現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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「特定看護師」モデル事業実施へ
医療現場で忙しいのは、医師だけでなく、
看護師なんかもみんな忙しいです。
病院に入院した人や、家族の人だったら、
たいていわかっていると思います。

医師には医師免許があって、
看護師には看護師の免許。
それに、放射線技師や薬剤師、
いろんな技師の資格もあって。
専門職、と言われる人達は、
その免許をとって働いているわけです。
まあ、当たり前ですわ。

人間の体を扱うのに、なんの資格もいらなかったら
危なくて、任せられないですよね。
放射線や薬を扱うのにも危険が伴いますから。
ちゃんと勉強して資格を持った人に
任せたいですよね、皆さん。

だから、医療現場で働く人の中には、
なんらかの資格を持った人間がたくさんいます。

そいで、その免許がないとやってはいけないよ、
っていう仕事もたくさんあります。

手術や、特殊な技術がいる検査をしたり、
薬や処方をする、っていうのは医師免許がないと
出来ない仕事です。
まあ、当然と言えば当然なんですが。


例えば、眠れない時に飲む、「睡眠薬」。
薬局で売っているやつと、病院で出される薬は、
厳密に言うと違うんですけど。

病気で病院や診療所に行って、
「眠れないので眠り薬ください」
患者さんが言うと、医者は睡眠薬を処方します。
そいで、「眠れない時に飲んでくださいね」
と言って、患者さんに薬が出されたら。
本人の判断で、睡眠薬を飲みますよね。
一般の人でも。

じゃあ、入院している患者さんがいて、
その患者さんが「眠れない」と言った場合に、
看護師の判断で睡眠薬をあげて、それを飲んでもらう。
この行為って、ダメでしょうかね。

医療の知識がない一般人でも、
眠れない時に自分の判断で眠り薬を飲めるんだから。
看護師の判断で飲ませても良いでしょ。

もちろん、一般人の場合は、
医師が処方した眠り薬」限定ですけどね。

現在でも、病院に患者さんが入院したら、
医師が「不眠時指示」というのを、事前に書いておいて。
その指示に従って、看護師が睡眠薬を患者にあげる、
という事は行われています。

これ、法律で医師しか処方してはいけない、
って決められているので、入院時に事前に
医師が指示を出している、っていう事なんですけど。
この人は、きっと入院しても眠れるだろうなー。
って医師が最初は思っていたので、
不眠時指示を出し忘れてしまったけど。
でも、やっぱり入院して環境が変わったら、
眠れないので、眠り薬下さい。

という状況になったら。
今の法律では、どんなに夜中でも
医師がたたき起こされて処方しなければならない、
っていう事で決まっています。

でも、こういう場合は、他の患者さん達も
たくさん飲んでいる睡眠薬があるんだから。
経験や技量のある看護師であれば、
その睡眠薬を患者さんに出してあげても良い、
と思いませんか?

もちろん、経験豊富で、技量もあって、
その上できちんとトレーニングを受けた看護師
っていう限定ですけどね。


なんか、モデル事業っていうので、
特定看護師というのが出来て、
今は医師にしか出来ない仕事、って言われている
うちの一部の仕事が「特定看護師」には可能。
という事をやるみたいなんで

これからどうなるか、わかりませんけど、
ちょっと期待してみたいと思います。



特定看護師」創設、モデル事業実施へ


厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」
(座長=永井良三・東大大学院医学研究科教授)は
2月18日、第10回会合を開き、
同省がこの日示した報告書の素案について協議した。

素案では、看護師の業務範囲を拡大するため、
現行法の医師の「包括的指示」のもと、
侵襲性の高い特定の医行為を担う
特定看護師(仮称)」を創設することが盛り込まれ、
大筋で了承された。

焦点となっていた「ナースプラクティショナー」
については、特定看護師の評価を踏まえ、今後、
資格化の是非を検討する。

また、「フィジシャン・アシスタント」の導入
に関しても、「引き続き検討することが望まれる」
としている。

同省では、来年度からモデル事業を実施する方針で、
年度内に報告書を取りまとめた後、
大分県立看護科学大など、先行して高度な
看護師を養成している大学院を選定するため、
その要件の作成に着手する。


