現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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何故臓器移植法改正案(A案)で15歳未満から臓器提供が可能になるのか
臓器移植法改正案(A案が衆議院で賛成可決されて、
15歳未満の子供の臓器移植が可能になるかも。
っていう事が、新聞やテレビなんかでも
報道されていますけど。
実は、詳しくわかっている人って少ないんですよね。

これ、法律医学と両方に関わってくる事だから。
医者は、医学に関してはわかるけど、
法律には疎い人がおおいですし。
逆に、法曹関係者医学に関しては
知識が乏しいですから。
両方きちんとわかる人は少ないんですよ。

衆議院を通過して、このままの案で参議院も通れば、
それで良いんですけど。
良くわかっていない人が作る対案になっちゃうとか、
解散総選挙がその前に行われたら、
そのまま子供の臓器移植は出来ないんですよね。
残念ながら。

子供の臓器移植以外でも、「脳死は人の死
っていう話ばっかりメディアでは取り上げられているけど。
本当のとこはどうなのか、っていう事を
詳しく説明している方がいらしたので。
本人の許可を得て、引用させていただきますね。

いろんなコメントから引っ張ってきたので、
つなげ合わせたらちょっと主旨が違ってる、
っていうところもあるかもしれませんが。
クリアーカットに書いてあって、
かなりわかりやすかったんで。
基本的にはそのまま引用させていただきますね。

法律論に入ると、ちょっとややこしいですけど。
興味のある人は、読んでみてね!



本人の承諾の遺言(ドナーカードでのOKの意思表示)と、
遺族の同意の両方が必要
というのが、
現行の臓器移植法のスタンスです。

これを整理すると下記の通りであり、
①のaに該当したときだけ臓器提供が可能とするのが現行規定です。


①本人が事前に同意の意思表示(承諾のカード所持)があった場合 
 a:遺族も同意→臓器提供OK
 b:遺族が不同意→臓器提供ダメ
 c:遺族が特定できない→臓器提供ダメ


(厳密に言うと、こうなります)

①’本人が事前に脳死判定と脳死での摘出に同意の意思表示
 (カードの赤1番に○印記入)だった場合
 a:家族も同意→脳死を死亡と容認、脳死判定を行い、脳死摘出OK
 b:家族が不同意→脳死を死亡と認めず、脳死判定ダメ、脳死摘出ダメ
 c:家族が特定できない又は
   家族がいない→脳死を死亡と容認、脳死判定を行い、脳死摘出OK
   ※:実際には、家族が後日名乗り出た場合のトラブルを想定し、
    家族の同意が得られないcのケースは、コーディネーターが避ける

①”本人が事前に脳死での摘出は拒否するが、心停止後の提供に同意
 の意思表示(カードの赤2番に○印記入)だった場合
 a:家族も同意→心臓停止を待って死亡を確定、心停止後の摘出OK
 b:家族が不同意→心臓停止を待って死亡を確定、心停止後の摘出OK
   ※:実際には、コーディネーターが家族の同意を得た上で摘出する
 c:家族が特定できない又は
   家族がいない→心臓停止を待って死亡を確定、心停止後の摘出OK

②本人が事前に拒否の意思表示(カードの赤3番に○印記入)だった場合
 a:遺族も同意→臓器提供ダメ
 b:遺族が不同意→臓器提供ダメ
 c:遺族が特定できない→臓器提供ダメ

③本人の事前の意思表示が不明(記入が有効なカード無し)だった場合
 a:遺族が同意→臓器提供ダメ
 b:遺族が不同意→臓器提供ダメ
 c:遺族が特定できない→臓器提供ダメ


で、現行ではカードの意思表示の有効性は、
15歳以上に限ることになっていますので、
本人が15歳以下の場合は③として扱われますので、
遺族の同意があっても臓器提供は出来ません。

