現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
  • 10«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • »12
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
心臓マッサージが重要
以前に、『心肺蘇生法』の記事でも書いた通り。

心肺停止患者が来たときに、一番大事なのは、
酸素を与えてあげる」
って事です。

そいで、そのために一番大事なのは、
心臓マッサージ」なんですよ。

理屈から言ってもそうだ、って話は以前に書いた通りなんですが。
日本のデーターで、それが実証されましたね。


<救急蘇生術>人工呼吸は不要 
心臓マッサージに効果あり 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070927-00000049-mai-soci

突然意識を失って倒れた人を蘇生させるための
応急手当は、心臓マッサージだけで効果があり、
従来勧められてきた人工呼吸は必要ないことが、
日本救急医学会関東地方会の研究班
(班長、長尾建・日本大駿河台病院救命救急センター長)
の調査で分かった。

こうした人の救命には、そばにいた人の
蘇生措置が大きな役割を果たす。
人工呼吸には、口と口の接触に抵抗感を持つ人も多く、
蘇生措置の実施率向上にもつながりそうだ。

研究班は02~03年、関東各地の58病院と
救急隊の協力を得て、そばに人がいる状態で
突然心臓が止まって倒れ、救急車で病院に運ばれた
18歳以上の患者4068人を調べた。
そばにいた人から人工呼吸心臓マッサージを受けた患者
712人で、心臓マッサージだけを受けた患者は439人。
救急隊到着まで蘇生措置を受けなかった患者が2917人だった。

倒れてから30日後の時点で、介護なしで日常生活が
送れる状態に回復した割合は、
両方受けた患者が4%、
心臓マッサージだけの患者は6%で、
人工呼吸なしでも変わらなかった。
一方、蘇生措置なしの患者は2%にとどまった。

患者の約9割を占めた救急隊到着時に
完全に呼吸が停止していた人に限った分析では、
回復率は心臓マッサージだけの患者が6%だったのに対し、
両方受けた患者は3%で、心臓マッサージだけの
患者の方が回復率が高いとの結果になった。

また、蘇生措置の6割以上は一般の人が、
残りは通りがかった医師ら医療関係者が実施したが、
効果に差はなかった。

人工呼吸は不要との結果について、長尾班長は
「呼吸が止まっても12分程度は血液中の
酸素濃度がそれほど下がらないことや、
心臓マッサージの際の胸の動きで、
空気が肺に送り込まれることなどが考えられる」
と話している。

心臓マッサージは、患者の意識がないことや
呼吸が止まっていること、あえぐなど普通ではないことを
確かめた後、両方の手のひらの付け根を
患者の胸の中央に重ねて押す。
体重をかけ深さ4~5センチまで胸をへこませた後、
力をゆるめて元に戻す。
これを1分間に100回のペースで繰り返す。
救急隊が来るか、AED(自動体外式除細動器)が届くか、
患者の体が動くまで続ける。
1人では消耗するため、2分程度をめどに
交代で行うとよいという。


『2007年9月27日:毎日新聞』


私のメルマガで今ちょうど、心不全について書いていて。
→ 『やぶ医師のひとりごと』
そこでも書いている事なんですけどね。

心臓というのは、血液を送り出す「ポンプ」の役割をしています。
血液っていうのは、酸素栄養を体に運ぶものなんですよ。

心肺停止、って事は心臓が止まって、
呼吸もしていないって状態です。
その名の通り。

人間の体っていうのは、皆さんご存じの通り。
呼吸をして、肺に酸素を取り込んで、
そいで二酸化炭素をはき出しています。
肺に取り込まれた酸素は、血液で運ばれるんですが。
それを送り出しているのが、ポンプの役割をしている「心臓」です。

心臓が止まると、血液を送り出せないから。
酸素栄養を運ぶ事ができなくなって。
臓器が死んでしまいます。

特に、酸素が行かなくなったら、
10分位でほとんどの方が脳死になるので。
非常に重要です。

呼吸が止まっても、しばらくのあいだは
血液酸素が含まれているんです。
でも、血液酸素が含まれていても、
心臓が止まって、それが臓器(脳)に運ばれなかったら
全く意味がないですよね。

