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現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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胃ろうは、回復の見込みがある人に
胃ろうっていうのは、ご飯を自力で食べられなくなった人に、
胃に直接穴を開けて、栄養剤を入れて栄養が摂れるために
するための治療です。

本人の意識があって、食欲だけがなくて、栄養状態が
良くなれば元気になって元に戻れる可能性がある患者さん。
そういう人に胃ろうを造る事は、すごく良い治療だと思います。

でも現実的は、胃ろうを造っている患者さんの多くは、
回復の見込みがない人なんですよ。

脳梗塞になったりして寝たきりの人で、
口からご飯を食べる事が出来ない人。
急性期の病院に施設か病院には、そういう患者さんが
たくさんいます。

急性期の治療が終わったら退院しなくちゃならないけど、
自宅に帰るのは難しいですよね。
そしたら、施設か療養型の病院に転院する事になります。

口から食事を食べられないんですから、
点滴で栄養補給をしている状態なんですけど。
点滴があると、基本的には施設へ転院するのは
かなり難しくなります。

点滴があると、転院先が少なくなっちゃうから、
胃ろうを造りましょう。
という事で、多くの患者さんに胃ろうが作られている、
というのが現状です。

もちろん、家族や患者さんの意向を聞かずに
医療関係者が勝手に胃ろうを造る、という事はありません。
患者さんや家族に、そういうお話をしてから、
胃ろうを造っているんですけど。

本当に、患者さんも家族も希望されているのか、
と言われると、何とも言えません。

本来、回復の見込みがある人に造る、
というのが胃ろうの適応だと思いますが。
転院先の確保、という別の理由で造られている事の方が
現実的には多いような気がします。

今までは、きちんとしたデーターがなかったので、
感覚的なものでしかなかったんですけど。
医療経済研究機構の調査が出たので、
これを読んでみてください。



胃ろう、回復見込めない人に6割 
研究機関、情報分析 
本来は一時的な栄養補給手段


口から食べられなくなったお年寄りらの胃に
直接栄養を送る胃ろう
本来、回復する見込みのある人への
一時的な栄養補給手段だが、実際には
約6割で回復の可能性がない人につけられていることが、
医療経済研究機構の調査でわかった。

厚生労働省の補助金を受けて、昨年12月~今年1月、
全国約800の病院、約1360の
介護施設から回答を得て分析した。
胃ろうにした1467人の患者情報が集まった。
約2千人の家族から回答があった。

胃ろうをつけた時点で将来、口から食べるよう
回復する可能性があったのは24%で、
可能性なしは59%を占めた。
つけた後にはのみ込みの訓練が必要だが、
訓練を受けた患者は全体の49%にとどまった。

胃ろうにした時に困ったことを家族に聞くと、
「本人の気持ちがわからなかった」が55%、
「時間的余裕がなかった」が31%。
胃ろうにしてよかったことは、
「生きていてうれしい」が63%、
良くないことは「本人が幸せかわからない」が59%だった。

胃ろうなどの人工栄養について、
日本老年医学会が昨年、苦痛が増えるなど
患者の人生に有益でないと判断される場合には、
差し控えや中止も選択肢とする指針をまとめている。

調査を担当した飯島節・国立障害者
リハビリテーションセンター自立支援局長は
「後先考えずに胃ろうにするのは問題だ。
回復の見込みがある場合につけ、適切なリハビリをする
という正しい使い方をしてほしい」と話す。


『朝日新聞 2013/9/13』



胃ろうって、胃に穴を開ける手術ですから。
昔は外科が開腹手術をしていたんですけど、
今は内科的に胃カメラを使って造る事ができます。

手技が簡単になったから、胃ろうの手術件数が増えた、
という技術的な問題もあるとおもいます。
でも、それ以上に転院先とか、行き先の問題の方が
大きいような気がします。

胃ろうを造らないで点滴もしなければ、
人間の寿命って2週間くらいしかもたないんですけど。
胃ろうを造ると、2年位長生きする事ができるようになります。

寿命が延びる事は良い事だ、という考え方もあるでしょうけど、
寝たきりで意志の疎通も出来ない人に胃ろうを造って、
長生きさせる事は、本当に良い事なんでしょうか。



そんな話を含め、「在宅医療・療養を支える仕組み」
について、10月13日に勉強会がありますよ。
興味がある人は、是非参加してね!

