現役医師、循環器内科医(Dr. I)が医療について、詳しくわかりやすく解説するブログ。 引用、転載は自由ですが、その際は必ず引用元を明記して下さいね!
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治療で死亡14人?
机上の空論が得意な厚生労働省研究班が、
また新しい調査結果を発表しましたね。
まずはこちらをご覧下さい。

全国18カ所の大学病院や200床以上の一般病院
入院患者のカルテを分析したところ、
医療行為や管理上の問題が原因で死亡が早まった」とみられるケースが
2002年度の1年間に14件あり、
半数が防げた可能性が高いことが7月15日、
厚生労働省研究班の調査で分かった。

カルテの内容まで踏み込んだ医療事故の実態調査は初めて。
他の治療法を選択したり、院内体制を充実させれば
死期を遅らせることが可能だったとしており、
主任研究員の堺秀人(さかい・ひでと)神奈川県病院事業庁長は
「過失とまでは言えないが、事故例を医療現場で共有し、
再発防止に役立てる仕組みを作るべきだ」と指摘している。

調査は18病院を退院した患者計4500人のうち、
カルテを確認できた約4400人分について、
各科の医師で構成する判定チームが検討。
14件「入院前または入院中の治療が原因で死亡が早まった」
と判断した。

このうち、防げた可能性が高いとされたのは
「抗生物質を点滴中、けいれん発作が誘発された」
「心臓手術後にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)肺炎を発症」
「不整脈患者が病室で心室細動となり、
看護師が(心電図の)アラームに気付くのが遅れた」
など7件。

けいれん発作や肺炎は患者の様子をより注意深く観察していれば
早期に発見できた可能性があったほか、
不整脈患者はナースステーションに看護師が常時待機していれば
アラームに気付くことができた、と結論づけた。

このほか、医療行為や管理上の問題で具合が悪くなったり、
再入院が必要になったりする「有害事象」は
全体の1割に当たる約440件。
主に院内感染や敗血症、薬剤の副作用などで、
約4分の1が防げた可能性が高いと判断された。

共同通信社:2006年7月18日


亡くなった方にとっては残念だとは思いますが。
少なくともこれらの事例は、現在医療体制では、
「救えたかもしれない命」って事にはならないかなー
って私は思うんですが。

もちろんカルテの内容そのものを私は見ていないのでわかりませんが、
この文面からわかる範囲で検証していきましょう。

「抗生物質を点滴中、けいれん発作が誘発された」

たしかに、この方は抗生物質の副作用で
けいれん発作が誘発された可能性が高いと思います。

これに関して研究班は、
「患者の様子をより注意深く観察していれば
早期に発見できた可能性があった」

と指摘しております。

確かにおっしゃる通りなのですが。
この人がけいれん発作を起こすって事は、
当然ですが、誰も事前にはわからないんです。

と、いうことは抗生物質を点滴する患者、全員に看護師を
1人、最初から最後までべったり貼り付けて、
経過を観察しなければならないっ
って事ですよね。

今、医師不足って騒がれていますが、医者だけでなく
看護師の数も不足しています。

抗生物質を点滴する人は、どこの病院でも各病棟、最低でも数人
から数十人いて、外来にもいるでしょう。
現在の体制でも、人手不足なのに、抗生物質を点滴する人全員に、
最初から最後まで看護師を貼り付ける余裕は、
残念ながらどこの病院にもありません。

おそらく、それだけで各病院数十人規模の増員が必要でしょう。


「不整脈患者が病室で心室細動となり、
看護師が(心電図の)アラームに気付くのが遅れた」


これもだいたい一緒です。
これを見逃さないためには、必ず各病棟の看護師詰め所で
モニターの前に、看護師が1人は待機していないといけない

って事になるんですかね。

現在多くの病院で、夜勤の看護師は各病棟3人くらいっていうのが
一般的ではないでしょうか。
1人が必ず詰め所にいるって事は、各病棟に50人位いる患者の
処置などを、2人でやらなければいけない
って事です。

3人でも厳しいのに、老人病院ではない一般の病院で、
それだけの業務を2人でこなすのは、ほとんど不可能です。

抗生剤の点滴とかは、たいてい昼間にやりますから、
昼の間の看護師の数を増やすだけで良いとしても、
不整脈に関しては昼夜関係なく起こる可能性があります。

ということは、日勤業務の看護師だけでなく、夜勤の看護師も
それぞれ最低1人ずつは増員が必要
って事です。

今は多くの病院で看護師は2交替制ではなくて、3交替制ですので、
日勤、準夜、深夜の各業務で、それぞれの病棟で最低1人の
看護師の増員が必要
って事になりますね。

各病院で、数十人から数百人の看護師の増員が必要って事ですかね。

「心臓手術後にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)肺炎を発症」
肺炎に関しては患者の様子をより注意深く観察していれば
早期に発見できた可能性があった。


