福島の大野病院で、産科医の先生が
癒着胎盤っていう、非常に難しい症例の患者を
助けようと思って、助けられなかった。
って事で、警察に逮捕された事件。
この話は、私のブログでも何回も取り上げていますけど。
逮捕された容疑の一つが医師法21条にある、
「異常死体の届け出義務違反」ってやつなんですよ。
元々は、「犯罪行為」が関与している死体の事を念頭に、
「異常死」って事が定義されたんですけど。
平成6年に、日本法医学会がガイドラインっていうのを作成して、
「異常死」に「診療行為」が関与している場合を含む。
って解釈しちゃったんですよね。
参照:「異状死」ガイドライン、平成6年5月、日本法医学会
【4】診療行為に関連した予期しない死亡、およびその疑いがあるもの
注射・麻酔・手術・検査・分娩などあらゆる診療行為中,
または診療行為の比較的直後における予期しない死亡.
診療行為自体が関与している可能性のある死亡.
診療行為中または比較的直後の急死で,死因が不明の場合.
診療行為の過誤や過失の有無を問わない.
それが、諸悪の根元とまではいきませんけど。
結局、その解釈が今では当たり前のようになって、
逮捕者まで出たのは、残念です。
で、いろいろ問題がある、この「異常死」に関して。
厚生労働省の「医療事故調査委員会」ってやつの
原案がまとまったようですね。
でも、これ。
新聞によって、解釈が違っているようですねー。
まずは、10/17の共同通信社系の新聞
窓口、警察でなく新組織に 患者死亡時の届け出
厚労省、一本化の方針
医療事故調の原案まとまる
共同通信社:2007年10月17日
公平な立場で医療事故原因を究明する新たな組織
(医療事故調)づくりを進めている厚生労働省は
10月16日までに、事故の可能性がある患者死亡事例が
発生した際の医療機関からの届け出先について、
警察ではなく新組織に一本化することなどを柱とする
原案をまとめた。
これらの死亡事例のすべてについて新組織への届け出を
義務付けた上で、事件性が疑われるケースは
事故調から警察に速やかに通報するとしている。
医療機関が届け出を怠った場合には罰則を科す。
医療事故調づくりをめぐっては、
警察との役割分担が最大の焦点だった。
同省は「現場から情報を吸い上げる窓口を
事故調に絞ることで、より専門的な立場で
事故かどうかの判断をすることができ、
死因の真相究明につながる」(幹部)としている。
同省は10月17日に原案を公表。
同日招集される自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」
(大村秀章座長)の議論や、国民から寄せられる意見を
参考に設置法案を作成し、来年の通常国会に提出する方針。
現行の医師法21条は、患者の死亡に不審な点がある
「異状死」について、24時間以内に
警察に届け出ることを医師に義務付けており、
事故調への届け出との整合性について問題となっていた。
同省は
(1)21条を改正し、事故調への届け出をすれば
警察に連絡する必要はないとする
(2)法改正はせず、異状死から診療に関連した
死亡事例を除外する。
のいずれかの方法で届け出先を事故調に一本化する方針。
原案によると、調査は地方ごとに設ける事故調の
「分科会」が担当。
これとは別に厚労省内に中央組織を設置し、
全国の事例分析や、医療機関、行政機関への
再発防止策を提言する。
届け出があった事例のうち、実際に調査する対象は
遺族が解剖に同意したケースに限定。
解剖結果やカルテ、診療記録の分析、
医師や遺族からの聞き取り結果を基に、臨床医や解剖医、
法律家、遺族の支援活動をしている関係者などで構成する
専門チームが死因を検討し、調査報告書を作成する。
報告書は刑事捜査や、医師に対する
行政処分にも活用できるようにする。
医療機関から届け出がなくても、
遺族からの相談で調査を開始することも可能とする。
▽医療事故調
医療事故調
疾病との因果関係がはっきりしない患者の死亡について、
公平な立場で原因究明を行うための第三者組織。
厚労省は有識者による検討会の議論を経て
法制化の準備を進めており、2010年の発足を目指している。
刑事、民事訴訟に委ねざるを得ない医療紛争の
有効な解決手段として、患者・遺族と医療側の双方から
期待が寄せられている。
【解説】
