現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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舛添厚労大臣のインタビュー
いつもお世話になっている、川口恭さんの
『ロハス・メディカルブログ』に、
舛添要一厚生労働大臣のインタビューが
書いてありましたよ!

舛添厚労大臣に関しては、医師の中からは
賛否両論あると思いますけど。
私は、良くやっている方だと思います。

100%全部認める、って事はもちろんないけど。
日本の医療崩壊の原因で、最も大きいのは
医師不足医療費不足だから。
医療費も医師の数も増やしなさい
っていう主張は、私と同じだし。

患者当たりの医師が少ないんだから、患者の側も、
無駄に病院にかかるのを我慢しなさい、とか。
官僚は現場を知らないから駄目なんだ、とか。
なんとなく、私が言ってきた事と似ていると思います。

舛添厚労大臣は、パフォーマンスが先行する。
っていう事は事実なので。
それがあんまり気にくわない、とう人も
結構いるのかもしれませんが。

前と言っている事が全然違うとか、
言い訳ばっかして、人のせいにしたりとか。
そういうのは比較的少ないし。
個人的には買っています。

年金の問題の時は、ちょっとなー。
って思った時もありましたけどね。

ちょっと長いので、一部省略しますから。
全部読みたい人は、『ロハス・メディカル』を読んでね!



~ ウソをつく官僚は、クビを切るしかない ~
川口恭 2008年06月28日


昨日、舛添要一厚生労働大臣のインタビューを行いました。


――『安心と希望の医療確保ビジョン』の
  セールスポイントを教えてください。


一番、国民が心配しているお医者さんの不足、
奈良で妊婦さんがたらい回しされて
大阪へ連れて行かれて死産したとか、
そういう話がいっぱいありますでしょ。
小児科が足りないとかね。
そういう問題に対して、基本的に
厚生労働省担当相としてどう対応するか
考えましたということです。

国民みんなが足りない足りないと思っているのに、
平成9年の閣議決定以来、歴代の厚生労働大臣は
役人にそそのかされたのか、医師は十分にいると
答弁し続けてきた、偏在しているだけだ、と。

そんなの普通の人から見たら違うんじゃないの
ということで、国会答弁から変えた。
まず一つはお医者さん増やすよ、
医学部定員削減の閣議決定を見直すよ、
それが第一。

それからもう一つは地域、現場中心主義だということ。
霞が関に座っていて医療の現場が分かるわけないんで。
現場中心で現場の地域のネットワークを
いかに構築するかっていうことで。
周産期医療センターなんてのやっているけれど、
それがない宮崎の方がむしろうまくいっている
というのは、ハコモノなんか作ったって
人がいなければダメなのね。
ハコモノなんかなくったって
ちゃんとやっている所はある。

たとえば江戸川区の医師会とか、
見に行ったけれどそうだった。
で、26日に行った日野市立病院のように
立派なNICUのハコモノなんか作ったって、
お医者さんがいなかったら
閉鎖されて生きてない、と。
だからやっぱり、現場を見て地域のイニシアチブを
大事にしてやりますよ、ということ。

それから3番目の柱は、
やっぱり国民も協力してくださいということ。
兵庫の県立柏原病院に来週行きますけれど、
あそこのお母さんたちの
『小児科を守る会』があるでしょ、
ああいう実質的な活動で1円もかからないで
小児科の負担を減らすことができている。
だから日野市に行った時に、
市長と地元の国会議員に
日野市で同じことしなさいよと言いました。

何度も言っているんだけれど、現場が第一であって、
霞が関で紙と鉛筆でやってる財務官僚も
厚生労働官僚もダメだってことなんですね。

それからもう一つは、ただ予算を増やして
人を増やせばいいのかといえばそうじゃない、と。
改革はやっぱりやらなきゃいけないんで、
ムダを排し効率的な医療体制を築く、と。
じゃあどうやってムダを省くんですかっていう時に、
自分たちの権限は縮小しない形で、
天下り先は確保したまま、
規制権限を強化したまま、
そうじゃないだろう、と。

私が言っているムダを省けというのは、
官僚たちがやっている規制のせいで
金がかかってるんじゃないのということ。
だったら規制外せばいいじゃない。
たとえば医療機器だって規制で
がんじがらめにしているから
アメリカの何倍の価格にもなる。

