現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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激安診療報酬の例え話
医療に関して、アクセスコストクオリティ
3つを同時に満たす事は出来ません。

いつでも専門医に受診できて(アクセスを満たす)、
値段を安くコスト)する、となると、
医療の質クオリティ)を落とさなければならないし。

アクセスが良くて、とクオリティ医療の質)も落とさない、
という事を求めると、お金(コスト)がかかります。

コスト(値段)が安くてもクオリティ医療の質)を求めるなら、
アクセス制限をしなければ無理です。


私は、このブログでよく、
医療費(診療報酬)を上げるべきだ」
と言っていますけど。
これは、医療の質(クオリティ)を下げたり、
アクセス制限をするよりは、
値段(コスト)を上げる、って事にした方が、
よりたくさんの人が満足するんじゃないかな。
って思っているから言ってるだけの話で。

国民の多くが、医療の質(クオリティ)が
下がっても良いから安い方が良い。
とか、アクセスが悪くなっても良いから
医療(自己負担:コスト)は安い方が良い。
と思っているのであれば、それでも構わないと思っています。


日本の医師(医療従事者)は、ある外人に言わせると、
まるで聖職者のようだ」と言われる位、
自己犠牲の精神で働いて。
その結果奇跡的に日本の医療は、
アクセスコストクオリティ
3つとも、かなり満たしていた。
というのが、今の日本の現状です。

日本人は「エコノミックアニマル」って呼ばれるくらい、
一生懸命働く人が多いのは、私も良く知っていますので。
医者だけが特別だ、と言うつもりはないんですが。

アクセスコストクオリティ
3つとも満たすのは、もう不可能。
というレベルに来ています。

本来であれば、選挙で国民に選んでもらう、
というのが一番だとは思うので。
今回の選挙では、医療
争点になって欲しいんですけどねー。


日本の医療診療報酬に関して、
とてもわかりやすく書いてあるブログを
発見したので、ここで紹介させていただきますね。

イラストがとっても上手で、某所で話題になっていた
イッシー31先生のブログ、
「下界の外科医」
から、
「激安ラーメン屋と診療報酬」
です。



「激安ラーメン屋と診療報酬

こんなラーメン屋があったら、入りたいですか?

-----------------------

ラーメン  100円
チャーシューメン 150円
チャーハン 80円
ギョーザ 50円


10年前はラーメンは650円、
チャーシューメンは850円だったそうです。
値段はそれなりではあったのですが、
味にはそれなりに定評があったそうです。

約8年前にこのラーメン屋は金を払うはずのお客さんの代表が
値段を決めることができるシステムにしたそうです。
だんだん値段が下がっていって、こんな値段になってしまいました。
ラーメン屋の店主はそれでもお客においしいラーメンを
食べてもらえるように、なんとか材料費を切り詰め、
パートのおばちゃんもリストラしてやりくりしてきました。

さらに昭和30年代に建てた店舗も古くなりました。
創業時から使っていた寸胴が壊れてしまいました。

店舗を新装することができません。
壊れた寸胴を買うことができません。

親父は町の人がラーメンを「おいしい」といって
食べてくれるのがとてもうれしかったので、
何とかおいしいラーメンを作って、
町の人にラーメンを提供しようと頑張りました。

利尻産の昆布を使ってだしをとっていたスープを
どこ産かわからない謎の昆布を使ってだしをとるようにしました。
麺も国産小麦を使ったこだわりの麺だったのが、
どこで作られたかもわからない謎の麺を使って出すようにしました。
チャーシューは自家製だったのをスーパーのハムにしました。

それでもやはり、採算ラインぎりぎりです。
へたすると店を開けていればいるだけ赤字になります。

それではやはり、お客さんからは、
「親父、この店も味が落ちたねー」とか
「こんなぼろい店、行ってられるか」
という声が聞こえてきて、
ぱったりと客足が減ってしまったようです。

それでもお客さんの代表は、
このラーメン屋に客が入らないのは
サービスが悪いからだといったり、
親父が横柄な態度をとっているからだとか、
店員の数が少ないからだとか、
店舗が汚いからだとか、
年中無休、24時間営業じゃないからだとか、
出前をやっていないからだとか、いってきます。

あまつさえ、ラーメンが期待していたほどおいしくなくて
1週間後に下痢をしたといって
損害賠償を求める客もでてきました。

人の好いラーメン屋の親父は、
30年守り続けていたのれんを下ろしました。


-----------------------

もうおわかりだと思いますが、ラーメン屋を病院、
客の代表を国、客を患者さんと思って考えてください。

医療の値段はとても細かく国が決めており、
診療報酬といいます。
ここに摩訶不思議な構造がうまれます。

ラーメンの値段の大部分を負担する人が
ラーメンの値段を決めているのです。
診療報酬を決めているのは国で、
国は診療報酬医療機関に
払う立場です(この辺は厳密には違うのですが・・・)。


国が決める診療報酬は連続して下がり続けています。
2008年度の診療報酬改訂では、診療報酬の本体部分は
0.38%アップしたのですが、材料費や薬剤費などを含めた
全体は0.82%マイナスでした。
(ちなみに2006年度は3.16%、2004年は1.05%、
2002年は2.07%のマイナス、
2002年度から8年連続のマイナス改定)。
そして2010年には診療報酬の改定があります。

全国保険医団体連合会2010年の診療報酬改定は
全体で10%UPを要望しています。
自民党の園田政調会長は「診療報酬UPを政権公約に」
とはいっていますが、本当でしょうか。

財政審などは、「開業医への報酬を減らして
勤務医へ増やそう」とか、
「救急医療への集中投下を」とか言っています。

医療の高度化、細分化によって、
国の医療費は上がり続けています。
多くのラーメンに「鹿児島黒豚あぶり豚トロチャーシュー」が
必要な状況になっています。
いつまで豚トロチャーシューをスーパーのハムの値段で
出さなくてはいけないのでしょうか。

