現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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救急受け入れベッドがない
数ヶ月前まで、「たらい回し」という言葉が
はやっていましたよね。
救急患者病院に運ぼうとしても、
患者を受け入れる事ができる病院が少ない、
という問題ですね、これ。

まあ、最近はまともなメディアは「たらい回し
という言葉は使われなくなりましたけどね。
患者受け入れ不能」とか、「患者受け入れ困難
とか、そういう言葉が正しいと思います。

ちなみに、厚生労働省が使っているのは、
電話での転送依頼」ですね。
そのまんまですけど、確かに正確な記述ですわ。

この「たらい回し」、「患者受け入れ不能」、
救急車からの電話での転送依頼
の原因として、大きいのが、
ベッドが満床、医者が処置中、専門医がいない。
この3つです。

医者が処置中というのは、
単純に医師の数が少ないという問題。
それに加えて、時間外の患者
救急車を使って来る患者の数が増えた
っていうのが原因です。

専門医がいない、っていうのは、
医療訴訟が増えたという事と、
患者側の要求が高まったから
というのが原因です。

専門医がいないのに患者を受け入れて
適切な治療ができなかったら困るから。
だから患者を受けるのを控えよう、
というように医療者側が考えて、
医師や病院患者を受け入れる事が
できなくなったんです。


それと、ベッドが満床という問題。
これは、単純に国全体のベッド数が足りないのが
問題かって言われると、そうではありません

それに関して、詳しく書いてある記事を見つけたので、
ここでも紹介しますね。

ネタ元は、「勤務医 開業つれづれ日記・2」の
『■”ふん詰まり”満床 「救急受け入れ「ベッドがない」(1)
~特集・救急医療現場の悲鳴」』

です。
いつもお世話になっております。



救急受け入れ「ベッドがない」(1)
~特集・救急医療現場の悲鳴

療養病床削減の影響により、救命センターで
患者を受け入れられない事態が起きている。

国が医療費抑制のために進めている
療養病床削減が、受け入れ不能などに混迷する
今の救急医療現場に与えている影響とは何なのか。

市民の命を支える救命救急センターや二次救急
救急隊に何が起きているのか。
被災経験が教える地域の在り方とは―。

きょうから4回シリーズで、救急医療現場の
実態について特集します。
(熊田梨恵)


■療養病床削減が救命センターからベッドを消す

人口93万人の新潟医療圏を支える
救急医療の最後のとりで、新潟市民病院(660床)。

救命救急・循環器病・脳卒中センターや
周産期母子総合医療センターを備え、
年間約1万6,000件の救急患者を受け入れる
三次救急医療機関だ。

同院の広瀬保夫救命救急センター副部長は
患者を診たいのに、ベッドがないから
新しい救急患者を受け入れられない」と、
苦渋の表情をにじませた。


橋本幸平さん(78歳、仮名)は、
平均在院日数が14.1日(2007年10月現在)の
同院に、2年以上入院している。

橋本さんは道路を横断中に車にはねられ、
同院に搬送されて一命を取り留めたものの、
頸椎(けいつい)を骨折して寝たきりの状態になった。

気管切開して人工呼吸器を使用、
経管栄養となり医療区分は最重度の状態だ。
橋本さんは住所がなく、唯一の家族である
息子とも関係は断絶状態。
未収金などのリスクが懸念され、
受け入れ先がいまだに見つからない。

「40日や50日入院している患者も最近は多い」
と、広瀬医師は漏らす。


「今まで転院先になっていた療養型の病院が、
受け入れてくれなくなった」と、
医療ソーシャルワーカーの星龍実さんは話す。

これまで同院で急性期の治療を終えた
患者の受け皿となってきた病院が、
相次いで病棟閉鎖や病床削減に追い込まれたり、
介護保険適用の施設に転換したりしたため、
同院のベッドは受け入れ先の決まらない
患者で埋まるようになってきた。

新潟県内の療養病床は5,378床
(医療型3,068床、介護型2,310床、
08年4月1日現在)で、
5年前に比べ131床減っている。

背景には、国が進める療養病床削減政策がある。
国は年間1兆円ずつ膨張する医療費を
抑制するため、受け入れ先がないために
入院が長期化するなどのいわゆる
「社会的入院」の多い療養病床を
削減する方針を打ち出しており、
12年度末までに現在36万床ある
療養病床を20万床までに削減し、
介護型は全廃する考えだ。