逆に、呼吸が止まっても、血液酸素は、
ある程度は含まれていますから。
それを全身の臓器に運ぶ事ができれば、
命が助かる可能性があるんですよ。

血液っていうのは、体の中をぐるぐる回っていますから。
血液に含まれている酸素は、徐々には少なくなりますけどね。
全く血液が運ばれなかったら、ゼロですから。
ゼロよりは、少なくても酸素が運ばれた方が良いんですよ。

理想としては、心臓マッサージもやって、
人工呼吸もしっかりできればベストなんですけどね。

1人心肺蘇生をすると、まずは心臓マッサージして。
そいで、30回やったら人工呼吸2回
ってやると。
人工呼吸をしながら、同時には
心臓マッサージもできないですよね。
1人では。
だから結果的に、心臓マッサージの方が
おろそかになっちゃうんですよ
だから、この結果でも、

>回復率は
心臓マッサージだけの患者 6%
両方受けた患者       3%


ってなっていますよね。

人工呼吸もやった方が、悪い
って事は、理屈ではあり得ないんですけど。
実際は、心臓マッサージ不十分だったから、
両方やった方が悪い
って結果になったんだと思います。


このデーターの詳しい中身はわかりませんけどね。
2人心肺蘇生をやったのと、1人でやったのとでは、
全く別の結果になった可能性があると思いますよ。

1人だと、心臓マッサージ不十分になるけど。
2人だと、両方同時にやれば良いので。
もっと、結果が良くなる可能性もあると思います。


医療関係者が行っても差はなかった。
って書いてありますけど。

正直言って、救急隊のレベルにも、がありますし。
何とも言えないかなー、って思います。

2人でやっても、同時じゃなくて。
1人人工呼吸している間、もう1人が
心臓マッサージをやめちゃってる人とかいますしね。
救急隊なんかでも。

それだと、同時じゃないから。
2人でやってる意味ないんですけど。


それよりも、1人2人以上心肺蘇生を行ったときの
って言うのがどうなったのか、知りたいところですね。
特に、医療関係者2人以上で、同時に行った場合を。


1人心肺蘇生をするなら、人工呼吸をしないで、
心臓マッサージだけをやれば良い。
という事なんだと思いますけどね、きっと。

だから、この記事にあるように、
人工呼吸は不要」
とは、必ずしも言えないとは思います。


なぜ心臓マッサージが重要か知りたい人は、これを読んでね!
→ 『心肺蘇生法』

医者のホンネが知りたい人は、こちらから!
→ 『医者のホンネが丸わかり!(改)』

ブログランキングの応援もよろしくね!
 ↓ ↓ ↓

スポンサーサイト
この記事へのコメント
なるほど
ニュースを読んだだけではよくわからなかった人工呼吸の位置づけがよーく理解できました。ありがとうございます。

もし自分でやった場合、つい興奮して力が入って胸骨骨折とかやってしまったら・・・とか考えたことがあるんですが、留意すべきポイントってあるんでしょうか。
fuka_fuka[URL] 2007/09/27(木) 20:46 [EDIT]
救急救命は……
Dr.I様>

 興味深いデータが出ましたね。
 きちんとした「救急救命措置」ができれば助かるケースも、なかなかそれが十分に出来ず、また「どちらを優先すべきか」にも理論的に説明がつく……こうした「正しい知識」が広まると、助かる命が増えると思うのですが、こうした「地味な真実」より、医師を責める「派手な虚構」のほうが受けがいいのですから、なんともはや(嘆息)。
Lich[URL] 2007/09/27(木) 21:01 [EDIT]
有難うございます
トラックバック有難うございます。
>人工呼吸もやった方が、悪い。
>って事は、理屈ではあり得ないんですけど。
>実際は、心臓マッサージが不十分だったから、
>両方やった方が悪い。
私も何となくは解っていたのですが、うまく文章化できなかった部分を
有難うございました。m(__)m
エブリデイ紙ですけど、これはいい記事ですよね。
うろうろドクター[URL] 2007/09/27(木) 22:27 [EDIT]
人工呼吸に抵抗ありまくりなyukilaです。
今回のことはまさに「Σ( ̄□ ̄;)!!」という顔で読ませていただきました。

