「時間外重症患者割引制度」
というか、時間外に受診した
軽症患者から加算金を取る制度。
「時間外重症患者割引制度実現か」
の記事にも書いたけど、
2010年度からの診療報酬改定で、
もしかしたら導入されるかも、
って思ったんだけど。
断念、というか見送りになりましたね。
まあ、予想通りではあるんですが、
はっきり言って、すごく残念です。
軽症の救急患者から特別料金、
10年度は見送り
症状が軽く必要性が低いのに
救急外来を受診する患者から
特別料金を徴収できる仕組みについて、
中央社会保険医療協議会(中医協=
厚生労働相の諮問機関)は1月27日、
新年度の診療報酬改定での
導入見送りを決めた。
委員間で合意が得られず、断念した。
ただ、救急医療の適正な利用を
求めていく点では一致し、当面は
啓発活動を充実させることで対応する。
軽症患者が、自分の都合で夜間や
休日に受診するケースがあり、
救急医療現場の負担増加に
つながっていると指摘されている。
中医協は、医師らの負担軽減策の
一環として特別料金の徴収を検討。
対象を重度の患者を受け入れる
救急救命センター(全国で221施設)に
限定したうえで、診療前に患者側に
周知することや診療の優先順位の
基準を各医療機関で策定する
――などを条件に徴収できる
仕組みが検討されていた。
徴収対象の典型例として
「虫さされがかゆい」「海外旅行なので、
いつもの薬をたくさんほしい」
が示されていた。
この日の中医協では、患者ら
支払い側委員が、「患者自身が
(軽症か)判断できないことが多い」
「逆に、お金を払えば(救急に)
行っても良いとなりかねない」
など導入に反対。
患者に適正利用を働きかける
取り組みをしたうえで、
検討すべきだとの意見が出た。
これに対し、医師ら診療側委員は
「本当に救急医療が必要な人が
受けられないことがある」など
導入の必要性を訴えたが、
新年度からの導入は時期尚早
と結論づけられた。
ただ、現在も一定の条件を満たして
救急外来で特別料金を徴収している
場合は、今後も継続できる。
『asahi.com: 2010年1月28日』
まあ、救急救命センターに限定、
っていうのも、あまり意味ないし。
適正な価格でないと意味がないので。
最初に安い値段で始めて、
徐々に高くしていく、っていうやり方だと、
むしろ逆効果っていう事もあるんで。
中途半端に始めるよりは、
適正な価格と、どの病院で適応するのか。
っていう事をきちんと決めてから始める、
って方が良いかもしれないので。
逆に良かったのかもしれませんけどね。
医療ではないんだけど。
実例があるんで、ちょっと紹介しますか。
安すぎる値段でペナルティを課したら、
減るどころか逆効果だった、って実験です。
「ヤバい経済学」
という、経済の本から引用。
経済学者達が、イスラエルの保育園
10カ所で20週間行った実験。
保育園って子供を預かっている訳なんだけど。
親が子供を迎えに来るのに、
遅れてくる事がよくあるんですよ。
そこで、どうやったら迎えに来る
親の遅刻を減らせるのか、
っていう実験をしました。
最初の4週間は、遅れてくる
親の数を数えます。
平均で、保育園一カ所当たり、
週に8件の遅刻がありました。
5週目に、罰金制度が実施されます。
迎えに来るのが10分以上遅れた場合。
その親には毎回子供1人につき
3ドルの罰金を課すって事にしました。
さあ、遅刻してくる親は、
減ったのでしょうか、増えたのでしょうか。
すると、どうでしょう。
罰金制度が始まると、
親の遅刻はすぐに、増えました。
以前は平均で、保育園一カ所当たり、
週に8件の遅刻があったのですが。
罰金制度が導入されると、すぐに
週当たりの遅刻は20件に増えました。
約2.5倍ですね。
インセンティブが完全に
裏目に出てしまった例です。
インセンティブには、
経済的インセンティブ
社会的インセンティブ
道徳的インセンティブ
の3つがあります。
「タバコ」の例を出すと。
タバコ税を取って、購入意欲をくじくのが、
経済的インセンティブ。
レストランやバーでの喫煙が
禁止されているのは、社会的インセンティブ。
アメリカ政府が、テロリストは
ヤミでタバコを売って資金を調達している
って主張するとき、あれは
道徳的インセンティブです。
イスラエルの保育園の場合。
子供1人が毎日遅刻しても、
月に60ドル追加で払えば良いだけです。
これは、基本料金の1/6ほどで、
ベビーシッター料としても安いですから。
経済的インセンティブとしては、
軽すぎです。
替わりに罰金が100ドルだったら、
かなり効果があるんでしょうが。
大変な恨みを買うでしょうねー。
この罰金制度の問題は、
経済的インセンティブが軽すぎた、
って事と。
道徳的インセンティブ
(遅れた親が感じる罪の意識)を
経済的インセンティブ(罰金3ドル)に
置き換えてしまった、って事です。
毎日ほんの3ドルで免罪符が変える。
そのうえ、罰金が少額なので、
迎えに来るのが遅くなっても
たいしたことじゃない、
というシグナルが親御さん達に
送られてしまったんです。
この実験の続き。
調査の17週目になって、
経済学者が罰金をやめても、
遅れる親は減らなかった。
遅れて来た人達は、罰金を払わされる事もなく、
そのうえ罪の意識もなくなったんです。
ここで本題に戻って。
柏原とか東金とかのやり方は、
道徳的インセンティブに訴えるやり方です。
参照:
「県立柏原病院の小児科を守る会」
「NPO法人:地域医療を育てる会」
これは、間違ってはいないと思います。
そして、軽症患者から時間外加算金を取る
っていうのは、経済的インセンティブです。
軽症患者の時間外加算金が、
300円とか500円っていう少額で、
免罪符が買える、という事になれば、
イスラエルの保育園の例と同じ。
経済的インセンティブを
道徳的インセンティブに
置き換えただけですから。
逆に受診者の数が増える事がありえます。
だから単に少しだけでもお金を取る、
っていうやり方ではなくて、
時間外は5千円とか1万円くらいの、
ある程度痛みの伴う額にしないと、
逆効果になる可能性はあると思います。
お金を取るなら、受診が抑制されるくらい、
しっかり取る。
数百円とか1000円とかじゃ、
経済的インセンティブが軽すぎるので。
時間外加算料金5000円位取りなさい、
っていうのが私の主張です。
それと、前回の記事にも書いた通り、
「時間外重症患者割引制度実現か」
1、軽症患者への加算金は、
普通の人であれば、そこそこ痛いな。
という「適性な金額」にする事。
2、「軽症かどうかを現場の医師に
決めさせて、余計な負担をかけさせない」。
3、「救命救急センター」だけでなくて、
2次救急の病院にも適用する事。
この3つ揃っていないと、
中途半端なことになって。
安い値段だと、逆にモラルの低下を
引き起こして、患者数が増える。
なんて事もありえるんで。
今回、制度として導入しなかったのは
しょうがないですから。
2年後か、いつかわからないですけど、
やる時には、きちんとした金額、
それと、適切な病院に適用する。
という事を、しっかり考えてから
やって欲しいものですね。
保育園の迎えに遅刻する親の話だけでなく、
相撲の八百長とか、マフィアの経済学とか。
普通の本とは全く違った経済の話が
おもしろおかしく書いてある本がこれ!
→ 「ヤバい経済学」
というか、時間外に受診した
軽症患者から加算金を取る制度。
「時間外重症患者割引制度実現か」
の記事にも書いたけど、
2010年度からの診療報酬改定で、
もしかしたら導入されるかも、
って思ったんだけど。
断念、というか見送りになりましたね。
まあ、予想通りではあるんですが、
はっきり言って、すごく残念です。
軽症の救急患者から特別料金、
10年度は見送り
症状が軽く必要性が低いのに
救急外来を受診する患者から
特別料金を徴収できる仕組みについて、
中央社会保険医療協議会(中医協=
厚生労働相の諮問機関)は1月27日、
新年度の診療報酬改定での
導入見送りを決めた。
委員間で合意が得られず、断念した。
ただ、救急医療の適正な利用を
求めていく点では一致し、当面は
啓発活動を充実させることで対応する。
軽症患者が、自分の都合で夜間や
休日に受診するケースがあり、
救急医療現場の負担増加に
つながっていると指摘されている。
中医協は、医師らの負担軽減策の
一環として特別料金の徴収を検討。
対象を重度の患者を受け入れる
救急救命センター(全国で221施設)に
限定したうえで、診療前に患者側に
周知することや診療の優先順位の
基準を各医療機関で策定する
――などを条件に徴収できる
仕組みが検討されていた。
徴収対象の典型例として
「虫さされがかゆい」「海外旅行なので、
いつもの薬をたくさんほしい」
が示されていた。
この日の中医協では、患者ら
支払い側委員が、「患者自身が
(軽症か)判断できないことが多い」
「逆に、お金を払えば(救急に)
行っても良いとなりかねない」
など導入に反対。
患者に適正利用を働きかける
取り組みをしたうえで、
検討すべきだとの意見が出た。
これに対し、医師ら診療側委員は
「本当に救急医療が必要な人が
受けられないことがある」など
導入の必要性を訴えたが、
新年度からの導入は時期尚早
と結論づけられた。
ただ、現在も一定の条件を満たして
救急外来で特別料金を徴収している
場合は、今後も継続できる。
『asahi.com: 2010年1月28日』
まあ、救急救命センターに限定、
っていうのも、あまり意味ないし。
適正な価格でないと意味がないので。
最初に安い値段で始めて、
徐々に高くしていく、っていうやり方だと、
むしろ逆効果っていう事もあるんで。
中途半端に始めるよりは、
適正な価格と、どの病院で適応するのか。
っていう事をきちんと決めてから始める、
って方が良いかもしれないので。
逆に良かったのかもしれませんけどね。
医療ではないんだけど。
実例があるんで、ちょっと紹介しますか。
安すぎる値段でペナルティを課したら、
減るどころか逆効果だった、って実験です。
「ヤバい経済学」
という、経済の本から引用。
経済学者達が、イスラエルの保育園
10カ所で20週間行った実験。
保育園って子供を預かっている訳なんだけど。
親が子供を迎えに来るのに、
遅れてくる事がよくあるんですよ。
そこで、どうやったら迎えに来る
親の遅刻を減らせるのか、
っていう実験をしました。
最初の4週間は、遅れてくる
親の数を数えます。
平均で、保育園一カ所当たり、
週に8件の遅刻がありました。
5週目に、罰金制度が実施されます。
迎えに来るのが10分以上遅れた場合。
その親には毎回子供1人につき
3ドルの罰金を課すって事にしました。
さあ、遅刻してくる親は、
減ったのでしょうか、増えたのでしょうか。
すると、どうでしょう。
罰金制度が始まると、
親の遅刻はすぐに、増えました。
以前は平均で、保育園一カ所当たり、
週に8件の遅刻があったのですが。
罰金制度が導入されると、すぐに
週当たりの遅刻は20件に増えました。
約2.5倍ですね。
インセンティブが完全に
裏目に出てしまった例です。
インセンティブには、
経済的インセンティブ
社会的インセンティブ
