現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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コンビニ医療
コンビニ医療とか、コンビニ受診とか。
そういう言葉が、最近使われていますよね。

ウィキペディアでは、「コンビニ医療」は載ってなくて、
コンビニ受診」の方で書いていましたので。
ちょっと、引用してみましょうか。

○「コンビニ受診
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

コンビニ受診とは、一般的に外来診療をやっていない
休日や夜間の時間帯に、救急外来を受診される
緊急性のない軽傷患者の行動のことを言う。

このような受診形態の患者が増え、
重傷な患者の対応が困難になったり、
入院中の患者の急変に対応が困難になったり、
医師が休養がとれず翌日以降の診療に
支障を来したり、疲れ果て医療現場を去り
医療崩壊の原因にもなっている。


まあ、こんな感じで理解していただけると良いでしょうかね。

でも、コンビニ医療の現場は、本物のコンビニ以上に
大変な目にあっているんですよ。

まず、コンビニっていうのは、サービス業です。
サービス業として、24時間営業をして、
夜中に客が来ると儲かる。
って判断して、夜中にも経営している訳です。
だから、深夜に客がやって来るって事は、
ありがたい事なんですよ。

一方。
医療、病院っていうのは、サービス業ではありません
これは、このブログでも何回も言っている事です。
そいで、元々病院っていうのは、24時間やっている、
というわけではありませんから。


基本的には病院朝9時から、午後の5時までですよ。
8時半から午後4時半とか。
外来の受付は3時半までとか。
いろいろ病院によっても違うと思いますけど。

デパートが朝10時から夜の8時まで。
とかっていうのと同じように、時間が決まっているんですよ。

でも、病気とか患者っていうのは、夜でもいますから。
そういう時には、「特別に」、命に関わる事もあるから、
診察しますよ
っていうのが、病院のスタンスです。
これは、どこの病院でも一緒です。

そして、もう一つ大きな違い。
コンビニ500円の弁当買って、そんなにおいしくなくっても、
文句は言いませんよね
安くて便利なんだから。
それはしょうがない、ってみんな思っていますから。

夜中にコンビニに行って、
「なんでサーロインステーキが置いてないんだ。」
「フカヒレスープがないなんて、けしからん。」
「なんでフランス料理のコックがいないんだ。」

って言う人はいませんよね。

でも、夜中に病院に来て、
「なんで頭のCTを今すぐ撮らないんだ。」
「早く専門医を呼んで、診察しろ。」

って言う人は、たくさんいるんですよ。

コンビニ医療コンビニ受診っていうのは、
コンビニ感覚病院に来るのに、
最高のフランス料理や中華料理がないと文句を言う
っていう事もあるんですね。

だから、もっと最悪です。

しかも、
「俺は客なんだから、診てもらって当たり前。」
って顔してる人もいるんですよ、残念ながら。
もちろん、全員ではないですけどね。

前にこのブログでも取り上げた
モンスターペイシェント」もいます。
まあ、ほとんどの患者単なるちょっとわがまま
ってだけで、モンスターペイシェントは少ないですけど。


そんな訳で、ウィキペディアにも書いてあるように、
コンビニ医療コンビニ受診が、医療崩壊を加速している
って事は事実なんです。


そいで、そのコンビニ医療について、朝日新聞でも
取り上げていたようなので。
ちょっとおもしろかったので、
引用してみますね。



医局の窓の向こう側
医療のコンビニ化

夏休みに旅行に出かけた飛行機の中での
出来事を話している。



おおざっぱにあらすじを書くと。

ある内科医が飛行機に乗っていたら、
急病の患者がいるかなんかで。
キャビンアテンダントが、医者を捜していたんですよ。
で、誰も手を挙げないから、しょうがないから、
その内科医の先生が手を挙げた。
同時に看護師と歯科医も手を挙げて、
誰が行く?とかって話になって。

そいで、呼ばれた先に行ってみたら、
客が頭から血を流しているんです。
軽症なので、その内科医の先生が
手で血を止めていたら。
実は、その客の斜め後ろにいた人が、
その先生の病院の外科部長

外科部長の先生は、ずるいから、
自分は医者だ、って名乗らないで指示だけ出していた。
しかも、こっちは好意で医療行為をしているにも関わらず、
その方の奥さんはすごく不満で、お礼の一言もない
って話でした。

詳しくは、こちらをみて下さいね!
「急病人です!! 1」
「急病人です!! 2」
「急病人です!! 3」
「急病人です!! 4」


「外科部長さぁ、手、挙げないんだよ。
横目で見て、処置のための指示はしたみたいだけど、
医者だって名乗らないんだ」

「頭いいじゃん。さすが外科部長」外科のT先生が言う。
「だからスッチーが医者いないかって探し回ったんだよ。
そこまで困ってるならって手を挙げてのこのこ出てっちゃった」。
机の上に山積みになっているお菓子をばりばりと食べる。
この時期はお歳暮がたくさん来るので、お茶菓子がリッチだ。

「同じ飛行機の中に医者が同乗してた、
それで招集に応じてくれたってだけでも、
普通、こう、なんていうのかな、患者の気分としては
『ありがたい』って感じにならない?

