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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
歯科医は手抜きで食っている
民主党政権になって、マニュフェストに
医師数1.5倍とかって書いてあったので。
それで、医療崩壊が少しでも良くなるかな、
と思っている人もいるんですけど。
医療もそれに見合っただけ上げないと、
医師がワーキングプアーになる事も
ありえるんですよ。

実際、歯科医の世界では、
>歯科医師の5人に1人が年収300万円以下
とも言われています。

これ、前に私も記事にしました。
『医師もワーキングプアになるかも』


その時に歯科医の方からもらった
コメントも非常に参考になったのですが。
今回、MRICマガジンに載っていた記事も、
現在の歯科医の現状を知るのに、
非常に参考になりましたので。
ちょっと紹介させていただきますね。

歯科診療報酬が低いから、
手抜きして薄利多売じゃないとやっていけない。
っていう歯科医の現状です。



▽ 歯科の本当の姿、問題点 ▽

 津曲(つまがり)雅美

2009年10月30日 MRIC by
医療ガバナンス学会 発行
 http://medg.jp


まず、歯科診療報酬が物理的に
診療行為として実行不能な低点数だ
ということを、皆さまになんとか
わかっていただきたいと思います。

例えば、虫歯のムシがくった、
罹患した部分をエンジンや、
手でスプーンを使って取り除く行為は
根気のいる仕事で30分から
1時間もかかることもありますが、
これが16点(1点10円ですから
160円、以下同様)です。

また根の治療が140円でこれも
時間がかかる根気のいる仕事です。

入れ歯の型取り、これは場合よっては
2日2回に分けて、2時間くらい
かかることもありますが、
これが2250円です。

総入れ歯を入れた時は22800円
ですが、技工代、材料代などを
払えば私の場合は1万円ほどしか
手元に残りません。
あれだけやったのにです。

また、話をわかりやすくするために、
内容を簡略化しますが、同じ前歯の
抜歯でも医師がやれば4578円、
歯科医がやれば1500円です。

同じく親知らずの埋もれている
歯を抜歯すれば、同じく54830円と
11500円です。

抜歯と言えども外科手術です。
神経も使いますし、事故などの
危険性もある程度はあります。
こんな点数で勘弁して下さい
というのが正直な気持ちです。
  
また、歯周病(歯槽膿漏)の手術では、
先進医療(混合診療)の時は
58000円ほどだったのが、
保険に導入されたら9000円になり、
材料代が15000円~31500円かかり、
実際には施術できません。
  

九州大学の水田副学長によると、
歯科の1カ月の売り上げは外科の
1日分だそうです。
  

こういっても、にわかには
信じられないと思います。

今でこそ歯科医はワーキングプア
とも言われ、前ほどは儲かる仕事では
なくなったが、昔は、または
少し前までは儲かる仕事の代表の
一つではなかったのか、儲かっていた
ということは、保険点数は、
そこそこはもらっていたのだろう、
歯科医の困窮化は数が増えすぎた
ことだけが問題なのではないか、
と思われるでしょう。
当然です。
  
その理由を書かせていただきます。
日歯学会編纂の『歯科診療行為(外来)の
タイムスタデイ調査2004年版』で、
各診療行為に要する時間が
精査されています。

各診療行為にかかる時間を複数の
モニターを使って精査しています。
現在、歯科保険医療機関が
一か月当たりに上げる平均保険点数は
約30万点(300万円)ですが、
これを1時間あたりに換算すると、
一日9時間働くとしても1400点
(14000円)/時間です。

各診療行為の点数を1時間当たりに
換算して、この14000円と比較します。

抜歯、サシ歯、義歯など高い
診療行為で700点/時間で平均の半分、
義歯の調整、根の治療など低い
診療行為で70点/時間つまり
平均の5%、歯科の診療行為中
『平均の1400点/時間を上回るものがない』
のです。

これは明らかに矛盾しており、
日歯学会は日歯の内部組織ですから
『日歯自身が多くの歯科医
手抜きで食っている』といっているのです。

このタイムスタデイどおりに診療したら、
月に30万点どころか10万点ほどしか
上がらないと思います。
これは私個人が言っているのではなく、
日歯自身が言っているのですから、
我々は十分なる証拠だと考えます。

点数が低いぶん、パッパッと手早く、
手抜きでやっているのです。
日歯がそう言っているのです。

 
手抜きには、不正・不当に密接に
関連する部分があります。
療養担当規則というものがあり
歯科医学上妥当適切に行うこと」
と記載されているから、手抜き
同規則違反でもあります。

