「患者の死ぬ権利(患者の自己決定権)」と
「救命(医療上の必要性)」。
どちらが優先されるべきだと思いますか。
患者本人は、もう助からないので無駄な治療なんか
せずに苦しまずに死なせて欲しい。
これが、死ぬ権利(患者の自己決定権)。
でも、人工呼吸器をはずしたら死んでしまうからダメだ。
というのが救命(医療上の必要性)です。
みなさんだったら、もう助からない事が
はっきりとわかっている、このままだとあと数日しか
命がもたない、とわかった時、人工呼吸器とか
延命治療をしてまで命を延ばして欲しいと思いますか。
多くの人が、そうは思っていないですよね。
でも、今の日本では、仮に医師や医療従事者が
患者本人や家族の希望に答えたい、と思っても、
人工呼吸器がついている患者の人工呼吸器をはずして、
患者が亡くなってしまった場合、殺人罪や
嘱託殺人罪・自殺ほう助罪で告発される事になります。
ちなみに、こういう話題になった時に、
「尊厳死」とか「安楽死」という言葉が出ますから、
言葉の説明をまずしますね。
尊厳死:末期患者等が自分の意思で延命治療を
やめてもらい、安らかに人間らしい死をとげる事。
(その結果、死期を早めることもありる。)
安楽死:苦痛から免れさせるため
意図的積極的に死を招く措置を取ること。
尊厳死というのは、もうこれ以上、延命治療はせずに、
放っておいてくれ、という事。
安楽死は、死が近づいたら、心臓とか呼吸を止める薬を
使ってでも、楽に死なせてくれ、という事です。
日本以外の先進国、例えば、スイスやオランダ、フランス、
アメリカでもイギリスでも、尊厳死(消極的安楽死)に関しては
きちんと法律が整備されて、認められています。
安楽死(積極的安楽死)に関しては、国(アメリカでは州)
によって違っていて、スイス、オランダ、そしてアメリカの
オレゴン州は積極的で、根拠法で一定の条件が
満たされた場合では、安楽死も認められています。
先進国の中で、尊厳死に関しての法律が整備されていない国
っていうのは日本しかないんですよ。
日本では、尊厳死に関しての法律がないので、
人工呼吸器を止めたり、延命処置をやめて患者が亡くなったら、
医師や医療従事者が殺人罪に問われる可能性があるので、
残念ながら今の日本では無駄な延命治療が行われています。
誰のためにもならない延命治療を続けても、
単に医療費の無駄なだけですから。
きちんと法律を作って、無駄な延命治療をやめて、
尊厳死を認めましょう、という事は
以前から言われていたのですが、
やっと法律が出来るかもしれませんよ。
呼吸器取り外しも可能に
議連の尊厳死法案
超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」
(会長・増子輝彦民主党参院議員)は5月31日、
議員立法での国会提出を準備している
尊厳死に関する法案の原案を修正し、
免責対象となる医師の行為を、
人工呼吸器の取り外しなど
「現に行っている延命治療の中止」
に拡大する方針を決めた。
これまでは「新たな延命治療の不開始」に限っていた。
がんなどで終末期にある患者本人が
尊厳死を望む意思を表示している場合で、
2人以上の医師の判断を条件とする点は変わらない。
議連は6月6日に総会を開き、修正案を公表する予定。
障害者団体や医療関係者、弁護士らの意見を聞いて
さらに検討を続け、今国会か次期臨時国会での
法案提出を目指す。
ただ生命倫理にかかわるため、各党には
反対の議員も多く、提出や成立の見通しは不透明だ。
修正案には、障害や重い病気で意思表示が
難しい人を対象外とするため
「障害者の尊厳を害することのないように
留意しなければならない」との文言も追加。
いったん示した意思を撤回することも可能にした。
議連は3月、法案の原案を公表。
患者本人が健康で正常な判断ができる間に
延命を望まない意思を書面にしていること
などを条件に、新たな延命措置を
開始しないことを容認。
医師は刑事、民事、行政上のいずれの
責任も問われないとしていた。
修正の理由について議連関係者は
「延命中止が除外されれば法制化の意味がない
との意見を参考にした」と説明。
