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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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産科医の労働環境(奈良版)
「奈良、たらい回し!の問題点」
の記事の続きです。

2007年8月29日、午前2時40分ごろに
妊娠7ヶ月の、かかりつけ医のいない妊婦
腹痛と出血を訴えて、119番通報したんですけど。
受け入れ可能な病院がなかなか見つからなくって。
10病院、延べ12番目に電話をかけた病院に搬送されて。
そいで、その途中に救急車と軽ワゴン車が衝突して、
結局、流産したって話なのですけどね。

受け入れなかった病院や、産科医が悪い。
って某マスコミの論調は、間違っていると思います。

彼らは、これを見ても、自分たちの主張が正しい、
と、胸を張って言えるのでしょうか。


奈良医大の発表

今般の妊婦救急搬送事案について

去る8月29日、救急搬送中の妊婦さんが不幸にも
死産にいたりましたことについて、
誠に遺憾に感じております。

今回の事案につきましては、マスコミを通じて、
さまざまな報道がなされておりますが、
病院の産婦人科における8月28日から29日にかけての
当直医師の勤務状況や当病院と救急隊との
やり取りについて調査しましたので、
その結果を公表いたします。


平成19年8月28日の当直日誌記録より

(産婦人科当直者 2名)

時間 対応内容


8月28日(火)     夕方から抜粋

19:06   妊娠36週 前回帝王切開の患者が出血のため来院、
      診察後に帰宅
19:45   妊娠32週 妊娠高血圧のため救急患者が
      搬送され入院、重症管理中
09:00~23:00   婦人科の癌の手術が終了したのが23:00、
          医師が術後の経過観察
23:30   妊娠高血圧患者が胎盤早期剥離となり
      緊急帝王切開にて手術室に入室
23:36~00:08   緊急帝王切開手術
00:32   手術から帰室、医師一人が術後の処置・経過観察。
      重症のためその対応に朝まで追われる。
      妊婦の対応にもその都度応援する。
      当直外の1名の医師も重症患者の処置にあたり
      2:30ごろ帰宅

8月29日(水)

02:54   妊娠39週 陣痛のため妊婦A入院、処置
02:55   救急隊から1回目の電話が入る
      (医大事務当直より連絡あり当直医が事務に返事) 
      「お産の診察中で後にしてほしい」、
      そのあと4時頃まで連絡なし
03:32   妊娠40週 破水のため妊婦B入院、処置 
      (これで産科病棟満床となる)
04:00   開業医から分娩後の大量出血の連絡があり、
      搬送依頼あるが部屋がないため他の病棟に交渉
04:00頃   この直後に救急隊から2回目の電話が入る 
      「今、当直医が急患を送る先生と話をしているので
      後で電話してほしい」旨、医大事務が説明したら
      電話が切れた
05:30   (病棟へ)分娩後の大量出血患者を病棟に収容 
      (産科満床のため他の病棟で入院・処置)
05:55   妊婦Aの出産に立ち会う。
      その後も分娩後出血した患者の対応に追われる
08:30   当直者1名は外来など通常業務につく、
      もう1名は代務先の病院で24時間勤務につく

「奈良医大HP」より



奈良医大は、3回も受け入れを断って、けしからん。
みたいな論調もあるようですけど。
当日、奈良医大産科医は2人いて。
2人とも、ほとんど夜を徹して仕事をしていて。
そいで、次の日も24時間連続勤務

ついているんですよ。

産科が満床のため、分娩後の大量出血患者を
別の病棟に収容してまで、そこまでやっていて。
更に、奈良医大で患者を受け入れられなかったら、
それは病院医者のせいですか?

これだけ、ほとんど夜通し、ぶっ続けで
働いているにも関わらず、
合間に患者を受け入れようと努力しているんですよ。
この産科医の先生。

事務員と救急隊員の、意志の疎通がうまくできていなかった
とか、そういう問題はあると思いますけど。

これを見ても、この産科医の先生を責められる人、
いるんですか?


