現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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救急はやればやるほど赤字
救急、産科、小児科は仕事が大変なのに、
診療報酬がさほど高くない。
その上、訴訟のリスクも高いので、
病院としては赤字部門なので。
病院もどんどん撤退している。
っていう話は、しょっちゅう書いていますけど。

じゃあ、具体的にどのくらい赤字なんだ。
っていうのは、あんまり知らないですよね。
皆さん。

私も、自分の病院とか過去いた病院とか。
個別の病院に関しては、ざっとは知っていますけど。
一般論としては、あまり知らなかったんですよ、
実は。

具体的に、救急がどんだけ赤字なのか、
っていう事を書いた記事を見つけたので。
せっかくだから、紹介しますね。



大阪府医師会 山本時彦理事 
2次救急病院を救済 
診療報酬評価の仕組みづくりを
補助金は救急実績に準じた支給へ


大阪府医師会の山本時彦理事は、
2次救急病院として月間約500人の救急患者
受け入れているが、その医業収支は
月間250万~300万円の赤字が継続している。

2次救急病院の経営破綻を食い止める上で、
次期診療報酬改定では、受け入れ実績に応じた
評価の仕組みづくりを求めている。

一方、日本救急医学会の杉本壽代表理事は、
救急医療における補助金事業の抜本的見直しと、
診療報酬による評価を2次救急病院まで
拡大を図ることで、経営基盤の強化が
喫緊の課題と指摘している。

救急医療は、国の政策医療として捉えていきたい」―。
8日の中医協診療報酬基本問題小委で、
日本医師会の竹嶋康弘副会長がこう発言した。

それだけ救急医療は、不採算医療という
認識が定着している。
しかし、初期救急、2次救急、救命救急センターが担う
3次救急救急体制では、補助金と
診療報酬で下支えされている3次救急と異なり、
民間病院の比率が高い2次救急病院の疲弊が
深刻化している。

財政基盤が弱い大阪府では、
2次救急医療の8割強を民間病院が支える。
山本時彦理事(救急・災害医療担当、
医療法人山紀会理事長)は、「2次救急病院の減少は、
経営的に維持できないことからやむを得ない撤退だ」
としている。

実際に国の調査によると2次救急施設は、
2004年3258施設が、昨年3月には
3175施設で83施設減少。
それを大阪で見ると、04年287施設が、
昨年3月には248施設で、39施設が減少している。
この結果から、国の2次救急施設の
減少を誘因する1つとして、
大阪の2次救急医療の疲弊が挙げられる。


●月間赤字は 250万~300万円も

山本理事は、自院の山本第3病院(347床)における
救急医療の現状として、救急車1台への対応につき
医師、看護師、検査技師、事務職など
平均9人夜勤体制(宅直除く)の人件費だけで
4万~6万円がかかっていると言う。

具体的に、08年度診療報酬改定後の点数に基づき、
昨年4月と5月の診療科別の
救急外来原価計算を行った。

診療科は、標榜科目の内科、
外科、脳外科、整形外科。
4月分では、救急搬送253件、
夜間救急198件の救急外来の
医業収入は(入院した患者については
入院初日の処置料だけで入院料を除く)、
投薬、注射、処置、手術、院内検査、画像診断、
その他患者の自己負担分を合計すると
約1300万円になる。

これに対して支出・経費は、人件費、薬剤、
検査などの材料費、医療機器・器具などの
減価償却費などの直接経費の合計が
約1590万円となり、290万円の赤字
同様に5月分は救急搬送・夜間救急件数が534件。
救急外来の医業収入は約1380万円。

支出が約1630万円で約250万円の赤字。
4月と5月の収支表を比較すると、
5月の救急件数の増加分が、
不採算性が高い外科、整形外科の
救急患者の受け入れが増えている。

