現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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大野病院事件、メディアの功罪3
『大野病院事件、メディアの功罪』
『大野病院事件、メディアの功罪2(追記あり)』
の記事の続きです。
まだ見ていない人は、最初にこっちから読んでね!

福島県立大野病院で起きた、妊婦の死亡事故で。
警察が産科の逮捕に踏み切った事から、
メディアが一斉に、殺人医師事件として取り上げて。
その結果、マスコミの報道で萎縮した
産科の立ち去りが各地で起こって、
産科の閉院が相次ぎました。

その大野病院事件に関しての、
メディアの報道のあり方を検証する番組の続きです。


前回は、警察や刑法の話が中心でしたね。
医療っていうのは、不確実なもので、
多様な見解が出てくるものです。
その場の状況によって、いろんな判断をしなきゃいけなくて、
それには専門的な知識や経験が必要だし。
常に、100%完璧な治療っていうのが、
できるはずもないんですよ。

それなのに日本では、結果が悪かったからって、
先に結論ありきで素人集団の警察が逮捕に踏み切る。
っていう事が現実問題としてある。

それは、業務上過失質罪という法的な問題と、
警察の運用上の問題で。
そんな国は、世界では日本しかない
という話でした。

今回は、そこから発展して、
いよいよ本題のマスメディアの話です。



黒岩祐治のメディカルリポート #49
「検証!医療報道の光と影2
大野病院妊婦事件 、メディアの功罪1~ 3


医療福祉チャンネル774 
 森まどか

ゲスト
福島県立医科大学医学部産科婦人科学講座
 佐藤章 教授

東京大学医科学研究所探索医療
ヒューマンネットワーク部門
 上昌弘 准教授(医師

参議院議員(民主党)
 鈴木寛議員

コメンテーター
医師・作家
 和田秀樹医師



 黒岩
「ただね、鈴木さんね。
有罪か無罪か、わからない段階で、
殺人者だという決めつけ方で、どーっと行くっていうね。
佐藤さんVTRの中でも指摘されていましたけどね。
これはですね、医療だけの話ではないですよね。」

 鈴木
「そうですね。」

 黒岩祐治
「普通の殺人事件でも。
誰がどう見ても、こいつが犯人だろう、という。
もう、みんなが思っている、そういうものであっても、
有罪か無罪か、本当はわからないですよね。
しかしだからといって、そこで距離感を置いて伝える、
という事は、なかなかメディアの現場では、
できないですよね、それは。
それが現実だと思いますけど、どうですか?」

 鈴木寛議員
「特に日本の場合はですね。
有罪率。
要するにきちっと検察庁が、
送検をした場合ですけどね。
99%ですよね。
まあ、他の、例えばアメリカなんかでは、
いろいろな裁判員、まあ、陪審員制度などで、
無罪になったり、有罪になったりする場合ありますけど。
そこは、ホントに日本の裁判制度とか、
あるいは司法制度全体の話としてね。

ただやっぱり、話戻りますけど。




故意犯と、過失犯というのを、やっぱり
きちっと分けていかなければいけないと思うんですよね。
その中で、業務上過失致死というのは、
かなり特殊な症例にありますから。
そのところは、メディアも慎重にやった方が良い、
というのは教訓とすべきだと思いますよね。

 黒岩
「今回の特徴としてね。
先ほどVTRにもありましたけどね。
要するに、既存のメディアがばーっと伝えた、
という事で、これは大変な事が起きた、という。
その流れを変えていった、大きなうねりを起こしたのは、
実はインターネットによる専門家同士の
意見の交換
だった、というところですねー。
上さん、このあたりどうですか?」

 上昌弘准教授
「まさに仰るとおりなんですね。
実は、私自身も最初はテレビ報道、メディア報道
信じてたんですが。
いろんなところから、e-mailやウェブ上の情報で、
だんだん実態がわかってくるんですね。

マスメディアと違うのは、双方向コミュニケーション
じわりじわりじわりやっていくんですよ。
ばっと流すだけじゃないんです。
やがて、医師コミュニティーの中に、
どうやら実態はこういうとこなんだろう、
というコンセンサスが形成されていったんですね。
割合早く形成されました。

