現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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「ヒヤリ・ハット」20万件超
ヒヤリ・ハット」っていうのは、
医療従事者なら誰でも知っている言葉なんだけど。
一言で言うと、医療事故の一歩手前の事です。

ウィキペディア(Wikipedia)の言葉を借りると、

ヒヤリ・ハット
ヒヤリ・ハットとは、重大な災害や事故には至らないものの、
直結してもおかしくない一歩手前の事例。
文字通り、突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、
ハッとしたりするもの。


出典:『フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」』
です。

この、「ヒヤリ・ハット」に関しての記事が、
8/13にyahooのトップページに出ていましたね。



ヒヤリ・ハット」事例が20万件超 07年
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080813-00000064-mai-soci

厚生労働省の関連団体の日本医療機能評価機構(東京都)は
8月13日、07年の医療事故報告の収集結果をまとめ、
事故の一歩手前の「ヒヤリ・ハット」事例が
初めて年間20万件を超えたと発表した。

うち4分の1以上が調剤などに関する事例で、
ミスに気付かなければ患者の命にかかわる
危険があったケースも1000件以上あった。

同機構は「注意喚起の医療安全情報を出した後に
同様の事故が繰り返されるケースも目立っており、
医療機関は事故情報をもっと活用してほしい」
と話している。

事故情報収集は同機構が04年10月から取り組んでいる。
07年に規模や地域別に抽出した全国240病院から
報告があったヒヤリ・ハットは、
前年より1万3607件多い20万9216件。

内訳では
(1)の処方、準備、調剤(27%)
(2)医療器具(チューブ類など)の使用・管理(17%)
(3)療養上の世話(9%)
--の順に多く、当事者は看護師が73%を占めた。

全体の65%はミスがあったが
患者に影響はなかったケース。
逆に3689件は事前にミスに気付いたが、
見過ごされていれば患者の生命に影響した可能性があり、
うち1059件がの関係だった。

ヒヤリ・ハットは準備段階での剤名や量の間違い、
投与中の点滴速度間違いなどが多く、
同機構は「剤師、看護師、医師らの
役割分担が複雑なため、ミスが起こりやすい」
と分析している。

一方、07年に実際に起きた医療事故は、
報告義務のある273病院から前年より30件少ない
1266件の報告があり、うち死亡は142件だった。


『2008年8月13日:毎日新聞』


20万件ヒヤリ・ハットが、多いのか少ないのか。
私にはわからないですけどね。
ヒヤリ・ハットでも、医療事故でも、
少ない方が良いに決まっています

ただ、「ヒヤリ・ハット」の「報告」が少ない。
という事は、必ずしも良い事ではないと思います。

ヒヤリ・ハットっていうのは、
医療事故の一歩手前の事だから。
ヒヤリ・ハットの数は、医療事故何十倍も、
何百倍も多くある
んですよ。

ハインリッヒの法則」っていうのがあって。
これは、重大事故の陰に30倍の軽度事故と
300倍のニアミスが存在する。

っていう法則です。

もしかしたら医療事故になったかもしれない、
っていうヒヤリ・ハットの事例。
そういう事例をたくさん集めて、
本当の医療事故を起こす前に、予防しよう。
っていう事は、大きな病院だったら、
たいていどこの病院でも行われているし。
国としても、日本医療機能評価機構という、
厚生労働省の天下り団体を通して行っています。

医療事故10件しかなかったら、
その医療事故っていうのは何が原因なのか。
数が少なすぎて、分析するのが難しいですけど。
その何十倍も何百倍もある、ヒヤリ・ハットの事例
を分析する事ができれば。
医療事故の原因を追求して、
似たような事を今後起こらないようにする、
予防」ができますからね。

ヒヤリ・ハットの事例を正直に報告してもらう。
という事は、非常に大事です。

ここで非常に大事な事は、予防を第一にする為
罰則を与えない」っていう事です。

ヒヤリ・ハットがあっても、それを
正直に報告したら、罰則が与えられて。
正直に報告しなかったやつは、無罪放免
っていう事になったら、ほとんど誰も報告しないでしょ。

