現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
  • 07«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »09
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
診療報酬下げ、財務省のごまかし
財務相の諮問機関の財政制度等審議会が、
医療費削減のために、
診療報酬を下げようとしていますが。
財務省のいい訳に、「ごまかし」があると思います。


診療報酬下げ提言 財政審 人件費など圧縮余地
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071106-00000057-san-bus_all

財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は
5日の会合で、平成20年度予算で医療機関に
支払う診療報酬の引き下げを求めることで一致した。

医療費を見直すことで社会保障費の抑制につなげる。
診療報酬は小泉政権時代から減額が続き、
さらなる引き下げには日本医師会や
与党の厚生族議員らの激しい抵抗も予想される。

財政審は「下落が続く賃金や物価の
水準に比べると医師の人件費などは
まだ高い」と反論。
月内にまとめる建議(意見書)に盛り込む考えだ。

診療報酬はほぼ2年に1度のペースで改定され、
全体の改定率は政府が予算編成の過程で決定。
年末に向けて来年度改定の作業が本格化する。

2年度以降、薬価や医療材料費部分は
一貫して引き下げてきたが、医師の技術料などに当たる
本体部分の引き下げは小泉政権下の
14年度から本格的なメスが入った。

前回18年度改定では、本体部分1・36%、
薬価・医療材料部分1・8%の計3・16%の
マイナスと過去最大の下げ幅だった。

これまでの引き下げで現場の医師らは
医師不足や病院の倒産など
“医療崩壊”が加速する」
と危機感を募らせている。

日本医師会は「国内総生産(GDP)比の
医療費は先進国で最低水準」として、
約2兆円の国民負担増に相当する
診療報酬の5・7%の引き上げを要望。
さらに医師確保のための対策強化なども
政府に求めている。

これに対し、財務省は同日の会合に資料を提出し、
医療費のうち税金や保険料で賄われる
公的医療費部分でみた場合、
対GDP比や一般政府総支出に占める割合が
主要先進国の平均より高い水準にあると反論。

デフレが本格化した11年度以降の賃金や
物価の動きを現在の診療報酬(本体部分)の
水準に反映させると、さらに3・6%の
引き下げが必要と試算した。

委員からは「日本医師会の引き上げ要求は
いかがなものか」と疑問視する
意見が多く上がったほか、
「民間の医療保険の活用で
公的保険の負担を減らすべきだ」
との指摘もあった。

賃金が伸び悩むなかで国民医療費
毎年1兆円を超すペースで増え続けており、
財務省では「診療報酬の1%引き下げで
約800億円の医療費削減につながる」
と試算している。

ついている表:
公的医療費一般政府総支出比)の国際比較(2004年)

OECD平均 15.2%
日本:17.7、米国:18.7、英国:16.0、ドイツ:17.3、
フランス:16.4、スウェーデン13.5(%)

(注)OECD平均は各国の値の単純平均
出典:Health Data 2007(OECD)


『2007年11月6日:産経新聞 』


根本的に、財務省医療費が増えるのはけしからん。
っていう立場ですけどね。

>賃金が伸び悩むなかで国民医療費
毎年1兆円を超すペースで増え続けており、


そもそも、医師の給料は、
むしろ減っているんですけどねー。
ここ10年位。
地方自治体の病院は、かなり顕著です。
医師の賃金も含めて伸び悩みって事ですよね。
これって。

そして、たった一兆円ですか、医療費増えてるの。
財務省が他の先進国、OECD平均って
言葉を使っているから、それを使いますけどね。

日本の医療費は、33兆円です。
日本のGDP約500兆円ですから。
GDP比でいくと、約7%です。

OECD平均だと、医療費の平均は、
GDPの10%位ですから。
日本の適正な医療費約50兆円になります。

33兆円50兆円にするためには、医療費
年間1兆円ずつ増えても、17年もかかるし。
そもそも、17年経ったら、
GDPも多分数十兆円は増えているから。
そのペースでいっても、20年以上かかって、
やっと平均に追いつくんですよ、日本は。