道徳的インセンティブ
の3つがあります。
「タバコ」の例を出すと。
タバコ税を取って、購入意欲をくじくのが、
経済的インセンティブ。
レストランやバーでの喫煙が
禁止されているのは、社会的インセンティブ。
アメリカ政府が、テロリストは
ヤミでタバコを売って資金を調達している
って主張するとき、あれは
道徳的インセンティブです。
イスラエルの保育園の場合。
子供1人が毎日遅刻しても、
月に60ドル追加で払えば良いだけです。
これは、基本料金の1/6ほどで、
ベビーシッター料としても安いですから。
経済的インセンティブとしては、
軽すぎです。
替わりに罰金が100ドルだったら、
かなり効果があるんでしょうが。
大変な恨みを買うでしょうねー。
この罰金制度の問題は、
経済的インセンティブが軽すぎた、
って事と。
道徳的インセンティブ
(遅れた親が感じる罪の意識)を
経済的インセンティブ(罰金3ドル)に
置き換えてしまった、って事です。
毎日ほんの3ドルで免罪符が変える。
そのうえ、罰金が少額なので、
迎えに来るのが遅くなっても
たいしたことじゃない、
というシグナルが親御さん達に
送られてしまったんです。
この実験の続き。
調査の17週目になって、
経済学者が罰金をやめても、
遅れる親は減らなかった。
遅れて来た人達は、罰金を払わされる事もなく、
そのうえ罪の意識もなくなったんです。
ここで本題に戻って。
柏原とか東金とかのやり方は、
道徳的インセンティブに訴えるやり方です。
参照:
「県立柏原病院の小児科を守る会」
「NPO法人:地域医療を育てる会」
これは、間違ってはいないと思います。
そして、軽症患者から時間外加算金を取る
っていうのは、経済的インセンティブです。
軽症患者の時間外加算金が、
300円とか500円っていう少額で、
免罪符が買える、という事になれば、
イスラエルの保育園の例と同じ。
経済的インセンティブを
道徳的インセンティブに
置き換えただけですから。
逆に受診者の数が増える事がありえます。
だから単に少しだけでもお金を取る、
っていうやり方ではなくて、
時間外は5千円とか1万円くらいの、
ある程度痛みの伴う額にしないと、
逆効果になる可能性はあると思います。
お金を取るなら、受診が抑制されるくらい、
しっかり取る。
数百円とか1000円とかじゃ、
経済的インセンティブが軽すぎるので。
時間外加算料金5000円位取りなさい、
っていうのが私の主張です。
それと、前回の記事にも書いた通り、
「時間外重症患者割引制度実現か」
1、軽症患者への加算金は、
普通の人であれば、そこそこ痛いな。
という「適性な金額」にする事。
2、「軽症かどうかを現場の医師に
決めさせて、余計な負担をかけさせない」。
3、「救命救急センター」だけでなくて、
2次救急の病院にも適用する事。
この3つ揃っていないと、
中途半端なことになって。
安い値段だと、逆にモラルの低下を
引き起こして、患者数が増える。
なんて事もありえるんで。
今回、制度として導入しなかったのは
しょうがないですから。
2年後か、いつかわからないですけど、
やる時には、きちんとした金額、
それと、適切な病院に適用する。
という事を、しっかり考えてから
やって欲しいものですね。
保育園の迎えに遅刻する親の話だけでなく、
相撲の八百長とか、マフィアの経済学とか。
普通の本とは全く違った経済の話が
おもしろおかしく書いてある本がこれ!
→ 「ヤバい経済学」
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このブログでも2年以上前から、
提唱していた制度。
勤務医の負担を減らす為の、
「時間外重症患者割引制度」。
その名の通り、時間外に病院を受診した人
からは、いくらかお金を上乗せして。
重症患者からは取りません。
もしくは、割り引きますよ。
っていう制度です。
詳しくは、この記事を読んでね。
『時間外重症患者割引制度』
2年前に書いた時は、こういう制度を
取り入れている病院は、まだ日本でも
さほど多くはなかったんですけど。
最近は、徐々に増えてきて。
軽症患者の受診抑制の効果がある、
っていう事もわかってきたので。
今度の診療報酬改定で、もしかしたら
取り入れられるかもしれませんね。
以前にこのブログでも書いた通り、
『時間外加算金で時間外患者2割減少』
12の病院を集めて統計をとったら、
時間外の患者(軽症患者)の数が
2割以上減りました。
でも、重症患者(入院患者)の数は、
変わりませんでしたよ。
っていう小児科医の江原朗先生の論文とか。
鳥取大学医学部付属病院は、
5250円時間外加算金をとったら、
軽症患者の数が半分になった。
って新聞記事とか。
「勤務医開業つれづれ日記・2:2009.9.29」
こういうのが良い例ですね。
今のままでは、いくつか問題もありますけど。
方向としては、良い方に行っていると思います。
m3.comの医療維新に記事が出ていたので、
紹介させていただきますね。
中央社会保険医療協議会
軽症患者の救急外来受診について
特別料金徴収の案を提示
要件は医師等によるトリアージ、
患者への事前説明など
2010年1月15日 村山みのり(m3.com編集部)
1月15日、中医協総会において、
事務局(厚労省)は救急外来を受診する
軽症患者から医療保険の患者自己負担分
とは別に料金を徴収することについて、
具体的内容・要件の案を提出した
(資料は厚労省のホームページを参照)。
『厚労省のホームページ』
救急医療機関を受診する軽症患者が
増加している一方、医師が患者に
協力してほしい内容として、軽症の場合は
近隣の診療所を受診してほしい、
休日・夜間の受診は避けてほしい
との調査結果が示されている
現状を踏まえたもの。
事務局案では、料金徴収をする施設として
救命救急センターを想定しているが、
「あくまでも提案にすぎず、議論により
対象施設が拡大または縮小する
可能性がある」とのこと。
事務局案は、救命救急センター
(2010年1月1日現在、全国で221施設)の
医師の負担を軽減する観点から、
他の医療機関からの紹介のない軽症患者が
救命救急センターの救急外来を受診した場合に、
一定の条件を付した上で、医療保険の
自己負担とは別に、予約診療・差額ベッドなどと
同様の選定療養として、患者から
特別な料金を徴収することを可能とする内容。
医師や経験を有する看護師が
事前に状態等の確認を行った結果、
軽症であることが確認され、別途費用の
徴収が発生する可能性があることを
説明したにもかかわらず、患者の選択により
診療を実施した場合について、
医療保険の自己負担とは別に、患者から
特別な料金の徴収を可能とする。
具体的な要件(案)は以下の通り。
・軽症患者に該当するか否かは、診察の前に、
医師または経験を有する看護師が判断する。
その基準は、学会等が示す
トリアージの基準を参考に、
各医療機関が策定する。
・軽症患者に該当し、特別の料金を徴収される
可能性がある旨は、診療前に患者側に伝える。
・この軽症患者の基準や特別の料金を
徴収される旨は、院内掲示するとともに、
ホームページ等で公表する。
・なお、診療後に軽症の状態に
当たらなかったことが判明した場合や
入院が必要となった場合等は、
特別な料金の徴収はできないものとする。
トリアージの基準については、現在、
日本臨床救急医学会が作成中で、
今年度内に完成する予定。
特別な料金の徴収対象となる患者の典型例として、
事務局は「海外旅行なのでいつもの薬を
長期処方してほしいと言って来院する患者」
「虫刺されがかゆいと言って来院する患者」
「指に刺さった小さなトゲを抜いてほしい
と言って来院する患者」などを例示している。
「挙げたのは極端な例。実際に対象となるのは
これだけではないと思う」としているが、
これらはすべて、現在すでに救急外来を訪れる
軽症患者から時間外特別料金などを
徴収している医療機関で
実際にあったケースとのこと。
既に特別料金を徴収している医療機関は、
2008年7月1日現在1180施設あり、
国内の病院の1割強。
徴収金額は最低で210円、最高8400円。
なお、今回のルールが導入された場合に、
軽症患者が説明を受けた結果
受診を取りやめた時は、
料金は徴収しないこととする方針。
事務局は「料金を徴収することが
目的なのではなく、これによって適正な
救急外来の受診を促したい」と説明した。
この項目は、2010年度診療報酬改定における
重点課題の一つである「勤務医の負担軽減」
の一環として提案されているが、
1号側(支払側)委員からは
「逆に料金さえ払えば軽症でも救急外来を
利用できるようになるということ。
支払能力によって差が生じるのは望ましくない」
「適正受診の促進は重要だが、料金徴収以外の
方策を検討すべき」
などの反対意見もあり、導入の
是非を含めて今後議論される。
「m3.com:医療維新2010年1月15日」
まずは、問題点なんですけど。
>軽症患者に該当するか否かは、診察の前に、
医師または経験を有する看護師が判断する。
勤務医の負担軽減なんだから。
医師に判断させたら、意味ないでしょ。
むしろ、こういう事を医師に説明させたら、
医師の負担増えますからね。
まあ、実際に制度が導入されたら、
医師がやる病院はないと思いますけど。
事前に説明の必要がある、とか。
軽症以外であれば、料金を取らない。
というのは、当たり前なんで。
問題ないとは思います。
あと、2年前から言っている問題になる場合ってのが。
「軽症かどうか決めるのを現場の医師にやらせない」
って事ですよ。
この案でも、
>軽症患者に該当するか否かは、診察の前に、
医師または経験を有する看護師が判断する。
と、なっています。
診察した後に、軽症だったら料金取るし、
軽症ではなかったらお金がかからない。
という事になりますけど。
その判断を現場の医師がするって事になると。
軽症と判断されてお金がかかった場合に、
患者から「なんで俺は軽症で金かかるんだ」
ってクレームが来て、余計現場の医師に
負担がかかる、って事が予想されます。
だから、以前にこのブログでも書いたように
『時間外重症患者割引制度』
「かかった医療費」によって、
軽症か重症かの判断を決める。
とか。
「入院」したら重症で、料金なし。
それ以外は、軽症として全て料金を取る。
というように、「判断基準をシンプル」
にして、現場の医師に余計な負担をかけない。
という事が非常に重要になります。
>救命救急センターの
医師の負担を軽減する観点から、
負担を軽減するのが、救命救急センターだけ、
というのも、問題ですね。
今一番、医療崩壊の真っ只中にいるのは、
「地方の2次救急病院」
これが、一番厳しい状態なんですが。
その事をわかってないようですね。
「救命救急センター」っていうのは、
基本的には都会にある大病院。
ですから。
医師の数も、スタッフの数も、
そこそこいるんですよ。
基本的には。
でも、中堅クラスの都市の
中規模の病院っていうのは。
医師の数もどんどん減って、
看護師やスタッフの数も少ないんです。
それに、患者側の病院志向、
専門医志向が重なってしまって。
