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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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全国医師連盟、総決起集会参加
1/13に全国医師連盟 設立準備委員会 総決起集会」
があったので、それに参加してきましたー!

全国医師連盟」っていうのは、
「全国医師連盟」設立へ
の記事でも書いたとおり、
患者の事を一番よくわかっているのは、現場の医師だ。
患者最高の治療をする為には、
医師の状態も良くなくては無理だ。
という考えを元に、現場の医師が中心になって、
現場の声を届ける団体を作ろう。
という事で、新しくできた団体が、
全国医師連盟」です。


まあ、今の所「全国医師連盟 設立準備委員会
って事で、単なる準備委員会なんで。
正式に発足したわけではないんですけどね。
その前に、総決起集会をやるって事で、
参加してきました。

椅子席が100席くらいあって、それは全部埋まって。
そいで、30人位立ち見の人がいたから。
大盛況でしたよ。
マスコミ関係者も20人位いたかな。

全国医師連盟 設立準備委員会 総決起集会
には小松秀樹先生と、本田宏先生
この世界では二大巨頭とも言うべき2人を迎えて、
2人とも熱く語ってくれましたよ。


私は小松先生の話を聞くのは始めてなんですが。
いつもは読み原稿だけなのに、今日はスライドも用意して、
相当気合い入っていた、との事で。
話も、すごくおもしろかったです。

内容は、このブログでも書いたと思うけど、
「医療事故調査委員会の第二次試案」の話が中心でした。

こんな、新たな厚労省の天下り先作ったって。
厚労省に医療費の決定に関わる権限に加えて、
調査権と処分権
まで与えるだけなんで。
益々、厚労省の権力が強くなって
現場の意見なんか聞かなくなっちゃいますよ。

医療事故を今後起こさない、って事が目的なら、
事実を医師に隠さず話して貰って、
それを今後に生かす、って事が大事なんですが。

その内容を処分に使うって事になったら、
事実を話す事は難しくなりますよ。

そんなバカな案が通ったら、
医師は、ますます医療をやりにくくなるし、
今後の医療事故を防ぐって事にもならないんで、
全く患者の為にもなりません
だから、そんなのやめましょうよ、って話でした。


私は本田宏先生の話を聞くのは、二回目。
しかも、本まで読んでいるので、
だいたい話の内容はわかっているのですが。

会場の反応も良かったためか、いつもより
更にヒートアップしているようで、
非常におもしろかったです。

いつもの通り、日本の医療費や医師
その海外との比較データーとか。
実際のアメリカの医療はどうだ、とか。

医師警察官、自衛官の数の比較や、
医療費パチンコ産業、葬儀産業との比較など。
正しい知識を、わかりやすく教えて頂きました。

小松先生講演の原稿と、
本田先生スライドはここから
ダウンロードできるんで。
欲しい人は、ここからダウンロードしてね!

本田先生のスライドは、スリムにしても
43MBあるんで、超重いです。
→ 「設立準備委員会 総決起集会 DVD」


私は当日、本田先生のPCから、
USBにもらおうと思ったのですが。
たまたま小さいやつしか持っていってなくて、
断念しました(涙)


そんで、最後に全国医師連盟設立準備委員会世話役の
黒川衛医師(元長崎大学医学部神経解剖学准教授、
長崎県真珠園療養所医師)の
「準備委員会からの報告と、行動提起」が行われました。

日本や諸外国の医師団体の歴史的経緯などを示し、
今の日本医師のあり方が続くのであれば、
勤務医のための団体が必要であること。
日本の医療が正しい方向へ向かい始めるための
行動がしたいとか、そんな話でした。

ちょっと盛りだくさん過ぎた印象はありましたけどね。
個人的には、以前にブログで書いた、
「全国医師連盟」設立へ
こんな感じの事を、もっとシンプルに、
熱く語ってくれたら、もっとみんなに熱気が伝わったのにー。
って、ちょっと思いました。