そしたら、分析する事例が少なくなるから。
正確な分析ができなくなって。
結局、同じ様な医療事故がまた起きます
からね。

医療事故予防する為には、
医療事故の事例も、ヒヤリ・ハットの事例も含めて、
全部正直に報告してもらう。
そして、たくさんの情報を集めて、正しい分析をする。

っていう事が、一番大事な事なんですよ。

だから、ヒヤリ・ハットの報告が多い。
という事自体は、悪い事ではありません


たくさんのヒヤリ・ハット事例があるにも関わらず、
その報告が少ない
というのが、一番悪い事だと思います。


当たり前の事ですけど、理想的なのは、
医療事故の数も、ヒヤリ・ハットの数も少なくて、
医療事故ヒヤリ・ハットの報告も少ない。

という事だと思いますけど。

最悪なのは、
医療事故の数、ヒヤリ・ハットの数は多いんだけど、
医療事故ヒヤリ・ハットの報告は少ない
という事ですね。

これだと、正しい原因の分析ができないから、
また同じ様な医療事故が起きちゃいますから。

そういう意味では、ヒヤリ・ハット報告が多い
という事自体は、悪い事ではないと思います。
むしろ、システムが正しく機能している、という事ですから。
むしろ好ましい事のような気がします。


yahooのトップページに載った。
って書いてありますけど。
これ、元ネタは「毎日新聞」なんですよね、実は。

ヒヤリ・ハット」事例が20万件超
っていう見出しにすると、何もわからない人は、
「なんかすごく多いなー」、
っていう印象を持つんでしょうけど。
それをわかっていて、敢えて書いているんでしょうかねー。
悪意があるかどうかはわかんないけど。

きちんと、意味わかって書いているんだろうか。


ちなみに、「医療事故(Medical accident)」っていうのは、
医療に関わる場所で、医療の全過程において発生する
すべての事故
、っていう意味なので。
医者とか医療従事者過失があってもなくても、
全部を含めて「医療事故」って呼びます。

一方、「医療過誤(医療ミス)」っていうのは、
医療従事者に過失がある場合のみを指す言葉です。

ヒヤリ・ハット」は、ミスに関わらない、
医療事故の一歩手前の事です。


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この記事へのコメント
ヒヤリ・ハットで……
Dr.I様>
 医療機関のヒヤリ・ハットは、過酷な労働条件にしては少ないような気がしますね。まあ、ヒヤリ・ハットはないほうが良いので、減らす努力は必要ですが。
 おっしゃるとおり、こうした事例は「罰せずに事例を集めて再発防止に努める」のが必要ですが、故意犯でもないことに対する最近の厳罰化の流れでは、難しいでしょうか。
 毎日新聞に限らず、大手マスコミでも不勉強な記者が多いですから、あまり期待はできませんが、まあ、なるべく正確に伝えてもらえる(というか、伝えさせる)よう情報提供していくしかないでしょうか……いくら情報提供しても受診能力がなければ同じですが^^;
Lich[URL] 2008/08/15(金) 08:39 [EDIT]
>Lichさん
他の業界の事がわかんないから、なんとも言えないんですけどね、私は。
でも、罰する事ではミスは減らない、っていうのは明らかな事なんで。
そういう事を、きちんと記事にして伝える、っていう事が必要なんだと思いますよ。
Dr.I[URL] 2008/08/16(土) 23:59 [EDIT]
時間を見つけてはブログを拝見させて頂いております。

ヒヤリハットは工場勤務な私などは日常的に行っています。もちろん災害防止のためなんですが、新聞社ってヒヤリハットの必要性がないので自分たち自身でやったことがないんじゃないでしょうか?
あくまで推測なので間違っているかもしれませんが。
新聞社で安全教育なるものが行われているのかを知りたいものです。
あいす[URL] 2008/08/17(日) 10:33 [EDIT]
>あいすさん
本当は、新聞で報道した記事で、一部でも誤報がなかったか、検証すべきだし。
報道しそうになったけど、途中で止めた例はどうだったか、とか。
そういう事は、きちんとやるべきなんでしょうけどねー。
少なくとも、私が知る限り、事後的な検証をしている所はないように思えます。
Dr.I[URL] 2008/08/17(日) 19:24 [EDIT]

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