現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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医療崩壊の真犯人は医療費抑制政策
医療崩壊の真犯人」っていう本を、
元財務官僚村上正泰氏が書かれましたね。

元財務官僚も、『医療崩壊の真犯人』で、
医療崩壊の一番の原因は「医療費抑制策
と思っているようですね。

医療費を上げろ、って言ったって、
「医者の給料をもっと上げろ」
って言っているわけではないんですよ。
我々医者も含め、医療費を上げろって
主張している人間は。

病院にたくさん患者が押し寄せてきて、
患者を診る医師や看護師の数が足りない。
それに、医師や看護師以外の人も足りないから、
医師達の仕事が増えて、医師が疲弊して
どんどん病院からいなくなる。
でも、患者は増えつづけている。

という負の循環で医療崩壊は起こっています。

医療というのは、「人材集約型産業」ですから、
人を雇わないとできない仕事なんですよ。

でも、人を雇うだけの金がないから、
医師や看護師の仕事がどんどん増えている。
年々医療は高度化して、人手がもっと必要なのに
病院の人は増えない。

それは、人を雇うだけのお金が病院にないからです。
んで、人を雇うお金っていうのは、
基本的には「診療報酬」になりますから。
診療報酬を上げろ、っていう主張になります。

日本の診療報酬、とくに「技術料」
と言われる手術とか手技の値段は
他の先進国の数分の一とか、
下手したら、十分の一くらいですからね。
それらを適正な値段にしなさい。
というのが、私の主張です。

もちろん、診療報酬だけでは難しい面もあるから、
地域医療に貢献している病院とか、
診療所なんかには、それに応じた補助金を出す。
という政策も必要だと思います。

もちろん、金だけで全て解決するとも思っていません。
患者の数が多くて医師が少ない、
というのが原因ですから。
患者の数を減らす、アクセス制限予防医療
といったものも、もちろん必要だと思うし。
医師の数を増やす事も必要だと思います。

民主党は医師数を1.5倍に増やす。
医療費もOECD平均まで増やす。
とマニュフェストには書いてありましたが。
いつまでに、って事は書いていないんですよ。
残念ながら。

それでも、民主党が政権を握るまでは、
期待はしていたんですけど。

なんか、官から民へ、とか言っておきながら
財務省の言いなりで、医療費は抑制する
っていう方向にしか見えないんですけどねー。
今のところ。

元財務官僚で「医療崩壊の真犯人」って本を
最近書かれた村上正泰さんも、
私と同じように考えられているみたいですね。
m3.comにインタビューが出ていたので、
ちょっと引用させていただきますね。
いつもお世話になっております。



医療費亡国論」からの脱却が不可欠
-元財務官僚・村上正泰氏に聞く◆Vol.1

「国民負担率の抑制が、あらゆる政策の出発点だった」
2009年11月25日 聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)


「わが国の医療制度の危機的状況の最大の原因は、
これまでの低医療費政策」。

今年10月に上梓した『医療崩壊の真犯人』(PHP新書)で、
こう指摘した村上正泰氏。村上氏は財務省に入省、
2004年から2年間は厚生労働省に出向し、
2006年の医療制度改革に携わった。

現在は退職し、財団法人日本国際フォーラム所長
として活動すると同時に、財務・厚労の
両省での経験を踏まえ、医療分野での評論活動を展開する。

医療の現状認識や、事業仕分けをはじめ
民主党政権下の政策決定プロセスなどについて、
村上氏に聞いた。
(2009年11月21日にインタビュー。計5回の連載)



村上正泰氏 1974年生まれ。
東京大学経済学部卒業後、大蔵省(現財務省)入省。
在ニューヨーク総領事館副領事などを経て、
2004年7月から2年間、
厚労省保険局総務課課長補佐。
2006年7月退職。