医療事故の届け出先を警察ではなく、新たに創設を目指す
「医療事故調」に一本化するという厚生労働省の原案が
10月16日、明らかになった。
これまで警察が引き受けていた医療事故の捜査に
事実上制約をかけ、必要なケースだけに絞り込もうとする
大胆な試みだが、警察を信頼し、真相究明を委ねてきた
遺族にとって不安はぬぐえないだろう。
医療事故の原因解明をめぐっては、
高度な専門知識が求められることなどから、
医療従事者側の過失の有無について
判断が難しいとされる。
昨年2月に福島県立大野病院の産科医が
業務上過失致死容疑などで警察に逮捕された事件では、
医療関係団体が一斉に反発した。
一方で患者側には「病院は都合の悪いことは隠す」
との不信感が根強く、家族の死に納得がいかなければ
刑事告訴するケースも多い。
事故調創設の背景には、専門家のサポートがないと
捜査が立ちゆかなくなっている警察と、
司法の過剰な介入に危機感を募らせる
医療現場の双方のニーズがある。
患者から信頼される組織として機能するために、
事故調には警察と十分連携し、刑事責任を問うべき
悪質なケースを見逃さない姿勢が求められる。
厚生労働省がまとめた「医療事故調」の
原案の要旨は次の通り。
1、行政機関に置かれる委員会として
医療事故調査委員会を設置する。
各地に分科会を設置する
1、事故調は医療従事者、法律関係者、
遺族代表者らで構成する
1、分科会は個別の事例の評価及び
調査報告書を作成・決定する
1、医療機関からの診療関連死の届け出を義務化。
怠った場合はペナルティーを科すことができる
1、すべての診療関連死の届け出はまず事故調が受理し、
必要があれば警察に通報。
医師法21条に基づく届け出の在り方について整理する
1、遺族からの相談も受け付け、診療関連死が発生した
恐れが認められれば調査を開始する
1、遺族の同意を得て解剖できる事例を調査する
1、事故調は集積事例を分析し、全国の医療機関に
再発防止策を提言。
行政機関に安全のための勧告・建議をする
1、調査報告書は行政処分に活用。
刑事手続きでの使用もあり得る
医師法21条の条文をそのまま引用すると
医師法21条
医師は,死体又は妊娠4カ月以上の死産児を検案して
異状があると認めたときは,24時間以内に
所轄警察署に届け出なければならない
福島の大野病院で問題となっていますけど。
帝王切開をした産科医の先生は、
院長に報告をしているんですよ。
警察に届け出る必要があるか、って。
そいで、院長は、「その必要はない」
って言ったから、警察には届けなかったんです。
以前に、この記事でも書いた事ですけど、↓
「大野病院事件第四回公判」
「厚生労働省のリスクマネジメントマニュアル」でも、
「県立大野病院のマニュアル」でも。
「病院長」が医療過誤の時には警察に届け出る。
って書いてありますし、裁判で院長も証言しています。
でも、結局、警察は「異常死体届け出義務違反」
等の容疑で、ずーっと一年間病院で診察している
産科医の医師を、証拠隠滅のおそれがある、
逃亡の恐れがある、って事で逮捕したんですよ。
医師法21条の条文で、「医師は」って書いていますけど。
この「医師」っていうのは、要は病院の院長とかじゃなくて、
死体を実際に見た医師って事なんです。
だから、福島の大野病院では、院長(もちろん医師)
ではなくて、産科医の先生が逮捕されたんですよ。
医者が患者を助けようと思って処置をして、
医師が刑事事件で逮捕されるって国は、
先進国では日本以外にはないんですけどね。
「異常死」の問題でも、結局現場の医師に
責任が全部降りかかってくるんですよ。
裁判でも、院長が自分の身を守るために、
この産科医の先生のせいにするような証言をしてたけど。
結局「つけは弱者に回ってくる」んですよ。
マスコミの型に嵌った言い方をすると。
医療訴訟では、「現場の医師」が一番の弱者です。
だから、この共同通信社の記事を見たら、
>1、医療機関からの診療関連死の届け出を義務化。
怠った場合はペナルティーを科すことができる
って書いてあったので。
「現場の医師」の個人責任を追及しない方向に行って、
良かったなー、って思っていたんですよ。
ところが、毎日新聞の記事を見ると、
まるで全く逆ですねー。
医療関連死届け出ぬ医師に罰則
厚労省が「事故調査委」試案