またホームレスなど身よりの無い人、
遺族に確認取る時間の猶予も無く死亡した人の場合は、
cに該当しますので、カードの記載がどうあれ、
臓器提供はできません。


なお、①でのカードでの臓器提供承諾は、
実は2種類あって、カードの赤1番に○を付けたときは
脳死での臓器提供、すなわち心臓停止前の臓器摘出
同意することを意味します。
そしてカードの赤2番に○を付けたときは、
脳死での臓器提供は拒否だが、心停止後の臓器提供には
承諾の意思表示になり、心停止後に限って
臓器摘出に同意していることを意味します。

では今回の改正で、上記の①②③の何処が変わったのか、
それは③での扱いです。
下記の通り③のaの場合が今回の改正で可能になった部分です。

①本人が事前に同意の意思表示(承諾のカード所持)があった場合
 a:遺族も同意→臓器提供OK
 b:遺族が不同意→臓器提供ダメ
 c:遺族が特定できない→臓器提供ダメ
②本人が事前に拒否の意思表示(カードの赤3番に○印記入)だった場合
 a:遺族も同意→臓器提供ダメ
 b:遺族が不同意→臓器提供ダメ
 c:遺族が特定できない→臓器提供ダメ

③本人の事前の意思表示が不明(記入が有効なカード無し)だった場合
 a:遺族が同意→臓器提供OK

 b:遺族が不同意→臓器提供ダメ
 c:遺族が特定できない→臓器提供ダメ


15歳未満の場合は、カードでの意思表示、
すなわち生前の意思表示(法律上は遺言としての性格を持つ)が、
民法961条で無効とされます。
ですので、15歳未満の場合は自動的に③の扱いになり、
③のa:遺族が同意(書面での同意です)があれば
臓器提供がOKとなります。

変わった部分はここだけです。


すなわち改正後は以下のような流れになります。
①家族の同意による脳死判定の実施
→②手順通り2回の判定で脳死確認
→③法律的には死亡として扱う
→④死亡だから遺族の同意により臓器提供
脳死での臓器摘出)が可能となる




これを、法律的な面から詳しく解説したのが、こちらです。



臓器移植に意思表示カード何故必要か、
そして何故15歳未満が現行の
臓器移植では対応できないのか?
この点について少し法律的な面から解説してみます。

先ず、臓器移植という特別の法律が何故必要なのか?
これを考える上で、昭和43年の札幌医大の
和田寿郎教授が行った、日本最初の心臓移植手術での
騒動から考察しなければならない。


そもそも日本の法律では人間の死は何時であるのか?
この死亡時の特定というのは、医学的というよりは、
法律的には大きな意味を持つ


例えば法律的な死亡が何月何日の何時何分何秒で、
誰それの死亡の時日より前か後かによっては、
相続の権利や順位に大きな違いが生じることがある。

また、死亡の前にその人間の身体を傷つけたら
それは刑法の傷害罪になるが、死亡の後であれば、
それは死体損壊罪
である。

その為に法律や裁判の判例によって、
日本では「心臓停止の時が死亡の時」と定義されてきた。
すなわち心臓が動いていれば、その人間は
法律的には生きているとされてきたのである。


ところが和田教授の心臓移植手術の時、
まだ心臓が動いているドナーから心臓を摘出したため、
殺人罪で告発
されることになった。

これは平成9年に臓器移植で、脳死も法律的には
死亡であると定義
され、こうした臓器移植での
ドナーに対する臓器摘出が、傷害罪や殺人罪に
問われるおそれは回避されることになった


ただし、脳死を法律的に定義しても認めても、
まだ移植用臓器を摘出する行為が
死体損壊罪に該当する懸念がある。

ここをクリアするために平成9年の臓器移植法では、
生前の本人が、予め脳死での臓器提供
明確に意思表示しておくことで、
死体損壊罪を免れるように法制度を整備した。


すなわち、12年前に制定された臓器移植法は、
移植医がドナーに対する殺人罪や
傷害罪に問われないように、ドナーの治療を
目的としない生きている肉体への侵襲行為を、
法的に免責する目的が一つあります。


