現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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医者の資質、看護師の資質2
「医者の資質、看護師の資質1」で、看護師資質の事についてしか書いていない、不公平だ。
という全くまっとうな意見を頂きましたので、医者資質に問題がある例を挙げていきたいと思います。

私は循環器内科医なので、また循環器の病気、心筋梗塞を例に出してみましょう。

心筋梗塞っていうのは、心臓の表面にある血管(冠動脈)が詰まって、胸が痛くなる病気です。
心臓というのは、心筋という筋肉でできていて、それは冠動脈によって血液が供給されて生きています。

で、冠動脈が詰まると、そこから先に血が流れないので、酸素が運ばれません。
そうなると時間が経つと、心筋細胞が死んでしまいます。

多くは6時間位すると死んでしまって、24時間くらい経つとほぼ全ての心筋細胞が死んでしまいます。
だから、完全に心筋細胞が死んでしまう前に、詰まった血管を広げる治療(心臓カテーテル治療、経皮的冠動脈形成術)が行われます。
それができれば、一部の心筋は死なないで済むからです。
出来れば6時間以内、それが無理でも血管が詰まってから24時間以内であれば、緊急でカテーテルによる治療(経皮的冠動脈形成術)を行います。
もちろん、そういう治療ができる施設での話ですけどね。

ちなみに、心筋梗塞になってから6時間以内の事をゴールデンタイムと言います。

例えば心筋梗塞患者で夜中、病院に救急車で運ばれてきた。
当然事前情報は入っていますから、医者は来ます。
まずその日の当番の循環器内科医が診て、あ、これは心筋梗塞緊急カテーテルによる治療が必要だ。
と判断したら、他の循環器の医師数名を呼んでカテーテル検査と治療をします。

カテーテルによる治療(経皮的冠動脈形成術)っていうのは、小さい手術ですから1人ではできなくって、普通は3人位でやります。
まあ、施設にもよるんですけどね。

で、みんなで治療してカテーテルが終わると、当番以外の医者は一応家に帰ります。
普通は当番の医者がその患者の主治医になるので、後の処置とかは任せるんです。
ものすごい重症で、1人じゃ無理って時はもちろん残りますけどね。

で、主治医は一応、いろいろ検査とか処置とかして、適切な指示を看護師に出して、何時間か経過を見て、大丈夫そうなら家に帰ります。
心筋梗塞になって丸一日とかは、不整脈とか命に関わる重篤な合併症が起きやすいので、私が研修医だった時は、ほぼ全例病院に泊まっていましたけどね。
もちろん、無給で。

まあ、適切な処置とか指示が出せて、大丈夫と判断できたなら帰っても良いですよ。
実際今なら私もそうしていますし。

でもその後、その日でも次の日の夜中でも良いけど、心筋梗塞になって数日の患者が、胸が痛いって病院から呼び出しがあったら、何を置いても駆けつけなきゃ駄目ですよ。
例え次の日にお酒飲んでいようが、明け方でほとんど寝ていなくてもね。

心室細動などの不整脈は心筋梗塞になったその日か、次の日に出やすいんですが、数日後には最梗塞(広げた血管がまた詰まる事)や、急性の弁膜症、心破裂なんかの合併症が出ることがありますからね。
これらは全て、下手したら死んでしまう重篤な合併症です。

だからそういう患者が、胸が痛い、胸が苦しいって言ったら、まず病院に駆けつけなきゃ駄目ですよ、絶対に。

で、まずは診察して、細かく症状を聞いて、心電図とか血圧、脈拍、酸素飽和度、心エコーとか必要であれば採血なんかもやって、ああ大丈夫だってなれば、それは良いですよ。

それ全部の検査をやらないとしても、自分で診てからじゃないと、大丈夫とは言えませんよ。
前にも書きましたが、どんな名医でも自分で診察をしないと診断は出来ませんから。

それなのに、患者を診もしないで痛み止め出しておいて、とかいう医者は、医者として失格ですよ。
心筋梗塞になって数日に、そういう重篤な合併症が起こる可能性がある、って知識として知らないのかもしれませんけどね。
仮にそうだとしたら、そういう知識がない医者心筋梗塞患者主治医にする事も問題ありますけど。
でも、基本的には患者が苦しがっているのに、診もしないでただ対症療法の指示を出す医者ってのは、問題ありですよ。

看護師は基本的には医者が指示した事しかできないから、そう指示されたらそうするしかできませんからね。

軽症の患者が、いちいち細かい訴えをしたからって言って、毎回休日でも夜中でも病院に行けとは言いませんよ。
でも、少なくとも命に関わる重症の場合は、それをやったら駄目ですよ。

それは医者でも看護師でも同じです。
自分が休みたいとか、仕事したくないとか、仕事を早く終わらせたい、とかいう気持ちは私にも、もちろんありますけど。
そういうのは、少なくとも患者の命に関係ない所でしか、出しちゃ駄目ですよ。

って事で、医者の例でした。
タイトルを医者資質に替えても良いんですが。
医者資質看護師資質2にしちゃいました。

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この記事へのコメント
なるほど~
こんばんは!sophia97です。

