現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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受け入れ拒否?のとき、現場は
受け入れ拒否」という言葉の使い方は違う。
「受け入れ不可能」「受け入れ不能」なんだ。
って事は、このブログでもさんざん言ってきましたが。

参照;「患者受け入れ不可能」

やっぱり、今でもこの言葉が使われ続けてますよね。
いろんなマスメディアで。

まあ「たらい回し」っていう言葉は,
一部の新聞以外は今でも使ってますけど。
基本的には大手新聞では使わなくなったから、
まだましなのかもしれませんが。

やっぱり「受け入れ拒否」っていうのも、問題ありますよね。

医師であれば、間違っているっていう事はわかるのですが。
医師以外の方でも、これに対してきちんと分析した
記事を書いた方がおられましたので。
ちょっと紹介しますね。

ネタ元は、伊関友伸先生『伊関友伸のブログ』からです。
いつもお世話になっております。



朝日新聞千葉版の東金「受け入れ拒否14回」
報道に地元NPOが事実を分析した
問題提起の機関紙を臨時発行


朝日新聞千葉版の東金市内の医療機関
受け入れ拒否14回」報道に、地元NPO
地域医療を育てる会が事実を分析した
問題提起の機関紙( 「CLOVER(クローバー)」 第31号)
を臨時発行している。

機関紙は、地域に全戸配布されたという。

問題の発端となった報道は次のもの。

(引用開始)


受け入れ拒否14回、男性死亡 千葉・東金

千葉県東金市で昨年8月、男性(当時56)が
自宅で心肺停止状態になった後、
のべ14回、搬送受け入れを断られていたことが分かった。
119番通報から約1時間後に搬送されたが、死亡した。
病院が受け入れを断ったのは
医師が診察中」などの理由だったという。

同県山武郡市広域行政組合消防本部などによると、
昨年8月23日、男性が自宅で倒れているのを
見つけた妻(56)が午後4時58分に119番通報。
約10分後、救急救命士ら3人が現場に到着した。

消防本部は、近くの県立東金病院や、
山武市の国保成東病院など計10病院
のべ14回搬送受け入れを求めたが、
「心肺停止の患者には対応できない」
医師が他の患者の診察中」などと断られた。
その間、ドクターヘリにも一度要請したが断られた。

同日午後5時37分、最後の16回目の要請で
同県茂原市の公立長生病院への搬送が決まった。
それから約20分後に病院に到着したが、
まもなく死亡が確認された。
死因は脳内出血だった。

同消防本部では、倒れていたのを発見するまでに
時間がたっていたことなどもあり、
「搬送時間と死亡との因果関係は分からない」としている。

朝日新聞 2008年02月09日

(引用終わり)



地元NPO「地域医療を育てる会」が事実を分析した
問題提起の機関紙( 「CLOVER(クローバー)」 第31号)です。




住民から、取材の不十分な新聞記事を鵜呑みにせず、
このようなアピールがなされたことは、
とても素晴らしいと考える。



地域医療を育てる会 「CLOVER(クローバー)」 第31号
発行 N P O 法人地域医療を育てる会

http://www.geocities.jp/haruefjmt/clover-31.pdf


受け入れ拒否?そのとき、現場は・・・

心肺停止など重篤な患者さんでさえ、
なかなか救急搬送先が決まらない
という事態が頻繁に話題になります。

搬送先が決まるまでの交渉回数が
よく取り上げられていますが、実際に患者
受け入れる医療機関の実情は
どのようになっているのでしょうか。

心肺停止の患者にかかる医療スタッフ

心肺停止(しんぱいていし)とは、
心臓と呼吸が止まった状態のことです。
心臓の動きが先に止まる場合と、
肺の動き(呼吸)が先に止まる場合とがありますが、
いずれの場合でも放置しておけば
必ず「心肺停止状態」となります。
しかし蘇生の可能性が残されているため
死亡状態ではありません。

脳に血が行かなくなるため、手遅れになると
たとえ命は助かっても脳死状態になる危険があるので、
この状態に陥った患者に対しては、
人工呼吸や心臓マッサージなど
迅速な救命措置が必要です。

このように、一刻を争う状態の患者さんに
どのような医療が必要かということですが、
まず、施設・設備の点から心肺停止の
原因となる疾患(脳内出血や、心筋梗塞など)の
治療ができるところでなくてはなりません。

また、手当てをする医師ですが、
脳や心臓の手術ができる医師のほかに、
救命のために二名の医師
三時間程度対応をする必要があります。

仮に、こうした患者さんを二十四時間体制で
いつでも受け入れるとすると、救急専門の医師
最低でも十名必要になります。

こうした専門医と体制のある病院は、
残念ながら今の山武地域にはありません。
昨年八月二十三日に脳内出血で
心肺停止状態になった患者さんの
受け入れ先がなかなか決まらなかったことがありましたが、
この当時の東金病院・成東病院では、
救急当番・当直医が次々に来院する
患者の治療にあたっていました(表1参照)。

とにかく「診てくれるだけでいい」?