その地域では一番大きいけど、
救命救急センター程ではない、
そこそこ近くにある病院。
すなわち、その地域の中堅病院に、
患者が殺到しているのが現状です。
救命救急センターなんかは、
医師の数もたくさんいるから。
当直医も2人、3人体制は当たり前。
という状態ですけど。
普通の中堅病院では、
当直医1人ですからね、基本は。
そんなところに患者が押し寄せて
困っている、というのが現状なのに。
対象が「救命救急センター」だけ、
っていうのでは、お話になりませんよ。
もちろん、「救命救急センター」も、
ものすごく忙しい、ってのは事実ですから。
当然、この制度は適用されるべきですけどね。
昔は、一次で診ていた患者が
2次に行くようになって、
2次で診ていた患者が3次に行く。
だから、救命救急センターがパンクする。
というのが現状なので。
最後の3次(救命救急センター)
だけを対象にしてもダメなんですよ。
2次救急の、地方も含めた病院で
患者を抑制する事ができれば、
3次の救命救急センターも助かりますから。
是非、そうすべきだと思います。
もちろん、2次救急の病院の料金は5千円。
3次の救命センターの料金は1万円。
というように、料金に差をつける、
というやり方は良いと思います。
それと、反対意見として。
>「逆に料金さえ払えば軽症でも救急外来を
利用できるようになるということ。
支払能力によって差が生じるのは望ましくない」
これに関しては、確かにそういう問題もあります。
もちろん、これだけで全てが解決する、
って訳ではありませんが。
最悪なのは、「200円」とか、「500円」
とか、中途半端に安い値段にする、
っていう場合です。
支払能力によって差が生じるのは望ましくない
からといって、中途半端な金額にすると、
「お金払っているんだから、かかって当然」
という中途半端なモラル低下に陥りますから。
だから、5千円とか1万円というような、
ある程度高い金額にする。
という事が、非常に重要になります。
こんなにお金がかかるんだったら、
明日受診しよう、という抑制がかかる程度の
ある程度の高い金額にする、
という事が、この制度を成功させる
絶対条件です。
ただし、某総理大臣みたいに、
何億円もお金を持っている人にとっては、
5百円だろうが、5千円だろうが、
全く痛くも痒くもないでしょうから。
完全に抑制する事はできません。
そのため、次の
>「適正受診の促進は重要だが、
料金徴収以外の方策を検討すべき」
とも関わってくるのですが。
お金以外の方法も考えるべきなんです。
お金を払ってもらう、という方法と
「同時」に行うのが、最も効果的です。
時間外に軽症でも病院にかかる患者
っていうのは、大きく分けて、
いくつかのパターンに分けられます。
1)、
自分が軽症とわかっているのに、
昼間なら待つとか、昼は自分が忙しいから、
とかいう勝手な理由で時間外に病院を
受診する確信犯。
これは、追加料金取って当然でしょう。
お金持ちで、このパターンの患者であれば、
5千円とか1万円の追加料金を取ったとしても、
受診抑制にはならないのかもしれませんが。
お金持ちではない普通の庶民であれば、
5千円や1万円の追加料金を取れば、
抑制する事は可能です。
もっと悪質な例だと、
救急車だと無料だから、わざと
タクシーじゃなくて救急車で来た。
というような、酷い患者もいるので。
総務省の管轄になっちゃいますけど、
救急車の料金も1万円とか2万円の
有料にすべきだと思います。
ちなみに、救急車って一回出動すると、
5万円以上かかりますからね、本来。
全部実費とはいかなくても、一部位は
負担しても良いと思います。
特に、悪質な例はね。
2)、
自分が軽症かどうかわからないけど、
心配だから取りあえず病院に来た。
こういう患者に対しては、
「適切な情報を与える」
というのが、最も有効な策だと思います。
それで成功しているのが、
「県立柏原病院の小児科を守る会」です。
『県立柏原病院の小児科を守る会HP』
最初は、ただ「コンビニ受診を控えよう」
と言うだけだったんですけど。
逆に、「受診を控えて重症になってしまった」
というような事もあって。
どんなときに救急車をよべばいいのか、
という具体的なチャートを作って、
それをみんなに配ったんですよ。
→ ダウンロードできます
『受診の目安チャート図 』
子供用ですが、大人でも参考になります。
その結果、ただ受診を控えるだけでなく、
「こういう症状だったら、
すぐに病院に行く必要はないな。」
という事を自分で判断できるようになって、
時間外受診の数が減りました。
実際、この活動のおかげで、
時間外受診の数が三分の一くらいに
減っていますから。
こういう方法は、非常に有効です。
>学会等が示すトリアージの基準を参考に、
ってありますから。
この基準を、わかりやすく
チャートにしたものを、
一般の人が無料でダウンロード
出来るようにして、いろんな所で広めてもらう、
ってのが良いんじゃないかなー。
そういう事を行えば、
心配だから病院に来たっていう
患者の数は減らせると思います。
ただ、このやり方は言い方を変えると、
「患者のモラルに訴えるやり方」
ともいえますから。
最初からモラルのない確信犯。
先ほど出した、1)の患者
とかに関しては、全く効果がないですから。
だから、お金を取るっていう、
「経済的な方法」と。
モラルに訴える、「道徳的な方法」。
この2つのやり方を「同時」に行うのが、
最も効果的なやり方だと思います。
片方だけやれば良い、
というものでもないし。
経済的な弱者に配慮して、
とか言って、半端に安い値段にすると。
逆に、金払っているんだから、かかって当然。
という「モラルの低下」を
引き起こす可能性がありますから。
「時間外重症患者割引制度」
を勤務医の負担を軽減させるために、
効果があるものとするためには。
1、普通の人であれば、そこそこ痛いな。
という「適性な金額」にする事。
2、「軽症かどうかを現場の医師に
決めさせて、余計な負担をかけさせない」。
3、「救命救急センター」だけでなくて、
2次救急の病院にも適用する事。
この3つを行わないで、中途半端な形だと、
逆効果になる、って事もありえますから。
十分に注意して、制度を決めて欲しいですね。
提唱していた制度。
勤務医の負担を減らす為の、
「時間外重症患者割引制度」。
その名の通り、時間外に病院を受診した人
からは、いくらかお金を上乗せして。
重症患者からは取りません。
もしくは、割り引きますよ。
っていう制度です。
詳しくは、この記事を読んでね。
『時間外重症患者割引制度』
2年前に書いた時は、こういう制度を
取り入れている病院は、まだ日本でも
さほど多くはなかったんですけど。
最近は、徐々に増えてきて。
軽症患者の受診抑制の効果がある、
っていう事もわかってきたので。
今度の診療報酬改定で、もしかしたら
取り入れられるかもしれませんね。
以前にこのブログでも書いた通り、
『時間外加算金で時間外患者2割減少』
12の病院を集めて統計をとったら、
時間外の患者(軽症患者)の数が
2割以上減りました。
でも、重症患者(入院患者)の数は、
変わりませんでしたよ。
っていう小児科医の江原朗先生の論文とか。
鳥取大学医学部付属病院は、
5250円時間外加算金をとったら、
軽症患者の数が半分になった。
って新聞記事とか。
「勤務医開業つれづれ日記・2:2009.9.29」
こういうのが良い例ですね。
今のままでは、いくつか問題もありますけど。
方向としては、良い方に行っていると思います。
m3.comの医療維新に記事が出ていたので、
紹介させていただきますね。
中央社会保険医療協議会
軽症患者の救急外来受診について
特別料金徴収の案を提示
要件は医師等によるトリアージ、
患者への事前説明など
2010年1月15日 村山みのり(m3.com編集部)
1月15日、中医協総会において、
事務局(厚労省)は救急外来を受診する
軽症患者から医療保険の患者自己負担分
とは別に料金を徴収することについて、
具体的内容・要件の案を提出した
(資料は厚労省のホームページを参照)。
『厚労省のホームページ』
救急医療機関を受診する軽症患者が
増加している一方、医師が患者に
協力してほしい内容として、軽症の場合は
近隣の診療所を受診してほしい、
休日・夜間の受診は避けてほしい
との調査結果が示されている
現状を踏まえたもの。
事務局案では、料金徴収をする施設として
救命救急センターを想定しているが、
「あくまでも提案にすぎず、議論により
対象施設が拡大または縮小する
可能性がある」とのこと。
事務局案は、救命救急センター
(2010年1月1日現在、全国で221施設)の
医師の負担を軽減する観点から、
他の医療機関からの紹介のない軽症患者が
救命救急センターの救急外来を受診した場合に、
一定の条件を付した上で、医療保険の
自己負担とは別に、予約診療・差額ベッドなどと
同様の選定療養として、患者から
特別な料金を徴収することを可能とする内容。
医師や経験を有する看護師が
事前に状態等の確認を行った結果、
軽症であることが確認され、別途費用の
徴収が発生する可能性があることを
説明したにもかかわらず、患者の選択により
診療を実施した場合について、
医療保険の自己負担とは別に、患者から
特別な料金の徴収を可能とする。
具体的な要件(案)は以下の通り。
・軽症患者に該当するか否かは、診察の前に、
医師または経験を有する看護師が判断する。
その基準は、学会等が示す
トリアージの基準を参考に、
各医療機関が策定する。
・軽症患者に該当し、特別の料金を徴収される
可能性がある旨は、診療前に患者側に伝える。
・この軽症患者の基準や特別の料金を
徴収される旨は、院内掲示するとともに、
ホームページ等で公表する。
・なお、診療後に軽症の状態に
当たらなかったことが判明した場合や
入院が必要となった場合等は、
特別な料金の徴収はできないものとする。
トリアージの基準については、現在、
日本臨床救急医学会が作成中で、
今年度内に完成する予定。
特別な料金の徴収対象となる患者の典型例として、
事務局は「海外旅行なのでいつもの薬を
長期処方してほしいと言って来院する患者」
「虫刺されがかゆいと言って来院する患者」
「指に刺さった小さなトゲを抜いてほしい
と言って来院する患者」などを例示している。
「挙げたのは極端な例。実際に対象となるのは
これだけではないと思う」としているが、
これらはすべて、現在すでに救急外来を訪れる
軽症患者から時間外特別料金などを
徴収している医療機関で
実際にあったケースとのこと。
既に特別料金を徴収している医療機関は、
2008年7月1日現在1180施設あり、
国内の病院の1割強。
徴収金額は最低で210円、最高8400円。
なお、今回のルールが導入された場合に、
軽症患者が説明を受けた結果
受診を取りやめた時は、
料金は徴収しないこととする方針。
事務局は「料金を徴収することが
目的なのではなく、これによって適正な
救急外来の受診を促したい」と説明した。
この項目は、2010年度診療報酬改定における
重点課題の一つである「勤務医の負担軽減」
の一環として提案されているが、