外科や口腔外科なら、例えば
抜歯したはずの歯が口の中にある、
手術してないのに手術をしたことにして
保険請求した・・・
そんなことでもない限り基本的
にはやった、やってないが全てで、
不正も何もないわけです。
だから我々一般歯科医のことは
理解しづらい面があると思います。


我々が多く手がける一般歯科とでも
いうべき治療、例えば虫歯の治療ですが、
軟化牙質(虫歯のムシ食いの部分)を残して、
パッパッと詰めモノを詰める、
これは手抜きであると同時に、
療担規則違反の不正請求になります。

上から詰めてしまうから、ムシ食いが
残っていることは、外からはわかりません。
患者さんにも わかりません。

前述の外科の不正に比べ、この入り組んだ、
わかりにくい構成が何とも言えない特徴です。
手抜きは不正・不当と密接に関連しますし、
手抜きでした、下手なんです、
スイマセンでは済まない面があります。

手抜きとは、十分なことをしないで、
十分なことをやったとして
保険請求することですから、
それは当然不 正請求になります』。
 
 
そのようなわけで不正しているから
技官が怖い、保険の個別指導が怖い。
歯科医の技官への恐怖心は
半端ではありません。
引退し閉院し、子供が跡を継がない、
保険指導が怖くいない歯科医しか
モノが言えないと言っても
決して言いすぎではありません。

怖いから国民や厚労省や技官にモノが言えない、
点数を上げてくれ と言えないのです。
だから営々と低点数でやってきたのです。
  

それと歯科の低点数を国民の皆さんに
理解してもらうのは、大変に困難だと思います。
歯科が低点数なのは事実なのです。

前述のとおり、点数が低いなら点数を
上げてくれと言えばいいではない
ということになります。

しかし、やましいから、
点数を上げてくれと言えない。
歯科医の困窮は、数が増えすぎた
ことだけではないのか。
昔はまたは少し前までは歯科医
金持ちの象徴だったのだから、
点数が低いというのはどういうことなのだ」
と言われれば、まさか
「実は点数は低かったのです。
だから手抜きで食ってました」
とは中々言えません。

「言うに言えない」状態で悶々と
出口の見えないトンネルの中を
彷徨っていると言っていいと思います 。

医科は大まかにいえば歯科に比べて、
「高点数で高収入」です。
歯科は今まで述べたとおり
「低点数で高収入」です。
  

低点数で、数で捌いて手抜き
稼いでいましたなど言ったら、
大騒ぎになるでしょう。
耐震偽造の事件では、誰しも建築業界では
これが常識になっているのではないか、
調べようがありませんが、業界の多くの業者が
こんなことをしているのではないか、
という疑念を持ったと思います。

有罪判決を受けたイーホームズ(廃業)の
藤田東吾社長が、今でも国民に訴えておられます。

しかし、この類の事件は、検察も新聞も
深追いしないし、検察もある程度で
捜査を打ち切るのは、周知のとおりです。

マスコミもここまでは載せてくれません。
だから国民に伝わりません。

事実が全て明らさまになれば、
国中が大混乱に陥るからでしょう。
政治家の不審な死に方や自殺も、
このような事件に関わっている
からではないのか、と思っている人は
多いと思います。
  

この歯科の低点数などの問題も、
これに属するほどの件だと思います。
国民は自分たちが手抜きの治療を受けていた
と知ったら、それは簡単にはすまないでしょう。

歯科界から社会、厚労省に保険点数の
大幅アップを訴えるのは、そういう理由で
中々に困難です。
しかし、私たちは歯科の低点数の問題を
正面から見据え主 張しないと、
歯科医療歯科界の再生はない、
歯科医療は救われないと思います。

物理的にできないものは、あくまでも
できませんとしか言いようがありません。

保団連は「保険でいい治療を」と言います。
逆にいえば「保険でいい治療はできない」
と言っているのに等いのです。
それなら、自費収入が保険の不採算を
カバーできるほど多い歯科医または、
自費収入が少なく、かつ、規則どおりに
キチンとマジメに診療し、
その結果当然なこととして極貧に喘ぐ
歯科医など、それら以外の多くのというより、
ほとんどの歯科医が、毎日手抜きしながら
歯科保険医療制度の改革を望むという
自家撞着に陥ります。
毎日手抜きしながら改革を
望むことになります。

 
近年、厚労省の暴力とも言える
指導監査が行われ、保険医、保険医療機関
取り消し事由に当たらないのではないか、
と思われえるケースでも、
処分が行われています。

さすがに、このままでは厚生行政に抹殺される
という思いが、医療界を
立ち上がらせていると思います。


拙文を読んでいただいた方、
ありがとうございました。

ご意見、ご質問等あれば下記にご連絡ください。

〒524-0021 滋賀県守山市吉身2-6-44
津曲(つまがり)雅美
TEL077-583-3101
FAX077-582-4115
メール 
thu-san@saturn.dti.ne.jp

