現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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時間外重症患者割引制度実現か
このブログでも2年以上前から、
提唱していた制度。
勤務医の負担を減らす為の、
時間外重症患者割引制度」。

その名の通り、時間外病院を受診した人
からは、いくらかお金を上乗せして。
重症患者からは取りません。
もしくは、割り引きますよ。

っていう制度です。

詳しくは、この記事を読んでね。
『時間外重症患者割引制度』

2年前に書いた時は、こういう制度を
取り入れている病院は、まだ日本でも
さほど多くはなかったんですけど。
最近は、徐々に増えてきて。
軽症患者の受診抑制の効果がある
っていう事もわかってきたので。
今度の診療報酬改定で、もしかしたら
取り入れられるかもしれませんね。

以前にこのブログでも書いた通り、
『時間外加算金で時間外患者2割減少』

12の病院を集めて統計をとったら、
時間外患者軽症患者)の数が
2割以上減りました。
でも、重症患者(入院患者)の数は、
変わりませんでしたよ。


っていう小児科医の江原朗先生の論文とか。


鳥取大学医学部付属病院は、
5250円時間外加算金をとったら、
軽症患者の数が半分になった。


って新聞記事とか。
「勤務医開業つれづれ日記・2:2009.9.29」

こういうのが良い例ですね。

今のままでは、いくつか問題もありますけど。
方向としては、良い方に行っていると思います。

m3.com医療維新に記事が出ていたので、
紹介させていただきますね。



中央社会保険医療協議会

軽症患者救急外来受診について
特別料金徴収の案を提示
要件は医師等によるトリアージ、
患者への事前説明など

2010年1月15日 村山みのり(m3.com編集部)

1月15日、中医協総会において、
事務局(厚労省)は救急外来を受診する
軽症患者から医療保険の患者自己負担分
とは別に料金を徴収することについて、
具体的内容・要件の案を提出した
(資料は厚労省のホームページを参照)。
『厚労省のホームページ』


救急医療機関を受診する軽症患者
増加している一方、医師患者
協力してほしい内容として、軽症の場合は
近隣の診療所を受診してほしい、
休日・夜間の受診は避けてほしい
との調査結果が示されている
現状を踏まえたもの。

事務局案では、料金徴収をする施設として
救命救急センターを想定しているが、
「あくまでも提案にすぎず、議論により
対象施設が拡大または縮小する
可能性がある」とのこと。

事務局案は、救命救急センター
(2010年1月1日現在、全国で221施設)の
医師の負担を軽減する観点から、
他の医療機関からの紹介のない軽症患者
救命救急センターの救急外来を受診した場合に、
一定の条件を付した上で、医療保険の
自己負担とは別に、予約診療・差額ベッドなどと
同様の選定療養として、患者から
特別な料金を徴収することを可能とする内容。

医師や経験を有する看護師が
事前に状態等の確認を行った結果、
軽症であることが確認され、別途費用の
徴収が発生する可能性があることを
説明したにもかかわらず、患者の選択により
診療を実施した場合について、
医療保険の自己負担とは別に、患者から
特別な料金の徴収を可能とする。
具体的な要件(案)は以下の通り。

軽症患者に該当するか否かは、診察の前に、
医師または経験を有する看護師が判断する。
その基準は、学会等が示す
トリアージの基準を参考に、
各医療機関が策定する。

軽症患者に該当し、特別の料金を徴収される
可能性がある旨は、診療前に患者側に伝える。

・この軽症患者の基準や特別の料金を
徴収される旨は、院内掲示するとともに、
ホームページ等で公表する。

・なお、診療後に軽症の状態に
当たらなかったことが判明した場合や
入院が必要となった場合等は、
特別な料金の徴収はできないものとする。
 
トリアージの基準については、現在、
日本臨床救急医学会が作成中で、
今年度内に完成する予定。

特別な料金の徴収対象となる患者の典型例として、
事務局は「海外旅行なのでいつもの薬を
長期処方してほしいと言って来院する患者
「虫刺されがかゆいと言って来院する患者
「指に刺さった小さなトゲを抜いてほしい
と言って来院する患者」などを例示している。