その上でドナー脳死が法的な死として
認めた場合でも、臓器摘出により死体を
損傷する罪に問われる可能性を、
臓器移植は免責しているのです。


で、この法的免責の根拠として使われた法理が、
民法の「遺言」の規定です。
すなわち臓器提供を自ら容認する者は、
その自己の意志を自筆で記載した
遺言状」を作成しておくのです。
その民法の自筆遺言状としての要件を
満たすようにデザインされたものが、
臓器提供の意思確認カード(ドナーカード)です。


このカードにて確認された故人の遺志に基づき、
移植に臓器を提供する意志のある者は、
予めその臓器提供の遺言をカードに記載して
自筆署名しておき、その遺言状を根拠として、
脳死をもって死亡として延命治療を終了させ、
脳死で死亡した肉体から移植医が臓器を摘出することが、
法律的に許されるように定めたのです。
これが12年前に制定された、
現行の臓器移植法の根幹
です。


ところが臓器提供の意思確認カードを
遺言状と位置づけた
ために、民法の「遺言能力を持つ年齢」
という法律的問題
が生じました。

民法961条では、遺言できる年齢を15歳に達した者
と規定し、15歳未満の者は、例え後見人や
補佐人が付いたり、公証人を証人として作成する
公正証書遺言であっても、全て無効である
としています。

この為に臓器移植の意思確認カードでも、
そのカードに自署した日付が15歳到達日より前であれば、
そのカードにて示された臓器提供の意志は
法律的に無効とされました。

それ故に、現行の臓器移植法の枠組みの下では、
15歳以下の臓器提供は許されなかった
のです。



そうした現行の臓器移植法の限界を、
15歳未満にまで拡大する為に、
今回の臓器移植法改正の動き
となります。

先般衆議院で成立したA案は、
先ず本人の生前の意志表示に基づかなくても、
脳死を法律上の死亡として認めることが出来るようにし、
その上で15歳未満など生前の本人の意志が
法律的に確定できない者は、生前の故人の遺志を
相続している遺族(脳死だから遺族)の意思表示により、
臓器摘出を認めることにしました。



この遺族の意思表示による死体からの臓器摘出は、
死亡後の病理解剖などで臓器を摘出する
死体損壊の処置(死後ですから「医療」ではない)について、
遺族の同意(意思表示)により行っても、
病理解剖医が死体損壊罪に問われないようになっているのと、
同じ法律的な裏付けによるものです。

今回の改正A案で一番の争点となった、
第6条の1項に一号と二号に分けて規定し直した部分が、
この法律的裏付けを示す部分です。


先ず、一号の規定ですが、A案の通りに
改正されると次のようになります。

-----------------------------------------------------------
一 死亡した者が生存中に当該臓器
移植術に使用されるために提供する意思を
書面により表示している場合であって、
その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を
拒まないとき又は遺族がないとき。

-----------------------------------------------------------


この文章は、次のように読み替えてみると理解し易くなります。

-----------------------------------------------------------
一 死亡した者が生存中に当該臓器移植術に使用されるために
提供する意思を「臓器提供の意思確認カード」により
明確に意思表示している場合であって、
そのカードでの意思表示があることを
説明を受けて確認した遺族が当該臓器の摘出を拒まないときは、
そのカード所持者の臓器の摘出が出来る。

また、生前に臓器提供の意志表示を為した
カードを所持しているが遺族の再確認を取ろうにも、
再確認を取るべき遺族がいないときも
また同じように臓器摘出が出来る。

-----------------------------------------------------------


さて、問題の二号の規定ですが、A案の原文は次の通りです。

-----------------------------------------------------------
二 死亡した者が生存中に当該臓器
移植術に使用されるために提供する意思を
書面により表示している場合及び当該意思がないことを
表示している場合以外の場合であって、
遺族が当該臓器の摘出について書面により承諾しているとき。

