現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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医学部にへき地勤務枠2
本当は、『医学部に僻地勤務枠』
で書こうと思っていた事なんですが。
なんか長くなっちゃったので、
こっちに書いてみますね。


『医学部に僻地勤務枠』の記事では、
日本の医師不足医師偏在を解消する為に。
各都道府県で5人ずつ、合計約250人
医学部の定員を増やす。
ただし、その人達には卒業後10年程度は
へき地など、地域医療に従事することを条件にする。
って事だそうです。

条件付きで、数もわずかとはいえ、
医学部の定員を増やした、って事に関しては、
私は一定の評価をしています。

でも、ちょっとこれには問題があるんですよ。

『研修医のシステム』
『研修医のシステム2』
『研修医のシステム3』
当たりで、以前に書いた事なんですけど。

今の研修医のシステムっていうのは、
なんでも診られる医者(プライマリー医)
育てるというのが建前なのですが。
あくまでも机上の空論なんです。

今のシステムは、研修医になってすぐ2年で、
内科、外科、小児科、 産婦人科など、いろんな科を
興味の有る無し等に関わらず、
1~3ヶ月位ずつ回るシステムです。

最近は医療訴訟とかも多いので。
未熟な医者にやらせて、失敗した。
って事になったら、指導医病院
訴えられてしまいますから。
だったら、少しでも危険な技術的な行為は、
研修医にはやらせない

って事で、2,3ヶ月しかいない研修医は、
見学中心になってしまうんですよ、どうしても。

医者として最も大事なこの時期に、
2年間もお客さんでただ見ているだけでは、
もったいないし、身にもつきません。


新入社員を全員オールマイティーな社員にするために、
3ヶ月工場で物を作らせて、3ヶ月営業
3ヶ月経理という風に、いろんな部署を
全員2年間回らせる事にしたって事です。

普通に考えて、数ヶ月っただけでその部署の
仕事ができるようになるとは思いませんよね

どんな仕事でも普通、一人前とまではいかないまでも、
1人でほとんどの仕事ができるまでに、
5年位かかるんじゃないですかね。

1人で任せられる、ってところまでは行かなくても。
簡単な仕事なら大丈夫だろ、ってところでも
どう考えても3年はかかるでしょ。


正直言うと、今の研修医システム2年やっても、
昔の1年分くらいじゃないですかねー。
実際に診療した患者の数でも、手技の数でも。
質、量ともに。

他の先生方は、どう思っているか、わかんないですけど。


そんな医者になって実質1,2年しか学んでいない医者を。
いきなり、へき地に出して良いんですか?
へき地っていうのは、半径50キロ
医者自分1人しかいないとか、そういう所でしょ。
そんな中に、1,2年しか経験を積んでいない医者
送り出して良いんですか。


医師免許を持った人数は足りるから
政治家や厚労省の役人なんかはそれで良い。
って言うかもしれませんけど。

それで、へき地に住んでいる人は良いんですか

へき地でも都会と同じ様な高価な検査。
MRIとかPETとか、そういう検査が
できるように、っていうのは無理ですけど。
へき地では、そういった検査もできない。
医者も未熟だ。

そんなんで、良いって事なんでしょうかねー。
はなはだ疑問です。


だから、私は「へき地」って言葉には反対です。

しかし、大筋を変えずに、このシステムを
もう少し「まし」にする方法
はあります。

それは、「へき地」ではなく、
地域枠」にする事です。

どういう事かっていうと。
研修医っていうのは、当然指導医が複数いる病院
2年間指導を受けるわけですが。
いろんな科を、数ヶ月ずつ廻るだけなので、
正直、実際に患者を診る能力はそんなにつきません。

で、その後の数年、特に2-3年が非常に大事になるんですが。
この「へき地」のシステムでは、その一番大事な
2-3年
どころか、10年研修医2年を除くと8年
へき地になるので。
医者としての能力が、低いままなんですよ。
その後の30年くらい、ずーっと

医学部っていうのは、6年だから。
最短でも医学部を卒業するのは24歳
半分以上は浪人していますから、その後10年なら
だいたい35歳くらいですよ。

その後、専門の勉強を1から始めるとか。
そんなの無理ですよ、普通
絶対にできないとは言いませんけど。
やはり、厳しいですよ、実際は。


で、私が言う「地域枠」ではどうするか、っていうと。
地方の研修病院研修2年を終えた後。
2-3年くらいは、地方の「中堅病院」に勤務するんですよ。
指導医が複数いるようなね。

そしたら、医者5年
きちんと指導を受けて、患者もある程度の数を診て。
技術も獲得して、一人前とは言えないまでも、
1人でそれなりの事ができる、ってところまでいきますから。
そいで、10年のうちの、残りの5年くらいを、
いわゆる「へき地」で勤務する。

それなら、良いかな、って思います。

地方の中堅都市、中堅病院だから。
地域」にはいるけど、都会の大病院で
研修したのと、大差のない医者になれますよ。
そうしたら。

へき地」って言うのが、何を意味しているか
今のところわからないんですけどね。
とりあえず、「へき地」に行く医者の数を確保するために、
まだ半人前にも満たない研修医を終えたばかりの医者
いきなり「へき地」に行かせる。
って事だけはないようにしてもらいたいですね。

新たな医療格差を生む事になるし。
長い目で見て、医者のレベルを落とす事に
なりかねないですので。


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この記事へのコメント
現実的な提案ですね……
>Dr.I様