盛りだくさんな内容だったので、
あっという間に時間が経って、
全国医師連盟 設立準備委員会 総決起集」は
成功だったと思います。

ただ、所詮は「全国医師連盟
の「設立準備委員会」なので。
早急に、本当に「全国医師連盟」を設立する。
って事が大事だと思います。

はっきり言って、今が旬というか。
勢いがありますからね。
医療崩壊とか、そういう事が、特に最近マスコミでも、
たくさん報道されているし。

ここが勝負どころなので、是非頑張って貰いたい所です。

まあ、名称は変わる可能性ありますけどね。


マスメディアも今のところ、おおよそ
好意的に書いているようですね。
産経新聞以外は。


全国医師連盟の創設に向け決起集会
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?b=20080114-00000000-cbn-soci

医師の労働環境改善などを目指す
新たな団体を立ち上げようと、
全国医師連盟設立準備委員会」(黒川衛代表世話人)は
1月13日、東京都内で総決起集会を開いた。

全国医師連盟(仮称)の設立は、
医師不足による病院閉鎖など医療崩壊が叫ばれる中、
医師が誇りを持てる労働環境を創設して
医療の質向上につなげることが狙い。
当日の集会には全国から約110人の関係者が駆けつけた。

全国医師連盟設立準備委員会は、
代表世話人の黒川さんらが中心になり、
昨年8月に発足させた。

ことし1月時点で全国の勤務医や研究医、開業医ら
約420人が会員登録しているという。
日本医師会に比べて勤務医が全体の15~16%と多く、
平均年齢も43歳と若いのが特徴だ。
設立準備委員会は、早ければ5月ごろにも
連盟を発足させたい考え。

連盟の設立後は、医師の労働環境改善を目指して
労働組合(ドクターズユニオン)を創設させるとともに、
医療費抑制策への反対キャンペーンを実施するなど
厚生行政へも働きかける方針。

さらに、啓発活動の一環として医療事案に関する
無料解説を担う部署を立ち上げたり、
医療過誤冤罪の発生を防ぐため支援活動を
展開するなどの構想もある。
詳しくは設立準備委員会のホームページで。

13日に会見した黒川さんは、
「人を助けたいという初心を医師が発揮できて、
誇りを持って働ける環境を取り戻したい」
医師、患者、国民が連携して新時代を迎えたい」
などと意気込みを語った。

また日本医師会との関係について同委員会は、
「見習うべきことは見習い、批判すべきことは批判する。
基本的には是々非々」と説明した。

総決起集会では埼玉県済生会栗橋病院副院長の
本田宏さんが講演し「日本では60歳を超えた
病院の院長が当直している。
こんな状況を放置していいのか」などと問題提起した。
会場からは、問題解決に向けてすぐにも
連盟を発足させるよう求める声も挙がった。


「2008/01/13   キャリアブレイン」


キャリアブレインは、かなり好意的に書いてくれています。

ちなみに、

>勤務医が全体の15~16%と多く、

って、これじゃ全然勤務医多くないし(汗)
50~60%の間違いではないでしょうか。

ちょっと、全国医師連盟設立準備委員会
会員構成を見てみましょうか。

会員構成っていうのは、会員が増えれば
どんどん変わっていくから。
流動性のあるものなんだけど。


「全国医師連盟 設立準備委員会HP」によると、
全国医師連盟 設立準備委員会
(2007年12月10日現在)の会員構成は、

公立病院勤務医27%、
民間病院勤務医37%、
研究医14%、
開業医20%


研究医っていうのは、大学病院で働く医師
って事です、ほとんどの場合は。

助教(助手)、講師、準教授(助教授)、教授
っていう、いわゆる「スタッフ」と言われる、
大学から正式に雇われる人は。
大学の教員」として、学校の先生と
同じ給料
を、正式にもらえます。

学校の先生と同じだから、
他の医師よりはかなり安いです。

そして、それ以外の研究生っていうのは、
大学で研究をする医師なんですけど。
正職員ではなく「日雇いの臨時職員」。
で、日給は数千円
高いところでも、一万ちょっと。

土日にどんなに働いても、研究しても、
当然その分の給料がもらえるわけないから。
月給は十数万円
しかもそれだけだと、食っていくのも
大変だから、それ以外にアルバイトに行きます。

