現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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大野病院事件判決まで、あと3日
このブログでもかなり力を入れて取り上げてきた、
福島大野病院事件
2006.2.18に、ある産科医が逮捕されました。

一生懸命に頑張って、1人の妊婦を救おうとして、
命を救えなかった、というだけで。
しかも、その病気は数千人に一人という、
非常に珍しい病気
で。
しかも、事前に予測する事は難しい病気で、
命を救うのが難しい症例であったにも関わらず。

更に、逮捕されたのが、1年以上経った後。
それまでずっと病院で診療しており、
証拠も全て警察に押収されており。
逃亡の恐れも証拠隠滅の恐れもなかったのに。

この福島大野病院事件の逮捕劇は、
日本中の医師にとって、
長崎、広島の原爆級の衝撃が走りました。


特に影響が大きかったのは産科です。
まあ、当たり前ですね。
帝王切開の時に妊婦が死亡した。
というのが、逮捕のきっかけですから。

福島大野病院事件の後、全国で
産科医が1人でお産をする病院が激減しました。

そして、その次に影響が大きかったのは、
手術を行う外科です。

手術にはリスクがつきものですからね。
手術っていうのは、やらなきゃ死ぬかもしれない。
っていう人に行う事が多いのですが。
基本的には、手術をした方が
手術をやらないよりも、助かる可能性が高い

という事ですので。

手術をやったから、絶対に助かる。
というものではないんですね、当然。

それなのに、手術をして患者が死んだら逮捕
という事になれば、手術をやらない
という選択肢が出るのは当然です。

実際、若い医師で外科医になろうという人は、激減して。
このままいったら、10年後には新しく外科医になる
医師がいなくなるかもしれない

っていうとこまでいっています。

救急の現場でも、リスクの高い患者は受け入れられない。
という「萎縮医療」も起こっています。


その衝撃的な福島大野病院事件の判決が、
3日後の8/20に出ます。

『大野病院事件判決まで一ヶ月』
の記事にも書いたけど。
8/20福島大野病院事件の判決に合わせて、
福島でシンポジウムが行われますよ。

詳細がわかったので、もう一回紹介しますね。


大野事件の意味を考えるシンポ開催

シンポジウム
「福島大野事件が地域産科医療にもたらした影響を考える」
が8月20日の午後1時から、
福島市の福島グリーンパレスで開かれる。
福島大野事件が地域産科医療にもたらした
影響を考える会実行委員会」の主催。

産婦人科医が帝王切開手術中の女性を
大量出血で失血死させたとして、
業務上過失致死などの罪に問われ、
2006年に逮捕・起訴された「福島県立大野病院事件」の
判決が同日に言い渡されることを受けたもの。

シンポジウム呼び掛け人の野村麻実医師は、
「このシンポジウムを通し、医療者も患者も
困っているということを皆で共有したい。

この裁判をきっかけに、福島の地域医療が崩壊し、
委縮医療を招いた。
医療崩壊は産科から外科などにも広がっている。
われわれ医療側もこうした事件が起こらなければ、
世間に対してなかなか動かないという反省がある。

ただ、地域医療を守るには、医療者だけでなく
住民の参加が必須。
シンポジウムには、地域の人や
妊婦さんたちの会などにも来てもらい、
一緒にこの問題や、今後の地域医療について
考えていきたい」と話している。


パネリストは以下の通り。

 ▽山崎輝行・(長野県)飯田市立病院産婦人科部長
 ▽野村麻実・国立病院機構名古屋医療センター産婦人科医師
 ▽岸和史・和歌山県立医科大放射線医学講座准教授
 ▽佐藤一樹・綾瀬循環器病院心臓血管外科医師
 ▽川口恭・ロハスメディア代表取締役
 ▽加治一毅弁護士
 ▽上昌広・東大東大医科学研究所探索医療
   ヒューマンネットワークシステム部門特任准教授

参加費は1000円で、当日参加も可能。
名前と所属を記入の上、Eメールで
oono.obs@gmail.comまで申し込む。

詳細はホームページ http://oono-obs.umin.jp/


『キャリアブレイン 2008年8月5日』


福島大野病院事件に関しては、
産科の先生が一番力を入れていますよね、やっぱり。
特に、医師ブログが世間に広がったきっかけになった、
『ある産婦人科医のひとりごと』
そして、ものすごい情報量と更新頻度で、
今一番パフルな医師ブログ
僻地の産科医先生
『産科医療のこれから』

この2つの医師ブログは、すごいですわ、ホント。

『産科医療のこれから』によせられた、
福島のシンポジウムを企画した、
産科医の野村麻実先生からのメッセージです。


大野事件の判決日、福島に集まりましょう!!!

