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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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神様のカルテ2
医療系のドラマは、日本でも
何十年も前からありますけど。

ここ5年くらい、医療系のドラマ
それに映画は増えましたよね。

医龍もそうですし、ドクターコトー
つい最近まで、ブルドクターっていうドラマ、
やっていましたよね。
普通の臨床ものではないけど。


最近は、いろんなタイプがでてきていますけど。
基本的には、医療系のドラマとか映画って、
神の手をもつ医師」みたいな、
スーパーマンが主人公なのが多いです。

それでも、描写が非常に細かくて、
現実でもありそうな事ばかりだ、とか、
そういうのであれば良いんですよ。

素人なりにそれなりに考えて、
専門家の監修とかもそれなりに入っている、
とは思うんですけど。

どうしても、現実離れして、
なんかいまいち、ってのが多いですよね。

実際の医療現場には、神の手を持つ医師
なんてのは基本的にはいないし。
仮にいたとしても、スーパーマンでも、
百人力って訳にはいかないから。
せいぜい、2、3人分の力でしょう。

でも、医療現場では、何十人とかの医師
マンパワーが必要な事が多いですから。
そんなんじゃ、全然足りないんですよね。

だから、必要なのは、スーパーマンのような、
神の手を持つ医師ではなく、
スーパーマンがいなくても、
なんとかなるような「システム」なんですよ。

医師が過度に働かなくても、患者がきちんと
医療を受けられるようなシステムを造る事。
これが、最も大事な事だと思います。

朝から晩まで、医師は働いているのが当たり前。
というような、医療環境というのは、異常です。
他の業界だったら、とっくに淘汰されているような
異常な状況が、医療の業界です。

そんな事にも、少し踏み込んでくれるかな、
っていうのが、今度公開される
神様のカルテ2』みたいですよ。

とりあえず、私も本を買ってみたので、
これから読んでみまーす。



神様のカルテ2』

神様のカルテ』の続編です。
8月27日から映画が公開され、
映画原作の続きの物語となる
2作目にも注目が集まっています。

神様のカルテ2』の舞台は前作と同じ、
「24時間・365日対応」を掲げる
長野県松本市にある総合病院「本庄病院」。

大学病院からの誘いを断り、
本庄病院に残ることに決めた主人公の
内科医・栗原一止(くりはら・いっと)は
新年度を迎えます。

年度が変わっても劣悪な職場環境は変わらず、
不眠不休で働く毎日を送っていました。
そんなとき、長野で大学生活を
共に過ごした親友・進藤辰也が、
血液内科の新戦力として赴任してきます。

頭脳明晰(めいせき)で学部を首席で卒業、
その後は東京の有名病院の研修枠を勝ち取って
信州を出ていったエリートです。

出世街道を走るはずの男が、
田舎に戻ってきたことに
一止は疑問を抱きます。
ですが、それ以上に旧友との再会に
心を躍らせていました。

ところが辰也は、昼間はあまり回診に来ず、
夕方にはさっさと帰宅し、
休日や平日の夜に連絡が取れないこともしばしば。

明らかに現場から距離を置いたような態度に、
看護師たちから苦情が殺到します。

大学時代に辰也が医療へ向けた
真摯(しんし)な思いをよく知っていた一止は、
意外に受け止めます。
"医学部の良心"と呼ばれ、高い志を持っていた
辰也はどうしたのでしょうか……。

その実、辰也には、実家のある長野に戻るに至った、
家族の問題を抱えていました。

辰也の妻・千夏は小児科の医師で、
2人は東京の第一線の病院で働いていました。

夫婦が病院に勤めて3年目には、
娘が生まれます。
育児休暇後に病院に戻った千夏は、
遅れた時間を取り戻そうと、焦ります。

そして、毎日病院に泊まり込んで、
ほとんど家に帰らなくなり、
娘の保育園の送り迎えもしなくなりました。

育児の一切を引き受ける辰也に、
臨床が務まるはずもありません。
医局長に呼び出され、
「育児の片手間で医療が務まると思っているのか」
と叱咤(しった)されます。

それでもなお、とりつかれたように
昼夜働き続ける千夏。
千夏に対して周囲はこう言います。
「立派なお医者様ですね」と。

辰也は、医師はあらゆる余事を放置し、
家族を捨てて患者さんのために
命がけで働くことになりがちな
日本の医療の一面に、ジレンマを
感じるようになりました。

娘と過ごす時間をできるだけ持とう、
離れれば妻も何か気づくはずだと、
辰也は長野に戻ってきたわけです。

神様のカルテ2』では、患者さんを取るか、
家族を取るかという医師にとって
最大の難題に踏み込んでいます。

ある先輩医師が一止にかけた
「いつでも病院にいるということは、
いつでも家族のそばにいないということです」
という一言には、ハッとさせられます。

また、一止は物語終盤に、
医師の話ではない。人間の話をしているのだ!」
と印象的なセリフを残します。

過酷な現場で、大切なものを抱えながらも
医師を続ける主人公たちの姿は、
読む者の胸を熱くします。

本作を読んだ患者さんに残るのは、
「お医者さんも人間だ」という
当たり前の気づきでしょう。

本作で語られているのは、
人間としていかに生きるか、
家族の在り方、親友との絆などです。

患者さんと『神様のカルテ2』の話題になった際は、
医師である前に人間だ」という
一止の言葉について、自分なりの
感想を話してみてはいかがでしょうか。

さらに、患者さんは小説のどの部分に
共感したか、驚いたかを聞いてみてください。

患者さんと医療を超えた部分でつながれる、
きっかけになるかもしれません。


神様のカルテ2 【ISHIDO 医師道 VOL_009】




本を読みたいって人は、こちらでーす。

「神様のカルテ」


「神様のカルテ2」


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この記事へのコメント
医師のみならず、人間としての生活は大事です。

私の父もワークアホリックだったので、小さい頃は私が目覚める前に出社して、寝付いてから帰ってきました。

日曜日もしばしば出社してました。


そんなある日(幼稚園ぐらいの頃)、母と電車に乗ってたら父と遭遇。そこで私の痛恨の一撃・・・。

「このおぢさん誰?」(本気で言ったらしい)

それから父は家で過ごす時間が増えるようになったそうです。
風はば[URL] 2011/10/24(月) 16:12 [EDIT]
>風はばさん
仕事熱心だと、家族がどうしてもおざなりになる場合もあるんでしょうけど。
やっぱ、仕事よりも家族を優先すべきですよね、医師といえども人間なんですから。
Dr. I[URL] 2011/10/24(月) 22:34 [EDIT]

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| 2012/07/13(金) 08:43
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