現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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加古川心筋梗塞事件、判決文2
「加古川心筋梗塞事件、判決文」の続きです。

前回は長くなっちゃったので。
本論に入る事ができなかったのですが。
いくつか問題点があると思うので、
それについて説明していきましょうかね。

Yosyan先生のブログでも、似たような事書いてますけど、
「加古川心筋梗塞訴訟・延長戦」
とりあえず、まずは、医学的な事以外。
循環器な事以外について、書いてきましょうかね。


「加古川、心筋梗塞事件2」
でも書いた事なんですけどね。
胸痛の患者が、休日病院に来て。
循環器内科医以外の医者が、心筋梗塞だ、
って診断して、他の病院に転送を依頼するまでの時間。
この平均値、っていうのがどの位か、
はっきりとしたことはわからいないんですけどね。
もちろん、見てすぐにわかる心筋梗塞もあるし、
循環器内科医でも、診断にすごく時間のかかるのもあるので。

でも、だいたいおおざっぱにですけど。
休日に胸痛の患者が救急外来に来て、
循環器内科医以外の医師心筋梗塞、って診断して、
別の病院に転送を決めるまでの平均時間って、
多分、一時間くらいだと思いますよ、正直。

極端な話、心電図を見てもわからない医者
たくさんいますし。
なんか良くわかんないけど、入院させて。
次の日の朝、循環器にコンサルトしたら、
心筋梗塞だった、って事もありますし。

胸痛心電図で、心筋梗塞、って診断できて、
そして、70分で転送を決めた、って事自体は、
はっきり言って、普通だと思いますよ。

採血の結果は、違ったのですから。
70分という比較的短い時間で、心電図一枚で
心筋梗塞と診断しているのですから。
むしろ、循環器内科医以外の医者としては、上出来。
くらいの感じではないでしょうか。

この考えは、今でも変わっていません。


そして、ちょっと問題になるな、って点がまず一つ。

「加古川、心筋梗塞事件。衝撃の事実」
では、5つの病院に転送を依頼して。
そいで、なかなか決まらなくって、結局最終的に
受け入れてくれる病院が決まったのが70分
って事だったのですが。

裁判の判決では、全くこの事について、
触れられていません

これが、何故なのか、正直言ってよくわかりません。


ちょっと弁護士の方とも話した事なんですが。
裁判官が、争点になった事を、判決文に
全く書かない、という事は実際問題としてはない、

と思うんですよね。

Yosuyan先生のところでは、

>搬送先探し騒動は「なかったもの」と裁判所に
事実認定されてしまい、訴訟の争点にする事を
完全に封じ込められたと考えます。


って書いていますけどね。
ちょっと、わからないんですけど。
私、個人の意見としては。

証拠がないから、駄目だろう、って
被告側の弁護士が諦めて、被告はそれを鵜呑みにした。


だから、被告側もそこを争点としないで、
ローカルルール」っていう苦肉の策を出した。
って事ではないでしょうかねー。

まあ、わかりませんけどね。
実際に裁判見たわけではないし。


私とYosyan先生の情報ソースは、おそらく違うし。
それで、両者とも、
実際はいろんな病院に電話をかけて、
搬送先を探した所は、あったようだ。

って判断していますから。
多分、そういう事があったのだとは思いますけどね。

でも、証拠がない
そいで、なかった事にされた。
というよりは、被告側が諦めてしまった。

という事はないでしょうかねー。

証拠がなくても、電話をかけた医者や、
周りにいた看護師の証言。
通話記録はないのでしょうけど。
相手の病院では、対応した人がいるはずですから。
私のように、部外者が電話しても答えてもらえなくても、
弁護士が教えてくれ、って言ったら、
教えてくれる所もあると思うんですけどねー。

仮に、一カ所でも認められたら、少なくとも
最初に電話をかけたのは13時50分よりは早い、
って証拠になりますからね。

被告はローカルルールなんてものは出さずに、
物的な証拠がなくても、そこを争点とすべきだったと思います。


それと、裁判官に対する、文句が一つ。
この裁判官、本気でこんな事を考えているのでしょうか。

>上記両病院とも調査嘱託(※注 訴訟当事者からの
申し出により,裁判所から両病院に対して質問を送り,
病院がそれに対して回答したもの)に対する回答書で
血液検査の実施を要求していないと回答しているが,
これを不可解な地域医療の実情を隠ぺいするための
嘘と考える必要は何もなく,医学的見地から
当然に導き出される取扱いを
素直に述べたまでと受けとめるべきである。
以上要するに,被告の上記主張は理由がない。」



わかりやすくする為に、他の例を出してみましょうか。

例えば、学校の先生が体罰を行うか、について。

今の時代、どんな事があっても、生徒に体罰を行うことは
許されてはいませんよね。
まあ、それは皆さん、同じ考えだと思いますが。

でも、じゃあ
日本中で、1人も体罰を行っている
先生がいないと思いますか?

