現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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「軽症者に加算金」拡大
「夜間・休日に救急外来を受診する
軽症患者さんから加算金を払ってもらう」

という制度が、徐々に広がっていますね。

これ、「初診料」や「特別の病室」の値段なんかと同じように、
病院が自分達で値段を決めてよいっていうもんなんですよ。
こういうのを「選定療養」って言います。
病院の規模とかにもよるんですけどね。


時間外に病院救急患者を受け入れるのは、
病院がやっている時間以外にも、
病気になる人がいるからです。
命に関わるかもしれないのに、
時間外ですから、って事で患者さんが命を落とす、
という事にならない為に。
そういう時は、病院も時間外でも診ますよ。

というのが、本来の時間外救急外来です。

ただ、「コンビニ受診」、「コンビニ救急」
って言葉があるように。
本来の目的とは違って、軽症患者
気軽に時間外にも病院に来る人
が、
最近増えています。

その結果、重症患者に全力を注ぐべき医者が、
大量に押し寄せる軽症患者の為に
力を使ってしまい疲弊する。
重症患者も、場合によっては手遅れになる
という事が、実際に起きています。

そうなったら困りますよね。
重症の患者さんはもちろん。
医師が疲弊して、病院から立ち去ったら、
他の患者さんも困りますからね。

そうさせない為の有効な手段が、
軽症患者からは、お金を多く取る」
という方法です。


『時間外重症患者割引制度』
の記事をはじめ、
このブログでも何回か書いていますけど。

医療崩壊の原因は、医師不足と医療費不足です。
医師不足というのは、他の先進国等と比べて、
人口当たりの医師が少ない。
という、医師の絶対数の不足

それと、患者の数が多くなりすぎて。
1人の医師が診る患者の数が多くなってしまった。
という、相対的な医師の不足

この両方なんですよ。

本当は、それに加えて、事務仕事等の仕事も含め、
医師の仕事が多すぎて、医師の数が足りない。
という問題もあるんですけどね。


私が提案しているアイディアと全く同じ形で、
時間外加算金を取っている病院はないんですけど。
軽症患者からは、多めに料金を取る、
っていう病院が増えてきているようなので。
ちょっと注目してはいたのですが。
ちょうど、読売新聞が、まとめてくれましたね。



救急外来「軽症者に加算金」拡大、
夜間・休日医師の負担軽減
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000062-yom-soci

緊急性がないのに夜間・休日に救急外来を受診する
軽症患者から、全額自費の
時間外加算金を徴収することを
地方厚生局に届け出ている病院が、
123施設に上ることが読売新聞の調査で分かった。

制度は1992年に始まったが、
最近5年間で76施設も増加。
このうち最も多かった理由は軽症患者の抑制で、
44施設と6割近くに上る。

医師不足などで患者の「たらい回し」が相次いでいるほか、
軽症患者が安易に病院に行く
「コンビニ受診」が問題になっているが、
勤務医の負担を軽減するための
“自衛策”が広まりつつある。

時間外加算金は、例外として
保険適用外が認められた制度。
医療機関は、管轄の地方厚生局に届け出れば、
緊急性がないと判断した患者から徴収できる。

本社が12月1日時点で調べた。
過去5年間に届け出た病院の設定額は
8400円~300円。
7施設は徴収を始めていない。
夜間・休日の軽症患者の受け皿としては、
地域の夜間診療所や当番医がある。

時間外加算金を徴収している複数の病院によると、
軽症患者
病院の方が安心でき、夜だと待ち時間が短い」
「当番医は毎日変わるので、分かりにくい」
などとして、病院に来るという。

最高額8400円を徴収しているのは、
山形大医学部付属病院(山形市)。
今年5月には840人いた時間外の患者は、
徴収を始めた6月以降、毎月600人台に減少。

一方で、このうち入院した重症患者は、
5月の119人から128~156人と増加した。
同大は「金額は、大学病院としての役割、
医師の人件費などを勘案した。」

「入院患者が増えたのは、
医師に余力が生まれたからではないか」
(医事課)としている。

静岡県の志太榛原(しだはいばら)地域では、
焼津市立総合病院など4自治体病院が、
足並みをそろえて今年4~6月にかけて導入。
いずれの病院も時間外の受診者数が
前年比で1~3割減った。

 
[解説] 

「コンビニ受診」に歯止め

患者にすれば時間外加算金など、ない方がいい。
それでも徴収する救急病院が急増している背景には、
軽症にもかかわらず、夜間・休日に気軽に来院する
“コンビニ受診”が、勤務医を疲弊させている事情がある。