日給」なので、アルバイトに行った日は、
大学では働いていないって事になるので。
その分の給料は、きっちり減らされます

大学院生は、年間50数万円の授業料を払って、
ほとんどの大学では無給です。

そういうのが、研究医っていう人です。

詳しく知らないけど。
大学に正式に雇われている、いわゆる「スタッフ
って人は、かなり少ないと思いますよ。

あ、これを見ると、勤務医64%っすね(笑)
15~16%じゃなくって。
1/13の段階では、50~60%だと思います。


そんで、平均43歳っていうのは、
医者の平均年齢と同じくらいか、ちょっと若い位。

医者って、大学の医学部6年だし。
半分くらいは、浪人しているとか、
他の大学出てから医学部入り直したとか。
社会人経験してから、医学部に入ったとか。
そんな人が多いので。

だいたい、医学部の卒業時の平均年齢は25歳くらい
そんで、本田先生の講演でも出ていたけど。
日本って、医者が80歳になっても、
90歳になっても働いている国なんですよ。

当然、年をとったら、医療ミスとかも増えるから。
他の先進国では、定年にしているんだけどね。
医者の数が少ないから、その年になっても、
引退できないんですよ、日本では。

だから、平均年齢43歳っていうのは、
比較的若い、って事です。


朝日新聞の報道は、もっとシンプル。


勤務医中心の医師会設立へ 
過重労働などで問題提起

病院の勤務医を中心にした医師
全国医師連盟」(仮称)が、今年夏までに誕生する。

13日、東京都内で開かれた
総決起集会で設立を決めた。
全国的な医師不足と勤務医の過重労働が
社会問題になる中、開業医が中心の
日本医師会とは異なる立場から問題提起していく考えだ。

総決起集会には医師約110人が参加した。
参加を表明しているのは全国各地の約420人。
勤務医や研究医が約8割を占め、平均年齢は43歳。
医療現場で労働基準法が守られるよう、
連盟を母体に個人で加入できる労働組合をつくる。
国民への医療情報の発信、医療紛争の解決に向けた
取り組みなども検討していく。


「2008年01月14日:朝日新聞」

やっぱりというか、何というか。
やはり、一番大事な「理念」が、
正確に伝わっていないかな、という気がします。

これじゃあ、単に「勤務医の為の新しい団体」。
っていう感じに思われていますよね。
勤務医が自分たちの待遇を改善する為の団体
って思われていませんかねー、この書き方。
悪意があるわけではないのかもしれませんが。

でも、こう思われても不思議はないので。
ちょっと、もう少し考えなきゃいけないと思いますよ。
マスコミへの伝え方を。




全国医師連盟 設立準備委員会」の
理念」っていうのは、これ。


宣言 患者医師が病と闘う最善の医療環境を目指します。

人間は十人十色、千差万別です。
そんな人間が病気になれば同じ病名でも
多彩な症状が表れます。
そんな人々を診察し治療するのが医師です。
医師が診療を行なうのに欠かせない条件に
集中力が挙げられます。
患者の病態を診断し、正しい治療を行なうためには
高度の集中力が必要となります。

集中力を高め保ち続けるためには、
心身ともに十全である必要があります。
しかし現状は、多くの医師
寝不足でもうろう状態であるとか、
積み重なる仕事でに疲労が蓄積しており、
この様な状態では望ましい診療は行なえません。

これは医師にとって望ましくないだけではなく、
医療を受ける患者にとっても望ましいものではありません。
我々は、この悪化した医療環境の状態の改善を目指します。

「全国医師連盟、檄文と理念」


これを、もっと全面に出して行かないと
良い事書いているんだから、
一番大事な事を、HPの下の方に書いたら、
やっぱり正しく理解されませんよ。

患者の為に。
患者に良い治療をする為には、
医師が最高のパフォーマンスを保たないと
それができないんだ。
っていう、前提があって。

その為に医師の労働環境を改善する、とか。
政府の医療費削減政策には反対する、とか。
正しい情報を発信して、国民の皆さんにも
医療現場とか病気の事を知って貰う
、とか。

あくまでも、最初にあるのは「患者の為に
っていう事なんですよ。
理念は。

その為には、具体的医師の環境なども改善が必要だ、
っていう事なんですが。

朝日新聞産経新聞を見ると、やはり
少し間違った解釈をされているようです。
好意的なキャリアブレインでさえ、
弱冠ずれているような感じに見えます。

そこら辺の修正は必要なのかな、って思いました。


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→ 医療の限界
小松 秀樹 (著)