それから、何枚も何枚もお医者さん
紙を出さなきゃいけないから、
それだけでお医者さんの時間がなくなっちゃう。

その書類作成の時間がなくなるだけでも、
コスト的に相当のはず。
要するに規制緩和をちゃんとやる。
国民の安全にかかわるところを何だ、
みたいな議論にすぐするけれど、
そういうすり替えはダメですよ、
とそういうことですね。
だから改革はちゃんとやるんですよ。



――医師数をどこまで増やすか、
  具体的な数を挙げることは可能ですか。


『骨太の方針08』では過去最大限のところまで行く
というのが注釈で書いてあります。
それを上限とするニュアンスが
ないようにしましたから、
とりあえずそこまで増やすと8360ですね。

今から500ぐらい増えるのかな。
色々なシミュレーションをやって、
やっぱり年間400ぐらいずつ増やしていく
ってのは解消策として妥当なところだと思うけれど、
それはまた多すぎるのか
少なすぎるのか色々議論して。

その議論の前提は、週に80時間、
90時間働いているという人は
本来1人じゃなくて2人いれば
40時間から50時間で済むはずなんで。
人として当たり前の働きをする前提です。

生身の体で自分が病気になっちゃったら
仕方ないんで。
今、医者が足りているからいいじゃないか
と言うんじゃなくて、違うんですよ、
この人は80時間働いているんですよ、
もし40時間にするんだったら倍いるでしょう。
そういう論理できちんと計算していく
ということです。

もう一つは、介護士、看護師、助産師といった
コメディカル、メディカルクラークも含めてですけれど、
それをもっと活用する、スキルミックスをやっていくと、
これをもっとやっていく。

その時にも、お金がなくてスキルミックスが
できるわけがなくて、だから看護師の数をガっと増やす、
質を上げる、こういうことを
やらないといけないと思います。
それも一つの大きな改革の目玉だと思います。



――患者・国民がビジョンに対して
  協力できることは何でしょう。


たとえば柏原病院の例のように、
コンビニ診療をやめてください、ということですね。
『柏原病院の小児科を守る会』のパンフレットを見て、
ウチにも小さな子がいるから、
いいなと思って家に置いているんです。

この子の顔色がこうだったらすぐ救急車呼びなさい、
こうだったら熱冷ましてから呼びなさい、
こうだったらこの薬を飲ませなさいと
フローチャートで書いてある。
あれは、小児科を守る会が自らトリアージの仕方を
住民に教えたんですね。

それからもう一つは赤ちゃんが調子悪かったら
昼間診せなさいと。
昼間子供を放ったらかしておいて、
夜中にパニくって救急車呼んで、
そうするとそんなのが1人で当直している
お医者さんのところへどんどん来る。
診ても大したことないのに、その間に
本当に緊急の子供が来た時にもう診られない。
だからトリアージを国民にもやってもらう。
乱診乱療じゃないけど、コンビニ診療をやめる、
こういうこと。

つまり、あなた命守りたいんでしょ、
お医者さんいなかったら困るでしょ、
看護師さんいなかったら困るでしょ、
なのに逃げて行ってますよ。
くだらない負担をかけるからですよ。
無駄な負担をかけないようにしましょう、
ということですね。

厚生労働大臣が頑張るとか、お医者が頑張るとか、
看護師が頑張るだけで救われる問題ではなくて、
あなたが頑張ってくれないとダメ、
オールジャパンでやる話なんですよと。
やはり患者側の協力がなければ。
病気を治すんでもそうですよね。
お医者さんの言うこと聴かないで
勝手やってたらダメで、
やっぱり養生しなさいと言った時に
ちゃんとやってくれるかどうか、
非常に大きいと思いますね。



――総理の「5つの安心プラン」の中で
  「厚生労働行政改革」だけ妙に異質と思うのですが。


それはまさに医療確保ビジョンも同じ発想で、
今から介護ビジョンもやろうと思っているのだけれど、
こういうことすらできなかったのが、
医者が足りないのに足りてますと
言い続けたってのが、厚生労働省の体質。