8月20日、大野事件の判決が出ます。

はじめは加藤先生の応援のために、
福島に集まって応援したらどうだろう?
と考えていました。

産婦人科関係の方と会ってはならないという
保釈条件は判決が出るまでの話ですし、
どんな判決が出るにしろよく頑張ったねって
声をかけてあげたい人がたくさん全国に
いるはずだと思ったからです。

でも、いろいろと当時からのことを振り返って
勉強していくうちに、考え方が変わってきました。

福島大野事件は多くの教訓を残しているからです。

例えば、この事件があるまで、産婦人科は
あまり周産期死亡や母体死亡の話をしてこなかった。
どれくらいの数の妊婦さんを医療が救っているのか、
それでも亡くなる難しい病気があるって事、
あんまりきちんと公表してきませんでした。

学会や医会はそういったことを反省して、
さまざまな調査を行い、そして
73人の重症患者さんのうち頑張って力を尽くして、
72人までの妊婦さんを助けている
という調査結果も出しました。

それでも亡くなる方が出る。
頑張ってもやっぱりゼロには出来ないんです!
っていえるようになってきました。
     
それから、医師の労働条件が必ずしも
患者さんにとってよくないことも認めるようになりました。

一人しか産婦人科医のいない病院で
外科の先生にお手伝いしてもらって手術をしている状態では、
やっぱり危ない時に危険かもしれません。
そこで反省を含めて集約化を始めるようになりました。

(ただこの加藤先生のケースでは、術中エコーもし、
胎盤のない部分の子宮体部をU字型に切りこむという
かなり注意深い術式を用いており、
一人医長であったにもかかわらず、
よく勉強されて最新の手法を用いていらっしゃいます。)
     
厚労省も慌てました。
反省し、このようなことが二度と起こらないようにと、
一生懸命システムを構築しようとしています。
(方向性が間違っているので、私は反対ですが。)

国民の方も「分娩は安全ではない」ことを知り、
妊娠中の生活態度の見直し
なども始まっています。

そして報道も段々と変わってきました。
  

しかし、警察と検察はどうなのでしょうか?
   
県立病院は補償のためミスを認めようとしていたのです。
というのは、自動車事故で保険にお世話になった方なら
分かる話ですが、保険会社はお金を出し渋るのです。
 
たしかに誰が見ても“責任ある”事故であれば、
文句なくお金をトトンと出してくれますが、
灰色の、あるいはミスのなさそうな、
“そもそも死んでもおかしくない病気じゃないの?”
という病気となるとしつこくミスを認めない限り
出してくれません。
 
ですから亡くなった方の御遺族のために報告書まで作って、
(賠償金を落とすために)ミスを認め、すでに謝罪し、
主治医の加藤先生は減給処分にまでなった。
でも納得してもらえるならいいと思っていたのでしょう。
  
それが。
突然の(ご遺族も頼んでいない)
警察の介入によって保険金支払いは
裁判の最終結果が出るまで延期になってしまいました。
   
それから1年経って突然の逮捕!!!!

もう証拠は全部押さえられてるのだし、
事故調査報告書を作られた時点で
口裏あわせなんてしようがないし、
そもそもそこまで調査して書かないと
保険会社だって素直に賠償金を
出してくれないような病気。

毎日、きちんと病院に出勤していた産科医を
逮捕する理由なんて何一つないのです。
  
   
逮捕→裁判となれば誰だって闘います。
そうしないと犯罪者にされてしまうから。
医師免許もなくなっちゃう!
ご遺族の方も豹変振りにびっくりされたでしょう。
そして傷つかれたはずです。
      
その2年半の間に、産科の崩壊が加速度的に進み、
地方は荒れ、救急医療は萎縮し、
影響は全国に及びました。

ヘリコプター搬送なんて映画の話だったのに、
いまや現実のものとなっています。
福島県の南会津地方には分娩可能な施設は
ひとつもなくなりました。
今回の裁判は注目されていたので
さまざまな情報を入手することが出来ました。

有志で毎回傍聴券の難関を潜り抜け、
傍聴録をアップしてくださっている方々もいました。

ですからどんな判決でも、私たち産婦人科医は
自分たちの判断で無実だと思うだけの話なんです。
(それでもショックで辞める方は続出するでしょうが。)
  
   
ただ警察はこの介入によって、
何を得ようとしたのでしょう?
いたづらに患者さんを傷つけ、
求刑はよりにもよって
「禁固1年と10万円」。
    
「警察・検察は一体、何を反省したのだろうか?」
「不勉強なまま医療を立件することが、
 どれだけ患者さん御遺族の心を傷つけただろうか?」
「全国に広がってしまった産科砂漠について、
どう考えているのだろうか?」

このまま控訴、あるいは控訴されて、
証拠や書類を集めて高裁に送るだけ
と考えているならそれはあまりにも
無責任すぎやしないでしょうか?
  