-----------------------------------------------------------


これは次のように読み解きます。

-----------------------------------------------------------
二 死亡した者が生存中に当該臓器移植術に
使用されるために提供する意思を
臓器提供の意思確認カード」の1に○を付けて
脳死での摘出に同意する旨を意志表示している場合と、
カードの2に○を付けて心臓停止後の
臓器摘出に同意している場合、或いは
臓器提供の意志が一切無いことを
カードの3に○を付けることで明確にしている場合、
以上のとおりでない場合、すなわち、
生前に自署したカードが見あたらないので
意志を確認できない場合か、或いはカードがあったとしても
法律的要件を欠く(例:○は付いていても自署が無い、
日付の記載が無い、或いは日付が15歳に達する前の
意志表示のとき等)の場合であって、
遺族が当該臓器に当該臓器の摘出について
書面により承諾しているときには、
脳死判定後にその者の臓器の摘出が出来る。

----------------------------------------------------------


つまり、今回の改正A案で何故15歳未満の
臓器提供が可能になるのかは、
実にこの第6条1項の二号の規定に拠ります。

15歳未満は、現行の民法等の規定から
自らの死後の処置について遺言出来ませんので、
いくら立派な遺言状を作成しも法的には無効です。

すなわち臓器提供意思確認カード
15歳未満の日付で署名されていた場合、
そのカードは法律上無効なのです。
元々カードが無かったことになります。


その結果15歳未満の者は、明確な意志を
カードで確認できない場合、改正案の原文では
「以外の場合であって」に該当することになります。

で、「以外の場合であって」に該当するので
「遺族が当該臓器の摘出について書面により承諾しているとき」
という、二号の最後の文章が効いてくるのです。


普段、法律条文の文章を読み慣れていない人には、
非常に分かりにくい文章解説だと思います。

ただ、今回の改正A案の条文はこのように読み下し、
法律的な裏付けを15才未満の臓器提供者に
与えている
ことをご理解下さい。
決して脳死判定する医師の医学的判断で
臓器摘出を判断するのではなく、遺族の意思表示、
それも文書による意思表示が必要です。



故に自分の子供の心臓が動いていても
医学的には既に脳死状態であることが明確であり、
その脳死判定を子供の死として受け入れられるかどうかに、
その脳死した15歳未満の子供から
臓器提供をしてもらえるか否かが掛かっています。

脳死判定には医師の判断が重要ですが、
脳死判定を受け入れて臓器摘出を承諾するかどうかは、
ひとえに遺族、普通はその子供の親、
の意思表示に掛かっています。
親の心の決断は医学ではなく、各自の持つ死生観、
人生感で決断されるのではないでしょうか。



現行法で「遺族の同意」が必要なのは
脳死での臓器摘出の場合」なのです。
逆に言えば「心臓死での臓器摘出」は、
現行法では本人の書面の意思表示、
すなわちドナーカードの赤2番に○がしてあれば、
遺族の同意無しに可能(法律上は)です。

一番簡単な例は、心停止での死亡後の角膜摘出とか
腎臓摘出
などが、この遺族の同意無しで行えます。


ただし、私が河野太郎氏のサイトなどで知り得た限り、
例え心停止後の臓器摘出に同意の場合
(赤2番に○の付いたドナーカード所持)であっても、
現場の臓器移植のコーディネーターなどの医療スタッフは、
遺族の同意を重ねて得た上で心停止後の
臓器摘出を行うのが通例だそうです。


これは、一つにはドナーカードの自署が
所持者の直筆なのか、或いは家族や他人の代筆なのか、
カードを見ただけの医療スタッフには判断がつかないので、
根のために遺族に確認して同意を得ておく、
法律的な安全策としての意味合いがあります。

もう一つはやはり遺族感情への配慮です。
いくら本人の生前の意思表示とはいえ、
遺族が聞いていないとか、知らなかったという理由から、
遺体にメスが入ることを忌み嫌ってのト
ラブルが起きることが良くあるので、遺族に駄目押しとしての
同意を得た上で摘出するのが運用実態だそうです。


