現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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国立がんセンター麻酔科問題
昨年、日本で最大級のがん治療施設
国立がんセンターから、
常勤の麻酔科10人のうち半数の5人が辞めました。


今の時代。
どこの地域でも医師不足ですから。
どこだかの病院医師が減った。
なーんてのは、正直
聞き飽きていましたが。
さすがに、日本でもトップクラスの病院
国立がんセンターで、
麻酔科医の半分が辞める
っていうのは、
尋常ではないですよね。
このニュースは、衝撃的でした。

一応、新しい先生を呼んで、
今は以前と同じペースくらいで、
手術を行っているようなんですが。

所詮、根本的な解決策をとった、
という訳ではないですから。
この状態がいつまで続くかわかりません。


『産科医療のこれから』っていうブログ。

このブログでも、何回も記事を引用
させていただいておりますが。
このブログだけ読めば、
今一番タイムリーな
日本の医療ニュース

ほとんど全て把握できるだろう。
と言っても過言ではないほど、
素晴らしいブログです。

当然の事ながら、アクセス数なんかも
医師ブログの中では、日本でトップクラス

医療ニュースを集める、
というブログの性質上、
著者の僻地の産科医先生
個人的な感想や意見。
というのは少ないのですけどね。
特に、産科以外の事では。

今回は、麻酔科の話なんですけど、
珍しく、僻地の産科医先生の考えが
ブログに書いてありました。
なるほど、と思う面も多々あるので、
ここで引用させてもらいますね。



がんセンター 麻酔科問題の記事に関して
(投稿:by 僻地の産科医)

昨日、お送りした
『麻酔科医が連携し、がんセンター手術部門を再建』
  
の記事について、いろいろな意見がありました。
  
くらいふーたんさまの、
『サッカーと地域医療の部屋:確かに「再建」だ』

とか。
中には
「非常勤でこのまま頑張ったらどうかなぁ。」
なんて意見もありました。

常勤に示せるだけのプライオリティが
もはやがんセンターには
ないんじゃないか?
このまま私学に甘えては?
というご意見でしたけれど。

でもこの態勢は
持たないんじゃないかな?
というのがわたしの感想です。
   
  
まず、
宮下先生は潰れるんじゃないか
という心配をしています。
巨大なシステムエラーを、
一人の個人の努力と、個人的なツテで
ナントカしようとしているから。
 
一人で竹やり握ってB29に
立ち向かおうとしている
ようにしか見えないんです。
    
また変えようとしている人間は、
もう元気に中年以上に
なった方々(権限つき)
そう簡単に変えられません。
  
現場に近いコメディカルでも
人を変えるのは難しいのです。
現場から遠い役人さん、
しかも相当数のエリート様方を
現場の医師の力では変えられません。

それから、
「大学教授までお手伝い」
という記述をみてピンときました。
「バイト料、相当低いな!」ってこと。
「教授がやる」
「それなら、仕方がない。
医局員も頑張ろう」
とならざるをえないのを狙ってないかな?

他の会社だって、社長が他社の前の
どぶさらいを善意でしていたら
内心どうあれ、過労死寸前でアレ、
やらざるをえないでしょ?

そういうことなんだと思ったんです。
      

「結局お金か」と思われそうですけれど、
人間には限られた時間しかありません。

大学院生は、
「学費払って」
「大学病院でただ働きさせてもらってる」
立場であり、

・生活費
・学費
・医局費
・学会会員維持費
(専門医維持、あるいは専門医とるための)

を捻出しなければならず、
臨床(ただ働き)の合間にできた
わずかな時間の中から、
「卒業できるように研究も論文が
仕上がる程度には
 しなくてはならない」
時間も多少残しつつ、
残った時間を家族のために
切り売りして、人がいいヤツは
断りきれずに当直増やして、
家にあんまり帰れなくって、
そんな馬鹿みたいな、
身体の切り売りみたいなことやっているんです。

人手は余っていないし、
時間も余ってない。
ちなみに保障もない。
(過労死しても、
労災を認められるとは思えず)
   
「バイト」代は自分の時間と
身体そのものの切り売りです。
だから「不当」に安いのは、
自分の大安売り。
   
そんなの長続きしないし、
私学の好意だっていっても、
教授だってこんな所抱えていることで、
大量脱局されることだって
ありえるわけですから、
かなり危ない橋を渡っています。

承知でしょうけれどね。
長続きしません。
そもそも麻酔科含めて、
産婦人科もそうなんですけれど、
崩壊している科って、
すごく非常勤(バイト)のお値段がいいのです!
常勤の2-3倍。
しかもオンオフしっかりしている。

経済というのは
「需要」と「供給」で決まりますから、
代務料は法外に上がり続けています。
同じ相場なのは水商売くらい
じゃないかと思います。

水商売の時給知りませんけれど、
同じくらいじゃないかな。
たぶん。
   
国公立機関には
この速さについていけません。
いくら努力しても「鼻で笑われる」ような
代務料しか出せないんです。
(上げようとしても手続きが面倒くさく、
裁量に時間かかりすぎます。
その間にも人は辞めますし、
常勤医はボロボロになっていきます)