じゃ、次に何をしなきゃいけないか、って議論になった時に、
コンセンサスが形成されているもんですから、
割と早い動きになっていったわけです。
それが署名活動なんかにつながっていったわけですね。」

 黒岩
「鈴木さん、これ新しい動きですね。」

 鈴木
「あのですね。
私もですね、新聞読んだ時は、
恥ずかしながらそれを信じた訳ですね。
報道見た時は。
しかし、私は、佐藤先生、あるいは
医師の仲間の皆さんから、ご要請を受けて、
ご説明を頂いて、川崎厚生労働大臣に
佐藤先生をお連れしたりしたんですけども。

私も、これはやはり問題だ、と確信を持った理由はですね。
ネットで議論されているご意見の、特に専門家のご意見の。
最初は1人2人の方から、こういう事件が起こってます、と。
しかしまあ、メディアで報道してて、1人2人がおっしゃっても、
まあ、それはどっちもどっちかなー、と思っていたんです。

しかし、ネットの世界は逆に言うと、
メディアは一方的に有罪だと決めつけましたけが。
ネットの中の議論の、おそらく96,7%はですね、
これは無罪だ
、という事が、
数千名の方がですね、仰っているんで。
これはやはり私はですね、その6000名の方の
90数%の方がこれはやっぱり無罪だ、と。
あるいはこういう事をやった場合には、
産科医療は崩壊してしまう、萎縮医療になってしまう、と。
やっぱ、その声は相当な信頼に足る状況だったですよね。」

 黒岩
「佐藤さん、やっぱり流れは、
その後で変わってきましたか?」

 佐藤章教授
「はい、変わりましたね。
その以前からですね、産婦人科医が少ないという事で、
大きな病院で集約化をしなければいけない、
という事になったんですけど。

まず1つは、1人で産科をやっていくことは、
もうやめよう、できない。
一生懸命やっても、1人だけで責任を取られると困る。
という事で、もう1人で、勤務医の病院がなくなってきた。

で、なおかつ、若いこれから産婦人科になっても良い。
っていう人達も、こういう事件をきっかけに、
産科になったらば逮捕される可能性が強い

じゃあ、やめよう。
こんな忙しい、それでなおかつ訴訟が多い。
それだったら、やめよう。

それから、今はどういう事が起こっているかというと。
その若いお医者さんの中でも、
いや、産婦人科やってやろうじゃないか。
頑張りましょう、っていう人がいるわけですよ。
そういう人達の中の、お父さんお母さんが、
そんな無理してそういうところにいくなよ。
やんなくても良いじゃないか。
っていう風に、負の方向に行っている、
っていうのが現実なんです。」

 黒岩
「そうすると、真相を明らかにしていくために
ネットで意見が飛び交った、っていう事もあるだろうし。
やっぱりその、どうですか。
こんな危ない事はやめとこうじゃないか、みたいな、
逆のネガティブな世論も広がっていったんじゃないですか。
どうですか、上さん。」

 上
「そういうご父兄の話もあります。
実は私の友人の産科の教授から聞いたんですけど。

君たちはどうして産科医を選ばないんだ。』

って言った時に。

せっかくここまで医師にしてもらったのに、
こういう刑事罰や、あるいは行政処分、
あるいは民事訴訟になると、家族に迷惑をかける
。』

って言うんですね。
せっかくやって貰った家族に悪い。
今までサポートしてくれた、家族に悪い。
だから、私は産科をしたいけど、
こういうリスクが低い生殖医療であるだとか、
あるいは婦人科の腫瘍の治療なんかをやるんだ。

それを聞くと、わかりますよね。
我々も家族を持つものとして、
そりゃそうだろうな、とわかります。
いろんな意味合いで、親御さんであったり
当事者達がいろんな意味合いで、産科から
だんだんだんだん手を引くようになっているんですね。」

 鈴木
「今、1000人のうちですね14人の産婦人科医
産婦人科医が1000人いるとしますとね、
14人の方がなんらかの形で、
訴訟、訴追リスクに巻き込まれているんです。
ということは、100人に1人越えてる訳ですから。
1大学の1つの学年に1人いる、
って事になっちゃう訳ですね。
そこはやっぱり、相当深刻な状況じゃないですかね。」