 
――『医療崩壊の真犯人』では、様々な要因があるとしながらも、
医療費抑制策が一番の医療崩壊の原因であるとしています。



社会保障費の適正な水準は、各国の状況によって
違ってくるため、一概には言えません。

ただ、日本は既に世界で最も人口の高齢化が進んでおり、
対GDP比の医療費がOECD加盟国の中で
長年下位である状況は、明らかに異常でしょう。

高齢化が進めば、医療費は当然増えざるを得ない。
医療費の中でも効率化すべき部分は確かにあると思いますが、
過度に抑制されすぎていた。

その結果、現場にひずみが生じ、医師不足、
救急搬送、医療事故など様々な問題に
つながっているのだと捉えています。



 ――なぜ政府、あるいは財政当局は医療費
抑制してきたのか、どんな政策決定プロセスのために、
それが継続してきたのでしょうか。



1980年代から、『医療費亡国論』に代表されるように、
医療費の抑制が政策の前提条件になるような
雰囲気が非常に強かった。

税や保険料負担を抑えないと、経済の活力が失われ、
国民の生活が苦しくなるという認識が、政府だけでなく、
国民の間にあったと思います。

さらに、1990年代に入り、バルブ経済が崩壊し、
経済成長率は低下した。
税収も、保険料収入も落ち込む。
医療費を取り巻く財政状況が厳しくなってくる。

こうした中で、ますます「医療費を抑制しないと、ダメだ」
という雰囲気が強まった。

自民党政権時代の経済財政諮問会議でも、
「中長期的に医療費を抑制していく」という
大きな文脈の中で、医療費の伸び率管理
という議論が出てきました。

こうした点を踏まえると、20数年来、
医療費抑制という基本は変わらず、
そこに大きな問題があると考えています。



 ――2004年7月、財務省から厚労省に出向され、
経済財政諮問会議にもかかわっています。
医療費抑制」という目的の是非自体は、
議論にならなかったということですか。



当時も、厚労省はそれに対する反論を
細々とはやっていました。
国際比較でも、日本の医療費をはじめとする
社会保障費の水準は低い。

一方、ヨーロッパ諸国を見るとGDP比の
国民負担率が50%を超えていても、
経済成長率が低いわけではありません。

英国のオックスフォード大学の公共経済学の大家である、
アンソニー・アトキンソン教授は、詳細な国際比較を行い、
「国民負担率と経済成長率との間に、
統計的に有意な関係はない」という結論を出しています。

厚労省がこうした視点で反論しても、
経済財政諮問会議では、全く聞き入れられませんでした。

もっとも、厚労省が財務省に財源確保を要請しても、
他方で厚労省は他の役所とは異なり、
財政当局の役割を果たしている点にも着目すべきでしょう。



 ――それはどのような意味でしょうか。


国土交通省が「公共事業費亡国論」、
文部科学省が「教育費亡国論」などと言い出すでしょうか。

彼らは予算を上げろと言い、財務省との
つばぜり合いを展開するわけです。

これに対し、厚労省も医療費の引き上げを主張しますが、
医療費が増えれば保険料に跳ね返ってくる。
保険財政を預かっている立場からすると、
「保険料の上昇を抑えるためには医療費
抑えなければいけない」と厚労省は考える。

実は財務省の中にも、「厚労省、特に保険局は、
自分たちと近い考え方をする」との見方があります。

私は厚労省出向時、財務省の先輩から、
「保険局はなぜ医療費の伸び率管理に抵抗しているのか。
保険局は我々の味方、近い存在だと思っていたのに」
といった内容のメールを受け取ったことがあります。



 ――厚労省でも、保険局と、医政局をはじめ
他局との間では考え方が違うと思われますか。



医療制度改革の議論は保険局中心のところがあり、
医政局の主張、意見はプラスアルファで付いてくる程度。

私は2006年の医療制度改革に関わったのですが、
その前の2002年の小泉内閣最初の制度改革時も、
保険局マターが中心で、医政局関連の事項が
大きく取り上げられることはなかった。

私は保険局総務課で、「医療費適正化計画」の
枠組み作りに携わったのですが、平均在院日数の短縮、
療養病床削減の議論において、医政局の存在は薄かった。

これらは医療提供体制の話ですから、
医政局の観点からの議論が本来的には重要。

しかし、保険局で決めて、医政局に「こうしたい」と言っても、
医政局から積極的に意見が返ってくることはありませんでした。



 ――療養病床を削減するのであれば、
急性期から慢性期、在宅への流れを踏まえ、
医療提供体制の枠組みを考える議論があるべきです。



保険局から数値目標を提示しても、
医政局は無反応に近い状況でしたね。
その時に限らず、医療制度改革の時には、
保険局の声が強い。
「最後は、カネに行き着く」という面があります。