ホントは20年経ったら、他の国はGDP比で、
もっと上がっているでしょうから。
20年どころか、30年経っても
追いつけないかもしれませんけどね。

20年以内に追いつくために、1兆円といわず、
2兆円でも3兆円でも増やすべきですよ。
医療費を。


そいで、こっからがごまかしの数字。


財務省は同日の会合に資料を提出し、
医療費のうち税金や保険料で賄われる
公的医療費部分でみた場合、
対GDP比や一般政府総支出に占める割合が
主要先進国の平均より高い水準にあると反論。


まず、これに引用されていた資料。

>公的医療費一般政府総支出比)の国際比較(2004年)
 OECD平均 15.2%
日本:17.7、米国:18.7、英国:16.0、ドイツ:17.3、
フランス:16.4、スウェーデン13.5(%)


ここに注目。

> 一般政府総支出比

日本の会計って、一般会計特別会計に分かれます。
他の国では、特別会計なんてないですから。
その数字をそのまま使っても良いんですけどね。

日本では、H19年度の一般会計84兆円
一方、特別会計は、362兆円ですよ。
他の会計との重複を除いた純計額でも、
175兆円あります。

一般会計の2倍以上隠れた会計があるんですよ。

公共事業費40兆円ってのも、
この中に入る方が多いです。


で、この出された数字では、

>公的医療費一般政府総支出比)の国際比較

って事ですから。
特別会計は、入っていないんじゃないですかね。

だとしたら、全く意味のない比較です。
この統計は。


そして、GDP比はというと。
2000年のデーターになりますけど。

公的医療費(GDP比)

日本   6.0%
アメリカ 5.9%
イギリス 5.8%


と、自己責任の国アメリカと、
医療崩壊の先進国イギリスとは同レベルですが。

フランス   7.1%
スウェーデン 7.1%
ドイツ    7.9%


参照:「改革」のための医療経済学 p64

となっていますので。
医療費単独だと、平均レベルよりも、
ちょい少なめ
だと思うんですけどねー。

日本の場合、特別会計はきちんと公開されてないので。
一般支出に対する割合でみたら、
ごまかしが多いですから。
やっぱり、GDP比でみるべきだと思うんですけどねー。

ちなみに、年金、医療費、福祉その他を合わせると、
日本は2000年で、16.1%
他の国は、アメリカ以外25~30%位ですから、
先進国では最低レベルです。


それと、

>医師の技術料などに当たる本体部分

これ、そもそも他の先進国の数分の一とか、
下手したら1/10くらいだから、日本の医者の技術料。

素人に10分マッサージしてもらうより、
医療の専門家である医師
30分診察して貰った方が安い
んですよ。
日本って国は。

そこから、まだ減らしますか?

97%公立病院が既に赤字なんですけど。
更に減らしてどうするんでしょうか。
病院を潰して、損するのは誰だと思ってるんでしょうか。

まあ、役人や政治家、外資系の保険会社は、
その後においしい思いができるから、良いのかな。



最新の資料をお持ちの方や、私の統計の読みが
間違っていると思われる方は、
具体的にご指摘頂ければありがたいです。


もっと詳しく知りたい人は、これも読んでね!
→ 「改革」のための医療経済学

ブログランキングの応援もよろしくね!
 ↓ ↓ ↓

スポンサーサイト
この記事へのコメント
またも……
Dr.I様>

 またも、財務省お得意の「資料の良いとこ取り」ですね。
 まあ、この手の議論はどうしても「主張する人間の都合の良い資料」で話をせざるを得ないんですが、それにしても財務省の出してきてる資料は可笑しいですね。
 もはや、医療も「自由競争」にして、その分「負担は国民が自ら責任を取る」形にせざるをえないのでしょうか、それで国民が困って政府に抗議しても、そのころには政府の責任者はいけしゃーしゃーと天下ってるんでしょうねぇ(嘆息)。
Lich[URL] 2007/11/07(水) 08:00 [EDIT]
in comparison with Organization for Economic Cooperation and Development
財務省が他の先進国、OECD平均って言葉を使っているから、エビもそれを使いまちゅけどね(←I先生のマネ)、OECD対比だと「医師数」は日本は最低でちょー!プンスカ!