このため、06年度の診療報酬改定で、
医療依存度やADLで入院基本料に
差をつける療養病棟入院基本料を創設。

医療依存度の低い患者を介護保険施設などに
移らせるため、中心静脈栄養(IVH)など
最も重度の患者と軽度の患者とで、
診療報酬に約1,000点の差をつけた。

このため、経営が悪化して病床の転換や
閉鎖を迫られる施設が相次ぎ、
残る療養病床も医療区分の低い患者では
受け入れない施設が増えている。

現在では、診療報酬の低い軽度の患者では
受け入れ先がほとんどないのが実情だ。
回復期リハビリテーション病棟も
診療報酬改定が影響して、在宅復帰の
見込みが少ない患者の受け入れには消極的だ。

療養病床が老健に転換してベッド数自体が
確保されていたとしても、老健での日常的な医療は
介護保険施設サービス費に包括されるため、
投薬が減ったり、医療依存度の高い人を
敬遠したりするなどの問題も指摘され、
「療養病床でなければ、慢性期を担うのは難しい」
との声が現場から上がっている。


こうした状況から、同院に救急搬送された患者
急性期治療を終え、一般病棟に移っても、
慢性期の受け入れ先がないために
入院が長引く患者が増え、新しい救急患者
受け入れられない状況が常態化している。

1999年は3.8日だった救命救急センターの
平均在院日数も、今では約1日延びた。

このため、最後のとりでの三次救急である同院も、
救急隊の受け入れ要請を「満床」を理由に
断らざるを得ないことが近年増えてきた。

患者を診たくても、受け入れられないのが
われわれの最大のストレス。
せめてベッドの回転が良くなる仕組みがあれば」
と、広瀬医師は訴える。

特に橋本さんのように、住所不定で無収入のほか、
老老介護や独り暮らしなど、在宅復帰や
家族との関係が難しいケースでは、
受け入れ側が難色を示す。

広瀬医師は「高齢化とともにそういう人が
増えているので、なおさら受け入れ先を
探すのが難しいが、救急で運ばれてきた
患者は断れない」と話す。

入院中に成年後見制度を利用するケースが
昨年は3回あるなど、搬送患者
福祉的な支援のため、入院期間が延びることもある。
広瀬医師も「今後、団塊世代が高齢化すると、
大量の医療・介護難民が出るのではないか」
と懸念する。


こうした状況は、新潟にとどまらない。
東京では療養病床が足りないため、
近隣の県に慢性期の患者を送る
ケースが増えている。

長野県内で、病院や特養、老健、
有料老人ホームなどを展開している
松本協立病院の医療ソーシャルワーカー、
赤坂律子さんも「地域で対応できるように
さまざまな施設を備え、何とか対応してきたが、
最近は急性期からの受け入れ先が
足りなくなってきた。
制度そのものがおかしいとしか思えない」
と指摘する。

昭和大学病院の有賀徹副院長
(医学部救急医学教授)は「日本の縮図」と、
新潟県の現状を指摘する。

救急医療に携わる医師は後方ベッドの確保を
第一に考えてきた。救急患者
出口の議論をせずに、入り口の話だけをする
今の政策には意味がない。
今にどこの病院ベッドもパンクしてしまう」と語る。

「国はまず、医療全体のあるべき姿を描き、
国民に理解を求めることから始めなければ。
今のような行き当たりばったりの
政策ではいけない」と訴える。


『2008/04/15:キャリアブレイン』



このブログでも、以前から「医療崩壊
の原因は政策によるものが大きい。
具体的には、医療費抑制政策医師数抑制政策
などの政策によるものだから。
医療崩壊」というよりは「医療破壊
という言葉の方がふさわしい。
という話はしていましたが。

細かい政策や診療報酬の問題は、
他にもたくさんあります。

そのうちの1つが、急性期病院じゃないと、
利益が上がらない
という、診療報酬上の問題です。

都会の病院救急病院だと、ベッド利用率
常に100%に近い状態の所も多いですが。
地方に行けば、70%以下
もっと言えば、ベッド利用率が50%以下
病院もたくさんあります。