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071017-00000151-mai-pol
厚生労働省は17日、医療死亡事故の原因究明をする
第三者機関「医療事故調査委員会(仮称)」の試案を公表した。
年間2000-3000件に上る診療行為に関連した
死亡例について、医師に国への届け出を義務付け、
怠れば刑事罰や行政処分を科すこと
で医療の透明性確保や再発防止を図る。
一般から意見を募集したうえで、
早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する方針。
医療死亡事故については、医師法21条で
「異状死」の警察への届け出が義務付けられているが、
「異状」の定義があいまいで、遺族が不審に思っても
医師が通報せず解剖の機会が失われるケースが少なくない。
これがミスの隠ぺいや医療訴訟の多発・長期化を招く
一因になっており、厚労省は今年度から専門家会議を設け、
民事裁判や刑事捜査によらない
死因究明の在り方を検討していた。
試案によると、医療事故調は公正・中立な立場の
医療関係者や法律家らで構成。
国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会と
同様の調査権限を持ち、報告書は個人情報を伏せて公開される。
医師側に責任があったとの結論が出た場合、
行政処分の対象になる。専門家会議では
「真相解明のため、調査に協力した医師の
刑事処分を免除すべきだ」との意見もあったが、
試案は調査内容の刑事手続き利用を認めた。
死亡事故の届け出先は事故調を所管する厚労相に一本化し、
警察へ通報する事案かどうかは、医療事故調が判断する。
遺族から解剖の同意が得られれば調査を開始し、
医学的な分析のほか、患者・遺族と医師側の
コミュニケーションの妥当性も評価する。
また、医療機関からの届け出がなくても遺族の相談に応じて
調査を始めたり、調査に被害者団体など遺族側の代表も参
加できるようにするなど、患者側の視点が入るよう配慮した。
第三者機関による死因究明を巡っては、日本内科学会が
05年9月から国の補助を受けたモデル事業を全国8地域で実施し、
医療機関からの任意の届け出で57件の調査を受理している。
【清水健二】
「毎日新聞:2007年10月18日」
こ、これは。
まるきり逆じゃないですか。
これでは、むしろ後退で、ますます医師の逃散を助長しますね。
>診療行為に関連した死亡例について、
医師に国への届け出を義務付け、
怠れば刑事罰や行政処分を科すこと
で医療の透明性確保や再発防止を図る。
毎日新聞では「医師」に届け出を義務づけ、
って書いていますねー。
診療行為に関連した死亡例って言ったって。
極端な話、長い間入院して寝たきりになっていれば、
肺炎になる可能性も高いし。
肺梗塞とかになる事もあるし。
元々高齢だったら、脳梗塞とか心筋梗塞とか、
そういう病気になる可能性もあるんですよ。
病院にいようが、自宅にいようが、施設にいようが。
でも、それらの病気になったときに、
絶対に診療行為と関係がないのか。
って言われたら、それを証明するのは難しいですよ。
カテーテル検査や手術の最中とか直後に、
脳梗塞とか肺梗塞になったら、
検査や手術との関連がありそうかな。
と言う事はできますけど。
検査や手術の何時間後だったら関係ない、
という事を証明するのは難しいですよ。
病院に長期入院していたから、肺炎になった。
と言われれば、違うとは言い切れないですよ。
病院の中で、病院にいる原因菌が元の肺炎ですからね。
そういうのも、全て届けるんですか、本当に。
そして、罰則もつけるんですか。
どこまでやらなきゃいけないんですか。
そもそも「異常死」の定義があいまいで。
診療行為との関連っていったって、
どの程度だったら関連があるか、わかんないんですけど。
それをそのままにして、届けなかったら罰則って。
一体、何を考えているんでしょうか。
とりあえず、「医療事故調査委員」とかの前に、
「異常死」「診療関連死」の定義をはっきりさせる事が重要だと思います。
そして、「届け出義務」を「医師」個人ではなく、
「病院、医療機関」にする、って事が大事だと思います。
全く反対の方向に行かなければ良いのですが。
医師法21条に関しては、この本にも詳しく書いていますよ!
