現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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「生命の危険」でも点滴は違法
医療崩壊の原因として、「医療訴訟
というのもある、と言われています。

特に勤務医に多いのですが。
一生懸命に治療をしたのに、
結果が悪かったら、裁判で訴えられる。
という事になるのであれば、
勤務医なんか辞めてしまおう。

って思う人がたくさんいて、
結果、急性期の病院から勤務医がいなくなって、
医療崩壊を招いている、と
も言われています。

もちろん、医療崩壊の原因は
医療費不足とか医師不足とか、
他にもたくさんありますけどね。


ニュースになる医療訴訟は、
ほとんどが医師に関係するものですけど。
看護師や救急救命士が関係する
医療訴訟もあるんですよ。


今回紹介するのは、
医療訴訟ではないんですけど。
救急救命士点滴が「違法だ」
って話です。




救急救命士、「生命の危険」で
患者に違法点滴

愛知県常滑市は6日、同市消防本部の
男性救急救命士(38)が、交通事故負傷者を
搬送中に、救急救命士法に違反する点滴
行っていたと発表した。

同本部は当時の状況をさらに詳しく調査を
したうえでこの救急救命士を処分する方針。

同本部によると、救命士は2月7日、
常滑市内で起きた交通事故現場に出動。
負傷した男性(35)に、救急車内で
血流確保のための輸液を静脈に点滴した。

救命士は「大量出血で意識がもうろうと
していたため、搬送先の常滑市民病院の医師
連絡を取りながら輸液を行った」
と説明したという。

負傷した男性は病院で治療を受け、
現在は快方に向かっている。

救急救命士法の施行規則では、
心肺停止状態の患者に限って医師から
具体的な指示を受けながら、点滴や気管に
チューブを挿入して酸素を送ることができるが、
男性は心肺停止状態ではなかった。

同本部の事情聴取に対し、救命士は
「施行規則のことは知っていたが、
生命の危険があると思ったので輸液を行った」
と話しているという。
救命士は2004年に資格を取得した。

石川忠彦消防長は
「救命のためだったが、違法行為は遺憾。
病院とのやりとりを含めて、
当時の状況を検証していく」
と述べた。


『「読売新聞 :2011年3月6日』


全くの素人で点滴をする技術も
知識もない人が点滴をする。
って事だったら、止めた方が良い。
という事も言えると思いますけど。

心肺停止状態の患者にであれば、
点滴を取ることも出来る、
知識も技術もあって、訓練された人間。
というのが「救急救命士」ですから。

物理的に、点滴をする事は可能なんですよ。


>大量出血で意識がもうろうとしていたため

というのは、いわゆる「外傷性ショック」、
出血性ショック」という状態です。

心肺停止状態ではないんだけど、
このままいったら、血圧もどんどん下がって、
命に関わる状態です。

出血して、ショックになっている状態ですから。
最も良いのは、「輸血」をする事なんですが。
すぐに輸血が出来るわけではないですから、
それまでの間、出来るだけ早く、
たくさん「輸液、点滴」をする。
というのが、命を助ける為に、最も重要です。


医師救急救命士
そんな事はわかっていますから、
ルールがどうのう、とかそんな事よりも、
目の前の命を助けるために、必要な事をした。
という事だと思います。


救急救命士の施行規則では、
救急救命士は心肺停止状態の人以外には、
点滴を行ってはいけない。
という規則があるのは事実だし。
救急救命士がそれに違反した、
という事も事実でしょう。

愛知県常滑市から、そういう発表があった、
という事も事実ですから。
それを報道するな、と言うつもりはありませんが。

でも、「違法だ、違法だ」っていう報道じゃなくて、
規則には違反したけど、そのおかけで助かったとか、
助からなかったけど、すばやく点滴するしか、
助ける方法はないんだ。

規則には違反したけど、この救急救命士
目の前の命を助けようと一生懸命頑張ったんだ。
っていう伝え方をしていただけませんかね。

実際、
>負傷した男性は病院で治療を受け、
 現在は快方に向かっている。


という事なんですから。
もしかしたら、この救急救命士
点滴をしていなかったら、
命を落としていた可能性もある訳ですからね。

なんか、ちょっと寂しいです。

本来であれば、こういうケースは十分
想定できるものですので。
規則が間違っているんだから、
命を助けるために、規則を変えよう。

という報道がされるべきだと思います。

今回の報道をきっかけに、
そういう議論が起こってくれればありがたいです。
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この記事へのコメント
はじめまして。
病気や怪我をすると人間ってどうしても気落ちしてしまいますが、出来るだけ前向きに頑張りたいものですよね。
私は腎移植や肝移植について勉強をしています。
助かる命がそこにあるのなら、少しでもお役に立ちたいと日々考えています。
こちらの記事はそんな私の勉強になりました。
ありがとうございました。
腎移植について[URL] 2011/03/25(金) 13:45 [EDIT]
>腎移植についてさん
はじめまして。
返信遅れて、すいません。
助かる命があるなら、助けたいってのは、立派な志だと思います。
これからも、勉強頑張ってください。
Dr. I[URL] 2011/04/25(月) 00:09 [EDIT]

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