 ――その辺りを変えないと、「財政当局としての厚労省」
という側面が強く出てしまう。
「国民負担率を50%以内に抑える」という
前提条件を変える議論にもならない。



そうですね。
最終な部分は、政策の価値判断の話になると思います。

「国民負担率を50%以内に抑えなければいけない」
と考えるのか、ヨーロッパ諸国のように、
国民の合意形成を経ながら、社会保障費を徐々に増やし、
充実していくのがいいのか。

少なくてもこの10年間くらいは、
小さな政府志向が非常に強かったので、
「国民負担率は抑制しなければならない」
という考えが、あらゆる政策を考える上での
出発点になっていた。
この辺りはもっときちんと議論されるべきだと思います。




社会保障国民会議で抑制論から転換の兆し
- 元財務官僚・村上正泰氏に聞く◆Vol.2

医療者だけでなく、患者・国民にも医療への危機感



――麻生政権時代の社会保障国民会議は、
2008年11月に報告書をまとめています。

医療・介護費用についてシミュレーションし、
複数の改革シナリオを提示して、
負担増にも言及しています。
この会議では、原点に立ち戻った議論が
行われたとお考えですか。



今までの議論と方向性は変わってきたと思います。
従来の医療制度改革は、「2025年の医療費
これくらいですが、改革を実施すれば、
この程度に削減できます」という議論ばかりやっていた。

これに対し、社会保障国民会議では、
「こういう改革を実施したら、このくらい
医療費が増える」という議論だった。

ただ、その際の議論の中身は、
「急性期医療の部分はマンパワーを充実して、
在宅医療も整備し、平均在院日数は短縮する」
といった内容にとどまっています。

ではこうした改革を実施した時にどんな医療が実現するか、
もう少しビジョンがほしかった。
また、幾つかの改革シナリオを提示していますが、
結局、医師数や平均在院日数を変数としている程度で、
シナリオの中で、「どれを選びますか」と聞かれても、
大差がなければ選びにくい。

とはいえ、不満もありますが、
議論が変化してきたことは確かです。



 ――なぜ長年続いてきた医療費抑制という
議論の方向性が変わってきたのでしょうか。



やはり小泉改革で、ここ数年、相当荒っぽく
改革をやりすぎて、医療崩壊を招いた。
「このままでは安心して医療が受けられない」という声が、
医療者だけでなく、患者、国民からも
強くなってきたことが大きいと思います。



 ――しかし、社会保障国民会議では、
平均在院日数など以外の新しい指標が打ち出せなかった。



「在宅医療、介護なども含めて、
退院後も安心して生活できる体制作り」は、
長年指摘されてきた話。

これは正しい方向性ですが、社会保障国民会議の
ビジョンはこれだけなのか。
またこのビジョンを掲げるとしても、これまで遅々として
実現できなかったのはなぜか、
本当にこれを進めていくには何が必要なのか、
という議論が少なかった。

在宅医療は、診療報酬上で重点評価する
程度ではなかなか進みません。
在宅医療を推進するのであれば、
様々な側面から条件整備を行う必要があります。
 


 ――ビジョンに新しさや具体性がないとのことですが、
例えばどんなビジョンをお考えですか。



結局、同じような方向になるとは思うのですが、
在宅シフトを進めるという政策の根底にも、
医療費抑制の発想があります。

この考え方で組み立てていくと、絶対にうまくいかない。
そうではなく、「在宅医療がいい」のであれば、
在宅へのシフトが進んだ結果、医療費
増えても構わないという発想でスタートしないと、
急性期から慢性期、さらには在宅への流れは
永遠に「絵に描いた餅」でしょう。

医療費抑制を出発点にすると、政策自体も
非常に荒っぽいものになる。
療養病床の再編がその典型。

本来であれば、療養病床を削減するのであれば、
慢性期の医療の在り方、医療と介護の関係、
さらには受け皿の整備の議論から進めるべき。

しかし、実際には「医療費抑制」から議論がスタートした。
だから「病床を減らす」という数値目標をまず掲げる。
その後のことはそれから考えるという、
厚労省の政策の荒っぽさにつながる。