国のベッド数全体が足りない、
という問題ではないのですよ



診療報酬がどんどん削減されて、
大きな病院でも、ベッド利用率が100%近い
状態でどんどん患者を入れて。
そいで、短期間でどんどん患者
退院させていかないと赤字になる、
というくらい診療報酬を削減してしまった。
という診療報酬全体の問題もあるのですが。

それと、この記事にも書いてあるように、
療養病床を削減した」、という問題もあります。

病院には、救急患者のような重症の
患者
を中心に扱う、急性期病院
それと、急性期での濃厚な治療を終わって、
リハビリや慢性期の治療を行う慢性期の病院
言い方を変えれば、リハビリ病院、療養型病院
の2つのタイプがあります。

これは、どっちが良いとか悪いとか、
そういう意味ではありません。

でも、急性期病院というのは、たくさんの
医師や看護師の数
が必要です。
重症の患者が多いので、それは当然ですよね。

でも、今の診療報酬の体系では、
そんなにたくさんの医師や看護師の数がいなくても、
急性期病院」、という事にしなければ、
病院自体がやっていけないようになっています。

医師の数も看護師の数もさほど多くない。
でも、療養型、リハビリの病院では
病院が大赤字になってしまって経営が成り立たない。

だから、本来は急性期病院としてはやっていけない、
中小の病院でも、「なんちゃって急性期病院」、
「なんちゃって救急病院
という事にして、
急性期の患者救急、重症の患者を中心に
扱うようになってしまっています。

その結果、慢性期の患者を受け入れる病院がなくて、
本来なら急性期の治療が終わって慢性期の病院に行って、
慢性期の治療を行われるはずの患者が、
急性期病院に残る事になってしう。
だから、急性期の病院救急患者
受け入れる病院が常に満床
で、
たらい回し」、「患者受け入れ不能」
という状況になってしまいます。

急性期の患者救急患者を受け入れるのは、
本来の急性期病院に任せて。
急性期病院が実際には無理な病院は、
療養型、リハビリの病院に特化して。
棲み分ける」という事が大事なんですよ、本当は。

そして、急性期の治療が終わったら、
速やかに慢性期の病院患者は転院する
そして、急性期病院は次の重症患者
救急患者に備えてベッドを空けておく

そういう状況にできれば、「ベッドが満床」
たらい回し」、「患者受け入れ困難」
という事も減ると思います。

それに、最初から慢性期の病院、リハビリ病院
という事で救急患者を受け入れることは出来ない
という事を標榜しておけば、救急から
救急患者の搬入を依頼される事もないでしょうから。
そういう意味でも、「たらい回し」、
患者受け入れ不能」
は減ると思います。

世間一般でも、政治家や役人の討論でも、
たらい回し」のような自体が起きて、
救急を中心として医療が崩壊しているから。
なんとかしないといけない。

っていう事はわかっているはずなんですが。
今の政策は、全く逆の方向に行っています。

本来であれば、病院急性期病院と、
慢性期の病院とで棲み分ける。

という意味で、療養型の病院をむしろ増やす
そして、性期の病院でも赤字にならないような、
診療報酬の体系を作る。

という事が必要なはずなのですが。

>12年度末までに現在36万床ある
療養病床を20万床までに削減し、
介護型は全廃する考えだ。


という誤った方向に行こうとしています。

しかも、療養型病床の替わりになる
介護施設が整ったら、という条件ではなく。
今は病院にいる患者があぶれるなんて事は、
一切考えずに、医療費を削減する
という目的の為だけに、療養型病床を削減し、
介護型は全廃する方針です。