「挙げたのは極端な例。実際に対象となるのは
これだけではないと思う」としているが、
これらはすべて、現在すでに救急外来を訪れる
軽症患者から時間外特別料金などを
徴収している医療機関で
実際にあったケースとのこと。

既に特別料金を徴収している医療機関は、
2008年7月1日現在1180施設あり、
国内の病院の1割強。
徴収金額は最低で210円、最高8400円。

なお、今回のルールが導入された場合に、
軽症患者が説明を受けた結果
受診を取りやめた時は、
料金は徴収しないこととする方針。

事務局は「料金を徴収することが
目的なのではなく、これによって適正な
救急外来の受診を促したい」と説明した。

この項目は、2010年度診療報酬改定における
重点課題の一つである「勤務医の負担軽減」
の一環として提案されているが、
1号側(支払側)委員からは
「逆に料金さえ払えば軽症でも救急外来を
利用できるようになるということ。
支払能力によって差が生じるのは望ましくない」
「適正受診の促進は重要だが、料金徴収以外の
方策を検討すべき」
などの反対意見もあり、導入の
是非を含めて今後議論される。


「m3.com:医療維新2010年1月15日」


まずは、問題点なんですけど。

軽症患者に該当するか否かは、診察の前に、
医師または経験を有する看護師が判断する。


勤務医の負担軽減なんだから。
医師に判断させたら、意味ないでしょ。
むしろ、こういう事を医師に説明させたら、
医師の負担増えますからね。

まあ、実際に制度が導入されたら、
医師がやる病院はないと思いますけど。


事前に説明の必要がある、とか。
軽症以外であれば、料金を取らない。
というのは、当たり前なんで。
問題ないとは思います。

あと、2年前から言っている問題になる場合ってのが。
軽症かどうか決めるのを現場の医師にやらせない」
って事ですよ。

この案でも、
軽症患者に該当するか否かは、診察の前に、
医師または経験を有する看護師が判断する。


と、なっています。
診察した後に、軽症だったら料金取るし、
軽症ではなかったらお金がかからない。
という事になりますけど。

その判断を現場の医師がするって事になると。
軽症と判断されてお金がかかった場合に、
患者から「なんで俺は軽症で金かかるんだ
ってクレームが来て、余計現場の医師
負担がかかる
、って事が予想されます。

だから、以前にこのブログでも書いたように
『時間外重症患者割引制度』
かかった医療費」によって、
軽症か重症かの判断を決める。

とか。

入院」したら重症で、料金なし
それ以外は、軽症として全て料金を取る

というように、「判断基準をシンプル
にして、現場の医師に余計な負担をかけない
という事が非常に重要になります。


>救命救急センターの
医師の負担を軽減する観点から、


負担を軽減するのが、救命救急センターだけ
というのも、問題ですね。
今一番、医療崩壊の真っ只中にいるのは、
「地方の2次救急病院
これが、一番厳しい状態なんですが。
その事をわかってないようですね。

「救命救急センター」っていうのは、
基本的には都会にある大病院
ですから。
医師の数も、スタッフの数も、
そこそこいるんですよ。
基本的には。

でも、中堅クラスの都市の
中規模の病院っていうのは。
医師の数もどんどん減って、
看護師やスタッフの数も少ないんです。

それに、患者側の病院志向
専門医志向が重なってしまって。
その地域では一番大きいけど、
救命救急センター程ではない、
そこそこ近くにある病院
すなわち、その地域の中堅病院に、
患者が殺到しているのが現状です。

救命救急センターなんかは、
医師の数もたくさんいるから。
当直医も2人、3人体制は当たり前。
という状態ですけど。
普通の中堅病院では、
当直医1人ですからね、基本は。