ある患者側のご高名な弁護士さんがおっしゃられていました。
「あれだけ、高名なその道の専門医が揃っちゃうとねぇ。。。。」
騒がれない民事訴訟であったならば患者さん側にも
勝訴の見込みはあったかもしれません。

でもこの裁判の後で患者さん側の鑑定医を
つとめる人間がいるとも思えません。
医療不信を植え付けたまま、
患者さんの希望をもぺしゃんこに、踏みにじっています。
   
   
ある意味、この事件は冤罪に近いものがあります。
しかも被害は甚大で、
産科崩壊も福島医療崩壊も
風評被害を蒙っています。

まずこの刑事立件によってどんな弊害が
医療界で起きたのか、そして直接市民のみなさま
にどのように影響しているのか。
   
この逮捕が正しかったのかどうか。
    
警察と検察が考えないのであれば、
評価するのは国民のみなさまです。
    
各地でどのようなことが起こりつつあるのか、
刑事立件は事故再発の役に立つのか?
この事件によって何が起こり何を得たのか。
みなさんで考えていきましょう。
 
8月20日、福島でお会いできることを願って。


『大野事件の判決日、福島に集まりましょう!!!』


なお、参加できない方のために
新小児科医のつぶやきのYosyan先生が、
企画を考えてくださっていますから。
こっちも見てみてね!

『2008-08-17 8.20まで後3日』

■メイン企画

シンポジウム
「福島大野事件が地域産科医療にもたらした影響を考える」

メイン企画は国立病院機構 名古屋医療センターの
野村麻実先生が音頭を取って行なわれる立派な企画です。
サブ企画のほうはネットを中心に
8.20を想う人々勝手連的に動くものです。


■サブ企画

1,『ボールペン企画』

「我々は福島事件で逮捕された
産婦人科医の無実を信じ支援します」

という文字が入ったボールペンを周りの人達に配って、
福島大野病院事件の事をみんなに知って貰う企画です。


2,メイル企画
福島メイン企画に直接参加できない方の
声を集めようという企画です。

送って頂いたメイルは「(メイン企画会場にて)
当日読ませていただくか、配布させていただきます。」
予定です。
また現在、被告産科医師医療関係者との
接触を強く制限されている状態ですが、
判決後には接触可能になる見通しで、
なんとかこの集まったメイルを
被告産科医師に届ける見通しも立ちつつあります。
何か「一言でも」と思われる方はよろしくお願いします。

メールアドレスは、こちらですよ!
oono.obs@gmail.com


3,ネット企画
前日の8/19に
「我々は福島大野病院事件で逮捕された
産婦人科医の無罪を信じ支援します。」
のテーマでコメント募集をやります。
他のブロガーの方で協賛して頂ける方が
おられれば協力お願いします。

要領は『2.18』
と同じです。
なお8.20当日はどうするかは、
当日の判決で決めたいと考えています。
と言うか、どうしようかまだ決めていないので
白紙状態ですが、判決がどう出るにせよ、
何か必ず書きます。


4,募金企画
これはメイン企画の支援企画です。
メイン企画は国立病院機構 名古屋医療センターの
野村麻実先生が頑張って出来たと言っても良いのですが、
ある意味学会並みの準備と費用が必要です。

メイン企画実現までには本当に紆余曲折があり、
それこそ幾多の試練を乗り越えて
ようやく実現みたいな感じになっています。

そこでせめて費用の分だけでも
カンパしようと言うのがこの企画です。

某SNS(全医連ではないです)と
某MLだけで行なわれていたのですが、
一般にも募金を広げたいと思います。

募金はメイン企画の運用に使われた後、
精算され残額が出れば被告産科医師支援に回されます。

口座管理及び資金管理は第三者が望ましいという事で、
moto先生にお願いしました。
moto先生はご存知の方も多いと思いますが、
「新小児科医のつぶやき」の
レギュラーコメンテーターであり、
ボールペン企画の主催者でもあります。
募金方法は振込みだけです。

ーー募金は終了しましたので、削除させて頂きました。ーー

メイン企画には参加でないにしろ、
せめて資金援助だけでもしようという方は、
よろしくお願い致します。



医療や医療訴訟について知りたい人はこれを読んでね!
クリックすると、アマゾンに飛びます。

→ 医療の限界
小松 秀樹 (著)


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この記事へのコメント
いよいよ……
Dr.I様>
 いよいよ判決ですね。
 この裁判で「日本の医療の今後」が決まってしまう、と言っても過言ではないと思います。どうか、司法が「正当な判断」を下してくれることを祈りたいと思います。
Lich[URL] 2008/08/18(月) 01:34 [EDIT]
>Lichさん
もう明日になっちゃったけど、いよいよですね。
政党な判断を下してくれれば良いのですが。
Dr.I[URL] 2008/08/19(火) 18:42 [EDIT]

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