軽症患者が増えると、重症患者への診療に
支障をきたしかねない。
保険証一枚で自由に診療先を選べる
「フリーアクセス」が認められているとはいえ、
病院での専門的な治療を求めようとする軽症患者に、
病院側が待ったをかけた格好だ。

徴収を始めた病院では、時間外の患者が減る一方、
重症患者が増加するなど、効果が出ている。
目立ったトラブルもないが、緊急性や症状の軽重など
徴収の条件を巡って、一部の患者から、
戸惑いや不満の声も出ているという。

過剰な受診抑制につながりかねない懸念もある。
埼玉医大総合医療センター(埼玉県川越市)は
今年6月からの徴収を昨秋に公表したところ、
制度が始まったと勘違いし、受診を控えていた
軽症者の症状が悪化したケースもあり、
現在も徴収を保留している。

兵庫県立柏原病院(兵庫県丹波市)では、
周辺の住民グループが地域で
コンビニ受診を控えるよう呼びかけ、
時間外の軽症患者が減った。

医療崩壊に歯止めをかけるには、患者側も
「医療は公共財」と認識し、
モラルある行動をとることが求められる。
(地方部 菅野薫)


時間外加算金 

医療機関が金額を設定し、表示した診療時間以外
(深夜、休日など)に受診した患者から徴収できる。
掲示や窓口で事前に患者に知らせ、
同意を得る必要がある。

救急搬送のような緊急性が高いケースや、
地方厚生局に申請のない医療機関では、
通常の保険適用の時間外料金
(初診時850~4800円)がかかり、患者は3割負担。


『2008年12月28日 読売新聞』



この制度に対して書くと必ず、
「お金を高いからって病院にいきずらくなって、
軽症患者が悪くなったらどうするんだ。」

っていう話なんですけど。

じゃあ、
「今、軽症患者が大量に押し寄せて、
そのせいで重症患者にしわ寄せが行っているのは良いのか。」

軽症患者が大量に時間外に来て、
医師が疲弊して病院を辞めていくのは、放っておいて良いのか。」

って事になるんですよ。

現時点で困っているのを放置するのか。
それとも、これから困る一部の人をどうするのか

結局は、どっちを重く見るのか、って事だと思いますけど。
私は、軽症患者から料金を多く取って、
患者の数を抑制した方が良い
と思いますよ。



ちなみに、「軽症患者の数を抑制したい」
って思って、この制度を導入するのであれば。
ポイントとなるのは「値段」です。

>過去5年間に届け出た病院の設定額は8400円~300円。

って書いてありますけど。
はっきり言って、300円だったら、
全く効果ないと思いますよ。
というか、むしろ逆効果の可能性があります。

金払ってんだから、診てもらって当たり前。
という患者が増える場合がありますからね。


地域や病院によると思いますけど。
せいぜい、5000円とか、1万円位が良いとこだと思います。

それと、これやったら、
病院経営にも効果がありますよ。」
もちろん、値段によるんですけど。

時間外に病院に来る軽症患者の単価って、
せいぜい5000円
か、その位だと思います。

それで、時間外加算金が5000円だった場合。
簡単に言って、患者の数が半分になっても、
経営的には同じ
、って事になりますからね。

医師の疲弊は軽減されて、病院経営的にも効果的。
という方法ですから。
赤字だ赤字だ、っていろんな病院で言われているんですから。
早く導入すれば良いんですよ。
文句ばっか言っていないで。

そしたら、病院の勤務医の疲弊も軽減されて、
場合によっては、医師の数が増える場合もあるんですから。

逆に、時間外に軽症患者ばっかり大量に来る病院って、
医者からは、あまり人気ないですから。

そのまま放置して、どんどん医者もいなくなって、
新しい医者も来ない、って事も多いと思いますよ。


今後、日本中で、この制度が進むのか、どうなるのか。
注目していきたいと思います。


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この記事へのコメント
軽症患者には……
Dr,I様>
 軽症患者への加算、止む終えないですよね。
 医療が深刻jな資源制約を受けている以上「全てを満たす」ことは不可能な訳で、その分をこうした手法で解決するのは正当だと思うんですが、どうしても変な正義感が広まっているんですよね(嘆息)。
Lich[URL] 2008/12/29(月) 00:45 [EDIT]
入院が増えますか
経営的には軽症者も来て欲しいので踏み切れないでいたのですが、入院が増えるのであればその方が良いですね。
院長に進言してみます。
bamboo[URL] 2008/12/29(月) 11:24 [EDIT]
大局的には。。。。
今の医療環境を考えると、大局的にはやむを得ないですね。

