現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
  • 09«
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »11
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
病院は赤字が良い
あけましておめでとうございまーす。
今年もよろしくお願いいたします。

昨年くらいから、忙しいのもあって。
なかなか、ブログが更新出来なかったのですが。
多分、今年から急に楽になる、
って事はないと思うので。
更新頻度自体は、あまり変わらないと
思うんですけど。
昨年までと同様、今年も
このブログをよろしくお願いしますね。


そいで、今年最初の記事は。
病院赤字の方が良い」
ってネタですわ。

医療崩壊の原因が、医療費不足
医師不足にある、っていう主張を
以前からしているくせに。
病院赤字の方が良いとは何事だ。
って思う人もいるかもしれませんけど。

赤字の方が良い、っていうのは
何も病院だけじゃないんですよ。

具体的に言うと、病院以外にも、
警察消防、あと自衛隊なんかもですね。

ここまで言ったら、意味わかりますよね。

警察や消防、自衛隊なんかの組織は、
国や自治体、国民を守るためにある訳で。
全く仕事がないから存在価値がない
っていうもんではないんですよ。

警察は赤字だから潰せ、とか。
消防は赤字だから潰せ。
とか言う主張をする人は、誰もいません。

まあ、自衛隊はなくても良い、
って主張をする人はいますけど。
それって、本来は警察がなくても良い、
って発想と同じなので。
私には賛成出来ません。

まあ、自衛隊の話はおいといて。

警察が暇だ、っていう事は、
犯罪の数が少ないって事ですから。
誰がどう考えても、良い事ですよね。

消防が暇だ、っていう事は、
火事が少ないっていう事ですから。
これも良い事だっていうのも
反対する人はいませんよね。

犯罪や火事は多い方が良い、
って人なんか誰もいませんよね。

それと同じで、病院が暇だって事は、
病人が少ないっていう事ですから。
本来は、良い事なんですよ。

なんか、病院赤字でけしからん、とか。
事業仕分けとか、財務省とか、
そういう所から文句言われているけど。
本来、病院っていうのは、
赤字の方が良いものなんですよ。

病院を黒字にするために、
特に地方自治体なんかが苦労してますけど。
病院赤字で何が悪いんですかね。

病院が赤字っていう事は、
病人が少ない、病気になって
病院に行く人が少ない。
入院する人が少ない、って事ですから。

それのどこが悪いんでしょうか。

病院を黒字にしろ、っていう事は
国民や市民にもっと病気になれ、
もっと病院にかかれ、
っていう事なんでしょうかねー。


まあ、実際のところは、
人口10万人位の都市であれば、
大きな病院が一つ位が適正だ。
と言われているんですけど。

こういう都市に、民間病院が2つもあって、
公立の病院が潰れそうだ。
っていうのに、この公立病院
赤字なのはけしからん。
もっと立派な病院に建て直して、
公立病院を黒字にしろ。
とか、無茶な事を言うのが悪いんですよ。

病院は3つもいらないんですから。
この赤字の公立病院を潰せば良い
っていうだけの話ですからね。

まあ、例えばの話ですけど。
こういう所で、新しい病院
豪華に建てるから、町や市の赤字
大きくなるから悪い。
っていうだけの話で。

病院自体が赤字だ、っていうのは
むしろ病人が少ない、病気の人が少ない
っていう事ですから。
むしろ、喜ばしい事なんですよ。

実は、すごく当たり前のような事で、
こういう主張をしている人っていうのは、
以外と少なかったんですけど。

ちょっと似たような意見を見つけたので、
ここで紹介させていただきますね。

夕張」に行かれて、今や全国でも
超有名になった、村上智彦先生の話です。

いつもお世話になっております。



時代を駆ける:村上智彦/5止 
北海道から地域医療モデル、発信したい

 ◇TOMOHIKO MURAKAMI

<生まれたのは北海道北部にある歌登
(うたのぼり)村(現枝幸(えさし)町)。
06年に合併し、歌登は
市町村名としては消えた。

典型的な医療過疎の町で、
母親は村上さんを自宅の長いすで産んだ>
 
僕は子どものころ、へき地の
みじめさを味わった。
それでも当時の住民には
モラルがあったように思うんだ。

だけど、今は違うね。
住民や自治体は医者を使い捨てにし、
国も医師を増やそうとしないのに、
「命にかかわることだから」
と過労死するレベルまで平気で
時間外勤務を強いる。
地域医療を立て直すには、まず
医師を疲弊から救うことが必要だよ。

そのために、僕は夕張の住民に、
かかりつけ医を持つように言っている。
いつ病気になるか分からないから、
定期検診を受けてもらい、
異常が見つかれば治療する。

そうすれば、診療所へ慌てて
飛び込んでくることもない。
病状が悪化してしまった場合には
専門医を紹介するし、専門医も
同業者に言われれば
「責任を持って診なければ」
という気になるものだ。