医学部受験生の資質を考えてみると、また違った側面が見えてきます☆

他学部と明らかに異なるのは、試験の際のバランスでしょうか。

どの科目も標準的な問題は必ず落とさず、取っていく資質が必要ですね。
★行列のできる医学部合格をつかむヒント★公開中[URL] 2006/06/11(日) 22:59 [EDIT]
 私、当直回数が多いうえに、一人当直なんてのが多かったんで、NsがDrcallするのとはまた若干違うかもしれないけれど、その科のDrを私の判断でcallすることはよくあったんですね。循環器に関して言うと、呼んでも連絡がつかないとか、I先生はありえないですねーとコメントされてましたが、全員出払っていたり、正当な理由と思えないような理由で当番なのに行けないとか、呼ぶ側のツラさ、少し分かるような気がします。命に関わることがあるからこそcallするわけなのですが、待たされるこっちは冷や冷やです。よほど典型的な例であれば、まずAMIだろうと私でさえ思えるような症例がいても、私にはカテなんかできませんから。せめて、当番の医師はNsからだろうとDrからだろうと、コールには速やかに動いてもらいなーと思いますし、自分もそうあろうと思います。
りん[URL] 2006/06/11(日) 23:14 [EDIT]
>sophia97さん
そうですね。
点数に関して言えば、苦手科目を作ると損でしょうね。
医者になるための資質には、勉強ができるかってのは直接は関係ないんですが。

でも、自分の嫌なことでも頑張ってできる、という事は、ある意味勉強にも当てはまりますかね。
Dr. I[URL] 2006/06/12(月) 00:06 [EDIT]
>りん先生
ホントにそうだと思いますよ。
私は腰軽いって言われますが。
自分ではわかんないですけど。

でも、自分で診てみないと不安でしょうがないから、必ず自分で診ますけどね。
他の人を信用しないってわけではないんですが。

やはり命に関わる症例が多いですから、すぐに呼ばれたら行かなきゃいけないと思います。
Dr. I[URL] 2006/06/12(月) 00:09 [EDIT]
医師の資質
薬剤師として勤務しているとき、日曜当番などでえ~っと思う医師には何度か遭遇しました。
これは仕方がないことかもしれませんが、
特に日曜当番のお医者さんで、小児科の処方の問題が多かったと思います。

体重から量が多すぎるなどで疑義照会をすると、
ページをめくる音がして、
「本にこう書いてあるからそれでいいんだよ!」
と言われたことがありました。

曲がりなりにも薬剤師は薬の専門家、
でも医師の指示がないと処方箋は書きかえれないので・・・
うまくなだめて、やんわりと説明して、
何とか処方を変更してもらったっということがありました。

知識がないのならそれを認める勇気も持ってほしいものです。
専門じゃないのでわからなかったでいいじゃないですか、って思うんですがね。
やな社長[URL] 2006/06/12(月) 13:51 [EDIT]
資質
プロフェッショナルであることの資質ってありますよね。それが自分にとって辛い(肉体的、精神的その他)選択を強いられるものであっても、飲み込めないとプロたり得ないと思います。それに見合った評価を受けられるかどうかは、また別の問題なのですが、プロって何でもそうですが大変だなーと思います。
omoteura[URL] 2006/06/12(月) 16:16 [EDIT]
>やな社長さん
たしかに小児科の薬の処方は困ります。
私は薬剤師にそう言われたら素直に従いますけどね。
変にプライド高い医者って多いんですよー。

医者でも看護師でも、一番困るのは知識がない、腕がない、って事ではなくて、自分は知識とか腕がないって事を自分でわかってない、って事だと思うんですよね。

仮に知識も腕もないって自分でわかっていたら、もっとできる医者を呼べば良いだけの話ですから。
実際問題になる場合、そういうのが多いんじゃないですかね。
Dr. I[URL] 2006/06/12(月) 20:16 [EDIT]
>omoteuraさん
たしかにそうだと思います。
一番大切なのは、人間としてって部分だと思います。
それがあって、プロであるために必要な努力をするとか、そういう事が次に来るんだと思います。

サラリーマンでも、なんでもプロのはずなんですけどね、ホントは。
医者とか資格のいる職業だけでなくって。
カジノのディーラーも同じだと思いますよ、まじで。
Dr. I[URL] 2006/06/12(月) 20:53 [EDIT]
患者を診てくれ……。
二度目の投稿、ちょこぱんです。こんにちは。

ついこの間、入院した際に私についたあるお医者さんが、ろくに触診もせずに検査の結果だけを見てやたら薬ばっか増やす先生でした。先生自身も、やたら合併症の多い患者の扱いに相当テンパっておられたのでしょう。何となく分かる気はしますが、こちらも副作用の嵐と、個室から出られないストレスで大変な思いをしました。
最近、検査の結果の数字にばかり頼って触診をしないお医者さんが増えていると聞きますが、お医者さん達は病原体を観るだけでなく、人間を診ているのだということを最低限、忘れないで頂きたいものです。(汗)
ちょこぱん[URL] 2006/06/14(水) 15:55 [EDIT]
>ちょこぱんさん
そうなんですか。
それは大変でしたね。

医者は病気を診るのではなくって、患者を診るってのが、一応私のモットーなんで。
初心を忘れないで行きたいと思います。
Dr. I[URL] 2006/06/14(水) 19:01 [EDIT]

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