だから医師不足で、テクニックを研鑽する必要もある若い医師が、そういったことのしずらい場所での僻地医療を一時でなく数年担うケースも出てきてしまうのだと思います。お医者さんが技術を高めていくことは、何より患者さんのpublic benefitたることでchu。

そういった今現在を志一つで限界で持ちこたえているのに、退職金もちょっぴーりなのに、「ハイ、減給ね。」は…ワナワナ(:_;)
うちの両親は財務省官僚でもない普通の人だったけど「お医者さんは人が足りん、寝るのも食べるのも足りん、給料も足りん、頑張り過ぎ☆」と口揃えて言ってまちたよアプー。
エビ[URL] 2007/11/07(水) 09:15 [EDIT]
最近映画の「バブルへGO!!」を見ました

実際バブルがはじけた原因は、時の大蔵省銀行局長 土田正顕が通達した「土地関連融資の抑制について」という総量規制だとみなされています
現在でもこの政策は誤りだったと指摘されています

映画では、誤りだとわかっていてこれを通達するのだとされていました
景気が崩壊しようが、大蔵省をはじめとする政界のTOPが大もうけするために


なんだか医療もこういう与太話みたいで嫌ですよね(苦笑)
ナースマン[URL] 2007/11/07(水) 17:10 [EDIT]
>Lichさん
また、良いとこどりですわ。
ぼろが出たら、きっと他のデーターでごまかすんでしょうけどね。
結局、先に結論ありきなんですよね、こういう会議って。
Dr. I[URL] 2007/11/07(水) 19:49 [EDIT]
>エビさん
結局、現場の事を知らない役人が作るから、こういう事がおきるんですよね。
Dr. I[URL] 2007/11/07(水) 19:51 [EDIT]
>ナースマンさん
総量規制が、一番の原因だってのは、結構前から言われていますよね。
医療費亡国論が悪いってのも、最近は言われているんですけど。
何年かしたら、映画になるのかなー。

昔の日本の医療は良かったのに、って。
Dr. I[URL] 2007/11/07(水) 19:53 [EDIT]
財政審のメンバーはこのような連中です。
激しく同意!

先生の仰るとおりですよ!


兪 炳匡(ゆう へいきょう)先生の
「改革」のための医療経済学
は、私も入手しました。

よく書いてありますね。
マスコミの連中にこれを配って回りたいくらいです。

あと、私からのお勧めの本は、

権丈 善一 著
「医療政策は選挙で変える」
-再配分政策の政治経済学-


です。

それから、財政審のメンバーはこういった輩です。

医療関係者は一人だけで、あとは現状が全くわかってない経済屋ばっかりですね。
こういった連中に「日本の医療」が語れますか?
否です。

こういった現実を広く国民に知らしめるべきでしょう。
経済屋さんたちが尤もらしい事を言ってみても、結局は自分の懐を増やすための算段でしかありません。
 しかし現実問題として、こういった連中の言葉だけが都合よく引用されて(政府の意見じゃないよ)という具合になって、見せ掛けの「民意」になっていますね。まったく・・・財務省の官僚の連中を「総選挙」したいくらいですよ。