具体的には知りませんけど、私。
絶対にそんな事はないですよね。

誰かはいますよ、絶対。
今でも生徒を殴っている学校の先生

じゃあ、裁判官から、
「生徒が悪い事をしたとき、あなたは体罰をしますか?」
って文書が来たら、どういう返事を学校の先生はしますかね。

間違いなく
「生徒が悪い事をしても、体罰はしません。」
って答えますよね、当然。

じゃあ、裁判官は、こういう回答が来たら、
「この先生は体罰をしない先生だ。」
って認める、って事ですか。

要はそういう判決ですよね、この判決。
違うんですか?

過去数年間の生徒から聞き取り調査をして。
それで、誰も体罰をされていないし、
体罰をされた生徒も見たこともない。
という事であれば、その先生は体罰をしない先生だろう。
という事が、相当程度の確率で認められると思いますが。

今までどうだった、とか。
そういう事を一切考慮しないで、紙切れ一枚で認定する。
って。
それは、いくらなんでも、おかしくないですかね。

殺人犯で捕まった、犯人がいて。
「あなたは、人を殺しましたか?」
って文書で質問したら
「いいえ、殺していません。」って言ったら、
無罪って事ですか、この裁判官なら。


まあ、殺人犯の事は極端な例としても。
文書を出して、その回答だけを根拠に、っていうのは。
正直言うと、世の中知らないんだな、この人。
って感じですよね、この裁判官。

世の中には、「建前」って事がありますからね。

医学的には、採血では発症して数時間の心筋梗塞はわからないし。
病院としても、わからないから、ってそれをしないから、
って断る、って回答は当然できませんけど。

今までに、それで一回も断ったことがない。
とか、何回もそういう事があって、相手の病院の看護師が
そう思っている、って事の証明にはならないですよね、それ。

所詮、当直医はアルバイトの消化器内科医なんだから。
ずーっとそこで働いている看護師がいて。
心筋梗塞の時は、採血をしないと受けてくれないから。
って言われたら、アルバイトの医師は、
普通それに従いますよね、当然。

そう言っちゃうと、看護師に責任が来ちゃうから。
看護師にも味方をしてもらえなくて、こんな事に
なったのかもしれませんけどね、この先生。

でも、いずれにしても、紙切れ一枚で認定。
っていうのは、おかしいかな、って思います。


いよいよ、次回は本題。
循環器内科医が、心筋梗塞や不整脈(心室細動疑い)、死因等、
ちょっと専門的な事について書いていきますよ!



心筋梗塞になりたくなかったら、
生活習慣病を予防しなきゃ駄目だよ。


→ 「日本一わかりやすい!「糖尿病」

→ 日本一わかりやすい!「高血圧」

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この記事へのコメント
お久しぶりです☆ わたしはいつもDrIさんの理路整然と説明しながらも情熱を根底にしたブログをみて勇気や元気を与えてもらいながら、仕事ができていました。
 ただ、正直疲れました。なんだか、目に見える問題が山積みで、問題に時代も人もついていけなくて、でも現場は目の前の患者さん・利用者さんを一生懸命みているのに報われない。。。 
 
 でも、やっぱりDrIさんのまっすぐさは大きな影響を与えています。医師もブログも辞めないでくださいね。
 
ポン[URL] 2007/08/07(火) 01:28 [EDIT]
ローカルルール
 紹介する時は採血までしておく、というローカルルールの存在は、経験的にわかる気がします。転院依頼の電話をした時に、相手から「採血結果はどうですか?」って聞かれるんですよ、大体。中には聞かない先生もいますが、「転院依頼してるのに採血もしてないの?」という先生は多いと思います。
 また今回の症例の心電図はみてませんが、心電図だけでは確信持てないこともあるし、ましてやラピチェック陰性だったら、紹介する時採血結果も出てから・・・という気持ちになるが普通だと思います。
 ローカルルールは「規則」ではなく「暗黙の了解」なんだと思います。プロレスでロープに振られたら必ず跳ね返ってくるのと同じですよ。ルールとして明文化されてるわけじゃないけど、お互いがわかって守らなければ試合が成り立たないじゃないですか。暗黙の了解だから、そういうルールがあるんですかと聞かれればないと答えるでしょう、転院を打診された病院は。ましてや裁判ですからね。うかつなこと言って自分が非難されるのも嫌でしょうし。
 この裁判は第三者としてみていて、歯がゆい点が多いですね。
rinzaru[URL] 2007/08/07(火) 08:41 [EDIT]
補足情報
肝腎のなぜ搬送先探しが法廷から消滅したかの謎はわかりませんが、拙ブログに寄せられた情報を補足としてコメントしておきます。

問題の当直医ですが、この日は院内旅行だったそうで、この病院に勤務経験のある消化器内科医が頼まれて当直をされたそうです。勤務経験があるのでローカルルールについては「知っていた」と考えられます。

それと心電図所見はやや微妙だったそうで、経験として類似の心電図で軽快した症例があったそうで、そこで判断にやや迷ったとの情報があります。

ただし訴訟でローカルルールすなわち医療的慣行を主張するのは素直に見て不利と考えます。大和市立病院だったかで帝王切開が1時間16分かかったと敗訴した症例があります。