→ 医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
小松 秀樹 (著)
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癒着胎盤っていう、非常に難しい症例の患者を
助けようと思って、助けられなかった。
って事で、警察に逮捕された事件。
この話は、私のブログでも何回も取り上げていますけど。
逮捕された容疑の一つが医師法21条にある、
「異常死体の届け出義務違反」ってやつなんですよ。
元々は、「犯罪行為」が関与している死体の事を念頭に、
「異常死」って事が定義されたんですけど。
平成6年に、日本法医学会がガイドラインっていうのを作成して、
「異常死」に「診療行為」が関与している場合を含む。
って解釈しちゃったんですよね。
参照:「異状死」ガイドライン、平成6年5月、日本法医学会
【4】診療行為に関連した予期しない死亡、およびその疑いがあるもの
注射・麻酔・手術・検査・分娩などあらゆる診療行為中,
または診療行為の比較的直後における予期しない死亡.
診療行為自体が関与している可能性のある死亡.
診療行為中または比較的直後の急死で,死因が不明の場合.
診療行為の過誤や過失の有無を問わない.
それが、諸悪の根元とまではいきませんけど。
結局、その解釈が今では当たり前のようになって、
逮捕者まで出たのは、残念です。
で、いろいろ問題がある、この「異常死」に関して。
厚生労働省の「医療事故調査委員会」ってやつの
原案がまとまったようですね。
でも、これ。
新聞によって、解釈が違っているようですねー。
まずは、10/17の共同通信社系の新聞
窓口、警察でなく新組織に 患者死亡時の届け出
厚労省、一本化の方針
医療事故調の原案まとまる
共同通信社:2007年10月17日
公平な立場で医療事故原因を究明する新たな組織
(医療事故調)づくりを進めている厚生労働省は
10月16日までに、事故の可能性がある患者死亡事例が
発生した際の医療機関からの届け出先について、
警察ではなく新組織に一本化することなどを柱とする
原案をまとめた。
これらの死亡事例のすべてについて新組織への届け出を
義務付けた上で、事件性が疑われるケースは
事故調から警察に速やかに通報するとしている。
医療機関が届け出を怠った場合には罰則を科す。
医療事故調づくりをめぐっては、
警察との役割分担が最大の焦点だった。
同省は「現場から情報を吸い上げる窓口を
事故調に絞ることで、より専門的な立場で
事故かどうかの判断をすることができ、
死因の真相究明につながる」(幹部)としている。
同省は10月17日に原案を公表。
同日招集される自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」
(大村秀章座長)の議論や、国民から寄せられる意見を
参考に設置法案を作成し、来年の通常国会に提出する方針。
現行の医師法21条は、患者の死亡に不審な点がある
「異状死」について、24時間以内に
警察に届け出ることを医師に義務付けており、
事故調への届け出との整合性について問題となっていた。
同省は
(1)21条を改正し、事故調への届け出をすれば
警察に連絡する必要はないとする
(2)法改正はせず、異状死から診療に関連した
死亡事例を除外する。
のいずれかの方法で届け出先を事故調に一本化する方針。
原案によると、調査は地方ごとに設ける事故調の
「分科会」が担当。
これとは別に厚労省内に中央組織を設置し、
全国の事例分析や、医療機関、行政機関への
再発防止策を提言する。
届け出があった事例のうち、実際に調査する対象は
遺族が解剖に同意したケースに限定。
解剖結果やカルテ、診療記録の分析、
医師や遺族からの聞き取り結果を基に、臨床医や解剖医、
法律家、遺族の支援活動をしている関係者などで構成する
専門チームが死因を検討し、調査報告書を作成する。
報告書は刑事捜査や、医師に対する
行政処分にも活用できるようにする。
医療機関から届け出がなくても、
遺族からの相談で調査を開始することも可能とする。
▽医療事故調
医療事故調
疾病との因果関係がはっきりしない患者の死亡について、
公平な立場で原因究明を行うための第三者組織。
厚労省は有識者による検討会の議論を経て
法制化の準備を進めており、2010年の発足を目指している。
刑事、民事訴訟に委ねざるを得ない医療紛争の
有効な解決手段として、患者・遺族と医療側の双方から