「どこの病院にかかろうが、患者の自由」
というのは間違いなんだよ。
 
もう一つ、119番とは別の
電話相談窓口を確保できないか考えている。
病状が心配な時に電話をかけてもらい、
アドバイスを受けてもらう。
一方、救急車は本当に
必要な人のためだけに使おうよ。
そうすれば医師の負担は軽くなる。

 
<夕張市に来て4度目の冬を迎えた。
村上さんは新たに「支える医療
を提唱し、高齢化社会における
あるべき医療の姿を模索する>

「支える医療」は、
地域の高齢者だけでなく、
福祉事業などを含めて医療が支える
という意味で名付けたんだ。

やっていることは地域医療と同じだけど、
地域医療という言葉だと、都会からは
「田舎の特殊な医療
とみられる傾向がある。

都市部の医師でも受け入れやすいように
違う言葉で表現した。

今、日本全体で高齢化が進んでいる。
高齢者医療が必要なのは都市部も同じ。
どこでも通用する仕組みを作り、
夕張から発信したいと思っている。

具体的には、市立診療所では
歯科医師が自宅に出向いている。
高齢者に食事の喜びを
味わってもらえるようにね。

また、高齢になると家で何が起きるか
分からないから、自宅で倒れた場合に備え、
緊急医療に必要な情報をまとめた
「命のバトン」の設置を進めている。

その人の基礎疾患や薬などの情報を
書いた紙をリレーのバトン形の
容器に収めたもので、
(戸棚などではなく)自宅の冷蔵庫に
入れておくと決めておく。

そうすれば、救急搬送が必要になった時、
救急隊員は冷蔵庫を開ければいい。
そして搬送先の医師に活用してもらう。
こうしたやり方は、
都会でもできるはずだ。

 
<患者はみんな自宅で老衰で死んでほしい>

母方のじいちゃんは戦争で片足を失い、
戦後を障害者として生きた。
でも不自由な体で僕を競馬に連れていったり、
鉄道に乗って駅弁を
食べさせたりしてくれた。

僕は「障害があっても、
その人らしく生きていける」
っていうことを学んだ。

じいちゃんは80歳近くまで生き、
最後は認知症と胃がんを患って
病院で亡くなった。

大学受験のさなかだった僕は
死に目に会えなかったけど、
今なら家で死なせてあげられたのに、
と残念に思っている。

高齢者には死ぬまで
尊厳を失ってほしくない。
だから患者には
「若い人に迷惑かけてもいい。
死ぬまで生きて」
と言っている。
僕の患者はみんな老衰で
死んでほしいんだ。


<北海道が好きでたまらない
“北海道バカ”を自称する。
夢は「日本一長生きな北海道」
をつくること>

北海道の自治体は補助金依存が強いし、
住民は健康意識が低い。
でも本州に出たら北海道の良さが分かった。

この豊かな自然を伸ばせば
北海道のアイデンティティーになるし、
医療に生かせば日本一長生きになれる
と思ってね。

「北海道は老後を過ごすにはいい場所だ」
って言われるのはうれしいじゃない。
地域医療を充実させ、
都市で疲れた高齢者が来て老後を過ごす
モデルができるなら、そこに
お金をつぎ込む価値はあると思う。


<地域医療はまちづくり>

地域医療の面から見て、
良いまちのシンボルは
「国保黒字で病院赤字」。

自治体が運営する国民健康保険は、
住民が健康意識を高めて病気予防に
励むと医療費を安く抑えられるから
黒字になる。

健康な住民は医者にかからないから、
そのまちの病院は収入が減る。
それでいい。
都会の医師
「住民の健康意識が高く、働いてみたい」
と思えるような地方をつくりたい。

僕が理想とする地域医療は、
まちづくりと似ている。

医師と行政が連携し、限られた
社会資源を上手に使うシステム作り。
瀬棚町でやったようにね。

だから、お金はかからない。
社会保障がしっかりすると、
住民は将来への不安がなくなる。

すると貯金をしないでお金を使うから、
まちが元気になる。

長生きできるようになれば、
孫の面倒をみられるから
少子化対策にもなる。
それはまちづくりと同じでしょう?