後期高齢者医療制度にしても、荒っぽく映っている部分は
この辺りが原因ではないでしょうか。

こうした思考であれば、厚労省の役人が
じっくりと物事を考えて決めるという雰囲気も失われる。
また実際に時間的な余裕もないのが事実でしょう。



 ――厚労省は、他省庁と比べて多忙なのでしょうか。


省内で余裕がある部署があれば、
そこから多忙な部署に職員を配置できます。

しかし、今はどの部署も忙しい。
また各部署にはそれなりに職員はいますが、
各部署が抱えている業務の多さ、責任の重さ、
重要性は相当なものだと思います。

日々の業務をこなしながら、次の政策を
考えていくだけの物理的な余裕があまりない。



 ――財務省との比較ではどうなのでしょうか。


例えば、財務省主計局は、各省庁との間で
予算の交渉はしますが、主計局が矢面に立って
国民と接することはほとんどありません。

国民、あるいは利害関係者と直接接して、
時には対峙するのは各省庁です。

特に厚労省の仕事は国民生活に
密接につながっているだけに、政策的な問題、
失敗があった時にそれだけ批判もダイレクトに受ける。

それに向き合うのは、大変だと思います。
もっとも、政策の失敗は自分が招いている
という自己責任はありますが。




次期診療報酬改定は民主党の医療政策の試金石
- 元財務官僚・村上正泰氏に聞く◆Vol.3

「今の議論を見ると、政権交代した意味があるのかと思う」



 ――社会保障国民会議で「医療費抑制政策」の
方向性が変わってきた。
そうした中で、民主党政権が誕生しました。
まず民主党のマニフェストに対する評価をお聞かせください。



最初にマニフェストを見た時は、
医療費をOECD平均並みに増やす」ことを
打ち出していたので、方向性としては期待していました。

ただ、いつまでに増やすのかなどの具体性に欠ける上、
医療についての理念が見えてこない。

医療以外でも「子ども手当て」の創設を打ち出すなど、
社会政策を重視する方向性は伺えますが、
一方で、“ムダを排除する”など、構造改革的、
小泉改革的な路線も見える。
両方の要素が混在しており、両者の整理が理念上、
あまりなされていない印象を持ちました。



 ――「期待していた」とは、過去形なのでしょうか。


医療の今後の方向性を占う上でも、
今回の診療報酬改定が重要だと思うのです。

医療政策をどうするか、民主党の姿勢が一番、
はっきり現れる。

現時点は、まだ議論の過程であり、
結論が出ているわけではないのですが、
野田財務副大臣などが、財務省主計局と
ほとんど同じことを言っているわけです。

政治家としての発言なのか、主計局に
言われたことを言っているだけなのか。
診療報酬の配分を見直し、開業医から勤務医に回し、
全体としては上げない」という発言は、
主計局に踊らされているとしか思えない。

長妻厚労大臣も、発言が揺れており、以前は
診療報酬を増やさなければいけない」と言っていた。

しかし、最近、「上げ幅をなるべく抑えて」
と発言しており、厚労大臣の発言としては
きわめて不適切だと思います。

このように今は「診療報酬全体は押さえ、
配分の見直しで改定」という議論が非常に強い。
それはおかしいのではないでしょうか。

従来から「開業医は儲けすぎ」という議論があります。
財務省が昔から言っていたことで、
今回の行政刷新会議の
「事業仕分け」でも議論になりました。

しかし、それが果たして本当なのか、
実態を反映しているのか、という点は実は
明確になっていません。

多くの方が指摘していますが、個人開業医の収入には、
将来の設備投資のための積立や、
退職金引当金に相当する部分などが含まれており、
勤務医との単純な収入比較はできません。

さらに「事業仕分け」では、診療報酬への
「公務員人件費・デフレの反映」なども言われていますが、
これも一方的な議論です。

こうした議論を続けているのだったら、
政権交代の意味がない。
政権交代はいったい何だったのかと。
主計局が「医療費抑制」を主張していた
時代と変わりません。



 ――そもそも主計局はなぜ、「医療費抑制」
を掲げ続けるのでしょうか。
仕事だから抑制政策を訴えるのか、財務官僚の
個人的な見解としてはどうお考えなのか。



それは個人にもよるでしょう。
ただ財務省は最初は厳しい玉を投げるものです。

診療報酬本体でプラスマイナスゼロ」は、
最終的には無理だと分かっていても、
財務省からは最初から緩やかなことは言えない。

しかし、今のやり方を見ていると、財務省の
厳しい玉を受けて、落とし所を探っていく
という従来の手法と変わらない。

「政治主導」と言うのであれば、
まず医療政策のビジョンがどうあるべきか、
その議論から入っていく必要があるのでは。



 ――今回の診療報酬改定は、今後の民主党の
医療政策を占う上で重要とのことですが、
長年の政策決定プロセスや方針を変えるのは
容易ではありません。
今、この時点で何をすべきでしょうか。