その態勢でボロボロでも
とにかく走り続けるがんセンター。
本当の所は「再建」どころか、
ヤバイ臭いしか感じられません。

頑張っていらっしゃるのは認めますけれど。
(私にも覚えがあります)
   
だけど。
自分ひとり頑張ればいい状況なら
ともかく、みんなを動かして、
説得して、状況変えるための
交渉もして、正直、
身が持たないのじゃないのかな?
と思います。

だからって、宮下先生
(面識ありません)を
応援していない訳ではなく
単に心配しているだけ
なのですけれどね。
  

巨大なシステムエラーを、
一人で支えるのは無理です。
甘えで長続きさせるのも無理です。
これを「再建」というなら、
土台工事の危うい再建です。
   
どうか、周りの方々に
お願いしたいのは、
宮下先生を孤立させないように
「気を配ってあげてください」
ということです。

そして代務料をできるなら
速やかに市場価格まで上げてください。
代務料は、代務医のために
払うのではありません。
残ってくれている
常勤医のために払うのです。
常勤の手当てを引き上げるのは、
その常勤医のためではありません。
「次の常勤医」を
呼んでくるために上げるのです。
  
宮下先生を使い捨てないで下さい!
多くの医師と同じように、
使い捨てないでください!
   
どうか、事務方一丸となって、
がんセンターを支えて
くださるようお願いいたします。
そうでなければ、手技的に難しい
症例の患者さんたちは
どこへいったらいいのでしょうか?

がんセンターが普通の病院に
なってしまってはいけないと思います。


『がんセンター 麻酔科問題の記事に関して』



当たり前の事ですけど。
医療を行うのには、お金がかかります。
まあ、これは医療だけに限った
事ではないですけどね。

更に、最高の医療を行おうと思ったら、
もっとたくさんのお金がかかります。


料理に例えればわかりやすいかな。
最高の日本料理とか、
最高のフランス料理を
食べようと思ったら、
すごく高いお金がかかるでしょ。
医療もそれと同じなんですよ。

国立がんセンターっていうのは、
日本でも最先端のガン治療を行う病院
そういう病院ですから。
めちゃくちゃ高い抗がん剤とか。
そういう薬もたくさん使って、
すごいお金がかかります。

でも、「国立」ですから。
そこで働いているのは
公務員」なんですよ。
医師も、他の職員もね。

公務員」というのは、年功序列で、
クビになる事もありませんし。
給料も高いんですよ。

国立がんセンターでも、
医師以外の給料は、
他の公務員と同じです。
そいで、非常に高価な抗がん剤とか、
そういうのをたくさん使うから。
いわゆる「材料費
というのもかかります。

そうなると、当然支出が多いので、
赤字になりますね。

医療っていうのは、
消防や警察と同じ様に、
国民の健康を守っているもん
ですから。
赤字になっても構わない。
と、個人的には思うのですが。

小泉首相以降、医療にも競争を求めて、
赤字の病院は悪だ
という事になってしまいました。

ずっと前からだから、それで、
っていう訳ではないんですけど。
一般的に、国公立病院の方が、
医師の給料は安い
んですよ。
民間病院よりも。

国公立病院の方が、
医師の給料は安いけど、
それ以外の職種の給料は高い。

というのは、全国どこへ行っても
ほとんど一緒です。


特に、国立病院の給料はすごく安くて。
国立がんセンター医師の給料も、
とても安いようです。

国立がんセンターのホームページを
見たのですけど。
やっぱ、医師募集していますね。
麻酔科医も。

「国立がんセンター、職員募集情報」


普通、こういうのって条件も載せるのですけど。
あまりに低いから、条件を書いたら
誰も募集しないっ
ていうのがわかっているのか、
具体的な年収見込みとかは、
書いていないようですねー。


まあ、それは良いとして。

国立がんセンターの場合。
一年間で手術の数が5000例くらい。
と、症例は豊富なんですよ。

麻酔科医の場合、症例が多い、
というのは、経験が積める。
という事ですから。
むしろ、悪い事ではないんですよ。
病院全体からしたらね。

医者じゃなくても、職業を選ぶ時って、
誰でも「やりがい」とかは大事ですよね。
経験が積めるとか。

もちろん、それは医者でも一緒です。
というか、普通の職業以上に、
経験を積めるとか勉強できるとか、
やりがいがある、っていうのが
非常に大事だと思いますよ。
医師の場合は。