1号側(支払側)委員からは
「逆に料金さえ払えば軽症でも救急外来を
利用できるようになるということ。
支払能力によって差が生じるのは望ましくない」
「適正受診の促進は重要だが、料金徴収以外の
方策を検討すべき」
などの反対意見もあり、導入の
是非を含めて今後議論される。
「m3.com:医療維新2010年1月15日」
まずは、問題点なんですけど。
>軽症患者に該当するか否かは、診察の前に、
医師または経験を有する看護師が判断する。
勤務医の負担軽減なんだから。
医師に判断させたら、意味ないでしょ。
むしろ、こういう事を医師に説明させたら、
医師の負担増えますからね。
まあ、実際に制度が導入されたら、
医師がやる病院はないと思いますけど。
事前に説明の必要がある、とか。
軽症以外であれば、料金を取らない。
というのは、当たり前なんで。
問題ないとは思います。
あと、2年前から言っている問題になる場合ってのが。
「軽症かどうか決めるのを現場の医師にやらせない」
って事ですよ。
この案でも、
>軽症患者に該当するか否かは、診察の前に、
医師または経験を有する看護師が判断する。
と、なっています。
診察した後に、軽症だったら料金取るし、
軽症ではなかったらお金がかからない。
という事になりますけど。
その判断を現場の医師がするって事になると。
軽症と判断されてお金がかかった場合に、
患者から「なんで俺は軽症で金かかるんだ」
ってクレームが来て、余計現場の医師に
負担がかかる、って事が予想されます。
だから、以前にこのブログでも書いたように
『時間外重症患者割引制度』
「かかった医療費」によって、
軽症か重症かの判断を決める。
とか。
「入院」したら重症で、料金なし。
それ以外は、軽症として全て料金を取る。
というように、「判断基準をシンプル」
にして、現場の医師に余計な負担をかけない。
という事が非常に重要になります。
>救命救急センターの
医師の負担を軽減する観点から、
負担を軽減するのが、救命救急センターだけ、
というのも、問題ですね。
今一番、医療崩壊の真っ只中にいるのは、
「地方の2次救急病院」
これが、一番厳しい状態なんですが。
その事をわかってないようですね。
「救命救急センター」っていうのは、
基本的には都会にある大病院。
ですから。
医師の数も、スタッフの数も、
そこそこいるんですよ。
基本的には。
でも、中堅クラスの都市の
中規模の病院っていうのは。
医師の数もどんどん減って、
看護師やスタッフの数も少ないんです。
それに、患者側の病院志向、
専門医志向が重なってしまって。
その地域では一番大きいけど、
救命救急センター程ではない、
そこそこ近くにある病院。
すなわち、その地域の中堅病院に、
患者が殺到しているのが現状です。
救命救急センターなんかは、
医師の数もたくさんいるから。
当直医も2人、3人体制は当たり前。
という状態ですけど。
普通の中堅病院では、
当直医1人ですからね、基本は。
そんなところに患者が押し寄せて
困っている、というのが現状なのに。
対象が「救命救急センター」だけ、
っていうのでは、お話になりませんよ。
もちろん、「救命救急センター」も、
ものすごく忙しい、ってのは事実ですから。
当然、この制度は適用されるべきですけどね。
昔は、一次で診ていた患者が
2次に行くようになって、
2次で診ていた患者が3次に行く。
だから、救命救急センターがパンクする。
というのが現状なので。
最後の3次(救命救急センター)
だけを対象にしてもダメなんですよ。
2次救急の、地方も含めた病院で
患者を抑制する事ができれば、
3次の救命救急センターも助かりますから。
是非、そうすべきだと思います。
もちろん、2次救急の病院の料金は5千円。
3次の救命センターの料金は1万円。
というように、料金に差をつける、
というやり方は良いと思います。
それと、反対意見として。
>「逆に料金さえ払えば軽症でも救急外来を
利用できるようになるということ。
支払能力によって差が生じるのは望ましくない」
これに関しては、確かにそういう問題もあります。
もちろん、これだけで全てが解決する、
って訳ではありませんが。
最悪なのは、「200円」とか、「500円」
とか、中途半端に安い値段にする、
っていう場合です。
支払能力によって差が生じるのは望ましくない
からといって、中途半端な金額にすると、
「お金払っているんだから、かかって当然」
という中途半端なモラル低下に陥りますから。
だから、5千円とか1万円というような、
ある程度高い金額にする。
という事が、非常に重要になります。
こんなにお金がかかるんだったら、
明日受診しよう、という抑制がかかる程度の
ある程度の高い金額にする、
という事が、この制度を成功させる
絶対条件です。
ただし、某総理大臣みたいに、
何億円もお金を持っている人にとっては、
5百円だろうが、5千円だろうが、
全く痛くも痒くもないでしょうから。
完全に抑制する事はできません。
そのため、次の
>「適正受診の促進は重要だが、
料金徴収以外の方策を検討すべき」
とも関わってくるのですが。
お金以外の方法も考えるべきなんです。
お金を払ってもらう、という方法と
「同時」に行うのが、最も効果的です。
時間外に軽症でも病院にかかる患者
っていうのは、大きく分けて、
いくつかのパターンに分けられます。
1)、
自分が軽症とわかっているのに、
昼間なら待つとか、昼は自分が忙しいから、
とかいう勝手な理由で時間外に病院を
受診する確信犯。
これは、追加料金取って当然でしょう。
お金持ちで、このパターンの患者であれば、
5千円とか1万円の追加料金を取ったとしても、
受診抑制にはならないのかもしれませんが。
お金持ちではない普通の庶民であれば、
5千円や1万円の追加料金を取れば、
抑制する事は可能です。
もっと悪質な例だと、
救急車だと無料だから、わざと
タクシーじゃなくて救急車で来た。
というような、酷い患者もいるので。
総務省の管轄になっちゃいますけど、
救急車の料金も1万円とか2万円の
有料にすべきだと思います。
ちなみに、救急車って一回出動すると、
5万円以上かかりますからね、本来。
全部実費とはいかなくても、一部位は
負担しても良いと思います。
特に、悪質な例はね。
2)、
自分が軽症かどうかわからないけど、
心配だから取りあえず病院に来た。
こういう患者に対しては、
「適切な情報を与える」
というのが、最も有効な策だと思います。
それで成功しているのが、
「県立柏原病院の小児科を守る会」です。
『県立柏原病院の小児科を守る会HP』
最初は、ただ「コンビニ受診を控えよう」
と言うだけだったんですけど。
逆に、「受診を控えて重症になってしまった」
というような事もあって。
どんなときに救急車をよべばいいのか、
という具体的なチャートを作って、
それをみんなに配ったんですよ。
→ ダウンロードできます
『受診の目安チャート図 』
子供用ですが、大人でも参考になります。
その結果、ただ受診を控えるだけでなく、
「こういう症状だったら、
すぐに病院に行く必要はないな。」
という事を自分で判断できるようになって、
時間外受診の数が減りました。
実際、この活動のおかげで、
時間外受診の数が三分の一くらいに
減っていますから。
こういう方法は、非常に有効です。
>学会等が示すトリアージの基準を参考に、
ってありますから。
この基準を、わかりやすく
チャートにしたものを、
一般の人が無料でダウンロード
出来るようにして、いろんな所で広めてもらう、
ってのが良いんじゃないかなー。
そういう事を行えば、
心配だから病院に来たっていう
患者の数は減らせると思います。
ただ、このやり方は言い方を変えると、
「患者のモラルに訴えるやり方」
ともいえますから。
最初からモラルのない確信犯。
先ほど出した、1)の患者
とかに関しては、全く効果がないですから。
だから、お金を取るっていう、
「経済的な方法」と。
モラルに訴える、「道徳的な方法」。
この2つのやり方を「同時」に行うのが、
最も効果的なやり方だと思います。
片方だけやれば良い、
というものでもないし。
経済的な弱者に配慮して、
とか言って、半端に安い値段にすると。
逆に、金払っているんだから、かかって当然。
という「モラルの低下」を
引き起こす可能性がありますから。
「時間外重症患者割引制度」
を勤務医の負担を軽減させるために、
効果があるものとするためには。
1、普通の人であれば、そこそこ痛いな。
という「適性な金額」にする事。
2、「軽症かどうかを現場の医師に
決めさせて、余計な負担をかけさせない」。
3、「救命救急センター」だけでなくて、
2次救急の病院にも適用する事。
この3つを行わないで、中途半端な形だと、
逆効果になる、って事もありえますから。
十分に注意して、制度を決めて欲しいですね。
医療崩壊を防ぐために、
医療費を増やしましょう。
という事は、このブログでも
何回も主張してきました。
今までは土建国家として、
公共事業を行って雇用を確保
してきたっていう面もあるから。
公共事業自体が悪だ、
というつもりはありません。
でも、公共事業が減って
景気もすごく悪いんだから。
その替わりに、何か雇用を生み出す
ものにお金をかけるしかないんですよ。
「コンクリートから人へ」
ってキャッチフレーズは立派だけど。
そしたら、どうして医療費が増えるのを
嫌がっているんでしょうかね。
医療費を増やして、病院で
雇用を増やせば良いじゃないですか。
2010年度の診療報酬改定で、
医療費そのものは、700億円増。
国費ベースでは160億円しか
増えていませんけど。
全然足りませんし。
そもそも、自民党が作った、
>地域医療再生基金は、当初予定の
3100億円から2350億円に減額
(地域医療再生基金750億円を執行停止)。
>医師不足や救急医療などに対応して
自治体や個々の医療機関等に出している
補助金は、前年度の428億円から
120億円減の308億円に削減
なんてのもありますから。
補助金なんかを入れると医療にかけている
金額っていうのは減っているんですよ。
残念ながら。
コメントでも指摘されましたけど。
一年位前は、結構、民主党政権に
期待していたんですよ、私。
まあ、選挙近くなってマニュフェスト
がはっきり出来てからは。
かなり怪しいな、って感じになって。
自民党と癒着していた既得権益が
離れる、っていう意味では良いけど。
それ以外は、たいして期待していない。
というスタンスに変わりましたけどね。
それも、ブログに書いています。
でも、医療に関してとか、
天下り、官僚支配をやめる。
とか、そういう事に関しては、
自民党よりはましかな、とかも
ちょっとは期待していただけに。
非常に残念ですね。
ちなみに、
医療費を増やして医者の給料を
上げるなんてけしからん。
と言う主張が良くありますけど。
医療費のうち、医者の分の人件費
というのは、1割くらいのもんですよ。
開業医だと、自分の取り分は
人件費に入っていないから。
本当はもう少し高いけどね。
普通の病院だと、医療費当たりの人件費。
いわゆる人件費率、というのが約50%。
医師の人件費率が10%位です。