期待が寄せられている。
【解説】
医療事故の届け出先を警察ではなく、新たに創設を目指す
「医療事故調」に一本化するという厚生労働省の原案が
10月16日、明らかになった。
これまで警察が引き受けていた医療事故の捜査に
事実上制約をかけ、必要なケースだけに絞り込もうとする
大胆な試みだが、警察を信頼し、真相究明を委ねてきた
遺族にとって不安はぬぐえないだろう。
医療事故の原因解明をめぐっては、
高度な専門知識が求められることなどから、
医療従事者側の過失の有無について
判断が難しいとされる。
昨年2月に福島県立大野病院の産科医が
業務上過失致死容疑などで警察に逮捕された事件では、
医療関係団体が一斉に反発した。
一方で患者側には「病院は都合の悪いことは隠す」
との不信感が根強く、家族の死に納得がいかなければ
刑事告訴するケースも多い。
事故調創設の背景には、専門家のサポートがないと
捜査が立ちゆかなくなっている警察と、
司法の過剰な介入に危機感を募らせる
医療現場の双方のニーズがある。
患者から信頼される組織として機能するために、
事故調には警察と十分連携し、刑事責任を問うべき
悪質なケースを見逃さない姿勢が求められる。
厚生労働省がまとめた「医療事故調」の
原案の要旨は次の通り。
1、行政機関に置かれる委員会として
医療事故調査委員会を設置する。
各地に分科会を設置する
1、事故調は医療従事者、法律関係者、
遺族代表者らで構成する
1、分科会は個別の事例の評価及び
調査報告書を作成・決定する
1、医療機関からの診療関連死の届け出を義務化。
怠った場合はペナルティーを科すことができる
1、すべての診療関連死の届け出はまず事故調が受理し、
必要があれば警察に通報。
医師法21条に基づく届け出の在り方について整理する
1、遺族からの相談も受け付け、診療関連死が発生した
恐れが認められれば調査を開始する
1、遺族の同意を得て解剖できる事例を調査する
1、事故調は集積事例を分析し、全国の医療機関に
再発防止策を提言。
行政機関に安全のための勧告・建議をする
1、調査報告書は行政処分に活用。
刑事手続きでの使用もあり得る
医師法21条の条文をそのまま引用すると
医師法21条
医師は,死体又は妊娠4カ月以上の死産児を検案して
異状があると認めたときは,24時間以内に
所轄警察署に届け出なければならない
福島の大野病院で問題となっていますけど。
帝王切開をした産科医の先生は、
院長に報告をしているんですよ。
警察に届け出る必要があるか、って。
そいで、院長は、「その必要はない」
って言ったから、警察には届けなかったんです。
以前に、この記事でも書いた事ですけど、↓
「大野病院事件第四回公判」
「厚生労働省のリスクマネジメントマニュアル」でも、
「県立大野病院のマニュアル」でも。
「病院長」が医療過誤の時には警察に届け出る。
って書いてありますし、裁判で院長も証言しています。
でも、結局、警察は「異常死体届け出義務違反」
等の容疑で、ずーっと一年間病院で診察している
産科医の医師を、証拠隠滅のおそれがある、
逃亡の恐れがある、って事で逮捕したんですよ。
医師法21条の条文で、「医師は」って書いていますけど。
この「医師」っていうのは、要は病院の院長とかじゃなくて、
死体を実際に見た医師って事なんです。
だから、福島の大野病院では、院長(もちろん医師)
ではなくて、産科医の先生が逮捕されたんですよ。
医者が患者を助けようと思って処置をして、
医師が刑事事件で逮捕されるって国は、
先進国では日本以外にはないんですけどね。
「異常死」の問題でも、結局現場の医師に
責任が全部降りかかってくるんですよ。
裁判でも、院長が自分の身を守るために、
この産科医の先生のせいにするような証言をしてたけど。
結局「つけは弱者に回ってくる」んですよ。
マスコミの型に嵌った言い方をすると。
医療訴訟では、「現場の医師」が一番の弱者です。
だから、この共同通信社の記事を見たら、
>1、医療機関からの診療関連死の届け出を義務化。
怠った場合はペナルティーを科すことができる
って書いてあったので。
「現場の医師」の個人責任を追及しない方向に行って、
良かったなー、って思っていたんですよ。
ところが、毎日新聞の記事を見ると、
まるで全く逆ですねー。
医療関連死届け出ぬ医師に罰則
厚労省が「事故調査委」試案
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071017-00000151-mai-pol