素案によると、特定看護師の要件は、
看護師免許を保有▽看護師としての
 一定期間以上の実務経験(例えば5年以上)
特定看護師の養成のため、新たに設立する
 第三者機関が認定した大学院の修士課程を修了
▽修士課程修了後、第三者機関による
 知識・能力の確認及び評価
―の4項目。

認定については、必要とされる専門性に応じて
一定の分野ごとに行い、臨床実践能力を確保する
観点から、一定期間(例えば5年)ごとに
認定を更新すべきとしている。

養成課程を認定する際には、医師などの
実務家教員や実習病院の確保、実践的な
カリキュラムの策定といった指導体制の整備に加え、
質と量の両面で充実した臨床実習が行える
環境に留意すべきとしており、専門職大学院のような
教育機関を想定している。

モデル事業を検証し、特定看護師による医行為の
安全性が評価された場合は、現行の
保健師助産師看護師法を改正し、
特定看護師の医行為を法律上で明確に位置付ける。


一方、日本看護協会が認定する「認定看護師
については、現在の教育課程(6か月・600時間以上)
を見直した上で、限定的な領域で特定看護師
位置付ける方向で検討すべきとしている。

それにより、新たな職種の不足など、
制度化に伴う現場の混乱を回避する。

素案では、これまで法律上の「グレーゾーン」
とされてきた業務内容のうち、
特定看護師に期待される特定の医行為を例示した。


特定の医行為は次の通り。

 ◆検査など 
患者の重症度の評価や治療の効果判定などのための
 身体所見の把握や検査
▽動脈血ガス測定のための採血など、
 侵襲性の高い検査の実施
▽エコー、胸部単純エックス線撮影、
 CT、MRIなどの実施時期の判断、
 読影の補助など(エコーについては実施を含む)
▽IVR時の造影剤の投与、カテーテル挿入時の介助、
 検査中・検査後の患者の管理など

 ◆処置 
▽人口呼吸器装着中の患者のウイニング、
 気管内挿管、抜管など
▽創部ドレーンの抜去など
▽深部に及ばない創部の切開、縫合などの創傷処置
▽褥瘡の壊死組織のデブリードマンなど

 ◆患者の状態に応じた薬剤の選択・使用 
▽疼痛、発熱、脱水、便通異常、不眠などへの対症療法
▽副作用出現時や症状改善時の薬剤変更・中止



『キャリアブレイン:2010/02/18』



医療崩壊の一因に、「医師の過労」があります。

医師免許がないとできない、
っていう仕事がたくさんあるから。
医師の仕事が増えて、医師が過労になって
医療崩壊が進んでいる、という側面が
非常に大きいですので。

今は医師にしか出来ない仕事の一部を
それ以外の人間がやることにすれば、
医師の負担は軽くなります。
技術的な仕事であれば、それは経験のある
看護師にしか替われないとは思います。

そして、看護師が今やっている仕事でも、
患者さんにご飯を食べさせたり、患者の搬送とか。
そういう事に関しては、看護師以外の職種でも
出来る仕事はたくさんありますから。
看護師の仕事も、一部は他の職種にやってもらう。

そして、病院で人を雇ったら補助金がつくので
病院経営上も得をするようになる。
という事になれば、雇用の問題も
少しは良くなりますよね。

もちろん、そういう事になれば、
お金もかかりますけど。
公共事業で道路を作るのだって、
雇用を生み出すためには、お金がかかる、
っていうのは当たり前ですから。

その結果として、
「診療報酬が増えたからけしからん」
っていうのは、ちょっと違うかな。
と思いますよ。


医師事務作業補助体制加算」という制度。
これ、その名の通り、医師の事務作業を
手伝う人を雇ったら、報酬を出しますよ。
っていう制度なんですけどね。

今までもこの制度はあったんだけど。
はっきり言って、ないよりはまし、
という程度のものなので、それがあるから
病院経営上も得するからやろうかな。
というレベルではなかったんですよ。

それが、平成22年度の診療報酬改定で、
結構金額が増えたので。
特定看護師を作って、医師の仕事を減らす、
っていうのも悪くはないんですけど。
ストレートに、今は医師がやっている事務作業を
いわゆる医療秘書さんのような人にやってもらう、
という事も、非常に大事だと思います。