以上はドナーカードの赤2番、心停止後の臓器摘出
同意の○印が付けられていた場合です。
なお、ドナーカードには大きく分けて、
赤字の1:脳死での臓器摘出の同意承諾、
赤字の2:心停止後の臓器手出の同意承諾、
赤字の3:脳死・心停止に関わらず一切の臓器提供の拒否、

以上の3通りの意志表示が出来るようになっています。

法律(臓器移植法)の上では遺族の同意が必要な臓器摘出は、
実は赤1の脳死での臓器摘出に同意されている場合だけです。


現行の臓器移植において、本人の生前の意思表示に加えて
家族(遺族)の同意が必要と規定した条文は、
下記の第6条3項の部分です。


---臓器移植法(現行)---
6条3項 臓器の摘出に係る前項の判定は、
当該者が第一項に規定する意思の表示
(引用者注:臓器提供の意志表示)に併せて前項による判定
(引用者注:いわゆる脳死判定のこと)に従う意思を書面により
表示している場合であって、その旨の告知を受けた
その者の家族が当該判定を拒まないとき又は
家族がないときに限り、行うことができる。
----------------------



この6条3項の規定は、まさにドナーカードの
赤字の1番に対する同意、すなわち「脳死を持って
死亡であると同意すること
」に加え、更に
死亡(脳死)後の臓器摘出に同意する意思表示」の場合を意味します。
この条文規定にある「家族が当該判定を拒まないとき」とは、
家族が脳死判定による死亡認定を拒まないときと
いう意味になりますし、「家族がないときに限り」とは、
脳死判定による死亡認定の同意を得ゆに
もそもそも家族がいないとき、という意味になります。


(注:現行の臓器移植では、脳死判定での
死亡認定の手順を受け容れた場合に限り、
脳死を人の死として認めますので、脳死判定
行われるかどうかの同意を確認する段階では、
まだ法律上は死亡認定が為されていませんので、
遺族という言葉使えず家族という言葉を使うことになります)


以上の通り、現行法での意志表示カードの記載と
家族の同意関係は、細分すると非常に複雑です。
ただし、脳死を人の死と受け容れて、
手順通り2回の脳死判定脳死と認定された場合に、
心停止前に臓器摘出出来るのは①’のaの場合になります。
15歳未満は③になりますので、
脳死判定脳死での臓器摘出はできません。


改正案のA案が成立した場合は、上記の
③、ドナーカードの所持が不明又は有効なカードでない場合
(15歳未満も含む)は、家族の同意で脳死判定を
行うことが出来る条文
(改正された6条1項の1号2号)
構成となります。
ですので、15歳未満の場合でも、家族の同意が得られれば
脳死判定を行い、脳死が確認されたら脳死状態で死亡と認定し、
死者の遺族の同意により臓器摘出が可能になります。


すなわち改正後は以下のような流れになります。
①家族の同意による脳死判定の実施
→②手順通り2回の判定で脳死確認
→③法律的には死亡として扱う
→④死亡だから遺族の同意により臓器提供
脳死での臓器摘出)が可能となる


この①での脳死判定の実施~③の脳死を死亡として扱うことが、
改正前の現行法では、生前の本人の意思表示
(ドナーカードの赤1の○印)が無いと出来ないことになっています。
そして生前の本人の意思表示は遺言であるとして、
民法961条により15歳未満は意志表示が無効とされるので、
家族の同意だけでは脳死で死亡と認めることが出来なかった訳です。

今回の改正A案のミソは、民法961条の例外を認める特別法となるよう、
臓器移植法を手直しすることにあります。

この認められる例外は、あくまでも臓器提供を行う目的での
脳死判定についての意思表示だけであり、
そのほかの生前の意思表示、いわゆる遺言については、
改正A案が成立しても15歳未満は無効
という民法の規定が優先します。




