現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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医療ミスと報道ミス
医療ミス医療ミスってマスコミは書くくせに。
自分たちのが行った「報道」に関しては、
報道ミス」って言い方はしないんですよねー。
マスコミは。
俗に言う「誤報」ってやつですね。

ここ一年くらいで、医療に関するマスコミ報道
良い方向に行きつつあると思っていたんですが。
東京で脳出血の妊婦さんが、残念ながら亡くなった件で、
マスコミ報道の本当の姿がわかっちゃいましたかね。

医療でも、時間があるときであれば、
適切な医療、治療ができる場合も多いんだけど。
緊急とか、時間のない時だとその医師の腕の差
っていうのが出てしまうんですよね。

報道でも、じっくり時間をかけて報道する事ができれば、
そこそこの内容を書けても。
他社に負けまい、と一刻を争って報道する場合は、
はっきり言って、質が落ちます。
医療に関しては、私などの医師ブロガーは専門家ですから。
その差が、はっきりわかります。

でも、一部にはそういう時でもしっかりした報道をする
マスメディアがある、っていうのは救いですけどね。

それと、以前にやった報道の内容について、
後から反省する、っていう人達が出てきたのも、
改善した点の一つでしょうか。
   
日本の医療崩壊の一番の原因は、
医療費抑制、医師数削減という「医療政策
だと、私は思っていますが。
その次くらいに、「医療報道」がある、
と私は思っています。

そのマスコミの報道姿勢に対して、
大手ではないけど、マスコミの中の
「日経ビジネス」から反省の言葉が出てきたのは
良い方向に行っている、って思って良いのでしょうか。


         医療の「テレビドラマ」は増えてます。
      でも、「報道」が日本医療をダメにしている?
 
      日経ビジネス オンライン 2008年10月30日
   
脳内出血を起こした東京都内の妊婦が、
緊急時の受け入れ先になっている7つの病院
たらい回しにされて出産後に死亡した問題は、
東京でも深刻な“産科医不足”が、
起きていることを浮き彫りにしました。


■東京都内、7つの病院
 たらい回しにされて死んだ

この“産科医不足”は、今の日本の医療制度が抱える
大きな問題点を象徴しています。
昼夜を問わぬ分娩に立ち会わねばならない
産婦人科医の労働条件は非常に過酷です。

激務のうえに高い訴訟率、少ない診療報酬、
医学生の産婦人科離れなどの要因が重なり、
慢性的な医師不足に陥っているのが現状です。
  
  
■圧倒的に足りないのに
 訴訟が多い産婦人科医

産科医師数は医師全体の約5%であるにもかかわらず、
訴訟件数は約12%を占めています。

示談・民事の損害賠償額は高額で、
医師賠償責任保険を圧迫していると言われていて、
病院内で起きた事故の賠償については、
病院の責任において保険金で支払うことになりますが、
個人の医師が訴えられることもあります。

帝王切開手術中に妊婦を死亡させたとして、
手術を執刀した医師が業務上過失致死の疑いで
2006年に逮捕された“福島県立大野病院産科医逮捕事件”は
今年無罪判決が出ましたが、地域に
“新幹線の駅があっても分娩施設が無い”という現状で、
産婦人科医不在地域の予備軍は現在も沢山あり、
この事件の影響で産科医が逃げ出してしまう
という事態はさらに深刻化しました。

  
■小児救急医療のコンビニ化

小児科開業医師の職住分離が進み、
夜間時間外は診てもらえないことが多いため、
大学病院に、夜間に救急の患者さんが
押し寄せてきている“小児救急医療のコンビニ化
(24時間、気楽に受診できる)”が急速に進み、
重症患者の診療に支障を来したり、
過重労働から辞めていく小児科医が増加するという
深刻な事態を引き起こしています。


■正しく報道している?