それと、「給料」っていうのも、
当然考えますよね。
医師以外の職業でも、

医師でも、それはもちろんなんですが。
「給料」が一番大事だ、
という人は、むしろ医者では少ないです。

んで、国立がんセンターの場合。
症例は多いので、経験が積める、
勉強ができる、っていう条件の方は
むしろ満たしているのですが。

逆に、手術の件数が多すぎる。
というか、手術数が多いのは良いけど、
麻酔科医の数が足りなすぎる。

というのが、問題なんですよ。

麻酔科医の数が足りないから、
1人の麻酔科医が
同時に麻酔をかける、
並列麻酔」というのが、
日常的に行われていました。

建前上は、手術中は研修医がいる。
という形なので。
建前的には「並列麻酔」とは
言わないのかもしれませんが。
実際には「並列麻酔」が
行われています。

これ、素人が考えてもわかるけど。
とても危険です。
日本麻酔科学会も、
原則禁止しています。

ただ、麻酔科医の数が足りないので。
実際問題、しょっちゅう行われている。

しかも、問題が起きたら、
医師個人の責任。

というような形です。

上にも書いたように、
国立病院ですから。

医師の給料は安い。
そして、手術の数もとても多くて、
麻酔科医の数も足りないから。
麻酔科医の仕事はとても大変。
更に、並列麻酔という危険な事も
やらされている。


というような状態ですから。
こんな条件では働けない、
という麻酔科医が出て当然ですね。

小泉改革以降、病院にも
競争原理
が導入されましたから。
こういう病院は潰れて当然、
という国策があったわけですから。
その流れで、麻酔科医も辞めた
という形でしょうかね。

『麻酔科医が連携し、がんセンター手術部門を再建』
にも書いてある通り。

国立がんセンター中央病院に、
麻酔部門の責任者として
元横浜市立大麻酔科准教授の
宮下徹也先生が就任されたようですが。

根本的な解決策はとられていません。
残念ですけどね。

問題点は、
手術数が多いのに、
麻酔科医の数が少ない。

これに尽きます。

何故少ないか、っていうと。
別のブログやサイトでも、
いろいろ書かれていますけど。

医師の待遇が悪い。
これが一つ。
もう一つは、上でも書いたように、
医師の給料が安い。

これでしょうね。

手術の数が多い訳ですから。
やりようによっては、医師がたくさん
集まる職場になる
可能性があるんですよ。
国立がんセンターっていうところは。

実際、麻酔科医以外の医師は、
安い給料なのにも関わらず、
ものすごくたくさんいます。

でも、麻酔科医の場合は、
医師の待遇も改善せず、
給料も上げていない。

なので当然の事ながら、
麻酔科医の数も増えていない。

という事ですから。
全く根本的な解決策はとられていない。
っていう事なんですよ。

僻地の産科医先生
書いているように、


>「大学教授までお手伝い」
という記述をみてピンときました。
「バイト料、相当低いな!」ってこと。
「教授がやる」
「それなら、仕方がない。
医局員も頑張ろう」
とならざるをえないのを狙ってないかな?



どうやら、バイト代も安そうですね。
そりゃあ、医師は集まりませんよ。

教授がやっているから、
最初はしょうがなくやっていたとしても。
人間、それだけじゃ続きませんから。

国立がんセンターですから。
国が管轄しているって事ですよ。
なにせ「国立」なんですから。

でも、もしまた麻酔科医
いなくなったら、
結局この宮下先生に罪をなすりつけて、
また同じ事を繰り返すんでしょうねー。

宮下先生一人が竹やり握って
B29に立ち向かっているのに。
負けたら、根性がない、

とでも言うんでしょうかね。


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この記事へのコメント
やはり……
Dr.I様>
 う~ん、国立がんセンターでもその状態ですか……。
 やはり、「いい仕事をしてほしければいい環境を整えねばならない」んですが、その辺の自覚が、上層部にはないんでしょうね。もう、どうしようもないんでしょうか……(嘆息)。
Lich[URL] 2009/02/02(月) 09:01 [EDIT]
教授のバイト代が一件20万で
医局員が逝くと一件2万になると言うからくりでもあるんじゃないですかw 
 この辺が大学医局の人とカネの闇の部分ですから
元外科医[URL] 2009/02/02(月) 10:12 [EDIT]
>Lichさん
やっぱ、上層部が駄目だと、何やっても駄目ですよね。
Dr. I[URL] 2009/02/02(月) 23:51 [EDIT]
>元外科医先生
やはり、そういうからくりがあるんでしょうかねー。
Dr. I[URL] 2009/02/02(月) 23:53 [EDIT]
他のブログでも同じ事見ましたが・・
何でこうなるんでしょうか?
医師が不足って以前からどこでも言ってるのに・・・
何で対策取らないんでしょうか?
しんじられない・・
ゆう[URL] 2010/03/09(火) 00:56 [EDIT]
>ゆうさん
医師の代わりなんてどこにでもいる、って思って、使い捨てにしている人間がいるんですよ。
残念ながら。
Dr. I[URL] 2010/03/15(月) 22:24 [EDIT]

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