厚生労働省は17日、医療死亡事故の原因究明をする
第三者機関「医療事故調査委員会(仮称)」の試案を公表した。
年間2000-3000件に上る診療行為に関連した
死亡例について、医師に国への届け出を義務付け、
怠れば刑事罰や行政処分を科すこと
で医療の透明性確保や再発防止を図る。
一般から意見を募集したうえで、
早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する方針。
医療死亡事故については、医師法21条で
「異状死」の警察への届け出が義務付けられているが、
「異状」の定義があいまいで、遺族が不審に思っても
医師が通報せず解剖の機会が失われるケースが少なくない。
これがミスの隠ぺいや医療訴訟の多発・長期化を招く
一因になっており、厚労省は今年度から専門家会議を設け、
民事裁判や刑事捜査によらない
死因究明の在り方を検討していた。
試案によると、医療事故調は公正・中立な立場の
医療関係者や法律家らで構成。
国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会と
同様の調査権限を持ち、報告書は個人情報を伏せて公開される。
医師側に責任があったとの結論が出た場合、
行政処分の対象になる。専門家会議では
「真相解明のため、調査に協力した医師の
刑事処分を免除すべきだ」との意見もあったが、
試案は調査内容の刑事手続き利用を認めた。
死亡事故の届け出先は事故調を所管する厚労相に一本化し、
警察へ通報する事案かどうかは、医療事故調が判断する。
遺族から解剖の同意が得られれば調査を開始し、
医学的な分析のほか、患者・遺族と医師側の
コミュニケーションの妥当性も評価する。
また、医療機関からの届け出がなくても遺族の相談に応じて
調査を始めたり、調査に被害者団体など遺族側の代表も参
加できるようにするなど、患者側の視点が入るよう配慮した。
第三者機関による死因究明を巡っては、日本内科学会が
05年9月から国の補助を受けたモデル事業を全国8地域で実施し、
医療機関からの任意の届け出で57件の調査を受理している。
【清水健二】
「毎日新聞:2007年10月18日」
こ、これは。
まるきり逆じゃないですか。
これでは、むしろ後退で、ますます医師の逃散を助長しますね。
>診療行為に関連した死亡例について、
医師に国への届け出を義務付け、
怠れば刑事罰や行政処分を科すこと
で医療の透明性確保や再発防止を図る。
毎日新聞では「医師」に届け出を義務づけ、
って書いていますねー。
診療行為に関連した死亡例って言ったって。
極端な話、長い間入院して寝たきりになっていれば、
肺炎になる可能性も高いし。
肺梗塞とかになる事もあるし。
元々高齢だったら、脳梗塞とか心筋梗塞とか、
そういう病気になる可能性もあるんですよ。
病院にいようが、自宅にいようが、施設にいようが。
でも、それらの病気になったときに、
絶対に診療行為と関係がないのか。
って言われたら、それを証明するのは難しいですよ。
カテーテル検査や手術の最中とか直後に、
脳梗塞とか肺梗塞になったら、
検査や手術との関連がありそうかな。
と言う事はできますけど。
検査や手術の何時間後だったら関係ない、
という事を証明するのは難しいですよ。
病院に長期入院していたから、肺炎になった。
と言われれば、違うとは言い切れないですよ。
病院の中で、病院にいる原因菌が元の肺炎ですからね。
そういうのも、全て届けるんですか、本当に。
そして、罰則もつけるんですか。
どこまでやらなきゃいけないんですか。
そもそも「異常死」の定義があいまいで。
診療行為との関連っていったって、
どの程度だったら関連があるか、わかんないんですけど。
それをそのままにして、届けなかったら罰則って。
一体、何を考えているんでしょうか。
とりあえず、「医療事故調査委員」とかの前に、
「異常死」「診療関連死」の定義をはっきりさせる事が重要だと思います。
そして、「届け出義務」を「医師」個人ではなく、
「病院、医療機関」にする、って事が大事だと思います。
全く反対の方向に行かなければ良いのですが。
医師法21条に関しては、この本にも詳しく書いていますよ!
→ 医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
小松 秀樹 (著)
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毎日の解釈、本当にこれでいいのでしょうか?