そんなところに患者が押し寄せて
困っている、というのが現状なのに。
対象が「救命救急センター」だけ、
っていうのでは、お話になりませんよ。

もちろん、「救命救急センター」も、
ものすごく忙しい、ってのは事実ですから。
当然、この制度は適用されるべきですけどね。

昔は、一次で診ていた患者
2次に行くようになって、
2次で診ていた患者が3次に行く。

だから、救命救急センターがパンクする

というのが現状なので。
最後の3次(救命救急センター
だけを対象にしてもダメなんですよ。

2次救急の、地方も含めた病院
患者を抑制する事ができれば、
3次の救命救急センターも助かりますから。
是非、そうすべきだと思います。

もちろん、2次救急病院の料金は5千円
3次の救命センターの料金は1万円
というように、料金に差をつける
というやり方は良いと思います。


それと、反対意見として。

>「逆に料金さえ払えば軽症でも救急外来を
利用できるようになるということ。
支払能力によって差が生じるのは望ましくない」


これに関しては、確かにそういう問題もあります。
もちろん、これだけで全てが解決する、
って訳ではありませんが。

最悪なのは、「200円」とか、「500円」
とか、中途半端に安い値段にする
っていう場合です。

支払能力によって差が生じるのは望ましくない
からといって、中途半端な金額にすると、
「お金払っているんだから、かかって当然」
という中途半端なモラル低下に陥りますから。

だから、5千円とか1万円というような、
ある程度高い金額にする
という事が、非常に重要になります。

こんなにお金がかかるんだったら、
明日受診しよう、という抑制がかかる程度の
ある程度の高い金額にする、
という事が、この制度を成功させる
絶対条件です。

ただし、某総理大臣みたいに、
何億円もお金を持っている人にとっては、
5百円だろうが、5千円だろうが、
全く痛くも痒くもないでしょうから。
完全に抑制する事はできません。

そのため、次の
>「適正受診の促進は重要だが、
料金徴収以外の方策を検討すべき」


とも関わってくるのですが。
お金以外の方法も考えるべきなんです。

お金を払ってもらう、という方法と
「同時」に行うのが、最も効果的です。


時間外に軽症でも病院にかかる患者
っていうのは、大きく分けて、
いくつかのパターンに分けられます。

1)、
自分が軽症とわかっているのに、
昼間なら待つとか、昼は自分が忙しいから、
とかいう勝手な理由で時間外に病院
受診する確信犯。


これは、追加料金取って当然でしょう。
お金持ちで、このパターンの患者であれば、
5千円とか1万円の追加料金を取ったとしても、
受診抑制にはならないのかもしれませんが。

お金持ちではない普通の庶民であれば、
5千円や1万円の追加料金を取れば、
抑制する事は可能です。

もっと悪質な例だと、
救急車だと無料だから、わざと
タクシーじゃなくて救急車で来た。

というような、酷い患者もいるので。

総務省の管轄になっちゃいますけど、
救急車の料金も1万円とか2万円の
有料にすべきだと
思います。

ちなみに、救急車って一回出動すると、
5万円以上かかりますからね、本来。
全部実費とはいかなくても、一部位は
負担しても良いと思います。
特に、悪質な例はね。


2)、
自分が軽症かどうかわからないけど、
心配だから取りあえず病院に来た。


こういう患者に対しては、
「適切な情報を与える」
というのが、最も有効な策だと思います。

それで成功しているのが、
「県立柏原病院の小児科を守る会」です。
『県立柏原病院の小児科を守る会HP』

最初は、ただ「コンビニ受診を控えよう
と言うだけだったんですけど。
逆に、「受診を控えて重症になってしまった
というような事もあって。

どんなときに救急車をよべばいいのか、
という具体的なチャートを作って、
それをみんなに配った
んですよ。

→ ダウンロードできます
『受診の目安チャート図 』
子供用ですが、大人でも参考になります。


その結果、ただ受診を控えるだけでなく、
「こういう症状だったら、
すぐに病院に行く必要はないな。」

という事を自分で判断できるようになって、
時間外受診の数が減りました。

実際、この活動のおかげで、
時間外受診の数が三分の一くらいに
減っています
から。
こういう方法は、非常に有効です。

>学会等が示すトリアージの基準を参考に、

ってありますから。
この基準を、わかりやすく
チャートにしたものを、
一般の人が無料でダウンロード

出来るようにして、いろんな所で広めてもらう、
ってのが良いんじゃないかなー。


そういう事を行えば、
心配だから病院に来たっていう
患者の数は減らせる
と思います。


ただ、このやり方は言い方を変えると、
患者のモラルに訴えるやり方」
ともいえますから。
最初からモラルのない確信犯。
先ほど出した、1)の患者
とかに関しては、全く効果がないですから。

