧告の話とか。
いろんなとこで話題になっていますけど。
その先例を作ってくれた先生ですね。

一見過激な事のようにも思えますけど。
でも、タイトルにも書いてある通り、
>「勤務医の過重労働を「普通」の労働に 
って事を主張しているだけですからね。

今までが過労死寸前まで働いていたのを、
普通の労働にしてくれ。

っていう事を主張しているに過ぎません。
働いた分の手当ては払ってください。
という、医師以外の職種では当たり前の事

主張しているに過ぎませんからね、これ。

当然の事ですから、医師としては
どんどん支持していきたいと思います。

今だに「医長」だから、管理職だ、とか。
挙句の果てには、「研修医」でも管理職だ。
って言って、時間外手当を払わない、
なーんて病院もたくさんありますからね。
今の日本には。

そんな病院、崔秉哲先生に告発されちゃえば良いのに


ほんとに、時間外手当も払わずに、医師をこき使うだけなら、
日本の医療は崩壊しますよ。
→ 医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
小松 秀樹 (著)

激安診療報酬の例え話
医療に関して、アクセスコストクオリティ
3つを同時に満たす事は出来ません。

いつでも専門医に受診できて(アクセスを満たす)、
値段を安くコスト)する、となると、
医療の質クオリティ)を落とさなければならないし。

アクセスが良くて、とクオリティ医療の質)も落とさない、
という事を求めると、お金(コスト)がかかります。

コスト(値段)が安くてもクオリティ医療の質)を求めるなら、
アクセス制限をしなければ無理です。


私は、このブログでよく、
医療費(診療報酬)を上げるべきだ」
と言っていますけど。
これは、医療の質(クオリティ)を下げたり、
アクセス制限をするよりは、
値段(コスト)を上げる、って事にした方が、
よりたくさんの人が満足するんじゃないかな。
って思っているから言ってるだけの話で。

国民の多くが、医療の質(クオリティ)が
下がっても良いから安い方が良い。
とか、アクセスが悪くなっても良いから
医療(自己負担:コスト)は安い方が良い。
と思っているのであれば、それでも構わないと思っています。


日本の医師(医療従事者)は、ある外人に言わせると、
まるで聖職者のようだ」と言われる位、
自己犠牲の精神で働いて。
その結果奇跡的に日本の医療は、
アクセスコストクオリティ
3つとも、かなり満たしていた。
というのが、今の日本の現状です。

日本人は「エコノミックアニマル」って呼ばれるくらい、
一生懸命働く人が多いのは、私も良く知っていますので。
医者だけが特別だ、と言うつもりはないんですが。

アクセスコストクオリティ
3つとも満たすのは、もう不可能。
というレベルに来ています。

本来であれば、選挙で国民に選んでもらう、
というのが一番だとは思うので。
今回の選挙では、医療
争点になって欲しいんですけどねー。


日本の医療診療報酬に関して、
とてもわかりやすく書いてあるブログを
発見したので、ここで紹介させていただきますね。

イラストがとっても上手で、某所で話題になっていた
イッシー31先生のブログ、
「下界の外科医」
から、
「激安ラーメン屋と診療報酬」
です。



「激安ラーメン屋と診療報酬

こんなラーメン屋があったら、入りたいですか?

-----------------------

ラーメン  100円
チャーシューメン 150円
チャーハン 80円
ギョーザ 50円


10年前はラーメンは650円、
チャーシューメンは850円だったそうです。
値段はそれなりではあったのですが、
味にはそれなりに定評があったそうです。

約8年前にこのラーメン屋は金を払うはずのお客さんの代表が
値段を決めることができるシステムにしたそうです。
だんだん値段が下がっていって、こんな値段になってしまいました。
ラーメン屋の店主はそれでもお客においしいラーメンを
食べてもらえるように、なんとか材料費を切り詰め、
パートのおばちゃんもリストラしてやりくりしてきました。

さらに昭和30年代に建てた店舗も古くなりました。
創業時から使っていた寸胴が壊れてしまいました。

店舗を新装することができません。
壊れた寸胴を買うことができません。

親父は町の人がラーメンを「おいしい」といって
食べてくれるのがとてもうれしかったので、
何とかおいしいラーメンを作って、
町の人にラーメンを提供しようと頑張りました。

利尻産の昆布を使ってだしをとっていたスープを
どこ産かわからない謎の昆布を使ってだしをとるようにしました。
麺も国産小麦を使ったこだわりの麺だったのが、
どこで作られたかもわからない謎の麺を使って出すようにしました。
チャーシューは自家製だったのをスーパーのハムにしました。

それでもやはり、採算ラインぎりぎりです。
へたすると店を開けていればいるだけ赤字になります。

それではやはり、お客さんからは、
「親父、この店も味が落ちたねー」とか
「こんなぼろい店、行ってられるか」
という声が聞こえてきて、
ぱったりと客足が減ってしまったようです。

それでもお客さんの代表は、
このラーメン屋に客が入らないのは
サービスが悪いからだといったり、
親父が横柄な態度をとっているからだとか、
店員の数が少ないからだとか、
店舗が汚いからだとか、
年中無休、24時間営業じゃないからだとか、
出前をやっていないからだとか、いってきます。

あまつさえ、ラーメンが期待していたほどおいしくなくて
1週間後に下痢をしたといって
損害賠償を求める客もでてきました。

人の好いラーメン屋の親父は、
30年守り続けていたのれんを下ろしました。


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もうおわかりだと思いますが、ラーメン屋を病院、
客の代表を国、客を患者さんと思って考えてください。