話の本題とはずれますけど、ちょっと補足しときますか。

奈良医大の給料は、私、知りませんけど。
数年前までいた、私の某大学での、研究生時代の給料。
年収200万円ですよ、額面で。

民間病院とか、公立病院なんかと違って。
大学の場合は、家賃の補助も出ないし。
引っ越し手当も出ないし。
もちろん、ボーナスもなし。
それでいて、医局費とか出費も多いので。
そこから、税金、保険、年金を引かれたら、
はっきり言って、この給料だけでは生活できません

だから、実際に私が大学で勤めていたのは、
一年間丸々ってわけではないのですけどね。
年収に換算したら、そんなもんです。
これでも、多い方ですよ、全国的にみたら。

そいで、今年から国公立大学も
独立行政法人になったので。
医者給料は更に下がったと聞きました。
当直料も下がったそうです。

それで、これだけ夜を徹して働いて。
次の日も、普通に仕事して。
当直料は、おそらく一万数千円

本来は、当直っていうのは、寝てるいだけの値段なので。
それ以外に働いたら、労働基準法上は、
残業代も貰えるはずなのですが。
大学病院で、当直中に働いた仕事で、
残業代を支給している病院は、私の知る限りありません


そんな状況で働いている、この産科医の先生に。
それでも、この産科医の先生の責任だ。
って言える人、いますか?


医者が夜を徹して働いているってのは、
大学病院に限った事ではありません。

昨日の新聞記事、本物には載っていたのですが。
ネット上ではアップされていなかったので。
自分で手打ちで入れようと思っていたら、
Yosyan先生が既に記事にされていたので、
それを引用させてもらいます。

「「どこも満席」奈良の悲劇」
いつも世話になっております。

神戸新聞より抜粋


 連絡を受けた病院      受け入れ不能の主な理由

1)奈良県立医大病院   急患の妊婦の処置中で対応できない

2)植田産婦人科      要請の事実を否定

3)大阪府立母子保健総合医療センター 一般救急対応してない

4)千船病院      分娩があり対応できない

5)愛染橋病院      分娩があり対応できない

6)大阪厚生年金病院    要請の事実を否定

7)奈良県立医大病院(2回目)  急患妊婦処置中で対応できず

8)奈良県立医大病院(3回目)  急患妊婦処置中で対応できず

9)藤本病院   別の妊婦が分娩中で対応できない

10)北摂総合病院    産婦人科は救急対応していない

11)大阪市立総合医療センター  初診患者は受け入れてない

12)高槻赤十字病院  入院・手術が必要な患者は受け入れず

13)大阪医大病院    集中治療室(ICU)との調整が必要
             と伝えると電話が切れた

当日、8月29日、午前2時頃奈良県付近
産科のある病院の様子です。

前の記事に書いた事の再確認なんですけど。
これ、午後2時じゃなくって、
午前2時、3時の話なんですよ。

これを見ると、だぶっているのもありますけど。
午前2時、3時なのに、13件中
最低でも7件
は、分娩とか急患の妊婦の処置
しているんですよ。
奈良産科医の先生は。

夜中も働く職業は、警察官とか、看護師とか。
他にもあるんでしょうけど。
医者の場合は、奈良医大産科医の先生もそうですけど。
次の日も普通に働かなきゃなんないんですよ。