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小松 秀樹 (著)

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本田 宏 (著)
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この記事へのコメント
Dr.I様

 いよいよ動き出しましたね、「全国医師連盟」。
 この団体が、ただ「医師の待遇改善」のための団体ではなく、「国民の健康と福祉を守る」団体である、その理念の通りの団体となっていくことを願います。
Lich[URL] 2008/01/15(火) 07:55 [EDIT]
walk side by side
”患者さんの為に”医師が元気でなければ…ここでずーっと先駆けて今まで言ってきた理想がやっと、まだ小さな芽ではあるけど現実の物になったのね♪ヤッタ(^-^)v

基本理念も難しい言葉なんて使ってなくて、易しいというより優しい言葉が胸にジーンと来て、「そぅだよぉ…」と涙がポロリ(゜ーÅ)
確かにHP開いたとたんにババンとでっかく有った方がいいかも!
何回もHP見てたけど今回初めて知りまちた☆

スゴイ人って…話も面白いのね。小松先生も本田先生も大切なお話を興味深く楽しくお話されたようで、すばらしいでちゅ◎

外に向かっても、そういうシンプルな言葉とピュアな気持ちを伝えていけば、きっと医師と患者の夢が叶っていくと思いまchu!
盛会でよかった♪お疲れ様でちた!
エビ[URL] 2008/01/15(火) 09:42 [EDIT]
参加してよかった・・・
私も参加いたしました。

なかなか盛会でしたね。
けっこういろいろな先生がいらしていたようでしたが、
その日、所用があったもので、
すぐに失礼してしまいました。

まだ、これからの組織であり、
人数も日医と比べ物にならない状況ではありますが、
医療の将来を憂いながら、
既存の組織に失望感を抱いている医師は多いはず。

勢いにのって、大きなうねりになって欲しいです。

私も微力ながら、協力していきたいと思います。
y-gami[URL] 2008/01/15(火) 18:37 [EDIT]
>Lichさん
そうなんですよね。
今の感じだと、何がやりたいのか、あまりはっきりしないので。
期待はしているんですが、どうなりますかねー。
Dr. I[URL] 2008/01/15(火) 20:26 [EDIT]
>エビさん
総会は成功して良かったですよ。
他のマスコミ関係者がどう思ったか。
どう伝わったか、っていうのは中にいるとわかりにくいので。
今後、どうなるのでしょうかね。

Dr. I[URL] 2008/01/15(火) 20:27 [EDIT]
>y-gami先生
えっ。
先生も行かれたのですか。
ちょっとだけでも、お話ししたかったのですが。
残念でした。

今は、勢いがありますからね。
今のうちに、きちんとした形になってくれれば良いのですが。
Dr. I[URL] 2008/01/15(火) 20:29 [EDIT]
私も参加して参りました。

医療従事者を志したときの気持ちを持ち続けることができる状況になるよう、協力していきたいと思います。
風はば[URL] 2008/01/15(火) 21:45 [EDIT]
>風はば先生
たくさん人来てましたもんねー。
あんまりたくさんいて、誰が来てるかさっぱりわかんなかったですよね。

私も出来る限り、協力していきたいです。
Dr. I[URL] 2008/01/15(火) 23:03 [EDIT]
定年制か・・・
どの業界も医療業界は岐路に立たされていますね。
すべての医師に定年を儲けるのもどうかと思いますが
医師や薬剤師免許の更新制度は必要だと思いますね。
やな社長[URL] 2008/01/16(水) 09:01 [EDIT]
>やな社長さん
ただでさえ、医師の数少ないのに。
年齢だけで辞められたら、もっと困るので。
現時点では、無理だと思いますけどねー。

私も、医師免許更新に関しては、特に反対するわけではありません。
ただ、やるならきちんとやって欲しいです。
Dr. I[URL] 2008/01/16(水) 19:51 [EDIT]

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ポンコツ研究日記~悩める産婦人科医のブログ~ | 2008/01/15(火) 17:14
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