このような、私たちの日々の暮らしに
とても密接に関係する医療問題の本質については、
メディアも正しく報道していく必要があると思うのですが、
例えば“福島県立大野病院産科医逮捕事件”
についての新聞の見出しは、以下のようなものでした。

「帝王切開のミスで死亡、医師逮捕
福島の県立病院」(産経新聞)

今年出た判決によると、医師側に過失は無く
“帝王切開のミス”ではなかったということになります。

2006年に逮捕された時点では“帝王切開のミス”
の可能性はあったかもしれませんが、
この断定的な見出しからするとそれは
“誤報”ということになります。

そして、この“誤報”が社会にもたらす
大きな影響をメディアは認識していたのでしょうか?
この事件の報道のトーンにより多くの医学生に、
産婦人科は非常にリスクが高いとの
イメージを持たせてしまった可能性は大いにあります。
実際に、この年の産科医の志望者は4割も減りました。
   
  
■正義の味方になりたがってないですか

また、この事件がきっかけで多くの病院で、
重篤患者に対する“たらい回し”が起こる傾向が強まり、
今回の脳内出血を起こした東京都内の妊婦の
死亡問題に繋がっているとも考えられます。

医療現場における事故を、個人の責任に
帰着させるようなメディアの報道姿勢は確かに
医療ミス”としてスキャンダルが大好きな読者、
視聴者の関心を煽るには効果的かもしれません。

“悪徳医師を断罪する正義の味方”になりたがるのが、
日本のメディアの本質でもあります。

しかし、その一方で、現場で必死に頑張っている
医療従事者の方々に、医療事故のリスクを
必要以上に恐怖訴求することになり、結果、人材不足、
施設不足などを引き起こし、最後に不利益を被るのは
我々国民一人ひとりなのです。

また、患者側も医療が高度化し、患者側の選択肢が
増えている以上、インフォームドコンセントに基づき、
患者自身、その家族はきちんと説明を受けて
納得したうえで治療を受けることが必要となってきています。
  
  
■スキャンダルは要らないです

ワイドショーでスキャンダラスに騒ぎ立てるのでななく、
“事件の本質は何だったのか? 
その事件が起こった背景は何だったのか?”
をつき詰めて、正しい情報を提供していくことこそが、
メディアの役割として重要なのです。

医療現場で重大な問題になっている
“モンスターペイシェント”もメディアが医療事故を
大きく扱うようになり、患者の権利が声高に叫ばれ、
病院で患者が“患者様”と呼ばれるようになった
時期から増え始めたと言われています。

このような患者の存在が、過酷な労働環境の下、
疲弊している医師をさらに追い詰め、結果として
医師偏在や医師不足の原因となっていることを
患者は認識すべきであり、患者サイドとしては
求める医療サービスの限界を知る節度と、
医療機関を選ぶ知恵が求められていることを知るべきです。
  
    
■「チーム・バチスタの栄光」
 「小児救命」「風のガーデン」

医療という公共性の高い領域では、
メディアの果たす役割は非常に大きいと言わざるを得ません。

そんな中で最近非常に気になるのが、
病院を舞台としたテレビドラマが増えているという現象です。
この秋のクールでも「チーム・バチスタの栄光」
「小児救命」「風のガーデン」と3つもあります。

夏のクールも「コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命」
「Tomorrow」がありいずれも高視聴率でした。

中でもこのクールの「小児救命」は、小西真奈美扮する
小児科医・青山宇宙が24時間体制の
“青空こどもクリニック”を開業する物語で、
番組のHPでも今の小児科医不足の現状を訴えています。

しかし、このドラマが、視聴者に
どんな影響を与えるかは未知数です。

例えばこのドラマを見た医学生が“やっぱり小児科は
大変だからやめておこう”と考えるのか
“こんな深刻な状況を自分が変えてやろう!”
と思うのかは分かりません。

小さい子供を持つお母さんたちの“
24時間開いてる病院はやっぱり便利よね”
という安易な期待が高まってしまう可能性もあるでしょう。

ドラマという領域では、マスメディアであるテレビの持つ
大きな影響力は、まだまだ健在です。
そんな中今まさに医療の分野におけるマスメディアが
果たすべき本来の役割を考える時期にきています。


参照:『日経ビジネス オンライン 2008年10月30日(1)』
『日経ビジネス オンライン 2008年10月30日(2)』


ここ数年でインターネットが普及して。
医療に関しては、特に「医師ブログ」の影響は
大きくなったとは思いますが。
所詮、既存のマスコミとは読者、視聴者数が違いますからね。

医師ブログで書いた内容を半年、一年後に
テレビや新聞で報道する。
という形で、より多くの人達に医療現場の事が伝わるのなら、
まあ良いのかな、と私は思っていますが。

