現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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新型インフルエンザ、「陰性証明書」求める人急増
いやー、私の周りでもインフルエンザ
ほんとに流行っていますねー。

インフルエンザのキットでA+の人、
は何人もいますし。
キットでは陰性だけど、家族や周りの人で
インフルエンザの人が何人もいて。
発熱してから、数時間しか経っていない、
っていう人なんかもたくさんいます。

私が見ただけでも、相当数いますよ。
学級閉鎖とか学校閉鎖になっている所も
結構あるみたいですしね。

明らかに高熱や、咳、痰とか、
そういう症状がある人に、インフルエンザ
検査をするのは全く問題ないんだけど。

37度くらいの微熱で、症状も全くないのに、
病院に行ってインフルエンザじゃない
って証明できないと、仕事に来ちゃいけない、
って上司に言われた。」

とか。

全く熱もないのに
「家族にインフルエンザの人がいるから、
病院インフルエンザじゃないと言われないと
仕事に来てはいけないから検査してくれ。」

とかそういう人、結構いるんだけど。
ホントに困りますね。


インフルエンザタミフルの予防投与」
は保険が効かないから自費診療
っていう事ですから。

インフルエンザの可能性が低い人で、
本人がインフルエンザ検査の希望をした場合、
保険が効かない自費診療
そして、診断書の値段もすごーく高いですよ。
って事にして、マスコミでも大々的に
報道したら、そういう人が減りますかねー。

完全に「無駄な医療費」というか、
自己満足」ですから。
保険適応外にした方が良いと思います。


私の周りだけでなくって、
全国的にもそういう人が多い、
という記事が載っていたので。
ちょっと紹介しますね。



【新型インフル
陰性証明書」求める保護者急増で
医療機関混乱


新型インフルエンザの流行が広がるなか、
子供が感染していないことを示す
陰性証明書」や「治癒証明書」を
求める保護者が急増し、
医療機関が混乱している。

学校がこうした証明書の提出を生徒らに
求めていることが増加の背景にあり、
茨城県医師会(原中勝征(かつゆき)会長)は
5日、教育機関が生徒らに証明書の発行を
指示したり、奨励しないことを求める
要望書を同県教育委員会などに提出した。

東京都文京区の診療所「森こどもクリニック」
でも、新学期の9月に入ってから
「保育園に行けない」と陰性証明書
求める保護者が急増しているといい、
同様の問題は全国的にあるとみられる。

文部科学省は「要望書まで出したケースは
聞いたことがない」としている。

茨城県医師会の今高国夫感染症担当理事
によると、夏休み後にインフル感染の
有無を調べる簡易検査や、治癒証明書を
求めて受診するケースが増え、
「検査で陰性の証明がないと、
子供が学校に行けない」
と訴える親が目立つという。

今高理事によると、学校から指示されて
受診する保護者が多いといい、
「簡易検査の精度は100%でない上、
検査キットが足りなくなる恐れがある。
今後、患者の急増で診察に影響が出る
可能性がある」と理解を求める。

同県水戸市のやまわきこどもクリニックの
山脇英範院長は「37度程度の熱でも
検査を求める保護者がいる。
保護者としては『学校にいわれたら仕方がない』
という思いがあるのだろう」と漏らす。

こうした現状を受け、要望書では
(1)簡易検査のみの受診を勧奨しないこと
(2)治癒証明書を必須とするような指示を出さない
-の2点を教育現場に対して求めている。

同県教育委員会総務課は
「生徒の出席停止などは各学校の判断で、
検査や治癒証明書を求めるような指導はしていない」
とした上で、
「医療機関の負担を軽減するためにも、
検査を控えるよう求めていく。
治癒証明書が必要な場合には、
医師の指導を受け、保護者が書くようにする
など協力を求めていきたい」としている。


『産経MSN 2009.10.6』



患者さんによく聞かれるのが、
「このインフルエンザ、新型ですか?」
っていう質問なんですけど。

実際のところ、
「わかりません」
としか言いようがないんですよ。

今年の4月、5月とか、新型インフルエンザ
流行ったばかりの時は「PCR」っていう
簡単に言うと「精密検査」をして。
そいで新型インフルエンザなのか、
ただの季節性インフルエンザなのか、
っていう診断までしていたのですが。