そういう状況を、わかって報道しているんですかね。
マスコミは。

>初めての患者は受け入れていない
って病院もありますけどね。

これは、ある程度やむを得ない事なんですよ。

産科医の先生が1人しかいない病院で。
24時間365日
無制限に全員の患者を受け入れていたら。
産科医人間なんですから。
おそらく、過労死しますよ。

でも、患者や病気は待ってくれないから。
夜中でも悪くなる事があるから。
そういう時の為に、当番病院ってのがあるんですよ。

でも、かかりつけ医で、前からその患者を診ているよ。
って場合であれば、時間外でも診ますよ。
ってスタンスの病院は多いんです。

それ自体は、やむを得ない事だと思います。

もし、24時間365日、全ての病院で、
どんな患者も受け入れろ

って事であれば。
医者3交代制にするしかないですから。
今の医者の数の3倍の人数が必要ですから。

日本で、医者をあと50万人増やすのであれば、
それでも良いかもしれませんけど。

今の人数で、それをやれ。
っていうのは、医者は全員過労死しろ。
って言っているのと同じです。

10年後に数百人医者の数を増やすだけで、
そんな事ができるはずはありません。

これは、産科医だけの問題ではありませんし。
奈良だけの問題でもありません。

厚労省や自民党、公明党も、
なんかいろいろ言っているみたいですけど。
奈良だけの問題や、産科医だけの問題に、
問題をすり替える事があってはなりません。


しっかし。
産経新聞は、一体なんなんでしょうか。

【主張】妊婦たらい回し 
また義務忘れた医師たち

それにしても、痛みをこらえる患者を
たらい回しにする行為は許されない。
理由は「手術中」「ベッドがない」といろいろ
あるだろうが、患者を救うのが
医師病院の義務である。
それを忘れてはならない。


「2007/08/31、産経新聞:論説」

呆れて、物も言えませんねー。
感情に流されずに真実を報道するのが、
マスコミの義務なのではないでしょうか。

自分たちに義務を果たさないで、
現場の事を全くわかってないのに
いい加減な事を書く人間に、
そんな事を言われたくないです。


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この記事へのコメント
ある地方紙(新聞)の論説委員と話したことがあります。
いちいち裏付けを取っていたら毎日の新聞発行はできないと言い切っていました。
唖然としましたが、それでも私の知っている限り一番良心的な新聞記者の話です。それに引き替え全国紙の記者の質ときたら・・・
リーマン[URL] 2007/09/01(土) 20:13 [EDIT]
所詮
馬鹿しか入らないと有名な、産経新聞の記事ですから。
私はお金をもらっても産経新聞なんか取ろうとは思いません・・・
いえ、すみません、正直に言います。お金をもらえるなら、新聞を読まずに捨てて、お金だけもらいます。
どうしても読めと言われるなら、こんな新聞を読む時間がもったいないので、日当1万円、月に30万円は払っていただかないと、とても割があわない新聞です。
まぁ、毎日新聞よりはいくらかマシかもしれませんが。
こんな新聞に1円でも払っている人、お金をどぶに捨てたほうがだいぶマシですよ。
はるお[URL] 2007/09/01(土) 21:13 [EDIT]
See the light at the end of the tunnel.
奈良医大の先生方は真夜中にフル回転して翌朝から双六で振り出しに戻るようにまたお仕事をされて、恋人や家族は胸を締め付けられる想いで見守っておられると思います。多くの医師とその大切な人達と同じように。

Skyteam先生が、産経新聞へお電話したところ、手応えとして意見はメールや電話より手で書いたお便りの方が心に迫るようだと書かれていました。
エビも難しい言葉は解りませんが、礼儀をふまえながら、医療費削減政策、厚労行政の誤りにこそペンを執って戴くようお願いと、お医者さん不足の大変な状況についてを一筆したため産経新聞本社の論説委員様宛で投函しました。気持ちが届きますように。
エビ[URL] 2007/09/01(土) 21:30 [EDIT]
今回の件で「マスコミの偏向報道」という事実を如実に現しているとして、一部で話題になっているテレビ番組がありますね。

これは「スッキリ」というワイドショーでの出来事です。

テリー伊藤がきっちりかかりつけで検診をしていない妊婦の批判をはじめました。
すると、ディレクターからしゃべらせるなというサインが出たのでしょうか。。。

と言いますのは、司会の加藤さんが、急にうろたえ、あわてて「ま、ま、とりあえずコマーシャルへ」とテリー伊藤の発言の遮ってしまったというのです。

画面は唐突にCMへと変わってしまい、この奈良死産妊婦の話題は終わってしまったとの事。

病院や医者に対しては批判しても良いけれど、患者側は批判してはならない、という不文律があるのでしょう。

とりあえずそうしておけば、世間受けするし大きな批判は免れる、というテレビ局の保身が垣間見えます。

しかしその為に、医療崩壊が確実に加速されている。
この報道で、奈良県立医大の産婦人科に入局予定だった研修医が一人入局を辞退したそうですね。
本当に貴重な一人を失いました。