 黒岩
「和田さんね、ネットがそういう新しい動きを作ってきた。
という、新しい傾向をどうご覧になりますか。」

 和田秀樹医師
「もちろん、それが、やはり今は過渡期だと思うんですよ。
というのは、やはりマスメディアネットで。
ネットで随分救われて、おそらく裁判に関して言えば、
裁判であるだとか、政治の動きであるだとか。
いろんなものに対して、ネットは大きな影響を
与えてくれるとは思うんですけど。

先ほどの家族に迷惑がかかる、って事に関しては
やっぱり、マスコミで袋だたきにあってる。
例えば、子供がいじめられるかもしれない。
父親が肩身の狭い、人殺しの親だ、
って言われるかもしれない。
そういう事はやっぱり、
まだまだマスメディアの影響が大きいもんですから。

ネットがそれを食い止めるくらいの、ものすごいパワーを
持つまでの間は、ネットがフォローしてくれる部分で。
多少裁判だとか、そういうものに対して有利になったとしても、
家族に迷惑をかけたくない、だとか。
産婦人科になるのを踏みとどまろう、
という事に関しては、まだまだマスメディアの影響
っていうのは大きいんではないか、と思いますね。」

 森まどか
ネットで話題になったっていうのは、
医療の間では話題になったけど。
なかなか一般の方には影響力というのは、
まだ少ないような気がしますねー
。」

 上
「過渡期の状況なんですが。
これ、おもしろい減少が起きていまして。
ネットのそういう議論が起きたのは、
医療、特に医師系のオンラインメディアなんです。
で、オンラインメディアっていうのは、
一般紙と比べてボリューム書けるんですね。
正確に丹念に書けるんです。

更に、プロのジャーナリストが書くんです。
その結果、それをまあ、黒岩さんであったり、
マスメディア、新聞記者さんなんかが、それを今度読んで、
なるほどー、ってこう理解していった訳なんですね。

ネットオンラインメディアが、実は一番最初に
マスメディアとか業界記者達から、一般記者につないだ。
って、今、そこまで来てるとこだと思います。」

 黒岩
「これね、ネットっていうのは。
僕らなんかからすればですね、ある種危なさもあってね。
逆のとこもたくさんある。

つまり、既存のメディアだったらですね、
人権に配慮したりだとかしながら。
いろんな事で、ホントは知っていても言えない事とか、
出さない事とか、いっぱいありますよね。
しかし、ネットになるとですね、
それこそ子供の顔から、実の名前から
もっと個人的な情報から、全部出されてしまうという。
その危険性も、実は同時にはらんでいますよね。」

 鈴木
「そうです、そうです。
私は、ずっとネットの事やってきたんですけどもですね。
今回の事で、いわゆるネットと決定的に違うのはですね。
医師の方が、ちゃんと、どこそこ病院の何科で勤めている、
実名をきちっと出して議論されているんです。
やっぱここが、いわゆるネットの問題とは違うし、
そういう事が信頼性を増したと思います。

ただ、一方でですね。
やっぱり、私は立法府にいますけどもね。
裁判所とか、国会、あるいは官庁、ではですね。
ネットだけの情報では、それはなかなか、
それを参照する、という事には、ならない。
やはり大きなマスメディアでオーソライズをされる、
っていうのが重要なので。
まあ、まさにその辺の、この。」

 黒岩
「上さん、どうですかね。
この大野病院事件があってですね、
そしてそれによって、産科が危なくなってきたという事。
かなりみんな知るようになってきましたよね。
マスコミの対応もちょっと変わってきましたかね。」

 上
「変わってきましたね。
マスコミは、我々の研究室で調査したんです。
最初の数ヶ月は、医療事故、過失なんです。
まあ、犯罪として扱ったのが、
最近は医療体制の問題、ってなってきたんですね。

まあ、そのまさにおかげなんですが。
2008年度の予算の中では、
産科の対策費や、たらい回しに対する対策として、
国家としての取り組みになったんです。
これもう、明らかにマスメディアの功罪の、
功の部分
が出てきてますね。
マスメディアがなければ、なってないですね。」