公立病院の場合は、事務員など
医師以外の給料が民間病院より高くて、
医師の給料は、民間よりも低いので。
医師の人件費率はもう少し
低いですけどね、多くの場合は。
逆に言うと、医療費のうちの
4割くらいは、医師以外の人件費なんで。
そのお金で、いろんな人を
雇うことが出来るんですよ。
まあ、看護師とか薬剤師とか、
技師とかなんかは資格がいるんで。
誰でも雇える、って訳じゃないですけど。
医療秘書さんとか、医療補助員
等の職種は、資格いらないですからね。
どんどん雇えるように
すれば良いんですよ。
一応、医療秘書をある程度雇うと
ちょっと診療報酬が上がる、
という仕組みはあるんですけど。
はっきり言って、焼け石に水
程度の金額なんですよね。
どんなに医療が高度になろうと、
患者さんを運んだり、体を拭いたり、
とか、そういうのは
絶対に機械では変われないですから。
医療っていうのは、人材集約型産業
なんですよ。
儲かっている病院っていうのは、
たくさんの人を雇って、
良い医療をしている、
っていうのが現状です。
今のシステムでも、儲かっている
病院はたくさん人を雇っているので。
逆に、人をたくさん雇えば、
今以上に診療報酬も高くなる。
っていうシステムになれば、
病院ももっとたくさんの人を
雇うようになりますからね、
そうなれば、雇用も増えて
失業率も下がりますし。
GDPも上がりますから。
良い事ずくめなんですよ。
医療費って、無駄な金。
のような事を言われて、
なんか嫌われていますよね。
医療費削減、医療費削減の話ばっかで。
でも医療費だって、GDPに含まれる
立派な支出なんですよ。
テレビを買って、無駄に時間を使う、
っていうのが良くて。
医療費を使って、病気を治す、
っていうのが、何で悪いんでしょうか。
日本人の資産は1400兆円あって、
そのほとんどを高齢者が持っている。
っていう話とか、
よく聞きますけど。
そういう高齢者から、お金を
取れば良いんですよ。
後期高齢者制度の主旨はそれなんで、
方向としては悪くなかったんです。
お金を持っている老人からお金を取る、
という事に関しては、私も賛成です。
でも、「後期高齢者」っていう風に
年齢で分けてしまったのが良くなかった。
まあ、後期高齢者制度は、
もう少しでなくなるから。
もう関係ないですけどね。
でも、新しくなる制度で、
金を持っている高齢者からは、
きっちりお金を頂く。
という事はできるんでしょうかね。
ちょっと疑問です。
ssd先生がもっと具体的に
書いていたんで。
ここでも紹介させて頂きますね。
いつもお世話になっております。
医療費興国論
先日のエントリで、H19年の日本の
「自治体病院で4兆円の医療費が使われている」
と書きました。
まあ、厳然たる事実でしょう。
国民医療費の34兆円からすれば、
自治体の基幹中核病院で使われている
医療費などは4兆円のうち、
更に少ない金額でしかないでしょう。
どの病院がろくに患者のこない
僻地の斜陽病院で、どこの病院が
野戦病院のごとき、中核病院であるのか
という厳密な線引きは難しいですが、
感覚的な比では中核病院で
費やされ得る医療費は3兆円は
超えないのではないかと思います。
私自身、中核病院での勤務も、
僻地病院での勤務も経験がありますが、
確実に言えるのは、地方中核病院での
業務において、「無駄な医療」など
ほとんど無いということです。
高齢者は予後の悪いがん、
脳・大血管イベント、若者は事故に遭い、
急性腹症で緊急手術になり、
みんな命に関わるシリアスな状況なのです。
無駄を削ると言うことは、
そのまま患者さんの死を意味します。
もちろんそんな中核病院にも、
アレ気な、メンヘル、軽症患者、
コンビニ受診も来ますが、
あの手この手で追い出します。
(そのエネルギーも馬鹿になりませんが)
マジな患者以外はお呼びでないのが、
現実です。
圧倒的な需要過多。
このご時世に、他に
「客が多すぎて、困っちゃう。」
なんて景気の良い業界は滅多にありません。
それなのになぜ自治体病院が
斜陽であるのかというと、
儲からないからです。
客がたくさんいるのに儲からないのは
国定の価格体系が原価割れしている
からに他なりません。
その原価を下げるために、民間病院では、
医療スタッフの給料を下げて、
薄氷の上のような経営を
余儀なくされています。
亀田理事長の「公立病院の看護師の
給料は高い。民業圧迫だ。」
という失笑ものの発言に至るわけです。
国民皆保険制度の、価格体系は、
始めに国家予算ありきで、
原価積み上げの合理的な
決め方をしていません。
今回、自民党を支持した開業医の
再診料を削って、病院に付け替える
というこ姑息な手段を取りましたが、
本質的な構造問題には立ち入っていません。
これから団塊世代が、死亡年齢に
差し掛かる時代。
取るべき道は、多くありません。
1. 給付水準を下げる
2. 保険料を上げる
3. 税金で何とかする
4. 受益者負担
5. 原価を下げる
これらは、独立ではなく、
複合的に行われることでしょう。
1.給付水準を下げる・
2. 保険料を上げる・
4. 受益者負担
を複合的にやろうとしたのが、
後期高齢者医療制度でした。
でも爺婆が、ふざんけんな
と蹴ってミンスを選びました。
3.は自民党も訴えていました。
景気を回復させた上で消費税を上げる
というのを麻生が言っていましたが。
これも国民の皆さんが
拒否しやがりました。
5.は、つまりは、
「医療労働者はもっと安く働け」
「ゾロを使え」「外国人をこき使え」etc.
医師の数を1.5倍にするのも
その一環でしょう。
ま、ミンスのどの政策も
うまくいかないでしょう。
話は変わりますが、OECD加盟国中
底辺レベルの日本の医療費ですが、
なぜ医療費が増えるといけないのでしょうか。
医療費は別にどぶに捨てる
お金ではありません。
医療費が使われれば、病院は儲かり、
職員には給料が支払われ、
病院を建築する建設業や、機器を納入する
会社は利益を上げ、お金は天下を回ります。
GDPが増えます。
問題は、そのお金を誰が出すかというと、
これから起こる団塊世代のご臨終に
使うお金なんですから莫大な資産を
お持ちの団塊の皆様が出すのが筋でしょう。
終身雇用・年功序列型の
ネズミ講でため込んだ資産を温存して、
貧困に落ち込んだ若い世代や、
子孫に負わせるのは、
人非人的行為です。
ただ、一口に団塊と言っても、
団塊間の格差というものも
無視できないのです。
金持ちじいさんと貧乏じいさんが
いるわけですな。
この辺の富の再分配も団塊間でやってね。
とはいえ、日本は民主主義国家です。
人口ピラミッドが高齢化社会である以上、
選挙で、そうした高齢化問題を
ドラスティックに解決するような政策を
唄う政治家が勝てる道理がありません。
しかし、子ども手当などと言う、
とてもまともでない、有権者数の少ない層に
アピールして選挙に勝つことも
可能であったもの事実であり、
やりようによっては、
不可能ではないかもしれません。
『医療費興国論』
昔は、自治体病院の給食のおばちゃん、
掃除のおばちゃんの給料が
年収1000万円以上で。
退職金も数千万円。
っていう時代もあったようですけど。
さすがに、今はほとんどが
外部委託になってるので、それはないです。
今でも、自治体の基幹中核病院でも
「公立病院」の場合は、はっきり言って、
卸問屋から舐められるんで。
民間病院の場合は、定価の4割引、
5割引は当たり前でも。
公立病院の場合は、1割引き、2割引き、
しか引いてくれない。
というか、ふっかけられている。
という現状とか。
昔は「随意契約」で、どっかの
天下り先のくだらん業者から、
高い金で契約していたけど。
最近は、そういう露骨なのは
さすがに減りましたけどね。
一応、名ばかりは「自由入札」
っていう事になって公平だけど。
本当は、入札にものすごい
細かい条件をつけて。
結局、条件に合う業者は1社だけ、
なんてのは、今でもありますから。
正直、無駄金っていうのもありますけど。
「無駄な医療」自体は、お偉いさんが
思っているのは単にイメージだけで。
ほとんどないと思いますよ。
まあ、それは公立病院に限った事
ではないんでしょうけどね。
そういう細かい事は放っておいて。
ssd先生がおっしゃる通り、
>医療費は別にどぶに捨てる
お金ではありません。
医療費が使われれば、病院は儲かり、
職員には給料が支払われ、
病院を建築する建設業や、機器を納入する
会社は利益を上げ、お金は天下を回ります。
GDPが増えます。
わけですから。
「コンクリートから人へ」っていうなら、口ばっかりじゃなく、
本当に医療費を増やすべきでしょう。
医療費を増やしましょう。
という事は、このブログでも
何回も主張してきました。
今までは土建国家として、
公共事業を行って雇用を確保
してきたっていう面もあるから。
公共事業自体が悪だ、
というつもりはありません。
でも、公共事業が減って
景気もすごく悪いんだから。
その替わりに、何か雇用を生み出す
ものにお金をかけるしかないんですよ。
「コンクリートから人へ」
ってキャッチフレーズは立派だけど。
そしたら、どうして医療費が増えるのを
嫌がっているんでしょうかね。
医療費を増やして、病院で
雇用を増やせば良いじゃないですか。
2010年度の診療報酬改定で、
医療費そのものは、700億円増。
国費ベースでは160億円しか
増えていませんけど。
全然足りませんし。
そもそも、自民党が作った、
>地域医療再生基金は、当初予定の
3100億円から2350億円に減額
(地域医療再生基金750億円を執行停止)。
>医師不足や救急医療などに対応して
自治体や個々の医療機関等に出している
補助金は、前年度の428億円から
120億円減の308億円に削減
なんてのもありますから。
補助金なんかを入れると医療にかけている
金額っていうのは減っているんですよ。
残念ながら。
コメントでも指摘されましたけど。
一年位前は、結構、民主党政権に
期待していたんですよ、私。
まあ、選挙近くなってマニュフェスト
がはっきり出来てからは。
かなり怪しいな、って感じになって。
自民党と癒着していた既得権益が
離れる、っていう意味では良いけど。
それ以外は、たいして期待していない。
というスタンスに変わりましたけどね。
それも、ブログに書いています。
でも、医療に関してとか、
天下り、官僚支配をやめる。
とか、そういう事に関しては、
自民党よりはましかな、とかも
ちょっとは期待していただけに。
非常に残念ですね。
ちなみに、
医療費を増やして医者の給料を
上げるなんてけしからん。
と言う主張が良くありますけど。
医療費のうち、医者の分の人件費
というのは、1割くらいのもんですよ。
開業医だと、自分の取り分は
人件費に入っていないから。
本当はもう少し高いけどね。
普通の病院だと、医療費当たりの人件費。
いわゆる人件費率、というのが約50%。
医師の人件費率が10%位です。
公立病院の場合は、事務員など
医師以外の給料が民間病院より高くて、
医師の給料は、民間よりも低いので。
医師の人件費率はもう少し
低いですけどね、多くの場合は。
逆に言うと、医療費のうちの
4割くらいは、医師以外の人件費なんで。