今度の選挙の争点は知事達が火をつけた地方分権や、
自民対民主の構造がクローズアップされそうです。
医療についてはおそらく、「救急医療の充実」
「産科小児科の充実」などが叫ばれるでしょう。
今、医療経済は、どこかにお金を集中的に回して
何とかなる状況ではなくなっています。

例えてみれば、大出血をしていて
循環血漿量が減ってしまった人が
末梢(手や足)の血管を締めて、脳などの重要臓器に
血液を送ろうとしている状況でしょうか。

この状況を打開するためには、十分な循環血漿量を
全身に補充するしかありません。
重要な脳や肝臓だけに血液を送って
もいずれ他の臓器がやられて死んでしまします。
真っ先に末梢は壊死してしまします。

「救急医療を充実する」とか
「産科、小児科を充実する」というのは、
必要なことで、実に聞こえが良いのですが、
我々からすると、「それだけじゃ、基幹病院や
地域の開業医はつぶれちゃうよ」としか思ってしまいます。

もうけ至上主義や不正をおこなう病院が
取りざたされたりしていますが、
全国のほとんどの病院や診療所は
減っている診療報酬の中、
なんとかやりくりしてまじめに経営を維持しています。
そして地域の医療を守っています。
救急医療を充実させても、その後のフォローアップをしてくれる
地域の開業医や病院が無くては
いつまでたっても急性期病棟は空きません。

慢性疾患を定期的に見ていただいている開業医さんが
いなくなると、基幹病院に慢性疾患患者が押し寄せ、
勤務医は疲弊します。

開業医と勤務医の対立構造が好きな人が多いようですが、
この両者がうまく回って地域医療が成り立っていることを
我々は知らなくてはいけません。

2010年診療報酬の改定はおそらく医療崩壊を
さらに加速するか、食い止めるかの瀬戸際になるでしょう。

あまりクローズアップされていないし、
国対地方、脱官僚、派遣問題、
などなど問題が山積しているので、
医療問題はその中に
「こそっ」と紛れ込まされてしまうのでしょうね。




小泉改革で、「改革には痛みが伴う」と言って、
どんどん医療費が削減されてしまって。
痛みは増えたんだけど、何か良くなったんでしょうかねー。
少なくとも、医療に関しては良くなった所はないように思えます。

骨太の方針2006で、社会保障費の自然増を、
5年で1兆1000億円(1年当たり2200億円)抑制する

という方針がとられて。
3年で6600億円の社会保障費が削られました。

今年の骨太の方針2009では、社会保障費の抑制は撤回する。
と、選挙前なので苦し紛れで言っているようですが。

3年間で減らされた6600億円を戻す、
という訳ではないんですよね。

日本の2006-07 年の総保健医療支出の対GDP 比は8.1%で、
OECD 平均の8.9%を0.8%下回ります。
ちなみにアメリカは、ずば抜けて最も保健医療支出の割合が多くて、
2007 年は対GDP 比16.0%であり、次いでフランス(11.0%)、
スイス(10.8%)、ドイツ(10.4%)の順です。

日本の保健医療支出は2000 年から2006 年の間に
実質ベースで2.2%増加しているんですけど、
これも2000-2007 年の間のOECD 平均3.7%を下回っています

参照: 『OECD Health Data 2009 - Country notes、日本語版』



元々、他の先進国よりも医療費が安いのに、
その伸びも無理矢理減らした。
その結果、医療崩壊が進んだ。


その事に関しては、大いに反省してもらいたいですね。
自民党の政治家には。


医療費を減らす、というのであれば、
今よりも確実にアクセスが悪くなりますよ。
医療の質が落ちますよ。

という事をきちんと国民に説明して。
その結果、国民がその政党を選ぶのであれば、
それはそれで良いとは思いますが。

今まで通りの医療の質もアクセスも保ちますけど、
医療費だけは削減します。

というのは不可能なので、「完全に嘘」ですから。
責任ある政党であれば、言ってはいけない事だと思います。



ちなみに、私はどの政党も支持しておりません。



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この記事へのコメント
OECDのデータを出すのであれば、各国の平均寿命も併記していれば、より説得力があると思います。
風はば[URL] 2009/07/03(金) 08:25 [EDIT]
>風はば先生
おっしゃる通りだと思います。
日本の平均寿命が世界一、っていうのはもうみんなわかっているのかな、と思って省略しちゃいましたけど。
Dr. I[URL] 2009/07/03(金) 20:39 [EDIT]
当たり前のことが……
Dr.I様>
 制約条件があれば同時に複数の複数の課題が満足されることはない、という当然の帰結が、厚生労働省には理解できないのでしょうか。困ったものですね……
Lich[URL] 2009/07/04(土) 00:43 [EDIT]
>Lichさん
まあ、厚労省だけでなく財務省の問題の方が大きいのかもしれないんですが。
ちょっとどうにかして欲しいですね。
Dr. I[URL] 2009/07/05(日) 21:32 [EDIT]
政治の方が問題
財源を確保する課税が出来ない政治の方がよほど問題でしょうね。大企業の税金を減らさなければ十分にまかなえたはずですが。減税しなかったら日本からトヨタやキヤノンが逃げると本気で思ってるんだろうか。
元外科医[URL] 2009/07/06(月) 00:06 [EDIT]
>元外科医先生
たしかに。
一番問題なのは、政治なんですよね。
政治家を選んだ、国民もなんですけど。

Dr. I[URL] 2009/07/08(水) 20:59 [EDIT]

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???Ż?õ | 2009/07/03(金) 02:24
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