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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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診療報酬ほんのわずかにアップ
10年ぶりに、ほんのわずかとはいえ、
診療報酬が増額になりましたね。
まあ、たったの0.19%
額にすると、国費ベースで160億円なので、
全然足りないですけどね。

だって、小泉政権以降、診療報酬
マイナス改定が繰り返されて、
合計マイナス7.73%ですから。


ここ数年、医療崩壊の話が
毎日のようにメディアでも報道され。
多くの人たちが、今までは他人事だったのに、
やっと自分達の周りでも医療崩壊
起こっている、って事に気づいて。
その大きな要因が医療費抑制政策のせいだ、
って事も理解されてきましたから。
さすがに、財務省も医療費を減らす、
って事は出来なかったんでしょうね。


医師不足じゃなくて、医師の偏在だ。
とか、医療費不足ではなく、配分の問題だ。
っていうレベルでは、医療崩壊の問題は
絶対に解決できない。
という事は、もうほとんどの人が
気づいているのに
最後の最後まで、くだらん言い訳ばかりして、
医療費を抑制しようとしていた財務省。


この状況で更に診療報酬を減らして、
医療崩壊がこれ以上進んだら、
さすがの財務省でも言い訳できませんから。
アリバイ的に、診療報酬を増やしましたよ、
って事なんですよね、これ。


はっきり言って、予想通りですけど。
まあ、マイナスじゃなかっただけ
良しとしますか。



0.19%、10年ぶりプラス改定で合意  
来年度診療報酬改定
日刊薬業 2009/12/24

政府は23日、2010年度
診療報酬改定について、
医師の技術料に当たる本体部分と
薬剤費を合わせたネットで0.19%の
プラス改定とすることで合意した。

ネットでのプラス改定は2000年度以来
10年ぶりとなるが、上げ幅はわずかで、
政権公約で医療崩壊からの脱却を打ち出した
民主党が辛うじて体面を守った格好となる。

プラス改定に必要な財源は約700億円
(国費ベース160億円)に相当し、
この分は診療報酬全体の中でやりくり
するのではなく、財務省が純増の
財源として手当てする。

本体部分の改定率はプラス1.55%で、
薬価はマイナス1.23%
(薬価ベースでマイナス5.75%)、
医療材料はマイナス0.13%となった。

ネットでのプラス分、薬価や医療材料の
引き下げ分(約5000億円)を合わせた
約5700億円が本体部分のプラス改定に
そっくり充てられることになる。

救急など急性期の入院医療
4000億円程度を振り分ける方針だ。

診療科ごとの改定率は医科1.74%、
歯科2.09%、調剤0.52%で、比率に直すと
1対1.2対0.3となる。

これまでの改定は医科と歯科は同じ配分に
なるケースが目立っていたが、
歯科を手厚くした。
厚生労働省は過去の配分で
評価しきれていなかった分を
戻すためと説明している。

診療報酬改定をめぐっては、財政状況の
厳しさから財務省がネットでのマイナス改定を
要求していたが、長妻昭厚生労働相は
同日の会見で、
医療崩壊の声、地域医療立て直しの
声が届いており、その意味で
理解いただけたのではないかと考えている」
と述べ、厚労省の主張が認められたことに
安堵感をにじませた。

一方、プラス改定はあくまで勤務医と開業医、
診療科の間の格差是正が前提であると強調し、
具体的な点数配分を決める中医協でも
この方針に沿って議論が進むよう念を押した。
救急や産科、小児科、外科などを中心に
財源を配分することを想定している。

野田佳彦財務副大臣は会見で、事業仕分けで
決まった長期収載品の薬価の引き下げや
診療報酬の配分見直しに触れ、
「この線に沿って厚労省には
私どもの主張をしてきたつもり。
十分かどうかということは何とも言えないが、
一応合意はしたので配分の見直しは
しっかりやっていただく」
と述べた。