追伸:「朝日新聞」、「読売新聞」で紹介されたブログですか。すごいですね。びっくりです。
金沢大学 血液内科 呼吸器内科[URL] 2008/12/29(月) 15:44 [EDIT]
>Lichさん
今、安い値段で時間外に病院にかかっている人は、反対するんでしょうけど。
これも、既得権益になるんですよね。
そのほか大勢の人たちの税金を使ってる、って事に気づいてもらわないと。
貴重な医療資源を無駄遣いすることになるんですけどねー。
Dr. I[URL] 2008/12/30(火) 20:31 [EDIT]
>bamboo先生
単純に、単価が上がることになるので。
いくらにするか、って事にもよりますけど、収益も良くなると思うんですけどねー。
値段設定が、ちょっと難しいですけどね。
でも、それはいろいろやればよいだけの話なんで。
何もやらない、っていう選択肢は、私ならしませんね。
Dr. I[URL] 2008/12/30(火) 20:48 [EDIT]
>金沢大学 血液内科 呼吸器内科先生
どこかで線引きをしないと、パンクして全部なくなっちゃうこともあるんで。
やむを得ないかな、と思いますよ。

新聞に載ったのは、1,2年前ですけどね。
読売新聞は、あんまり良い紹介のされ方じゃないし。
Dr. I[URL] 2008/12/30(火) 20:49 [EDIT]
同感です
徴収すべきでしょう、時間外料金は。
コンビニのように従業員が完全に抗体で割り当てられるようになれば別かもしれませんが、現状では仕方ないことですし。

軽症にリソースを使いすぎて重症が診られなかったりミスされちゃったりするのが一番痛いわけですから、ある程度のフィルターをかけておかないと・・・。
「受診抑制で手遅れになったらどうすんだ」って意見もあるでしょうが、大局的に見れば全国の救急施設で導入すべきです。
RDM[URL] 2009/01/02(金) 00:56 [EDIT]
制度に賛成です。
低所得者層への配慮は、
領収書を持って役場へいっていただくというシステムを作ればよいわけですから、
早めに導入すべきだと思います。

本当は、こういう声が住民から上がってくると、病院側もやりやすいでしょうね。
はるちゃん[URL] 2009/01/03(土) 12:01 [EDIT]
>RDM先生
ある事をやろうと思ったら、必ず不利益をこうむる人も出るんですが。
現在、どうしようもなくなっているんですから、総合的に見て判断するべきだと思いますね。
こういうのは、絶対に重症患者を優先すべきなので。
Dr. I[URL] 2009/01/04(日) 20:13 [EDIT]
>はるちゃんさん
本当に経済的に恵まれない人は、別のセーフティーネットを作るべきであって。
お金もあって軽症の人は、それなりに払うのが当然だと思いますね、私は。
住民側から声が出れば最高なんですが、今のとこ聞いたことないですねー。
Dr. I[URL] 2009/01/04(日) 20:15 [EDIT]
久しぶりにコメントさせて頂きます。おっしゃる事よ~くわかります。本当に、受診心得というか患者教育が必要だよな、と思う事はよくあります。私、外来ですが、医療費の無駄遣いだよね、と思う患者さんいますよ。老人保険の方ですが、前回来院時から2週間も経たない内に、3月分出してる薬をまたちょうだいと来られ、訊ねると「えっ?そうだったっけ?今日は他の科に来たから、もう薬なかったかと思い、ついでに寄ったの。」来院時は、よく薬を確認してくるように話すと、薬袋から出して他の科の薬とゴチャゴチャで缶に入れてるから、よくわからないと、おっしゃる。初めに声かけた時も、当の本人は黙っててご友人とやらのお婆様がノンストップで喋る喋る。思わず、受診時は薬を確認の上で・薬袋から薬は出さずに自分の薬は覚えましょう・自分の事は自分で返事をしましょう・老人保険は皆の税金で賄っていますからより良い使い方をしましょう、とあくまでニコニコ説教して帰しましたけど。何年も来てないのに再診だ、初診料を払いたくない、とか。風邪でも平気でそういう方いますから。本当に時間外受診を含め医療費を含め、皆で医療を守るという意識を患者さんにも持って欲しいものです。長々とすみ
クローバー(某所で略してピンクロ)[URL] 2009/01/06(火) 22:03 [EDIT]
>クローバーさん
正直言って、病院に来るな。
って人はいますねー。
やはり、限られた資源っていうことを、国民も行政も自覚しないと。
ホント、無駄に消費したら、なくなっちゃいますよ。
Dr. I[URL] 2009/01/10(土) 00:29 [EDIT]

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