かなりお金のかかる検査だし。
そもそも、季節性のインフルエンザでも、
新型インフルエンザでも、
タミフルリレンザも効きますし。
家で安静にして水分を十分に摂る、
っていうのが治療なんで。

どっちでも治療が変わらないんですよ。
治療方針が変わらないのであれば、
金をかけて検査する必要がないんです。

だから、インフルエンザの検査で陽性でも、
それが新型インフルエンザなのか、
季節性インフルエンザなのかっていうのは、
わかりません。

大規模感染が起こった場合は、
精密検査する場合もあるんですけどね。

でも、普通の場合はわかりません。


インフルエンザだ」っていう診断は、
インフルエンザのキットで陽性」
であれば比較的簡単に診断できます。

まあ、あくまで簡易キットの検査なので、
陽性だからってインフルエンザ
とは必ずしも言えないんですけどね。
検査で陽性の場合は、インフルエンザだ、
と言ってもだいたい当たります。

それよりも問題なのは、インフルエンザ
簡易検査で「陰性」って出た場合でも、
半分位はインフルエンザの人がいる、
っていう事ですよ。

インフルエンザだと思います、
って診断してタミフルを出して。
患者さんに仕事や学校を休んでもらう。
って事になっても、誰も困らないけど。

インフルエンザではない、って診断して、
会社や学校に行ったら、本当は
インフルエンザで他の人にうつしちゃった。
って事になったら困りますよね。

だから、医者も簡単に
「あなたはインフルエンザではありません」
とは言えないんですよ。

言える事は、インフルエンザの簡易検査をして
インフルエンザの簡易検査では陰性でした」
っていう事だけです。

でも、これは必ずしもインフルエンザではない」
という事は意味しません。


なのに、
インフルエンザではない、
っていう陰性証明書を下さい」

っていう人、たくさんいるんですよ。

保護者だけでなく。


そもそも、インフルエンザに限らす、
「~ではない。」
っていう証明っていうのは、すごーく難しいんです。

例えば、
「この診察室に蝿がいます。」
っていう事であれば、
一匹目の前に蝿がいれば証明できますけど。

「この診察室には一匹も蝿がいません。」
っていう事を証明するのは難しいでしょ。
机とか椅子とかの影に隠れていて、
私の目からは見えないだけ
っていう可能性も十分にありますからね。

それと同じで、検査の限界だけでなく、
「~ではない」という証明っていうのは
難しいんですよ。

それなのに、そういう証明書がないと
学校とか職場に来てはいけません。
っていうのは、「単なる難癖」に近いです。

インフルエンザキットだって、
数が限られていますから。
単なる自己満足のために、検査をしてくれ、
っていうのは「わがまま」ですよ。

しかも、それに保険が適応される、
っていうのはおかしいと思いますね、私は。


茨城県医師原中勝征会長は、どこよりも早く
民主党の議員を推薦した人ですね。
民主党を推薦する、っていうのが良いのかどうか、
それに関しては何とも言えないんですが。
行動するのが早い、っていうのは
良い事だと思います。

少なくとも、今回の要望書に関しては
さすがだと思います。
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この記事へのコメント
とは言え……
Dr.I様>
 確かに、「~ではない」というのは、「悪魔の証明」になりますから、かなり難しいですし、わがままと言えばわがままですよね。
 とはいえ、実際問題「『疑わしい』状態で出勤して職場で感染が起こると自分のせいにされて処分が下る」「仕事がたまっていて、『疑わしい』で休んだら自分の評価が悪化する(下手をすると責任を取って降格・免職になる)ので出勤したい」となると、あながちわがままとも言い切れないわけですし……結局、企業が「インフルエンザで受けるリスク」の一部を負担する(「疑わしい」で休んでも評価につなげない)ことをしない限り、どうしようもない気がしますが……。
Lich[URL] 2009/10/07(水) 23:00 [EDIT]
>Lichさん
たしかに難しいんですが。
そういう人を全部病院に行ってもらったら、本当に重症の人を診るのが遅れる、って事もありますし。
結局は、自分で責任をとりたくないから、人に丸投げしてる、って構図なんですよね。
Dr. I[URL] 2009/10/08(木) 21:32 [EDIT]

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