医療の値段はとても細かく国が決めており、
診療報酬といいます。
ここに摩訶不思議な構造がうまれます。

ラーメンの値段の大部分を負担する人が
ラーメンの値段を決めているのです。
診療報酬を決めているのは国で、
国は診療報酬医療機関に
払う立場です(この辺は厳密には違うのですが・・・)。


国が決める診療報酬は連続して下がり続けています。
2008年度の診療報酬改訂では、診療報酬の本体部分は
0.38%アップしたのですが、材料費や薬剤費などを含めた
全体は0.82%マイナスでした。
(ちなみに2006年度は3.16%、2004年は1.05%、
2002年は2.07%のマイナス、
2002年度から8年連続のマイナス改定)。
そして2010年には診療報酬の改定があります。

全国保険医団体連合会2010年の診療報酬改定は
全体で10%UPを要望しています。
自民党の園田政調会長は「診療報酬UPを政権公約に」
とはいっていますが、本当でしょうか。

財政審などは、「開業医への報酬を減らして
勤務医へ増やそう」とか、
「救急医療への集中投下を」とか言っています。

医療の高度化、細分化によって、
国の医療費は上がり続けています。
多くのラーメンに「鹿児島黒豚あぶり豚トロチャーシュー」が
必要な状況になっています。
いつまで豚トロチャーシューをスーパーのハムの値段で
出さなくてはいけないのでしょうか。

今度の選挙の争点は知事達が火をつけた地方分権や、
自民対民主の構造がクローズアップされそうです。
医療についてはおそらく、「救急医療の充実」
「産科小児科の充実」などが叫ばれるでしょう。
今、医療経済は、どこかにお金を集中的に回して
何とかなる状況ではなくなっています。

例えてみれば、大出血をしていて
循環血漿量が減ってしまった人が
末梢(手や足)の血管を締めて、脳などの重要臓器に
血液を送ろうとしている状況でしょうか。

この状況を打開するためには、十分な循環血漿量を
全身に補充するしかありません。
重要な脳や肝臓だけに血液を送って
もいずれ他の臓器がやられて死んでしまします。
真っ先に末梢は壊死してしまします。

「救急医療を充実する」とか
「産科、小児科を充実する」というのは、
必要なことで、実に聞こえが良いのですが、
我々からすると、「それだけじゃ、基幹病院や
地域の開業医はつぶれちゃうよ」としか思ってしまいます。

もうけ至上主義や不正をおこなう病院が
取りざたされたりしていますが、
全国のほとんどの病院や診療所は
減っている診療報酬の中、
なんとかやりくりしてまじめに経営を維持しています。
そして地域の医療を守っています。
救急医療を充実させても、その後のフォローアップをしてくれる
地域の開業医や病院が無くては
いつまでたっても急性期病棟は空きません。

慢性疾患を定期的に見ていただいている開業医さんが
いなくなると、基幹病院に慢性疾患患者が押し寄せ、
勤務医は疲弊します。

開業医と勤務医の対立構造が好きな人が多いようですが、
この両者がうまく回って地域医療が成り立っていることを
我々は知らなくてはいけません。

2010年診療報酬の改定はおそらく医療崩壊を
さらに加速するか、食い止めるかの瀬戸際になるでしょう。

あまりクローズアップされていないし、
国対地方、脱官僚、派遣問題、
などなど問題が山積しているので、
医療問題はその中に
「こそっ」と紛れ込まされてしまうのでしょうね。




小泉改革で、「改革には痛みが伴う」と言って、
どんどん医療費が削減されてしまって。
痛みは増えたんだけど、何か良くなったんでしょうかねー。
少なくとも、医療に関しては良くなった所はないように思えます。

骨太の方針2006で、社会保障費の自然増を、
5年で1兆1000億円(1年当たり2200億円)抑制する

という方針がとられて。
3年で6600億円の社会保障費が削られました。

今年の骨太の方針2009では、社会保障費の抑制は撤回する。
と、選挙前なので苦し紛れで言っているようですが。

3年間で減らされた6600億円を戻す、
という訳ではないんですよね。

日本の2006-07 年の総保健医療支出の対GDP 比は8.1%で、
OECD 平均の8.9%を0.8%下回ります。
ちなみにアメリカは、ずば抜けて最も保健医療支出の割合が多くて、
2007 年は対GDP 比16.0%であり、次いでフランス(11.0%)、
スイス(10.8%)、ドイツ(10.4%)の順です。

日本の保健医療支出は2000 年から2006 年の間に
実質ベースで2.2%増加しているんですけど、
これも2000-2007 年の間のOECD 平均3.7%を下回っています

参照: 『OECD Health Data 2009 - Country notes、日本語版』



元々、他の先進国よりも医療費が安いのに、
その伸びも無理矢理減らした。
その結果、医療崩壊が進んだ。


その事に関しては、大いに反省してもらいたいですね。
自民党の政治家には。


医療費を減らす、というのであれば、
今よりも確実にアクセスが悪くなりますよ。
医療の質が落ちますよ。

という事をきちんと国民に説明して。
その結果、国民がその政党を選ぶのであれば、
それはそれで良いとは思いますが。

今まで通りの医療の質もアクセスも保ちますけど、
医療費だけは削減します。

というのは不可能なので、「完全に嘘」ですから。
責任ある政党であれば、言ってはいけない事だと思います。



ちなみに、私はどの政党も支持しておりません。



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