民主党のマニュフェストに
「日本の医療費をGDP費で、
OECD平均まで増やす。」

っていうのがありますから。
ここで診療報酬を減らしたら、
完全に公約違反になっちゃいますからね。

公約違反で、かつ医療崩壊を更に進めた。
という事になれば、次の選挙も厳しいし。
実際問題として、国の支出で増えるのは、
160億円だけですから。
建前だけでも増やしますよね、当然。
金額的には屁でもないでしょ、この程度。

まあ、それ以外にもマニュフェスト違反を
たくさんやっていますから。
今さら、後一つ増えてもたいした事ない、
っていう考えもできますけどね。

医療だけでなく、民主党政権というか、
鳩山首相というか。
一言で言うと、
「プランがない」
ですよね。

戦略がない、という言い方も、
出来るかもしれませんけど。
国だけでなく、企業でも集団でも、
トップのやる事で一番大事な事は。
「方向性を出す」
って事だと思うんですよね、私。

「コンクリートから人へ」
とか
「友愛」
とか。
言葉はいろいろ出ているみたいですけど。
はっきり「予算」という具体的な形で
出してもらわないと。
ただ、行き当たりばったりにしか見えませんよ。

国民も、そろそろ気づいてきたようですけどね。
来年の参議院選、民主党の圧勝で、
3党連立なんか必要なくなる、
って見方をしていた人の方が
少し前ならほとんどだったと思いますが。

ちょっと、来年の参議院選も楽しみですね。
こんなに失点ばかりなのに、
それを攻めきれない自民党も、
だらしないですけどね、あまりにも。


私だけじゃなくって、私があまり好きでない
日本医師も同じような事を
言っているようです。
まあ医師とか関係なく、
ほとんどの医師はそう思っているでしょう。



「160億円が地域医療の崩壊に対する
新政権の手当か」
日本医師会が診療報酬改定について会見

12月24日,日本医師会は前日政府が
診療報酬を10年ぶりに引き上げる
と発表したのを受け,会見を行った。

プラス改定そのものは評価したものの,
全体の改定幅が0.19%増と
なった点について,日医常任理事の
中川俊男氏は,これは国庫財源で
換算すると,160億円に過ぎないとし
「これが日本の地域医療の崩壊を防ぐ
新政権の手当かと思うと,全国の
医療関係者は本当に失望していると思う」
と非難した。


「小幅過ぎる改定」に対し,
中医協がどう動くかにも注目
 
会見を行った中川氏はまず
唐沢祥人会長名の見解を読み上げた。

それによると,10年ぶりに診療報酬
プラス改定となったことについては
「厚生労働省政務三役が医療再生のために
ご尽力された成果である」
と評価の姿勢を示した。

しかし,これまで民主党が
マニフェストで国内総生産(GDP)に占める
医療費の割合を経済協力開発機構
(OECD)加盟国平均まで引き上げる
としていたことを挙げ,診療報酬全体で
0.19%,本体で1.55%という改定幅に
関して苦言を呈さずにはいられないと批判。

今回の改定が医療現場に希望を与える
水準にはなく,「新政権に期待を寄せてきた
全国の医師医療現場はいま
大きく失望し,憤りすら覚えている」
と遺憾の意を示した。

見解発表後,日医が診療報酬改定を
評価したのか,あるいは評価しなかったのか,
具体的な点に質問が集まった。


中川氏は
「合格ラインが60点とすれば
50点くらいですかね。
簡単に言えば不合格」とばっさり。

さらに,
「そもそも医療費を上げて医療崩壊
阻止するということは,民主党の
マニフェストなどにおいて,子ども手当と
同じに一丁目一番地だった。

その政策をこのように例えば
改定率全体で0.19%,この国庫の財源は
160億円に過ぎない。

これが日本の地域医療の崩壊を防ぐ
新政権の手当かと思うと,全国の
医療関係者は本当に失望していると思う」
と強調した。

 
ではどのくらいの改定幅が必要か,
との質問に対しては,小泉政権以降の
診療報酬のマイナス改定の繰り返しが
-7.73%の累計に及ぶとの日医の
これまでの主張を示した。