そのお金で、いろんな人を
雇うことが出来るんですよ。
まあ、看護師とか薬剤師とか、
技師とかなんかは資格がいるんで。
誰でも雇える、って訳じゃないですけど。
医療秘書さんとか、医療補助員
等の職種は、資格いらないですからね。
どんどん雇えるように
すれば良いんですよ。
一応、医療秘書をある程度雇うと
ちょっと診療報酬が上がる、
という仕組みはあるんですけど。
はっきり言って、焼け石に水
程度の金額なんですよね。
どんなに医療が高度になろうと、
患者さんを運んだり、体を拭いたり、
とか、そういうのは
絶対に機械では変われないですから。
医療っていうのは、人材集約型産業
なんですよ。
儲かっている病院っていうのは、
たくさんの人を雇って、
良い医療をしている、
っていうのが現状です。
今のシステムでも、儲かっている
病院はたくさん人を雇っているので。
逆に、人をたくさん雇えば、
今以上に診療報酬も高くなる。
っていうシステムになれば、
病院ももっとたくさんの人を
雇うようになりますからね、
そうなれば、雇用も増えて
失業率も下がりますし。
GDPも上がりますから。
良い事ずくめなんですよ。
医療費って、無駄な金。
のような事を言われて、
なんか嫌われていますよね。
医療費削減、医療費削減の話ばっかで。
でも医療費だって、GDPに含まれる
立派な支出なんですよ。
テレビを買って、無駄に時間を使う、
っていうのが良くて。
医療費を使って、病気を治す、
っていうのが、何で悪いんでしょうか。
日本人の資産は1400兆円あって、
そのほとんどを高齢者が持っている。
っていう話とか、
よく聞きますけど。
そういう高齢者から、お金を
取れば良いんですよ。
後期高齢者制度の主旨はそれなんで、
方向としては悪くなかったんです。
お金を持っている老人からお金を取る、
という事に関しては、私も賛成です。
でも、「後期高齢者」っていう風に
年齢で分けてしまったのが良くなかった。
まあ、後期高齢者制度は、
もう少しでなくなるから。
もう関係ないですけどね。
でも、新しくなる制度で、
金を持っている高齢者からは、
きっちりお金を頂く。
という事はできるんでしょうかね。
ちょっと疑問です。
ssd先生がもっと具体的に
書いていたんで。
ここでも紹介させて頂きますね。
いつもお世話になっております。
医療費興国論
先日のエントリで、H19年の日本の
「自治体病院で4兆円の医療費が使われている」
と書きました。
まあ、厳然たる事実でしょう。
国民医療費の34兆円からすれば、
自治体の基幹中核病院で使われている
医療費などは4兆円のうち、
更に少ない金額でしかないでしょう。
どの病院がろくに患者のこない
僻地の斜陽病院で、どこの病院が
野戦病院のごとき、中核病院であるのか
という厳密な線引きは難しいですが、
感覚的な比では中核病院で
費やされ得る医療費は3兆円は
超えないのではないかと思います。
私自身、中核病院での勤務も、
僻地病院での勤務も経験がありますが、
確実に言えるのは、地方中核病院での
業務において、「無駄な医療」など
ほとんど無いということです。
高齢者は予後の悪いがん、
脳・大血管イベント、若者は事故に遭い、
急性腹症で緊急手術になり、
みんな命に関わるシリアスな状況なのです。
無駄を削ると言うことは、
そのまま患者さんの死を意味します。
もちろんそんな中核病院にも、
アレ気な、メンヘル、軽症患者、
コンビニ受診も来ますが、
あの手この手で追い出します。
(そのエネルギーも馬鹿になりませんが)
マジな患者以外はお呼びでないのが、
現実です。
圧倒的な需要過多。
このご時世に、他に
「客が多すぎて、困っちゃう。」
なんて景気の良い業界は滅多にありません。
それなのになぜ自治体病院が
斜陽であるのかというと、
儲からないからです。
客がたくさんいるのに儲からないのは
国定の価格体系が原価割れしている
からに他なりません。
その原価を下げるために、民間病院では、
医療スタッフの給料を下げて、
薄氷の上のような経営を
余儀なくされています。
亀田理事長の「公立病院の看護師の
給料は高い。民業圧迫だ。」
という失笑ものの発言に至るわけです。
国民皆保険制度の、価格体系は、
始めに国家予算ありきで、
原価積み上げの合理的な
決め方をしていません。
今回、自民党を支持した開業医の
再診料を削って、病院に付け替える
というこ姑息な手段を取りましたが、
本質的な構造問題には立ち入っていません。
これから団塊世代が、死亡年齢に
差し掛かる時代。
取るべき道は、多くありません。
1. 給付水準を下げる
2. 保険料を上げる
3. 税金で何とかする
4. 受益者負担
5. 原価を下げる
これらは、独立ではなく、
複合的に行われることでしょう。
1.給付水準を下げる・
2. 保険料を上げる・
4. 受益者負担
を複合的にやろうとしたのが、
後期高齢者医療制度でした。
でも爺婆が、ふざんけんな
と蹴ってミンスを選びました。
3.は自民党も訴えていました。
景気を回復させた上で消費税を上げる
というのを麻生が言っていましたが。
これも国民の皆さんが
拒否しやがりました。
5.は、つまりは、
「医療労働者はもっと安く働け」
「ゾロを使え」「外国人をこき使え」etc.
医師の数を1.5倍にするのも
その一環でしょう。
ま、ミンスのどの政策も
うまくいかないでしょう。
話は変わりますが、OECD加盟国中
底辺レベルの日本の医療費ですが、
なぜ医療費が増えるといけないのでしょうか。
医療費は別にどぶに捨てる
お金ではありません。
医療費が使われれば、病院は儲かり、
職員には給料が支払われ、
病院を建築する建設業や、機器を納入する
会社は利益を上げ、お金は天下を回ります。
GDPが増えます。
問題は、そのお金を誰が出すかというと、
これから起こる団塊世代のご臨終に
使うお金なんですから莫大な資産を
お持ちの団塊の皆様が出すのが筋でしょう。
終身雇用・年功序列型の
ネズミ講でため込んだ資産を温存して、
貧困に落ち込んだ若い世代や、
子孫に負わせるのは、
人非人的行為です。
ただ、一口に団塊と言っても、
団塊間の格差というものも
無視できないのです。
金持ちじいさんと貧乏じいさんが
いるわけですな。
この辺の富の再分配も団塊間でやってね。
とはいえ、日本は民主主義国家です。
人口ピラミッドが高齢化社会である以上、
選挙で、そうした高齢化問題を
ドラスティックに解決するような政策を
唄う政治家が勝てる道理がありません。
しかし、子ども手当などと言う、
とてもまともでない、有権者数の少ない層に
アピールして選挙に勝つことも
可能であったもの事実であり、
やりようによっては、
不可能ではないかもしれません。
『医療費興国論』
昔は、自治体病院の給食のおばちゃん、
掃除のおばちゃんの給料が
年収1000万円以上で。
退職金も数千万円。
っていう時代もあったようですけど。
さすがに、今はほとんどが
外部委託になってるので、それはないです。
今でも、自治体の基幹中核病院でも
「公立病院」の場合は、はっきり言って、
卸問屋から舐められるんで。
民間病院の場合は、定価の4割引、
5割引は当たり前でも。
公立病院の場合は、1割引き、2割引き、
しか引いてくれない。
というか、ふっかけられている。
という現状とか。
昔は「随意契約」で、どっかの
天下り先のくだらん業者から、
高い金で契約していたけど。
最近は、そういう露骨なのは
さすがに減りましたけどね。
一応、名ばかりは「自由入札」
っていう事になって公平だけど。
本当は、入札にものすごい
細かい条件をつけて。
結局、条件に合う業者は1社だけ、
なんてのは、今でもありますから。
正直、無駄金っていうのもありますけど。
「無駄な医療」自体は、お偉いさんが
思っているのは単にイメージだけで。
ほとんどないと思いますよ。
まあ、それは公立病院に限った事
ではないんでしょうけどね。
そういう細かい事は放っておいて。
ssd先生がおっしゃる通り、
>医療費は別にどぶに捨てる
お金ではありません。
医療費が使われれば、病院は儲かり、
職員には給料が支払われ、
病院を建築する建設業や、機器を納入する
会社は利益を上げ、お金は天下を回ります。
GDPが増えます。
わけですから。
「コンクリートから人へ」っていうなら、口ばっかりじゃなく、
本当に医療費を増やすべきでしょう。
あけましておめでとうございまーす。
今年もよろしくお願いいたします。
昨年くらいから、忙しいのもあって。
なかなか、ブログが更新出来なかったのですが。
多分、今年から急に楽になる、
って事はないと思うので。
更新頻度自体は、あまり変わらないと
思うんですけど。
昨年までと同様、今年も
このブログをよろしくお願いしますね。
そいで、今年最初の記事は。
「病院は赤字の方が良い」
ってネタですわ。
医療崩壊の原因が、医療費不足と
医師不足にある、っていう主張を
以前からしているくせに。
病院は赤字の方が良いとは何事だ。
って思う人もいるかもしれませんけど。
赤字の方が良い、っていうのは
何も病院だけじゃないんですよ。
具体的に言うと、病院以外にも、
警察や消防、あと自衛隊なんかもですね。
ここまで言ったら、意味わかりますよね。
警察や消防、自衛隊なんかの組織は、
国や自治体、国民を守るためにある訳で。
全く仕事がないから存在価値がない、
っていうもんではないんですよ。
警察は赤字だから潰せ、とか。
消防は赤字だから潰せ。
とか言う主張をする人は、誰もいません。
まあ、自衛隊はなくても良い、
って主張をする人はいますけど。
それって、本来は警察がなくても良い、
って発想と同じなので。
私には賛成出来ません。
まあ、自衛隊の話はおいといて。
警察が暇だ、っていう事は、
犯罪の数が少ないって事ですから。
誰がどう考えても、良い事ですよね。
消防が暇だ、っていう事は、
火事が少ないっていう事ですから。
これも良い事だっていうのも
反対する人はいませんよね。
犯罪や火事は多い方が良い、
って人なんか誰もいませんよね。
それと同じで、病院が暇だって事は、
病人が少ないっていう事ですから。
本来は、良い事なんですよ。
なんか、病院が赤字でけしからん、とか。
事業仕分けとか、財務省とか、
そういう所から文句言われているけど。
本来、病院っていうのは、
赤字の方が良いものなんですよ。
病院を黒字にするために、
特に地方自治体なんかが苦労してますけど。
病院が赤字で何が悪いんですかね。
病院が赤字っていう事は、
病人が少ない、病気になって
病院に行く人が少ない。
入院する人が少ない、って事ですから。
それのどこが悪いんでしょうか。
病院を黒字にしろ、っていう事は
国民や市民にもっと病気になれ、
もっと病院にかかれ、
っていう事なんでしょうかねー。
まあ、実際のところは、
人口10万人位の都市であれば、
大きな病院が一つ位が適正だ。
と言われているんですけど。
こういう都市に、民間病院が2つもあって、
公立の病院が潰れそうだ。
っていうのに、この公立病院が
赤字なのはけしからん。
もっと立派な病院に建て直して、
公立病院を黒字にしろ。
とか、無茶な事を言うのが悪いんですよ。
病院は3つもいらないんですから。