でも無理もないですよ。
必死で自分の命をすり減らし、限界以上の限界までその日先輩が働いていた姿を自分の目で見ているでしょうから。
それなのに悪者にされるという理不尽さを実感してしまったに違いありません。

生活がズタズタになる上、世間からは悪者にされるような世界には最初から入る理由が無いですから。
当たり前です。
それくらい産科医療現場は酷い戦場のようになってしまった。

この無責任な報道により産科医がまた減り、多くの国民・市民が結局大きなダメージを被ります。

マスコミはいつも責任をとりません。
しかし、医療がここまで崩壊してしまった責任をマスコミは
しっかり自覚・痛感すべきだと思います。

時既に遅いけれど。




KOKO[URL] 2007/09/01(土) 23:34 [EDIT]
>リーマンさん
マスコミは自分たちの世間への影響力を自覚するべきでしょうねー。
事実と違う事を書くたびに、名誉毀損で訴えられて、大金取られなきゃ、変わらないでしょうね。
Dr. I[URL] 2007/09/02(日) 00:06 [EDIT]
>はるおさん
今まで、産経は医療にかんしては、まあまあな印象だったのですが。
勘違いだったようですね。

私も金払ってまでとる気は最初からありませんけど。
Dr. I[URL] 2007/09/02(日) 00:07 [EDIT]
>エビ[さん
この奈良医大のHPを、産経新聞の記者に見せたいですね。
Dr. I[URL] 2007/09/02(日) 00:08 [EDIT]
>KOKOさん
マスコミのせいで、貴重な将来の産科医が1人減りましたね。
悲しい事です。

それを自覚して欲しいですけど。
無理でしょうかねー。
人のせいにしかしない人達なので。
Dr. I[URL] 2007/09/02(日) 00:09 [EDIT]
産経の文章はひどいですねー、あれ;;
100%の取材は不可能に近いからある程度批判じみたものもありだとは思ってますが;;

俺もよくやられましたけどね「消防士が火に飛び込まないでどーする」とか。
出来ないことは出来ないのに・・
現場をよく知らないくせに好き勝手書くから、マスコミは中立にいないといけないと思うんですがね。
小太郎[URL] 2007/09/02(日) 00:21 [EDIT]
結局は……
Dr.I様>

 結局、マスコミは、「マスコミ不信」で給与も待遇も人員も不足している憂さを医師や教師等「自分達が優遇されていると思う」業種の人々を叩くことで晴らしているだけではないでしょうか。
 そうした「嫉妬心」が医療に限らず、社会全体を可笑しくすることを自覚してほしいものです。
Lich[URL] 2007/09/02(日) 07:46 [EDIT]
ひどい
産経新聞、ほんとにひどいです。

私は、去年奈良医大に切迫早産で2ヶ月入院後、
出産しました。

産科の先生の日々を目の当たりにし、
勤務の過酷なこと、この上なく、それでも懸命に
誠実に対応してくださいました。長期入院でしたので
奈良医大の産科の先生、全員とかかわりましたが
一度も嫌な思いをしたことはありませんでした。

今回の奈良医大が悪いと決め付けた報道に
ふれるたびに涙が出ます。

私の主治医をしてくださっていた先生は、
産経新聞をとっておられると話しておられました。
今回の論説の記事、読まれたことでしょう。
どのような気持ちになったか、それを想像しただけで
胸がはりさけそうです。ご本人はもちろん、奥さんや
お子さんも読まれたかもしれません。