スクープっていうか、事件等が発生してから、
あまり時間がかからない段階で報道される場合。
やっぱり、今でもひどい内容が多いですよね。

たらい回し」っていう言葉は、もう使われなくなったかな。
と思っていた時期もあったんですが。
また復活してしまいましたしね。

福島大野病院事件に関しては、
医師の99%が医療ミスではない、と言っている。
裁判でも、医師の無罪は確定した。
という事なのですから。

その時に「医療ミス」と報道したマスコミは、
間違っていたのですから。
「報道ミス」「誤報」なんですよ。

医療ミスではない事例に対して、
医療ミス医療ミス、って報道ばかりして。
自分たちが行った「報道ミス」に関しては無関心。
というのは、やはりおかしいですよ。

日本の医療崩壊を進めた一因であるのが、
医療報道」である。
っていう事は、もうはっきりしているんですから。
医療に関する「報道ミス」に関しても、
マスコミには謙虚に反省して欲しいものですね。


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この記事へのコメント
法で守られた……
Dr.I様>
 全くその通りだと思います。
 いくら、法の下「公共性があり」「その当時報道内容が正しいと信じるに足る情報がある」時は罪を問われないとはいえ、最近のマスコミは速報性を重んじるあまり内容の検証も十分行わずに安易に報道を行いすぎですよね。このままでは、ネット上のメディアに対して「速報性で劣るくせに信頼性ではかわらない」状態になりますます読者・視聴者の支持を失うと思うのですが……猛省を促したいところですんね。
Lich[URL] 2008/11/02(日) 12:21 [EDIT]
>Lichさん
アメリカでは、すでに信頼性に関しては新聞よりもブログ。
っていう風に言われていますからね。
日本も、そうなりつつあるんでしょうかね。

それでも、今はまだ新聞などのマスコミの方が影響力は大きいので。
そこは自覚して欲しいですね。
Dr.I[URL] 2008/11/02(日) 18:29 [EDIT]
一般人として東京のたらい回しの報道には疑問が有りますが、それ以上に医師と救急の対応の仕方に疑問が有ります、あの場合は産婦人科に対応して貰うより脳外科の対応が本当なのでは。
医師の言った言わないで争うより、本質的な事で言い争うべきでは無かったのでしょうか、そうすればそれに基づいた報道がなされたのでは、救急と医師とがきちんとした姿勢を持って報道陣に対応しなくてはと思います。
たぬくまぞうさん[URL] 2008/11/02(日) 21:51 [EDIT]
後からならなんとでも言える、野次馬はなんとでも言える
たぬくまぞうさんへ、
結果的に脳出血だったからといって、まず脳外科医に診てもらうべきだったとは後づけですよ。頭の痛い妊婦はまず全て脳外科が診察ってことになってしまいます。ましてや、妊婦を一般救急で対応しろというのは暴論もいいところですね。
結果論ですよ[URL] 2008/11/03(月) 09:41 [EDIT]
>たぬくまぞうさんさん
いつの時点で脳出血が疑わしかったのか。
そして、それが伝わっていたのか、っていうのは実はわからないんですよね。
後から考えれば、脳外科が最初から、って事になるんでしょうけど。
もちろん、連携にも問題があるとは思いますが。
もっと深いところに問題の根っこはあるので。
そこに問題をすり替えてはいけないと思います。
Dr.I[URL] 2008/11/03(月) 16:04 [EDIT]
>結果論ですよさん
たしかに、結果論ですね。
この場合は、産科医に診てもらったから、子供は助かったわけで。
最初から脳外科医だったら、子供も母親も助からない事もあるんですから。
Dr.I[URL] 2008/11/03(月) 16:05 [EDIT]
いまだに「奈良のたらいまわし」ですものね
胎児が、お腹の中で、干からびていた事案ですら、奈良の「たらい回し」ですからね。

自著でも書いていますが、あの事故は、場合によっては、過失傷害致死が問われる交通事故です。
だから、あの大阪府警ですら、きちんと胎児を解剖し、死因を調べている。
メディアが、府警に解剖結果を聞いてさえいれば、「たらい回しの末、死産」ではなく、「お腹の子供を干物になるまで放置した女なんて、どこも引き受けるわけなかろう」という真相に、すぐに行き着くはずなのですが。

医師でいえば、自分の診断を正当化するために、必要な検査を怠った「誤診」です。
でも、自分たちの「誤診」は隠蔽。そんな隠蔽、捏造記者が医療をよくできるわけないですよ。
くろーばー[URL] 2008/11/11(火) 00:15 [EDIT]
>くろーばーさん
先に結論ありきで、きちんと自分で考える事をしないから、こうなるんですよ。
残念ですけど、期待はできないですねー。
Dr.I[URL] 2008/11/12(水) 02:08 [EDIT]

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