この赤字の公立病院を潰せば良い、
っていうだけの話ですからね。
まあ、例えばの話ですけど。
こういう所で、新しい病院を
豪華に建てるから、町や市の赤字が
大きくなるから悪い。
っていうだけの話で。
病院自体が赤字だ、っていうのは
むしろ病人が少ない、病気の人が少ない、
っていう事ですから。
むしろ、喜ばしい事なんですよ。
実は、すごく当たり前のような事で、
こういう主張をしている人っていうのは、
以外と少なかったんですけど。
ちょっと似たような意見を見つけたので、
ここで紹介させていただきますね。
「夕張」に行かれて、今や全国でも
超有名になった、村上智彦先生の話です。
いつもお世話になっております。
時代を駆ける:村上智彦/5止
北海道から地域医療モデル、発信したい
◇TOMOHIKO MURAKAMI
<生まれたのは北海道北部にある歌登
(うたのぼり)村(現枝幸(えさし)町)。
06年に合併し、歌登は
市町村名としては消えた。
典型的な医療過疎の町で、
母親は村上さんを自宅の長いすで産んだ>
僕は子どものころ、へき地の
みじめさを味わった。
それでも当時の住民には
モラルがあったように思うんだ。
だけど、今は違うね。
住民や自治体は医者を使い捨てにし、
国も医師を増やそうとしないのに、
「命にかかわることだから」
と過労死するレベルまで平気で
時間外勤務を強いる。
地域医療を立て直すには、まず
医師を疲弊から救うことが必要だよ。
そのために、僕は夕張の住民に、
かかりつけ医を持つように言っている。
いつ病気になるか分からないから、
定期検診を受けてもらい、
異常が見つかれば治療する。
そうすれば、診療所へ慌てて
飛び込んでくることもない。
病状が悪化してしまった場合には
専門医を紹介するし、専門医も
同業者に言われれば
「責任を持って診なければ」
という気になるものだ。
「どこの病院にかかろうが、患者の自由」
というのは間違いなんだよ。
もう一つ、119番とは別の
電話相談窓口を確保できないか考えている。
病状が心配な時に電話をかけてもらい、
アドバイスを受けてもらう。
一方、救急車は本当に
必要な人のためだけに使おうよ。
そうすれば医師の負担は軽くなる。
<夕張市に来て4度目の冬を迎えた。
村上さんは新たに「支える医療」
を提唱し、高齢化社会における
あるべき医療の姿を模索する>
「支える医療」は、
地域の高齢者だけでなく、
福祉事業などを含めて医療が支える
という意味で名付けたんだ。
やっていることは地域医療と同じだけど、
地域医療という言葉だと、都会からは
「田舎の特殊な医療」
とみられる傾向がある。
都市部の医師でも受け入れやすいように
違う言葉で表現した。
今、日本全体で高齢化が進んでいる。
高齢者医療が必要なのは都市部も同じ。
どこでも通用する仕組みを作り、
夕張から発信したいと思っている。
具体的には、市立診療所では
歯科医師が自宅に出向いている。
高齢者に食事の喜びを
味わってもらえるようにね。
また、高齢になると家で何が起きるか
分からないから、自宅で倒れた場合に備え、
緊急医療に必要な情報をまとめた
「命のバトン」の設置を進めている。
その人の基礎疾患や薬などの情報を
書いた紙をリレーのバトン形の
容器に収めたもので、
(戸棚などではなく)自宅の冷蔵庫に
入れておくと決めておく。
そうすれば、救急搬送が必要になった時、
救急隊員は冷蔵庫を開ければいい。
そして搬送先の医師に活用してもらう。
こうしたやり方は、
都会でもできるはずだ。
<患者はみんな自宅で老衰で死んでほしい>
母方のじいちゃんは戦争で片足を失い、
戦後を障害者として生きた。
でも不自由な体で僕を競馬に連れていったり、
鉄道に乗って駅弁を
食べさせたりしてくれた。
僕は「障害があっても、
その人らしく生きていける」
っていうことを学んだ。
じいちゃんは80歳近くまで生き、
最後は認知症と胃がんを患って
病院で亡くなった。
大学受験のさなかだった僕は
死に目に会えなかったけど、
今なら家で死なせてあげられたのに、
と残念に思っている。
高齢者には死ぬまで
尊厳を失ってほしくない。
だから患者には
「若い人に迷惑かけてもいい。
死ぬまで生きて」
と言っている。
僕の患者はみんな老衰で
死んでほしいんだ。
<北海道が好きでたまらない
“北海道バカ”を自称する。
夢は「日本一長生きな北海道」
をつくること>
北海道の自治体は補助金依存が強いし、
住民は健康意識が低い。
でも本州に出たら北海道の良さが分かった。
この豊かな自然を伸ばせば
北海道のアイデンティティーになるし、
医療に生かせば日本一長生きになれる
と思ってね。
「北海道は老後を過ごすにはいい場所だ」
って言われるのはうれしいじゃない。
地域医療を充実させ、
都市で疲れた高齢者が来て老後を過ごす
モデルができるなら、そこに
お金をつぎ込む価値はあると思う。
<地域医療はまちづくり>
地域医療の面から見て、
良いまちのシンボルは
「国保黒字で病院赤字」。
自治体が運営する国民健康保険は、
住民が健康意識を高めて病気予防に
励むと医療費を安く抑えられるから
黒字になる。
健康な住民は医者にかからないから、
そのまちの病院は収入が減る。
それでいい。
都会の医師が
「住民の健康意識が高く、働いてみたい」
と思えるような地方をつくりたい。
僕が理想とする地域医療は、
まちづくりと似ている。
医師と行政が連携し、限られた
社会資源を上手に使うシステム作り。
瀬棚町でやったようにね。
だから、お金はかからない。
社会保障がしっかりすると、
住民は将来への不安がなくなる。
すると貯金をしないでお金を使うから、
まちが元気になる。
長生きできるようになれば、
孫の面倒をみられるから
少子化対策にもなる。
それはまちづくりと同じでしょう?
究極の地域医療とは、自分が骨をうずめたい
と思える地域をつくることじゃないかな。
僕にとってそれは夕張じゃない。
将来は生まれ故郷の歌登か
その周辺に戻りたい。
いずれ、そこの住民たちと地域を愛する
気持ちを共有できたら幸せだな。
=村上さんの項おわり
『毎日新聞:2009/12/29』
村上先生は毎日新聞で
>地域医療の面から見て、
良いまちのシンボルは
「国保黒字で病院赤字」。
と主張されていますけど。
おっしゃる通りだと思います。
実は私、2年程前から、
あまり誰も言っていない地域医療の理想
について、一部の人間には
話しているんですけど。
ちょうど良い機会なんで、
ちょっとブログに書いてみますね。
多分、ブログとかに書いて
公にするのは初めてだと思います。
上に書いた通り、私の理想とする
地域医療は病院が赤字。
っていうのもあるんですけど。
実際問題として、赤字になったら
困ってしまいますよね。
でも、冷静に考えてみて、
病院が赤字だろうが何だろうが、
医療には金がかかるし。
国も医療費を出さなければならないし。
国民は保険料も出している。
という状態なんですから。
病院が赤字って事は病人が少ない、
病気になる人が少ない、って事ですから。
そうなったら得をする、っていう
システムを作れば良いんですよね。
村上先生が言うように、シンプルに
「国保黒字で病院赤字」。
って事でも良いんでしょうけど。
私が言うのは、理想論なので、
ちょっと実現は難しいかもしれませんけど。
私の理想は、道州制にして、
医療費を一括して国が地方に渡す。
そして、残った金は自由に使ってよい。
というやり方です。
細かいやり方は、いろいろあるんでしょうが。
一言で言うと、そういう事です。
例えば、記事にも出てきた北海道。
これを例に出しますけど。
今、北海道の医療費がいくらかかってるか、
全く知りませんけど。
例えば、国が北海道に医療費として、
一兆円を渡します。
まあ、この額は去年の実際の医療費を
そのまま渡すって事で良いかと思いますが。
それが、例えば一兆円だとして。
今年、北海道の医療費が9000億円ですんだ、
という事になれば、今年は1000億円の黒字。
っていう事になりますから。
余った1000億円で、公共事業を
行っても良いし。
定額給付金みたいにばら撒いても良いし。
更に病院を造るとか、保育所を造る、とか。
思っていた以上の黒字に関しては、
地域の自由にして良い。
っていう仕組みが理想だと思います。
そしたら、医療費を少なくするために。
例えば、インフルエンザワクチンを無料にする。
とか、健康診断は無料にする、とか。
そういう工夫をしていきますからね。
病気の人を作らない、病院にかかる人を
なるべく減らそう、という工夫。
すなわち、「予防医療」に
もっとお金をかける事になります。
そいで、医療費だけでなく。
私が思っている道州制っていうのは、
アメリカの州のようなものなので。
北海道はタバコ税が高くてタバコ1000円。
とか、東北は医療費は無料だけど、
消費税は10%とか。
そういう、税金に関しても、
州が自由に出来る、っていうやり方なんですよ。
タバコ税を上げて、医療費が減ったら、
自由に使えるお金も増えますからね。
まあ、あくまで理想ですけどね。
民主党になって「地域主権」
とか、訳のわからない造語が出来てますけど。
そういう、意味がわからないけど、
実際は主権が地域にない、
っていうのとは、全く別の「道州制」。
そういうのが良いなー、
って個人的には思います。
まあ、道州制でなくても良いんだけど、
病院が赤字になって病人が減れば
得をするような「システム」
というのが出来れば良いな、
って思っています。
今のシステムだと、全く逆なんで。
意味のない競争をする事によって、
逆に医療費が高騰している。
という事になっていますからね。
その悪い典型が「アメリカ」です。
アメリカの悪い面ばかりを真似しないで、
日本独自の良いシステムを
作っていってもらいたいものですね。
今年もよろしくお願いいたします。
昨年くらいから、忙しいのもあって。
なかなか、ブログが更新出来なかったのですが。
多分、今年から急に楽になる、
って事はないと思うので。
更新頻度自体は、あまり変わらないと
思うんですけど。
昨年までと同様、今年も
このブログをよろしくお願いしますね。
そいで、今年最初の記事は。
「病院は赤字の方が良い」
ってネタですわ。
医療崩壊の原因が、医療費不足と
医師不足にある、っていう主張を
以前からしているくせに。
病院は赤字の方が良いとは何事だ。
って思う人もいるかもしれませんけど。
赤字の方が良い、っていうのは
何も病院だけじゃないんですよ。
具体的に言うと、病院以外にも、
警察や消防、あと自衛隊なんかもですね。
ここまで言ったら、意味わかりますよね。
警察や消防、自衛隊なんかの組織は、
国や自治体、国民を守るためにある訳で。
全く仕事がないから存在価値がない、
っていうもんではないんですよ。
警察は赤字だから潰せ、とか。
消防は赤字だから潰せ。
とか言う主張をする人は、誰もいません。
まあ、自衛隊はなくても良い、
って主張をする人はいますけど。
それって、本来は警察がなくても良い、
って発想と同じなので。
私には賛成出来ません。
まあ、自衛隊の話はおいといて。
警察が暇だ、っていう事は、
犯罪の数が少ないって事ですから。