無駄な道路や、役人の天下り先の給料とか
補助金をたくさん使ったために、
増え続けた国の借金を減らす為に。
医療費を削減して、患者を見殺しにしようとしています。

こんな事で良いんでしょうかねー。


それにしても、これもキャリアブレインですか。
キャリアブレイン良い記事書くねー。

『救急患者、受け入れ困難率』
の記事に出ていた
「救命センターへの受入照会、最大63回」、

キャリアブレインの記事なんですが。
実は、この記事も前の記事も、書いたのは、
熊田梨恵さんという記者なんですよ。

この熊田梨恵記者とは、お会いした事があります。
偶然なのか必然なのかはわかりませんけどね。

良い記事を書いたり良い番組を作ったりする人は、
同じ様な所に集まるんですねー。


医者のホンネが知りたい人は、こちらから!
→ 『医者のホンネが丸わかり!(改)』

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この記事へのコメント
同感です
 実際療養病床を持つ開業医です。現在の、急性期病院がどうなんか実情を緻密に把握しきってはいませんが、恐らく、療養は必要だが、高度の医療器械・訓練されたスタッフが必要とされる医療依存度の方は少なかろうと思います。そういう、急性期の治療を終えた方には、療養することが目的の居場所へ、適所へうつっていただくことで、急性期病院の急性期病院としての役割を担うことと、医師の疲弊問題やらも多少は解決になるのではないかと思っています。平均在院日数短縮にも役立つでしょう。
 しかし、当地では、急性期病院と介護保険施設の中間になるものがウチくらいなんですね。人口13万の市ですが、19床じゃ足りないでしょう。他は療養病床から介護保険施設へ転換してしまった。急性期病院をバックアップする慢性期病院や介護保険施設がなければ地域医療はなりたたないと思っています。
 ですが、制約が多い・・・ 検査・薬のマルメ、不当に安い診療報酬で、それこそ、ワーファリンを飲んでいて月1でPTINRを測定するとかですね、インスリンの自己注射をするとかですね、血糖3検とかですね、吸引する消耗品も特定医療材料以外はマルメですから、経営上の問題で受けれないときが本当によくあります。医師としてのモラルと経営者としての判断の迫間でいつも板ばさみです。
 せめて、薬代くらいは請求できるようにしていただけると、肺炎や尿路感染症で急性期へ搬送しなくて済むのですが・・。老人保健施設でも、1割負担額を施設が払うのではなく、10割を施設が払うのですから、薬代の問題はけっこう大きい問題なのです。
 そして、介護員が行ってもよいとされている行為を拡大してもらえるといいですね。喀痰吸引とインスリン自己注射は本来はしてはいけないことになってますから。在宅で素人がやっていることをやってはいけないというルールがまたまた大きなハードルになっています。
りん[URL] 2008/04/17(木) 09:26 [EDIT]
結局は……
Dr.I様>
 結局医療費と言う「減らすことが困難な」支出を無理矢理減らして、道路建設という「減らすことが容易な」(もっとも、地方の「道路建設がないと家っていけない」土建業者を税金を垂れ流して育成してきたのですから、無理に削れば失業者が出かねないですが)分野に重点投資するようなおかしなことをしているのが諸悪の根源でしょう。物事には優先順位があるわけで、道路が全く不必要ではないにしろ、「人命より優先順位が高い」とは思えないのですが、厚生労働省と財布の紐を握っている財務省は、優先順位の付け方がどうも頓珍漢ですね(嘆息)
Lich[URL] 2008/04/17(木) 14:01 [EDIT]
>りん先生
結局、行政が、何が必要かって事がわかってないのが問題なんですよね。
それもこれも、現場をわかっていない人間が、机上の空論で政策を決めるからなんですわ。
Dr.I[URL] 2008/04/17(木) 23:19 [EDIT]
>Lichさん
やっぱり、声も大きい方に行くというか。
医療って、直接的なメリットがある人が少ないから。
あんまり、声を上げないんですよね。
命に関わるから、本当は一番大事な事なんですが。
なんで、それをわからないのか不思議です。
Dr.I[URL] 2008/04/17(木) 23:21 [EDIT]
ありがとうございます
先生のブログで取り上げて頂き、本当にありがとうございますm(__)m

今回の取材で相当いろんな医療機関を当たりましたが中には「こうなったのはマスコミのせいなんだ!」と言ってお叱りを受けたこともあり、そう言われるのも致し方ないと思い、しかし如何ともしがたい思いでした…。

でも、なんとかこの現状をエピソードベースではなく「記事」にして多くの方に伝えることができればと思ってきました。
それをこうしてお褒め頂けると、本当に頑張ってよかったと、報われます。

現場の先生方にそう言ってもらえることが、私達の何よりの励みです。
これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
リエ[URL] 2008/04/18(金) 01:47 [EDIT]
>リエさん
いえいえ。
誰が書いたとか、そういうの関係なく良いものは良いっていう事は大事だと思うので。
これからも、頑張って下さい。
Dr.I[URL] 2008/04/20(日) 21:49 [EDIT]

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