でもさ、なんか違うんだよね。
当たり前っていうか、それ以上に不満があるっていうか」
「じゃ、真田先生は患者の家族が泣いて
ありがたがってくれたら満足だったわけ?」
H先生が言う。

「またまたそういうことを。
もちろん、そんなことを期待していたんじゃないよ。
でもさ、こちらだって小さな親切の範疇で
やろうとしているんだから、それに対して普通の感謝っていうか、
人として心の温かい交流っていうか、そういうの、ない?」

「まぁね」

「分かった。じゃあ、こう言うよ。
安っぽい正義感って言われてもいいよ。
我々医者が自分の利益度外視でがんばれるのは、
それが医者としての責務だし、
自分へのプライドだと思っているからだよ。
もちろん、患者さんの喜ぶ顔が見たいから。
でも、そんなの家族の喜ぶ顔が見たくて
仕事をがんばるお父さんみたいな気持ちじゃないか。
それを悪いって言われたら立つ瀬ないよ。
それなのに、当たり前って思われてる。
いや、要求すらされる。何かが違う」

「今の医療崩壊の一端でもあるね。
今まで医師の献身で支えられていた部分
がもう支えきれなくなってる」。
T先生が昨夕の当直帯での出来事を話しはじめた。

「お腹痛い、ガンかもしれないから検査しろって
救急車に乗って来た」
「救急車で来るくらい、お腹が痛かったんじゃないの?」
「3日前からだって。昼間はお仕事で忙しいから
来られないからって。
ここの病院は救急車で来た患者を待たせるのか
ってどなってた」。
一同はふ~っとため息をついた。

「さっき院長に呼ばれて事情聴取だよ。
あの患者が投書したうえに、電話かけてきたみたい。
救急病院として対応がなってない、マスコミに言うってさ。
院長びびっちゃって、一体、救急患者を待たせた
というのはどういうことだって」

うんざりして外の喫煙所へ行った。
今夜は当直だ。
この病院も今年2人の医師が辞めた。
大学医局からの補充はない。
それどころか、引き揚げの打診が来ている科もあると聞く。

年末年始の日当直担当が決まったけれども、
あれじゃあお世辞にも
「暮れの休み」とは言えなかった。
通常の時よりもスタッフが少ない分だけきつくなる。
そういうことでも当たり前だと感じて、
むしろやりがいさえ感じていたのはいつまでだったんだろう。

「呼び出しに応じちゃうなんて真田先生はまだ熱いんだよ。
下手なことしたら訴えられちゃうからね。
もう、医療サービスなんだよ。

求められたサービスを、求められただけ提供。
カスタマーの満足が評価基準。
24時間365日、コンビニなみにサービスを提供する」
T先生が言った。

「外科部長はぎりぎりの選択をうまくこなしたんだよ。
部長は、本当は熱い人なんだから。
下手にかかわると訴えられる。
でも医者として見逃すことができない。
だから、医者と名乗らずに指示だけ出してたんだよ。
俺なんか絶対知らんぷりするよ」。
たばこをもみ消すとT先生は行ってしまった。

当直者用のピッチが鳴った。
さぁて! 行きますかぁ!!


『2007年12月25日:医療のコンビニ化 』

これ書いている人、真田 歩(さなだ・あゆむ)先生
っていう内科の医師のようですから。
やっぱり、だいたい同じ様な事を感じてるんだな
って思いますよね、正直。


>安っぽい正義感って言われてもいいよ。
我々医者が自分の利益度外視でがんばれるのは、
それが医者としての責務だし、
自分へのプライドだと思っているからだよ。
もちろん、患者さんの喜ぶ顔が見たいから。
でも、そんなの家族の喜ぶ顔が見たくて
仕事をがんばるお父さんみたいな気持ちじゃないか。
それを悪いって言われたら立つ瀬ないよ。
それなのに、当たり前って思われてる。
いや、要求すらされる。何かが違う」


これ、全くその通りですよ。
安っぽい正義感かもしれませんけどね。
医者って言うのは、みんな
患者が良くなったら嬉しい。」
そう思って医療をやっているんですよ。
そいで、患者の病気が良くなって、
患者にも患者の家族にも感謝される
っていうのは、ホントにすごく嬉しい事なんですよ。