あれもその病院であの時間帯なら平均時間であると言う主張を、裁判所は「医学的慣行は理由にならない」と断じています。今回のローカルルールも同じ論理上に存在しますし、それ以上に曖昧な主張であると見なされても現状では致し方ない見れます。

また裁判所からの公式の問合せには「ローカルルールはない」と答えるのが当然でしょう。あったとしてもあくまでもケース・バイ・ケースであり、「必要な時には検査なしで入院OK」と公式には答えると考えます。せいぜい「余裕があれば検査結果も欲しい」ぐらいと考えます。

これは”おそらく”ですが、鑑定書では「心筋梗塞だから発症後短時間の検査結果を待つのは無意味」とあったように推測します。私はその辺に詳しくないのですが、この鑑定は結果としての心筋梗塞が分かった上での論理構成と考えます。

そういう強烈な論理構成は心筋炎訴訟の神の鑑定で堪能させて頂きましたからね。
Yosyan[URL] 2007/08/07(火) 10:33 [EDIT]
結局は……
Dr.I様>

 結局、今回の判決「医者が悪い」という「結論ありき」ではなかったかと思います。
 これでは、まともな医者ほど排除されて、残ったのは「怠慢で不誠実ででも法に触れない」医者だけだと思うのですが、なんともはや(嘆息)。
Lich[URL] 2007/08/07(火) 12:33 [EDIT]
>ポンさん
お久しぶりです。
なんか、たいへんそうですね。

私も、しばらく大変だったんですが。
基本的には、少し休む事はあっても、止めるつもりはないですよ。
医者もブログも。
頑張って下さいね!
Dr. I[URL] 2007/08/07(火) 22:19 [EDIT]
>rinzaru先生
そうなんですよね。
あくまでも、暗黙の了解だから。
裁判所から文書であるか、って言われたら、医学的にも間違っている事なんだから、ないって答えるに決まっているのに。
それを論点にする、弁護側もちょっとな、って思いますね、正直。
Dr. I[URL] 2007/08/07(火) 22:21 [EDIT]
>Yosyan先生
某所での情報も拝見しました。

ローカルルールを弁護側が持ち出す、って時点で、すでに状況は良くないですね、はっきり言って。
それ以外に、医学的な点で、この裁判官が間違っている、ってのもあるんですが。
少なくとも、上告すれば、これと同じ判決にはならないと思っている野ですがね、私は。

それと、鑑定医についてですけど。
前の記事にも書いたとおり、あの鑑定自体は間違っていません。
私にとっては、少し足りませんが。

でもそれより、裁判官の解釈が明らかに間違っていると思います。
Dr. I[URL] 2007/08/07(火) 22:23 [EDIT]
>Lichさん
はっきり言って、裁判官が客観的な判断をしているようには、私には思えません。
それなのに、控訴しない弁護側も、よくわかりません。

Dr. I[URL] 2007/08/07(火) 22:24 [EDIT]
A judge should deal justice to all!!
解り易かったでちゅ(・o・)けどじっくり読み考えまちた。結論はタイトルにした「裁判官は万人に公平であるべきです」でちゅ。

あのね…お医者さんは「裁判になった時の証拠つーくろっと」と思いながら命を救おうとしてるわけじゃないもの。
セコンドつけていちいち「あ、先生そこカルテに書かないとヤバイです。何やってんですか、手を止めてちゃんと書いて!」なんて未来イヤー。

いよいよ、次回は循環器内科医の本領発揮の専門的な考察ということで、JudgeにJusticeする内容、待ってまちゅ!
エビ[URL] 2007/08/08(水) 21:48 [EDIT]
医学的見解は書いてください
某所の続編のお話は反吐が出そうなほど醜悪でしたし、あれを読んだ後に医学的解説を行なうのは辛いかもしれませんが、それはそれとして、正しい医学的見解を解説するのは十分意味があることだと思います。

モチベーションが下がっていると思いますが、解説を期待している中に私も入っています。なんとか頑張って書いてください。それにしても闇があまりにも深い話でウンザリどころではないですけどね。

Yosyan[URL] 2007/08/10(金) 17:07 [EDIT]
>エビさん
まあ、問題になりそうな患者の場合は、少し後からでも、しっかりカルテは書いた方が良いだろうな。
って思いますけどね、個人的には。
でも、書いてなかったら、全部負ける、ってのは納得いきません。
Dr. I[URL] 2007/08/11(土) 05:50 [EDIT]
>Yosyan先生
ちょっと、まだ個人的に忙しかったもので。
遅れてしまってすいません。

思ったより長くなっちゃったので。
分けて書いていきますね。
しかし、モチベーションは下がりまくりですけど(涙)
Dr. I[URL] 2007/08/11(土) 05:51 [EDIT]

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抗生物質
現代社会では病気の治療では抗生物質は欠かせません。では抗生物質とはどのようなものなのでしょうか  [つづきを読む]
北原ブログ | 2007/08/07(火) 15:32
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