今日は、ちょっと難しかったですね。
一応、わかりやすく改変したつもりだったのですが。
ちょっと盛りだくさんすぎましたね。
すいません。

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この記事へのコメント
簡単に言えば、本人が脳死臓器移植に法律的に拒否している場合以外、つまり、今までできなかったドナーカード不備の場合及び15歳以下の場合は、遺族の意思により脳死臓器移植ができるようになるということでよろしいでしょうか。

こうすることによっても、劇的に増えるとは思えないのですが、なんにせよドナーの遺族が後々後悔しないような制度と運営を望みます。
また、脳死が人の死と受け入れられない人が不利な立場に追い込まれないことも望みます。
ImaginaryUnit[URL] 2009/06/29(月) 11:21 [EDIT]
難しい……
Dr.I様>

 難しい問題ですね。
 法的な問題に倫理的問題、個人の死生観まだ絡むのですから……ともあれ、15歳未満の臓器移植に道が開かれるのですから進歩ではありますが、国民にわかりにくいのも事実で、ややこしいです。

Lich[URL] 2009/06/29(月) 13:49 [EDIT]
>ImaginaryUnitさん
そういう事ですね。
法律が変わったからすぐに脳死移植が増える、って事にはならないとは思いますが。
まずは、きちんとした法整備をする、って事が重要だと思います。
Dr. I[URL] 2009/06/29(月) 21:40 [EDIT]
>Lichさん
倫理がからむので、難しいといえば難しいのですが。
移植を待っている人にとっては、一歩前進と言えるのではないか、と思います。
Dr. I[URL] 2009/06/29(月) 21:42 [EDIT]
法整備をしたところで、裁判員制度同様、運用されないのが目に見えています。

虐待や、子供よりも男をとる母親、障害や病気の看病疲れの親でもない限り、脳死といわれて、はいそうですか、あっさり引き下がる親なんているでしょうか。

子供の養育を放棄したい親が、臓器提供を申し出た場合、どうするのか?
小児科医、脳神経内科医、救命救急に携わる医師の負担が増すだけになると思いますね。

1年後には「日本に移植が定着しないのは医者のせい」って言われていますよ、きっと。

「死ぬ死ぬ詐欺」で金を集めた、子供たちの親と募金屋は、なぜ、国内の移植を支援するため、なぜ医師の拡充や、救命救急を支援する基金を作らないのでしょう。自分たちの子供さえ助かればよくて、移植を待つ他の子供たち
への配慮のなさには、本当に辟易します
苦労婆[URL] 2009/06/29(月) 22:08 [EDIT]
う~ん
苦労婆様>

>虐待や、子供よりも男をとる母親、障害や病気の看病疲
>れの親でもない限り、脳死といわれて、はいそうですか、あっ
>さり引き下がる親なんているでしょうか。

 エホバの証人等の輸血を禁忌とする宗教では「たとえ死ぬとわかっていても」子供への輸血を拒否するケースもありますからね。一概に「絶対存在しない」とも言えないと思いますが……。
Lich[URL] 2009/06/30(火) 10:09 [EDIT]
>苦労婆さん
>脳死といわれて、はいそうですか、あっさり引き下がる親なんているでしょうか。

脳死判定を拒否する権利はありますからね。
臓器移植をしても良いと思っている家族以外は、今までどおりって事になるんですよ。
Dr. I[URL] 2009/06/30(火) 21:43 [EDIT]

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臓器移植法
デリケートな問題なので可能な限り淡々と扱いたいのですが、衆議院で可決されたA案の法律的なキモと言うか解釈をDr.I様が故臓器移植法改正案(A案)で15歳未満から臓器提供が可能になるのかに丁寧にまとめてくれています。Dr.I様の解説で必要にして十分ですし、是非一読をお  [つづきを読む]
新小児科医のつぶやき | 2009/07/03(金) 07:42
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