財政制度等審議会:財務省
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/top.htm

財政制度等審議会委員名簿平成19年8月1日現在
<委員>
池尾和人 慶應義塾大学経済学部教授
板垣信幸日本放送協会解説主幹
井堀利宏国立大学法人東京大学大学院経済学研究科教授
岩崎慶市(株)産業経済新聞社論説副委員長
江川雅子ハーバード・ビジネス・スクール日本リサーチ・センター長
緒方瑞穂(社)日本不動産鑑定協会副会長
勝俣恒久東京電力(株)取締役社長
角紀代恵立教大学法学部教授
黒川和美法政大学経済学部教授
幸田真音作家
河野栄子(株)リクルート特別顧問
残間里江子プロデューサー、(株)クリエイティブ・シニア代表取締役社長
柴田昌治日本ガイシ(株)代表取締役会長
木剛 日本労働組合総連合会会長
竹内佐和子国立大学法人京都大学工学研究科客員教授
竹内洋 弁護士
竹中ナミ(社福)プロップ・ステーション理事長
田近栄治 国立大学法人一橋大学大学院国際・公共政策大学院教授
○田中直毅 経済評論家
玉置和宏 (株)毎日新聞社特別顧問(論説担当)
寺田千代乃 アートコーポレーション(株)代表取締役社長
富田俊基中央大学法学部教授
中林美恵子 跡見学園女子大学マネジメント学部准教授
◎西室泰三 (株)東京証券取引所グループ取締役会長兼代表執行役
宮武剛  目白大学人間学部こども学科教授
宮原賢次住友商事(株)相談役
村上政博 国立大学法人一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授
村田泰夫 農林漁業金融公庫理事
---------------------------------
矢崎義雄 (独)国立病院機構理事長
---------------------------------
吉野直行 慶應義塾大学経済学部教授
(注)◎は会長、○は会長代理

--------------------------------

miyamoto[URL] 2007/11/08(木) 07:04 [EDIT]
>miyamoto先生
全くその通りですね。
現場の事がわかってない人間が決めたって、意味ないんですよね。
ホント、残念ですわ。
Dr. I[URL] 2007/11/08(木) 20:06 [EDIT]
診療報酬減反対
「一般政府総支出に占める割合」この言葉、教育費問題の時も出てきましたよ。官僚が真実をごまかす時に引っ張り出す「分母」のようですね。
「財政制度等審議会」というのは民間人なので、たとえ財務省が彼らに結論を強いても、これが民意であるというのでしょうね。
どんな体制のどんな政治でもいいけど、自国民を裏切り、国民をたぶらかす政府は不必要ですね。
 
romorom[URL] 2007/11/09(金) 00:20 [EDIT]
>romoromさん
ああ、そうなのかもしれませんねー。
それを言ったら、公共事業費の割合は、他の先進国の10倍くらいなんだから。
1/10にしろ、って話が最初に出るはずなんですけどねー。
なんで、そういう話にはならないんでしょうか。
Dr. I[URL] 2007/11/09(金) 06:42 [EDIT]

管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバック
TB*URL

【閑話休題】転職活動中の健康維持
この時期、4月に向けて転職活動がグンと加速する時期ですが、同時に1年で一番寒い時期。風邪やインフルエンザが流行る季節です。「風邪で面接をキャンセルする」その時点で企業の印象はとても悪くなります。当たり前ですが、「体調管理ができない人の仕事レベルってどうなの  [つづきを読む]
転職のやり方 | 2007/11/07(水) 01:28
国民 年金 保険料の気になる話
保険と年金の気になる話を紹介します。退職時の年金未加入期間について教えてください社会保険事務所に問い合わせたところ、(7月から数ヶ月間だけ国民年金に加入したのですが)6月から国民年金に加入すべきだったと言われ  [つづきを読む]
保険と年金の気になる話 | 2007/11/07(水) 08:17
( 医師 )についての最新のブログのリンク集
医師に関する最新ブログ、ユーチューブなどネットからの口コミ情報をまとめてみると…  [つづきを読む]
クチコミコミュニケーション | 2007/11/09(金) 01:04
( 医療保険 )についての最新のブログのリンク集
医療保険に関する最新ブログ、ユーチューブなどネットからの口コミ情報をまとめてみると…  [つづきを読む]
クチコミコミュニケーション | 2007/11/09(金) 04:13
【 医療経済学 】について最新のブログの口コミをまとめると
医療経済学に関する最新ブログ、ユーチューブ、ネットショッピングからマッシュアップした口コミ情報を提供しています。  [つづきを読む]
プレサーチ | 2007/11/11(日) 06:55
( 医療経済学 )についての最新のブログのリンク集
医療経済学に関する最新ブログ、ユーチューブなどネットからの口コミ情報をまとめてみると…  [つづきを読む]
クチコミコミュニケーション | 2007/11/15(木) 00:40
Copyright © 2005 健康、病気なし、医者いらず. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
Add to Google My Yahoo!に追加 健康、病気なし、医者いらず