救急車に乗った人は
「とにかく診てくれるだけでもいいから、
受け入れてほしい」と思うもの。
ところが、受け入れる医療機関が、限られた
スタッフや施設の中で最善を尽くしても、
不幸な結末に終わる場合も少なくありません。

そのときに「診てもらえただけでありがたい」
と思う人と「なぜ、十分な受け入れ態勢がない中で
患者を引き受けたのか。無責任ではないか」
医療機関を攻撃する人とがあります。

悲しいことに、昨今では、医療関係者が
「このケースで訴えられるのなら、重篤な患者さんは
それなりの体制のあるところで受け入れたほうがよい」
と考えるような訴訟・トラブルも起こっています。

不満を言うのは簡単だけど

突き詰めていくと、「医師不足」が
原因で起きている悲しい出来事。
私たちの安心のためには、病院で働く医師
もっと増えることが必要です。

医師が少ない」「すぐに診てもらえない」
と不安になり、不満を言うのは簡単です。

しかし、医師が少ない地域では、そこで働く
医師の方々にも大変な負担がかかっていることも事実。
負担が大変な上に、不満やクレームしか言わない
患者ばかりの地域では、今がんばっている医師
立ち去り、医師不足がさらに深刻化することもあるのです。


私たちがすぐにできることは・・・

①近くの診療所などをかかりつけ医にする

病院でなくても診療できる軽症の場合は、
診療所に行きましょう。


②昼間のうちに受診する

「夜のほうがすいているから来た」
「昼間は忙しかったから来た」という患者さんがいます。

ところが、夜間は検査スタッフが不在であったり、
医師・看護師の数も少ないのです。
昼間と同じ医療を受けることはできません。
医師がいても、検査技師がいなければ、
診断がつけられないのです)また、
「当直」をしている医師を頻繁に起こすことは
医師の過労を招きます。
(「当直」は労働時間にカウントされないのです。
当直の翌朝は、通常の勤務につく医師がほとんどです)


③健康管理に注意する

自分と家族のために必要なことですが、
医師不足が深刻な今は、
地域のためにも健康管理が必要です。



(表1)平成19年8月23日(木)
午後5時前後の当直医の勤務状況について

東金病院(午後の内科系救急当番:内科医1名)
 午後5時から5時15分にかけて、2名の緊急入院。
 女性:発熱・発疹。ウィルス感染症の疑いで入院。
 翌日超重症の皮膚病と診断、旭中央病院に転送、救命。
 女性:著しい高血糖のため緊急入院。
 男性:腹痛・頭痛。救急外来で点滴。午後4時40分帰宅。
 女性:頭痛・嘔吐。救急外来で点滴。午後6時帰宅。

成東病院(当直医:外科医1名)
 午後5時10分ごろ 手術が終わった患者の処置中。
(このとき、救急依頼第一報)
 大腸がん患者が来院。
 午後5時30分 救急依頼第二報
CTスキャンが故障中のため、診断できず 受け入れ不可。
 頭痛・めまいの患者救急車にて来院 旭中央病院へ転送。
 このあと救急車3台受け入れ 診察。


引用:『朝日新聞千葉版の東金「受け入れ拒否14回」
報道に地元NPOが事実を分析した
問題提起の機関紙を臨時発行』




お亡くなりになられた方には、
深く哀悼の意を表させていただきます。

地元の話によると、この記事を書いた記者は、
病院に一切取材をせず、記事を書いたそうですよ。


一方からしか話を聞かずに、推測で物を書いてはいけない。
っていうのは、マスメディアの基本だと思うのですが。
大手新聞社が、全国紙で平気でそれをやって、
Yahooのトップページでも、大々的に流れる。

やはり、これはおかしいのではないでしょうか。


医師以外の方達から、こういう意見が出る、
っていう事は非常に重要な事だと思いますね。


このブログでも、以前から書いている通り、
日本では、患者当たりの医師の数が足りません。
だから、医師は常に過労状態です。

そのためにの根本的な解決策としては、
医師の数を増やすって事と、
患者の数を減らすって事しかありません。


医師の仕事を減らす為に、事務的な仕事など、
医師以外にできる仕事は、別の人間がやる
って事も必要ですけどね。

でも、基本的には、
医師の数を増やして、患者の数を減らす。

これしかありません。


政府もやっと医師不足は認めたのですが。
現在、政府が行おうとしているのは、
後期高齢者医療制度など。
年齢で人間を区切って、患者を制限する。
っていうやり方です。