「『障害者らの命の切り捨てになる』
との懸念にも配慮した」としている。
共同通信社 6月1日(金) 配信
ちなみに、日本で尊厳死・安楽死に関する判決で、
最初というわけではないのかもしれませんけど、
有名なのが山内事件の判決です。
ここで、安楽死の6要件というのが出されたので、
これが今でも新聞等でも引用されています。
1)山内事件判決(名古屋高判昭和和37年12月27日)
裁判所の判断 ・安楽死の6要件
1)病者が現代医学の知識と技術からみて不治の病に冒され、
しかも死が目 前に迫っていること。
2)病者の苦痛が激しく、何人もこれを見るに
忍びない程度であること。
3)もっぱら病者の死苦の緩和の目的でなされること。
4)病者が意思を表明できる場合には、
本人の真摯な嘱託または承諾のあること。
5)医師の手によることを本則とし、これにより得ない場合は、
医師により得な いと首肯するに足りる特別な事情があること
6)その方法が倫理的に妥当なものとして認容しうること。
安楽死に関しても、尊厳死に関してもこういう定義だ、
という法律そのものはないんですけど。
裁判所の判例で、そういうもんだ、というのが出たので、
今でもそれが生きている、って事っすわ。
ちなみに、尊厳死に関しては、尊厳死そのものが
争われたわけではないんですけど、
医師が殺人罪に問われたはじめての安楽死裁判。
東海大学病院事件判決(横浜地判平成7年3月28日)
ここで、判決が出ちゃっています。
ちなみに、この事件の概要は、こちら。
東海大学病院事件判決(横浜地判平成7年3月28日)
平成3年4月。 多発性骨髄腫の末期患者で
昏睡・意識不明の状態にあったが、
苦しそうないびきをかいているのを見た
家族の者から「楽にしてやってほしい」
「早く家に連れて帰りたい」などと
強く懇願されたため、担当医が、
(1)点滴 や薬、フォーリーカテーテルの撤去(延命治療の中止)、
(2)死期を早めるかもしれないがいびきをおさえるための
鎮痛剤等の投与(間接的安楽死と呼ばれる行為)、
さらに、
(3)塩化カリウム製剤等の注射
(積極的安楽死と呼ばれる行為)、
という一連の行為の結果、患者を死亡させた事件。
患者自身が死を望む意思 表示がなかったことから、
嘱託殺人罪ではなく、殺人罪で起訴された事件。
裁判所の判断は、
・起訴されたのは、
(3)塩化カリウム製剤等の注射(積極的安楽死と呼ばれる行為)
のみだったんですけど、裁判所は、(1)と(2)
についても、それが適法になる要件について
書いちゃったんですよ。
(1)治療行為の中止
適法になされるための要件
1)、患者が回復の見込みのない末期状態にあること
2)、患者の推定的意思であり、それによって中止できる
医療の内容はすべての範囲に及ぶ。
(2)死期を早めるかもしれないという副次的効果は
あるものの苦痛の緩和等が
主目的とされる間接的安楽死
適法になされるための要件
1)耐え難い肉体的苦痛
2)死期の切迫
3)患者の推定的意思
(3)積極的安楽死
適法になされるための要件
1)患者が耐え難い激しい肉体的苦痛に苦しんでいること
2)患者は死を避けられず、その死期が迫っていること
3)患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を付くし
他に代替手段がないこと
4)生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示がある。
この裁判では、(3)について、1)と4)の要件を
満たしていないとして、懲役2年、執行猶予2年。
という判決が出ているんです。
(3)については、まあしょうがないかな、とは思うんですが。
(1)と(2)について、地裁(傍論)と言えども、
公的機関が要件を示してしまったので、
その要件を満たさなければ違法とされるから、
警察や検察は殺人罪の適用を考えざるを得なくなった。
というのが、今の日本の現状です。
それじゃあ困るね、って事で議員立法で
尊厳死に関する法律を作りましょう、
という事だったんだと思いますが。
>議連は3月、法案の原案を公表。
患者本人が健康で正常な判断ができる間に