第二部の福田先生の話は、何回も聞いた事ありますが、
くせはあるけど、超おもしろいっすよ。



<イベント>第7回医療の未来を考える会
「在宅医療・療養を支える仕組み」

 第7回医療の未来を考える会では、
「在宅医療・療養を支える仕組み」をテーマに、
10月13日(日曜)に、東京・神田にて開催することになりました。

最近、話題になっている終末期の胃瘻不要論や
嚥下障害について訪問歯科医である戸原先生にお話いただきます。
 
ケアマネジャーの役割と連携の実際については、
東京で実際にケアマネとして活躍されている
水下さんにお話いただきます
(雑誌「地域連携・入退院支援」(日総研:刊)にて
『医療・介護連携を機能させる重要ポイント
~ケアマネジャーをもっと知る、活用する~』連載中)。

第二部では医療・福祉分野で働く人材の育成や人事マネジメント
について国際医療福祉大学で教鞭をとられている
福田啓造先生からお話をいただきます。

 ぜひふるってご参加ください。

↓お申込みはこちらまで
『第7回、医療の未来を考える会』


■開催日時:10/13(日曜) 午後1時 開場
     午後1時半~開始
     午後4時半頃 修了

<第一部>
1.「知っていると役に立つ!(在宅への橋渡し、
(ケアマネジャーの活用について~」(仮)
 水下明美先生(株式会社ナイスケア推進事業部)

2.「胃瘻の実態調査:訪問歯科の現場から」(仮)
 戸原 玄先生
(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 
老化制御学系口腔老化制御学講座 
高齢者歯科学分野 准教授)

<第二部>
3.福田啓造先生(国際医療福祉大学 非常勤講師)
 「これからの医療/介護を支える人材システム」(仮)

■会場:フォーラムミカサエコ
【住所】〒101-0047 東京都千代田区内神田1-18-12
    内神田東誠ビル
Phone:03-3291-1395(代)

『フォーラムミカサ エコ』

JR線 神田駅 西口より徒歩5分
東京メトロ銀座線 神田駅 4番出口より徒歩5分
東京メトロ丸の内線 淡路町駅 A2・A4番出口より徒歩5分
東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅 B6番出口より徒歩6分、
A4番出口より徒歩5分
都営地下鉄新宿線 小川町駅 B6番出口より徒歩6分、
A4番出口より徒歩5分

<講師略歴>
■水下明美先生
 株式会社ナイスケア推進事業部地域担当。介護支援専門員、
社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、
日本ケアマネジメント学会認定ケアマネジャー。
 大学でカウンセリングを専攻。卒業後、知的障害者福祉を
国立秩父学園にて学ぶ。
その後、総合福祉施設で、身体・知的・
精神障害児・者福祉に従事する。
祖母の認知症発病を機に高齢者福祉に携わる。
特別養護老人ホームの介護職員、生活相談員、
在宅介護支援センターのケースワーカーなどを経て、
現在は居宅のケアマネジャー。
「介護認定」岩波ブックレット(共著)
「一歩進んだ医療連携実践Q&A」じほう(分担執筆)
「医療と介護の融合」日本医療企画(分担執筆)

■戸原 玄先生
1997年 :東京医科歯科大学歯学部歯学科卒業
2002年 :東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修了
2001-2002年 :ジョンズホプキンス大学留学
2003年 :東京医科歯科大学歯学部付属病院高齢者歯科
2008年 :日本大学歯学部摂食機能療法学講座 准教授
2013年―:東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科老化制御学系
口腔老化制御学講座高齢者歯科学分野 准教授

 摂食・嚥下リハビリテーション、地域医療連携、
チーム医療などについて、訪問歯科の現場から発信をされています。
今回は胃ろうについての研究の結果なども含めて、
在宅歯科医療の現場からお話を頂く予定です。


■福田 啓造先生
株式会社 エフケイズコンサルツ 代表
国際医療福祉大学 非常勤講師
 1977年、東京大学医学部卒業。同年、日産自動車株式会社入社。
1990年退社独立後、株式会社エフケイズコンサルツを設立、
人事総研グループの主宰として全国各地に関連組織を設立し、
新時代に向かっての組織と個人との新たな関係づくりとして
「仕事/役割(コア・ミッション)」を軸とした
「仕事等級制度(ミッション・マネジメント・システム)」
(特許出願中)という経営/人事管理概念を構築、
中堅中小企業ならびに病院の経営/組織改革支援や
人事諸制度の設計等のコンサルティングを手掛けて現在に至る。

近年になって公益法人のマネジメントシステム構築の
必要性を痛感、各種非営利活動団体の理事として
全国の公益法人に対する各種
マネジメント・サポート・サービスを実践中。
特に、現在は東京都福祉局からの要請のもと、
社会福祉法人経営改革推進プロジェクトへの参加や
都下の特別養護老人ホームなどへの
経営/人事改革指導を展開中


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医療の未来を考える会
事務局 井上雅博
E-mail:mjl.lm.net@gmail.com
HP: http://mjl2010.jimdo.com/
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