現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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8/20,福島のシンポ1
『8.20、福島のシンポジウム0』
で、ちらっと予告した、8/20
福島大野病院事件の判決の後に行われた、シンポジウム
「福島大野事件が地域産科医療にもたらした影響を考える」
の様子です。

午後1時から、福島グリーンパレスっていうホテルで
このシンポジウムが行われたんですけど。
ロハスメディカルの川口さんが、
裁判を傍聴していたようなので。
間に合うのかなー、って心配していたんですけど。
ぎりぎりになって、裁判の傍聴を切り上げて、
シンポジウムに向かってくれたようですね。

聴衆者は150人くらいで、
医療関係者と一般人の割合は半々くらいでしたね。

前にも書いたので、ご存じの方も多いとは思いますが。
今回のシンポジウムの呼びかけ人は、国立病院機構、
名古屋医療センター、産婦人科医師
野村麻実先生

そして司会は、東京大学医科学研究所、
特任准教授の上昌広先生でした。

パネリストは。

○野村麻実 (国立病院機構 
 名古屋医療センター 産婦人科医師
○川口恭 (ロハスメディア代表)
○岸和史 (和歌山県立医科大学放射線医学講座准教授)
○山崎輝行 (飯田市立病院 産婦人科部長)
○宮崎弘美 (産後うつとマタニティブルーの自助グループ:
 ママブルーネットワーク 代表)
○佐藤一樹 (綾瀬循環器病院 心臓血管外科 医師
○加治一毅 (弁護士、医師


席の並び順は、左からこんな感じだったかな。
そいで、基本的には左の方から順に
話をしていっていました。


司会、上先生

本日午前、加藤医師に対する無罪判決が、
福島地裁でありました。
今日この日が、おそらく日本の医療の一つの転換点になる日
だと考えております。

加藤医師及び、ご遺族ご家族にとっては、
非常につらい、この2年半だったと考えております。

本日のシンポジウムでは、医療はもちろん、
地域の皆様、及びご家族、ご遺族の皆様にとって、
この国の医療を少しでも良くしたい。
どうすれば良くできるのか

という事を考えてみたいと思っています。

本日のシンポジウムは、前半の部分は
シンポジストの先生に、短く問題点のご説明、
ご意見を承ります。
その後一時間弱、会場の皆さんと
議論をさせていただきたいと思います。

そして、シンポジストの紹介をして、
最初に野村先生のお話しが始まります。


野村麻実先生

呼びかけ人として、このような会を開かせていただくにあたって、
この会の趣旨を説明させていただきます。

この会が、何故今日でなければいけなかったか、
っていう理由
がありまして。
有罪か無罪かわからない状態で、どれだけの
社会的影響を及ぼしたのか、っていう事を
一度検証してみないといけない大きな事件

だったと思っています。

民事訴訟っていうのは、全国で母体死亡は
年に50件~100件位
、起こっています。
その中で、福島で逮捕というセンセーショナルな事件になって。
それから、産科の崩壊が、私たちのような
都会の産科にとっても、身近に。
真綿で首を絞められるように感じられるようになったのは、
やっぱり、この事件が契機になっていると思います。

それは何でかって言うと、
それは民事ではなくて刑事だったから
無罪か有罪かは関係なく、私たちにとっては。
刑事で有罪ということは、前科者になっちゃうんですね。
普通にやってて、前科者になっちゃう

やっぱり、亡くなってしまう患者さんは中にはいます。
私は幸いにして、まだ亡くなった事はないんですけど。
産科10年やっていれば、1人か2人は死ぬ
って言われていて、運が良い人は当たらないでいく。
っていうような状況なんです。

それを刑事で問われているようではやっていられない。
10年やっていれば1人は当たるんだよ。

っていうような世界なのに、
っていうのがどうしてもありまして。

どうしてこの事件を民事ではなく、刑事で扱ったのか。
結果的に福島県の産科医療がどうなったのか

っていう事を考えていきたい。

それから、報道を通して、どうしても患者さんと
医療が対立
するもののようにみられてしまうんですけど。
そうではなく、病気と戦う時っていうのは、
医療者と患者が手を結んで一緒にやっていくもの
ですよね。

地域医療を守るっていうのも、やっぱり住民と医者が
手を結んで一緒にやっていかないといけないんです。
そういう事を、みんなだんだん忘れていってしまったからこそ、
こういう事件を契機にみんな辞めてしまおう。
って思って辞めてしまっているのかな、
っていうのを少し感じました。