 黒岩
「そういう、ネットでのやりとり等々も、
マスメディアに関わっている人間も見てますからね。
そこで学習していって、少しずつあるべき姿を
模索している、という状況なんでしょうけどね。
しかし、この問題から、もっともっと幅広い大きな問題を
垣間見れた気がしますからね。
これは課題として、次取り組んで行きたいと思います。

今日はどうもありがとうございました。」

『医療報道の光と影~大野病院妊婦事件3』


という事で、最後にマスメディアの功罪の、
功の部分
も出て、うまくまとまりましたね。

このブログでも何回も書いているように。
日本の医療崩壊の原因の1つに、
マスコミ報道」というのがあると思います。

ただ、ここ最近。
具体的には、2007年の冬くらいからでしょうかね。

医療過誤」、「医療ミス」という言葉が
2006年には多かったのですけど。
2007年頃からは減って、
むしろ「医療崩壊」という言葉が増えたし。

参照:『医療破壊に抗議する』

2008年からはテレビでも、
医療崩壊」系の番組も多いですよね。
テレビ局やプロデューサーによって、
非常に質の高い番組もあるし。
単に流行を追っただけの、たいした事ない番組と
両方あるけどね、実際は。

でも、一時期のように単なる医師叩きの番組、
っていうのは少なくなったように思いますね。


上先生も言っていたように、
ネットでいろいろ議論された事が、
オンラインメディアを通して、報道されて。
それを見て、既存のマスメディアが報道する、という形。
このおかげで、一般の人達にも、医療現場の実態が、
やっとわかってもらえるようになって来てますよね、最近は。 

医師ブログなんかが以前に書いた事を、結果的に
テレビでやっている、っていう形も非常に多いですけどね。

でも、医師ブログっていうのは、
最近でこそ、少しはメジャーになりつつあるけど。
既存のマスメディアに比べたら、はるかに影響力は小さいですから。
少し、時期が遅れるとはいえ、医師ブログでの主張が、
マスメディアを通して、世間に報道される。
という事は、非常に良い事だと思いますよ。

上先生も言っているけど、

>2008年度の予算の中では、
産科の対策費や、たらい回しに対する対策として、
国家としての取り組みになったんです。
これもう、明らかにマスメディアの功罪の、
功の部分が出てきてますね。
マスメディアがなければ、なってないですね。


まさに、その通りだと思います。

日本の医療崩壊を勧めたのは、マスコミ
だからけしからん。
って言って、マスコミと敵対する
という方法もあると思いますけど。

私は、日本の医療を崩壊から救うには
絶対にマスメディアの力が必要だと思います。

マスコミ関係者には、自分たちのせいで、
日本の医療崩壊は進んだんだ、
っていう自覚
をまず持ってもらって。
その後に、でも日本の医療を崩壊から救えるのは、
マスメディアの力なしにはできないんだ。
って思って、頑張って貰いたいものですね。


全部一気に見たいって人は、本家の方で見てね!
『『医療福祉eチャンネル』』
期間限定っすよ。


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→ 『医者のホンネが丸わかり!(改)』

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この記事へのコメント
お疲れ様でした……
Dr.I様>
 文字起こし、お疲れ様でした。
 なんといっても、今回のような事例を通して、マスメディアが「多様な意見」を取り入れながら真実を追究していく、という通常の形態に戻ってくれることを祈ります。
 マスメディア・ネットともに「医療を守る」ことによって「人々生活を守る」、その一助になってくれるといいのですが……逆に「崩壊を促進する」一面も持っていますから、油断はできませんね。コメントを書くだけの身ですが、自覚したいと思います。
Lich[URL] 2008/07/08(火) 19:29 [EDIT]
>Lichさん
いやー。
労力の割には、反響が少なくて(汗)

マスコミの今後のあり方には、期待したいんですけどねー。
やっぱり、どうしようもない駄目なとこもあるんで。
それがちょっと残念ですね。
Dr.I[URL] 2008/07/09(水) 23:34 [EDIT]

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??? | 2008/07/08(火) 15:50
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