点滴をしている最中にけいれんを起こしたっていうのは、
点滴している最中ずーっと見ていれば、わかるかもしれませんが。

これはどうなんでしょうかね。

肺炎を起こしたってわかるのは、きっと咳、痰、発熱などの
症状があった、って事だと思うんですが。

こういった肺炎の症状が出るのは、肺炎になったですから。

肺炎が悪化する前に気づくって事であれば、
確かにその通りですが。
老人の場合、肺炎でも症状が出ない場合もありますし。
正直言ってカルテを見たわけではないので、今回のこの記事を
見る限りではわかりませんので、なんとも言えません。


今回の調査結果が間違っているとは言いませんが。
少なくとも医療の現場を知っている人間が書いたものでは
ないですよね、きっと。

どっかの役人とか、天下り先でろくに仕事もしてないで
給料を貰っている人達であれば、業務を増やせば良い、
ってだけなんでしょうけど。

今現在、ほとんど目一杯、医者看護師も働いて、
それで人手不足でどうしようもない、って声を上げているんですよ。

だから、新たに一つ業務を増やすっていったら、
他の何か別の業務ができなくなるって事
です。
もしくは新たに人を雇う以外は無理でしょう。

ですから、こうしたらできた可能性があるってだけ言って、
やってないからおかしい、って言うのは意味がないと思います。

こういう事を実際にやるには、看護師が全国で何十万人必要、
そのためには予算が何百億円必要

とか、これと、これの業務は無駄。
って、無駄な業務を正確に把握して、それがおおよそ
何時間くらい、人員が何人分。
で、その分を今回指摘した仕事に当てれば、
人員は現在のままでも良い
とか。

そこまでやらないと、何の意味もないような気がするんですがね。
得意の机上の空論というか。

「結論づけた」ってたいそうな感じで書いていますけど。
悪いけど、この調査をやるのに、人も時間も金もかけてるんでしょ。

極端な話、「人がもう少しいれば助けることができる命もあった。」
ってだけでしょ、この調査の結果は。

そんな事、言われなくてもわかっているんですよ、現場の人間は

だから、足りない人数が何人とか、具体的に指摘するのが、
結論なんじゃないですか?

「院内体制を充実させれば」って、だからどの位医者とか
看護師を増やしたら、何人くらい救えるんですか?

この調査自体は、大がかりで意義のある調査だと思いますよ。

厚生労働省の調査班がって書いてあるけど。
調査班のメンバー本人が、実際に病院に行って、
4400人のカルテを見た訳じゃないでしょ、どうせ。

通達だか何とかって、各大学や病院に出して、
教授や病院長が、病棟医長や各科の科長に指示して、
それを受けて、末端の現場の医者がカルテをひっぱり出して
報告してるんでしょ、この調査。

何人の医者が何日かけて調べたかわからないですけど。
相当な労力ですよ、これ。

きっと、患者をいつも通り診て、その後夜中に、
無償でやったんじゃないですか、カルテを出して。

これだけの労力を使って調査したんだから、わかりきった事を
書くだけじゃなくって、もうちょっとましな結論は出せないんですかね。


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この記事へのコメント
こんにちは。読んでいてすごく頷けました。役人や病院の上層部は理想ばかり追ってますよね。現場には全然目を向けてないです。っていうか、くだらない調査してますね、相変わらず。結果論ですよね、殆どが。人間の命って限りあると思うんですけど。いくら早く発見できても死ぬときは死にますよね(言葉は悪いですが)。それに抗生剤のテスト、以前厚労省から中止、っていうお達しありませんでした?なかったらすみません。でもあったような・・。それでいて抗生剤投与で云々言われてもね~・・・。
K[URL] 2006/07/21(金) 21:03 [EDIT]
まさに、その通りです。
>極端な話、「人がもう少しいれば助けることができる命もあった。」
ってだけでしょ、この調査の結果は。
そんな事、言われなくてもわかっているんですよ、現場の人間は。


人がもっといれば、もっと密度の濃い治療ができる。
現場の医師はみんなそう思っているんですよねー。
僕もいつもそう思っています。

この調査、本当、意味ないですよね。

こんな調査のために現場の労働力が使われたと考えるだけで腹が立ちます。
限られた労働力のなかで、できるだけ多くの効果をあげようと僕ら現場の医師は頑張っているのです。もっと労働力があれば、たくさんの命を救えるってのは、分かりきったことなのに。。
ss[URL] 2006/07/21(金) 22:36 [EDIT]
>Kさん
そうなんですよ。
調査自体はやって駄目って事ではないし、間違ってるとも思いませんが。

結構な労力を使って、結論がこれじゃあ。
調査した医者はこの結論見て泣いてますよ、きっと。
Dr. I[URL] 2006/07/22(土) 00:16 [EDIT]
>ss先生
これだけの労力を使って、この結論って。
結論の密度が薄すぎです。
ま、この調査に限った事ではないんですけどね。

はっきりいって役所は、情報を自分たちはたくさん持ってるくせに、隠して。
そのくせ、その情報を全く生かそうともしない。
まさに、金と時間と労力の無駄です。

くだらない結論しか出せないなら、最初からやらない方がましです。
自分たちできちんとした結論を出せないなら、情報を公開して、もっとできる人間に情報を解析してもらえば良いんですよ。
Dr. I[URL] 2006/07/22(土) 00:20 [EDIT]
こんばんわ。初めまして。泣けてきそうでした。
私は細々とNsを続けている三十路中盤子持です。
若いころは大学病院で2交代、3交代やっていました。