ほんとにやり切れない思いです。
マスコミの方はどうして妊婦健診は必ず受けるように
言ってくれないのでしょうか?
腹立たしくてなりません。
そして、奈良医大の先生方が心配でなりません。




なずな[URL] 2007/09/02(日) 11:48 [EDIT]
>小太郎さん
今回の産経は、ちょっとひどすぎますね。
現場を知らない人間が、適当に書くべきではないですよ。
Dr. I[URL] 2007/09/02(日) 18:20 [EDIT]
>Lichさん
たしかに、しっともあるのかもしれませんけどねー。
それにしても、マスコミの影響は大きいって事を自覚して、情報を発信して欲しいですね。
Dr. I[URL] 2007/09/02(日) 18:21 [EDIT]
>なずなさん
奈良医大の先生は、かなり一生懸命やっていたと思いますよ、私も。
某テレビ番組で、患者の自己責任の話が出たとたん、コマーシャルに、って話が途中でとぎれたって話も聞きましたが。
患者の自己責任、ってのはタブーなんでしょうかね、マスコミでは。
イラクに行って人質になった人には、自己責任って言ってたくせに。
Dr. I[URL] 2007/09/02(日) 18:23 [EDIT]
私も「ザ・ワイド」を見てて、コメンテーターが
「流産の経験ある妊婦が、かかりつけ医師がいないなんて、…」
と、コメント始めた途端、CMにいってしまったのを見ました。


新聞もどうかしてますが、テレビもどうかしてますね
でもコメンテーターの発言から、今回の件は、一般の方もおかしいと思う人がいるんだな…と思いました

しかし、もし経済的な理由から、かかりつけがいなかったとしたら、出産、子育てはどうするつもりだったのか…?生まれた後の方がお金かかるのに…

もし、望まない妊娠だったら悲しい事です

想像ですが…
ままん[URL] 2007/09/03(月) 09:42 [EDIT]
医師は悪くない。
病院も悪くない。

確かにかかりつけ医をもっていなかった妊婦にも
責任があると思います。

では今回のケースはどうすればよかったのでしょう?

今後、「かかりつけ医」のいない妊婦から救急要請が
あった場合は?

もちろん妊娠した場合は「かかりつけ医」にかかること。と
するのは必要ですが、100%守らせるって難しいですよね。

今後、このようなことが起きないように、救急隊・事務・医師の
連携の取り方や情報の伝達方法等、考えなければいけない
のではないでしょうか?

過労死しろ、というのではなく、どうすれば現在の環境で
1人でも多くの患者を助けられるか?と検討する必要は
あるのではないでしょうか?

報道が足を引っ張っているのも確かですが、「私は悪くない」
を繰り返していたら、必ずこのような「事故」は繰り返されると
思います。
理学療法士[URL] 2007/09/03(月) 11:06 [EDIT]
それは筋違いでは……
理学療法士様>

 おっしゃることはもっともですが、それは少々筋違いではないでしょうか。
 現在の出産医療の崩壊の原因は「人手が足りない」ことにつきるわけで、それ以外に原因は考えられません。 
 今必要なことが「医師を増やすこと」であることが明白である以上、それをすることができる国が責任を取るべきであるのは明白であり、それを「現場の工夫」や「医師の努力」で解決しようとするのは、旧日本軍の精神主義と買わないのではないでしょうか。

Dr.I様>

 横レス、申し訳ありません。
Lich[URL] 2007/09/03(月) 17:49 [EDIT]
>ままんさん
なんか、そうらしいですね。
患者の自己責任に触れるのは、マスコミではタブーなのでしょうか。
残念です。
Dr. I[URL] 2007/09/03(月) 20:49 [EDIT]
>理学療法士さん
もちろん、現時点で出来る限りの事はすべきだと思います。
それは、全く否定はしません。

ただ「悪くない」を主張しているのではありませんよ。
一番悪いのは、行政です。
ベッド数が足りないのは、政府のベッド数削減政策のせいですし。
医者が足りないのは、政府の医師数削減政策のせいだし。
医療費が足りないのは、政府の医療費削減政策のせいですから。