これでいくと、現場の医師は「少しでも疑わしいなら届出をせざるを得ない」わけで、現場の医師の大幅な負担増になる上に、おそらくは調査委員会の方がパンクして「調査に2年待ち・3年待ち」の状態になるのは目に見えているのですが。
責任を「末端の個人」に押し付ける姿勢、いい加減何とかして欲しいものですね。
これでいくと、現場の医師は「少しでも疑わしいなら届出をせざるを得ない」わけで、現場の医師の大幅な負担増になる上に、おそらくは調査委員会の方がパンクして「調査に2年待ち・3年待ち」の状態になるのは目に見えているのですが。
責任を「末端の個人」に押し付ける姿勢、いい加減何とかして欲しいものですね。

これは純粋に何も考えずに作ったのか、それとも天下り先の確保なのかどっちなんでしょう・・・
そもそもこの時代に医療を全く受けずに死ぬということ自体が稀なはずです。
そして、医療行為にはリスクがつきものなので、死との関連は否定できないことが多いですよね。
届出をしない場合に罰則ができるのならば、年間死亡者の何割が届けられるのか恐怖です。
みなさんのたどり着く結論が、「あ、診療行為をしなければ医療関連死にならないんだ。」というのにならなければいいのですが・・・。
そもそもこの時代に医療を全く受けずに死ぬということ自体が稀なはずです。
そして、医療行為にはリスクがつきものなので、死との関連は否定できないことが多いですよね。
届出をしない場合に罰則ができるのならば、年間死亡者の何割が届けられるのか恐怖です。
みなさんのたどり着く結論が、「あ、診療行為をしなければ医療関連死にならないんだ。」というのにならなければいいのですが・・・。

共同の方は、創設の背景には、専門家のサポートがないと捜査が立ちゆかなくなっている警察と、「司法の過剰な介入に危機感を募らせる医療現場」の双方のニーズがあるとのことだから、アラッいいんでないのと思ったけど、毎日の記事を見るとウーン…秘密警察とかゲシュタポとかおっかない連想しちゃいそうでちゅねプルプル。
厚労大臣も大野に関しては頑張って手術したのに報われない、どうにかするために第三者機関をと言っていましたので…共同の方の記事であって欲しいなと思いまちゅ。
ちなみに、大野事件で弁護人は第1回公判で医師法違反について…「医師法21条は黙秘権の放棄を医師に迫るもので憲法38条に反し、違憲。」と言及しました。Well done!
厚労大臣も大野に関しては頑張って手術したのに報われない、どうにかするために第三者機関をと言っていましたので…共同の方の記事であって欲しいなと思いまちゅ。
ちなみに、大野事件で弁護人は第1回公判で医師法違反について…「医師法21条は黙秘権の放棄を医師に迫るもので憲法38条に反し、違憲。」と言及しました。Well done!

あくまで、案なので。
もし、毎日新聞の解釈通りなら、医者は逃散する。
って事を、もっと広めていって、最終的なものは、そうならないようになれば良いな、って思っています。
もし、毎日新聞の解釈通りなら、医者は逃散する。
って事を、もっと広めていって、最終的なものは、そうならないようになれば良いな、って思っています。
まあ、天下り先に関しては、常に考えているとは思いますけど。
医者の事は考えていないのでしょうね。
もし、医者が逃散したら、やっぱ間違ってました、って事は認めないで、なんとなく解釈を変えるって事はありえるかもしれませんけど。
医者の事は考えていないのでしょうね。
もし、医者が逃散したら、やっぱ間違ってました、って事は認めないで、なんとなく解釈を変えるって事はありえるかもしれませんけど。
ちょっと、毎日の方はおかしいですよね。
普通に考えたら。
憲法問題に関しては、大野病院の事件で法廷に持ち込んでも、多分無視されるとは思いますけどね。
普通に考えたら。
憲法問題に関しては、大野病院の事件で法廷に持ち込んでも、多分無視されるとは思いますけどね。
試案を含んだ報告書を読んでみました。10/22にエントリーしますが、毎日報道の問題箇所は現時点では試案に謳われていません。
報告書は試案として部分と、試案に対する意見が書かれています。もちろん意見も有力なものから、異論噴出の部分まであるのでしょうが、現時点ではまだ単なる意見であり、これを正式決定のように報じるのはミスリードかと考えます。
報告書は試案として部分と、試案に対する意見が書かれています。もちろん意見も有力なものから、異論噴出の部分まであるのでしょうが、現時点ではまだ単なる意見であり、これを正式決定のように報じるのはミスリードかと考えます。