人工呼吸がなくてもよいということなら、抵抗も少なくなりますし、一般の人でもやりやすくなるかもしれませんね。

あと、両方同時にだと、慌ててしまって、両方とも手順?(気道の確保とかマッサージの手の位置とか)がおろそかになりそうです。

両方きちんとできるのがベストで、ムリそうなら、心臓マッサージに専念と思っていたほうが、助けられる可能性も高くなるかも、と思いました。
yukila[URL] 2007/09/28(金) 08:26 [EDIT]
人工呼吸なしで心臓マッサージのみだと何分が限度なのでしょうか。
bg[URL] 2007/09/28(金) 15:04 [EDIT]
>fuka_fukaさん
肋骨骨折は、しょうがないんですよ。
老人、特に女性は骨が弱いですから。
はっきり言ってしまうと、何割かは骨折します。

でも、骨折しないで命が助からないより、骨折してでも命が助かった方が、絶対に良いので。
そこらへんは、あまり気にしなくて良いと思います。

留意点としては、心臓の位置でしょうかね。
心臓っていうのは、胸の左側ではなく、ほぼ真ん中にあるので。
胸の真ん中を一生懸命押す、って事が大事です。

一応、マニュアルには、乳首と乳首の間を押しなさい。
って書いてあるんですけど。
服を脱がす暇があったら、早く押せ、って私は言っています。
あと、手の力だけで押すと、すぐに疲れてしまうので。
上半身の体重を使って、押してやるってのも、一つのこつです。
Dr. I[URL] 2007/09/28(金) 21:25 [EDIT]
>Lichさん
そうなんですよね。
真実って、結構地味な所にありますからね。
こういう正しい知識が広まって欲しいものですね。
Dr. I[URL] 2007/09/28(金) 21:27 [EDIT]
>うろうろドクター先生
TBありがとうございました。

先生の記事も、良い記事だと思いますよ。
私の記事も、どんどん使っちゃって構わないですので。

それにしても、エブリデイ紙らしくないですかねw
Dr. I[URL] 2007/09/28(金) 21:28 [EDIT]
>yukilaさん
人工呼吸は、やられる方も、やる方も、ちょっと抵抗ありますよね、正直。
私は、個人的には救急隊が来るまで、心臓マッサージだけで良いって思っています。
アメリカなんかでも、そういうデーターが出ているので。
また、何年かしたら、ガイドラインも変わるような気がします。
Dr. I[URL] 2007/09/28(金) 21:30 [EDIT]
>bgさん
元の記事にも、ちょっと触れられていますけど。

>呼吸が止まっても12分程度は血液中の
酸素濃度がそれほど下がらないことや

だいたい、10分くらいは大丈夫だと言われています。。
救急車呼んでから、10分くらいあれば、だいたい救急隊が着くので。
一般人レベルで行う心肺蘇生は、私は心臓マッサージのみで良いのでは、って思っています。
Dr. I[URL] 2007/09/28(金) 21:32 [EDIT]
arrest
CPRガイドライン2005が出た後ABCニュースHealthで「心臓マッサージが功を奏しているかどうか確認に手を止めたりせず、とにかくマッサージを続ける」と読み取って、英語読み違えたかな?と思ったのを思い出しまちた。でもやっぱり止めちゃダメなのね!
昨年消防の講習で、おうちのスプリングの効いたベッドとかではプッシュの効き目がなくなるので床に下ろしてするのも習って、なるほどと思いまちた。お布団の上の方がいいかなーと思ってたのが恥ずかしいでちゅ。
30回数えながらするのは大変と思ってたけど、ひたすら心マになれば解りやすくて、救命講習を受けたい人が増えると思うな。
エビ[URL] 2007/09/29(土) 01:33 [EDIT]
Cから始めよ。Cのみ行え。
 AHAガイドライン2000より前の臨床麻酔学会で、タイトルのような表題の講演がありました。当時は気道確保・人工呼吸・心臓マッサージの順のABCを守ることが常識の時代だったので新鮮な驚きがありました。