 「地域枠」制度、かなり現実的で具体的な提案ですね。
 「中堅病院」で経験をつみ、その後医師不足の地域で、指導を受けた病院を中心に(あ、その点はかかれていなかったですね)活動する……相当現実的な話だと思います。特に、医師不足が深刻な北海道等の「広大な地域が中堅都市(北見市や釧路市などですね)を中心にひとつの生活圏になっている)」地域では、かなり有効に機能する仕組みではないかと思います。ただ、泣き所は「研修を受け入れる中堅都市の病院に受け入れる余裕があるか」
と言う点で、現在の「医療崩壊」が進む現場では、それすら難しいかもしれない、と思います。実現可能性を含めて、やはり現場の医師の方々のご意見も聞いてみたいかな、とは思います。
 いずれにせよ、厚生労働省には、Dr,I様がおっしゃるような「地域枠」を含めて、「現実的な」対策を検討していただきたい……と思うのですが、「自腹を切る対策はしたくない」というのが本音では、それも難しいですか(嘆息)。
Lich[URL] 2007/05/17(木) 03:54 [EDIT]
You can see for miles!
「研修医のシステム3」の時(懐かちー!)も今の研修の、何も解らない状態で各科を回るよりもある程度専門の科での知識や技術を得てから各科を回るように、1年目は今のままで2年目で専門に入り、5~10年目位で、また他の科を1年回って合計2年の他科研修をするーというのはどうかとI先生は目からウロコの提案をされていました。
その時も、後進の事を考えてあげてお優しいな…とエビは思いまちた♪
今回の「地域枠」にして地方の研修病院で研修2年を終えた後しばらく、指導医が複数いる地方の「中堅病院」に勤務するというI先生特製ダメ押しプランも良いなと思います。
受け入れる地方の中堅都市、中堅病院も3年目からなら割と即戦力ですものね!医師不足で助かると思います。それは不具合のある研修制度の中でも「現場の指導医の先生方」が、最初は出来ないのだからと根気よく宿題を作ってあげたりして育てられ、2年目以降「手になる」ように尽力されている賜物です。指導医の先生方の努力を忘れてはいけないなと思います。
I先生の何マイルも見通す広い視野と優しい目で練られたダメ押しプラン、Perfectです♪
エビ[URL] 2007/05/17(木) 09:01 [EDIT]
地方の魅力、僻地の魅力
基本的にはI先生に賛成です。

日本全国どこへ行っても、
医療水準は一定でなきゃいやだというのが昨今の国民意識。
それに応えるには、何もできない研修医を派遣しても、意味が少ないし、
研修医のためにもならない。

おっしゃるとおりです。

けど、あえて。

今回の僻地枠って、自治医大形式を元にしているので、
学費免除になるかわりに僻地へGOなわけですよね。

もし、2年臨床研修し、2~3年地方の中堅病院でさらに研修する
→けっこう、給料をもらいますよね。
  手に職つきますよね。

自治医大と異なり、国公立の授業料分くらいは十分に稼げてしまう。

となると、その後は5年僻地に行くよりも、
学費免除分を払おうとする人の方が多くなるような気が・・・。

ペナルティをどれくらいの額に設定するかにもよりますけど、
果たして、どれくらいの医師が黙って僻地に行くだろうか。
結局、僻地勤務自体に魅力を持たせないかぎり、きびしいことになると思いますが・・・。
y-gami[URL] 2007/05/17(木) 13:07 [EDIT]
>Lichさん
>泣き所は「研修を受け入れる中堅都市の病院に受け入れる余裕があるか」

まあ、3年目、4年目の医者ですから。
昔のような専門4年なら、即戦力だったんですが。
今ではそこまでは行っていないでしょうけど。
でも、まあ指導がいれば、そこそこできる、ってレベルではあるので。
むしろ、中堅病院も医師不足ですから、多少出来るくらいの医者であれば、欲しがると思いますよ。


Dr. I[URL] 2007/05/17(木) 19:53 [EDIT]
>エビさん
まあ、あくまで私案なので。
こうなる、って事はないんでしょうけどね、実際は。
でも、そういう案もある、って事をわかって、上の人達が検討してくれたらな、って思います。

Dr. I[URL] 2007/05/17(木) 19:55 [EDIT]
>y-gami先生
おっしゃるとおり。
Yosyan先生もコメントで書いていましたけど。

国公立大学の授業料のみだと、350万円くらいなので。
5年働いたら、返せちゃう額なんですよね、実は。

それ以上に税金が投入されていますから。
その数倍、って位の額を返済しないと駄目。
というようなシステムにするか、奨学金も学生時代に貸すというようにしなければ、無理なのかもしれませんね。

Dr. I[URL] 2007/05/17(木) 19:58 [EDIT]
私が思うに・・・・その10年後の保障も必要じゃないですかね?

10年後に都会に戻りたい人への勤務先の保障。
10年後に僻地にあえて残りたい人への引き続き勤務出来る保障。
まぁ後者は少ないでしょうが、多少はいるはず・・・。

どちらもある程度の希望や、選択が受け入れられる保障がないと、かわいそうですよね。
いくら学費払ってもらったからって、終わったらどうぞ自分で勝手に探してね~じゃぁねぇ~
ままん[URL] 2007/05/17(木) 22:06 [EDIT]
>ままんさん
そうですね。
その後は使い捨て、ってのは困りますからね。
Dr. I[URL] 2007/05/21(月) 01:12 [EDIT]

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女性の健康ライフっていいよね! | 2007/05/19(土) 18:30
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