だから、お金を取るっていう、
「経済的な方法」と。
モラルに訴える、「道徳的な方法」

この2つのやり方を「同時」に行うのが、
最も効果的なやり方だと思います。

片方だけやれば良い、
というものでもないし。
経済的な弱者に配慮して、
とか言って、半端に安い値段にすると。
逆に、金払っているんだから、かかって当然
という「モラルの低下」を
引き起こす可能性がありますから。

時間外重症患者割引制度
を勤務医の負担を軽減させるために、
効果があるものとするためには。

1、普通の人であれば、そこそこ痛いな。
という「適性な金額」にする事。

2、「軽症かどうかを現場の医師
決めさせて、余計な負担をかけさせない」。

3、「救命救急センター」だけでなくて、
2次救急病院にも適用する事。


この3つを行わないで、中途半端な形だと、
逆効果になる、って事もありえますから。
十分に注意して、制度を決めて欲しいですね。
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この記事へのコメント
なかなかに……
Dr,I様>

 なかなかに、医療機関の過剰受診の問題、難しいですね。
 どちらにしろ「特効薬」はないですから、いろいろな方策を「ミックスポリシー」にしてがんばらないといけないわけですが、現状の政府には期待できませんね……(嘆息)。
Lich[URL] 2010/01/19(火) 18:49 [EDIT]
>Lichさん
これだけで解決する、なんて魔法の解決策はないんですから。
出来ない理由を作ってやらない、というのではダメで、少しずつでも、患者にとってはあまり受け入れにくい案でも、全体を考えて受け入れていかなければならないんですけどねー。
Dr. I[URL] 2010/01/19(火) 22:53 [EDIT]
お金で誘導する
のが最も可能性が高く、有効な手法だと思います。大金持ちが大金払って時間外受診してくれるのはお止めするつもりはありません。病院も儲かって良いではありませんか(^^)
元外科医[URL] 2010/01/22(金) 16:25 [EDIT]
>元外科医さん
なんだかんだ言って、お金の効果が最も即効性があって、確実ですよね。
ただし、ある程度高い料金で、っていう条件がつきますけど。

今回は出しませんでしたが、実は「患者の単価が上がって、病院経営も改善する」っていう可能性もあるんですよね。
江原先生にもその話をしたのですが、その統計がなかったんで、出せませんでしたが。
Dr. I[URL] 2010/01/24(日) 23:00 [EDIT]
お久しぶりです、元ナースマンです
残念ながら今回の改定では見送りになったようですね。。。
とてもいい案だと思ったのですが
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010012701035
k[URL] 2010/01/28(木) 11:14 [EDIT]
>kさん
いやー、お久しぶりですね、ホント。
今回は見送りになって残念です。
2年後には、医療崩壊がどの程度まで進んでいるかわかりませんけど。
2年と言わず、早くやって欲しいですわ、ホント。
Dr. I[URL] 2010/01/31(日) 20:47 [EDIT]
先生、ありがとうございます、県立柏原病院を守る会のこと、お気に入りにいれておきますね。
同じことを、考えていましが、どう取り組んでいいのかわからなったので、参考にします。
カンタンなんです。、コンビニ受診をやめようというのはね、ただその情報を、受け取った方が、手遅れになったり、脱水を起こしたり、ということになったら責任持てないし、今の親御さんクレーマーがかった方から、いろいろからまれるのは、やっかいですから。

Dr.には、休息と笑いが、患者には、ビタミンと薬と愛が必要だ[URL] 2010/02/10(水) 14:58 [EDIT]
>Dr.には、休息と笑いが、患者には、ビタミンと薬と愛が必要ださん
コンビニ受診する人だって、ほとんどは悪気はないけど、心配だって事なので。
その心配を取る方法の一つが、パンフレットを作ったりフローチャートを作るって事なので。
まずは、そういう方法が一つだと思います。
ただ、それだけでは抑制できない人も多数いるので。
同時に経済的にも抑制策を行った方が良いよ、ってことだと思います。
Dr. I[URL] 2010/02/11(木) 00:50 [EDIT]

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