財務省も、勤務医対策の必要性は認めており、
急性期、救急、産科、小児医療なども
評価しなければならないと言っています。

その財源を開業医の側から持ってこようとしている。
しかし、診療報酬はマイナス改定が続き、
様々な部分が痛んでいる。

全体的な底上げをやらなければいけない時に、
配分の議論で全体としてプラスマイナスゼロにしたら、
解決にならない。

例えば、診療所は外来で重要な機能を
担っているわけです。
そこを削り、診療所が窮地に陥り、診療所の患者が
病院に押しかけたら、ますます勤務医は疲弊します。

道路や橋などの公共事業は、
「これは不要」と思えば、その部分だけを
中止することが可能です。
道路に当てる予定の予算は浮きます。

しかし、医療費に効率化の余地があるとは思うのですが、
医療の場合、「ここにムダがある」と言って、
すぐにその部分を削減・廃止することはできません。
効率化するにしても、徐々に時間をかけながら、
進めていくことになると思うのです。

例えば、ジェネリックを普及させ、
医療費を削減するという議論があります。
しかし、一気に普及して、医療費が一気に
下がるようなことにはなりません。

ジェネリックの有効性や安全性について
関係者が共有するなどの条件整備が必要で、
普及には時間がかかります。



 ――医療費を効率化できる余地があると思うのは、
どんな部分でしょうか。



明確に「ここにムダがあり、これだけ減らせる」とは、
なかなか言えないのではないでしょうか。

例えば、複数の医療機関を受診して、
多くの薬をもらう。結局、ほとんど服用せず、
患者の自宅に残っているケースがあります。
しかし、一気にこの問題を解決することは難しい。

あるいは軽症の患者でも、大病院を受診する。
その分の医療費は効率化できるとは思いますが、
一気には難しい。

厚労省も今まで診療報酬で、
例えば診療所の外来機能、病院の入院機能を
重点的に評価するなどしてきましたが、
なかなかうまくいかない。

そこで、かかりつけ医的な機能を制度化する
という話になります。
方向性はいいでしょうが、それを進めるためには、
信頼できるかかりつけ医を養成し、
患者が適切なかかりつけ医を選べる仕組みを
作っていかなければいけない。

その上で、病診連携を進めていく。
医療の効率化は、相当長い目で
考えていく必要があります。
それを道路や橋のように、不要だからスパッと
廃止して効率化できる、医療費を浮かす
と考えるのは「幻想」で、危険な議論です。



 ――療養病床の削減も同様です。
先ほども話がありましたが、まず「削減目標ありき」で、
医療提供体制の話は二の次になった。



結局、最初に削減目標を立て、その受け皿は
各都道府県が計画して整えますとしているだけです。

医療提供体制は、急性期の入院医療
慢性期医療、診療所の外来医療、在宅医療
それぞれ別個に存在するわけではなく、
密接につながっている中で医療が成り立っているわけです。

「ここにムダがある」「ここを手厚くするために、
こちらには痛みを」という構図は、どこかに
過度の負担がかかり、ひずみが生じる。
システム全体を壊しかねません。

財務省が昔ながらの主張をするのは、
「またか」という感じ。
しかし、事業仕分けの議論の影響を受けて、
長妻大臣まで「上げ幅なるべく抑えて、
配分を見直してやる」という話をするのは、おかしい。

長妻大臣の場合、社会保障、特に医療には
あまりかかわってこなかった。
どちらかと言えば、「ムダの排除」が
得意なのではないでしょうか。

だから、「ここにムダがある。
ムダは減らさなければいけない」といった
財務省的な議論に、親和性を
覚えているのかもしれません。



『元財務官僚・村上正泰氏に聞く◆Vol.1』
『元財務官僚・村上正泰氏に聞く◆Vol.2』
『元財務官僚・村上正泰氏に聞く◆Vol.3』



長妻厚生労働大臣。
野田財務副大臣とは違って、
官僚にコントロールされていないのは良いんですが。
予想通り、医療に関しては素人だから。
最初は診療報酬上げる、って言っていたのに、
なんかだんだん弱気になってますもんねー。