究極の地域医療とは、自分が骨をうずめたい
と思える地域をつくることじゃないかな。
僕にとってそれは夕張じゃない。

将来は生まれ故郷の歌登か
その周辺に戻りたい。
いずれ、そこの住民たちと地域を愛する
気持ちを共有できたら幸せだな。

=村上さんの項おわり


『毎日新聞:2009/12/29』


村上先生は毎日新聞で
>地域医療の面から見て、
良いまちのシンボルは
「国保黒字で病院赤字」。


と主張されていますけど。
おっしゃる通りだと思います。

実は私、2年程前から、
あまり誰も言っていない地域医療の理想
について、一部の人間には
話しているんですけど。
ちょうど良い機会なんで、
ちょっとブログに書いてみますね。
多分、ブログとかに書いて
公にするのは初めてだと思います。

上に書いた通り、私の理想とする
地域医療病院赤字
っていうのもあるんですけど。
実際問題として、赤字になったら
困ってしまいますよね。

でも、冷静に考えてみて、
病院赤字だろうが何だろうが、
医療には金がかかるし。
国も医療を出さなければならないし。
国民は保険料も出している。
という状態なんですから。

病院赤字って事は病人が少ない、
病気になる人が少ない、って事ですから。
そうなったら得をする、っていう
システムを作れば良いんですよね。

村上先生が言うように、シンプルに
「国保黒字で病院赤字」。
って事でも良いんでしょうけど。

私が言うのは、理想論なので、
ちょっと実現は難しいかもしれませんけど。

私の理想は、道州制にして、
医療費を一括して国が地方に渡す。

そして、残った金は自由に使ってよい。
というやり方です。

細かいやり方は、いろいろあるんでしょうが。
一言で言うと、そういう事です。

例えば、記事にも出てきた北海道。
これを例に出しますけど。
今、北海道の医療がいくらかかってるか、
全く知りませんけど。

例えば、国が北海道に医療として、
一兆円を渡します。
まあ、この額は去年の実際の医療
そのまま渡すって事で良いかと思いますが。
それが、例えば一兆円だとして。

今年、北海道の医療9000億円ですんだ、
という事になれば、今年は1000億円の黒字
っていう事になりますから。
余った1000億円で、公共事業を
行っても良いし。
定額給付金みたいにばら撒いても良いし。
更に病院を造るとか、保育所を造る、とか。
思っていた以上の黒字に関しては、
地域の自由にして良い。

っていう仕組みが理想だと思います。

そしたら、医療を少なくするために。
例えば、インフルエンザワクチンを無料にする。
とか、健康診断は無料にする、とか。
そういう工夫をしていきますからね。

病気の人を作らない、病院にかかる人を
なるべく減らそう、という工夫

すなわち、「予防医療」に
もっとお金をかける事になります。

そいで、医療だけでなく。
私が思っている道州制っていうのは、
アメリカの州のようなものなので。
北海道はタバコ税が高くてタバコ1000円。
とか、東北は医療は無料だけど、
消費税は10%とか。
そういう、税金に関しても、
州が自由に出来る、っていうやり方なんですよ。

タバコ税を上げて、医療が減ったら、
自由に使えるお金も増えますからね。

まあ、あくまで理想ですけどね。


民主党になって「地域主権
とか、訳のわからない造語が出来てますけど。
そういう、意味がわからないけど、
実際は主権が地域にない、
っていうのとは、全く別の「道州制」。
そういうのが良いなー、
って個人的には思います。

まあ、道州制でなくても良いんだけど、
病院赤字になって病人が減れば
得をするような「システム
というのが出来れば良いな、
って思っています。

今のシステムだと、全く逆なんで。
意味のない競争をする事によって、
逆に医療が高騰している。
という事になっていますからね。
その悪い典型が「アメリカ」です。

アメリカの悪い面ばかりを真似しないで、
日本独自の良いシステムを
作っていってもらいたいものですね。













スポンサーサイト
この記事へのコメント
実際……
Dr.I様>
 新年明けましておめでとうございます。
 「病院は赤字が良い」、けだし名言ですね。
 医療費に限らず、公の予算で「黒字を出したらその分予算を減らす」というやり方はおかしいですよね。それは、イコール「努力しないほうが有利(予算が減らない)」ということになるわけで、人間の努力する意欲をスポイルするのは間違いないですからね。こう書くと「お役所は甘い」とすぐ言う人がいますが、これは民間でも同じなわけで、例えば民間でも「文房具を節約したら経費が減って税金が増えるから余分なコピー機を経費で入れる」とかは十分ありえるわけで、その意味で「民間も役所もない(さらに言えば医療機関も)」のですが……(嘆息)。
Lich[URL] 2010/01/04(月) 20:59 [EDIT]
>Lichさん
あけましておめでとうございます。
予算でも何でも、無理に使ったほうが良い、ってなったら効率悪くなるに決まっていますから。
逆に、上手に節約した人にインセンティブを与えるっていうシステムにしなきゃいけないんですけど。
どうしてそうしないのか、正直良くわかりませんわ。
Dr. I[URL] 2010/01/05(火) 22:57 [EDIT]

管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバック
TB*URL

Copyright © 2005 健康、病気なし、医者いらず. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
Add to Google My Yahoo!に追加 健康、病気なし、医者いらず