それに伴う医療材料の経費もかさみ、
救急受け入れ件数の伸びが医業収入として
反映できない救急医療の実態が浮かび上がる。

特に、5月には看護助手も使わず、
人件費の圧縮に努めたが、
毎月250万~300万円の赤字が累積している。


●補助金額は赤字補填に遠く

そこで問題になるのが、補助金の効果だ。
山本理事は、「大阪府の場合も、各自治体から
救急病院へ補助金がでているが、
受け入れ実績に拘わらず
病院当たり年間100万円程度。
月額(約8万円程度)で見たら焼け石に水
としか言いようがない」と述べた。

救急医療に対する診療報酬の評価については、
08年度診療報酬改定でも救命救急入院料の
点数アップが図られたが、算定対象は
3次救急医療機関が中心となる。

2次救急病院が算定できる施設基準には
なっていないのが現実だ。
山本理事は、「救急医療の不採算の解決に
目処がつかないと、DPC参入にも踏み切れない。
特に、入院基本料の大幅アップは
2次救急病院にとって不可欠になっている」
としている。


『Japan Medicine 2009.7.15』



病気や事故になるのは昼間だけ、
っていう事はあり得ないんで。
救急っていうのは、絶対になくす事はできない
っていう事は確かです。
だからこそ、潰さないようなシステムを作る。
っていう事が大事なんですが。
残念ながら、今のシステムは全く逆です。

赤字になる、ってわかっている部門。
しかも、訴訟のリスクも高いし仕事も大変。
っていう事であれば、撤退する病院が多いのは
当たり前
です。

だから、診療報酬で優遇するでも、
補助金を多くするとか、なんでも良いけど。
とっくの昔にやらなければいけなかったんだけどねー。
残念ながら、今頃やっと、って感じですよね。


んで、具体的な救急赤字と補助金の額なんですけど。


>平均9人夜勤体制(宅直除く)の
人件費だけで4万~6万円。

>人件費の圧縮に努めたが、
毎月250万~300万円の赤字が累積。

>補助金は、受け入れ実績に拘わらず
病院当たり年間100万円程度。
月額(約8万円程度)。



頑張って人件費を削減しても、
月250万~300万円の赤字なのに。
補助金の額は、月にすると8万円位

2日分の人件費にもならない額なんですよ。

こんなんじゃ、どんなにうまくやりくりしたって、
救急部門が赤字になるのは当たり前だし。
救急から撤退する病院が出るのも
当たり前
だと思いますよ。


今更ながら、救急や小児科、産科には、
ちょっと補助金や診療報酬を優遇しますよ。
って言っているようですけど。

やるなら、ちょっとじゃなくて、
どかーんと大幅に上げないと、
この流れは止まらないと思いますよ。





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この記事へのコメント
絶対に必要なシステムが、赤字運営なのは問題があると思います。

医療関係者の善意だけに頼らないシステムと診療報酬制度が必要だと考えます。
ImaginaryUnit[URL] 2009/07/21(火) 10:57 [EDIT]
>ImaginaryUnitさん
全くおっしゃるとおりですね。
赤字だったら撤退するのが当たり前なんだから。
システムを改善するしかないんですよ。
Dr. I[URL] 2009/07/22(水) 00:36 [EDIT]
当たり前のことが……
Dr.I様>
 救急医療、ひどい状態ですね。
 「お金がかかるものはお金が掛かる」のですから、もう少しなんとかしないといけないんですが、医療は「医は仁術」といってごまかされますからねぇ(嘆息)
Lich[URL] 2009/07/22(水) 09:10 [EDIT]
>Lichさん
なんにでもお金はかかるんだけど、自分が払うのは嫌。
っていうんじゃ、何も出来ないんですけどねー。
どうしてそんな簡単なことがわかんないんでしょうか。
Dr. I[URL] 2009/07/22(水) 20:43 [EDIT]
救急医療の担当医師を交代勤務にするためにはバイト医師を雇うお金が必要。よって今の3倍以上の診療報酬にしないとだめでしょう。 
元外科医[URL] 2009/07/23(木) 14:37 [EDIT]
2次救急病院の多くの医師の夜間勤務は夜勤扱いでなくて、違法当直、そして殆どの病院で翌日も連続勤務がおこなわれています。