自分で言うのもおかしいけれど
普通の大臣なら、医者が足りませんって
言うところまで持ってこれないですよ。

私だからできている面があって、
みんな批判するんだけれど、
言ってしまうんですね国会で。
はい足りませんよ、と。

世論に対してもテレビなんかでも足りませんと言う。
ウソをつくな、と。
その闘い、それは肝炎なんかでもみな同じですよ。
ウソをついて大臣が言おうが
何をしようが勝手気まま。
それはもう許さないよ、と。

だからこれはもう改革ですよ。
言うことをきかないヤツは首を切ると。

だから例えば、医学部を出て
免許を持っているか知らないけど、
インターンぐらいやったかもしらんけど、
臨床も何もやらないでずっとやってて、
それで、あんた日本のお医者のトップに
立つのかね、と。
おかしいだろう、と。

だから臨床やるかどうかは別にして、
とにかく現場2年ぐらい、腕に自信がないなら
病院の事務長としても入ってもいいから、
とにかく病院の実態を見てくださいよ、と。
そして帰ってくれば、いい政策ができる。

だから、まあ徹底的にやろうとしているのは技官ね。
医系、薬系含め技官人事、
誰も手をつけないで聖域になっている。

私は東大法学部だから、事
務官の局長かなんかは全部分かる。
ところが局長でも医政とか健康局長なんかは
GHQの指令で医師免許がないと
いけないことになっている、と。
そんなバカなことはないんで。

医師免許なんかなくたって、
事務能力のある局長がいて、
下の課長の何人かに優秀な医者がいればいい。
その医者も臨床やったことない外に出たことない
なんてのじゃなくて、ちゃんとやって
患者の面倒を見たことある人。
看護師でもいい。
外の血も入れて交流していかないとダメなんで、
まさに厚生労働省改革というのは、
これまでの失敗とウソで塗り固めた
状況を変えるということ。

組織を変えてこういう組織にしますよ
というやり方もあるけれど、『医療ビジョン』も
まさに改革そのもので、
出ないですよ普通はこんなもの。

まさに闘いなんで、医者の数が不足してますと
書かないでくださいから始まるだろ、
不足してますと書くまでに
どれだけの闘いをやっているかね。

国会も与野党を動員して、国権の最高機関である
国会で大臣が足りないと言っているのに、
役人が足りていると言うのなら、
それはもう役人の首を切るしかないですよ。
そういう現実に動かしていきながら改革します。
組織変えして何局を何局に移す、何局を廃止する、
そしたら改革かってそうじゃないんですよ。

結局、改廃したところで人が
変わらなければ変わらないんで。
ボンと医療確保ビジョン。

で、何とか審議会とか色んなものが
いっぱいあったって、結局御用学者連れて来て
役人の隠れ蓑。
そんなもの役に立つわけないだろう。
だからそれはもうやめるということであってね、
審議会も中医協も含めてあらゆる関連のところを
見直すと、そういうことなんです。
国民のための仕事がどうしたらできるのかと、
その観点だけに尽きると思いますよ。

そりゃ面白いよ。
今回の医療ビジョンを俺がやるって言ったことが
まずショックなんだけど、それがこうした形で実を結び、
今日骨太の方針で確定するけれど
医師不足がうたわれ、閣議決定が引っくり返され、
社会保障や医師不足には財源を確保するということが
書かれたこと自体が奇跡的なんですよね。

顛末を小説にでも書いたら面白いものができるんで。
だから、その方針をやるしかない、と。
幸いそういうことができるのは国民が
基本的に支持してくれているからですよ。
役人が何と言おうと。
国民の支持がなくなったらダメだから。
だから国民がちゃんと支持してくれて、
問責決議だって85%が俺に対してやるのは
反対だから出せないんですね。
85%の国民が支持しているヤツに問責出したら、
出した方が怒られちゃう。
それはちゃんと国民が仕事をしていることを
評価してくれていると思うので、
この姿勢を失わずにやるということですね。


(このインタビューを抄録したものが、
『ロハス・メディカル』08年8月号に掲載されます)