でも、これって、別に正義感とか、良い人ぶるわけではなく。
他の職業でも、だいたい一緒でしょ。

料理人だったら、お客さんにおいしい
って言って貰えるのが、一番嬉しいでしょ。
職人さんだって、自分で作った物を、
客に使って満足して貰えるのが、一番嬉しいでしょ。

別に医者に限った事じゃないと思いますよ。
他の職業だって、金さえ貰えればどうでも良い。
って思っている人は、当然いるでしょうけど。
プロだから、正当なお金を貰うのは当然ですけど、
仕事をやってる目的はお金だけじゃないでしょ

ちょっと、コンビニ医療とはかけ離れてしまったかもしれませんが。
医者にはやりがいも必要なんですよ。

でも、多忙になって、しかも患者にも感謝されなくなって
そしたら、医者辞める人が増えても当然だと思いますよ


コンビニ医療を止めて貰うために。
いろいろな方策があるとは思います。
今までも、いくつかネット上でも書いてありましたが。
一つ、自分で考えた案がありますので、
今度それについても書いていきますね。

どんな方法でも良いから、コンビニ医療が減れば、
医療が崩壊するスピードも、少しは遅くなると思います。


病院の中でも、特に大学病院についてが知りたい人は、
こちらから!

→ 『「大学病院のうそ」 ~現役医師(Dr. I)が暴露する、
大学病院の秘密』


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この記事へのコメント
secret strategy
コンビニバイト経験有りのエビでちゅ◎早朝痴漢にあいまちた(ノ_・。)

救急車のトリアージについてはあつかふぇ先生のとこで読みまちた。
医師の疲労が解消される世の中になりますように。
してコンビニ医療を防ぐ秘策とは?待て次回!って感じ?引っ張るのねぇウプー。はーやーくゥ。
エビ[URL] 2007/12/28(金) 00:16 [EDIT]
勘違いしている患者は……
Dr.I様>

 結局、患者の「自分達が医療に求める水準」が「費用対効果において明らかに効果のほうが大きい」のを「当然のサービスだ」と勘違いしているのが原因でしょうね。
 このままいくと、それこそ「費用対効果」の面において過剰に提供されている効果」の部分が提供されなくなる、ということを、我々患者(と、患者になる予備軍)は自覚する必要があると思います。
Lich[URL] 2007/12/28(金) 07:43 [EDIT]
>エビさん
医療と同じで、トリアージも絶対って事はないんですよね。
なかなか難しいところですね。
>Dr.I[URL] 2007/12/28(金) 23:33 [EDIT]
>Lichさん
医療だろうが、サービスだろうが金はかかるんですよね。
しかも、人間がやっているんですから。
自分中心に回ってるって思う人が増えちゃったのでしょうかねー。
>Dr. I[URL] 2007/12/28(金) 23:35 [EDIT]
同じ状況に置かれたら、たぶん出て行かないと思うな。自分の専門分野のことなら出て行くと思いますけど、専門外のことを医者だからって求められても、当然専門医らしい対応はできませんから、そこを突かれてモメゴトになるのはイヤですから。やはりちっぽけな正義感と医師としての使命感で出て行くんですよね。いろんなリスクあるのを承知で。
時間外は、時間外なら65点(135点)、休日190点(260点)、深夜420点(590点)(カッコ内は6歳未満の場合)なんですけども、人件費をペイできるのか?それもですね、翌日の夜勤・当直明けにはしっかり休養とれるシステムを入れるとなると、雇用しなければならないDrは増えますし、仮に医師不足でなくてDrを集められたとしても、人件費と取れる診療報酬のバランスが取れないですよね。
医師不足を解消できて、全体にかかる人件費をペイできてさらにプラスアルファの収益がでるような診療報酬の枠組みを作るか、あるいは現状の人・施設で行いえる医療を提供するなら夜間・休日・時間外の軽症者の受診抑制をするしかないと、思います。。。
結局、人と金ですよね。。。悲しいコトながら。
りん[URL] 2007/12/29(土) 10:35 [EDIT]
>りん先生
私も、その場になってみないと、出て行くかどうかわかんないですね。
正直。

ただ、医者いますか?
っていう聞き方も、よくないですよね。

以前からブログに書いているように、人と金があれば、医療崩壊の多くは解決すると、個人的には思っています。

それまでのつなぎに、どうするか。
ってのが、今の段階でしょうかねー。
でも、今後、人も金も増やす事をしないで、その場しのぎの対策のみを行っていれば、本当に医療は崩壊しますね。
それって、崩壊というよりは破壊だと思いますけど。
Dr. I[URL] 2007/12/30(日) 16:23 [EDIT]

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