そして、ここから本題です。

【大野事件による福島県の産科地方医療崩壊】

厚生省が10年位前から調べている医師ですけど。
福島県の産婦人科医の減り方は、
全国に比べて酷い(多い)です。


全国的に医師っていうのは、増え続けているんですけど、
福島県の伸び率は、めちゃくちゃ悪いです

それから福島県の施設数(病院、診療所)と
産婦人科の標榜科の変化
です。

事件前と事件後では、産婦人科標榜数は
15.3%、減っています

(病院数は、6.9%減、診療所数は、4.4%増)
圧倒的に減っているのが見て頂ければわかると思います。


「大野事件後、分娩休止した病院一覧」

○公立岩瀬病院
○呉羽総合病院
○福島労災病院
○わたり病院
○県立会津総合病院
○福島県立三春病院
○松村総合病院
○福島県立大野病院
○公立藤田総合病院
○県立南会津病院
○坂下厚生病院
○公立相馬総合病院(10月撤退予定)

2年半で、31→20(10月で19)病院に

今度閉鎖する、公立相馬総合病院も入っていますけど。
これだけの病院がやめて。
医師も事件前には、分娩施設が減るなんて
考えてもみなかった、って言うんですね。
だから、調べてなかったって言って、
分娩施設の数がわかっていた医師会が、
4つしかなかったんですね


それで現在の分娩施設を調べてみると、
こんなような状況になっていました。
グラフにしてみると、一目瞭然ですね。
大野事件後は、ぼこんと減っています。
いわき市の共立病院は、
ハイリスク分娩しか扱っていません。

福島における分娩可能施設の地図なんですけど。
見て頂ければわかるように、南部はほとんど真っ白けっけです。
これは、豪雪の時になると、4時間くらいかけて、
会津市まで行かないといけないんです。

今、緊急医師派遣があって、福島
医師を防衛医大から受けていますけど。
それで、妊婦検診だけを受けられるようにはなりましたけど。
それまでは、ガン検診も会津若松まで行かなければいけない、
というような状況になっています。

それから、いわき市も南部はほとんど
お産施設がなくなった、というような状況です。

茨城県の北の方のお産を支えています日立総合病院は、
年間1200の分娩をとっていますけれども。
この病院は、来年4月をもって閉鎖される事が
決定しています。

栃木県は南側にどうしても多い、というような状況です。
福島県の産婦人科自体が倒れかけなんじゃないかな、
って私は思っています。

ここからどうしていくのか、っていうこと。
今日、無罪で良かった、って。
それは良かったんですけど。
失ってしまったものを戻していくのは、
なかなか難しいと思います。

住民の皆さんが残った産科のスタッフを
どうやって守っていくのか。
そういった事を考えていただきたいな、と思います。

よろしくお願いします。


司会、上先生

本日配布致しました資料は、野村先生ご自身が、
各地区の地方自治体や電話等で取りまとめられた物です。
私が知る限り、福島内の影響について
調べられたものは、これだけだと思います。
今回配布された資料によりまして、
こういう事がこの地域で起こっている。
という具体的なデーターでございます。


という事で、今日は司会の上先生の話と、
福島シンポジウム呼びかけ人の野村先生の話
まででした。
スライドがないのに、文字だけで書いたから、
ちょっとわかりにくくなっちゃったかな。
言葉だけだとわかりにくいので、一部
私の言葉で変更している部分もありますので、あしからず。

8/20,福島でのシンポジウムの様子は、
『2008年8月20日:医療介護CBニュース』
にも書いてありますから。
興味ある人は、こちらも見てね!


大学病院に興味のある人は、これも読んでね!
→ 「大学病院のうそ」 ~現役医師(Dr. I)が暴露する、大学病院の秘密


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この記事へのコメント
数字としてみると……
Dr.I様>
 数字としてみると、今回の事件で失われたものの大きさに愕然としますね。これを取り戻すにはどうすればいいか(取り戻せないかも知れませんが……)真剣に考えないといけませんね。
Lich[URL] 2008/08/23(土) 20:39 [EDIT]
>Lichさん
この逮捕で、直接迷惑したのは、地元の妊婦さんとかだと思うんですが。
あんまり、地元では逮捕に関しては、何か言う人が少ないようなんですよねー、残念ながら。
もう、元には戻りませんけど。
Dr.I[URL] 2008/08/24(日) 22:32 [EDIT]
Dr. I先生シンポジウムの報告御苦労さまです。
私が発表したスライドをテキスト化して
「大野病院事件 無罪判決 前夜、当日、シンポジウム」
http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_35f3.html
に掲載しましたので、参考にしてください。

日経メディカルオンラインの記事は、8月19日に夜になっての配信だったので、読んでいる人が少ないようです。

こちらです、
「警察の不当逮捕が地域医療の崩壊を招いた」
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t020/200808/507554.html

紫色の顔の友達を助けたい[URL] 2008/08/25(月) 22:37 [EDIT]
>紫色の顔の友達を助けたい先生
ありがとうございました。
早速、参考にして記事を書かせて頂きましたよ。
Dr.I[URL] 2008/08/27(水) 00:55 [EDIT]

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