そのうえで,少なくとも
「3,4,5%とか,そういうレベルの
引き上げが必要だったと私は思っている」
とした。

また,現在,中央社会保険医療協議会
(中医協)が進めている勤務医,産科,
小児科,救急医療に関する立て直しの議論も,
診療報酬の大幅引き上げを前提と
したものであり
「今回の小幅過ぎる改定において,
いったい中医協はこれからどういう
議論をするのか」
とし,優先順位をつけた冷静な
議論を求めるとともに,日医としても
必要に応じてアドバイスをしていきたい
と述べた。

さらに,昨日の会見で長妻昭厚生労働大臣が
「小幅であるが,平均的に上げる
のではなくメリハリをつける改定を行う」
として再診料や診療科間の配分の見直しを
示唆したことについて,中川氏は
「恣意的かつ誤ったデータによって出された
事業仕分けの際の結論を踏まえた
ものになっている」
と大臣発言が財務省の影響を
色濃く反映していることにも警戒感を示した。
(坂口恵)


『2009年12月24日:MTpro』

(会員のみの記事です)



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この記事へのコメント
まあ……
Dr.I様>
 民主党政権、ほんのすこ~しだけ診療報酬改定しましたね。何もしないよりはまし(自民政権のように改悪はしてないですからね)ですが、それこそ「アリバイ作り」でしょう。
 これが、「はじめの第一歩」になるか「一過性の現象」でおわるのか、「期待せずに」見ておくといいかと^^;
Lich[URL] 2009/12/27(日) 07:10 [EDIT]
補助金減額と合わせると赤字?
確か事業仕分けでNICUとかへの補助金が半額になりましたよね。その分がいくらなんでしょう。

160億円なんて、補助金が減った分を考えたら赤字なのではと疑っています。
山口(産婦人科)[URL] 2009/12/27(日) 11:58 [EDIT]
>Lichさん
景気も悪くて、財源問題もありますから。
ほとんど増えないってのは、予想通りではあるんですけどね。
でも、残念です。
あまり期待しないで、見守って行きたいと思います。

Dr. I[URL] 2009/12/27(日) 21:39 [EDIT]
>山口(産婦人科)先生
>医師不足や救急医療などに対応して自治体や個々の医療機関等に出している補助金は、前年度の428億円から120億円減の308億円に削減
ですから、一応 
160億円ー120億円=+40億円
と、赤字ではないんですけど。
ほとんどゼロみたいもんですね。

あ、それ以外に、100億円とかって補助金も削減されたんでしたっけ。
Dr. I[URL] 2009/12/27(日) 21:43 [EDIT]
民主党
以前から色々ときな臭かった民主党をまだ支持していらっしゃるか久々に見に来ました。
ブログの更新、ペースが落ちていますね。
衆議院選挙前は民主党キャンペーンだったんですか?
自民党にも問題ありですが民主党はさらに問題ありでしょうに。
田舎の五流医師[URL] 2010/01/10(日) 02:03 [EDIT]
>田舎の五流医師さん
自民党は昔から嫌いですが。
民主党支持というわけではありません。
医療に関しては、自民党よりはまし、という事を言っていたのは事実ですけどね。

選挙前から、天下り削減と既得権益の癒着をはがす事、以外はたいして期待していない、とは言っていましたよ。
まあ、医療に関しては、もう少し期待はしていたのですが。
それだけに、期待はずれって気もします。

成長戦略がない、とか無駄を省くとか、そんなに簡単にはいかない、っていうのはある程度は予想通りですが。
ここまでひどいとは思いませんでした。

とはいえ、少しは期待していたのですが、残念ですね。

Dr. I[URL] 2010/01/11(月) 18:13 [EDIT]

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