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今回の記事は転送歓迎します。
その際にはMRICの記事である旨
ご紹介いただけましたら幸いです。
               
 MRIC by 医療ガバナンス学会
  
   
『MRIC by 医療ガバナンス学会
臨時 vol 312 「歯科の本当の姿、問題点」』

          



この記事は、歯科診療報酬が安い
っていう話でしたけど。
医科(病院、診療所)の報酬に関しても、
世界と比べると、めちゃくちゃ安いんですよ。
日本は。

以前の記事に、アメリカと日本の
診療報酬の比較
について書きましたけど。

『日米医療報酬比較』

診療点数早見表、2006年4月版のデーターでは。


日米診療報酬比較

 ○初診料

<アメリカの診療報酬
家庭医の場合: 1万2千円
専門医の場合: 3万円から5万円以上


(日本の診療報酬
研修医でも専門医でも 2700円



 ○血液採取と準備費

<アメリカの診療報酬
3000円


(日本の診療報酬
110円



 ○心電図

<アメリカの診療報酬
1万3000円


(日本の診療報酬
1500円



こんな感じで、アメリカと比べると
日本の診療報酬は1/5-1/10位
でしょう。


『医師もワーキングプアになるかも』

にも書いていますけど。


>20年の間には消費者物価が1.5~2倍になり、
国民生活も様変わりしている。
にもかかわらず、歯科医療の根幹となる
保険診療の基本的技術料が
変化していないことに関して、
小池氏は「20年間も(保険点数の)
引き上げが行われていないことは、
この間の物価・人件費の伸びなどと比べても、
明らかに均衡を欠く」



医療に関しては、20年とまではいかないですけど。
8年続けて、下がっています、診療報酬


医師の場合は、手抜きで食っている、
って事はないと思いますけど。
歯科医医師も、診療報酬が安いから、
薄利多売でやらないと、黒字にならない

という問題点があります。
解決策としては、診療報酬を上げる
という事しかないんですよ。

民主党になって、診療報酬を決める、
中医協から、日本医師会の代表が外れた、
っていうのが最近話題になったけど。
診療報酬自体を上げる、とも言っていますよね。
民主党、厚生労働省。

歯科の場合は、歯医者の数が少なくて、
歯科診療所の数が少なくて治療が受けられない
っていう意味での「歯科医療崩壊
というのはないんですけど。

歯科医の中でワーキングプアが出ている、
という歯科医の中での歯科医療崩壊
現実になりつつあるんですよ。



最後に、歯科医の先生からのコメント
ここでも引用させていただきますね。


歯科から~

混合診療が認められて久しい
歯科医療者から、少々一言。

前レスで「歯科は混合診療が
認められているのに、大丈夫だ。
医科だってそうだろう」のような
意見もございましたし、
日々の診療の中で、保険と自費、
そのメリットとデメリット、
金額などを日常的に
説明していたりするわけですが
(別に全く他の保険治療と異なる
リスクとかがなくとも。
つか、リスク高かったら金額負担の大きい
自費はかえって薦めないですね。
お金のことは度外視するほど
希望の強い方でない限り)。

私的に、混合診療の一番のデメリットは、
「何時までたっても保険適用にならないっ!」
ということだと感じます。

この20年以上、歯科で新しく
保険適用になった治療法、
多分ひとつもないですよ。
まあ、審美領域の話は、この際さておいて
(といっても今の世の中小臼歯までは
前装冠認めて欲しいですが・・・
保険だと銀歯になります
(しかしものすごく目立つ)、
自費だったら白くできるんですが~」
というのは辛い。

しかも、こっちの収入に違いが
できるわけでもない^^;)
インプラントとか、新しい(といっても自費では
10年以上使われてる)材料の認可すら
まったくないのが現状です。
これは機能的にも非常に異なってきます。

たとえば医科で混合診療が解禁になったら、
この先出てくる画期的な、
もしくは有用な治療法が
保険認可されることはあるのだろうか、
と憂慮してしまいます。

それどころか風邪なども保険からはずす
という話すら出てきてる有様だというのに…
「早期発見・早期治療」のスローガンは
どこにいったのでしょう。
歯科の検診すら、治療じゃないから
「自費」が原則な世の中です・・・。

混合診療がないからこそ、
実効性が証明された
治療法があるのに使えないのはおかしい、
という認可への圧力になると思いますし、
それがなければ何時までたっても
自費のまま、経済力のない方には
一生縁のない話で
終わってしまうとは思いませんか?
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