 大人の心肺停止の多くは心原性なので、心臓マッサージだけしていれば、あえぎ呼吸で最低限の換気は出来るのだそうです。迅速な除細動が重要であることは、この講演でも強調されていました。
bamboo[URL] 2007/09/29(土) 10:16 [EDIT]
うーん
近々BLSの勉強会をやるのですが…
こういうデータがでると、胸を張って”30:2”とは言えませんねぇ(苦笑)
勉強になりましたっ
ナースマン[URL] 2007/09/30(日) 12:24 [EDIT]
胸骨骨折
なるほどー、詳細にありがとうございました。
もし現場に居合わせることになったら「ええぃままよ、折れてしまえ」の意気込みでやることにします(少々違
fuka_fuka[URL] 2007/09/30(日) 12:40 [EDIT]
>エビさん
30回、って数える必要は必ずしもないと、個人的には思っています。
あと、下は固い方が力が伝わりやすいので良いです。
Dr. I[URL] 2007/09/30(日) 17:13 [EDIT]
>bamboo先生
2000年より前に、それはかなり先進的な意見ですねー。
気道を確保する、ってのは自発呼吸が弱い時には有効だと思うんですけど。
呼吸止まっている時には、やっぱり心マだと思いますね。
あえぎ呼吸でも、ないよりはましだし。

Dr. I[URL] 2007/09/30(日) 17:15 [EDIT]
>ナースマンさん
アメリカでも、こんなようなデーターも出ていますから。
おそらく、次のガイドラインでは、より心マが重要視されると思いますけど。
とりあえずは、ガイドライン通りにって事になりますかねー。

BLSだったら、一般の人達は、救急隊が来るまで心マのみ、で十分だと思うんですけどね。
個人的には。

Dr. I[URL] 2007/09/30(日) 17:17 [EDIT]
>fuka_fukaさん
あんまり、骨折は気にしなくても良いと思いますよ。
それより、いかに早く始めるかが大事です。
思い切って、いっちゃってください。
Dr. I[URL] 2007/09/30(日) 17:18 [EDIT]
昨年、職場で普通救命講習を受けました。
その時はまだ人工呼吸もやる事になっていましたが
息を肺までに吹き込む事はとても難しかったです。
人形だから抵抗なく出来たようなもので、
実際にはやはり抵抗があるのではと思いました。
心臓マッサージも15回を4クールでは体力的に無理だと
若くもないオバサンはヘロヘロ。。。

普通救命講習終了証なるものを頂きましたが
咄嗟の場合出来るかどうか・・・
つる[URL] 2007/10/01(月) 15:21 [EDIT]
>つるさん
心臓マッサージは、かなり大変ですよ。
慣れてる人でも。
人工呼吸は、一般人レベルでは、おそらく必要ないので。
回数数えなくて良いから、頑張って救急車が来るまで、押し続けて下さい。

ちなみに、2006では15:1じゃなくて、30:2なんですけど。
それも多分かわるでしょうね。
だから、あんまり回数は気にしなくてよいですよ。
Dr. I[URL] 2007/10/02(火) 20:29 [EDIT]

管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバック
TB*URL

心臓マッサージ、結果を恐れずに行なって下さい! 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070927-00000049-mai-soci{{{:<救急蘇生術>人工呼吸は不要 心臓マッサージに効果あり 9月27日15時4分配信 毎日新聞 突然意識を失って倒れた人を蘇生させるための応急手当は、心臓マッサージだけで効果があり、従来勧められてきた  [つづきを読む]
うろうろドクター | 2007/09/27(木) 22:27
Copyright © 2005 健康、病気なし、医者いらず. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
Add to Google My Yahoo!に追加 健康、病気なし、医者いらず