医師の超過勤務手当てを適法に払うだけで、予算は大幅に不足することは明らかです。

元外科医先生の書かれたように、3倍以上の診療報酬が必要と思います。

ところで元外科医先生、私の地方では、いくら金を積んでもバイトしてくれる当直医がいません。(無理に頼めば大学の若手医師にしわ寄せがいきます)
田舎の消化器外科医[URL] 2009/07/23(木) 18:24 [EDIT]
お店を始めましょうという方がいて、客が来ないとか、儲けがないと文句を言う人は商売のイロハも分かっていないと思いませんか。
月に500人も客が来るなら、儲ける仕組みを作らなくてはいけないのです。
報酬が高い治療ができる体制、集中治療室の病室を増やすとか、黒字にするのは簡単です。
診療報酬の引き上げといった論議は、体制を整える事ができない医療機関を残すならという仮定の話です。
医師がいない、看護師がいないという論議は中小病院が多く、人口あたり病床数が過剰だからです。
構造改革が待ったなしで、何を変えるべきかの論議がされていません。
近森正昭[URL] 2009/07/25(土) 11:38 [EDIT]
あまりにも……
近森正昭様>

 あまりにも現状をわかっておられないようですね。

>お店を始めましょうという方がいて、客が来ないとか、儲
>けがないと文句を言う人は商売のイロハも分かっていな
>いと思いませんか。

 商売のイロハがわかっていないのは貴方の方ですね。
 お店と言うのは「提供する価格」「提供するサービス」を提供者がフリーハンド(完全に、ではありえませんが)に決定できるものです。その二つを外的に強制される分野で事業分野ではそうはいきません。仮にそういった分野で儲けを追求すれば、行き着く先は先日も社長(当時の安全管理責任者)が逮捕された某西日本の元国営鉄道会社と同じようになるしかないでしょう。

>月に500人も客が来るなら、儲ける仕組みを作らなくて
>はいけないのです。

 いかにも経済の何たるかをご存じない意見ですね。
 供給能力に対して需要が過大である場合、過剰な需要を解消する方法は、市場主義経済では、基本的に「価格を引き上げる」以外にありえません。その「価格の決定権」を奪われている相手に対して「努力が足りない」というのは、単に発言者が傲慢であることを示すだけです。

>報酬が高い治療ができる体制、集中治療室の病室を
>増やすとか、黒字にするのは簡単です。
>診療報酬の引き上げといった論議は、体制を整える事
>ができない医療機関を残すならという仮定の話です。

  何故簡単なのですか?
  例えば、貴方のおっしゃる「集中治療室の病室を増やす」ですが、もしかして病室と機材をそろえればすぐ集中治療室が開設できると思っておられませんか?集中治療室を増設するためには、当然マンパワーが必要ですが、コンビニの店員と違って、医師看護師は「足りなくなったから求人を出せばいくらでも募集が来る」といったものではありませんよ?貴方の意見はあまりにも楽観的過ぎませんか?
 