これらを変更することが、一番の原因療法です。
でも、すぐには難しいのであれば、今できる範囲の個別のシステムとかも、変更するべきだと思いますが。

それらに手をつけずに、ただ奈良だけの問題、とか医者や病院の個別の問題にしてはいけない。
というのが、私の主張です。
Dr. I[URL] 2007/09/03(月) 20:53 [EDIT]
>Lichさん
全くその通りです。
原因を解決せずに、現場に丸投げ、ってのが諸悪の根元です。
Dr. I[URL] 2007/09/03(月) 20:54 [EDIT]
もちろん、根本的解決には行政が変わらなければ
いけません。
でも、それを待っている間にも同じ「事故」は起きますよ。

私も同じく、奈良や病院、医師の責任ではない・・・
というスタンスですが、じゃあ同じ「事故」を起こしても
よいわけではないですよね。

全てを解決しろ、というわけではないですが、今回のケースも
伝達ミスや意思疎通の不備はあったかのように思いますし・・・
今の環境で、出来うる限りの対策を練りつつ、行政への
働きかけをしていくしかないと思います。


今日、他の方とも話をしていたのですが、産婦人科・
小児科の不足は大きな問題ですよね。
でも今の御時世、産婦人科医になろう!小児科医に
なろう!っていう研修医は、少なくとも私のまわりでは皆無
です・・・
でも、絶対必要な診療科なんです・・・

極論ですけど、「歯科医」みたいに、ほかの医学部と
切り離してしまう・・・っていうのは・・・
やっぱりできないですよね・・・

根本的な解決方法を考えないといけませんね。
理学療法士[URL] 2007/09/04(火) 15:23 [EDIT]
小児科医になってください
理学療法士さんへ

あなたのような方がぜひ小児科医になってください。私の地方ではもう絶滅寸前です。根本的な即効性のある解決が難しい以上、高い意識をもったあなたのような人が一人でも医学を志し小児科医、産科医になってくれることが、

>でも、それを待っている間にも同じ「事故」は起きますよ。

このような事態を少しでも後退させることのできる、確実で有効な対策と思います。現状を打開する逆転満塁ホームランなんて望んではいません、わずかでも確実な前進こそ必要です。砂漠に水をまくような気の遠くなる話でも、とりあえず今何かしないといけない、そう思うのはあなたも私も一緒です。私たち絶滅危惧種の小児科医と一緒に、この修羅場で戦ってください。お願いいたします。
小児科医@最果ての地[URL] 2007/09/04(火) 17:18 [EDIT]
失敗学を学んで下さい
理学療法士さん、少なくとも「失敗学」を学んでから、現場を批判して下さい。
 情報の不足や錯綜は絶対に起こりうるもので、無くなりません。それでもそれを大きなアクシデントに発生させないためには、フェイルセーフ的な救急をすべて受け入れる病院が必要なわけです。ところがそれがうまく機能しないってことは、マンパワー、トリアージがうまくいっていないわけです。
 マンパワーやトリアージの問題は、現場ではなく、管理側の問題であり、産婦人科業務を行うインセンティブを与えられない行政が問題なわけです。
 絶対必要な科なのに、人が集まらない時点で、人的資源の管理に失敗しており、一病院、一地方の問題ならまだしも全国的な問題であるからには、国が悪いとしかいえないわけです。
 こういう根本の原因を無視して、現場の努力に丸投げしてしまうと、全体に悪影響を及ぼす局所最適化が行われます。今回の場合だと、リスクを軽減するための、事前情報が無い患者の切り捨てです。
 これは個々の病院においては、医療リスクの低減と不払いリスクの低減という、まさに局所最適化なのですが、救急体勢への信頼低下という全体への悪影響を及ぼしたわけです。
 つまるところ、情報が不足したハイリスクの患者を受け入れるためには、高度医療機関に余裕を持たせなければいけないわけです。
 もしこれを達成しようとするなら、患者のアクセスは徹底的に無視して、医学的判断によって患者を同意を無しで病院間搬送できる体勢にしなければなりませんし、その体勢を作っても重症例での搬送中の死亡は避けられないでしょうし、経費もかかります。
 