ちなみに、skyteam先生のブログに書いてあったけど、
外科医の仕事のうち36パーセント書類仕事
だそうですよ。


大腸の手術で2週間に入院する場合。
医師の仕事は、2週間で700分(11時間)
のうち、医師時事務作業補助者(医療秘書)に
頼める時間は284分(4時間)もある。


『日本の外科医の仕事のうち36パーセント書類仕事がある』

という事です。

国際医療福祉大学の武藤先生も
医師の仕事を事務作業補助体制加算はいい仕組み」
と言っていたようですね。


特定看護師」や「医師時事務作業補助者
医師の仕事を少しでも手伝ってもらって。
今やっている医師の仕事が少しでも減れば、
その分、患者さんの話を聞いたりも出来ますから。
患者の為にもなる事なんで。

こういうのが、これからも続くと良いですね。

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この記事へのコメント
要するに……
Dr.I様>

 「特定の人(組織でもそうですが)に負担がかかりすぎているなら制度を整備して負荷を分散する」のは、ごく当たり前のことですよね。こういった「負荷分散」が、きちんと進んでいくことは、安全性が担保されるならばどんどん進めていくべきだと思います。ただ、医師・看護師の方々から「既得権益が侵される」と反対意見がでないといいな、とは思いますが……。

Lich[URL] 2010/02/22(月) 07:19 [EDIT]
事務作業補助の制度ができて、どこまでが補助可能な
作業なのか?をもう少し明確にして欲しいような気がし
てます。

医師としてしなければならない行為と、事務の代行入力
でも可能なもの・・・

線引きがいまひとつわかりません。
大宙[URL] 2010/02/23(火) 15:54 [EDIT]
私としては、特定看護師にあまり期待してません。
即効性もないし、そこまでの意気があるのなら医者になれ!!
特定看護師という、量産劣化版医師は要らない。
看護師だからおそらく責任も取らないだろうし。。。


医師時事務作業補助者は期待してますが、コストとして、

医者にさせる>医師時事務作業補助者にさせる

という利益誘導をしないと普及しないでしょう。

仮に誘導したとしても、厚労省十八番の梯子外しが
待っている悪寒・・・(ww)
風はば[URL] 2010/02/23(火) 18:07 [EDIT]
 エントリーの本旨と違うことについて書きますが、眠れないからクスリをくれなどという入院患者は、ほっといてください。
 医者でないダガシが医者のIさんに教えてあげますが、人間二三日眠らなくたって死にません。

 例え話で書かれたのかもしれませんが、本当にそういうことで医療者の手をわずらわせているなら、問題です。
 それは医療者に手間をかけさせるということは、医療保険の財源と税金を無駄遣いしているということで、問題なのです。

 私がその場にいたら、「うるせえ! 眠れねえんだったら数でもかぞえてろ!」と怒鳴りつけるでしょう。
ダガシ[URL] 2010/02/23(火) 19:50 [EDIT]
>Lichさん
現場の人間じゃないやつに限って、医者以外の人間に医師の仕事をやらせない、とかってでしゃばるんですよねー、いつも。
困ったものです。
Dr. I[URL] 2010/02/23(火) 20:57 [EDIT]
>大宙さん
おっしゃるとおりで。
後から「違法だ」とかって言われても困るし。
違法かもしれないからやっぱり医者がやってください。
じゃあ、せっかくの良い案が台無しになっちゃいますから。
ガイドライン的なものが必要ですね。
Dr. I[URL] 2010/02/23(火) 20:59 [EDIT]
>風はばさん
看護師になってから5年以上で、そこから更に2年学校に行く、とかってなるとかなり大変ですから。
そんなにたくさんの人がなるとは思えませんしね。
多分、反対勢力もいるので、たいした仕事ができない気もしますし。

医者にさせる>医師時事務作業補助者にさせる
という利益誘導をしないと普及しないでしょう。

全くおっしゃるとおりですね。
それをやれば、雇用問題も解決に向かうのに。
何故か、ハシゴがはずされる予感がします。
Dr. I[URL] 2010/02/23(火) 21:02 [EDIT]
>ダガシさん
本当は放っておきたいんですけどね、こっちも。
看護師も、結局指示がないと、医師を呼びますから。
看護師も患者を放っておくって事にしないと、意味がないんですが。
それやると、今の時代かなり問題になるんですよね、残念な事に。
Dr. I[URL] 2010/02/23(火) 21:04 [EDIT]

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