これは問題があると思います。

私も患者の数を制限する必要はあると思いますが。
それは、「軽症の患者」を制限すべきではないでしょうか

参照;「時間外重症患者割引制度」

お金が少ない人は、病院に来させない。
とか、高齢者は病院に来させない、とか。
年齢金銭で区別するよりは、
病気の重症度で制限をするべきだと思います。

当然、医師の数を増やす、っていうのもあってですけど。


この機関誌でも、患者から今すぐできる事として、
軽症の場合は病院ではなくて、診療所に行く。
とか、夜間は基本的には病院に行かない。
とか、健康管理に注意する。

等、非常に的を射た内容になっていると思います。


プロであるマスコミが、きちんとした取材もせずに、
ただの感情でもって、「受け入れ拒否」って、記事を書く。

一方、ただの素人が、それなりに取材をして、
きちんと分析をして、患者側の問題点もきちんと書いて。
そして、機関誌を発行する。


既存のマスコミにも、見習ってもらいたいところですね。


新聞やテレビというのは、影響力が非常に大きいので。
そこらへんは、もっと自覚して貰いたいです。

ただのマスコミ批判はしたくないのですが。
これを比較しちゃうと、やっぱり問題ありますねー。


大学病院について知りたい人は、こちらから!
→ 『「大学病院のうそ」 ~現役医師(Dr. I)が暴露する、
大学病院の秘密』


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この記事へのコメント
マスコミの取材能力は……
Dr.I様>

 最近のマスコミは、速報性を重視するあまり、無責任な記事が目立ちますね。
 マスコミの最も大事な仕事である「情報を整理・分析する」という役割を、もう一度考え直して欲しいものです。
Lich[URL] 2008/02/16(土) 00:44 [EDIT]
いつも読ませていただいています。
救急の受け入れを断っているのだから「拒否」と使われるのは仕方ないことだと思います。
問題は拒否した理由、その正当性が詳しく書かれていないことではないのでしょうか。
医者が診療中⇒救急で運ばれてくるほうが重態のはずだからそっちを見るべきだ。心肺停止の患者には対応できない⇒そんなので救急病院なんかやるな。のように連想させてしまうこともあるのに説明が足りなすぎです。
引用にしている機関紙のように当時の状況、その正当性がきちんと載っていれば「不可能」とオブラートで包んで書くよりもはっきり「拒否」と書かれているほうが現実を直視しやすいと自分は思います。見通しがよくないとか、来期は予算達成が困難、よりもはっきり「来期は赤字です、覚悟してください」といわれたほうが・・・。まぁ、とり方は人それぞれですので難しいです。
木霊[URL] 2008/02/16(土) 00:55 [EDIT]
I struck upon a good idea.
新聞の見出しとして使えそう&受け入れてあげたいけど手一杯な感じが伝わる表現を咳コンコンしながら思いついたの!
コレー、→『受け入れ出来ず』どう?ホメて…!

NPO法人地域医療を育てる会さん…素晴らしいですね。
私たちが今すぐ出来ること①~③もよく解ってらっしゃると思いまちゅ♪

後期高齢者医療制度のポスターはこないだから診て戴いてる呼吸器内科にも貼ってあるけど、ニコニコしたお年寄りのイラストでニコニコしたいのは政府でしょお年寄りはシクシクでしょと思いまちたアプー。
エビ[URL] 2008/02/16(土) 09:15 [EDIT]
>Lichさん
単発で良い報道もあるんですけど。
やっぱり、スピード重視なのか、いい加減ですね。
残念です。
Dr.I[URL] 2008/02/16(土) 16:26 [EDIT]
>木霊さん
やっぱり、「拒否」っていう言葉には、できるのに敢えてやらなかった。
っていうイメージが強いですからね。
あとからいくら説明しても、最初の印象が強いので。
私は不適切だと思いますよ。

Dr.I[URL] 2008/02/16(土) 16:27 [EDIT]
>エビさん
受け入れ出来ず、受け入れ出来ない。
っていう表現が、適切なのかな、って思いますよ、私も。
Dr.I[URL] 2008/02/16(土) 16:28 [EDIT]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[] 2008/02/17(日) 09:56 [EDIT]
はじめまして
はじめまして。TBサンクスです。これからもよろしくお願いします。
3番目の落書き[URL] 2008/02/24(日) 13:28 [EDIT]
>3番目の落書きさん
はじめまして。
こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します。
Dr.I[URL] 2008/02/24(日) 18:08 [EDIT]

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怒りのクローバー31号、Dr.Iさんのブログでも取り上げていただきました。 ありがとうございます。 http://kenkoubyoukinashi.blog36.fc2.com/blog-entry-292.html  [つづきを読む]
web CLOVER | 2008/02/16(土) 10:37
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