誰がどう考えても、良い事ですよね。
消防が暇だ、っていう事は、
火事が少ないっていう事ですから。
これも良い事だっていうのも
反対する人はいませんよね。
犯罪や火事は多い方が良い、
って人なんか誰もいませんよね。
それと同じで、病院が暇だって事は、
病人が少ないっていう事ですから。
本来は、良い事なんですよ。
なんか、病院が赤字でけしからん、とか。
事業仕分けとか、財務省とか、
そういう所から文句言われているけど。
本来、病院っていうのは、
赤字の方が良いものなんですよ。
病院を黒字にするために、
特に地方自治体なんかが苦労してますけど。
病院が赤字で何が悪いんですかね。
病院が赤字っていう事は、
病人が少ない、病気になって
病院に行く人が少ない。
入院する人が少ない、って事ですから。
それのどこが悪いんでしょうか。
病院を黒字にしろ、っていう事は
国民や市民にもっと病気になれ、
もっと病院にかかれ、
っていう事なんでしょうかねー。
まあ、実際のところは、
人口10万人位の都市であれば、
大きな病院が一つ位が適正だ。
と言われているんですけど。
こういう都市に、民間病院が2つもあって、
公立の病院が潰れそうだ。
っていうのに、この公立病院が
赤字なのはけしからん。
もっと立派な病院に建て直して、
公立病院を黒字にしろ。
とか、無茶な事を言うのが悪いんですよ。
病院は3つもいらないんですから。
この赤字の公立病院を潰せば良い、
っていうだけの話ですからね。
まあ、例えばの話ですけど。
こういう所で、新しい病院を
豪華に建てるから、町や市の赤字が
大きくなるから悪い。
っていうだけの話で。
病院自体が赤字だ、っていうのは
むしろ病人が少ない、病気の人が少ない、
っていう事ですから。
むしろ、喜ばしい事なんですよ。
実は、すごく当たり前のような事で、
こういう主張をしている人っていうのは、
以外と少なかったんですけど。
ちょっと似たような意見を見つけたので、
ここで紹介させていただきますね。
「夕張」に行かれて、今や全国でも
超有名になった、村上智彦先生の話です。
いつもお世話になっております。
時代を駆ける:村上智彦/5止
北海道から地域医療モデル、発信したい
◇TOMOHIKO MURAKAMI
<生まれたのは北海道北部にある歌登
(うたのぼり)村(現枝幸(えさし)町)。
06年に合併し、歌登は
市町村名としては消えた。
典型的な医療過疎の町で、
母親は村上さんを自宅の長いすで産んだ>
僕は子どものころ、へき地の
みじめさを味わった。
それでも当時の住民には
モラルがあったように思うんだ。
だけど、今は違うね。
住民や自治体は医者を使い捨てにし、
国も医師を増やそうとしないのに、
「命にかかわることだから」
と過労死するレベルまで平気で
時間外勤務を強いる。
地域医療を立て直すには、まず
医師を疲弊から救うことが必要だよ。
そのために、僕は夕張の住民に、
かかりつけ医を持つように言っている。
いつ病気になるか分からないから、
定期検診を受けてもらい、
異常が見つかれば治療する。
そうすれば、診療所へ慌てて
飛び込んでくることもない。
病状が悪化してしまった場合には
専門医を紹介するし、専門医も
同業者に言われれば
「責任を持って診なければ」
という気になるものだ。
「どこの病院にかかろうが、患者の自由」
というのは間違いなんだよ。
もう一つ、119番とは別の
電話相談窓口を確保できないか考えている。
病状が心配な時に電話をかけてもらい、
アドバイスを受けてもらう。
一方、救急車は本当に
必要な人のためだけに使おうよ。
そうすれば医師の負担は軽くなる。
<夕張市に来て4度目の冬を迎えた。
村上さんは新たに「支える医療」
を提唱し、高齢化社会における
あるべき医療の姿を模索する>
「支える医療」は、
地域の高齢者だけでなく、
福祉事業などを含めて医療が支える
という意味で名付けたんだ。
やっていることは地域医療と同じだけど、
地域医療という言葉だと、都会からは
「田舎の特殊な医療」
とみられる傾向がある。
都市部の医師でも受け入れやすいように
違う言葉で表現した。
今、日本全体で高齢化が進んでいる。
高齢者医療が必要なのは都市部も同じ。
どこでも通用する仕組みを作り、
夕張から発信したいと思っている。
具体的には、市立診療所では
歯科医師が自宅に出向いている。
高齢者に食事の喜びを
味わってもらえるようにね。
また、高齢になると家で何が起きるか
分からないから、自宅で倒れた場合に備え、
緊急医療に必要な情報をまとめた
「命のバトン」の設置を進めている。
その人の基礎疾患や薬などの情報を
書いた紙をリレーのバトン形の
容器に収めたもので、
(戸棚などではなく)自宅の冷蔵庫に
入れておくと決めておく。
そうすれば、救急搬送が必要になった時、
救急隊員は冷蔵庫を開ければいい。
そして搬送先の医師に活用してもらう。
こうしたやり方は、
都会でもできるはずだ。
<患者はみんな自宅で老衰で死んでほしい>
母方のじいちゃんは戦争で片足を失い、
戦後を障害者として生きた。
でも不自由な体で僕を競馬に連れていったり、
鉄道に乗って駅弁を
食べさせたりしてくれた。
僕は「障害があっても、
その人らしく生きていける」
っていうことを学んだ。
じいちゃんは80歳近くまで生き、
最後は認知症と胃がんを患って
病院で亡くなった。
大学受験のさなかだった僕は
死に目に会えなかったけど、
今なら家で死なせてあげられたのに、
と残念に思っている。
高齢者には死ぬまで
尊厳を失ってほしくない。
だから患者には
「若い人に迷惑かけてもいい。
死ぬまで生きて」
と言っている。
僕の患者はみんな老衰で
死んでほしいんだ。
<北海道が好きでたまらない
“北海道バカ”を自称する。
夢は「日本一長生きな北海道」
をつくること>
北海道の自治体は補助金依存が強いし、
住民は健康意識が低い。
でも本州に出たら北海道の良さが分かった。
この豊かな自然を伸ばせば
北海道のアイデンティティーになるし、
医療に生かせば日本一長生きになれる
と思ってね。
「北海道は老後を過ごすにはいい場所だ」
って言われるのはうれしいじゃない。
地域医療を充実させ、
都市で疲れた高齢者が来て老後を過ごす
モデルができるなら、そこに
お金をつぎ込む価値はあると思う。
<地域医療はまちづくり>
地域医療の面から見て、
良いまちのシンボルは
「国保黒字で病院赤字」。
自治体が運営する国民健康保険は、
住民が健康意識を高めて病気予防に
励むと医療費を安く抑えられるから
黒字になる。
健康な住民は医者にかからないから、
そのまちの病院は収入が減る。
それでいい。
都会の医師が
「住民の健康意識が高く、働いてみたい」
と思えるような地方をつくりたい。
僕が理想とする地域医療は、
まちづくりと似ている。
医師と行政が連携し、限られた
社会資源を上手に使うシステム作り。
瀬棚町でやったようにね。
だから、お金はかからない。
社会保障がしっかりすると、
住民は将来への不安がなくなる。
すると貯金をしないでお金を使うから、
まちが元気になる。
長生きできるようになれば、
孫の面倒をみられるから
少子化対策にもなる。
それはまちづくりと同じでしょう?
究極の地域医療とは、自分が骨をうずめたい
と思える地域をつくることじゃないかな。
僕にとってそれは夕張じゃない。
将来は生まれ故郷の歌登か
その周辺に戻りたい。
いずれ、そこの住民たちと地域を愛する
気持ちを共有できたら幸せだな。
=村上さんの項おわり
『毎日新聞:2009/12/29』
村上先生は毎日新聞で
>地域医療の面から見て、
良いまちのシンボルは
「国保黒字で病院赤字」。
と主張されていますけど。
おっしゃる通りだと思います。
実は私、2年程前から、
あまり誰も言っていない地域医療の理想
について、一部の人間には
話しているんですけど。
ちょうど良い機会なんで、
ちょっとブログに書いてみますね。
多分、ブログとかに書いて
公にするのは初めてだと思います。
上に書いた通り、私の理想とする
地域医療は病院が赤字。
っていうのもあるんですけど。
実際問題として、赤字になったら
困ってしまいますよね。
でも、冷静に考えてみて、
病院が赤字だろうが何だろうが、
医療には金がかかるし。
国も医療費を出さなければならないし。
国民は保険料も出している。
という状態なんですから。
病院が赤字って事は病人が少ない、
病気になる人が少ない、って事ですから。
そうなったら得をする、っていう
システムを作れば良いんですよね。
村上先生が言うように、シンプルに
「国保黒字で病院赤字」。
って事でも良いんでしょうけど。
私が言うのは、理想論なので、
ちょっと実現は難しいかもしれませんけど。
私の理想は、道州制にして、
医療費を一括して国が地方に渡す。
そして、残った金は自由に使ってよい。
というやり方です。
細かいやり方は、いろいろあるんでしょうが。
一言で言うと、そういう事です。
例えば、記事にも出てきた北海道。
これを例に出しますけど。
今、北海道の医療費がいくらかかってるか、
全く知りませんけど。
例えば、国が北海道に医療費として、
一兆円を渡します。
まあ、この額は去年の実際の医療費を
そのまま渡すって事で良いかと思いますが。
それが、例えば一兆円だとして。
今年、北海道の医療費が9000億円ですんだ、
という事になれば、今年は1000億円の黒字。
っていう事になりますから。
余った1000億円で、公共事業を
行っても良いし。
定額給付金みたいにばら撒いても良いし。
更に病院を造るとか、保育所を造る、とか。
思っていた以上の黒字に関しては、
地域の自由にして良い。
っていう仕組みが理想だと思います。
そしたら、医療費を少なくするために。
例えば、インフルエンザワクチンを無料にする。
とか、健康診断は無料にする、とか。
そういう工夫をしていきますからね。
病気の人を作らない、病院にかかる人を
なるべく減らそう、という工夫。
すなわち、「予防医療」に
もっとお金をかける事になります。
そいで、医療費だけでなく。
私が思っている道州制っていうのは、
アメリカの州のようなものなので。
北海道はタバコ税が高くてタバコ1000円。
とか、東北は医療費は無料だけど、
消費税は10%とか。
そういう、税金に関しても、
州が自由に出来る、っていうやり方なんですよ。
タバコ税を上げて、医療費が減ったら、
自由に使えるお金も増えますからね。
まあ、あくまで理想ですけどね。
民主党になって「地域主権」
とか、訳のわからない造語が出来てますけど。
そういう、意味がわからないけど、
実際は主権が地域にない、
っていうのとは、全く別の「道州制」。
そういうのが良いなー、
って個人的には思います。
まあ、道州制でなくても良いんだけど、
病院が赤字になって病人が減れば
得をするような「システム」
というのが出来れば良いな、
って思っています。
今のシステムだと、全く逆なんで。
意味のない競争をする事によって、
逆に医療費が高騰している。
という事になっていますからね。
その悪い典型が「アメリカ」です。
アメリカの悪い面ばかりを真似しないで、
日本独自の良いシステムを
作っていってもらいたいものですね。