>医師がいない、看護師がいないという論議は中小病院
>が多く、人口あたり病床数が過剰だからです。

 何を根拠に「過剰」だと言い切るのでしょうか?
 日本の医師数が不足なのは、Dr.I様がこのブログで示されている通り客観的な事実です。

>構造改革が待ったなしで、何を変えるべきかの論議がさ
>れていません。

 では、貴方は何を変えるべきだと考えるのでしょうか?
 具体策を示さず客観的なデータも示さない掛け声倒れの「改革」には、もう某3代前の首相一人であきあきです。
Lich[URL] 2009/07/25(土) 23:26 [EDIT]
>元外科医先生
本気でやろうと思うなら、医師の人件費は3倍必要ですよね、ほんと。
Dr. I[URL] 2009/07/26(日) 19:20 [EDIT]
>田舎の消化器外科医先生
お金も、もちろん大事ですけど。
人がいない、っていう問題もあるんですよね、医者の場合は。
特に地方では。
Dr. I[URL] 2009/07/26(日) 19:24 [EDIT]
>近森正昭先生
たしかに、診療報酬を上げるだけでは解決しない問題もあって。
病院の集約化も必要だと思います。
そうでないと、いくらお金あっても足りませんから。

ただ、どんなに不況でも収益を上げている会社がありますけど。
だからと言って、そういう会社があるから赤字なのは、その会社の問題だ。
とばかりは言えないと思います。
9割は赤字の会社(病院)なので。
やっぱり、半分とかならともかく、9割赤字っていうからには、他にも問題がある、と考えても良いと思います。

もちろん、病院の数が多すぎるとか、自治体病院の人権費が高すぎる、といった要因もあるのはわかっていますけどね。

Dr. I[URL] 2009/07/26(日) 19:28 [EDIT]
338床の救急病院で08年度の売上は101億円でした。
きちんとした顧客調査と対象の絞り込みをおこない、救急に特化して悪性腫瘍は扱いません。
集約化や規模のメリットを最大限に活かしています。
地域医療支援病院として他の医療機関と連携しており、障害者に対する支援施設もあって、地域に対する貢献もしています。
商売として成立できるようにしなければ赤字になるのは当然で、1日病床単価を8.1万円とるために100床当り職員数が220名です。
努力しなければダメです。
少子高齢化で人口が減っていて、2012年からベビーブーマーが65歳を過ぎ、年金を支払う側からもらい側に転じ、疾病発生率が5倍になるのですから今のままの医療体制が保つはずがありません。
近森正昭[URL] 2009/07/27(月) 14:52 [EDIT]
>近森正昭先生
先生のとこがとても努力をされているのは、わかっております。
努力が足りない病院が多いのも事実です。

ただ、地域的な事とかもあるんで、難しい面もあるとは思いますよ、正直。
今のままの医療体制ではダメだ、っていうのは私も同感です。

Dr. I[URL] 2009/07/27(月) 22:33 [EDIT]
>近森正昭先生
先生のところは努力をしているのですね。
ところで質問です。
先生のところが扱わない悪性腫瘍の患者さんはいったいどこの病院がみているのでしょう。そしてその悪性腫瘍を見てくれる病院や、連携している医療機関はきっちり黒字経営できているのでしょうか?
REX[URL] 2009/07/30(木) 07:17 [EDIT]
近森正昭さま
語るに落ちましたねえ。
あらゆる全ての患者を受け入れて黒字ならば
尊敬しますが、患者の選別を行っているのなら
価値は半減かそれ以下ですね。
全ての病院が同様の努力をしたら、「赤字になる
患者」なんて共通している訳ですから、「病院は
全部健全経営になりました! でも、診たら赤字に
なる患者は野垂れ死んでます」なんて日本になり
ますね。
まあ、事務に給料払い過ぎている病院なんて
潰れていいよ、とは思いますが。
たか[URL] 2009/08/15(土) 09:10 [EDIT]
>たかさん、それとREX先生
患者1人当たりの単価が7-8万円、というすごい黒字体質の病院は、日本でいくつかあります。
近森先生のとこもそうですけど、そういうとこは、「儲かるところに集中した治療をしている」っていうのが前提になっています。

もちろん、それ以外の経営努力も相当しているとは思うのですが。

ミクロな点では可能なんですけど、地域医療とか、日本の医療全体を考えたら、それはできないんですよね。
だから、診療報酬の改定が必要なんだと思います。

Dr. I[URL] 2009/08/15(土) 16:49 [EDIT]

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