延命を望まない意思を書面にしていること
などを条件に、新たな延命措置を
開始しないことを容認。
医師は刑事、民事、行政上のいずれの
責任も問われないとしていた。
正直言うと、この3月に出た原案だと、
何の意味もないですよ。
今までも、書面で延命処置をしてくれるな、
という事をきちんと書いて、延命処置をしなかった。
という事で、裁判で訴えられて負けた医師、
というのはいませんでしたからね。
むしろ、延命治療をしてくれるな、っていう
文書があるのに家族や患者本人の意志に反して
延命治療を行っている医者の方が問題でしょ。
今でも。
困っているのは、延命処置(人工呼吸器)を
止めたら殺人罪が適用されてしまいますよ、
って事ですから。
今更、そんな法律を作っても何の意味もありません。
平成10年の川崎協同病院事件や、平成16年の
道立羽幌病院事件、そして平成12年の
射水市民病院事件や平成18年の
和歌山県立医科大附属病院紀北分院事件など、
医師が末期患者の人工呼吸器を外して患者が死亡し
書類送検された事件は、その後もいくつかあります。
ちなみに川崎協同病院事件は、人工呼吸器を
はずしただけでなく、その後筋弛緩剤を注射したので、
裁判になって最高裁まで行っています。
そいで、この事件は東京高裁で懲役1年6か月、
執行猶予3年の判決が出て、2009年12月7日に
最高裁が上告を棄却し高裁判決が確定しています。
それ以外の事件では、医師が殺人罪で書類送検は
されたんですけど、結局不起訴にはなっています。
結果的に不起訴になったとはいえ、本人も家族も
望んでいるとしても、末期患者の人工呼吸器を止めたら
医師が殺人罪で書類送検される、という事ですから。
問題ですよね。
もしかしたら、起訴されるかもしれないんですから。
そうならないために、きちんと法律を整備する、
という事は医療関係者にとっては最も重要な事ですし、
患者さんや家族の人にとっても大事な事だと思います。
もちろん、法律を作ったらそれだけで解決する、
という問題ではないんですけれど、
早く法整備されると良いですね。
「救命(医療上の必要性)」。
どちらが優先されるべきだと思いますか。
患者本人は、もう助からないので無駄な治療なんか
せずに苦しまずに死なせて欲しい。
これが、死ぬ権利(患者の自己決定権)。
でも、人工呼吸器をはずしたら死んでしまうからダメだ。
というのが救命(医療上の必要性)です。
みなさんだったら、もう助からない事が
はっきりとわかっている、このままだとあと数日しか
命がもたない、とわかった時、人工呼吸器とか
延命治療をしてまで命を延ばして欲しいと思いますか。
多くの人が、そうは思っていないですよね。
でも、今の日本では、仮に医師や医療従事者が
患者本人や家族の希望に答えたい、と思っても、
人工呼吸器がついている患者の人工呼吸器をはずして、
患者が亡くなってしまった場合、殺人罪や
嘱託殺人罪・自殺ほう助罪で告発される事になります。
ちなみに、こういう話題になった時に、
「尊厳死」とか「安楽死」という言葉が出ますから、
言葉の説明をまずしますね。
尊厳死:末期患者等が自分の意思で延命治療を
やめてもらい、安らかに人間らしい死をとげる事。
(その結果、死期を早めることもありる。)
安楽死:苦痛から免れさせるため
意図的積極的に死を招く措置を取ること。
尊厳死というのは、もうこれ以上、延命治療はせずに、
放っておいてくれ、という事。
安楽死は、死が近づいたら、心臓とか呼吸を止める薬を
使ってでも、楽に死なせてくれ、という事です。
日本以外の先進国、例えば、スイスやオランダ、フランス、
アメリカでもイギリスでも、尊厳死(消極的安楽死)に関しては
きちんと法律が整備されて、認められています。
安楽死(積極的安楽死)に関しては、国(アメリカでは州)
によって違っていて、スイス、オランダ、そしてアメリカの
オレゴン州は積極的で、根拠法で一定の条件が
満たされた場合では、安楽死も認められています。
先進国の中で、尊厳死に関しての法律が整備されていない国
っていうのは日本しかないんですよ。
日本では、尊厳死に関しての法律がないので、