ナースステーションに人がい無いなんて、いつも「ざら」な病院がたっくさんあります。
経験が無くても、やらないといけない場面がいっぱいあります。
町の(といっても東京23区)医院では、看護師一人と、看護助手の2人だけで、夕方5時から朝9時まで勤務し、看ているところもあったり・・・
人手は「余分」って感じたことがありません。
もっとも、今私は半人前なので、余計ですが・・・。
現場はいつも「いっぱい いっぱい」な状況が多いですよね・・・。
ぽん[URL] 2006/07/22(土) 04:30 [EDIT]
>ぽんさん
はじめまして。

正直言って、深夜とか準夜だと、むしろ詰め所に人がいないでみんな出回っている時の方が多いような気がしますもんね。

医師不足は最近やっと認知されてきましたが、看護師不足はあまりメディアでも取り上げられていないような気がしますね。
Dr. I[URL] 2006/07/22(土) 19:28 [EDIT]
度々の登場ですみません。看護師って不足って言われてるけど本当は沢山いるんですよね。働いていないもしくは働けないナースが沢山いるだけで。だって女性の職場なのに、今でも大学とかは保育所なし(女医さんも困ってますよね)、出産したらパートになれって言われるとか。まずは子供がいても夜勤が出来る環境を作ってあげてからそういうこと言うべきだし、子供がいてもいなくてもみんなが公平に仕事ができるような、いろいろな「働くパターン」をもっと考えるべきですよ。
K[URL] 2006/07/22(土) 20:07 [EDIT]
>Kさん
たしかにね。
夜勤なしとか、病棟でも日勤のみで働けるような職場にすれば良いのにね。
保育所の問題とかも、仰るとおりですね。
Dr. I[URL] 2006/07/22(土) 20:38 [EDIT]
初めまして
自分は、医療関係は素人です。
人手不足や予算捻出の問題の解消策として、病院の株式公開はどうでしょうか?
病院だけの株式市場に、大病院が株式を公開して資金調達する代わりに、かなり細かい情報公開を義務付けるのです。金融商品取引法に準じて、第三者機関の監査人が、適正性監査をする。もちろん、監査チームには、医者を入れる。
病院の善し悪しは市場が決めるし、偏った患者しか診ない病院があれば、後から参入する病院が、自然にニッチ市場にサービスを提供するでしょう。
市場の自由競争に晒される事により、効率的な経営が追究されます。また、優秀なスタッフは、ドル箱として報酬や勤務体型も大幅に向上します。
上場病院に行けない患者は、未上場の病院に行けば良い。医療格差はあって当然でしょう。ちなみに、99.5%の会社は、未上場の零細企業です。今現在、財界で不都合は生じてますかね?
過疎地はどうなるんだ?という問題もありますが、それは全ての業種に当て嵌まるし、医者はボランティアじゃないんで、市場が決めるでしょう。
実現可能性は低いけど、悪くないと思うんですが…
CPA受験生[URL] 2006/07/22(土) 21:07 [EDIT]
>CPA受験生さん
はじめまして。
病院の株式会社化というか、株式会社の病院経営自体は、結構議論されているんですよ。

今の所、営利目的は病院になじまないって事で、否定されていますが。
小泉内閣になってから、自由化というか、弱肉強食の世の中になって、アメリカの言いなりっぽいかんじですからねー。
将来可能性はありますが。

格差はより広がるんでしょうが、将来可能性はありますねー。
Dr. I[URL] 2006/07/22(土) 23:08 [EDIT]
Is it faith?
『将来医者の数は足りるの?1』で外国資本参入の製薬会社の事例をあげ脳外科医さんが、”地域医療のあるべき姿と単年度ごとに前任者よりも収益実績をあげないと昇進させない米国の企業文化とは相容れない”…という事をおっしゃられているのを読んで難しいことは解らないけどそうだろうな~とエビも思っていました。I先生もお金を儲けたいなら医者になることは勧めないとおっしゃりますよね。自嘲ではなくて…信念p(^^)q医療従事者の方々が安心して働ける環境が整えられ、与える方にも受ける方にもやさしい医療が実現することを願っています。
エビ[URL] 2006/07/23(日) 00:32 [EDIT]
>エビさん
正直言って、他の職業で、能力給のところに就職したら、今より稼げる自信はありますよ、私。
ま、しばらく時間はかかると思いますけどね。

でも、やりがいっていうか、命を救うって事は他の職業ではできませんからね。
でも、環境はもう少し整備して欲しいですね。
Dr. I[URL] 2006/07/23(日) 01:22 [EDIT]
Dr.Iさんに一票です。
俺の意見はすべて文中にかいてありました。
なにも言うことはないです!超納得。
ナースマン[URL] 2006/07/27(木) 19:36 [EDIT]
>ナースマンさん
お久しぶりです。
多分現場の人は、ほとんど同じ様な考えだと思うんですけどねー。
きっと。
わかってないのは役人だけ。
Dr. I[URL] 2006/07/27(木) 19:43 [EDIT]

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