 妊婦検診を受けない妊婦のために、あなたの税金と健康保険料がさらに20%ほどあがることを許容しますか?
 それともhシリスク妊婦などは切り捨てて、税金は今のままがいいのでしょうか?
 結局、国民の選択はこれに尽きるのです。
ドロッポ小児科[URL] 2007/09/04(火) 17:23 [EDIT]
>理学療法士さん
同時並行で、行政も現場も改善が必要だと思います。
現在、厚生労働大臣も奈良の救急医療の問題、って言って、現場の問題にしていますから。
それは、間違いだ、って思いますね、私は。

産科、小児科だけ分離したとしても、他の科が大変になったら、またそれだけ別に。
ってわけにはいかないので。
現実問題としては、無理でしょうね。
むしろ、無過失保証制度や、医師の刑事免責制度など、制度を充実させる方が、現実的ではないかと思います。
Dr. I[URL] 2007/09/04(火) 20:04 [EDIT]
>小児科医@最果ての地先生
ほんの少しずつでも、前に進むしかないのですよね。
そして、その間に行政が動く事を期待するしか。
Dr. I[URL] 2007/09/04(火) 20:06 [EDIT]
>ドロッポ小児科先生
おっしゃる通りですね。
今までは、少人数、低コストで医者が働いてきて、アクセスも質も世界一の医療を確保してきましたけど。
はっきりいって、もう無理ですね。

税金を上げるか、それとも質を下げるか、アクセスを犠牲にするか。
どちらかを国民に選んで貰うしかないでしょう。
Dr. I[URL] 2007/09/04(火) 20:08 [EDIT]
国の施策と国民とマスコミのせいでこうなったんでしょう
国の施策でベッド数が減り、大学の定員が減らされてきて、国民が産科医をガンガン訴えて、検察が起訴して、マスコミが医者は悪いやつらだという思い込みの元に報道しまくった結果でしょう。ハイリスクを診て、うまくいけばいいけどうまくいかなきゃ訴えられるってんじゃ、腰が引けて当たり前。まして、ただでさえ過労死しそうな環境で要請されてもそりゃ、無理でしょう。それでまた産経の記事のような論調がでたらそりゃ入局辞退も出て、ますます状況は悪化していくでしょうね。
こうなってくると、ますます婦人科のみで開業してしまう先生が増え、勤務医の先生方の負担がさらに増え、ますます悪循環に陥ってしまうかもしれませんね。
国が仮に今政策を180度変更したとしても、時すでに遅い気がします。よく知りませんが、ベテランの婦人科の勤務医の先生って、かなり超ベテランになってきてません?彼らは開業しないまでも、もうじき引退しますよ。
名無しさん@北海道[URL] 2007/09/10(月) 01:51 [EDIT]
こんにちは
今救急医療について調べてるのですが
考え方がかなり変わりました
意思伝達が・・・とか
労働条件が・・・とか
表面しか見ていませんでした
勉強になりました。
さら[URL] 2007/09/24(月) 00:17 [EDIT]
>名無しさん@北海道さん
随分、返事遅れてすいません。

完全に国の政策ミスですね、これ。
まずは、ミスを認めないと、小手先の方法ばかりでは、絶対に解決しないですからね。

まあ、気づいたとしても手遅れの可能性はありますけど。
でも、やらないよりはましでしょうから。

Dr. I[URL] 2007/09/24(月) 18:41 [EDIT]
>さらさん
マスコミの報道を鵜呑みにするのは、非常に危険ですね。
自分で調べたら、いろんな事がわかって、気づいたとは思いますけど。

これからも、特に医療に関しては、気を付けた方が良いですよ。
Dr. I[URL] 2007/09/24(月) 18:43 [EDIT]

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