私も、元ネタまでは入手したのですが。
なにせ、分量が多くて。
まだ、きちんと内容を見ていないのですよ、すいません。
やはり、ミスリードなんでしょうかねー。
ちょっと、自分でも確認してみます。
なにせ、分量が多くて。
まだ、きちんと内容を見ていないのですよ、すいません。
やはり、ミスリードなんでしょうかねー。
ちょっと、自分でも確認してみます。
うちの議論をまとめると、事故調の存在について厚生労働省がどういう意向を持っているかが最大の鍵であろうになっています。会議はしょせん「結論先にありき」ですからね。
会議の論調は簡単に言うと
・受け入れ拡大派
・受け入れ制限派
がしのぎを削っています。メンバーから色分けはある程度可能ですが、医師側は制限派でしょうし、非医師側は拡大派で良いと思います。今回の論点整理では拡大派の意見が多めに載っている印象があります。
では厚生労働省も拡大派かと言えば微妙です。厚生労働省の行動原理に医療費削減があります。事故調の予算が別口からじゃんじゃん出ればわかりませんが、医療費の範囲に含まれるのなら、これは極力抑制したいはずです。
また事故調が肥大化すれば、医師は突付かれないように防衛医療を徹底して、検査費増大、医療費増大につながります。これは避けたい事態と考えても良いように思います。
おそらくですが厚生労働省の本音は、事故調が医療訴訟の安全弁ないし制限弁に働く事を想定しているように思います。この機関で医療側勝訴の可能性の高い訴訟を食い止めてしまう構想です。
難題はどうやって適当な数に事故調の仕事を絞るかでしょう。あんまり医師を脅して、病院死亡例を丸投げ状態で送られたら即座にパンクしますし、敷居を上げすぎれば、スキップして直接訴訟になだれ込まれます。
そういう点から今回の意見列挙は、拡大派のガス抜きと見ています。ある程度、言いたい事を言わせておくぐらいのスタンスです。本番はこれからだと考えます。
会議の論調は簡単に言うと
・受け入れ拡大派
・受け入れ制限派
がしのぎを削っています。メンバーから色分けはある程度可能ですが、医師側は制限派でしょうし、非医師側は拡大派で良いと思います。今回の論点整理では拡大派の意見が多めに載っている印象があります。
では厚生労働省も拡大派かと言えば微妙です。厚生労働省の行動原理に医療費削減があります。事故調の予算が別口からじゃんじゃん出ればわかりませんが、医療費の範囲に含まれるのなら、これは極力抑制したいはずです。
また事故調が肥大化すれば、医師は突付かれないように防衛医療を徹底して、検査費増大、医療費増大につながります。これは避けたい事態と考えても良いように思います。
おそらくですが厚生労働省の本音は、事故調が医療訴訟の安全弁ないし制限弁に働く事を想定しているように思います。この機関で医療側勝訴の可能性の高い訴訟を食い止めてしまう構想です。
難題はどうやって適当な数に事故調の仕事を絞るかでしょう。あんまり医師を脅して、病院死亡例を丸投げ状態で送られたら即座にパンクしますし、敷居を上げすぎれば、スキップして直接訴訟になだれ込まれます。
そういう点から今回の意見列挙は、拡大派のガス抜きと見ています。ある程度、言いたい事を言わせておくぐらいのスタンスです。本番はこれからだと考えます。
今、先生のところにあったやつは、全部読みました。
なんか、私が職場で入手したやつは、その3倍くらい分量があったような気がしたんですが。
別ものでしょうかね。
明日確認してみます。
先生のとことにあったやつを読んだ限りでは、医師の罰則に関しては全く触れられていないですよね。
なんで、ああいう報道になったか、不思議ですね。
あの内容自体は、かなりまともだと思います。
まあ、実現するかどうかは、微妙ですけどね。
なんか、私が職場で入手したやつは、その3倍くらい分量があったような気がしたんですが。
別ものでしょうかね。
明日確認してみます。
先生のとことにあったやつを読んだ限りでは、医師の罰則に関しては全く触れられていないですよね。
なんで、ああいう報道になったか、不思議ですね。
あの内容自体は、かなりまともだと思います。
まあ、実現するかどうかは、微妙ですけどね。
私の調査不足だったので今日もう一度上げます。
今日の記事も見ましたよ。
あ、私が入手した物も、先生とほぼ同じ物でした。
あ、私が入手した物も、先生とほぼ同じ物でした。
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