そもそも、診療報酬を上げるか、
医療費を上げるかっていうのは、
政治が決める事ですからね。
そういうのに口出して来る事も
おかしいような気はしますが。

財務省も、支出を減らすのが仕事だから
言ってくるのはしょうがないんでしょうけど。
それを、そのまま受け取るようじゃ、
とても「政治主導」とは言えないでしょー。


たしかに、医療にもたくさん無駄ありますよ。
病院評価機構」って、厚労省の役人の
天下り先の機関
ですけど。
これのせいで、大きな病院は「病院機能評価
に受かるため、それこそ何千項目もある
評価をクリアしようと、数年っていう年月と
膨大な手間をかけているんですよ。

まあ、100%無駄とは言わないけど。
メリット1としたら、デメリット10位ですね。

このせいで、無駄な書類が増えたり、
決まりが増えたりして、医師や看護師、
その他の医療従事者の仕事が大幅に増えて、
医療崩壊が進んでいる
、っていう側面もあります。

こういうのこそ、「行政刷新会議」で取り上げられて
「必要ない」って結論になれば良かったんですけどねー。

まあ、それは置いておいて。
財務省の官僚も、厚労省に来れば、
きちんとわかるんですから。

現場を知りもしないくせに、ただ「削減しろ」
って言うだけじゃなくて、いろんな所で
現場を見て欲しいですねー。




元財務官僚村上正泰さんが書いた
医療崩壊の真犯人」を読みたい人はこちら↓


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この記事へのコメント
やはり……
Dr.I様>
 やはり、なんだかんだいって、医療制度の問題点は「要求水準に比して収入が少なすぎる」ことですよね。誰の目にも明らかなことを「医師のモラルの問題」と精神論に持ち込む傾向、なんとかしてほしいものですね……
Lich[URL] 2009/11/30(月) 14:30 [EDIT]
>Lichさん
医者の問題も多少はありますけど。
やっぱり、それ以外の問題の方が大きいですよね、どう考えても。
Dr. I[URL] 2009/12/02(水) 00:28 [EDIT]
> 元財務官僚も、『医療崩壊の真犯人』で、医療崩壊の一番の原因は「医療費抑制策」と思っているようですね

うーむ、 医療がうまく行かない理由は、
      カネ(が無いこと)
との説は、医療者の間にも素直に受け入れられるようになってきたのでしょうか。

ちょっと前は、そういうことを言うと、訴訟のほうが第一原因だーという反論が多かったのですが。

◆元検弁護士のつぶやき /医療関係エントリに関するつぶやき
コメントNo.186 YUNYUN (2007年3月25日)
http://www.yabelab.net/blog/medical/2007/02/15-104709.php#c46244

今読むと懐かしス
YUNYUN[URL] 2009/12/07(月) 17:42 [EDIT]
>YUNYUNさん
2年前からそれ言っていたのは、さすがですね。
一応、私もその頃から、医療崩壊の主因は医師不足と医療費不足の方が、医療訴訟よりも大きいとは思っていましたよ。
でも、それは医者では珍しかったんですかねー。
あんまり覚えてないや。
Dr. I[URL] 2009/12/11(金) 23:54 [EDIT]
ひさしぶりにお邪魔します。
医療崩壊の原因は、医療に対する要求(訴訟は最も強烈な要求の表現形)は高まっているが要求に応える資金がないこと。
解決策は単純で要求水準を下げるか、金を増やすか。
医療崩壊に対して要求(訴訟)と医療費抑制はお互いに無関係な因子ではないので、どちらが主犯かは立場により異なります。
医療コストを抑えたいのなら要求(訴訟)を何とかすべきだし、要求(訴訟)を維持したいのなら医療費を増やすべき。
コスト抑制に重きをおく立場なら訴訟が医療崩壊の主犯だろうし、要求維持に重きを置く立場なら医療費抑制が主犯と考えます。
国民はどちらに重きを置きたいのでしょうか。どちらも求めたので医療崩壊が進行したんですよ。
元ライダー[URL] 2009/12/14(月) 14:14 [EDIT]
>元ライダー先生
お久しぶりです。
どっちが医療崩壊の主犯か、っていう事に関しては、一概には言えないですね、確かに。
両方の側面がありますから。
どちらも求めるっていうのが無理っていうのは、確かなんで。
どちらかを選んでもらうっていうのが、本来の姿ですよね。
Dr. I[URL] 2009/12/18(金) 22:11 [EDIT]

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