人工呼吸器を止めたり、延命処置をやめて患者が亡くなったら、
医師や医療従事者が殺人罪に問われる可能性があるので、
残念ながら今の日本では無駄な延命治療が行われています。
誰のためにもならない延命治療を続けても、
単に医療費の無駄なだけですから。
きちんと法律を作って、無駄な延命治療をやめて、
尊厳死を認めましょう、という事は
以前から言われていたのですが、
やっと法律が出来るかもしれませんよ。
呼吸器取り外しも可能に
議連の尊厳死法案
超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」
(会長・増子輝彦民主党参院議員)は5月31日、
議員立法での国会提出を準備している
尊厳死に関する法案の原案を修正し、
免責対象となる医師の行為を、
人工呼吸器の取り外しなど
「現に行っている延命治療の中止」
に拡大する方針を決めた。
これまでは「新たな延命治療の不開始」に限っていた。
がんなどで終末期にある患者本人が
尊厳死を望む意思を表示している場合で、
2人以上の医師の判断を条件とする点は変わらない。
議連は6月6日に総会を開き、修正案を公表する予定。
障害者団体や医療関係者、弁護士らの意見を聞いて
さらに検討を続け、今国会か次期臨時国会での
法案提出を目指す。
ただ生命倫理にかかわるため、各党には
反対の議員も多く、提出や成立の見通しは不透明だ。
修正案には、障害や重い病気で意思表示が
難しい人を対象外とするため
「障害者の尊厳を害することのないように
留意しなければならない」との文言も追加。
いったん示した意思を撤回することも可能にした。
議連は3月、法案の原案を公表。
患者本人が健康で正常な判断ができる間に
延命を望まない意思を書面にしていること
などを条件に、新たな延命措置を
開始しないことを容認。
医師は刑事、民事、行政上のいずれの
責任も問われないとしていた。
修正の理由について議連関係者は
「延命中止が除外されれば法制化の意味がない
との意見を参考にした」と説明。
「『障害者らの命の切り捨てになる』
との懸念にも配慮した」としている。
共同通信社 6月1日(金) 配信
ちなみに、日本で尊厳死・安楽死に関する判決で、
最初というわけではないのかもしれませんけど、
有名なのが山内事件の判決です。
ここで、安楽死の6要件というのが出されたので、
これが今でも新聞等でも引用されています。
1)山内事件判決(名古屋高判昭和和37年12月27日)
裁判所の判断 ・安楽死の6要件
1)病者が現代医学の知識と技術からみて不治の病に冒され、
しかも死が目 前に迫っていること。
2)病者の苦痛が激しく、何人もこれを見るに
忍びない程度であること。
3)もっぱら病者の死苦の緩和の目的でなされること。
4)病者が意思を表明できる場合には、
本人の真摯な嘱託または承諾のあること。
5)医師の手によることを本則とし、これにより得ない場合は、
医師により得な いと首肯するに足りる特別な事情があること
6)その方法が倫理的に妥当なものとして認容しうること。
安楽死に関しても、尊厳死に関してもこういう定義だ、
という法律そのものはないんですけど。
裁判所の判例で、そういうもんだ、というのが出たので、
今でもそれが生きている、って事っすわ。
ちなみに、尊厳死に関しては、尊厳死そのものが
争われたわけではないんですけど、
医師が殺人罪に問われたはじめての安楽死裁判。
東海大学病院事件判決(横浜地判平成7年3月28日)
ここで、判決が出ちゃっています。
ちなみに、この事件の概要は、こちら。
東海大学病院事件判決(横浜地判平成7年3月28日)
平成3年4月。 多発性骨髄腫の末期患者で
昏睡・意識不明の状態にあったが、
苦しそうないびきをかいているのを見た
家族の者から「楽にしてやってほしい」
「早く家に連れて帰りたい」などと
強く懇願されたため、担当医が、
(1)点滴 や薬、フォーリーカテーテルの撤去(延命治療の中止)、
(2)死期を早めるかもしれないがいびきをおさえるための
鎮痛剤等の投与(間接的安楽死と呼ばれる行為)、
さらに、
(3)塩化カリウム製剤等の注射
(積極的安楽死と呼ばれる行為)、