参照:『ウソをつく官僚は、クビを切るしかない』



舛添厚労大臣日本の医療事情の事も
結構わかっているし。
言っている事はまっとうだし。
筋が通っていて、良い話だと思いますよ、私は。

弱冠、舛添厚労大臣の自慢が入っているので(笑)
ちょっと、かちんと来る人もいるのかもしれませんがね。


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この記事へのコメント
言ってることはまともですが……
Dr.I様>
 舛添厚労大臣、このインタビューで言ってることはマトモなんで、この方向にきちんと政策をやってくだされば、信頼に値するんですが……到底できそうにもない年金記録の照合を「できるんですか?」と聞かれて「できるできないではなく、やるんです」と断言しておいて、結果的に出来ないと「私以外の誰がやってもできなかったでしょう」とか「解釈の違いだ」とか言い訳して、社会保険庁の役人の首ひとつよー切れない人に、「国会も与野党を動員して、国権の最高機関である国会で大臣が足りないと言っているのに、役人が足りていると言うのなら、それはもう役人の首を切るしかないですよ。」といわれても、イマイチ信頼できない気がするのは気のせいでしょうか^^;
Lich[URL] 2008/06/30(月) 01:13 [EDIT]
>Lichさん
まあ、年金に関しては、ちょっと問題ありますけどね、正直。
でも、医療に関しては、かなり良いかな、って思っています。
一大臣で出来る事って、限られていますから。
その中では、良くやっている方だと思いますよ。
Dr.I[URL] 2008/06/30(月) 20:46 [EDIT]
こんにちは。

非医療関係者ですが、舛添大臣のことについてちょっとDr.I先生のご意見をお聞きしたいことがあります。
6月に舛添大臣は岡井崇先生と対談されていましたが

医学書院/週刊医学界新聞(第2785号 2008年06月16日)
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02785_02

そのなかで大野病院事件などの刑事罰について、
 ・業務上過失致死という罪が日本の法体系にある
 ・車を運転していても業務上過失致死になる
 ・これはあらゆる業務について言える
 ・その中から医師だけを除外することは出来ない
 ・国民に対する説得は医師がやるべき(患者と討論など)
ということを仰っています。もちろん舛添大臣以外にも同じ考えをしている人はたくさんいると思います。

で、これに対する素人考えなんですが、
「A医師が車を運転していてBさんを轢き死亡させてしまった場合」は、A医師が車を運転していなければBさんは死ななかった可能性があるのに対し、「A医師がBさんを治療しても死んでしまった場合(大野病院事件)」は、A医師が治療行為を行わなければBさんは確実に死んでしまう、という違いがあります。
その点において、両方とも同じ業務上過失致死ではおかしいと思います。
(もっとも、「おかしい」と言ったところで法律が変わるわけはなく、そうである以上、医師の逃散は免れないことなのでしょうが・・・)

そして、国民に対する説得を医師が行う場合、それは本来の業務とは違うことをしなければならないことになります。だからこそ政治家の出番だと思うのですが、これも医師がやらなければいけないことなのでしょうか?

エントリに直接関係ないことで申し訳ないのですが、本職の方のご意見もお聞きしたいので、よろしければお願いします。
通りすがり[URL] 2008/07/04(金) 12:02 [EDIT]
>通りすがりさん
あくまで個人的見解なのですが。

燃えている家を消火できなかったとしても、消防士が罰せられる事はないですから。
医師も、同じ様に死にゆく人を救えなかった、という事が原因で、医師を罰するという事は、あってはならないと思います。

医者だけ免責なんてけしからん、なんて人もいますけど。
別に特別なのは、医者だけではないんですから。
やはり、今の制度はおかしいと思います。
医者なら何をやっても、刑事免責って事ではなく、故意犯とか悪意のあるものは、また別に裁くべきだとは思いますけどね。

医者がそれを言っても、残念ながら聞いて貰えないので。
やはり、そういうのは政治家とか、他の職種の人間が言うべきだと思いますよ、私は。

Dr.I[URL] 2008/07/04(金) 21:03 [EDIT]
返信が遅れてすいません。

>燃えている家を消火できなかったとしても、消防士が罰せられる事はないですから。

たしかにその通りだと思いますし、実際にそうですよね。
ならば、今の「医師の医療行為にも刑事罰が適用される」という状況の方が、むしろ「特別」なんじゃないかと思います。
(そういう意味で、これは確かに「医師が特別なんてけしからん」ですね)

お話ありがとうございました。
通りすがり[URL] 2008/07/07(月) 18:54 [EDIT]

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Ťκ? | 2008/07/01(火) 07:56
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