という一連の行為の結果、患者を死亡させた事件。
患者自身が死を望む意思 表示がなかったことから、
嘱託殺人罪ではなく、殺人罪で起訴された事件。
裁判所の判断は、
・起訴されたのは、
(3)塩化カリウム製剤等の注射(積極的安楽死と呼ばれる行為)
のみだったんですけど、裁判所は、(1)と(2)
についても、それが適法になる要件について
書いちゃったんですよ。
(1)治療行為の中止
適法になされるための要件
1)、患者が回復の見込みのない末期状態にあること
2)、患者の推定的意思であり、それによって中止できる
医療の内容はすべての範囲に及ぶ。
(2)死期を早めるかもしれないという副次的効果は
あるものの苦痛の緩和等が
主目的とされる間接的安楽死
適法になされるための要件
1)耐え難い肉体的苦痛
2)死期の切迫
3)患者の推定的意思
(3)積極的安楽死
適法になされるための要件
1)患者が耐え難い激しい肉体的苦痛に苦しんでいること
2)患者は死を避けられず、その死期が迫っていること
3)患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を付くし
他に代替手段がないこと
4)生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示がある。
この裁判では、(3)について、1)と4)の要件を
満たしていないとして、懲役2年、執行猶予2年。
という判決が出ているんです。
(3)については、まあしょうがないかな、とは思うんですが。
(1)と(2)について、地裁(傍論)と言えども、
公的機関が要件を示してしまったので、
その要件を満たさなければ違法とされるから、
警察や検察は殺人罪の適用を考えざるを得なくなった。
というのが、今の日本の現状です。
それじゃあ困るね、って事で議員立法で
尊厳死に関する法律を作りましょう、
という事だったんだと思いますが。
>議連は3月、法案の原案を公表。
患者本人が健康で正常な判断ができる間に
延命を望まない意思を書面にしていること
などを条件に、新たな延命措置を
開始しないことを容認。
医師は刑事、民事、行政上のいずれの
責任も問われないとしていた。
正直言うと、この3月に出た原案だと、
何の意味もないですよ。
今までも、書面で延命処置をしてくれるな、
という事をきちんと書いて、延命処置をしなかった。
という事で、裁判で訴えられて負けた医師、
というのはいませんでしたからね。
むしろ、延命治療をしてくれるな、っていう
文書があるのに家族や患者本人の意志に反して
延命治療を行っている医者の方が問題でしょ。
今でも。
困っているのは、延命処置(人工呼吸器)を
止めたら殺人罪が適用されてしまいますよ、
って事ですから。
今更、そんな法律を作っても何の意味もありません。
平成10年の川崎協同病院事件や、平成16年の
道立羽幌病院事件、そして平成12年の
射水市民病院事件や平成18年の
和歌山県立医科大附属病院紀北分院事件など、
医師が末期患者の人工呼吸器を外して患者が死亡し
書類送検された事件は、その後もいくつかあります。
ちなみに川崎協同病院事件は、人工呼吸器を
はずしただけでなく、その後筋弛緩剤を注射したので、
裁判になって最高裁まで行っています。
そいで、この事件は東京高裁で懲役1年6か月、
執行猶予3年の判決が出て、2009年12月7日に
最高裁が上告を棄却し高裁判決が確定しています。
それ以外の事件では、医師が殺人罪で書類送検は
されたんですけど、結局不起訴にはなっています。
結果的に不起訴になったとはいえ、本人も家族も
望んでいるとしても、末期患者の人工呼吸器を止めたら
医師が殺人罪で書類送検される、という事ですから。
問題ですよね。
もしかしたら、起訴されるかもしれないんですから。
そうならないために、きちんと法律を整備する、
という事は医療関係者にとっては最も重要な事ですし、
患者さんや家族の人にとっても大事な事だと思います。
もちろん、法律を作ったらそれだけで解決する、
という問題ではないんですけれど、
早く法整備されると良いですね。
スポンサーサイト